
使われていない項目を消す担当がいないからです。
増やす判断は現場でできますが、減らす判断は誰の仕事にもなっていません。
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目次
目次
- 入力されない項目が、何年も残り続けるのはなぜか
- 入力率ではなく、使われている項目の数を見る
- その項目は、何のために入力しているのか
- 書けない項目を、どう扱うか
- 入力項目は、どこまで減らせるのか
- 必須にしすぎると、空欄より悪くなる
- その項目を入力するのは、誰が自然なのか
- 引き継ぎの時点で、抜けを止める
- 自動で埋められるものは、どれか
- 自動化の順番を、負担の大きい順に決める
- 入力を評価に結びつける場合、何を測るのか
- 段階を進める操作で、手前で止める
- 入力を義務にすれば、埋まるようになるのか
- 義務化の前に確認する五つの前提
- 項目の棚卸しは、どう進めるのか
- よくある質問
- まとめ
使われていない項目を消す担当がいないからです。
増やす判断は現場でできますが、減らす判断は誰の仕事にもなっていません。
入力されない項目が、何年も残り続けるのはなぜか
使われていない項目を消す担当がいないからです。
増やす判断は現場でできますが、減らす判断は誰の仕事にもなっていません。
営業支援の仕組みに、項目が50を超えている会社があります。
そのうち実際に埋まっているのは、十数個です。
残りは、いつか誰かが必要だと言って追加したまま残っています。
追加した本人が異動していることも珍しくありません。
項目が増える方向にしか動かないのは、判断の非対称があるからです。
新しい分析をしたい人が、項目の追加を依頼します。
依頼を受ける側には、断る理由がありません。
一項目を足す作業は数分で終わり、断れば分析ができないと言われます。
一方で、消す判断には反対が出ます。
使っているかもしれない、という理由は誰でも言えます。
使っていないことを証明するのは、使っていると主張するより難しくなります。
だから、消す判断は常に先送りされます。
数年経つと、誰も使っていない項目が並びます。
並んでいること自体は、直接の害がないように見えます。
実際には、害があります。
埋まらない項目が並んでいると、埋まっている項目まで疑われるためです。
数字を出しても、入力漏れではないかという話から会議が始まります。
その確認に時間がかかるため、判断が翌月に持ち越されます。
これが繰り返されると、誰も仕組みの数字を意思決定に使わなくなります。
使わない仕組みに入力する動機は、さらに下がります。
入力率が下がると、項目を減らすのではなく、入力を促す方向の対策が出ます。
対策が効かないので、また別の対策が足されます。
入力率ではなく、使われている項目の数を見る
全体の入力率を上げる目標を立てても、動きません。
分母に使われていない項目が入っているためです。
見るべきなのは、使われている項目がいくつあるかです。
使われているとは、誰かがどの会議でその項目を見ている、という意味です。
数字は説明のための仮の値です。
項目が52あり、そのうち実際に会議で見られているのが12項目なら、残る40項目は運用の負担だけを生んでいます。
この12という数字を出すと、議論が変わります。
入力率を上げる話から、40項目をどうするかの話になります。
数えるのは、マーケティング側でも情報システム側でもかまいません。
数えた結果を、経営が見る場に出すことが重要になります。
消す判断は、部門の担当者では取れません。
経営か、仕組みの管理者が決める形にしてください。
項目は増える方向にしか動きません。入力率ではなく、実際に会議で見られている項目の数を数えて、経営が見る場に出してください。
その項目は、何のために入力しているのか
入力する人が使い道を言えない項目は、埋まりません。
項目ごとに、誰がどの判断に使うのかを書き出すところから始めます。
入力されない理由の大半は、手間ではなく納得です。
手間の問題であれば、項目を減らせば解決します。
実際には、項目が少なくても埋まらない会社があります。
使い道が説明できていないためです。
失注の理由を入力すると、翌月の資料が変わる。
こうした因果が見えていれば、多少の手間は受け入れられます。
入力しても何も変わらない項目は、後回しになります。
後回しが続くと、入力しない状態が標準になります。
だから、項目ごとに行き先を書き出してください。
すべての項目について、誰がどの会議でどう使うかを一行で書きます。
書けない項目が、消す候補です。
書けるかどうかの判定は、数分で終わります。
書くときに注意するのは、使う人を役職ではなく個人で書くことです。
営業部、とだけ書くと誰も使いません。
実際に見ている人の名前が書ける項目だけを残してください。
名前が出てこない項目は、誰も使っていません。
使う場面も、具体的に書きます。
月次の見込みの会議、四半期の訴求の見直し、といった粒度です。
分析に使う、という書き方では不十分です。
どの会議で誰が見るかが決まっていなければ、実際には使われません。
書き出す作業には、二週間程度かかります。
項目が50あれば、関係者への確認も含めて、この程度の期間になります。
この作業を飛ばして項目を減らそうとすると、反対で止まります。
書き出しの結果があれば、反対する側も具体的に答える必要が出ます。
書けない項目を、どう扱うか
書けない項目が出てきたときに、すぐ消す必要はありません。
まず、一時停止の扱いにします。
入力を必須から外し、新しいデータの入力を止めます。
既存のデータは残したまま、半年様子を見ます。
半年のあいだに誰からも要望が出なければ、消します。
要望が出れば、そのときに使い道を書いてもらいます。
この二段階にすると、消す判断の心理的な抵抗が下がります。
いきなり消すと、削除されたデータへの懸念が出ます。
一時停止した項目の一覧は、記録に残してください。
記録があれば、半年後に判断する対象が明確になります。
半年後に判断する場を、あらかじめ日程に入れておきます。
入れていないと、一時停止のまま数年が経ちます。
項目ごとに、誰がどの会議で使うかを個人名で書き出します。書けない項目は一時停止にして、半年後に判断する場を日程に入れてください。
入力項目は、どこまで減らせるのか
商談の段階ごとに必須を三つまでにすると、運用が回ります。
それ以上を必須にすると、埋めるための虚偽の入力が増えます。
減らす目安がないと、議論が止まります。
どこまで減らすべきかの基準を、先に置いてください。
基準は、段階ごとに必須を三つまで、です。
すべての項目を最初から必須にすると、入力の負担が接触の直後に集中します。
接触の直後は、営業が最も忙しい時間帯です。
次の架電が控えている状態で、十項目の入力は行われません。
段階を分けると、一回あたりの負担が減ります。
商談が進んだ段階で分かる情報は、その段階で必須にします。
リードの登録の段階では、会社名、担当者名、経路の三つです。
この三つがないと、そもそも追えません。
初回接触の後は、接触の可否、検討の時期、次の行動の三つです。
この三つがあれば、追い方が決まります。
商談の設定の段階では、金額の見込み、関与者、競合の三つです。
見込みの精度が、この三つで決まります。
受注または失注の段階では、結果、理由、決め手の三つです。
次の施策の材料になります。
受注の後は、導入の規模と開始の時期の二つです。
既存顧客への提案の材料になります。
この分け方にすると、一回あたりの入力は三項目までになります。
三項目なら、30秒で終わります。
必須にしない項目は、任意のまま残さないでください。
任意の項目は埋まりません。
使わないなら消し、使うなら必須にします。
任意のまま置くのが、最も中途半端な状態です。
段階ごとの必須項目の置き方
| 段階 | 必須にする項目 | その段階で必須にする理由 |
|---|---|---|
| リードの登録 | 会社名、担当者名、取得の経路 | この三つがないと追えない |
| 初回接触の後 | 接触の可否、検討の時期、次の行動 | 追い方が決まる |
| 商談の設定 | 金額の見込み、関与者、競合 | 見込みの精度が決まる |
| 受注または失注 | 結果、理由、決め手 | 次の施策の材料になる |
| 受注の後 | 導入の規模、開始の時期 | 既存顧客への提案の材料になる |
必須にしすぎると、空欄より悪くなる
必須にする項目を増やすと、入力率は上がります。
上がった入力率の中身が、問題になります。
先に進むために、適当な値が入るためです。
金額の見込みが全件100万円になる、失注の理由が全件価格になる、といった状態です。
このデータは、空欄より悪くなります。
空欄なら分からないと判断できますが、値が入っていると信じてしまいます。
信じたデータで判断すると、判断そのものが誤ります。
入力率という数字だけを見ていると、この状態に気づけません。
気づく方法は、分布を見ることです。
一つの選択肢が七割を超えていたら、虚偽の入力を疑ってください。
金額の見込みなら、値の分布を見ます。
きりのよい数字に集中していたら、実態を反映していません。
抜き取りで確認する方法もあります。
月に十件を選んで、記録と商談の実際を突き合わせます。
段階ごとに必須を三つまでにすると、一回の入力が30秒で終わります。必須を増やしすぎると、空欄より悪い虚偽の値が入ります。
その項目を入力するのは、誰が自然なのか
その情報を最初に知った人が入力します。
知らない人に入力させると、推測か空欄のどちらかになります。
入力する人を決めるとき、役職で決めると無理が出ます。
情報を持っている人と、入力する人がずれるためです。
競合の名前を知っているのは、商談をした営業です。
それをインサイドセールスや事務の担当が入力する運用にすると、伝言の過程で落ちます。
落ちるのは、細かい情報からです。
競合の名前は残っても、どの点で比較されたかは残りません。
問い合わせの内容は、マーケティングが最初に知ります。
これは人が入力せず、取り込みの段階で自動的に入る形にします。
接触の可否と検討の時期は、インサイドセールスが知ります。
電話をかけた本人が入力する形が自然です。
競合の名前と失注の理由は、営業が知ります。
商談の場にいた人が入力します。
導入後の状況は、カスタマーサクセスが知ります。
ここも、実際に接している人が入力します。
一人に集中させないことも重要になります。
営業一人が十数項目を入力する設計だと、商談の後の30分が全部入力になります。
段階ごとに分けると、一回あたりの負担が減ります。
分けた結果、入力する人も自然に分かれます。
段階が変わるときには、前の段階の必須項目が埋まっているかを確認してください。
埋まっていなければ、次の段階に進めない設計にします。
この設計にすると、抜けが後から見つかることがなくなります。
後から埋めようとしても、そのときには記憶が薄れています。
引き継ぎの時点で、抜けを止める
段階が変わる瞬間が、最も抜けが起きやすい場面です。
インサイドセールスから営業へ、営業からカスタマーサクセスへ。
引き継ぐ側は、自分の仕事が終わったと考えます。
引き継がれる側は、前の段階の情報が揃っている前提で動きます。
このずれを止めるには、引き継ぎの操作に確認を組み込みます。
必須項目が埋まっていなければ、引き継ぎができない形にします。
止められた場合、引き継ぐ側がその場で埋めます。
記憶が残っているうちに埋まるため、精度も保たれます。
この設計への反対は、必ず出ます。
引き継ぎが遅れる、という理由です。
実際には、埋める作業は数分で終わります。
遅れるのは、埋めていない項目が多い最初の数週間だけです。
入力するのは、その情報を最初に知った人です。段階が変わる操作に必須項目の確認を組み込むと、抜けがその場で止まります。
自動で埋められるものは、どれか
経路、日時、行動の記録は自動で入ります。
人が判断した内容だけを人が入力する形に寄せると、負担が半分以下になります。
人が入力している項目の中に、機械で取れるものが混ざっています。
まず、この切り分けから始めてください。
取得の経路は、人が入力する項目ではありません。
問い合わせフォームから来たのか、資料をダウンロードしたのか。
これは取り込みの段階で自動的に入ります。
人に入力させている会社がありますが、正確性でも効率でも機械が勝ちます。
人が入力すると、選択肢の解釈が人によって変わります。
展示会で名刺を交換した後にフォームから登録した人を、どちらの経路にするか。
この判断が人によって違うと、経路別の集計が成立しません。
自動で入れば、少なくとも基準は一貫します。
日時も同様です。
取得した日時、初回接触の日時、商談の設定の日時。
これらは操作の記録から取れます。
人が入力すると、後からまとめて入力されたときに実態とずれます。
行動の記録も、自動で持たせます。
閲覧したページ、開いたメール、見た資料。
これを人がまとめる必要はありません。
営業が見られる場所に置いておけば足ります。
会社の規模と業種は、一部が自動で入ります。
外部のデータと突き合わせる形で、ある程度は埋まります。
ただし、精度は完全ではありません。
上書きできる設計にして、上書きされた件数を見ると精度が分かります。
上書き率が三割を超えるなら、自動で入れる意味が薄くなります。
その場合は、フォームの設問で取るほうが確実です。
自動で取れないのは、人が判断した内容です。
検討の時期、競合の名前、失注の理由。
これらは会話から得られる情報で、機械では取れません。
人が入力する項目を、この範囲に限定してください。
自動で入る項目と、人が入力する項目
| 項目 | 自動で入るか | 補足 |
|---|---|---|
| 取得の経路と日時 | 入る | 取り込みの設定で決まり、人より正確になる |
| 閲覧と開封の記録 | 入る | 営業が見られる場所に置けば足りる |
| 会社の規模と業種 | 一部入る | 上書き率が三割を超えるなら設問で取る |
| 検討の時期 | 入らない | 会話でしか得られない |
| 競合の名前 | 入らない | 会話でしか得られない |
| 失注の理由 | 入らない | 営業の判断が入る |
自動化の順番を、負担の大きい順に決める
自動化できる項目が複数ある場合、順番を決めます。
基準は、人が入力している件数と時間の掛け算です。
取得の経路は、全リードに発生します。
件数が最も多いため、自動化の効果も最大になります。
行動の記録は、件数は多いものの、入力にかかる時間はゼロです。
そもそも人が入力していない会社が多いためです。
会社の規模と業種は、件数は多いが精度に問題があります。
自動化の優先度は中程度になります。
日時は、件数が多く入力も簡単です。
ただし、後からまとめて入力される問題があるため、自動化の価値はあります。
この順番で着手すると、最初の一か月で入力の負担が大きく下がります。
下がったことを担当者が実感すると、その後の運用の変更も受け入れられやすくなります。
自動化にかかる作業は、情報システムに依頼します。
依頼の前に、どの項目をどの順で自動化するかを決めておいてください。
経路と日時と行動の記録は自動で入ります。人が入力するのは、会話から得た判断の内容だけに限定してください。
入力を評価に結びつける場合、何を測るのか
入力率そのものを評価に入れると、質の低い入力が増えます。
入力されたデータが使われた回数を測るほうが、運用が続きます。
入力を評価に入れる会社は多くありますが、置き方を誤ると逆に働きます。
最も多い誤りが、入力率を個人の評価に入れることです。
入力率を個人の評価に入れると、埋めることが目的になります。
埋めることが目的になると、内容の精度が落ちます。
失注の理由がすべて価格になる、といった状態です。
入力率は100%になりますが、データは使えません。
この状態は、入力率という数字だけを見ていると気づけません。
気づくのは、そのデータで分析をしようとしたときです。
代わりに測るのは、入力されたデータが使われた回数です。
その人が入力した失注の理由が、四半期の施策の見直しに使われた。
この事実を本人に戻すと、次の入力の質が変わります。
評価の点数にしなくても、行動は変わります。
戻す方法は、四半期の会議で共有する形で足ります。
誰の入力が使われたかまで言う必要はありません。
どの項目の集計が、どの判断に使われたかを共有すれば十分です。
自分が入力した項目が含まれていれば、本人は気づきます。
入力の精度は、部分的に評価に使えます。
抜き取りで確認する方法を取ります。
全件の精度は確認できません。
月に十件を抜き取って、記録と商談の実際を突き合わせます。
突き合わせは、営業マネージャーが行います。
商談の内容を知っている人でなければ、精度の判定ができません。
入力にかかっている時間は、評価には使いません。
減らす目標として使います。
一件あたりの入力時間を測り、四半期ごとに短くなっているかを見ます。
短くなっていれば、項目の整理と自動化が効いています。
段階を進める操作で、手前で止める
評価に使える、最も確実な仕組みがあります。
段階を進めた時点での必須項目の充足です。
必須項目が埋まっていなければ、段階を進められない設計にします。
進めた案件は、必ず必須項目が埋まっています。
この設計なら、入力率という数字を評価に使う必要がありません。
入力されていない案件は、そもそも段階が進まないためです。
ただし、この設計には副作用があります。
入力を避けるために、段階を進めない案件が出ることです。
商談の実態が仕組みの外で進み、数字が実態から離れます。
これを防ぐには、必須項目を三つまでに絞る必要があります。
三つなら、入力を避けるより進めたほうが早くなります。
項目を減らすことと、必須化は、同時に行ってください。
入力率を個人の評価に入れると、質の低い入力が増えます。段階を進める操作で必須項目の充足を確認し、必須は三つまでに絞ってください。
入力を義務にすれば、埋まるようになるのか
埋まりますが、中身が伴いません。
義務にする前に、項目の数と使い道を先に整理します。
入力されない問題への対応として、義務化が最初に出ます。
経営から現場への指示としても、出しやすい内容です。
義務化が効くのは、条件が揃っているときだけです。
条件は、必須項目が三つ以内であることです。
必須が三つなら、義務にしても回ります。
入力にかかる時間が30秒なので、避ける理由がありません。
必須が十以上ある状態で義務にすると、虚偽の値が増えます。
先に進むために、選択肢の先頭が選ばれます。
使い道が説明されていない状態で義務にすると、形だけ埋まります。
埋まってはいますが、内容は確認されていません。
自動で取れるものを手入力させている状態で義務にすると、負担だけが残ります。
負担が残ると、他の項目の入力も落ちます。
入力する人と情報の出どころがずれている状態で義務にすると、推測が入ります。
知らない情報を必須にされれば、推測で埋めるしかありません。
つまり、義務化は最後の手段です。
その前に、項目の数、使い道の説明、自動化、担当の見直しを済ませてください。
罰則で動かすのも、逆効果になります。
入力しないと商談を登録できない設計にすると、登録そのものが遅れます。
商談の実態が仕組みの外で進み、数字が実態から離れます。
実態から離れた数字は、経営の判断にも使えなくなります。
別の製品に移行すれば入力されるようになる、という話が出ることもあります。
項目の数と使い道が同じまま移行すると、同じ状態になります。
移行の作業には数か月かかります。
その期間を、項目の整理に使うほうが確実に成果が出ます。
義務化の前に確認する五つの前提
義務化を提案されたときに、確認する項目を決めておいてください。
確認せずに義務化すると、半年後に元に戻ります。
一つ目が、必須項目が三つ以内かどうかです。
超えている場合は、減らしてから義務化します。
二つ目が、使い道が書き出されているかです。
書けない項目が含まれていれば、その項目は義務化の対象から外します。
三つ目が、自動で取れる項目が手入力になっていないかです。
なっていれば、自動化を先に行います。
四つ目が、入力する人が情報を持っているかです。
持っていなければ、担当を変えます。
五つ目が、入力されたデータが使われた実績があるかです。
なければ、まず使う場を作ります。
この五つを確認してから義務化すれば、入力率は上がり、中身も伴います。
確認を飛ばした義務化は、数字だけが上がります。
義務化が効くのは必須が三つ以内のときだけです。項目の数、使い道、自動化、担当、使われた実績の五つを確認してから義務化してください。
項目の棚卸しは、どう進めるのか
使われていない項目を消すところから始めます。
減らしてから運用を決めないと、どの順で直すかが決まりません。
増やす前に減らす、という順番で進めます。
減らさずに運用だけを変えても、負担は下がりません。
最初にやるのは、全項目の入力率を出す作業です。
情報システムに依頼すれば、一週間で出ます。
出た結果を見ると、入力率が二割を下回る項目が並びます。
この項目群が、棚卸しの中心的な対象になります。
次に、項目ごとに使う人と使う場面を書き出します。
入力率の高い項目も含めて、全項目について書いてください。
入力率が高くても使われていない項目があります。
必須になっているだけで、誰も見ていない項目です。
書けなかった項目を、一時停止にします。
消すのではなく、入力を止めて半年様子を見る扱いです。
残った項目を、段階ごとに三つまでの必須に振り分けます。
振り分けに入らない項目は、任意ではなく参考の扱いにします。
並行して、自動で取れる項目を手入力から外します。
この作業は情報システムの工数がかかるため、早めに依頼してください。
最後に、段階を進めるときの充足の確認を組み込みます。
ここまでで、入力の運用が一巡します。
入力項目の棚卸しを進める順番
| 順番 | やること | 関わる人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 全項目の入力率を出す | 情報システム | 1週間 |
| 2 | 項目ごとに使う人と使う場面を個人名で書く | 各部門の担当 | 2週間 |
| 3 | 書けなかった項目を一時停止にする | 仕組みの管理者 | 1週間 |
| 4 | 段階ごとの必須を3つまでに決める | 両部門の責任者 | 2週間 |
| 5 | 自動で取れる項目を手入力から外す | 情報システム | 2週間 |
| 6 | 段階を進めるときの充足の確認を入れる | 情報システム | 2週間 |
消す提案には、必ず反対が出ます。
使う人と使う場面を書いてもらう形にすれば、議論が具体的になります。
書けない人が反対しても、議論は成立しません。
書けないこと自体が、使っていない証拠になるためです。
数字は説明のための仮の値です。
項目が52あり、入力率が5割を超えているのが18項目なら、残りの34項目が棚卸しの対象になります。
34項目のうち、使う人と場面が書けたのが6項目なら、28項目を一時停止にします。
一時停止の判断に、消すという言葉を使わないでください。
棚卸しの後に点検する数字
| 数字 | 見る頻度 | 見るときの観点 |
|---|---|---|
| 残した項目の数 | 四半期 | 増えていないか |
| 必須項目の入力率 | 毎月 | 9割を下回っていないか |
| 入力の抜き取りの精度 | 毎月 | 10件の突き合わせで何件合っているか |
| 自動で入る項目の上書き率 | 四半期 | 取り込みの精度が保たれているか |
| 商談の登録から入力完了までの時間 | 毎月 | 遅れが出ていないか |
棚卸しをしても、手続きがなければまた増えます。
項目を足すときに、使う人と使う場面を必ず書く決まりを同時に入れてください。
書く欄を依頼の様式に組み込むと、確実に守られます。
様式がなければ、口頭の依頼で項目が増えます。
追加の判断をする人も、一人に決めてください。
複数人が判断できる状態だと、断りやすい人に依頼が集中します。
四半期に一度、残した項目の数を確認します。
増えていれば、追加の手続きが守られていません。
一時停止した項目は、半年後に判断します。
判断の場を、あらかじめ日程に入れておいてください。
着手点は全項目の入力率の集計です。使う人と場面を個人名で書けない項目を一時停止にし、追加の手続きを同時に決めてください。
営業支援の仕組みに入る数字が判断に使えない場合は、無料相談で現状を見てもらうところから始められます。
獲得から受注までの記録ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
項目が埋まらないのは現場の意識の問題ですか
多くは項目の設計の問題です。使い道が説明できない項目は後回しにされます。項目ごとに誰がどの会議で使うかを個人名で一行書き、書けない項目を一時停止にするところから始めてください。
必須項目はいくつまでにすべきですか
商談の段階ごとに三つまでです。三つなら入力に30秒しかかからず、避ける理由がなくなります。それ以上を必須にすると、先に進むための適当な値が入り、空欄より悪いデータになります。
入力率を評価に入れてよいですか
入力率そのものを個人の評価に入れると、埋めることが目的になり中身の精度が落ちます。段階を進める操作で必須項目の充足を確認する形にして、入力したデータが使われた場面を本人に戻すほうが続きます。
入力を義務にすれば解決しますか
必須が三つ以内なら効きますが、十以上ある状態で義務にすると虚偽の値が増えます。項目の数、使い道、自動化、入力する担当、使われた実績の五つを確認してから義務化してください。
別のツールに入れ替えれば直りますか
項目の数と使い道が同じまま移行すると、同じ状態になります。移行には数か月かかるため、その期間を項目の整理に使うほうが確実に成果が出ます。棚卸しを先に済ませてから移行の可否を判断してください。
まとめ
- 使われていない項目を消す担当がいないからです。増やす判断は現場でできますが、減らす判断は誰の仕事にもなっていません
- 入力する人が使い道を言えない項目は、埋まりません。項目ごとに、誰がどの判断に使うのかを書き出すところから始めます
- 商談の段階ごとに必須を三つまでにすると、運用が回ります。それ以上を必須にすると、埋めるための虚偽の入力が増えます
- その情報を最初に知った人が入力します。知らない人に入力させると、推測か空欄のどちらかになります
- 経路、日時、行動の記録は自動で入ります。人が判断した内容だけを人が入力する形に寄せると、負担が半分以下になります
- 入力率そのものを評価に入れると、質の低い入力が増えます。入力されたデータが使われた回数を測るほうが、運用が続きます
- 埋まりますが、中身が伴いません。義務にする前に、項目の数と使い道を先に整理します
- 使われていない項目を消すところから始めます。減らしてから運用を決めないと、どの順で直すかが決まりません