
荷主から見ると、物流の会社の違いは分かりにくいものです。
分からない部分は比較の軸から外れ、残るのは単価と対応エリアになります。
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目次
目次
- 運べば同じに見える市場で、何が比較されているか
- 荷主は物流の専門家ではない
- 単価以外で荷主が動く理由を、どこに置くか
- 荷主の担当が抱えていること
- 設備と対応能力そのものを、差にできるか
- 温度帯と設備
- 品質を、どう見せるか
- 抽象的な表現は差にならない
- どの相手と戦っているかを、はっきりさせる
- 三つの相手
- どの荷主を狙うかを決めることが、差になる
- 業種を絞ることの効果
- 物流会社の場合、差別化の取り組みで、空回りしやすいところ
- 運用の効率の自慢になる
- 物流会社が単価以外の選ばれ方を作る進め方
- 記録がないところから始める
- よくある質問
- まとめ
荷主から見ると、物流の会社の違いは分かりにくいものです。
分からない部分は比較の軸から外れ、残るのは単価と対応エリアになります。
運べば同じに見える市場で、何が比較されているか
荷主から見ると、物流の会社の違いは分かりにくいものです。
分からない部分は比較の軸から外れ、残るのは単価と対応エリアになります。
物流会社が価格競争に巻き込まれるのは、提案の中身が悪いからではありません。
比較の軸が単価に固定されているためです。
荷主は物流の専門家ではない
荷主の側に物流の専門の部署があるとは限りません。
製造や販売の担当が兼務していることもあります。
その相手に運行の設計や庫内の生産性の話をしても、評価する基準がありません。
評価できないものは比較の軸から外れます。
単価は誰にでも比較できる
一件あたり、一個あたり、一パレットあたり。
数字が並べば、誰でも比べられます。
切り替えの負担が大きいことが、逆に効く
物流の委託先を変えるのは、荷主にとって負担の大きい決定です。
運用が止まる危険があります。
この負担があるため、単価が少し安いだけでは動きません。
動かす理由を作れるかどうかが分かれ目になります。
荷主が委託先を比べている項目
| 項目 | 荷主が知りたいこと | 自社が示せるもの |
|---|---|---|
| 単価 | 費用がいくら下がるか | 試算の内訳 |
| 対応エリアと拠点 | 自社の物流網に合うか | 拠点の配置と対応範囲 |
| 設備と温度帯 | 扱えるかどうか | 保有する設備の一覧 |
| 切り替えの負担 | 運用が止まらないか | 移行の計画と実績 |
| 品質 | 誤配と破損が増えないか | 品質の管理の仕組み |
| 繁閑への対応 | 繁忙期に回るか | 変動への対応の実績 |
| 担当者 | 誰が窓口になるか | 体制と連絡の方法 |
差別化の議論は、何を評価できるかの議論になる
荷主が評価できる形に翻訳できないかぎり、どんな強みも伝わりません。
単価以外で荷主が動く理由を、どこに置くか
費用が下がることではなく、荷主の手間が減ることです。
物流の担当が抱えている負担を減らせるかどうかで決まります。
荷主の物流の担当は、費用の削減だけを求めているわけではありません。
荷主の担当が抱えていること
複数の委託先との調整。
繁忙期の手配。
苦情への対応。
社内への説明と報告。
この負担を減らせると示せると、単価の議論から離れられます。
窓口を一本にする提案
複数の会社に分けている物流を、まとめて受ける提案。
荷主の側の調整の手間が減ります。
報告と可視化の提供
荷主が社内に説明するための資料を、こちらから用意する。
これは手間の削減として強く効きます。
荷主の手間を減らす方向
| 減らせる手間 | 自社が提供するもの | 荷主にとっての価値 |
|---|---|---|
| 複数社との調整 | 窓口の一本化 | やり取りの削減 |
| 繁忙期の手配 | 変動への対応の約束 | 手配の心配がなくなる |
| 苦情への対応 | 品質の管理と報告 | 対応の削減 |
| 社内への説明 | 実績の報告の資料 | 説明の負担の削減 |
| 在庫と出荷の把握 | 状況の可視化 | 確認の手間の削減 |
提案の中身を、荷主の担当の言葉にする
実車率や生産性といった自社の言葉ではなく、荷主が社内で説明できる言葉にします。
費用が下がらなくても選ばれる理由を作る
手間が減ることで、単価が同じでも選ばれることがあります。単価を下げない提案ができるかどうかが、粗利を守ります。
設備と対応能力そのものを、差にできるか
できます。
温度帯、拠点の配置、取得している認証は、荷主から見て確認できる違いです。
物流会社の違いのうち、外から確認できるものは限られます。
そのうち最も分かりやすいのが、設備と対応能力です。
温度帯と設備
扱える温度帯、保有する設備の種類、庫内の作業の対応範囲。
これは条件として明確で、合うか合わないかがすぐ分かります。
拠点の配置
荷主の工場や店舗の分布と、自社の拠点の配置が合うかどうか。
これは移動の距離と費用に直結します。
設備と対応能力として外に出せるもの
| 情報 | 荷主にとっての意味 | 出しやすさ |
|---|---|---|
| 拠点の所在地と床面積 | 物流網との適合 | 出しやすい |
| 対応する温度帯 | 扱えるかどうか | 出しやすい |
| 保有する車両の台数と種類 | 対応できる物量 | 出しやすい |
| 庫内の設備と作業の範囲 | 任せられる範囲 | 出しやすい |
| 取得している認証と許可 | 品質と安全の水準 | 出しやすい |
| 繁忙期の対応の実績 | 変動への耐性 | 条件付き |
設備は真似されにくい
単価は翌日にも下げられます。
しかし拠点と設備は、短期間では変えられません。
設備を活かすには人が要る
床があっても、庫内の作業をする人がいなければ受けられません。
車両があっても、ドライバーがいなければ動きません。
設備を差にするなら、人の確保が前提になります。
集客の施策より先に、採用が制約になります。
認証や許可の記載は正確に
取得している認証や許可の表示は、正確である必要があります。記載の範囲については、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
品質を、どう見せるか
誤配や破損の少なさは、数字にしないと伝わりません。
自社の実績から出した数字を、条件とともに示します。
品質の高さは、物流会社が最も主張したい部分です。
しかし言葉だけでは伝わりません。
抽象的な表現は差にならない
丁寧な取り扱い、確かな品質、安心の体制。
この種の表現は、どの会社も使っています。
自社の実績を数字にする
誤配の発生率、破損の発生率、納期の遵守率。
自社の記録から出した数字を、期間と条件とともに示します。
数字は説明のための仮の値です。
実際の数字は、自社の記録から出したものを使います。
品質として示せるものと、示し方
| 項目 | 示し方 | 注意すること |
|---|---|---|
| 誤配の発生率 | 期間と件数の分母を明記 | 条件が違うと比較できない |
| 破損の発生率 | 同上 | 荷姿によって差がある |
| 納期の遵守率 | 同上 | 荷主側の要因を分ける |
| 苦情への対応の時間 | 平均と最長 | 記録がないと出せない |
| 品質の管理の仕組み | 手順と確認の体制 | 仕組みの説明のみ |
| 改善の実績 | 何をどう直したか | 具体的な事例で示す |
記録がないと数字が出せない
品質の数字を示すには、日々の記録が要ります。
記録の仕組みがない会社は、まずそこから始めます。
他社との比較はしない
自社の数字を示すことと、他社より優れていると主張することは別です。
比較の表現については、誤認を招かない配慮が必要です。
掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
改善の実績を示す
問題が起きたときに、何をどう直したか。これは品質の水準そのものより、信頼の材料になります。
どの相手と戦っているかを、はっきりさせる
大手の物流会社と地域の同業では、荷主から見た選ばれ方が違います。
どちらと比較されているかで、出すべき材料が変わります。
差別化の議論は、誰と比べられているかが分からないと進みません。
三つの相手
全国規模の物流会社。
同じエリアの同規模の会社。
荷主の自社物流。
この三つでは、荷主が自社を選ぶ理由が違います。
物流会社が比較される相手と選ばれる理由を、項目ごとに見ていきます。
全国規模の物流会社については、相手の強みは網羅性と信用、自社が示すべきことは柔軟性と対応の速さ。
同規模の同業については、相手の強みは条件が近い、自社が示すべきことは設備と品質の中身。
荷主の自社物流については、相手の強みは管理のしやすさ、自社が示すべきことは変動への対応と費用の変動費化。
専業の特化型については、相手の強みは特定分野の深さ、自社が示すべきことは複数の機能をまとめられること。
マッチングの仕組みについては、相手の強みは価格の安さ、自社が示すべきことは継続と品質の安定。
荷主の自社物流が競合になる場合
荷主が自社で物流を持っている場合、外に出す理由を作る必要があります。
固定費が変動費になること、繁閑への対応、人の確保の負担がなくなること。
どこと比べられたかを記録する
失注のときに、どこに決まったかを聞きます。
記録が溜まると、自社が主に誰と戦っているかが見えます。
大手と同じ土俵に乗らない
全国規模の会社と網羅性で競っても勝てません。
対応の速さ、条件の柔軟さ、担当者の顔が見えること。
価格で競わない相手を選ぶ
マッチングの仕組みや価格重視の荷主とは、そもそも土俵が違います。取りに行かないという選択も、差別化の一部です。
どの荷主を狙うかを決めることが、差になる
すべての業種の荷主に対応できると言うと、何も伝わりません。
得意な業種と荷姿を決めると、そこでの実績が積み上がります。
差別化の議論は、何を強みにするかではなく、誰を狙うかの話になります。
業種を絞ることの効果
同じ業種の荷主が増えると、その業種の物流の特性に詳しくなります。
繁閑の時期、荷姿の特徴、納品先の慣習。
この知識が、次の荷主への提案の質を上げます。
荷主を絞ることで得られるものを、項目ごとに見ていきます。
業種については、得られることはその業種の物流の知識、失うものは他業種の機会。
荷姿と温度帯については、得られることは設備の専門性、失うものは扱える範囲。
物量の規模については、得られることは運用の型ができる、失うものは規模の外の案件。
エリアについては、得られることは運行の効率、失うものは遠方の案件。
求める品質の水準については、得られることは価格競争から離れる、失うものは価格重視の荷主。
絞ると効率も上がる
同じ業種の荷主が集まると、繁閑の時期が重なる危険はあります。
一方で、共同での配送や積み合わせの余地が生まれます。
業種を絞りすぎる危うさ
その業種の景気で自社の業績が振られます。
主力の業種を決めつつ、他の業種も一定の比率で持ちます。
絞った先で実績を見せる
その業種での取扱の実績を、荷主の同意を得られる範囲で示します。
同じ業種の荷主にとって、最も強い材料になります。
決めた軸を社内で共有する
狙う荷主の像が営業に共有されていないと、案件ごとに判断が変わります。一枚にまとめて、営業と現場に配ります。
物流会社の場合、差別化の取り組みで、空回りしやすいところ
自社が誇りに思っていることと、荷主が判断に使うことがずれていると空回りします。
荷主に聞くのが最も早い方法です。
差別化の議論が社内だけで進むと、実態から外れた答えに落ち着きます。
運用の効率の自慢になる
実車率や庫内の生産性は、自社の利益に効く数字です。
荷主にとっては、直接の判断材料になりません。
抽象的な言葉に落ち着く
丁寧な対応、確かな品質、地域に密着。
差になりません。
物流会社で空回りしやすい差別化を、項目ごとに見ていきます。
運用の効率の高さを掲げるについては、荷主に伝わらない理由は荷主の利益にならない、代わりに出すものは荷主の手間が減ること。
丁寧な対応を掲げるについては、荷主に伝わらない理由はどの会社も同じことを言う、代わりに出すものは苦情への対応の時間と実績。
創業からの年数を強調するについては、荷主に伝わらない理由は判断の材料にならない、代わりに出すものは同じ業種での取扱の実績。
車両の台数だけを出すについては、荷主に伝わらない理由は対応できるかが分からない、代わりに出すものは温度帯と設備と対応範囲。
すべての業種に対応と言うについては、荷主に伝わらない理由は何が得意か伝わらない、代わりに出すものは得意な業種と荷姿を絞る。
選んだ理由を、契約した荷主に聞く
契約に至った荷主に、なぜ自社を選んだかを聞きます。
社内で考えた差別化の軸と、実際の理由が違うことがよくあります。
選ばなかった理由も聞く
失注した相手に理由を聞くのは気が進みませんが、最も情報量があります。
単価だけでなく、対応の速さや説明の分かりやすさが理由のことがあります。
解約した荷主にも聞く
解約の理由は、差別化の軸を見直す最も強い材料です。自社が強みだと思っていた部分が、実際には評価されていなかったことが分かります。
物流会社が単価以外の選ばれ方を作る進め方
誰と比べられ、なぜ選ばれたかを数えるところからです。
そこが分からないまま訴求を変えても、当たりません。
差別化の取り組みは、現状の比較のされ方を知ることから始まります。
物流会社が単価以外の軸を作る進め方を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは失注した案件でどこに決まったかを記録する、関わる部署は営業、期間の目安は継続。
2については、やることは契約した荷主に選んだ理由を聞く、関わる部署は営業、期間の目安は四半期ごと。
3については、やることは解約した荷主に理由を聞く、関わる部署は営業、期間の目安は随時。
4については、やることは拠点と設備と温度帯を一覧にして外に出す、関わる部署は管理とマーケティング、期間の目安は二か月。
5については、やることは品質の記録から数字を出す、関わる部署は現場と管理、期間の目安は二か月。
6については、やることは狙う荷主の業種と荷姿を決める、関わる部署は経営、期間の目安は一か月。
7については、やることは決めた軸を一枚にして営業に配る、関わる部署はマーケティング、期間の目安は二週間。
記録がないところから始める
失注と解約の理由は、記録されていないことがほとんどです。
まず記録を始めて、四半期で傾向を見ます。
単価以外の軸の効き方を確認する数字を、項目ごとに見ていきます。
失注時に決まった相手については、見る頻度は四半期、分けて見る軸は相手の種類別、判断に使う場面は戦っている相手の把握。
選ばれた理由の内訳については、見る頻度は四半期、分けて見る軸は案件の種類別、判断に使う場面は軸の妥当性。
解約の理由の内訳については、見る頻度は四半期、分けて見る軸は理由別、判断に使う場面は評価されていない部分。
業種別の荷主の構成については、見る頻度は四半期、分けて見る軸は業種別、判断に使う場面は絞り込みの進み方。
試算の提示後の決定率については、見る頻度は四半期、分けて見る軸は物量の規模別、判断に使う場面は提案の効き方。
単価の改定の実施率については、見る頻度は半期、分けて見る軸は荷主別、判断に使う場面は価格交渉力。
一年で軸を固めようとしない
荷主への聞き取りは、数がたまるまで傾向が出ません。
四半期ごとに数件ずつ聞き続けて、一年で判断します。
軸は一つに絞らない
設備、品質、手間の削減、業種の知識。
案件の性格によって効く軸が違います。
経営が軸の決定に関わる
誰を狙うかは、どの案件を取りに行かないかの選択です。
集客の担当だけでは決められません。
採用の状況を軸の判断に入れる
人が確保できない領域を狙っても、受けられません。
狙う荷主の像を決めるときに、人の見通しを入れます。
単価以外の選ばれ方をどう作るかで判断に迷う場合は、無料相談で現状の比較のされ方を一緒に整理するところから始められます。訴求の組み立てごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
物流会社が価格競争から抜けるには何が必要ですか
荷主の手間が減ることを示すことです。複数社との調整、繁忙期の手配、苦情への対応、社内への説明。この負担を減らせると示せると、単価の議論から離れられます。
運用の効率の高さを訴求しても反応がありません
実車率や庫内の生産性は自社の利益に効く数字で、荷主の判断材料にはなりません。荷主が社内で説明できる言葉に翻訳して示してください。
品質の高さはどう見せればいいですか
誤配や破損の発生率、納期の遵守率を、期間と分母の条件とともに示してください。言葉だけでは伝わりません。記録の仕組みがない会社は、まずそこから始めます。
狙う荷主は絞るべきですか
業種と荷姿を絞ると、その業種の物流の知識が積み上がり、次の提案の質が上がります。ただしその業種の景気で業績が振られるため、主力を決めつつ他の業種も一定の比率で持ってください。
差別化の軸はどう決めればいいですか
契約した荷主に選んだ理由を、解約した荷主に離れた理由を聞いてください。社内で考えた軸と実際の理由が違うことがよくあります。四半期ごとに数件ずつ聞き続けて一年分で判断します。
まとめ
- 荷主から見ると、物流の会社の違いは分かりにくいものです。分からない部分は比較の軸から外れ、残るのは単価と対応エリアになります
- 費用が下がることではなく、荷主の手間が減ることです。物流の担当が抱えている負担を減らせるかどうかで決まります
- できます。温度帯、拠点の配置、取得している認証は、荷主から見て確認できる違いです
- 誤配や破損の少なさは、数字にしないと伝わりません。自社の実績から出した数字を、条件とともに示します
- 大手の物流会社と地域の同業では、荷主から見た選ばれ方が違います。どちらと比較されているかで、出すべき材料が変わります
- すべての業種の荷主に対応できると言うと、何も伝わりません。得意な業種と荷姿を決めると、そこでの実績が積み上がります
- 自社が誇りに思っていることと、荷主が判断に使うことがずれていると空回りします。荷主に聞くのが最も早い方法です
- 誰と比べられ、なぜ選ばれたかを数えるところからです。そこが分からないまま訴求を変えても、当たりません