マーケティング組織の作り方|最初に置くべき役割

役割を決めずに人を足しているからです。
最初に置くべきは作業をする人ではなく、何をやらないかを決める人です。
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目次
目次
- マーケティング組織は、なぜ人を増やしても回らないのか
- 組織図より先に、責任の一覧を作る
- 最初の一人には、何を担わせるのか
- 採用の要件を、技能で書かない
- 二人目以降は、どの順番で増やすのか
- 四人目以降を、チャネルで切らない
- 役割を分けるとき、何を基準に切るのか
- 切り方を変えるのは、いつか
- 事業の形によって、置く役割はどう変わるのか
- 借りた組織図が合わない理由
- 社内の他部署とは、どこで接続するのか
- 接続点に人を置くか、会議を置くか
- 組織を作るときに、判断を誤りやすいのはどこか
- 増員の判断基準を、先に決めておく
- 組織の設計は、どこから手をつけるのか
- よくある質問
- まとめ
役割を決めずに人を足しているからです。
最初に置くべきは作業をする人ではなく、何をやらないかを決める人です。
マーケティング組織は、なぜ人を増やしても回らないのか
役割を決めずに人を足しているからです。
最初に置くべきは作業をする人ではなく、何をやらないかを決める人です。
広告予算が月200万円を超えたあたりで、マーケティングを一人で回すのが難しくなります。
そこで増員の稟議を出すのですが、増やしたあとも忙しさが変わらないことがあります。
原因は人数ではなく、役割の設計にあります。
詰まっているのが作業の総量ではなく、判断の総量だからです。
広告の入稿、レポートの作成、制作物の発注。
こうした作業は、外に出せます。
外に出せないのは、どの媒体にいくら配分するか、今期は何を捨てるか、という判断です。
判断をする人が一人しかいない組織に作業者を足すと、確認待ちの列が長くなるだけです。
作業者が三人になれば、確認を待つ案件が三倍になります。
判断する人の時間は変わらないため、一件あたりの待ち時間が伸びます。
この構造に気づかないと、増員を繰り返すことになります。
増やすたびに忙しさが変わらないため、次はもっと増やそうという判断になります。
もう一つの原因が、組織の成り立ちです。
多くの会社で、マーケティング組織は計画されて生まれていません。
広報の担当者が展示会も見るようになり、そのうち広告も見るようになった。
この積み上げで役割が決まると、誰が何に責任を持つのかが曖昧なまま固定されます。
曖昧なまま人を足すと、新しい人の役割も曖昧になります。
入った人は、空いている作業を拾う形で仕事を覚えます。
拾った作業がその人の担当になり、また新しい人が空いた作業を拾う。
この積み上げが続くかぎり、責任の所在は定まりません。
症状の読み違いも起きます。
残業が減らないのは人手が足りないからだ、という読み方です。
実際に起きているのは、判断待ちの滞留が減っていないことです。
施策の数が増えないのも、リソース不足ではなく、やらないことを決める人がいないためです。
組織図より先に、責任の一覧を作る
部署名や階層を先に描くと、埋めるための人が必要になります。
描いた組織図が採用の目標になり、人数が目的化します。
先に決めるのは、事業目標に対して誰が何の数字に責任を持つかです。
責任の一覧が先にあれば、必要な人数は後から出ます。
責任の一覧は、数字と名前の対応表で足ります。
獲得件数は誰、獲得単価は誰、商談化率は誰、という形です。
書いてみると、一人の名前が並ぶことが分かります。
並んだ数が、その人の限界を示します。
一人が五つ以上の数字に責任を持っている状態は、実質的に責任がないのと同じです。
どれかが未達のとき、他の数字を理由にできてしまいます。
この一覧を経営に見せると、増員の必要性が数字で説明できます。
忙しいという説明より、はるかに通りやすくなります。
詰まっているのは作業の総量ではなく判断の総量です。組織図より先に、数字と責任者の対応表を作ってください。
最初の一人には、何を担わせるのか
配分と優先順位を決める役割です。
実行を担わせると、判断が止まり、組織はいつまでも一人分のままになります。
マーケティング専任を初めて置くとき、実行力のある人を採る会社が多くあります。
広告運用ができる、サイトを直せる、という基準です。
この選び方は、最初の半年はうまくいきます。
手が動く人が入れば、止まっていた施策が動き出すためです。
詰まるのは、その後です。
施策の数が増えたときに、判断する人がいないことが分かります。
最初の一人が持つべきなのは、三つの権限です。
予算の配分を決める権限、施策を止める権限、外部パートナーを選ぶ権限。
この三つがない人を置くと、実務は動いても組織にはなりません。
判断のたびに上長の確認が必要になり、その上長がマーケティングを知らないためです。
制作も運用も分析も、外部に委託する市場があります。
仕様を書いて渡せる作業は、社外でも成立します。
一方で、自社の事業が今どの段階にあり、来期に何を取りに行くのかは、社内にしか分かりません。
最初の一人には、この社内にしかない情報を使う仕事を割り当ててください。
具体的には、予算配分の決定、指標の定義、外部パートナーの選定、経営への報告、やらない施策の決定です。
この五つが、最初の一人の職務になります。
逆に担わせないのは、入稿作業、レポートの作成、制作物の実作業、媒体の機能検証、日次の入札調整です。
どれも代替できる作業で、判断は伴いません。
最初の一人がこれらを抱えると、時間の大半が作業に消えます。
消えた結果、判断が止まります。
肩書きは、課長でも部長でも構いません。
実質的な権限を決めるのは、稟議を通さずに動かせる金額です。
月次予算の一割程度を裁量で動かせないと、検証のための小さな投資ができません。
検証ができなければ、判断の材料も増えません。
採用の要件を、技能で書かない
最初の一人の採用要件を、技能の一覧で書くと実行者しか集まりません。
広告運用の経験、分析ツールの習熟、制作の知識。
こうした一覧は書きやすく、面接での確認もしやすくなります。
その分、判断ができるかどうかは確認されません。
要件は、責任の形で書いてください。
獲得件数と獲得単価に責任を持つ人、という書き方です。
責任で書くと、その責任を果たすために何の技能が要るかが後から決まります。
技能で書くと、責任の所在がいつまでも決まりません。
面接で確認するのは、事業の言葉でマーケティングを説明できるかです。
施策の名前ではなく、その施策が事業の何を動かすかを話せるかを見ます。
もう一つ確認するのが、何をやめた経験があるかです。
やめる判断は、配分を判断した経験がなければできません。
最初の一人には予算配分と施策の停止と外部選定の権限を渡します。要件は技能ではなく責任の形で書き、月次予算の一割は裁量にしてください。
二人目以降は、どの順番で増やすのか
二人目は数字を作る人、三人目は制作を通す人です。
運用の専任はその後で、外部委託との比較をしてから決めます。
増員の順番は、事業の形によって多少前後します。
それでも、最初の三人の並びには共通する理由があります。
二人目に数字を置くのは、一人目の判断に材料が要るためです。
材料を作る仕事は量が多く、かつ止められません。
計測の設計、データの整備、レポートの定型化。
ここが空いていると、一人目の時間の半分が数字集めに消えます。
数字集めは、外に出しにくい作業です。
社内のどこにどのデータがあるかを知らなければ、集められません。
情報システムへの依頼、営業側の記録の確認、媒体のデータの統合。
どれも社内の人間関係が要るため、外部には任せられません。
三人目に制作を置くのは、施策の数が増えると詰まる場所が制作に移るためです。
外部の制作会社を使う場合でも、要件を書き、初稿を判断し、社内の確認を通す役割が要ります。
この役割が社内にないと、外注先の待ち時間が施策のリードタイムになります。
制作の進行を外部に任せると、優先順位も外部が決めることになります。
四人目は、チャネル別の実行です。
ここで初めて、特定のチャネルの改善に専念する人を置きます。
五人目は、営業との接続です。
リードの質をめぐる議論が平行線になっているなら、この順番を早めます。
それぞれの役割が空いているときの症状は、決まっています。
配分の決定が空いていれば、施策が総花的になり予算が薄く広がります。
計測とデータの整備が空いていれば、会議のたびに数字の作り直しが発生します。
制作の要件定義と進行が空いていれば、施策のリードタイムが外注先の都合で決まります。
チャネル別の実行が空いていれば、特定のチャネルの改善が後回しになり続けます。
営業との接続が空いていれば、リードの質の議論が印象の応酬になります。
増員の順番と、その役割が空いているときの症状
| 順番 | 置く役割 | 空いているときに起きること |
|---|---|---|
| 1 | 配分と優先順位の決定 | 施策が総花的になり予算が薄く広がる |
| 2 | 計測とデータの整備 | 会議のたびに数字の作り直しが発生する |
| 3 | 制作の要件定義と進行 | 施策のリードタイムが外注先の都合で決まる |
| 4 | チャネル別の実行 | 特定チャネルの改善が後回しになり続ける |
| 5 | 営業との接続 | リードの質をめぐる議論が印象の応酬になる |
四人目以降を、チャネルで切らない
四人目でチャネル別に人を割り当てたくなります。
検索担当、SNS担当、という分け方です。
この切り方には、副作用があります。
チャネルをまたぐ判断ができなくなることです。
検索からSNSに予算を移すべきかという判断を、どちらの担当も持ちません。
判断するのは一人目ですが、判断の材料が担当者ごとに整形されて出てきます。
最初のうちは、顧客の段階で切るほうが配分の議論が成立します。
認知の担当、獲得の担当、育成の担当という分け方です。
段階で切ると、担当者はチャネルを手段として扱います。
獲得の担当は、検索でも広告でも、獲得できる手段を選びます。
チャネル間の配分の議論が、担当者の利害と切り離されます。
これが、段階で切る最大の利点です。
二人目は数字、三人目は制作の進行です。四人目以降をチャネルで切ると、チャネルをまたぐ配分の判断ができなくなります。
役割を分けるとき、何を基準に切るのか
チャネルではなく、顧客が進む段階で切ります。
チャネルで切ると、配分の議論が担当者同士の取り合いになります。
組織の切り方には、いくつかの軸があります。
どれを選ぶかで、社内で起きる議論の質が変わります。
チャネル別に切ると、担当が明確になります。
誰が何をやっているかが分かりやすく、専門性も高まります。
一方で、それぞれが自分の数字を最大化しようとします。
予算の配分を議論する場では、両者が自分のチャネルの成果を主張します。
主張のために出てくる数字は、都合よく整形されています。
判断するのは責任者ですが、判断の材料がすでに歪んでいます。
顧客の段階別に切ると、この歪みが減ります。
担当者がチャネルを手段として扱うため、チャネル間の利害がありません。
ただし、各段階の専門性は浅くなります。
一人が複数のチャネルを扱うため、それぞれの深さは下がります。
複数のチャネルを併用している事業では、段階別が向きます。
一つのチャネルに集中している事業では、チャネル別でも問題は起きません。
製品別に切る形もあります。
製品ごとに顧客が違う場合に向きますが、共通の機能が重複して非効率になります。
地域別に切る形は、地域ごとに商流が違う場合に向きます。
全社の知見が集約されにくくなる点が課題になります。
機能別に切る形は、規模が大きく分業が成立する組織で機能します。
部門間の引き継ぎに時間がかかる点が課題です。
切り方は、一度決めたら変えないものではありません。
事業の段階が変わると、適した切り方も変わります。
製品が一つのうちは段階で切り、製品が増えたら製品別に組み替える。
この前提で設計しておくと、組み替えの判断が取りやすくなります。
切り方を変えるのは、いつか
切り方を変える判断は、二つの兆候で行います。
一つ目が、同じ議論が三か月続くことです。
配分の議論が毎月同じところで止まるなら、切り方が現状に合っていません。
担当者の利害が判断を妨げている可能性があります。
二つ目が、担当者間の引き継ぎが増えることです。
一つの施策に三人以上が関わるようになったら、切り方を見直す時期です。
切り方を変えるのは、期の変わり目にしてください。
期中に変えると、目標と担当の対応が崩れます。
変えるときは、変えた理由を記録に残します。
記録があれば、次に変えるときの判断が早くなります。
変更の直後は、成果が一時的に落ちます。
三か月は落ちる前提で、経営に説明しておいてください。
複数チャネルを併用しているなら顧客の段階で切ります。同じ議論が三か月続いたら、切り方が現状に合っていない兆候です。
事業の形によって、置く役割はどう変わるのか
商談を経て売れる事業は営業との接続役を、その場で売れる事業は在庫と価格の判断役を先に置きます。
同じ人数でも並べ方が違います。
組織の型をそのまま借りると、自社の商流と合わないことがあります。
どの役割を前に出すかは、売れ方で決まります。
商談を経て売れる事業では、リードを渡した先に営業がいます。
マーケティングの成果は、営業に渡した後の挙動まで見ないと評価できません。
そのため、営業との接続を担う役割を早い段階で置きます。
リードの定義、渡し方、戻し方の合意を持つ人です。
この役割を置かないと、リードの質の議論が印象の応酬になります。
渡した件数は報告できても、その後が分からないためです。
その場で売れる事業では、購入までが短くなります。
そのぶん、価格、在庫、配送の条件が成果を左右します。
広告の巧拙より、売る商品の選び方の影響が大きい場面があります。
在庫がない商品に広告を出しても、成果にはなりません。
商品部門との調整を担う役割が、実質的にマーケティングの成果を決めます。
この役割が空いていると、広告の改善だけで成果を出そうとすることになります。
店舗や拠点を持つ事業では、オンラインの数字と来店の数字がつながりません。
つながらないまま予算を配分すると、測れるほうにだけ寄っていきます。
測れるオンラインの成果ばかりが評価され、来店への貢献が過小になります。
計測の設計を担う役割の優先順位が、他の形態より上がります。
契約が継続する事業では、既存顧客の維持が新規の獲得より事業への影響が大きくなります。
既存顧客の維持を担う役割を、新規チャネルの開拓より先に置きます。
代理店経由で売る事業では、最終顧客との接点が代理店にあります。
パートナー向けの支援を担う役割が、直販向けの獲得より先になります。
事業の形と、先に置く役割
| 事業の形 | 先に置く役割 | 後回しにできる役割 |
|---|---|---|
| 商談を経て売れる | 営業との接続 | クリエイティブの専任 |
| その場で売れる | 商品と価格の調整 | 育成施策の専任 |
| 店舗や拠点がある | 来店までの計測の設計 | チャネル別の専任 |
| 契約が継続する | 既存顧客の維持 | 新規チャネルの開拓 |
| 代理店経由で売る | パートナー向けの支援 | 直販向けの獲得 |
借りた組織図が合わない理由
同業他社の組織図は、その会社の商流の結果です。
人数と部署名だけを真似ると、埋めた人の仕事が定義されません。
定義されていない仕事に就いた人は、自分で仕事を作ります。
作った仕事が事業目標とつながっている保証はありません。
参考にするなら、組織図ではなく、その会社が何に責任を持たせているかを見てください。
これは組織図には書かれていないため、聞くしかありません。
聞く相手は、同業の同じ職位の人です。
業界の集まりや、共通の取引先を通じて聞ける場合があります。
聞くときの質問は、二つで足ります。
誰が予算配分を決めているか、誰が施策を止める判断をしているか。
この二つの答えが分かれば、その組織の設計思想が見えます。
部署名や人数より、はるかに参考になります。
売れ方によって、先に置く役割が変わります。同業の組織図ではなく、誰が予算配分と施策の停止を決めているかを聞いてください。
社内の他部署とは、どこで接続するのか
営業、商品、情報システムの三つです。
接続点を決めずに組織を作ると、マーケティングだけでは完結しない仕事が毎回止まります。
マーケティング組織は、単独では成果を出せません。
どの部署と、何をめぐって合意するかを先に決めてください。
営業との接続で決めるのは、三つです。
どの状態のリードを渡すか、渡した後に誰が何日以内に接触するか、戻すときの基準は何か。
この三つを文書にしないまま運用すると、数字の議論が印象の応酬になります。
渡した側は質は問題ないと言い、受けた側は使えないと言う状態です。
文書にするのは、両部門の責任者です。
担当者同士で決めた内容は、責任者が変わると覆ります。
商品部門との接続で決めるのは、新商品の情報が届く時期です。
売る商品が決まらないと、訴求も決まりません。
情報が届くのが発売の一か月前だと、準備期間が足りません。
準備が足りないまま出した施策は、成果が出ません。
商品の意思決定の場に、マーケティングが同席する枠を作ってください。
同席していれば、開発の段階から準備を始められます。
情報システム部門との接続で決めるのは、依頼の窓口と着手までの期間です。
計測タグの設置、データの連携、同意管理の実装。
これらはマーケティング単独では完結しません。
依頼のたびに個別調整をしていると、施策の速度が落ちます。
窓口を一つに決めて、標準的な着手までの期間を合意してください。
急ぎの依頼の扱いも、同時に決めておきます。
法務との接続で決めるのは、確認が必要な範囲と所要日数です。
すべての表現を確認に回すと、法務の負担で止まります。
経理との接続で決めるのは、媒体費と制作費の計上区分です。
区分が決まっていないと、予算の消化状況が把握できません。
接続点に人を置くか、会議を置くか
接続の方法は、二つあります。
専任の人を置くか、定例の場を作るかです。
人を置くほうが速く動きます。
その人が両部門の言葉を話せるため、翻訳の時間がかかりません。
ただし、人数が要ります。
五人以下の組織では、専任を置く余裕がないことがほとんどです。
人数が足りないうちは、定例の場を作って合意を残す形で代替します。
月次で一時間の場があれば、主要な論点は扱えます。
どちらにせよ、合意した内容を文書に残すところまでを役割に含めてください。
残さないと、担当者が交代した時点で合意が消えます。
文書の置き場所は、両部門が同じものを見られる場所にします。
別々に持つと、半年後には内容が食い違います。
合意の更新日も記録してください。
一年以上更新されていない合意は、たいてい実態と合っていません。
接続点は営業と商品と情報システムの三つです。人を置けないうちは定例の場で代替し、合意の文書と更新日を両部門で共有してください。
組織を作るときに、判断を誤りやすいのはどこか
専門性の高い人を先に採ると、組織が回らないことがあります。
足りないのは技能ではなく、決める人と接続する人であることが多いためです。
組織の設計でつまずく箇所には、いくつか共通した型があります。
先に知っておけば、避けられます。
一つ目が、採用要件を技能の一覧で書いてしまうことです。
広告運用の経験、分析ツールの習熟、制作の知識。
こうした一覧で要件を書くと、実行者しか集まりません。
最初の一人に必要なのは、事業の言葉でマーケティングを説明できることです。
二つ目が、代理店に任せているから社内は薄くてよい、と考えることです。
Testifyが2026年5月に実施した調査では、代理店を活用している企業が9割を超え、そのうち全面委託が37.2%、社内と併用が54.4%でした。
満足度は82.6%ですが、約2割は不満を持っています。
不満の内訳は役職で分かれ、経営層は費用が成果に見合わないが56.3%、マーケティング責任者は成果不振の説明不足が53.1%でした。
同じ調査で、全面委託をしている企業の8割超が1年以内のインハウス化を計画または検討していました。
外部に任せていても、任せ方を決める役割は社内に要ります。
三つ目が、組織の完成形を先に描くことです。
三年後の組織図を描いてから逆算する進め方があります。
事業の前提が変わると、描いた組織図は使えなくなります。
決めておくのは形ではなく、次に人を増やすときの判断基準です。
四つ目が、成果が出てから増員する、という考え方です。
成果が出てから採用を始めると、入社までに三か月、立ち上がりに三か月かかります。
半年遅れるため、増やす時期が常に遅れます。
先行指標で判断してください。
五つ目が、全員に同じ数字を持たせることです。
全員が獲得件数に責任を持つ状態では、責任の所在が消えます。
階層ごとに数字を分けてください。
責任者は事業への貢献、担当者は自分の領域の指標、という形です。
増員の判断基準を、先に決めておく
次に人を増やすのはいつか、という基準を先に決めておいてください。
決めていないと、忙しさの感覚で判断することになります。
基準に使えるのは、判断の項目が特定の一人に集中しているかどうかです。
作業が忙しいだけなら、外注で解消できます。
判断が詰まっている場合は、人を足すしかありません。
外部に判断は委託できないためです。
判断の項目を数える方法は、単純です。
マーケティングが関わる仕事を一覧にして、判断と作業に仕分けます。
判断に分類された項目のうち、何件が一人に集中しているかを数えます。
数字は説明のための仮の値です。
判断の項目が20件あり、そのうち15件が一人に集中していれば、その一人が組織の上限になります。
この数字は、増員の稟議の根拠としてそのまま使えます。
誤りやすいのは、技能で要件を書く、外注前提で社内を薄くする、完成形を先に描くの三つです。増員は判断の項目の集中度で判断してください。
組織の設計は、どこから手をつけるのか
現在マーケティングが関わっている仕事を、判断と作業に仕分けることからです。
仕分けが終われば、必要な役割と人数が出ます。
組織の設計は、人数の議論から始めると答えが出ません。
何人必要かという問いには、根拠のある答えが存在しないためです。
今ある仕事の棚卸しから始めてください。
マーケティングが関わる仕事を、一覧にします。
一覧の粒度は、一件が半日から数日で終わる単位にします。
細かすぎると数が増えすぎ、粗すぎると仕分けができません。
次に、各項目を判断と作業に仕分けます。
基準は、その仕事を外部に説明できる形に書き出せるかどうかです。
書き出せるなら、作業です。
自社の事業の前提を知らないと決められないなら、判断です。
迷ったものは判断に寄せてください。
作業に寄せて外に出すと、判断が外部に移ります。
仕分けが終わったら、判断の項目に責任者を割り当てます。
ここで、一人に集中している状態が見えます。
作業の項目は、内製と外注に分けます。
分ける基準は、量の変動と、社内の文脈が必要かどうかです。
組織の設計を進める順番
| 順番 | やること | 関わる人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | マーケティングが関わる仕事を一覧にする | マーケ責任者 | 1週間 |
| 2 | 各項目を判断と作業に仕分ける | マーケ責任者 | 1週間 |
| 3 | 判断の項目に責任者を割り当てる | 経営とマーケ責任者 | 2週間 |
| 4 | 作業の項目を内製と外注に分ける | マーケ責任者 | 2週間 |
| 5 | 営業と商品部門との接続点を合意する | 両部門の責任者 | 3週間 |
| 6 | 次の増員の基準と時期を決める | 経営 | 1週間 |
数字は説明のための仮の値です。
判断の項目が20件あり、そのうち15件が一人に集中していれば、その一人が組織の上限になります。
仕分けの結果を件数で示すと、増員の必要性を社内で説明しやすくなります。
忙しいという説明とは、通り方がまったく違います。
作業の項目が50件あり、うち30件が外注可能なら、外注の範囲も同時に決まります。
外注の費用と、それによって空く時間を並べて示してください。
組織の設計を進めた後に見る数字
| 数字 | 見る頻度 | 見るときの観点 |
|---|---|---|
| 一人あたりの判断項目数 | 四半期 | 特定の人に集中していないか |
| 施策の着手から公開までの日数 | 毎月 | どこで滞留しているか |
| 外注費と人件費の比率 | 四半期 | 内製と外注の配分が意図どおりか |
| 接続先部署との合意事項の更新日 | 四半期 | 運用が形骸化していないか |
| 未着手のまま残っている施策の件数 | 毎月 | 捨てる判断ができているか |
未着手のまま残っている施策の件数は、最も見落とされやすい数字です。
増え続けているなら、捨てる判断が行われていません。
誰が何に責任を持つかを、一枚にまとめてください。
人が入れ替わったときに、この一枚があるかどうかで立ち上がりの速さが変わります。
更新の頻度も合わせて決めておきます。
四半期に一度の更新で足ります。
役割の仕分けと最初の割り当てまでで、二か月ほどかかります。
そこから先は、施策を回しながら空いている役割を埋めていきます。
最初から完成形を目指すと、判断が止まります。
空いている役割があること自体は、問題ではありません。
問題なのは、空いていることに気づいていない状態です。
一覧があれば、空いている場所が常に見えます。
着手点は仕事の棚卸しと、判断と作業への仕分けです。判断の項目が一人に何件集中しているかが、増員の稟議の根拠になります。
マーケティング組織の作り方で判断に迷う場合は、無料相談で現状を見てもらうところから始められます。
役割分担ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
マーケティング担当を初めて置くとき、どんな人を採ればいいですか
予算配分と優先順位を決められる人です。広告運用やサイト制作の技能で選ぶと、実務は動きますが判断が社内に残りません。要件は責任の形で書き、月次予算の一割は裁量で動かせるようにしてください。
二人目は何の担当を増やすべきですか
計測とデータ整備の担当です。判断材料を作る仕事は量が多く、空いていると一人目の時間が数字集めに消えます。社内のどこにデータがあるかを知る必要があるため、外に出しにくい仕事でもあります。
チャネル別に担当を分けてはいけませんか
複数のチャネルを併用しているなら、顧客の段階で分けるほうが機能します。チャネルで分けると、予算配分の議論が担当者同士の取り合いになり、判断材料が都合よく整形されて出てきます。
代理店に全面委託していても社内に人は必要ですか
必要です。発注の範囲を決め、成果を評価する役割は外部に出せません。Testifyの2026年5月の調査では、全面委託をしている企業の8割超が1年以内のインハウス化を計画または検討していました。
増員のタイミングはどう判断しますか
判断の項目が特定の一人に集中しているかどうかで見ます。作業が忙しいだけなら外注で解消できますが、判断が詰まっている場合は人を足すしかありません。判断の項目を数えた件数が、稟議の根拠になります。
まとめ
- 役割を決めずに人を足しているからです。最初に置くべきは作業をする人ではなく、何をやらないかを決める人です
- 配分と優先順位を決める役割です。実行を担わせると、判断が止まり、組織はいつまでも一人分のままになります
- 二人目は数字を作る人、三人目は制作を通す人です。運用の専任はその後で、外部委託との比較をしてから決めます
- チャネルではなく、顧客が進む段階で切ります。チャネルで切ると、配分の議論が担当者同士の取り合いになります
- 商談を経て売れる事業は営業との接続役を、その場で売れる事業は在庫と価格の判断役を先に置きます。同じ人数でも並べ方が違います
- 営業、商品、情報システムの三つです。接続点を決めずに組織を作ると、マーケティングだけでは完結しない仕事が毎回止まります
- 専門性の高い人を先に採ると、組織が回らないことがあります。足りないのは技能ではなく、決める人と接続する人であることが多いためです
- 現在マーケティングが関わっている仕事を、判断と作業に仕分けることからです。仕分けが終われば、必要な役割と人数が出ます