
売上は金額で、その先の各段階は件数だからです。
先に売上を平均受注単価で割って件数に変えないと、以降の割り算が成立しません。
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目次
目次
- パイプラインの逆算は、なぜ売上から始めると崩れるのか
- 逆算の対象にする売上の範囲を決める
- 各段階の歩留まりは、どの実績から出すのか
- 経路ごとに分けないと、平均が逆算を壊す
- 逆算の計算は、どの順番で手を動かすのか
- 各段階で供給の上限を確認する
- 商談のリードタイムは、計算にどう織り込むのか
- 期初の立ち上がりをどう埋めるか
- 逆算で出た数字が現実的かを、どう確かめるのか
- 倍率が大きいときに、どこから見直すか
- 必要な広告予算は、逆算のどこから出てくるのか
- 予算の承認を取るときに並べる数字
- 逆算の前提が崩れるのは、どんなときか
- 前提の点検を、いつ誰が行うか
- パイプラインの逆算は、どの順で組み直せばいいのか
- よくある質問
- まとめ
売上は金額で、その先の各段階は件数だからです。
先に売上を平均受注単価で割って件数に変えないと、以降の割り算が成立しません。
パイプラインの逆算は、なぜ売上から始めると崩れるのか
売上は金額で、その先の各段階は件数だからです。
先に売上を平均受注単価で割って件数に変えないと、以降の割り算が成立しません。
逆算の相談を受けると、最初の式が売上から直接リード数を出す形になっていることがあります。
売上目標を過去のリード単価で割る、といった計算です。
この計算は、途中の歩留まりをすべて無視しています。
リード単価は獲得までの費用であり、受注までの確率を含んでいません。
逆算が成立するには、単位を件数にそろえる必要があります。
金額から件数に変える唯一の場所が、平均受注単価による割り算です。
そのため、逆算の出発点は売上ではなく、必要な受注件数になります。
受注件数が出て初めて、受注率や商談化率で割り戻す計算に進めます。
ここで平均受注単価の置き方が、逆算全体の精度を決めます。
単価の分布が広い事業で単純平均を使うと、実在しない代表値ができあがります。
たとえば大口案件が年に数件あり、それが平均を押し上げている場合です。
その平均で割ると必要な受注件数が少なく出て、必要なリード数も過少になります。
対処は、大口案件を別枠に分けて逆算することです。
分けた枠は営業の個別開拓で追い、残りの枠だけをマーケティング側の逆算に載せます。
分けずに1本で計算すると、期初の計画は成立して見えるのに、期中に大口が取れなかった時点で全体が崩れます。
崩れたあとに広告で埋めようとしても、リードタイムが間に合いません。
逆算の対象にする売上の範囲を決める
もう1つ先に決めるのが、逆算の対象にする売上の範囲です。
既存顧客からの継続売上を含めるか、新規売上だけにするかで、必要なリード数が数倍変わります。
継続売上を含めて逆算すると、必要な新規受注が過大に出ます。
広告で取る必要がない売上まで、リード獲得で埋める計画になります。
範囲の切り方は、既存顧客の継続分を先に差し引き、残りを新規で埋める形が基本です。
差し引く金額は、解約率と既存顧客数から見積もります。
差し引いたあとの新規売上目標が、逆算の出発点になります。
この切り分けを営業や経営企画と先に合意しておかないと、同じ売上目標に対して2つの計画が並びます。
この切り分けの作業は、期初の1回で終わるものではありません。
商材構成が変われば平均受注単価も変わるため、四半期ごとに置き直す前提で進めてください。
置き直すたびに、必要な受注件数と必要なリード数が動きます。
動いた差分を広告予算にどう反映するかを、期初のうちに決めておくと期中の判断が早くなります。
逆算は売上を受注件数に変えるところから始めます。平均受注単価の分布と、既存継続分の切り分けを先に決めてください。
各段階の歩留まりは、どの実績から出すのか
直近12か月の実績を、段階ごとに割り算して出します。
件数が少ない事業では四半期では振れるため、年単位でまとめたうえで経路別に分けます。
逆算に必要な歩留まりは、受注率、商談化率、有効化率、CVRの4つです。
どれも割り算そのものは単純で、難しいのは分母と分子をそろえることです。
受注率は、受注件数を商談件数で割って出します。
このとき、受注した案件がどの月の商談から生まれたかを合わせないと、率が実態からずれます。
検討期間が3か月の事業で、当月の受注を当月の商談で割ると、伸びている局面では率が低く出ます。
商談が増えている最中は、分母だけが先に膨らむためです。
正確に出すには、受注した案件を商談が発生した月に戻して数えます。
この処理をコホートと呼び、案件管理に商談日と受注日の両方が入っていれば計算できます。
商談化率は、商談件数を有効リード件数で割ります。
ここでも、商談になった案件をリードの発生月に戻して数えるほうが精度が上がります。
有効化率は、有効リード件数を総リード件数で割ります。
有効の条件が文書になっていない場合、この率は計算できません。
CVRは、総リード件数をサイトの流入数で割ります。
広告経由と自然検索経由では大きく違うため、経路を分けずに出した値は逆算に使えません。
経路ごとに分けないと、平均が逆算を壊す
歩留まりを全経路の平均で出すと、逆算の結果が使えなくなります。
紹介や既存顧客からの問い合わせは、広告経由より受注率が数倍高いためです。
平均に紹介が混ざっていると、広告で取るべきリード数が実際より少なく出ます。
計画どおりにリードを集めても、受注が足りないという結果になります。
分ける単位は、広告経由、自然検索経由、紹介・既存、展示会などのオフラインの4つで足ります。
細かく分けすぎると、経路ごとの件数が少なくなり率が振れます。
分けた結果、広告経由の受注率が全体平均の半分だったということは珍しくありません。
この差が分かった時点で、広告予算の議論の前提が変わります。
経路を記録していない場合は、記録の追加が最初の作業になります。
記録が始まって12か月経たないと年単位の率は出ませんが、3か月あれば暫定の逆算はできます。
経路別に分けたあと、さらに商材別に分けたくなる場面があります。
件数が十分にある事業であれば有効ですが、経路と商材を掛け合わせると1区分あたりの件数が急に減ります。
1区分の年間件数が20件を下回るなら、分けずにまとめてください。
分けたことで率が振れ、逆算の精度がかえって落ちます。
歩留まりは経路別に、直近12か月から出します。案件を発生月に戻して数えないと、伸びている局面では率が実態より低く出ます。
逆算の計算は、どの順番で手を動かすのか
受注件数、商談数、有効リード数、総リード数、流入数の順に割り戻します。
各段階で必要な数と現状の供給を並べておくと、どこで足りなくなるかがその場で見えます。
計算の順番そのものは単純です。
上から順に、一つ前の段階の必要数を歩留まりで割っていきます。
数字は説明のための仮の値です。
新規売上目標が3億円、平均受注単価が500万円なら、必要な受注件数は60件です。
広告経由の受注率が20%であれば、必要な商談数は300件になります。
全社平均の25%を使っていたら240件と出るため、この差が60件分の見積もり誤差になります。
商談化率が18%なら、必要な有効リード数は1,667件です。
有効化率が55%なら、必要な総リード数は3,031件になります。
サイトのCVRが1.8%なら、必要な流入数は約16万8千件です。
ここまで降ろすと、必要な予算の規模が見積もれる段階に入ります。
逆算の計算を進める順番
| 段階 | 割る前の数 | 割る歩留まり | 出てくる数 | 供給との比較で見ること |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 新規売上目標 | 平均受注単価 | 必要な受注件数 | 大口案件を別枠に分けたか |
| 2 | 必要な受注件数 | 広告経由の受注率 | 必要な商談数 | 営業の対応可能件数を超えないか |
| 3 | 必要な商談数 | 商談化率 | 必要な有効リード数 | 有効の定義が固定されているか |
| 4 | 必要な有効リード数 | 有効化率 | 必要な総リード数 | CV種別の構成が変わっていないか |
| 5 | 必要な総リード数 | 広告経由のCVR | 必要な流入数 | 媒体側に在庫があるか |
各段階で供給の上限を確認する
計算を上から降ろすだけでは、計画の実現性は分かりません。
段階ごとに、供給の上限を並べて確認する必要があります。
最初に詰まりやすいのが、商談の段階です。
必要な商談数が300件でも、営業の人数と1人あたりの対応可能件数で上限が決まります。
営業6人で1人あたり月5件が上限なら、年間の対応可能商談数は360件です。
300件は収まりますが、余裕は2割しかありません。
次に詰まるのが流入の段階です。
必要な流入数16万8千件に対し、指名検索と一般検索で確保できる在庫がどれだけあるかを見ます。
検索の在庫が足りない場合は、SNSや動画に配分を広げることになります。
配分を広げると経路別のCVRが下がるため、必要な流入数はさらに増えます。
この確認をせずに計算だけを降ろすと、期初には成立する計画ができあがります。
成立しないことが分かるのは、配信を始めて2か月後です。
供給の上限を確認した結果、計画が成立しないことが分かる場合もあります。
その場合に動かすのは計算式ではなく、営業の体制か、売上目標そのものです。
どちらを動かすかは、期初の予算承認の場で決める事項になります。
マーケティング側で抱えたまま配信を始めると、期の半ばで判断の余地が無くなります。
計算は上から降ろし、各段階で供給の上限を並べてください。営業の対応可能件数と媒体の在庫が、計画の実現性を決めます。
商談のリードタイムは、計算にどう織り込むのか
必要なリードの獲得時期を、検討期間の分だけ前倒しします。
年間の総数だけで計画すると、期末に受注が集中する形になり、実際には間に合いません。
逆算で出た数字は、年間の総数です。
これを12で割って毎月の目標にすると、期末の受注が間に合わなくなります。
リードが発生してから受注に至るまでには時間がかかります。
検討期間が3か月なら、期末月の受注に必要なリードは3か月前に獲得されている必要があります。
つまり、期の最後の3か月に獲得したリードは、その期の受注には貢献しません。
貢献するのは翌期です。
この前提で計算すると、期内の受注に効くリードは9か月分しか獲得できないことになります。
年間の必要リード数を9で割ったものが、実質的な月次の目標です。
数字は説明のための仮の値です。
年間で必要な有効リードが1,667件なら、12で割ると月139件ですが、9で割ると月186件になります。
この差は34%で、必要な広告予算も同じ比率で変わります。
リードタイムを織り込まない計画は、期初から3割強の不足を抱えたまま始まります。
リードタイムを織り込んだ月別の考え方
| 月 | 獲得したリードが受注に効く時期 | 期内の受注への貢献 | 月次目標の置き方 |
|---|---|---|---|
| 第1四半期 | 第2四半期 | 貢献する | 年間必要数の3か月分 |
| 第2四半期 | 第3四半期 | 貢献する | 年間必要数の3か月分 |
| 第3四半期 | 第4四半期 | 貢献する | 年間必要数の3か月分 |
| 第4四半期 | 翌期の第1四半期 | 貢献しない | 翌期の立ち上がり分として置く |
期初の立ち上がりをどう埋めるか
同じ理屈で、期初の受注は前期の終盤に獲得したリードで決まります。
前期の第4四半期に獲得が細っていれば、今期の第1四半期の受注は構造的に足りません。
そのため、期初の計画を立てる時点で、前期末の獲得実績を確認してください。
足りていない場合は、期初の受注目標を下げるか、期初に短期で決まる層への配分を増やすかの判断になります。
短期で決まる層に寄せる場合は、指名検索や比較検討の後半にいる層が対象です。
この層は在庫が小さいため、配分を増やしても件数は大きく伸びません。
現実的には、期初の受注不足は前期のうちに手を打つしかありません。
前期の第3四半期の時点で、翌期の立ち上がり分のリードを確保する計画を入れておきます。
この考え方を計画に入れると、広告予算の配分が期の前半に寄ります。
期末に予算が余って駆け込みで使う形とは、逆の配分になります。
検討期間は、受注案件の初回接触日と受注日の差から出します。
中央値を使うほうが向いており、平均値は長期の案件に引っ張られます。
商材ごとに検討期間が違う場合は、商材ごとに前倒しの月数を変えてください。
最も長い商材に合わせると、短い商材の獲得が過剰になります。
年間の必要数を12で割らないでください。検討期間の分だけ前倒しし、期末の獲得は翌期の立ち上がり分として扱います。
逆算で出た数字が現実的かを、どう確かめるのか
現状の供給量に対する倍率で見ます。
1.5倍までは運用の改善で届き、3倍を超える場合は前提のどこかを疑う段階になります。
逆算の結果が出たら、現状との比較を必ず行います。
比較するのは、必要な有効リード数と、直近12か月の実績です。
倍率が1.2倍以内であれば、予算配分と着地ページの改善で届く範囲です。
この場合は、計画をそのまま進めて問題ありません。
1.5倍前後であれば、予算の増額と新しい配信面の追加が必要になります。
増額の規模を見積もり、期初の予算承認に含めてください。
2倍を超えると、既存の手段の延長では届きません。
新しい媒体、新しい商材の切り口、あるいは営業側の体制変更を含む計画になります。
3倍を超える場合は、まず前提を疑ってください。
売上目標が過大か、平均受注単価の置き方が誤っているか、歩留まりの見積もりが低すぎるかのどれかです。
10倍になる場合は、ほぼ確実に計算のどこかが誤っています。
経路を分けずに全社平均の受注率を使ったときに、この桁の誤りが起きます。
倍率が大きいこと自体は、期初に気づけるという点で利点です。
配信を始めてから気づくと、修正に使える時間が残っていません。
倍率が大きいときに、どこから見直すか
見直しの順番は、歩留まり、供給、目標の順です。
最も改善の余地が大きいのは歩留まりで、次が供給、最後が目標になります。
歩留まりの改善は、着地ページとフォーム、そして営業の初動で進みます。
CVRが1.8%から2.4%に上がれば、必要な流入数は25%減ります。
供給の拡大は、予算の増額と配信面の追加で進みます。
ただし配分を広げるほど経路別の歩留まりは下がるため、増分がそのまま件数にはなりません。
目標の見直しは、上の2つを検討したあとです。
先に目標を下げると、改善の検討が止まります。
見直しの結果は、期初の予算承認の場に持ち込んでください。
持ち込む材料は、逆算の式、倍率、そして歩留まりと供給それぞれの改善見込みです。
倍率の確認は、有効リード数だけでなく商談数でも行ってください。
有効リードが1.5倍で足りても、営業の対応可能件数が1.2倍までなら、そこで詰まります。
詰まる段階が分かっていれば、期初に採用や体制の準備を始められます。
配信を始めてから詰まりが表面化すると、獲得したリードが滞留します。
必要数と現状の倍率で実現性を判断します。3倍を超えたら前提を疑い、見直しは歩留まり、供給、目標の順で進めてください。
必要な広告予算は、逆算のどこから出てくるのか
必要な総リード数に、リード1件あたりの獲得単価を掛けて出します。
ただし単価は件数を増やすほど上がるため、現在の単価をそのまま掛けると不足します。
必要な予算は、逆算の最後の段階から出ます。
必要な総リード数に、リード1件あたりの獲得単価を掛けた金額です。
ここで現在の単価をそのまま使うと、予算は必ず不足します。
件数を増やすほど、単価は上がるためです。
単価が上がる理由は、安く取れる枠から順に埋まっているからです。
指名検索や過去の訪問者への配信は単価が低く、その在庫を使い切ったあとは高い枠に進みます。
そのため、件数を1.5倍にするときは、単価も上がる前提で見積もります。
上がり方は事業や媒体で異なりますが、増分を現在の単価で計算すると不足します。
実務では、現在の単価で計算した金額に一定の上振れを見込む形になります。
上振れの幅は、過去に予算を増やしたときの単価の変化から推定してください。
推定の材料が無い場合は、増分だけ単価が高くなる前提で2本立ての計算をします。
既存の件数分は現在の単価、増分は高めの単価を使い、合算した金額を予算とします。
現状の件数までは、直近3か月の実績値をそのまま使って構いません。
使っている枠が変わらないため、単価も大きくは動かないからです。
1.2倍までの増分は、既存の配信面の配分を広げて取ることになります。
単価はやや上がる程度なので、実績値に一定の上振れを見込めば足ります。
1.5倍を目指す段階では、新しいキーワードと配信面を足すことになります。
ここからは増分だけを高い単価で計算しないと、予算が足りなくなります。
2倍以上になると、新規の媒体と、これまで接触していなかった層が対象になります。
この範囲は既存の実績から推定できないため、媒体ごとに個別の見積もりを取ってください。
予算の承認を取るときに並べる数字
予算の稟議で必要になるのは、金額だけではありません。
その金額で何件のリードが取れ、いくらの売上になるかまでを並べます。
並べるのは、必要な総リード数、想定の獲得単価、必要な予算、そして逆算で使った歩留まりです。
歩留まりを添えないと、予算と売上の関係が説明できません。
あわせて、歩留まりが想定を下回った場合の影響も出してください。
商談化率が2ポイント下がると受注が何件減るかを示しておくと、期中の報告が楽になります。
承認の場では、予算を増やさない場合の結果も示します。
現在の予算で到達できる受注件数と、売上目標との差額です。
この差額が示されて初めて、予算の増額が投資の判断になります。
示さずに金額だけを出すと、費用の増額として扱われます。
稟議の単位は、年間ではなく四半期に分けるほうが通りやすくなります。
四半期ごとに実績と前提を確認し、次の四半期分を確定する形であれば、外れたときの影響が限定されます。
予算は必要な総リード数に獲得単価を掛けて出しますが、増分の単価は上がります。増分だけ高い単価で計算し、歩留まりと差額を添えて承認を取ってください。
逆算の前提が崩れるのは、どんなときか
平均受注単価の変化、歩留まりの変化、CV定義の変更の3つで崩れます。
どれも期中に静かに進むため、四半期ごとに前提そのものを点検する必要があります。
逆算は、期初に置いた前提の上に成り立っています。
前提が動けば、必要な件数も必要な予算も変わります。
最も影響が大きいのが、平均受注単価の変化です。
値上げや商材構成の変化で単価が上がれば、必要な受注件数は減ります。
逆に、単価の低い商材の比率が上がると、必要な受注件数は増えます。
同じリード数を集めていても、売上目標には届かなくなります。
次に大きいのが、歩留まりの変化です。
商談化率が期初の想定から2ポイント下がるだけで、必要な有効リード数は1割以上増えます。
歩留まりの変化は、施策の結果として起きることもあれば、外部要因で起きることもあります。
競合の増加や、比較検討の長期化がここに入ります。
3つ目が、CV定義の変更です。
CVポイントを追加した月から、総リード数の意味が変わります。
定義が変われば有効化率も変わるため、逆算の途中の数字がすべてずれます。
にもかかわらず、定義の変更は現場の判断で進むことが多く、逆算の前提に反映されません。
前提の点検を、いつ誰が行うか
点検の頻度は四半期に一度で足ります。
毎月点検すると、偶然の振れを前提の変化と取り違えます。
点検するのは、平均受注単価、経路別の歩留まり、CV定義の3つです。
どれも期初の値と並べ、差が出ている項目だけを掘ります。
点検の場は、マーケティング責任者と営業責任者が同席する場にしてください。
単価と歩留まりは営業側のデータからしか出ません。
差が出たときに直すのは、逆算の前提であって目標値ではありません。
前提を置き直したうえで、必要な件数と予算の増分を出し、その増分を承認するかどうかを経営が決めます。
置き直した前提は、期初の文書に追記する形で残します。
上書きすると、翌期の設計時に何がどう変わったかを追えなくなります。
外部要因で歩留まりが動いた場合は、施策の失敗と切り分けて記録してください。
切り分けずに記録すると、翌期の設計で同じ前提を使ってしまいます。
点検の結果は、次の四半期の予算の議論にそのまま使えます。
前提が動いた分だけ予算の増減を提案する形にすると、議論が金額の交渉になりません。
前提は単価、歩留まり、CV定義の3つで崩れます。四半期ごとに期初の値と並べて点検し、差が出たら前提を置き直してください。
パイプラインの逆算は、どの順で組み直せばいいのか
経路別の歩留まりを出すところからです。
歩留まりが経路別に出ていない状態では、どれだけ丁寧に計算しても結果は使えません。
組み直しの作業は、計算式ではなくデータの整備から始まります。
式そのものは割り算の連続で、難所は分母と分子をそろえることにあります。
最初にやるのは、リードと商談と受注の記録を1つの経路の軸でつなぐことです。
つながっていない状態では、経路別の歩留まりが出せません。
つないだあとで、直近12か月の各段階の件数を経路別に並べます。
並べた時点で、広告経由と紹介経由の差が見えます。
パイプライン逆算の組み直し工程
| 順番 | やること | 関わる人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | リードと商談と受注を経路の軸でつなぐ | マーケ・情報システム | 2週間 |
| 2 | 直近12か月の経路別の件数を並べる | マーケ・営業 | 1週間 |
| 3 | 案件を発生月に戻して経路別の歩留まりを出す | マーケ・営業 | 2週間 |
| 4 | 既存継続分を差し引いて新規売上目標を確定する | 経営・営業 | 1週間 |
| 5 | 受注件数から流入数まで割り戻す | マーケティング | 1週間 |
| 6 | 供給の上限と倍率を確認して予算を見積もる | 3者 | 2週間 |
数字は説明のための仮の値です。
新規売上目標3億円、平均受注単価500万円で必要な受注は60件になります。
広告経由の受注率20%で商談300件、商談化率18%で有効リード1,667件です。
リードタイム3か月を織り込むと、期内に効く9か月で割って月186件が目標になります。
現状の月間有効リードが120件であれば、倍率は1.55倍です。
運用の改善だけでは届かないため、予算の増額と配信面の追加が必要になります。
この一連の数字を1枚にまとめておくと、期中に前提が動いたときの差し替えが簡単になります。
式と前提が分かれていない資料は、更新のたびに作り直しになります。
逆算の前提を点検する数字
| 数字 | 見る頻度 | 見るときの観点 |
|---|---|---|
| 月次の有効リード件数 | 毎週 | 前倒しを織り込んだ月次目標に届いているか |
| 経路別の商談化率 | 毎月 | 期初に置いた前提から離れていないか |
| 平均受注単価 | 四半期 | 商材構成の変化で動いていないか |
| 経路別の受注率 | 四半期 | 広告経由と紹介経由の差が変わっていないか |
| CV定義と記録項目の変更 | 四半期 | 逆算の前提に反映されているか |
週次で見るのは件数だけにしてください。
歩留まりを週次で見ると、母数が足りず、前提の変化と偶然の振れを区別できません。
逆算の式と前提は、担当者が交代しても引き継げる場所に置きます。
計算そのものより、前提の履歴のほうが翌期に効きます。
この6工程は、着手から予算の見積もりまで9週間前後が目安になります。
記録がつながっていない組織では、1の工程だけで想定の倍の時間がかかります。
組み直しはデータの整備から始めます。経路別の歩留まりを出し、リードタイムを織り込んでから、倍率と予算の見積もりに進んでください。
受注目標から必要なリード数が出せない場合は、無料相談で現状を見てもらうところから始められます。
パイプラインの設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
逆算は売上から始めてはいけませんか
売上を平均受注単価で割って受注件数に変えるまでが最初の工程です。金額のまま先に進むと、以降の割り算が成立しません。単価の分布が広い事業では大口案件を別枠に分け、既存顧客の継続分を差し引いた新規売上目標を出発点にしてください。
途中の率が分からない場合はどうしますか
直近12か月の実績を経路別に割り算して出します。案件を発生月に戻して数えないと、伸びている局面では率が実態より低く出ます。記録がつながっていない場合は、リードと商談と受注を経路の軸でつなぐ作業が最初の工程になります。
リードタイムはどう織り込みますか
必要なリードの獲得時期を検討期間の分だけ前倒しします。検討期間が3か月なら、期の最後の3か月に獲得したリードはその期の受注に貢献しません。年間の必要数を12ではなく9で割った値が、実質的な月次目標になります。
逆算した数字が現状の3倍になりました
まず前提を疑ってください。経路を分けずに全社平均の受注率を使っていると、この桁の誤りが起きます。計算が正しい場合は、歩留まり、供給、目標の順で見直し、それぞれの改善見込みを添えて期初の予算承認の場に持ち込みます。
必要予算は総リード数に獲得単価を掛ければ出せますか
現在の単価をそのまま掛けると不足します。安く取れる枠から順に埋まっているため、件数を増やすほど単価は上がります。既存の件数分は現在の単価、増分は高めの単価という2本立てで計算し、歩留まりと目標との差額を添えて承認を取ってください。
まとめ
- 売上は金額で、その先の各段階は件数だからです。先に売上を平均受注単価で割って件数に変えないと、以降の割り算が成立しません
- 直近12か月の実績を、段階ごとに割り算して出します。件数が少ない事業では四半期では振れるため、年単位でまとめたうえで経路別に分けます
- 受注件数、商談数、有効リード数、総リード数、流入数の順に割り戻します。各段階で必要な数と現状の供給を並べておくと、どこで足りなくなるかがその場で見えます
- 必要なリードの獲得時期を、検討期間の分だけ前倒しします。年間の総数だけで計画すると、期末に受注が集中する形になり、実際には間に合いません
- 現状の供給量に対する倍率で見ます。1.5倍までは運用の改善で届き、3倍を超える場合は前提のどこかを疑う段階になります
- 必要な総リード数に、リード1件あたりの獲得単価を掛けて出します。ただし単価は件数を増やすほど上がるため、現在の単価をそのまま掛けると不足します
- 平均受注単価の変化、歩留まりの変化、CV定義の変更の3つで崩れます。どれも期中に静かに進むため、四半期ごとに前提そのものを点検する必要があります
- 経路別の歩留まりを出すところからです。歩留まりが経路別に出ていない状態では、どれだけ丁寧に計算しても結果は使えません