製造業のマーケと営業の連携|対立が起きる理由と解き方

誰の顧客かが先に決まっている事業だからです。
Web経由の問い合わせが既存の担当区分と衝突すると、そこで話が止まります。
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目次
目次
- 製造業の対立は、リードの帰属をめぐって起きる
- 争点は質ではなく、所属
- 営業が動かない理由を、性格の問題にしない
- 既存取引の維持が評価される組織
- 直販と代理店販売の線引きを、どう決めるか
- 線を引く軸
- 支店や工場ごとに分かれた組織で、案件をどう回すか
- 判断を減らす
- マーケティングが営業から情報をもらう方法
- 先に渡すものを作る
- 共通の会議体を、どう設計するか
- 数字の報告は会議の議題にしない
- 連携の話で、よく取り違えられること
- 仕組みが先だと、何が起きるか
- 連携の立て直しを、どの順で進めるか
- 最初に数える理由
- よくある質問
- まとめ
誰の顧客かが先に決まっている事業だからです。
Web経由の問い合わせが既存の担当区分と衝突すると、そこで話が止まります。
製造業の対立は、リードの帰属をめぐって起きる
誰の顧客かが先に決まっている事業だからです。
Web経由の問い合わせが既存の担当区分と衝突すると、そこで話が止まります。
マーケティングと営業の対立は、どの業種でも起きます。
製造業では、対立の中身が他業種と違います。
争点は質ではなく、所属
多くの業種では、リードの質をめぐって議論になります。
製造業では、その案件が誰の担当かという問題が先に来ます。
地域、業界、既存取引の有無、商社との関係。
これらで担当が決まっている組織に、経路の違う問い合わせが入ると、処理の決まりがありません。
決まりがないと、放置される
担当が決まらない案件は、誰も動かしません。
自分が動いて他の営業の顧客だった場合、社内で問題になるからです。
動かないほうが安全という判断が働きます。
帰属が問題になる場面と、起きること
| 場面 | 問題の中身 | 起きること |
|---|---|---|
| 既存取引先の別部署から問い合わせ | 既存担当の顧客かどうか | 既存担当に回すか迷い時間が経つ |
| 商社の担当地域の企業から直接問い合わせ | 直販してよいか | 商社に配慮して動きが鈍る |
| 支店のない地域からの問い合わせ | どこの支店が受けるか | たらい回しになる |
| 既存顧客の海外拠点から問い合わせ | 国内か海外かの担当 | 所管が決まらず遅れる |
| 競合の顧客からの問い合わせ | 既存の関係への配慮 | 判断を上に上げて止まる |
| 複数事業部にまたがる用途 | どの事業部が受けるか | 調整に時間がかかる |
決まりを作るのはマーケティングの仕事ではない
帰属のルールは、営業の組織が決めるものです。マーケティング部門が決めると、現場が従いません。ただし、決まりがないことで案件が消えている事実を示すのはマーケティングの役割です。
営業が動かない理由を、性格の問題にしない
評価の仕組みが動かない方向に働いていることがあります。
何が評価されるかを確認しないまま、協力を求めても変わりません。
Web経由のリードに営業が対応しないとき、意欲の問題とされることがあります。
評価の仕組みを見ると、理由が説明できる場合が多くなります。
既存取引の維持が評価される組織
製造業の営業は、既存顧客からの受注を守ることが主な仕事になっている場合があります。
年間の受注額の多くが既存からのものなら、そこに時間を使うのが合理的です。
新規の問い合わせは、確率が低く手間がかかります。
目標の立て方で行動が変わる
営業の目標の置き方と、新規への動き方
| 目標の置き方 | 新規への動き | 起きること |
|---|---|---|
| 年間受注額のみ | 弱い | 既存の深耕に集中する |
| 新規受注額を分けて設定 | 強くなる | 新規に時間を割く |
| 新規の商談件数を設定 | 強くなる | 質を問わず商談を作る |
| 既存と新規で担当を分ける | 新規担当は強い | 引き継ぎの調整が要る |
| 新規の初回受注に加点 | 強い | 試作案件にも動く |
新規の定義を揃える
新規という言葉の意味が、部門で違うことがあります。
取引のない企業を新規と呼ぶのか、取引のある企業の新しい用途も新規と呼ぶのか。
定義が違うと、目標の議論が噛み合いません。
評価の変更は経営の判断になる
マーケティング部門から営業の評価制度を変えることはできません。できるのは、いま何件の案件が手つかずになっているかを数字で出すことです。その数字が経営に届けば、制度の議論に進みます。
直販と代理店販売の線引きを、どう決めるか
Web経由の問い合わせを全部直販にすると、代理店との関係が壊れます。
基準を先に決めて、代理店にも開示しておく形が現実的です。
販売網を持つ製造業では、Web経由の問い合わせが直販と代理店の境界を曖昧にします。
現場任せにすると、案件ごとに判断が揺れます。
線を引く軸
地域で引く、顧客の規模で引く、製品で引く、既存の取引関係で引く。
どれを使うかは、既存の販売網の作り方で決まります。
直販と代理店の振り分けの軸
| 軸 | 振り分けの方法 | 向いている状況 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 既存の取引関係 | 取引のある代理店に回す | 代理店との関係が長い | 新規の顧客は決まらない |
| 地域 | 所在地で担当を決める | 地域ごとに代理店がいる | 本社と工場の所在が違う場合がある |
| 顧客の規模 | 一定規模以上は直販 | 大口が直販中心 | 規模が事前に分からない |
| 製品 | 特定の製品は直販 | 新製品を直販で育てる | 顧客側で混乱が起きる |
| 案件の性質 | カスタム案件は直販 | 技術対応が必要 | 判断に時間がかかる |
開示することの意味
基準を代理店に開示すると、直販になる案件があることを受け入れてもらう必要があります。
代わりに、こちらから代理店に渡す案件が増えることも示します。
Webが集めた案件の何割が代理店に回っているかを定期的に共有します。
開示しないと何が起きるか
代理店の営業が、自分の顧客が直販で取られたと感じます。その後、その代理店は自社製品を積極的に提案しなくなります。短期の1件より、長期の販売網のほうが金額が大きくなります。
支店や工場ごとに分かれた組織で、案件をどう回すか
問い合わせの内容から、どこが受けるかを機械的に決められる形を作ります。
判断が必要な状態にしておくと、そのたびに止まります。
複数の拠点を持つ製造業では、問い合わせをどこが受けるかが毎回の判断になっていることがあります。
判断を減らす
所在地、製品区分、案件の規模。
この3つで振り分けられる表を作ると、大半は自動的に決まります。
表に当てはまらないものだけを、判断に回します。
振り分けの表の作り方
| 振り分けの条件 | 決め方 | 例外の扱い |
|---|---|---|
| 顧客の所在地 | 都道府県で担当拠点を決める | 本社と使用場所が違う場合は使用場所 |
| 製品の区分 | 製品群ごとに担当事業部を決める | 複数にまたがる場合は主用途 |
| 案件の規模 | 金額の目安で直販と拠点を分ける | 不明な場合は拠点が一次対応 |
| 既存取引の有無 | 取引先マスタで判定 | グループ会社は別扱い |
| 問い合わせの種類 | 技術か価格かで一次対応先を分ける | 判断がつかない場合は技術 |
一次対応と担当を分ける
どこが最終的に担当するかの判断に時間がかかるなら、一次対応だけ先に行います。
受付の返信は本社のマーケティングが当日出し、担当が決まってから営業が引き継ぎます。
相手を待たせないことが優先されます。
拠点をまたぐ案件の扱い
顧客の本社が東京で、工場が九州にある場合があります。
設計は本社、購買は工場ということもあります。
この種の案件は、拠点間で情報を共有する仕組みがないと片方だけで止まります。
案件の記録を拠点をまたいで見られる状態にしておく必要があります。
マーケティングが営業から情報をもらう方法
報告を求める形は続きません。
営業にとって得になる情報を先に渡すと、返ってくるようになります。
案件がどうなったかの情報が返ってこないという相談はよく出ます。
返ってこない理由は、返しても営業に得がないからです。
先に渡すものを作る
その企業が自社サイトのどのページを見ていたか。
過去に資料をダウンロードした履歴があるか。
同業種の他社がどんな用途で使っているか。
これらは営業が商談で使える情報です。
渡すと、その代わりに結果を教えてもらいやすくなります。
マーケティングから営業に渡せる情報を、項目ごとに見ていきます。
閲覧したページの履歴については、営業での使い道は関心の推定、準備の手間は仕組みが要る。
過去の資料請求の履歴については、営業での使い道は検討の経緯の把握、準備の手間は記録があれば軽い。
同業種での用途の例については、営業での使い道は提案の切り口、準備の手間は整理が要る。
競合製品との比較の材料については、営業での使い道は価格交渉への備え、準備の手間は作成に時間が要る。
その企業の公開情報の要約については、営業での使い道は訪問前の準備、準備の手間は軽い。
問い合わせ本文の全文については、営業での使い道は論点の把握、準備の手間は軽い。
報告の項目を3つに絞る
返してほしい情報を絞ります。
商談になったか、ならなかった理由、次に動く時期。
この3つなら、営業は1分で入力できます。
入力の場所を営業の動線に置く
マーケティング専用の画面に入力を求めると、続きません。
営業が普段使っている日報や案件管理の中に項目を足します。
新しい場所を増やさないことが、継続の条件になります。
全件を求めない
すべての案件の結果を求めると、負担になって全部が止まります。金額の大きい案件だけ、あるいは月に5件だけ。部分的にでも返ってくる状態のほうが、何も返ってこないより先に進みます。
共通の会議体を、どう設計するか
数字の報告会にすると続きません。
個別の案件を見る場にすると、両部門が参加する理由が生まれます。
マーケティングと営業の定例会議は、作っても形骸化しやすいものです。
議題の性質が原因です。
数字の報告は会議の議題にしない
リード数やCPAの報告は、資料を配れば済みます。
会議の時間を使うのは、判断が必要なことに限ります。
案件を3件だけ見る
その月に来た問い合わせから3件を選び、内容と対応の経過を全員で見ます。
なぜその対応をしたのか、他にやりようがあったか。
具体的な案件の話になると、議論が噛み合います。
会議の設計を、項目ごとに見ていきます。
頻度については、設計の考え方は月に1回、理由は製造業の検討期間に合う。
時間については、設計の考え方は45分以内、理由は長いと参加率が落ちる。
参加者については、設計の考え方は営業、技術、マーケティングの各1名から2名、理由は多いと議論が進まない。
議題については、設計の考え方は個別案件3件の振り返り、理由は抽象論を避ける。
決めることについては、設計の考え方は次の月に変えることを1つ、理由は変更が多いと実行されない。
記録については、設計の考え方は決めたことと理由だけ、理由は議事録の作成負担を減らす。
技術部門を必ず入れる
製造業では、技術が入らないと案件の話ができません。
営業とマーケティングだけで会議をすると、技術的な論点が飛ばされます。
技術部門の参加を前提に日程を組みます。
会議で決めたことを、1つに絞る
次の月に変えることを1つだけ決めます。多く決めると実行されず、会議への信頼が下がります。1つずつでも、年に12回変わります。
連携の話で、よく取り違えられること
仕組みを入れれば解決するという考え方が、失敗の原因になります。
先に決めるのは、誰が何を判断するかの取り決めです。
連携の改善として、案件管理の仕組みを導入する判断がよく出ます。
入れたあとに使われない例も多くあります。
仕組みが先だと、何が起きるか
入力の項目が決まり、営業に入力を求めます。
入力しても自分に返ってくるものがないため、次第に空欄が増えます。
半年後には、実態と違うデータが溜まった状態になります。
連携で取り違えられやすいことを、項目ごとに見ていきます。
仕組みを入れれば情報が集まるについては、実際に起きることは入力されず空欄が増える、先にやるべきことは返す情報を先に作る。
会議を増やせば連携が進むについては、実際に起きることは出席率が下がる、先にやるべきことは議題を個別案件にする。
リードの質を上げれば対応されるについては、実際に起きることは帰属が決まらず止まる、先にやるべきことは担当の決まりを作る。
営業に説明すれば理解されるについては、実際に起きることは一度では変わらない、先にやるべきことは評価の仕組みを確認する。
マーケが主導すれば早いについては、実際に起きることは現場が従わない、先にやるべきことは営業の責任者と共同で進める。
全件を管理すれば漏れがないについては、実際に起きることは負担で全部が止まる、先にやるべきことは対象を絞って始める。
外部に任せる場合の確認
代理店や外部の支援会社に連携の設計を任せる場合があります。
このとき、その会社が製造業の販売網の構造を理解しているかを確認します。
商社や代理店が介在する前提を知らないと、直販を前提とした設計が出てきます。
提案を受けるときに聞くこと
既存の販売網とどう共存させるかを聞きます。答えが出てこない場合は、その部分を自社で設計する必要があります。
連携の立て直しを、どの順で進めるか
帰属の決まりを作ることからです。
誰が担当するかが決まらない限り、他の改善は効きません。
連携の改善には順序があります。
順序を間違えると、やったことが積み上がりません。
連携を立て直す作業の並びを、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは帰属が決まらず止まった案件を数える、決める人はマーケティング、期間の目安は2週間。
2については、やることは振り分けの決まりを文書にする、決める人は営業の責任者、期間の目安は3週間。
3については、やることは直販と代理店の線引きを決めて開示する、決める人は経営・営業、期間の目安は1か月。
4については、やることは営業に渡す情報を1種類作る、決める人はマーケティング、期間の目安は3週間。
5については、やることは返してもらう項目を3つに絞る、決める人は営業・マーケティング、期間の目安は2週間。
6については、やることは月1回の案件振り返りの会議を始める、決める人は関係部門、期間の目安は継続。
最初に数える理由
止まった案件の数が分からないと、決まりを作る必要性が伝わりません。
数字があれば、営業の責任者も動きやすくなります。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
四半期の問い合わせが90件、そのうち担当が決まるまでに5営業日を超えたものが22件あったとします。
22件のうち商談に進んだのが2件、5営業日以内に決まった68件のうち商談に進んだのが14件なら、帰属の遅れが結果に効いていることが示せます。
この比較は、特別な仕組みがなくても日付を並べるだけで出せます。
連携の状態を示す数字を、項目ごとに見ていきます。
担当が決まるまでの日数については、見る頻度は月次、何が分かるかは帰属の決まりが機能しているか。
営業が接触した比率については、見る頻度は月次、何が分かるかは渡した案件が扱われているか。
結果が返ってきた比率については、見る頻度は月次、何が分かるかは情報の往復が続いているか。
直販と代理店の振り分け件数については、見る頻度は四半期、何が分かるかは線引きの運用状況。
拠点別の商談化率については、見る頻度は四半期、何が分かるかは拠点ごとの対応の差。
会議で決めたことの実行率については、見る頻度は四半期、何が分かるかは会議が機能しているか。
責任者を2人立てる
マーケティング側と営業側に、それぞれ担当者を決めます。
どちらか一方だけが推進すると、もう一方の部門で進みません。
2人で数字を確認する定例を、短く持ちます。
1年かけて変える前提で始める
評価の仕組みや販売網の線引きは、数か月では変わりません。
3か月で1つずつ進める計画にして、年間の予定に入れておきます。
営業との分担で判断に迷う場合は、無料相談で現状の流れを見てもらうところから始められます。案件の受け渡しごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
Web経由のリードに営業が対応してくれません
意欲の問題ではなく、担当が決まらないことと評価の仕組みが理由である場合が多くなります。帰属の決まりを営業の責任者と作り、止まった案件の数を数字で示すところから進めます。
直販と代理店の振り分けはどう決めればいいですか
既存の取引関係、地域、顧客規模、製品のいずれかを軸に決めて、代理店にも基準を開示してください。開示しないと、自分の顧客を取られたと受け取られます。
営業から案件の結果が返ってきません
先に営業が使える情報を渡してください。閲覧履歴や同業種での用途の例など、商談で使えるものを渡すと返ってきます。返してもらう項目は3つ程度に絞ります。
案件管理の仕組みを入れれば解決しますか
仕組みを先に入れると、入力されず空欄が増えます。誰が何を判断するかの取り決めと、営業に返す情報を先に作ってから、必要なら仕組みを入れる順序にします。
拠点が多く、どこが受けるか毎回もめます
所在地、製品区分、案件規模の3つで振り分けられる表を作り、当てはまらないものだけ判断に回してください。担当が決まる前でも、一次の返信は本社側が当日出します。
まとめ
- 誰の顧客かが先に決まっている事業だからです。Web経由の問い合わせが既存の担当区分と衝突すると、そこで話が止まります
- 評価の仕組みが動かない方向に働いていることがあります。何が評価されるかを確認しないまま、協力を求めても変わりません
- Web経由の問い合わせを全部直販にすると、代理店との関係が壊れます。基準を先に決めて、代理店にも開示しておく形が現実的です
- 問い合わせの内容から、どこが受けるかを機械的に決められる形を作ります。判断が必要な状態にしておくと、そのたびに止まります
- 報告を求める形は続きません。営業にとって得になる情報を先に渡すと、返ってくるようになります
- 数字の報告会にすると続きません。個別の案件を見る場にすると、両部門が参加する理由が生まれます
- 仕組みを入れれば解決するという考え方が、失敗の原因になります。先に決めるのは、誰が何を判断するかの取り決めです
- 帰属の決まりを作ることからです。誰が担当するかが決まらない限り、他の改善は効きません