
商社網と展示会への依存が、広告への依存と同じ構造で存在します。
どれか1つが止まったときに受注が止まる状態を、依存と呼びます。
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目次
目次
- 製造業が抱える依存は、広告だけではない
- 依存の測り方
- 検討の段階ごとに、効くチャネルが違う
- 製造業の検討の段階
- 展示会と通年の施策を、どう組み合わせるか
- 展示会の後に起きていること
- 商社経由と直接の接点を、どう併存させるか
- 情報の接点と、取引の経路を分ける
- 検索からの流入を、どこまで当てにできるか
- 起きている変化
- チャネルごとに、成果が出るまでの時間が違う
- 時間の違いを先に共有する
- 配分を決めるときに、間違えやすいこと
- 効率の良いチャネルに寄せ続けるとどうなるか
- 経路の見直しを、どこから始めるか
- 経路の記録が続く条件
- よくある質問
- まとめ
商社網と展示会への依存が、広告への依存と同じ構造で存在します。
どれか1つが止まったときに受注が止まる状態を、依存と呼びます。
製造業が抱える依存は、広告だけではない
商社網と展示会への依存が、広告への依存と同じ構造で存在します。
どれか1つが止まったときに受注が止まる状態を、依存と呼びます。
チャネルの分散という話は、広告費を減らして他の手段を増やす話として語られることが多くなります。
製造業では、そもそも広告の比率が小さい会社が多く、依存している先が別にあります。
依存の測り方
新規の受注が、どの経路から来たかを1年分集計します。
最大の経路が全体の何割を占めるかが、依存の度合いです。
製造業で起きがちな依存の形
商社からの紹介が新規の大半を占めている。
年に数回の展示会で得た名刺から、その年の新規がほぼ決まっている。
特定の大手顧客からの紹介で、取引先が広がってきた。
どれも、それ自体は悪いことではありません。
問題は、その経路が細ったときの代わりがないことです。
製造業の新規獲得の経路と、その性質
| 経路 | 効き方 | 止まるときの原因 | 代わりの準備 |
|---|---|---|---|
| 商社・代理店からの紹介 | 継続的 | 担当者の交代、他社への注力 | 直接の接点を持つ |
| 展示会 | 年に数回まとまって | 出展中止、来場者の減少 | 通年の接点を作る |
| 既存顧客からの紹介 | 不定期 | 顧客の事業縮小 | 紹介の依頼を仕組みにする |
| 業界誌・専門メディア | 継続的だが緩やか | 媒体の縮小 | 自社での発信 |
| 検索からの流入 | 継続的 | 検索環境の変化 | 複数の入口を持つ |
| 広告 | 止めると即座に減る | 予算の削減 | 蓄積する資産を作る |
依存から抜けるとは、やめることではない
商社経由をやめる必要はありません。商社経由が止まっても、別の経路で新規が来る状態を作ることです。既存の経路は維持したまま、2つ目と3つ目を作ります。
検討の段階ごとに、効くチャネルが違う
1つのチャネルが検討の全段階を担うことはありません。
段階と経路を対応させると、足りない部分が見えます。
チャネルの配分を考えるとき、それぞれを獲得件数で比べても判断できません。
どの段階を担っているかで並べます。
製造業の検討の段階
自社の課題に気づく段階。
解決の方法を探す段階。
候補の企業を探す段階。
候補を比較する段階。
社内で承認を取る段階。
段階と経路の対応
検討の段階と、効くチャネル
| 段階 | 相手がしていること | 効くチャネル | 効かないチャネル |
|---|---|---|---|
| 課題に気づく | 問題を認識する | 業界誌、展示会、セミナー | 指名の検索 |
| 解決方法を探す | 方式や技術を調べる | 技術解説の記事、検索 | 展示会の一日 |
| 候補を探す | 企業を探す | 検索、比較のサイト、商社 | 業界誌 |
| 比較する | 仕様と価格を比べる | 自社サイト、技術資料 | 広告 |
| 承認を取る | 社内資料を作る | 自社サイト、営業資料 | 広告 |
| 発注する | 手続きをする | 営業、商社 | すべての広告 |
抜けている段階を探す
自社の施策を表に当てはめると、どの段階に何もない状態が見えます。
多くの場合、課題に気づく段階と、社内で承認を取る段階が空白になります。
獲得の施策は、候補を探す段階に集中しがちです。
空白を埋める優先順位
承認を取る段階の空白を先に埋めます。ここは、既に関心を持っている相手に効くため、すぐに結果が出ます。課題に気づく段階は、効果が出るまでに時間がかかります。
展示会と通年の施策を、どう組み合わせるか
展示会は接点を作る場で、その後の育成は別の手段が要ります。
名刺の枚数ではなく、そのあとに何が起きたかで評価します。
製造業の販促で最も大きな費目が展示会であることは珍しくありません。
その効果の測り方が、名刺の枚数で止まっていることも多くあります。
展示会の後に起きていること
交換した名刺のうち、その場で具体的な相談があるのは一部です。
大半は、情報収集の段階で立ち寄った人です。
その人たちは、数か月後に検討を始めます。
数か月後に思い出してもらう手段
展示会の直後に一度連絡して終わると、その後の接点がありません。
定期的な情報提供を続ける手段が要ります。
メールでの技術情報の配信、自社サイトでの継続的な更新。
展示会の後の接点の作り方
| 接点の手段 | 適した相手 | 続ける負担 | 効果が出る時期 |
|---|---|---|---|
| お礼のメール | 全員 | 軽い | 直後 |
| 技術情報の定期配信 | 情報収集の段階の人 | 中くらい | 数か月後 |
| 個別の訪問 | 具体的な相談があった人 | 重い | 直後から数週間 |
| 検索で見つかる状態 | 自分で調べ直す人 | 中くらい | 数か月後 |
| 名刺情報を使った広告 | 全員 | 軽い | 数か月後 |
| 次回の展示会での再会 | 継続的に来場する人 | 展示会次第 | 1年後 |
名刺情報の扱い
取得した名刺の情報を広告に使う場合、取得時の説明と用途が合っているかの確認が要ります。
掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
展示会の評価の単位を変える
名刺の枚数ではなく、3か月後に技術的な問い合わせがあった件数で評価します。この数字で見ると、出展する展示会の選び方が変わります。
商社経由と直接の接点を、どう併存させるか
商社を飛ばす話ではなく、最終ユーザーとの情報の接点を持つ話です。
商品の情報が届く経路を増やすことで、商社の営業も動きやすくなります。
商社が販売を担う構造では、最終ユーザーと自社の間に情報の壁ができます。
この壁を、販売の経路を変えずに薄くする方法があります。
情報の接点と、取引の経路を分ける
技術情報を自社サイトで公開し、最終ユーザーが直接見られるようにします。
問い合わせが来たら、取引は商社経由で進めます。
情報は直接、取引は既存の経路という形です。
商社にとっての利害
最終ユーザーが製品を理解した状態で商談に入ると、商社の説明の負担が減ります。
自社の製品を提案しやすくなります。
この点を先に説明すると、商社の抵抗が減ります。
情報の接点を増やす手段と、商社との関係
| 手段 | 最終ユーザーへの効果 | 商社への影響 |
|---|---|---|
| 技術資料の公開 | 検討が進む | 説明の負担が減る |
| 適合表や選定の道具 | 自分で選べる | 提案が楽になる |
| 用途別の解説 | 新しい用途に気づく | 提案の幅が広がる |
| 価格の考え方の公開 | 概算が立つ | 見積もりの往復が減る |
| 商社の一覧の掲載 | 購入先が分かる | 問い合わせが増える |
| 問い合わせ窓口の設置 | 直接聞ける | 情報の共有が必要になる |
商社の一覧を載せることの効果
自社サイトに取扱商社の一覧を載せると、最終ユーザーは購入先を知ることができます。
商社にとっては、自社名が露出する利点があります。
掲載を希望する商社が増えれば、関係の強化にもなります。
直接の問い合わせをどう扱うか
サイト経由で最終ユーザーから直接問い合わせが来た場合の扱いを、先に決めておきます。商社に回すのか、直販にするのか。決めずに運用すると、案件ごとに揉めます。
検索からの流入を、どこまで当てにできるか
生成AIの普及で、検索から自社サイトに来る人の数は変わりつつあります。
入口を検索だけに置かない設計が要ります。
技術的な情報を検索で探す行動は、長く続いてきました。
その行動の一部が、生成AIとの対話に移っています。
起きている変化
Ahrefsが2026年7月16日に公表した調査では、AI Overviewsが表示される場面での検索1位のCTR下落率が、日本で2025年12月の38.0%から2026年6月には62.7%になっていました。
日本は予測CTR24.1%に対して実測が9.0%という数字も出ています。
表示されるかどうかは領域によって差があり、一律ではありません。
製造業での進み方
PRIZMAが2025年12月に実施した調査では、AI検索への対応が進んでいるのはSaaSで、製造と小売は遅れているという結果が出ています。
遅れているということは、まだ先行の余地があるということでもあります。
検索以外の入口の作り方を、項目ごとに見ていきます。
業界の専門メディアへの寄稿については、届く相手はその業界の技術者、準備の期間は数か月。
技術者向けのイベントでの発表については、届く相手は同じ課題を持つ人、準備の期間は数か月。
既存顧客からの紹介の依頼については、届く相手は似た課題を持つ企業、準備の期間は継続。
商社の営業からの紹介については、届く相手は商社が接点を持つ企業、準備の期間は継続。
メールでの情報配信については、届く相手は一度接点のあった人、準備の期間は継続。
部品の情報を扱う外部の場については、届く相手は部品を探している技術者、準備の期間は数か月。
外部の場に情報を置くかどうか
部品や製品の情報を集めた外部の場に情報を登録すると、そこ経由の問い合わせが発生します。
自社サイトへの流入とは別の入口になります。
一方で、価格での比較にさらされる面もあります。
Googleが公式に掲載しているP-MAXの事例では、MonotaROがROAS48%増、新規法人顧客44%増という結果を公表しています。産業財の領域でも運用型の広告が機能する場面があることを示す事例です。
チャネルごとに、成果が出るまでの時間が違う
広告は数週間で反応が出ますが、記事や技術資料は数か月かかります。
時間の違いを前提に配分しないと、途中でやめる判断が出ます。
複数のチャネルを同時に始めると、早く結果が出るものだけが評価されます。
遅いものが止められ、結局は広告への依存が戻ります。
時間の違いを先に共有する
それぞれのチャネルが、いつ結果が出るのかを開始前に合意します。
3か月で判断するもの、1年見るもの。
この区別がないと、すべてが3か月で評価されます。
チャネル別の成果が出るまでの期間を、項目ごとに見ていきます。
検索広告については、反応が出始める時期は数日、本格的に効く時期は1か月、やめたときの影響は即座に止まる。
ディスプレイ広告については、反応が出始める時期は数週間、本格的に効く時期は数か月、やめたときの影響は数週間で消える。
技術資料の整備については、反応が出始める時期は2か月、本格的に効く時期は6か月以降、やめたときの影響はしばらく残る。
解説記事の公開については、反応が出始める時期は3か月、本格的に効く時期は1年以降、やめたときの影響は長く残る。
展示会については、反応が出始める時期は当日、本格的に効く時期は3か月後、やめたときの影響は次回まで残る。
メールでの情報配信については、反応が出始める時期は1か月、本格的に効く時期は6か月以降、やめたときの影響は止めると細る。
外部メディアへの寄稿については、反応が出始める時期は1か月、本格的に効く時期は継続で効く、やめたときの影響は残る。
評価の周期を分ける
広告は月次、記事や資料は半期。
評価の会議の議題を分けます。
途中でやめる判断の基準を先に決める
続けるかどうかの判断基準を、開始時に決めておきます。6か月で公開した記事が何本、そのうち流入があるものが何本。基準があれば、感覚での打ち切りを避けられます。
配分を決めるときに、間違えやすいこと
獲得件数の多い順に予算を寄せると、短期のチャネルに偏ります。
件数だけでなく、検討の段階と時間軸を並べて判断します。
配分の見直しでは、効率の良いチャネルに寄せる判断が自然に出ます。
その判断を繰り返すと、構造が偏ります。
効率の良いチャネルに寄せ続けるとどうなるか
指名検索や既存顧客からの問い合わせは、獲得単価が最も安くなります。
そこに予算を寄せると、数字は良くなります。
ただし、新しい顧客との接点は増えません。
数年続けると、新規の流入源が枯れます。
配分の見直しで起きる間違いを、項目ごとに見ていきます。
効率の良い順に寄せるについては、短期の数字は良くなる、数年後に起きることは新規の入口が枯れる、代わりの見方は段階別に配分する。
件数の多い順に寄せるについては、短期の数字は良くなる、数年後に起きることは質の低い層に偏る、代わりの見方は質も含めて評価する。
成果の出ないものを止めるについては、短期の数字は変化なし、数年後に起きることは長期のチャネルが消える、代わりの見方は時間軸を分けて評価する。
新しい手法を全部試すについては、短期の数字は分散する、数年後に起きることはどれも中途半端になる、代わりの見方は2つに絞る。
既存の経路を維持し続けるについては、短期の数字は安定する、数年後に起きることは環境の変化に弱くなる、代わりの見方は2つ目を育てる。
外部に任せる場合の確認
チャネルの配分を外部に相談する場合、その相手が商社や代理店の存在を前提にしているかを確認します。
直販を前提にした配分の提案は、製造業の実態に合いません。
提案を受けるときに聞くこと
展示会と既存の販売網をどう位置づけるかを聞きます。デジタルだけで完結する提案が出てきた場合、既存の経路との関係を自社で設計する必要があります。
経路の見直しを、どこから始めるか
過去1年の新規受注が、どの経路から来たかを数えることからです。
経路別の内訳がないまま配分を議論しても、根拠がありません。
現状の把握が、配分の議論の前提になります。
営業に聞けば分かる場合もありますが、記録として残っていないことが多くなります。
経路の見直しを進める作業の並びを、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは過去1年の新規受注の経路を1件ずつ確認する、関わる部門は営業、期間の目安は3週間。
2については、やることは経路別の件数と金額を集計する、関わる部門はマーケティング、期間の目安は1週間。
3については、やることは検討の段階と経路を対応させて空白を探す、関わる部門はマーケティング、期間の目安は2週間。
4については、やることは空白のうち、優先して埋める1つを決める、関わる部門は経営・営業、期間の目安は2週間。
5については、やることはその施策の評価の時期と基準を決める、関わる部門は経営・マーケティング、期間の目安は1週間。
6については、やることは経路を記録する仕組みを営業の動線に入れる、関わる部門は営業・情報システム、期間の目安は1か月。
経路の記録が続く条件
受注の登録画面に選択肢を1つ足すだけにします。
自由記述にすると、表記がばらついて集計できません。
選択肢は6つから8つに絞ります。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
年間の新規受注が24件で、商社からの紹介が13件、展示会が6件、検索からが3件、既存顧客の紹介が2件だとします。
最大の経路が全体の54%を占めている状態です。
2年後に商社経由を12件に保ったまま、検索からを8件に増やす。
この形なら、依存の度合いが下がります。
経路の状態を見る数字を、項目ごとに見ていきます。
経路別の新規受注件数については、見る頻度は四半期、何が分かるかは依存の度合い。
経路別の平均受注金額については、見る頻度は四半期、何が分かるかは経路ごとの質。
経路別の商談化率については、見る頻度は四半期、何が分かるかは効率の比較。
最大経路の比率については、見る頻度は半期、何が分かるかは分散の進み具合。
新しい経路からの初回受注については、見る頻度は半期、何が分かるかは2つ目が育っているか。
経路が不明な件数については、見る頻度は四半期、何が分かるかは記録の精度。
最大経路の比率を、目標として置く
最大の経路が全体の何割かという数字を、年に一度確認します。
この比率を下げることを中期の目標に置くと、配分の議論が続きます。
1年で2つ目を作る計画にする
3つも4つも同時には育ちません。
1年で2つ目、次の年で3つ目という速度で計画します。
経路の配分で判断に迷う場合は、無料相談で現状の内訳を見てもらうところから始められます。接点の作り方ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
製造業のチャネル分散は何から考えればいいですか
過去1年の新規受注が、どの経路から来たかを1件ずつ確認してください。最大の経路が全体の何割かが分かれば、依存の度合いと、優先して育てる2つ目が決まります。
展示会の効果をどう測ればいいですか
名刺の枚数ではなく、3か月後に技術的な問い合わせがあった件数で測ってください。この単位にすると、出展する展示会の選び方が変わります。
商社を飛ばして直販を増やすべきですか
販売の経路を変えずに、情報の接点だけを直接持つ形が現実的です。最終ユーザーが製品を理解した状態で商談に入ると、商社の説明の負担も減ります。
記事や技術資料はいつ効果が出ますか
反応が出始めるのが2か月から3か月、本格的に効くのは半年から1年後です。広告と同じ周期で評価すると途中で止める判断が出るため、評価の会議を分けてください。
効率の良いチャネルに予算を寄せてはいけませんか
寄せ続けると数年後に新規の入口が枯れます。指名検索や既存顧客からの問い合わせは安く取れますが、新しい顧客との接点は増えません。段階別に配分を持ってください。
まとめ
- 商社網と展示会への依存が、広告への依存と同じ構造で存在します。どれか1つが止まったときに受注が止まる状態を、依存と呼びます
- 1つのチャネルが検討の全段階を担うことはありません。段階と経路を対応させると、足りない部分が見えます
- 展示会は接点を作る場で、その後の育成は別の手段が要ります。名刺の枚数ではなく、そのあとに何が起きたかで評価します
- 商社を飛ばす話ではなく、最終ユーザーとの情報の接点を持つ話です。商品の情報が届く経路を増やすことで、商社の営業も動きやすくなります
- 生成AIの普及で、検索から自社サイトに来る人の数は変わりつつあります。入口を検索だけに置かない設計が要ります
- 広告は数週間で反応が出ますが、記事や技術資料は数か月かかります。時間の違いを前提に配分しないと、途中でやめる判断が出ます
- 獲得件数の多い順に予算を寄せると、短期のチャネルに偏ります。件数だけでなく、検討の段階と時間軸を並べて判断します
- 過去1年の新規受注が、どの経路から来たかを数えることからです。経路別の内訳がないまま配分を議論しても、根拠がありません