製造業のマーケティング組織の作り方

製品ごとに事業部が分かれ、それぞれが自分の販促を持っているためです。
全社に1つ作ると製品の知識が足りず、事業部に置くと全社の施策が打てません。
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目次
目次
- 製造業でマーケティング部門が置き場所に困る理由
- 製品の知識が分散している
- 1人目に誰を置くか
- 外から来た人が最初に詰まる場所
- 技術部門から、どう協力を引き出すか
- 書くことを求めない
- 事業部をまたぐ施策を、どう成立させるか
- 共通にできるもの
- 外部の委託先を、組織のどこに接続するか
- 出せるものと、出せないもの
- 人が増えたときに、何から分担するか
- 2人目は、案件対応を持つ
- 組織を作るときに、よく間違えること
- 順序を逆にする
- 体制づくりは、どの順で進めるか
- 棚卸しで出てくること
- よくある質問
- まとめ
製品ごとに事業部が分かれ、それぞれが自分の販促を持っているためです。
全社に1つ作ると製品の知識が足りず、事業部に置くと全社の施策が打てません。
製造業でマーケティング部門が置き場所に困る理由
製品ごとに事業部が分かれ、それぞれが自分の販促を持っているためです。
全社に1つ作ると製品の知識が足りず、事業部に置くと全社の施策が打てません。
マーケティング組織を作るとき、どの部門の下に置くかで役割が決まります。
製造業では、この置き場所の判断が他業種より難しくなります。
製品の知識が分散している
産業機械でも部品でも、製品ごとに用途と顧客が違います。
その知識は、事業部か技術部門の中にあります。
全社のマーケティング部門を作っても、製品のことが分からなければコンテンツが作れません。
販促費が事業部に紐づいている
展示会の出展もカタログも、事業部の判断で行われてきた会社が多くあります。
全社の部門を作ると、予算をどこから出すかで揉めます。
権限のない部門を作ると、名前だけの組織になります。
マーケティング機能の置き場所と、できること
| 置き場所 | できること | できないこと | 向いている会社 |
|---|---|---|---|
| 全社の独立部門 | 全社共通の基盤整備 | 製品ごとの深い訴求 | 製品群が近い会社 |
| 事業部の中 | 製品に即した施策 | 全社での資産の共有 | 事業部の独立性が高い会社 |
| 営業本部の中 | 営業との連携 | 中長期の投資 | 営業主導の会社 |
| 経営企画の中 | 全社戦略との接続 | 実行の速さ | 変革の初期段階 |
| 広報の中 | 対外発信の一貫性 | 獲得の施策 | ブランド重視の会社 |
| 両方に置く | 全社基盤と個別施策の両立 | 人数が要る | 規模の大きい会社 |
最初から完成形を作らない
理想の組織図を先に描くと、人が採れずに止まります。いま社内にいる人で始められる形から作ります。2年かけて形を変えていく前提で置きます。
1人目に誰を置くか
外部から採る前に、社内の技術営業を検討します。
製品と顧客を知っている人のほうが、立ち上がりが早くなります。
マーケティング担当を外部から採用する判断が最初に出ます。
製造業では、この判断が裏目に出ることがあります。
外から来た人が最初に詰まる場所
広告やサイトの経験がある人を採っても、製品が分かりません。
何を訴求すればよいかが決められず、技術部門に聞きに行きます。
技術部門は忙しく、質問の意図も分かりません。
半年が過ぎても、成果物が出ない状態になります。
社内から出す場合の課題
技術営業や設計から異動させると、製品と顧客は分かっています。
一方で、広告やサイトの知識はありません。
この部分は外部の支援で補えます。
1人目の候補と、補うべきもの
| 候補 | 強み | 足りないもの | 補い方 |
|---|---|---|---|
| 技術営業 | 製品と顧客の知識 | デジタルの知識 | 外部の支援と研修 |
| 設計・開発 | 技術的な深さ | 顧客接点の経験 | 営業への同行 |
| 営業企画 | 社内調整と数字 | コンテンツの制作 | 外部の制作会社 |
| 広報 | 対外発信の経験 | 獲得の考え方 | 外部の支援 |
| 外部からの採用 | デジタルの知識 | 製品と社内の人脈 | 技術部門との兼務期間 |
| 新卒や若手 | 吸収が早い | 判断の経験 | 上位者の関与 |
製品知識は外から買えない
デジタルの運用は外部に委託できます。
自社製品が何に使われ、どこで選ばれているかは、外から調達できません。
この非対称性から考えると、社内の人を置くほうが合理的になる場面が多くなります。
兼務で始める場合の条件
技術営業との兼務で始めるなら、時間の配分を先に決めます。週のうち2日をマーケティングに充てる、といった形です。決めないと、営業の業務で埋まります。
技術部門から、どう協力を引き出すか
原稿を書いてくださいと頼むと進みません。
話してもらった内容をマーケティング側が文章にする形にすると、動きます。
製造業のコンテンツは、技術部門の知識がないと作れません。
その協力を取り付けることが、組織運営の中心になります。
書くことを求めない
技術者に執筆を依頼すると、時間が取れないという理由で進みません。
実際に、文章を書く作業は本業とかけ離れています。
30分話してもらい、それをマーケティング側が文章にする形に変えます。
聞き方を決めておく
漠然と製品の特徴を聞くと、仕様の説明になります。
どういう場面で選ばれたか、どういう相談がよく来るか、断ることが多い条件は何か。
顧客とのやり取りを聞くと、そのままコンテンツになります。
技術部門から引き出す質問
| 質問 | 得られるもの | コンテンツにしたときの形 |
|---|---|---|
| よく来る技術的な質問は何か | 検討時の論点 | よくある質問の解説 |
| 断ることが多い条件は何か | 対応範囲の境界 | 対応範囲の明示 |
| 他社と比べられる点はどこか | 比較の軸 | 比較の考え方 |
| 選定を間違えた例はあるか | 失敗の型 | 選定の注意点 |
| 最近の相談で増えているもの | 市場の変化 | 技術動向の解説 |
| 検討時に見落とされがちな点 | 専門家の視点 | 設計上の注意 |
協力の負担を数字で示す
年に何回、1回何分の協力を求めるのかを先に伝えます。
四半期に1回、30分。
この程度なら、部門長の承認も取りやすくなります。
成果を技術部門に返す
作ったコンテンツがどれだけ読まれ、どんな問い合わせにつながったかを報告します。自分が話した内容が案件を生んだと分かれば、次の協力が得やすくなります。返さないと、一度きりで終わります。
事業部をまたぐ施策を、どう成立させるか
全社共通の部分と、事業部ごとの部分を分けます。
共通の基盤を全社で持ち、訴求は事業部が作る形が回りやすくなります。
事業部が独立して動いている会社では、全社の施策が進みません。
どこまでを共通にするかの線引きが要ります。
共通にできるもの
サイトの基盤、問い合わせの受け皿、計測の仕組み、会社としての情報発信。
これらは事業部ごとに作ると重複します。
共通にできないもの
製品の訴求、対象とする顧客層、展示会の出展判断。
これらは事業部の事情で決まります。
全社と事業部の役割分担
| 領域 | 全社が持つ | 事業部が持つ |
|---|---|---|
| サイトの基盤と設計 | 持つ | 持たない |
| 計測と分析の仕組み | 持つ | 持たない |
| 製品ページの内容 | 枠組みだけ | 中身を作る |
| 広告の運用 | 予算枠と委託先の管理 | 対象と訴求の決定 |
| 展示会の出展 | 全社展の判断 | 専門展の判断 |
| 技術資料の制作 | 制作の仕組み | 中身の監修 |
| 問い合わせの受付と振り分け | 持つ | 受けてからの対応 |
費用の負担を先に決める
共通の基盤にかかる費用を、どこが負担するかで揉めます。
売上比で按分する、全社経費にする、受けた問い合わせ件数で按分する。
どれかに決めて、年度の初めに合意します。
事業部からの信頼を先に作る
全社部門が最初にやるべきなのは、事業部の役に立つことです。問い合わせを早く回す、資料の制作を手伝う、数字を出す。実利がないと、協力は続きません。
外部の委託先を、組織のどこに接続するか
広告の運用は外に出せますが、判断は社内に残します。
委託先と話す窓口を1人に決めないと、指示がばらついて機能しません。
製造業のマーケティング部門は、少人数で始まることがほとんどです。
実行の多くを外部に委託します。
出せるものと、出せないもの
広告の日々の運用、サイトの制作、資料のデザイン。
これらは外に出せます。
何を訴求するか、どの顧客層を狙うか、どの案件を優先するか。
これらは社内の判断になります。
委託の範囲と、社内に残すことを、項目ごとに見ていきます。
広告の運用については、外部に出せるかは出せる、社内に残すことは対象と予算の判断。
サイトの制作については、外部に出せるかは出せる、社内に残すことは構成と掲載内容の決定。
技術資料の制作については、外部に出せるかは一部出せる、社内に残すことは内容の監修。
記事の執筆については、外部に出せるかは出せる、社内に残すことは技術的な確認。
分析と報告については、外部に出せるかは出せる、社内に残すことは数字の解釈と次の判断。
問い合わせの一次対応については、外部に出せるかは出しにくい、社内に残すことは技術的な回答。
窓口を1人にする
複数の担当者が別々に委託先へ指示を出すと、方針が定まりません。
窓口を1人に決め、社内の要望はその人に集めます。
人数が少ない組織ほど、この形が要ります。
委託先に製品を理解してもらう時間を取る
産業財の広告運用は、製品の理解がないとできません。
開始前に、工場の見学と技術部門への取材の時間を取ります。
この時間を惜しむと、半年間ずれたままになります。
Testifyが2026年5月に実施した調査では、9割を超える企業が代理店を活用しており、全面委託が37.2%、社内運用との併用が54.4%でした。併用の形が多数であることは、判断を社内に残す前提と整合します。
人が増えたときに、何から分担するか
最初に分けるのは、案件の対応とコンテンツの制作です。
この2つは求められる性質が違い、同じ人が両方やると片方が止まります。
1人から2人、3人へと増えるとき、分け方の順序があります。
2人目は、案件対応を持つ
問い合わせの一次対応と振り分け、営業への引き渡し。
この業務は日々発生し、締め切りがあります。
コンテンツの制作と同じ人が持つと、締め切りのある業務に時間が吸われます。
3人目は、数字を持つ
計測の設計、報告、委託先との調整。
この業務は、片手間では続きません。
人数ごとの分担の形を、項目ごとに見ていきます。
1人については、分担の形は全部を兼務、外部に出すものは広告運用、制作のすべて。
2人については、分担の形は案件対応とコンテンツで分ける、外部に出すものは広告運用、制作。
3人については、分担の形は案件、コンテンツ、数字で分ける、外部に出すものは広告運用、制作の一部。
4人から5人については、分担の形は事業部担当を置く、外部に出すものは専門性の高い制作。
6人以上については、分担の形は機能別のチームにする、外部に出すものは必要に応じて。
採用より先に、業務の棚卸しをする
人を増やす前に、いまの業務を書き出します。
外部に出せるもの、やめられるもの、自動化できるもの。
これを整理すると、必要な人数が変わることがあります。
製造業での採用の難しさ
産業財のマーケティング経験者は、市場に多くありません。消費財の経験者を採ると、前提が違って戸惑います。未経験でも製品への関心がある人を採り、育てる前提で計画します。
組織を作るときに、よく間違えること
体制を整えてから成果を出そうとすると、時間だけが過ぎます。
小さな成果を先に出して、それを根拠に体制を広げる順序にします。
組織づくりの議論が長引くと、その間に何も進みません。
社内の関心も薄れます。
順序を逆にする
理想の体制を設計し、人を採用し、それから施策を始める。
この順序だと、最初の成果まで1年以上かかります。
いまいる人で、1つの製品群だけで始める。
そこで成果が出たら、他の事業部に広げる。
この順序なら、3か月で何かが出ます。
組織づくりで起きる間違いと、代わりにやることを、項目ごとに見ていきます。
理想の組織図を先に作るについては、起きることは人が採れず止まる、代わりの進め方はいまの人員で始める。
全事業部を同時に対象にするについては、起きることは調整に時間がかかる、代わりの進め方は1つの事業部で試す。
経験者の採用を待つについては、起きることは採用に半年以上かかる、代わりの進め方は社内から出して外部で補う。
全社の合意を取ってから動くについては、起きることは合意が取れない、代わりの進め方は小さく始めて実績で説得する。
すべてを内製で計画するについては、起きることは人が足りず進まない、代わりの進め方は判断だけ残して実行を外に出す。
最初から専任の部署を作るについては、起きることは予算の承認が下りない、代わりの進め方は兼務から始める。
外部に相談するときの確認
組織設計の支援を受ける場合、その相手が産業財の販売構造を知っているかを確認します。
消費財やSaaSの組織の型をそのまま提案されることがあります。
商社や代理店が介在する前提での設計になっているかを聞きます。
最初の成果を、何に置くか
売上への貢献は、時間がかかります。最初に示すのは、問い合わせの中身が変わったこと、対応が早くなったこと、技術部門の負担が減ったこと。社内で実感できる変化のほうが、次の議論を進めます。
体制づくりは、どの順で進めるか
いまの業務の棚卸しからです。
誰が何にどれだけ時間を使っているかを出さないと、必要な体制が決まりません。
組織の議論を、人数の話から始めると根拠がありません。
業務量から始めます。
体制を作る作業の並びを、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは販促に関わる業務を全部書き出す、関わる人は関係部門、期間の目安は2週間。
2については、やることはそれぞれに月何時間かかっているかを出す、関わる人は関係部門、期間の目安は2週間。
3については、やることは外部に出せるものとやめられるものを分ける、関わる人は経営・マーケティング、期間の目安は2週間。
4については、やることは1人目を誰にするかを決める、関わる人は経営、期間の目安は1か月。
5については、やることは技術部門への協力依頼の形を決める、関わる人は技術・マーケティング、期間の目安は3週間。
6については、やることは全社と事業部の役割分担を文書にする、関わる人は経営、期間の目安は1か月。
棚卸しで出てくること
複数の部門が別々に同じような資料を作っていたことが見つかります。
更新されていないまま費用が出ている契約が見つかることもあります。
これを整理するだけで、人を増やさずに時間が生まれます。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
販促に関わる業務が全社で月240時間あり、そのうち資料の制作と更新が90時間、展示会の準備が60時間、問い合わせ対応が50時間だとします。
資料の制作を外部に出せば90時間が空き、その時間を問い合わせ対応と分析に回せます。
人を増やす前に、この配分の見直しで解決する部分があります。
組織の状態を確認する数字を、項目ごとに見ていきます。
担当者ごとの業務時間の配分については、見る頻度は四半期、何が分かるかは偏りの把握。
技術部門への依頼件数と所要時間については、見る頻度は四半期、何が分かるかは協力の負担。
外部委託の費目と金額については、見る頻度は四半期、何が分かるかは内外の分担の状況。
事業部ごとの施策の実施状況については、見る頻度は四半期、何が分かるかは全社施策の浸透。
問い合わせから営業への引き渡し日数については、見る頻度は月次、何が分かるかは案件対応の機能。
コンテンツの公開本数については、見る頻度は月次、何が分かるかは制作が回っているか。
2年の計画で描く
1年目は基盤と1つの事業部、2年目で横に広げる。
この程度の速度が、製造業では現実的です。
急いで全社に広げると、どこも中途半端になります。
経営の関与を、最初に取り付ける
事業部をまたぐ調整は、マーケティング部門の権限では進みません。
経営の誰かが関与する形を、始める前に作っておきます。
体制の作り方で判断に迷う場合は、無料相談で現状の分担を見てもらうところから始められます。役割の分け方ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
マーケティング担当は外部から採用すべきですか
製品と顧客の知識は外から調達できません。社内の技術営業や営業企画から出して、デジタルの知識を外部の支援で補う形のほうが立ち上がりが早くなる場面が多くなります。
技術部門が協力してくれません
執筆を依頼すると進みません。30分話してもらい、それをマーケティング側が文章にする形に変えてください。協力の頻度と時間を先に示すと承認が取りやすくなります。
事業部ごとに販促を持っていて全社の施策が進みません
共通にできるものとできないものを分けてください。サイトの基盤と計測は全社、製品の訴求と展示会の判断は事業部という線引きが扱いやすくなります。
何人体制で始めればいいですか
人数から決めず、いまの業務に月何時間かかっているかを出してください。外に出せるものとやめられるものを整理すると、必要な人数が変わることがあります。
組織を整えてから施策を始めるべきですか
順序が逆になると1年以上何も出ません。いまの人員で1つの事業部だけを対象に始め、3か月で出た変化を根拠に体制を広げる進め方にします。
まとめ
- 製品ごとに事業部が分かれ、それぞれが自分の販促を持っているためです。全社に1つ作ると製品の知識が足りず、事業部に置くと全社の施策が打てません
- 外部から採る前に、社内の技術営業を検討します。製品と顧客を知っている人のほうが、立ち上がりが早くなります
- 原稿を書いてくださいと頼むと進みません。話してもらった内容をマーケティング側が文章にする形にすると、動きます
- 全社共通の部分と、事業部ごとの部分を分けます。共通の基盤を全社で持ち、訴求は事業部が作る形が回りやすくなります
- 広告の運用は外に出せますが、判断は社内に残します。委託先と話す窓口を1人に決めないと、指示がばらついて機能しません
- 最初に分けるのは、案件の対応とコンテンツの制作です。この2つは求められる性質が違い、同じ人が両方やると片方が止まります
- 体制を整えてから成果を出そうとすると、時間だけが過ぎます。小さな成果を先に出して、それを根拠に体制を広げる順序にします
- いまの業務の棚卸しからです。誰が何にどれだけ時間を使っているかを出さないと、必要な体制が決まりません