全面委託企業の8割超がインハウス化を検討している

代理店への満足度は高いまま、別の理由で検討が進んでいるからです。
不満が引き金ではなく、知見を社内に残したいという動機が中心にあります。
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目次
目次
- インハウス化の検討が、これだけ広がったのはなぜか
- 検討が広がることは、実行すべき根拠にならない
- 動機として挙がっているのは、何か
- 動機によって、内製する範囲が変わる
- 検討している企業の何割が、実際に実行できるのか
- 検討の段階で、障壁に答えを出す
- 全面委託と併用で、判断が変わるのはなぜか
- 併用のまま留まる選択もある
- 自社が同じ流れに乗るべきかは、何で判断するのか
- 条件が揃わないなら、部分的に取り込む
- 内製化の検討を、代理店にどう伝えるのか
- 契約の終了時の条件を、先に決めておく
- 内製化しないという判断は、どう説明するのか
- 見送る理由が採用にあるなら、採用の課題として扱う
- インハウス化の検討は、入口で何を確かめるのか
- よくある質問
- まとめ
代理店への満足度は高いまま、別の理由で検討が進んでいるからです。
不満が引き金ではなく、知見を社内に残したいという動機が中心にあります。
インハウス化の検討が、これだけ広がったのはなぜか
代理店への満足度は高いまま、別の理由で検討が進んでいるからです。
不満が引き金ではなく、知見を社内に残したいという動機が中心にあります。
インハウス化は、代理店に不満があるから検討されると考えられがちです。
調査の数字を見ると、その説明では合わない部分が出てきます。
Testifyが2026年5月14日から18日に実施した調査では、9割を超える企業が代理店を活用していました。
全面委託が37.2%、社内との併用が54.4%です。
満足度は82.6%で、不満を持つのは約2割でした。
その一方で、全面委託をしている企業の8割超が1年以内のインハウス化を計画または検討しています。
内訳は、決定または予定が52.9%、積極検討が32.8%です。
回答数は1,016で、経営層336、マーケティング責任者338、運用担当342の構成でした。
満足度が8割を超えているのに、全面委託の8割超が内製化を検討している。
この二つが同時に成り立つのは、検討の動機が不満ではないからです。
不満が動機であれば、満足度と検討率は逆に動くはずです。
逆に動いていないということは、別の軸が働いています。
その軸が、知見をどこに置くかという判断です。
代理店の仕事に不満はないが、判断の記録が自社に残らない。
この状態を問題として認識した企業が、検討を始めています。
不満の有無とは、別の話になります。
不満が動機の企業も、もちろん存在します。
約2割の不満層のうち、代理店を変えるのではなく内製化を選ぶ企業がここに入ります。
不満の内訳は、役職で分かれます。
経営層は費用が成果に見合わないが56.3%、マーケティング責任者は成果不振の説明不足が53.1%、運用担当はレスポンスが遅いが50.8%でした。
このうち説明不足とレスポンスの遅さは、内製化で解決する可能性があります。
費用が成果に見合わないという不満は、内製化しても解決するとは限りません。
検討が広がることは、実行すべき根拠にならない
検討している企業が多いことは、自社が実行すべき根拠にはなりません。
広がっていること自体は、判断の材料ではないためです。
なぜ広がっているのかを理解したうえで、自社に当てはまるかを判断してください。
広がっている理由は、知見を社内に残したいという動機です。
自社にとって、知見が事業の差を作る領域かどうか。
これが、当てはまるかどうかの判定になります。
差を作る領域であれば、検討する価値があります。
差を作らない領域であれば、外部に任せたほうが効率的です。
判定の方法は、自社で説明できる施策の割合を見ることです。
いま動いている施策のうち、なぜその設計なのかを社内の人が説明できるのは何割か。
この割合が低いほど、知見が社内に残っていない状態になります。
低くても事業が伸びているなら、問題として扱う必要はありません。
満足度が高いまま検討が広がっているのは、動機が不満ではないからです。検討が広がっていること自体は、自社が実行すべき根拠になりません。
動機として挙がっているのは、何か
知見の蓄積が最も多く、費用の削減がそれに続きます。
この順番が、判断の設計を変えます。
インハウス化の動機は、費用の削減だと思われがちです。
調査では、別の項目が上位に来ています。
同じTestifyの調査では、インハウス化の動機としてノウハウの蓄積が56.7%、コストの削減が46.7%でした。
知見を残したいという動機が、費用の動機を上回っています。
この順番は、判断の設計を変えます。
知見の蓄積が動機なら、内製すべきは判断の部分です。
費用の削減が動機なら、作業の部分を内製する話になります。
この二つを区別せずに全部を内製にすると、どちらの目的も達成しにくくなります。
知見の蓄積が動機の場合、確認する数字も変わります。
自社で説明できる施策の割合が、その数字になります。
費用の削減が動機なら、手数料と社内工数を足した総額を見ます。
見る数字が違えば、判断の結論も変わります。
判断の速さが動機の企業もあります。
依頼から実行までの日数が、確認する数字になります。
データの保有が動機の企業もあります。
自社が保有しているデータの範囲が、確認する対象です。
対応の柔軟さが動機なら、変更の依頼から反映までの時間を見ます。
どの動機でも、確認する数字を先に決めてください。
数字を決めずに進めると、移行の効果を測れません。
測れなければ、続けるか戻すかの判断もできません。
動機は、社内で一つに絞ってください。
複数が並んでいると、途中で目的が入れ替わります。
費用を下げるつもりで始めたのに、知見が残らないと言われる。
その逆も起きます。
動機によって、内製する範囲が変わる
知見の蓄積が動機なら、判断の部分から内製します。
予算配分の設計、検証の設計、訴求の方向の決定。
この三つを社内に置けば、判断の記録は社内に残ります。
日々の調整は外部に残したままで構いません。
費用の削減が動機なら、作業の部分を内製します。
入稿、日次の調整、レポートの作成。
ただし、作業を内製すると人件費が発生します。
手数料との差額が、実際の削減額になります。
削減額が人件費を下回るなら、内製する意味がありません。
この計算を、動機を決めた直後に行ってください。
計算の結果、削減にならないと分かることがあります。
その場合は、契約の見直しという別の選択肢に移ります。
動機の上位は知見の蓄積で、費用の削減を上回っています。知見が動機なら判断の部分、費用が動機なら作業の部分を内製してください。
検討している企業の何割が、実際に実行できるのか
計画と実行の間には差があります。
障壁として挙げられている項目が、その差を生んでいます。
検討している企業が多いことと、実行できることは別です。
計画または検討が8割を超えていても、実行に至る企業はそれより少なくなります。
同じ調査で、障壁も聞かれています。
教育の時間と知見の不足が44.8%、媒体のアップデートへの追随が困難で40.3%、人材の採用が36.7%でした。
上位の三つが、いずれも人と知見に関する項目です。
費用や技術の問題は、上位に入っていません。
この三つには、順番があります。
採用できなければ、教育は始まりません。
教育が終わらなければ、媒体の変化を追う段階に進めません。
順番を飛ばした計画は、途中で止まります。
つまり、最初に確認すべきは採用の見込みです。
採用の実績と条件を見て、採れるかどうかを判定します。
採れない見込みなら、社内からの異動か外部の活用を前提に計画を組みます。
採れる前提で計画を組むと、募集の段階で止まります。
次に確認するのが、教える人がいるかです。
社内に運用の経験者がいなければ、教育は外部に依頼することになります。
依頼先は、移行の支援を行う代理店か、外部の助言者です。
どちらにせよ費用が発生するため、計画に含めてください。
三つ目が、情報を取る仕組みと時間があるかです。
媒体の変化を継続的に追うには、週に数時間の枠が必要になります。
枠を確保できる体制かどうかを、移行の前に確認してください。
確認せずに進めると、半年後に設定が古いまま運用されます。
四つ目が、体制の維持です。
一人では回らないため、二人目以降の計画が要ります。
五つ目が、移行期の成果の低下を許容できるかです。
許容の期間と幅を、経営と合意しておいてください。
障壁と、それが示す前提条件
| 障壁 | 示している前提 | 検討の段階で確認すること |
|---|---|---|
| 教育の時間と知見の不足 | 教える人が社内にいる必要がある | 誰が教えるかが決まっているか |
| 媒体の変化への追随 | 継続的に情報を取る仕組みが要る | 情報源と、追う時間が確保できるか |
| 人材の採用 | 採用できる見込みが要る | 採用の実績と提示できる条件 |
| 体制の維持 | 一人では回らない | 二人目以降の計画があるか |
| 移行期の成果の低下 | 一定期間の悪化を許容できる | 許容の期間と幅の合意 |
検討の段階で、障壁に答えを出す
内製化の可否を判断する前に、障壁の三つに答えを出してください。
答えが出ないまま進めると、移行の途中で戻すことになります。
答えを出す方法は、それぞれ違います。
採用の見込みは、人事に過去の採用実績を確認すれば分かります。
同じ職種で過去に採用できたことがあるか。
何か月かかったか、どの条件で決まったか。
教える人がいるかは、社内を見渡せば分かります。
いなければ、外部に依頼する費用を計画に含めます。
情報を取る時間は、既存の担当者の稼働から判定します。
いま余裕がないなら、移行後も余裕はありません。
この三つの確認に、合計で二週間かかります。
費用の計算より先に、この確認を済ませてください。
費用の計算から始めると、実行できない計画に時間を使うことになります。
障壁は採用、教育、追随の順に並びます。費用の計算より先に、この三つに答えを出してから進めてください。
全面委託と併用で、判断が変わるのはなぜか
全面委託は社内に何も残っていない状態からの移行になるからです。
併用している企業は、すでに一部の知見を持っています。
同じインハウス化でも、出発点が違えば難易度が変わります。
出発点を確認せずに一般的な手順を当てはめると、合いません。
全面委託では、運用の実態を社内の誰も把握していないことがあります。
アカウントの構造、除外の設定、過去の検証の結果。
これらがすべて代理店側にある状態から始まります。
まず、実態を把握するところから始めることになります。
把握の作業だけで、数か月かかります。
その期間を計画に含めていないと、移行の開始時期が後ろにずれます。
併用していれば、一部の媒体や施策について社内に経験があります。
経験がある範囲を広げる形なので、難易度は下がります。
併用で判断だけを内製している企業は、さらに有利になります。
判断の経験があれば、作業を取り込む難易度は高くありません。
過去に内製の経験がある企業は、体制を戻す形になります。
残っている知見を確認してから、必要な範囲だけを補います。
内製から外注に戻した経験がある企業は、注意が必要です。
戻した理由が解消されていなければ、同じことが起きます。
戻した理由を先に確認してください。
人が辞めた、成果が落ちた、他の業務が止まった。
それぞれ、解消の方法が違います。
解消できていないまま再挑戦すると、同じ結果になります。
出発点と、移行の進み方
| 出発点 | 社内に残っている知見 | 移行の進め方 | 所要の期間 |
|---|---|---|---|
| 全面委託 | ほとんどない | 実態の把握と採用から始める | 長い |
| 併用で一部を内製 | 一部にある | 内製の範囲を広げる | 中程度 |
| 併用で判断のみ内製 | 判断の経験がある | 作業を取り込む | 中程度 |
| 過去に内製の経験がある | 残っている | 体制を戻す | 短い |
| 内製から外注に戻した | 経験はあるが戻した理由がある | 戻した理由を先に解消する | 条件による |
併用のまま留まる選択もある
併用している状態は、インハウス化の途中の形として機能します。
判断は社内、作業は外部という分担が成立していれば、知見は社内に残ります。
この状態から全面的な内製に進む必要は、必ずしもありません。
併用のまま留まる選択も、判断の一つです。
留まる判断をする場合も、記録に残してください。
記録がないと、翌年も同じ議論から始まります。
記録する内容は、なぜ留まるのか、何が変われば進むのかの二つです。
進む条件を書いておけば、条件が満たされたときに再検討できます。
全面委託から一気に全部を内製にすると、移行期の成果の低下が大きくなります。
一部の媒体や一部の施策から始めて、範囲を広げる形にしてください。
範囲を広げる条件も、先に決めておきます。
三か月成果が維持されたら次に進む、という形が実務では扱いやすくなります。
全面委託からの移行は、実態の把握から始まるため期間が長くなります。併用のまま留まる選択も判断の一つで、その場合も進む条件を記録してください。
自社が同じ流れに乗るべきかは、何で判断するのか
検討している企業の多さではありません。
出稿の規模、変動の大きさ、知見を必要とする度合いの三つで判断します。
外部の調査で多くの企業が検討していることは、自社の判断の根拠になりません。
業界の傾向と、自社の条件は別のものです。
自社の条件で判断してください。
見る条件は、五つです。
一つ目が、出稿の規模です。
規模が大きいほど、手数料の総額が大きくなります。
総額が大きければ、内製した場合の人件費との差も大きくなります。
規模が小さければ、人一人分の人件費を手数料が下回ります。
二つ目が、出稿の変動です。
変動が小さいほど、固定的な体制が合います。
季節で予算が数倍に振れる事業では、平時の稼働が余ります。
余った稼働は、他の業務に回せなければ無駄になります。
三つ目が、媒体の数です。
少ないほど、社内で追い続けられます。
多岐にわたる場合、一人では仕様変更を追いきれません。
複数人を置ける規模でなければ、成立しません。
四つ目が、商材の変化です。
安定していれば、運用の型が固まります。
頻繁に変わる場合は、社内で判断できる体制のほうが速く回ります。
この条件だけは、内製に有利に働きます。
五つ目が、知見の重要度です。
その知見が事業の差になるかどうか。
差になるなら、社内に残す意味が大きくなります。
差にならないなら、外部に任せたほうが効率的です。
六つ目が、人材の確保です。
採用できる見込みがあるかどうか。
地域や条件によって、採用の難易度は大きく変わります。
採用が難しい地域では、内製化の前提が崩れます。
この六つを書き出したうえで、いくつ満たしているかを数えてください。
数えた結果を経営に出すと、議論が印象の話になりません。
出稿の規模が大きく安定していること、媒体の数が少ないこと、知見が事業の差になること。
この三つを満たしていれば、内製化の検討を進める価値があります。
出稿が小さいか変動が大きい、媒体が多岐にわたる、知見が差にならない。
この三つに当てはまるなら、外部に任せたほうが効率的です。
商材の変化が頻繁であることは、内製に有利に働く唯一の条件です。
社内で決めて社内で実行できるため、承認の往復がありません。
人材の確保は、条件というより前提になります。
採れない見込みであれば、他の条件が揃っていても成立しません。
条件が揃わないなら、部分的に取り込む
全部の条件が揃う会社は、多くありません。
揃わないことを理由に、何もしない結論にする必要もありません。
判断だけを内製にする、一つの媒体だけを内製にする。
こうした部分的な形があります。
判断だけの内製なら、人は一人で足ります。
作業を担わないため、採用の要件も下がります。
一つの媒体だけの内製なら、学習の範囲が限定されます。
仕様変更を追う負担も、一媒体分で済みます。
どちらも、知見を社内に残すという目的は達成できます。
費用の削減は限定的になりますが、そちらが目的でなければ問題ありません。
周囲が検討しているという理由で進めると、障壁に当たったときに戻す判断ができません。
自社の条件を書き出してから決めてください。
書き出した条件は、年に一度見直します。
規模も体制も、一年で変わります。
判断の材料は、出稿の規模と変動と媒体数と知見の重要度と人材の確保です。条件が揃わないなら、判断だけの内製から始めてください。
内製化の検討を、代理店にどう伝えるのか
隠すと、移行の準備が進みません。
検討していることと、いつまでに何を決めるかを伝えます。
インハウス化の検討を代理店に伝えるかどうかで、迷いが生じます。
伝えれば関係が悪くなるのではないか、という懸念です。
伝えないまま進めると、移行に必要な情報が得られません。
アカウントの構造や設定の意図は、代理店側にしか分かりません。
移行を決めてから急に引き継ぎを求めると、期間が足りなくなります。
代理店側にも、引き継ぎの工数を確保する必要があるためです。
工数が確保されなければ、引き継ぎの質は下がります。
下がった質のまま移行すると、成果が落ちます。
伝え方には、いくつかの段階があります。
伝えない場合、代理店は通常どおりの対応を続けます。
決定後に伝える場合、代理店は引き継ぎに入ります。
ただし、情報の移転が急になります。
検討段階で伝える場合、代理店の反応は支援か防衛のどちらかに分かれます。
支援に回る代理店なら、準備の期間が取れます。
防衛に回る代理店でも、少なくとも状況は把握できます。
提案の内容が変わるため、その変化からも判断の材料が得られます。
一部の内製化として伝える場合、分担の相談になります。
関係を保ったまま進められるため、情報の移転も進みやすくなります。
移行の支援を依頼する形もあります。
費用はかかりますが、引き継ぎの質が大きく変わります。
代理店側にとっても、支援の対価が得られる形になります。
一方的に取り上げられるより、受け入れやすい形です。
契約の終了時の条件を、先に決めておく
契約の終了時に何を引き継ぐかを、契約の時点で決めておいてください。
決めていないと、終了の交渉のときに揉めます。
書いておく内容は、四つです。
アカウントの権限の移管、設定の意図の文書化、過去の検証結果の共有、並走の期間。
この四つが契約に書かれていれば、終了の交渉が短く済みます。
書かれていなければ、そのつど交渉になります。
いま契約中で書かれていない場合は、次の更新のときに追加してください。
追加の交渉は、内製化を検討している段階で行うほうが通りやすくなります。
検討していることを伝える形になりますが、それ自体が準備になります。
伝えたうえで、当面は委託を続けることも明示してください。
明示しないと、代理店側は契約の終了が近いと判断します。
判断されると、提案の質も下がります。
伝える内容は、検討していることと、いつまでに何を決めるかの二つです。
期限を示すと、代理店側も対応を決められます。
伝えないと引き継ぎの期間が足りなくなります。一部の内製化として検討段階で伝え、契約の終了時に引き継ぐ四項目を先に決めてください。
内製化しないという判断は、どう説明するのか
検討した記録を残します。
条件を確認したうえで見送ったことを示せば、毎年同じ議論が起きません。
インハウス化を検討して、しないという結論になることがあります。
条件が揃わなければ、それが正しい判断です。
その結論を記録しないと、翌年も同じ議論から始まります。
同じ資料を作り直し、同じ確認をやり直すことになります。
記録に残す内容は、四つです。
検討した時期、判断に使った条件、見送った理由、再検討する条件。
検討した時期を残すのは、次の検討の時期を決めるためです。
一年後か、二年後か。
判断に使った条件は、出稿規模、採用の可否、知見の必要度の三つが中心になります。
条件が変わったかどうかを、次回に確認できます。
費用の比較も残してください。
内製と外注の三年の総額を、前提とあわせて記録します。
前提を残さなければ、数字だけあっても再利用できません。
人件費をいくらで見積もったか、手数料の率は何%かを書いておきます。
見送った理由は、どの条件が満たせなかったかで書きます。
理由が分かれば、解消すべき課題も分かります。
再検討する条件は、何が変われば再検討するかで書きます。
出稿規模が一定を超えたら、採用ができたら、といった形です。
この四つを一枚にまとめておけば、翌年の議論は30分で済みます。
まとめていなければ、また数週間かかります。
見送る理由が採用にあるなら、採用の課題として扱う
人材が採れないことが理由なら、それは採用の課題です。
インハウス化の議論として毎年持ち出すより、採用の条件を見直すほうが進みます。
採用の条件とは、報酬、勤務地、働き方、求める経験の四つです。
このうちどれを変えれば採れるのかを、人事と検討してください。
検討の結果、条件を変えられないという結論になることもあります。
その場合は、採用以外の手段を前提に計画を組み直します。
社内からの異動、業務委託、外部の助言者の活用。
どれも、採用の代替になります。
全面的な内製化を見送る場合でも、判断の一部を内製にすることはできます。
何も変えないという結論にしないほうが、議論が前に進みます。
判断の一部の内製なら、既存の担当者の範囲を広げる形で始められます。
新しい採用も、大きな費用も要りません。
この選択を見送りの代わりに置くと、翌年の再検討の材料も増えます。
判断を一部でも経験していれば、次の判断の精度が上がります。
見送る場合も、時期と条件と理由と再検討の条件を記録してください。見送る理由が採用にあるなら、インハウス化ではなく採用の課題として扱います。
インハウス化の検討は、入口で何を確かめるのか
動機を一つに絞ることからです。
知見を残したいのか費用を下げたいのかで、内製にすべき範囲が変わります。
インハウス化の検討は、費用の計算から始めると迷走します。
計算の前提が動機によって変わるためです。
何のためにやるのかを、先に決めてください。
決めるのは、経営と合意する場です。
次にやるのが、現在の運用の実態を代理店と確認することです。
全面委託であれば、この確認に時間がかかります。
確認するのは、アカウントの構造、除外の設定、過去の検証の結果の三つです。
この三つが分からなければ、移行の計画も立てられません。
三つ目が、採用の可否と、教える人と期間の確認です。
障壁の上位三つに答えを出す工程になります。
四つ目が、内製と外注の三年の費用を並べることです。
六項目の様式で、年ごとに並べます。
五つ目が、移行する範囲を段階に分けることです。
一度に全部を移さず、段階と進む条件を決めます。
六つ目が、移行期の許容幅を決めて、検討の結果を記録することです。
実行しても見送っても、記録は残します。
インハウス化の検討を進める順番
| 順番 | やること | 関わる人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 動機を一つに絞って経営と合意する | 経営とマーケ責任者 | 2週間 |
| 2 | 現在の運用の実態を代理店と確認する | マーケ担当と代理店 | 2週間 |
| 3 | 採用の可否と、教える人と期間を確認する | 人事と経営 | 2週間 |
| 4 | 内製と外注の3年の費用を並べる | マーケ責任者と経理 | 3週間 |
| 5 | 移行する範囲を段階に分ける | 経営とマーケ責任者 | 1週間 |
| 6 | 移行期の許容幅を決め、検討の結果を記録する | 経営 | 1週間 |
動機が費用であれば、内製化の前に契約の見直しという選択があります。
内製化には移行の費用がかかるため、手数料の見直しのほうが早く効くことがあります。
見直しの交渉は、契約の更新のタイミングで行います。
他社の提案を取ってから交渉すると、材料が増えます。
動機が知見であれば、作業ではなく判断の部分から取り込みます。
数字は説明のための仮の値です。
年間の媒体費が1億円で手数料が20%なら2,000万円、内製で必要な人員が2名で総額1,800万円という形で並べます。
ここに、移行期の成果の低下も足してください。
移行後6か月で獲得単価が2割上がるなら、その損失も費用の一部になります。
足すと、初年度の差は逆転することがあります。
検討の判断材料にする数字
| 数字 | 確認の時期 | 何を確かめるか |
|---|---|---|
| 手数料と社内工数を足した年間の総額 | 検討時 | 外注の実際の費用 |
| 内製の3年間の総額 | 検討時 | 人件費と間接費を含めた費用 |
| 採用にかかる期間の見込み | 検討時 | 移行の開始時期が決まるか |
| 自社で説明できる施策の割合 | 四半期 | 知見が社内に残っているか |
| 移行後の獲得単価の推移 | 移行後は月次 | 低下の幅が許容の範囲内か |
自社で説明できる施策の割合は、知見が動機の場合の中心的な数字になります。
いま動いている施策のうち、なぜその設計なのかを社内の人が説明できる割合です。
この割合を最初に測っておけば、移行の効果が数字で示せます。
測っていなければ、知見が残ったかどうかを主観で判断することになります。
検討の結果は、実行してもしなくても記録してください。
判断の根拠を残しておくと、翌年の議論が短くなります。
記録がないと、同じ資料を毎年作り直すことになります。
作り直す工数は、一回あたり数週間分になります。
記録の置き場所は、経営が見る資料と同じ場所にしてください。
別の場所に置くと、翌年の検討時に参照されません。
着手点は動機を一つに絞ることです。自社で説明できる施策の割合を先に測っておくと、知見が残ったかどうかを数字で示せます。
インハウス化を進めるべきか判断がつかない場合は、無料相談で現状の体制を見てもらうところから始められます。
外注との分担ごと設計する段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
代理店に満足しているのに内製化を検討するのはなぜですか
検討の動機が不満ではないためです。Testifyが2026年5月に実施した調査では、満足度が82.6%である一方で、全面委託企業の8割超が1年以内のインハウス化を計画または検討しています。動機の上位はノウハウの蓄積でした。
インハウス化の動機で最も多いのは何ですか
同じ調査で、ノウハウの蓄積が56.7%、コストの削減が46.7%でした。知見の蓄積が動機なら内製すべきは判断の部分、費用の削減が動機なら作業の部分になります。動機は社内で一つに絞ってください。
インハウス化の障壁は何ですか
教育の時間と知見の不足が44.8%、媒体のアップデートへの追随が困難で40.3%、人材の採用が36.7%でした。採用、教育、追随の順に条件が並ぶため、順番を飛ばした計画は途中で止まります。
検討していることを代理店に伝えるべきですか
伝えないと引き継ぎの期間が足りなくなります。アカウントの構造や設定の意図は代理店側にしか分かりません。一部を内製にする形として検討段階で伝えると、関係を保ったまま準備が進みます。
内製化しないと決めた場合、何を残しますか
検討の時期、判断に使った条件、費用の比較とその前提、見送った理由、再検討する条件を記録します。記録がないと翌年も同じ議論から始まります。見送る理由が採用にあるなら、採用の課題として扱ってください。
まとめ
- 代理店への満足度は高いまま、別の理由で検討が進んでいるからです。不満が引き金ではなく、知見を社内に残したいという動機が中心にあります
- 知見の蓄積が最も多く、費用の削減がそれに続きます。この順番が、判断の設計を変えます
- 計画と実行の間には差があります。障壁として挙げられている項目が、その差を生んでいます
- 全面委託は社内に何も残っていない状態からの移行になるからです。併用している企業は、すでに一部の知見を持っています
- 検討している企業の多さではありません。出稿の規模、変動の大きさ、知見を必要とする度合いの三つで判断します
- 隠すと、移行の準備が進みません。検討していることと、いつまでに何を決めるかを伝えます
- 検討した記録を残します。条件を確認したうえで見送ったことを示せば、毎年同じ議論が起きません
- 動機を一つに絞ることからです。知見を残したいのか費用を下げたいのかで、内製にすべき範囲が変わります