
マーケティングと営業の両方が動かしています。
リードの中身はマーケティング側の設計で決まり、商談に転換するかは営業側の初動で決まります。
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目次
目次
- 商談化率は、そもそも誰が動かしている数字なのか
- 責任の所在より先に、要素の分解を共有する
- 商談化率をめぐって、なぜ責任の押しつけ合いが起きるのか
- 押しつけ合いが長期化する組織の共通点
- 商談化率を共有指標にすると、議論はどう変わるのか
- 共有にすると誰も責任を取らなくなるのではないか
- 共有指標にする前に、どの定義を揃えておくのか
- 発生月で数えるか、転換月で数えるか
- 商談化率の目標値は、どちらの部門が持つのか
- 実績との差が大きいときの置き方
- 商談化率が下がったとき、原因をどう切り分けるのか
- 定義の変更が原因である場合を先に潰す
- 共有指標が形だけになる組織には、何が足りていないのか
- 形だけになっているかを確かめる目安
- 商談化率の設計は、どこから着手すればいいのか
- よくある質問
- まとめ
マーケティングと営業の両方が動かしています。
リードの中身はマーケティング側の設計で決まり、商談に転換するかは営業側の初動で決まります。
商談化率は、そもそも誰が動かしている数字なのか
マーケティングと営業の両方が動かしています。
リードの中身はマーケティング側の設計で決まり、商談に転換するかは営業側の初動で決まります。
商談化率は、有効リードのうち何件が商談になったかを示す比率です。
分子も分母も、片方の部門だけでは決まりません。
分母である有効リードの中身は、マーケティング側の判断で変わります。
どの層に配信し、どの訴求で獲得し、どのCVポイントを置くかで、リードの検討段階が変わります。
分子である商談は、営業側の判断で変わります。
架電までの時間、初回接触の内容、商談として記録する基準のどれが動いても、件数は変わります。
同じリードでも、着信から24時間以内に連絡した場合と1週間後に連絡した場合では、商談になる比率が違います。
この差はマーケティング側の施策とは無関係に生じます。
つまり商談化率は、2つの部門の判断が掛け合わさった結果の数字です。
片方の部門の成績表として扱うと、必ず実態と合わなくなります。
にもかかわらず、多くの組織でこの数字は片側の評価に使われています。
マーケティングの評価に使えばリードの質の問題になり、営業の評価に使えば初動の問題になります。
どちらの見方も部分的には正しく、どちらも全体を説明していません。
そのため、議論が決着しないまま次の月に移ります。
商談化率を動かす要素と、手を入れられる部門
| 動かす要素 | マーケティングが手を入れられるか | 営業が手を入れられるか | 変化が出るまでの期間 |
|---|---|---|---|
| 配信する層の検討段階 | 入れられる | 入れられない | 1〜2か月 |
| CVポイントの重さ | 入れられる | 入れられない | 即月 |
| 獲得時に取得する情報項目 | 入れられる | 一部入れられる | 即月 |
| リード受領から架電までの時間 | 入れられない | 入れられる | 即週 |
| 初回接触の内容と担当者の力量 | 入れられない | 入れられる | 1か月 |
| 商談として記録する基準 | 合意で決める | 合意で決める | 即時 |
この表で分かるのは、要素ごとに手が届く部門が違うという点です。
どちらか一方に責任を寄せると、寄せられた側は自分が触れない要素まで背負うことになります。
責任の所在より先に、要素の分解を共有する
責任をどちらが持つかという議論は、要素の分解をしないまま始まることが多くなります。
分解をしていない状態では、主張の根拠がそれぞれの実感になります。
先にやるべきなのは、自社の商談化率を動かしている要素を書き出すことです。
書き出した要素ごとに、どちらの部門が手を入れられるかを付けていきます。
この作業を両部門で同時にやると、認識の差がその場で出ます。
営業がマーケティングの裁量だと思っていた項目が、実は媒体側の仕様だったということもあります。
要素の分解が共有されていれば、数字が動いたときに見る場所が決まります。
責任の議論は、見る場所が決まったあとで十分に間に合います。
要素の書き出しは、1時間の打ち合わせ1回で終わります。
終わらない場合は、要素の粒度が細かすぎるか、そもそも計測されていない要素が混ざっています。
計測されていない要素が見つかったときは、その場で計測の可否を確認してください。
計測できない要素を議論に持ち込むと、印象論に戻ります。
商談化率は2部門の判断が掛け合わさった数字です。責任の議論より先に、動かす要素と手を入れられる部門を書き出して共有してください。
商談化率をめぐって、なぜ責任の押しつけ合いが起きるのか
各部門が評価される数字が別々に置かれているからです。
マーケティングが件数で評価され、営業が受注で評価されると、その間の率は誰の成績にもなりません。
押しつけ合いは、性格や関係性の問題として語られがちです。
実際には、評価の設計から機械的に生じています。
マーケティング部門がリード件数で評価されているとします。
このとき件数を達成していれば、その部門の目標は満たされています。
営業部門が受注件数で評価されているとします。
受注が未達であれば、原因は手前にあると主張するのが自然な反応になります。
ここで問題になるのが、両者の間にある商談化率が誰の目標にもなっていないことです。
目標になっていない数字は、悪化しても誰の未達にもなりません。
未達にならないため、改善の当事者も決まりません。
月次会議では話題になりますが、翌月までに誰かが手を動かすことはありません。
さらに、双方の主張はそれぞれの数字で裏づけられます。
マーケティングは件数達成の実績を示し、営業は商談の中身の薄さを示します。
どちらの主張も自部門の目標に照らせば正しいため、議論は決着しません。
決着させるには、どちらの目標にも入っていない数字を、どちらの目標にも入れる必要があります。
この構造は、部門の間に人を挟んでも解決しません。
インサイドセールスを置いても、その部門の評価が架電数で置かれれば、同じ断絶が1つ増えるだけです。
押しつけ合いが長期化する組織の共通点
押しつけ合いが何期も続く組織には、共通する条件があります。
商談の定義が文書になっていないことです。
定義が無いと、商談化率の数字そのものが人によって変わります。
マーケティング側が集計した率と、営業側が集計した率が違う状態では、議論の前提がそろいません。
もう1つの共通点は、リードの受領から架電までの時間が計測されていないことです。
この時間が計測されていないと、営業側の初動の影響を数字で示せません。
示せないため、リードの質の問題として片づけられます。
計測されていない要素は、議論の中では存在しないのと同じ扱いになります。
この2つを整えるだけで、押しつけ合いの多くは減ります。
評価の設計を変える前に、まず同じ数字を見られる状態を作ってください。
評価の設計を変えるには、人事側の評価制度に触れる場合があります。
半期の評価項目に指標が紐づいている組織では、期の途中で共有指標を足しても評価には反映されません。
その場合は、評価への反映は次期からとしたうえで、運用だけを先に始めてください。
運用の実績が無いまま評価項目だけを変えると、目標値の根拠を説明できません。
押しつけ合いは評価の設計から生じます。どちらの目標にも入っていない数字は改善されないため、商談の定義と初動の時間をまず計測してください。
商談化率を共有指標にすると、議論はどう変わるのか
未達が両部門の未達になるため、原因の特定が共同作業になります。
どちらかを責める会話から、どの要素が動いたかを一緒に探す会話に変わります。
共有指標とは、同じ数字を両部門の目標に同時に置くことです。
達成でも未達でも、両方が同じ判定を受けます。
この設計にすると、相手を責めても自分の評価は変わりません。
責めることの見返りが消えるため、原因を探すほうに動機が移ります。
具体的には、月次会議の議題が変わります。
これまで「リードの質」と「架電の速さ」の応酬だった時間が、どの要素が先月と変わったかの確認に使われます。
確認の対象は、要素の分解表に載せた項目です。
配信の構成が変わったか、CVポイントが増えたか、架電までの時間が延びたかを順に見ます。
この確認は、どちらか一方の部門だけでは完結しません。
両方のデータを並べる必要があるため、会議の場でしかできない作業になります。
結果として、月次会議が報告の場から作業の場に変わります。
この変化が、共有指標を置く最大の効き目です。
もう1つの変化は、施策の設計段階に相手が入ってくることです。
新しいCVポイントを設置する前に、営業側の処理能力と受け入れ条件を確認する動きが生まれます。
事前の確認があると、設置後に「対応できないリードが増えた」という事態が減ります。
共有指標は、事後の議論よりも事前の調整に効きます。
共有にすると誰も責任を取らなくなるのではないか
共有指標への反対として最も多いのが、責任の所在が曖昧になるという懸念です。
この懸念は、共有指標だけを置いた場合には当たります。
対策は、共有指標と並行して、各部門の単独指標を残すことです。
マーケティングは有効リード数、営業は受注件数を単独で持ち、その間の商談化率だけを共有にします。
この3層にすると、単独指標で各部門の実行が評価され、共有指標で連携が評価されます。
どちらも未達のときに、どこが原因かを分けて議論できます。
もう1つの対策は、共有指標の改善について、期初に担当者を決めておくことです。
責任は共有でも、進行の担当は1人に決めておかないと会議の宿題が誰にも渡りません。
進行の担当は、マーケティングと営業のどちらでも構いません。
決まっていることのほうが、どちらが持つかより効きます。
共有指標を置く範囲は、全社ではなく1つの事業単位に絞るほうが立ち上がります。
複数の事業部にまたがると、定義の統一だけで数か月かかるためです。
先に1つの事業で回してから横に広げると、定義の雛形が使い回せます。
最初から全社で揃えようとして止まる例は珍しくありません。
共有指標は単独指標と併用してください。各部門の実行は単独指標で、連携は共有指標で評価し、改善の進行担当だけは1人に決めます。
共有指標にする前に、どの定義を揃えておくのか
有効リードの定義、商談の定義、そして集計のタイミングの3つです。
この3つが揃っていないと、両部門が別々の数字を持ったまま同じ指標を名乗ることになります。
共有指標を置く前に決めるのは、目標値ではなく定義です。
定義がそろっていなければ、目標値の議論には意味がありません。
1つ目は、有効リードの定義です。
獲得したリードのうち、どの条件を満たしたものを営業に渡すかという基準になります。
条件の候補は、企業規模、業種、役職、検討時期、既存顧客かどうかです。
このうちどれを必須にするかで、有効リードの件数は大きく変わります。
条件を厳しくすると有効リードは減り、商談化率は上がります。
条件を緩めると有効リードは増え、商談化率は下がります。
つまり、有効リードの定義を動かせば商談化率は操作できます。
この操作が可能な状態では、共有指標として機能しません。
2つ目は、商談の定義です。
初回の打ち合わせを商談とするか、要件のヒアリングまで進んだ案件を商談とするかで、件数が変わります。
判断の目安は、営業側が案件として管理を始める地点に合わせることです。
管理が始まっていない接触を商談に数えると、その後の受注率が算出できなくなります。
3つ目は、集計のタイミングです。
リードが発生した月で数えるか、商談になった月で数えるかで、率の出方が変わります。
発生月で数えるか、転換月で数えるか
リードの発生月で数える方法は、施策の評価に向いています。
その月に獲得したリードが、最終的にどれだけ商談になったかが分かるためです。
ただし、商談化までに時間がかかる事業では、当月の数字が確定しません。
検討期間が3か月なら、直近3か月の率は暫定値のままになります。
転換月で数える方法は、当月の数字がその月に確定します。
月次の進捗管理には向いていますが、どの施策の成果かは分かりません。
実務では、両方を出しておく形が現実的です。
月次の進捗は転換月で見て、四半期の施策評価は発生月で見ます。
どちらを共有指標の判定に使うかは、期初に決めて文書に残してください。
決めずに運用すると、都合のよいほうの数字が持ち出されます。
定義を変更する場合の手続きも、同じ文書に書いておきます。
誰の承認が要るか、いつから適用するか、過去データを再集計するかの3つです。
手続きが書かれていないと、現場の判断で条件が動きます。
条件が動いた月の率は、前月と比較できません。
揃えるのは有効リードの定義、商談の定義、集計のタイミングの3つです。定義を動かせば率は操作できるため、変更の手続きまで決めておきます。
商談化率の目標値は、どちらの部門が持つのか
両方が同じ値を持ちます。
値そのものは、事業計画からの逆算で出した数字を使い、部門ごとに別々の値を置きません。
共有指標の目標値を部門ごとに変えると、共有の意味が消えます。
マーケティング側が20%、営業側が15%を持っていれば、その間で解釈が分かれます。
置く値は、事業計画からの逆算で出します。
必要な受注件数を受注率で割って商談数を出し、その商談数を有効リード数で割った値が目標の商談化率です。
数字は説明のための仮の値です。
必要な受注が60件、受注率が25%なら商談数は240件になります。
有効リードの供給が1,200件見込めるなら、必要な商談化率は20%です。
この20%は、どちらの部門の努力目標でもなく、計画を満たすために必要な水準です。
逆算から出した値が、過去の実績を大きく上回ることがあります。
実績が12%の組織で20%を置けば、初期の数か月は必ず未達になります。
このとき選べるのは3つです。
有効リードの供給を増やすか、受注率を上げるか、売上目標を見直すかになります。
どれを選ぶかは、マーケティングでも営業でもなく、予算を承認する立場が決めます。
共有指標の目標値は、部門間の交渉ではなく、事業計画の調整で決まる数字です。
実績との差が大きいときの置き方
実績と必要値の差が大きい場合、いきなり必要値を置いても機能しません。
未達が確定した目標は、数か月で見られなくなります。
現実的なのは、期の中間地点に段階的な水準を置くことです。
実績12%、必要20%であれば、第2四半期末に15%という中間の水準を置きます。
中間の水準は評価には使わず、進捗の確認だけに使ってください。
評価に使うと、水準を下げる交渉が始まります。
そして、差の残りをどこで埋めるかを期初に決めておきます。
商談化率で埋めきれない分は、有効リードの供給か受注率のどちらかで埋めることになります。
この配分を決めておくと、期中に商談化率が届かなかったときの打ち手が自動的に決まります。
決めていないと、未達の報告だけが積み上がります。
目標値を置いたあと、両部門の月次資料に同じ値を印字してください。
別々の資料に別々の値が載ると、共有指標であることが現場に伝わりません。
印字する場所は、各部門の単独指標のすぐ隣が向いています。
離れた位置に置くと、参考値として扱われます。
目標値は逆算で出した1つの値を両部門が持ちます。実績との差が大きい場合は中間の水準を置き、埋めきれない分の配分を期初に決めてください。
商談化率が下がったとき、原因をどう切り分けるのか
有効リードの件数と商談数の動きを組み合わせて見ます。
件数が増えて率が下がったのか、件数が横ばいで率が下がったのかで、見る場所が変わります。
率だけを見ても、原因は分かりません。
率は分子と分母の関係なので、どちらが動いたかを先に分ける必要があります。
見るのは、有効リード件数、商談数、そして商談化率の3つを同じ期間で並べた表です。
この3つの組み合わせが、原因の候補を絞り込みます。
件数が増えて商談数も増えているのに率が下がっている場合は、質が薄まっただけです。
商談数の絶対値が計画どおりなら、対応は不要になります。
件数が増えて商談数が横ばいなら、増えた分がすべて商談に至っていません。
この場合は、増えた分の流入経路とCV種別を特定します。
件数が横ばいで商談数が減っている場合は、リードの中身ではなく営業側の処理を疑います。
受領から架電までの時間、担当者の変更、案件管理への入力ルールの変更を確認します。
件数も商談数も減っている場合は、上流の配信が縮小しています。
予算の削減、審査による停止、媒体側の仕様変更のどれかが起きています。
数字の組み合わせから、原因を切り分ける
| 有効リード件数 | 商談数 | 商談化率 | 最初に確認すること |
|---|---|---|---|
| 増加 | 増加 | 低下 | 増えた分の経路とCV種別 |
| 増加 | 横ばい | 低下 | 追加した配信面と獲得時の情報項目 |
| 横ばい | 減少 | 低下 | 受領から架電までの時間と担当の変更 |
| 減少 | 減少 | 横ばい | 予算の配分と媒体側の配信状況 |
| 横ばい | 横ばい | 低下 | 商談の定義または記録の運用の変更 |
定義の変更が原因である場合を先に潰す
率が動いたときに最初に確認すべきなのは、定義や記録の運用が変わっていないかです。
実態は何も変わっていないのに、数え方が変わっただけということが起こります。
案件管理の画面で商談の入力項目が追加されると、入力されない案件が出ます。
入力されなかった案件は集計から漏れ、商談化率が下がったように見えます。
同じことは、有効リードの条件を厳しくしたときにも起きます。
分母が減るため率は上がり、施策の成果として報告されてしまいます。
そのため、率の変化を議論する前に、直近3か月の定義と運用の変更履歴を確認してください。
履歴を残していない組織では、この確認そのものができません。
変更履歴は、月次のレポートに1行で添える形で十分です。
定義の変更、記録項目の追加、担当体制の変更を書き残しておきます。
切り分けの表は、原因を確定させるものではなく、最初に見る場所を決めるためのものです。
確認の結果として別の原因が見つかることはありますが、順番が決まっているだけで検討の時間は大きく短縮されます。
率の変化は件数と商談数の組み合わせで切り分けます。実態を見る前に、定義と記録の運用が変わっていないかを先に潰してください。
共有指標が形だけになる組織には、何が足りていないのか
同じ数字を見る場と、そこで決める権限が足りていません。
目標を共有しても、月次会議が報告で終わっていれば、指標は数か月で機能を失います。
共有指標を置いたのに何も変わらなかったという状態は、よく起きます。
原因は指標の選び方ではなく、運用の設計にあります。
1つ目は、両部門が同じ数字を見る場が無いことです。
マーケティングの月次会議と営業の月次会議が別々に開かれていれば、共有指標は各会議で1行報告されるだけになります。
必要なのは、両部門が同席して商談化率だけを見る時間です。
時間は30分で足り、頻度は月1回で足ります。
2つ目は、その場に決定権が無いことです。
配信の構成を変える、架電の体制を変えるといった判断ができない参加者だけが集まっていると、宿題の確認で終わります。
参加者には、両部門の責任者を入れてください。
担当者だけの会議では、部門をまたぐ変更が決まりません。
3つ目は、変更の記録が残らないことです。
決めたことが翌月に引き継がれないと、同じ議論が毎月繰り返されます。
記録に残すのは、何を変えたか、いつから変えたか、次に確認する時期の3つです。
この3つがあれば、翌月の会議は前月の変更の効果確認から始められます。
形だけになっているかを確かめる目安
共有指標が機能しているかどうかは、2つで判断できます。
1つは、直近3か月の会議で、両部門にまたがる変更が1件でも決まったかどうかです。
決まっていなければ、指標は報告の材料にしかなっていません。
このときは、指標を変えるのではなく、会議の参加者と議題を先に変えてください。
もう1つは、商談化率の数字を両部門が同じ値で言えるかどうかです。
聞いたときに違う数字が出てくるなら、集計の方法が統一されていません。
統一されていない状態では、目標の達成も未達も判定できません。
共有指標としての体裁だけが残っている状態になります。
この2つの確認は、四半期に一度で十分です。
どちらかが崩れていれば、定義と会議の設計に戻ってください。
会議の時間を延ばす必要はありません。
議題を商談化率1本に絞れば、30分で前月の変更確認と今月の決定まで終わります。
議題を広げると、予算や制作の話に流れて指標の話が最後に回ります。
最後に回った議題は、時間切れで翌月に送られます。
共有指標が形だけになる原因は、同席する場と決定権と記録の不在です。四半期に一度、変更が決まったかと数字が一致するかを確認してください。
商談化率の設計は、どこから着手すればいいのか
定義の文書化からです。
有効リードと商談の定義、集計のタイミングを両部門で決めてから、目標値と会議の設計に進みます。
着手の順番を間違えると、合意のやり直しが起きます。
目標値を先に決めると、定義が変わった時点で値の根拠が消えるためです。
最初にやるのは、現状の集計方法の確認です。
マーケティング側と営業側でそれぞれ商談化率を出し、値が一致するかを見ます。
一致しない場合、その差の原因が定義の不一致です。
差の原因を特定する作業が、そのまま定義の議論になります。
商談化率を共有指標にする工程
| 順番 | やること | 関わる人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 両部門で別々に商談化率を算出して差を出す | マーケ・営業 | 1週間 |
| 2 | 有効リードと商談の定義を文書で確定する | マーケ・営業 | 2週間 |
| 3 | 集計のタイミングを発生月か転換月かで決める | マーケ・営業 | 1週間 |
| 4 | 事業計画から必要な商談化率を逆算する | マーケ・経営 | 1週間 |
| 5 | 実績との差の埋め方を3者で配分する | 3者 | 2週間 |
| 6 | 同席する月次会議の参加者と議題を決める | 3者 | 1週間 |
数字は説明のための仮の値です。
有効リードが月100件、商談が18件であれば、商談化率は18%になります。
必要な商談数が月20件であれば、同じ供給量では商談化率20%が必要です。
差の2ポイントを、リードの中身で埋めるか架電の初動で埋めるかを、要素の分解表に照らして決めます。
有効リードを111件まで増やせば、18%のままでも商談は20件に届きます。
どちらの経路を選ぶかは、追加で必要になる広告費と、営業側の処理能力の比較で決まります。
この比較を期初に一度やっておくと、期中に商談化率が届かなかったときの打ち手が即座に決まります。
比較をしていないと、未達の報告のあとに検討が始まります。
共有指標の運用で確認する数字
| 数字 | 見る頻度 | 見るときの観点 |
|---|---|---|
| 有効リード件数 | 毎週 | 供給が計画どおり出ているか |
| 商談数の絶対値 | 毎月 | 率ではなく件数で計画に届いているか |
| 商談化率 | 毎月 | 両部門で同じ値になっているか |
| 受領から架電までの時間 | 毎月 | 初動の遅れが率に効いていないか |
| 定義と運用の変更履歴 | 毎月 | 数え方の変更が率に混ざっていないか |
| CV種別ごとの商談化率 | 四半期 | どの種別で薄まっているか |
週次で見るのは供給量だけにしてください。
商談化率を週次で見ると、母数が足りず、偶然の振れを質の変化と取り違えます。
定義の文書は、担当者が交代しても引き継げる場所に置いてください。
個人の手元にある定義は、半年で失われます。
この6工程は、着手から会議設計の確定まで8週間前後が目安になります。
期初から運用を始めるには、前の期の終盤で1から3までを終えておく必要があります。
着手は現状の集計差の確認からです。定義を確定させてから逆算で目標値を出し、最後に会議の設計まで決めてください。
商談化率の責任をどちらが持つべきか分からない場合は、無料相談で現状を見てもらうところから始められます。
部門をまたぐ指標の設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
商談化率はマーケと営業のどちらの責任ですか
両方です。分母である有効リードの中身はマーケティング側の設計で決まり、分子である商談は営業側の初動で決まります。片方の成績表として扱うと、その部門が触れない要素まで背負うことになるため、同じ値を両部門の目標に置いてください。
共有指標にすると、誰も責任を取らなくなりませんか
共有指標だけを置いた場合はその懸念が当たります。マーケティングは有効リード数、営業は受注件数という単独指標を残し、その間の商談化率だけを共有にしてください。あわせて、改善の進行担当だけは1人に決めておきます。
商談の定義は、どの地点に置くのが適切ですか
営業側が案件として管理を始める地点に合わせてください。管理が始まっていない接触を商談に数えると、その後の受注率が算出できなくなります。初回打ち合わせか要件ヒアリング後かは事業で変わるため、文書で確定させて変更の手続きも決めておきます。
商談化率が下がったとき、最初に何を見ますか
定義と記録の運用が変わっていないかです。入力項目の追加や有効リードの条件変更だけで率は動きます。実態を見るのはその後で、有効リード件数と商談数の組み合わせから、質の薄まりか営業側の初動かを切り分けます。
定義を変えると過去と比較できなくなりませんか
そのとおりなので、変える場合は過去のデータも新しい定義で再集計してください。再集計せずに定義だけ変えると、率の変化が施策の成果に見えます。変更の時期と内容は月次レポートに1行で残し、翌期の設計時に参照できるようにします。
まとめ
- マーケティングと営業の両方が動かしています。リードの中身はマーケティング側の設計で決まり、商談に転換するかは営業側の初動で決まります
- 各部門が評価される数字が別々に置かれているからです。マーケティングが件数で評価され、営業が受注で評価されると、その間の率は誰の成績にもなりません
- 未達が両部門の未達になるため、原因の特定が共同作業になります。どちらかを責める会話から、どの要素が動いたかを一緒に探す会話に変わります
- 有効リードの定義、商談の定義、そして集計のタイミングの3つです。この3つが揃っていないと、両部門が別々の数字を持ったまま同じ指標を名乗ることになります
- 両方が同じ値を持ちます。値そのものは、事業計画からの逆算で出した数字を使い、部門ごとに別々の値を置きません
- 有効リードの件数と商談数の動きを組み合わせて見ます。件数が増えて率が下がったのか、件数が横ばいで率が下がったのかで、見る場所が変わります
- 同じ数字を見る場と、そこで決める権限が足りていません。目標を共有しても、月次会議が報告で終わっていれば、指標は数か月で機能を失います
- 定義の文書化からです。有効リードと商談の定義、集計のタイミングを両部門で決めてから、目標値と会議の設計に進みます