
社内の想像で段階を並べているからです。
認知から比較、検討、購入という流れは整っていますが、実際の顧客はその順に動いていません。
なお、TimeValue株式会社では、広告運用・クリエイティブ制作・LP改善・データ分析・AI導入までを一括で引き受けるWebマーケティング支援「KAIZEN」を提供しています。
現在、オンラインの無料マーケティング診断を毎月10社限定で実施中です。いまの数字を見ながら、どこから直すのが早いかを一緒に整理します。
今月の無料診断は残り4社です
広告からLPまで、まとめて見ます。オンラインで30分から対応しています。
目次
目次
- 描いたジャーニーが実態とずれるのは、なぜか
- ずれたまま使うと、何を見落とすか
- 行動データから起こすとは、どういうことか
- 計測の前提と、データの扱いを確認する
- 段階の切り方は、どう決めるのか
- 平均ではなく中央値を見る
- データが取れない区間は、どう埋めるのか
- 記憶の再構成を、織り込んで聞く
- 段階ごとに、何を測るのか
- 母数が小さい段階の扱い
- ジャーニーは、どう施策に落とすのか
- 上流の接点は、構造が変わりつつある
- ジャーニーの図では、どんな問題が起きるのか
- 外部に依頼するときの確認事項
- ジャーニーは、どの順で引き直すのか
- 営業と共有する
- よくある質問
- まとめ
社内の想像で段階を並べているからです。
認知から比較、検討、購入という流れは整っていますが、実際の顧客はその順に動いていません。
描いたジャーニーが実態とずれるのは、なぜか
社内の想像で段階を並べているからです。
認知から比較、検討、購入という流れは整っていますが、実際の顧客はその順に動いていません。
カスタマージャーニーの図は、きれいに描けるほど実態から離れます。
左から右へ一方向に矢印が並ぶ図は、作る側にとって説明しやすい形です。
説明しやすい形と、顧客の動きは別のものです。
図の美しさは、正確さの指標になりません。
実際の顧客は、行き来します。
資料を請求した後に、また比較記事を読みに戻ります。
見積もりを取った後で、社内の反対に遭い、半年止まります。
そして、期が変わったときに突然再開します。
一方向の矢印では、この戻りと停止が表現できません。
表現できていないものには、打ち手も置かれません。
二つ目の問題が、段階の名前です。
認知、興味、比較、検討、購入という区切りは、売る側が施策を当てやすいように作られたものです。
顧客の側に、今は比較段階だという自覚はありません。
自覚がないものを基準に設計すると、実際の行動と対応しなくなります。
三つ目の問題が、誰のジャーニーかが決まっていないことです。
購買に複数人が関わる商材では、関与者ごとに通る道が違います。
情報を集める人と、承認する人では、見る場所も判断の基準も違います。
それを一本に束ねると、どの人にも当てはまらない線になります。
四つ目が、接点をすべて自社の施策で埋めていることです。
実際には、比較サイトや口コミ、知人からの情報が挟まります。
自社の施策だけで図を埋めると、外部の情報源が抜けます。
抜けた箇所には、当然ながら手が打たれません。
五つ目が、最後は購入で終わると考えていることです。
実際には、社内の稟議で止まる期間が長く、そこが最大の滞留区間になります。
購入で終わる図を使っていると、この区間が存在しないことになります。
存在しない区間には、予算も人も割り当てられません。
ずれたまま使うと、何を見落とすか
一方向に進む図を使っていると、再訪した人への接点を見落とします。
戻ってきた相手に、最初と同じ情報を出すことになります。
段階が均等な幅で描かれていると、特定の区間に時間が集中していることが見えません。
時間が集中している区間こそ、手を入れる価値があります。
一本にまとめていると、関与者別のコンテンツが作られません。
承認する人が見る資料が、どこにも存在しない状態になります。
購入で終わる図を使っていると、稟議を通す材料の提供が抜けます。
この抜けは、検討期間が長い商材で特に大きく効きます。
図が一方向で均等で一本になっていると、再訪、滞留、関与者別、稟議という四つの打ち手が抜けます。ずれは見た目ではなく、抜けとして現れます。
行動データから起こすとは、どういうことか
自社が持っている実際の接触記録から、段階と順序を後から見つける進め方です。
段階を先に決めて、そこにデータを当てはめるのとは逆になります。
行動データから起こすという言い方には、二つの意味が混ざりがちです。
既存の図にデータを当てはめて裏づける作業と、データから段階そのものを見つける作業です。
前者は、図の正しさを補強する作業です。
図が間違っていた場合、間違いを補強することになります。
後者は、図の形そのものを決める作業です。
段階の数も名前も、データを見てから決めます。
ここで扱うのは後者です。
そのため、最初に決めるのは段階ではなく、使えるデータの範囲になります。
使えるデータは、サイトの行動ログだけではありません。
ログだけでジャーニーを描こうとすると、サイトに来る前と問い合わせた後が空白になります。
広告の接触記録があれば、最初に触れた媒体とその後の動きが見えます。
ただし、計測の同意設定に左右されます。
問い合わせの自由記述には、その時点での関心と使われている語彙が残ります。
件数は限られますが、内容の密度は高くなります。
商談録とCRMの記録には、関与者の登場順と止まった箇所が残ります。
入力の粒度が担当者によって違うという限界があります。
受注後のキックオフの記録には、実際の決め手と社内での説明が残ります。
受注した案件に偏るという限界があります。
解約時のやり取りには、期待と実態のずれが現れます。
本音が出にくいという限界があります。
これらを組み合わせて、初めて全体がつながります。
一つの情報源だけでは、その情報源が見ている範囲しか描けません。
組み合わせるときは、同じ案件を横につなぐ必要があります。
つなぐ鍵になるのは、企業名か、問い合わせの識別子です。
鍵が揃っていない場合は、まず記録の項目を揃える作業から始めてください。
つなげない記録は、それぞれ別の話として残ります。
計測の前提と、データの扱いを確認する
Web側のデータは、同意の取得状況によって欠けることがあります。
欠けていること自体は前提として、傾向を見る用途に絞ってください。
GA4では2026年6月15日以降、広告データの共有の可否が同意モードのad_storageだけで決まる仕様になっています。
Googleシグナルは、レポート上のディメンションの表示可否のみを制御する位置づけです。
同意モードを実装していない場合、ad_storageは既定でgrantedとして扱われます。
実装の有無で、データの入り方が変わるということです。
複数のデータを突き合わせる作業は、個人情報の取り扱いに関わります。
社内の規程と、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
自治体によって運用が異なる制度がある場合は、自治体の窓口で確認してください。
突き合わせの範囲を決めてから、作業に入ってください。
使えるデータと、そこから見えること
| データ | 見えること | 扱いの注意 |
|---|---|---|
| サイトの行動ログ | 閲覧の順序と再訪の間隔 | 同一人物の特定に限界がある |
| 広告の接触記録 | 最初に触れた媒体とその後の動き | 計測の同意設定に左右される |
| 問い合わせの自由記述 | その時点での関心と使う言葉 | 件数が限られる |
| 商談録とCRM | 関与者の登場順と止まった箇所 | 入力の粒度が担当者で違う |
| 解約時のやり取り | 期待と実態のずれ | 本音が出にくい |
段階を先に決めず、使えるデータの範囲から確定してください。サイトのログだけでは前後が空白になるため、商談録とCRMまで含めて初めて全体がつながります。
段階の切り方は、どう決めるのか
顧客の行動が明らかに変わる境目で切ります。
自社の施策の分類ではなく、行動の変化で区切ると、施策を当てる場所が決まります。
段階をいくつに分けるかに、正解はありません。
判断に使える粒度かどうかで決めてください。
判断に使える粒度とは、段階ごとに一つ以上の打ち手が置ける粒度のことです。
打ち手が置けない細かさは、分析のための分析になります。
切る位置は、行動が変わる境目です。
検索する言葉が一般的なものから商品名に変わる箇所が、その一つです。
一人で見ていたのが、複数人で見るようになる箇所も境目です。
購買に関与する人が増えたことを示しています。
価格ページを見るようになる箇所も境目です。
比較の段階から、導入の可否を検討する段階に移ったことを示します。
これらの境目は、データから見つけられます。
検索語の変化は広告の記録から、接触人数の変化は同一企業からの訪問数から分かります。
閲覧内容の変化は、課題を扱う記事から価格や導入事例へ移った箇所で見えます。
問い合わせの前後は、フォームの送信で明確に区切れます。
社内稟議の有無は、見積もりの提示から決裁までの期間として現れます。
高額な商材では、この区間が最も長くなります。
段階の数は、五つ前後に収めてください。
細かく分けるほど正確になりますが、施策が当てられない粒度になります。
分けた後に、各段階に留まる期間の中央値を出してください。
どこで止まっているかが、そこで分かります。
段階の名前は、顧客の行動で付けてください。
比較段階という名前より、価格ページを見始めた後という名前のほうが、判定の基準が明確になります。
平均ではなく中央値を見る
滞留の期間は、平均ではなく中央値で見てください。
極端に長い案件が、平均を引き上げるためです。
一年止まっている案件が数件あると、平均は実態から大きく離れます。
中央値であれば、その影響を受けません。
あわせて、上位二十五パーセントと下位二十五パーセントの値も出してください。
三つの値が揃うと、分布の形が見えます。
下位が短く上位が極端に長い場合は、二つの異なる層が混ざっています。
その場合は、層を分けてから段階を切り直してください。
数字は説明のための仮の値です。
下位二十五パーセントが二十日、中央値が六十日、上位二十五パーセントが二百日なら、設計は複数必要になります。
段階は行動が変わる境目で切り、五つ前後に収めてください。滞留の期間は平均ではなく中央値と四分位で見ると、層が混ざっているかが分かります。
データが取れない区間は、どう埋めるのか
空白を想像で埋めません。
そこで何が起きているかを顧客に直接聞くか、間接的な痕跡から推測します。
どれだけデータを集めても、見えない区間は残ります。
最初に興味を持ったきっかけ、社内で稟議を通すまでの過程、他社と比較した中身。
これらは、自社の記録には残りません。
記録が残らない場所で起きていることだからです。
ここで多いのが、想像で埋めてしまうことです。
埋めると、図としては完成しますが、そこが想像であることが分からなくなります。
見えていない区間は、図の上で空白のまま示してください。
空白であることが見えていれば、そこを埋める作業が計画に入ります。
埋める方法は、顧客に直接聞くことです。
最初に知ったきっかけは、受注後の顧客に聞けば分かります。
比較した他社と軸は、受注時と失注時の両方に聞いてください。
受注した相手だけに聞くと、自社が選ばれた理由しか集まりません。
社内で稟議を通す過程は、商談の相手に経緯を聞きます。
必要だった資料と、反対が出た場所が分かります。
検討が止まっていた期間については、再開した理由を聞いてください。
再開のきっかけになる出来事が分かると、止まっている相手への当て方が決まります。
自社以外での情報収集については、問い合わせ時の自由記述から手がかりが取れます。
どこを参照していたかが、言葉の使い方に現れます。
記憶の再構成を、織り込んで聞く
時間が経ってから聞くと、顧客は筋の通った物語として語り直します。
実際には偶然だったことが、必然のように説明されます。
これは嘘ではなく、記憶の性質です。
人は、自分の行動に後から理由を与えます。
そのため、一人の話をそのまま採用しないでください。
同じ話を複数人から聞いて、共通する部分だけを採用します。
聞く相手も偏らせないでください。
受注した顧客だけに聞くと、うまくいった道筋しか集まりません。
失注した相手や、検討を止めた相手にも聞く必要があります。
ただし、聞く内容と目的は別に設計してください。
同じ質問を両方に当てても、比較にはなりません。
受注した相手には決め手を、失注した相手には分かれ目を聞きます。
聞く件数は、経路ごとに数件ずつで足ります。
同じ話が繰り返し出るようになった時点が、一区切りです。
見えない区間は空白のまま図に示し、想像で埋めないでください。聞き取りでは記憶の再構成が入るため、複数人に共通する部分だけを採用します。
段階ごとに、何を測るのか
通過した数と、次へ進んだ率と、滞留した期間の3つです。
この3つがあると、どこを直すべきかが数字で決まります。
ジャーニーを描いた後に測る対象を決めないと、図は資料のまま終わります。
測る対象は三つで足ります。
各段階に何人いるか。
次の段階へ何割が進んだか。
そこに何日留まっているか。
段階ごとの人数が分かると、どこに母数が集まっているかが見えます。
上流が細ければ、その先をどれだけ改善しても全体は増えません。
次の段階への移行率が分かると、詰まっている箇所が見えます。
移行率が低い区間は、情報が足りないか、条件が合っていません。
滞留期間の中央値が分かると、時間がかかる箇所が見えます。
時間がかかる原因は、社内の調整か、比較検討の長期化です。
離脱率も見てください。
抜けている箇所は、期待と内容がずれている箇所です。
戻りの発生率も指標になります。
前の段階に戻る動きが多い区間は、判断材料が不足しています。
ここで効いてくるのが、移行率と滞留期間を分けて見ることです。
移行率が低い区間と、滞留が長い区間は、別の問題です。
移行率が低いのは、情報の不足であることが多くなります。
次の判断をするための材料が足りていません。
滞留が長いのは、相手側の事情であることが多くなります。
予算の時期や、社内の優先順位が影響します。
打ち手が変わるため、同じ数字で語らないでください。
移行率には情報を、滞留には時期の設計を当てます。
母数が小さい段階の扱い
商談以降の段階は、件数が少なくなります。
件数が少ないと、率が大きく振れます。
月次で見ると、施策の効果と偶然の振れが区別できません。
四半期単位でまとめて見てください。
上流の段階は、件数が多いため月次で見られます。
段階によって見る周期を変えることが、実務上の工夫になります。
周期を変えた場合は、比較の相手も揃えてください。
四半期の数字を月次の数字と並べると、誤った結論が出ます。
段階ごとに置く指標
| 指標 | 何が分かるか | 悪化したときの解釈 |
|---|---|---|
| 段階ごとの人数 | どこに母数が集まっているか | 上流が細ると全体が細る |
| 次段階への移行率 | 詰まっている箇所 | 情報が足りないか条件が合っていない |
| 滞留期間の中央値 | 時間がかかる箇所 | 社内調整か比較検討の長期化 |
| 離脱率 | 抜けている箇所 | 期待と内容のずれ |
| 戻りの発生率 | 再検討が起きている箇所 | 判断材料が不足している |
測るのは人数、移行率、滞留期間の三つです。移行率が低い区間には情報を、滞留が長い区間には時期の設計を当ててください。
ジャーニーは、どう施策に落とすのか
段階ごとに、足りない情報と出す場所を決めます。
図を描いた段階では何も変わりません。
ジャーニーの価値は、打ち手の抜けが見えることにあります。
見えた抜けを埋めなければ、描いた意味がありません。
最初にやるのは、現在打っている施策を段階ごとに並べることです。
並べると、分布の偏りが見えます。
多くの企業で、広告もコンテンツも上流に偏ります。
課題に気づく前の層に向けた記事と、比較段階の記事は充実しています。
一方で、稟議の段階には何もないという形がよく見られます。
問い合わせ以降は営業の領域とされ、マーケティング側が手を出さないためです。
段階ごとに、顧客が求めているものを書き出してください。
課題に気づく前の層が求めているのは、自社の状況が問題だと分かる材料です。
課題を認識した直後の層が求めているのは、解決策の選択肢の全体像です。
比較している層が求めているのは、自社に当てはまるかの確認です。
社内で説明する段階の層が求めているのは、決裁者を説得する材料です。
決裁を待っている層が求めているのは、不安を減らす材料です。
この五つに対して、それぞれ打ち手を置きます。
課題を言語化する記事、比較の観点を示す情報、条件別の導入事例、費用と効果を示す資料、導入後の支援内容の明示です。
決裁者向けの資料をマーケティング側で用意すると、稟議の区間の滞留が短くなります。
ここが空いている企業が多いため、着手すれば差が出やすい箇所です。
作る資料は、費用と効果の見通しを一枚で示す形にしてください。
稟議の様式に転記できる粒度であることが、実際に使われる条件です。
上流の接点は、構造が変わりつつある
検索から入る商材では、上流の接点の取り方が変わってきています。
Ahrefsが2026年7月16日に公表した調査では、AI Overviewsが表示される検索で、日本の検索1位のCTR下落率が2025年12月の38.0%から2026年6月には62.7%まで拡大していました。
同じ調査では、日本の予測CTR24.1%に対し実測は9.0%でした。
順位を維持していても、流入が減る状況です。
一方で、PLAN-Bマーケティングパートナーズが2025年2月1日から4月30日にGA4で調べた結果では、83.0%のサイトで生成AI経由のセッションが増加していました。
最大で2か月605.6%の増加でしたが、総流入に占める割合は1%未満です。
同じ調査では、AI経由のCVRが他のチャネルより高かったサイトが35.1%でした。
量は小さいが質は高いという段階にあります。
上流を検索流入だけに依存する設計は、見直す時期に来ています。
上流の接点を複数持つ設計を、段階ごとの打ち手に織り込んでください。
施策を段階ごとに並べると、稟議の区間が空いていることが多く見つかります。決裁者向けの資料をマーケティング側で用意すると、その区間の滞留が短くなります。
ジャーニーの図では、どんな問題が起きるのか
図を完成させること自体が目的になります。
また、全員に共通する1本の線を描こうとして、誰にも当てはまらないものができます。
ジャーニーマップは、見栄えのする成果物です。
それゆえに、作った後の扱いで問題が起きます。
最も多いのが、すべての顧客を一本にまとめようとすることです。
流入経路が違えば、通る道も違います。
指名検索から入った人と、比較サイト経由の人では、必要な情報が異なります。
指名で入った人は、すでに自社を知っています。
比較サイト経由の人は、複数の選択肢を並べている状態です。
同じ情報を出しても、片方にしか当たりません。
主要な経路ごとに分けてください。
三本から五本に分けると、それぞれが実態に近づきます。
二つ目が、感情の起伏を曲線で描くことです。
不安が高まる、期待が下がるといった曲線は、根拠がないまま描かれがちです。
根拠のない曲線は、議論を止めます。
その曲線が正しいかどうかを、誰も検証できないためです。
描くなら、インタビューで実際に出た発言を添えてください。
どこからその判断をしたかが分かる形にします。
三つ目が、接点をすべて自社の施策で埋めることです。
比較サイトや口コミも、図に置いてください。
四つ目が、段階を等間隔で並べることです。
時間のかかる区間が見えなくなります。
滞留期間を幅で表すと、どこに時間が集中しているかが一目で分かります。
等間隔の図では、この情報が失われます。
五つ目が、一度作って更新しないことです。
一年で実態と合わなくなります。
外部に依頼するときの確認事項
ジャーニーの設計を外部に依頼するとき、何を素材にするかを確認してください。
一般的な業界知識だけで描くのか、自社の行動ログと商談録を読み込むのか。
前者であれば、どの企業でも通用する図が納品されます。
それは自社のジャーニーではありません。
後者を選ぶ場合は、データの受け渡しと取り扱いの取り決めが必要になります。
渡す範囲、保管の期間、終了後の削除を先に決めてください。
関連する規制は改定されることがあるため、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
納品物には、どのデータから何を読み取ったかの根拠を含めてもらいます。
根拠が含まれていないと、後から検証できません。
検証できない図は、更新もできません。
一本に束ねず、主要な経路ごとに三本から五本に分けてください。感情の曲線を描くなら、実際の発言を添えて検証できる形にします。
ジャーニーは、どの順で引き直すのか
図を描く前に、データの棚卸しから入ります。
どの区間が見えていて、どこが空白かを先に確定させます。
引き直しの作業は、描画ではなくデータの整理が大半を占めます。
描く作業は、最後の数日です。
最初にやるのは、使えるデータの所在と期間を洗い出すことです。
サイトのログ、広告の記録、問い合わせの自由記述、商談録、CRM、解約時のやり取りが対象です。
それぞれ、いつからのデータが残っているかを確認します。
期間が揃っていないと、比較ができません。
次に、見えている区間と空白の区間を確定します。
ここで空白を確定させておくと、後の工程で想像で埋める事態を避けられます。
三番目に、行動の変化点から段階を仮置きします。
検索語の変化、接触人数の変化、閲覧内容の変化を手がかりにします。
四番目に、空白の区間を顧客への聞き取りで埋めます。
日程調整を含めて三週間を見込んでください。
五番目に、段階ごとの人数と移行率と滞留期間を出します。
中央値と四分位を含めて算出します。
最後に、施策の分布と照らして抜けを特定します。
打ち手が置かれていない区間が、着手の対象です。
ジャーニーを引き直す工程
| 順番 | やること | 関わる人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 使えるデータの所在と期間を洗い出す | マーケ担当 | 1週間 |
| 2 | 見えている区間と空白の区間を確定する | マーケ担当 | 1週間 |
| 3 | 行動の変化点から段階を仮置きする | マーケ担当・営業 | 2週間 |
| 4 | 空白の区間を顧客への聞き取りで埋める | マーケ責任者 | 3週間 |
| 5 | 段階ごとの人数と移行率と滞留期間を出す | マーケ担当 | 2週間 |
| 6 | 施策の分布と照らして抜けを特定する | マーケ責任者 | 1週間 |
数字は説明のための仮の値です。
上流の接触が月1,000人、比較段階への移行率が20%で200人、問い合わせへの移行率が15%で30人、そのうち稟議を通るのが三分の一で10件という形になります。
この並びを出すと、どの区間を一割改善したときに何件増えるかが計算できます。
比較段階への移行率を二割から二割二分に上げれば、最終の受注は一割増えます。
同じ一割の改善でも、区間によって効く量が違います。
母数の大きい区間の改善が、最も効きます。
ジャーニーの健全性を測る数字
| 数字 | 見る頻度 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 段階ごとの人数の分布 | 毎月 | 上流の細りは3か月先に効く |
| 区間ごとの移行率 | 毎月 | 前年同期と比べて下がっていないか |
| 滞留期間の中央値 | 四半期 | 伸びていれば判断材料が不足している |
| 戻りの発生率 | 四半期 | 高い区間に情報の抜けがある |
| 施策が置かれていない区間の数 | 半期 | ゼロを目指す |
図そのものは、半期に一回の見直しで足ります。
数字は毎月更新し、区間ごとの変化を追ってください。
図を毎月更新しようとすると、作業が続きません。
図と数字で更新の頻度を変えることが、運用を続ける条件になります。
営業と共有する
ジャーニーの後半は、営業の領域です。
マーケティング側だけで持っていると、稟議の段階で何が起きているかが永久に見えません。
共有の方法は、同じ図を見る場を四半期に一度持つことです。
数字を並べ、どの区間が詰まっているかを一緒に確認します。
段階の定義も、営業と揃えてください。
どこからが商談か、どこからが停止かが違えば、移行率が計算できません。
定義を揃える作業は、図を描く前に行ってください。
描いてから揃えると、段階の切り直しが必要になります。
着手点は、使えるデータの所在と期間の棚卸しです。図は半期に一回、数字は毎月更新し、段階の定義を営業と先に揃えてください。
顧客の動きのどこで止まっているかが分からない場合は、無料相談で現状のデータを見てもらうところから始められます。
接点の設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
カスタマージャーニーは何段階に分けるべきですか
五つ前後に収めると扱いやすくなります。基準は、段階ごとに一つ以上の打ち手が置けるかどうかです。細かく分けすぎると施策を当てられない粒度になり、分析のための分析になります。
行動データがほとんど残っていません
サイトの行動ログだけでなく、問い合わせの自由記述、商談録、CRMの記録も素材になります。それでも空白が残る区間は、受注した顧客への聞き取りで埋めてください。空白は図の上で空白のまま示します。
ジャーニーは顧客全員で1本にまとめるべきですか
流入経路や関与者が違えば通る道も違うため、一本に束ねると誰にも当てはまらなくなります。主要な経路ごとに三本から五本に分けてください。指名検索から入った人と比較サイト経由の人では、必要な情報が違います。
感情の起伏を曲線で描く必要はありますか
根拠なく描くと、正しいかどうかを誰も検証できず議論が止まります。描くなら、インタビューで実際に出た発言を添えて、どこからその判断をしたかが分かる形にしてください。
ジャーニーはどのくらいの頻度で更新しますか
図そのものは半期に一回で足ります。段階ごとの人数、移行率、滞留期間といった数字は毎月更新して変化を追ってください。図と数字で更新の頻度を変えることが、運用を続ける条件になります。
まとめ
- 社内の想像で段階を並べているからです。認知から比較、検討、購入という流れは整っていますが、実際の顧客はその順に動いていません
- 自社が持っている実際の接触記録から、段階と順序を後から見つける進め方です。段階を先に決めて、そこにデータを当てはめるのとは逆になります
- 顧客の行動が明らかに変わる境目で切ります。自社の施策の分類ではなく、行動の変化で区切ると、施策を当てる場所が決まります
- 空白を想像で埋めません。そこで何が起きているかを顧客に直接聞くか、間接的な痕跡から推測します
- 通過した数と、次へ進んだ率と、滞留した期間の3つです。この3つがあると、どこを直すべきかが数字で決まります
- 段階ごとに、足りない情報と出す場所を決めます。図を描いた段階では何も変わりません
- 図を完成させること自体が目的になります。また、全員に共通する1本の線を描こうとして、誰にも当てはまらないものができます
- 図を描く前に、データの棚卸しから入ります。どの区間が見えていて、どこが空白かを先に確定させます