
出荷と在庫と請求の記録は揃っています。
一方で、契約に至る前の引合と、荷主の担当者の情報はどこにも残っていません。
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目次
目次
- 物流会社の荷主の情報は、基幹の仕組みの中で完結している
- 記録が運用の単位になっている
- 何のために統合するのかを、一つに絞る
- 目的の候補
- 荷主の名寄せを、どこまでやるか
- 揺れの原因
- 契約の情報を、どこまで持つか
- 営業の判断に必要な最低限
- 引合の段階の情報を、どう残すか
- 残すべき六つ
- 仕組みを導入する前に、確認すること
- 入力する人にとっての利益
- データの整備で、行き詰まりやすいところ
- 基幹の仕組みとの完全な統合を目指す
- 物流会社が荷主の情報を整える進め方
- 三か月の試行で判断する
- よくある質問
- まとめ
出荷と在庫と請求の記録は揃っています。
一方で、契約に至る前の引合と、荷主の担当者の情報はどこにも残っていません。
物流会社の荷主の情報は、基幹の仕組みの中で完結している
出荷と在庫と請求の記録は揃っています。
一方で、契約に至る前の引合と、荷主の担当者の情報はどこにも残っていません。
物流会社には、情報が蓄積されていないわけではありません。
むしろ大量にあります。
ただし置かれている形が、集客と営業の判断に使えない形をしています。
記録が運用の単位になっている
出荷の実績、在庫の推移、配送の履歴、請求の明細。
どれも運用を回すための記録です。
荷主を主語にして、どの経路から来て何年続いているかを並べることはできません。
契約の前の情報が残らない
引合の段階、条件の確認、試算の提示、交渉の経過。
これらは営業の手元にあり、契約に至らなければ消えます。
部署ごとに別の台帳がある
営業は自分の手帳と表計算。
配車は運行の管理。
倉庫は在庫と入出荷の管理。
経理は請求の管理。
同じ荷主が、それぞれ違う表記で登録されています。
物流会社に散らばっている情報の置き場所
| 情報の種類 | 置かれている場所 | 主語 | 他と結びつくか |
|---|---|---|---|
| 問い合わせの内容 | フォームの受信記録 | 引合 | 結びつかない |
| 条件の聞き取りの記録 | 営業の個人の記録 | 引合 | 結びつかない |
| 試算と提案の履歴 | 営業と管理 | 引合 | 結びつかない |
| 契約の内容と条件 | 契約の管理 | 荷主 | 一部結びつく |
| 出荷と配送の実績 | 基幹の仕組み | 荷主と拠点 | 結びつく |
| 請求と入金 | 経理の管理 | 荷主 | 結びつく |
| 苦情と品質の記録 | 現場の記録 | 荷主と拠点 | 結びつかない |
| 失注した引合 | 残っていない | なし | 結びつかない |
統合の目的を先に一つ決める
すべてを一つにする話を始めると、数年かかって途中で止まります。何のために統合するのかを一つに絞ります。
何のために統合するのかを、一つに絞る
目的によって、集める情報も統合の範囲も変わります。
複数の目的を同時に置くと、どれにも足りない仕組みになります。
物流会社で情報を整理する目的は、いくつか考えられます。
目的の候補
解約の前触れに気づくこと。
契約の更新の時期を逃さないこと。
引合の質を測って集客の判断に使うこと。
既存の荷主から取引を広げること。
物流会社の統合の目的と必要になる範囲
| 目的 | 主語にする単位 | 必要な情報 | 統合の重さ |
|---|---|---|---|
| 解約の前触れに気づく | 荷主 | 物量の推移と苦情の記録 | 中程度 |
| 更新の時期を逃さない | 契約 | 更新の時期と条件 | 軽い |
| 引合の質を測る | 引合 | 入口と結果 | 軽い |
| 既存から取引を広げる | 荷主 | 拠点と事業部と他社への委託 | 中程度 |
| 運用の品質を分析する | 案件 | 作業の実績 | 重い |
| 原価と収益を分析する | 案件 | 原価の内訳 | 最も重い |
最初は最も軽いものから
契約ごとの更新の時期と条件を一覧にする。
これだけなら、表計算でも作れます。
物流会社にとって、更新の時期の記録は最も価値の高い情報です。
重いものから始めない
運用の品質の分析や原価の分析から始めると、仕組みの導入が先に立ちます。
導入して入力されずに終わる典型的な流れです。
目的が決まると、集める項目が決まる
何のためかが決まっていないと、項目が際限なく増えます。集める項目が増えるほど、入力されなくなります。
荷主の名寄せを、どこまでやるか
社名の表記の揺れと、拠点や事業部の違いを整理します。
完全を目指さず、金額の大きい相手から順に手をつけます。
荷主を主語にするには、名寄せが要ります。
揺れの原因
法人格の表記、支店や事業所の名前、旧社名、事業部の違い。
同じ会社が五通りの表記で登録されていることがあります。
拠点や事業部を分けるかどうか
同じ荷主でも、拠点や事業部ごとに別の契約になっていることがあります。
親の会社でまとめるか、契約の単位で持つか。
両方を持てる形にしておくのが実務的です。
物流会社の名寄せで判断が要る場面
| 場面 | 判断の基準 | 記録の仕方 |
|---|---|---|
| 支店や事業所名が付いている | 親の会社で一つにまとめる | 拠点は属性として持つ |
| 事業部ごとに契約が別 | 契約は分けて親でまとめる | 事業部を属性として持つ |
| 旧社名で登録されている | 現在の社名に統一する | 旧社名を別名として残す |
| 荷主と実際の出荷元が違う | 契約の相手を主語にする | 出荷元は拠点として持つ |
| 元請の物流会社経由 | 元請を主語にする | 最終の荷主を属性として持つ |
金額の大きい順に手をつける
すべての荷主を名寄せしようとすると、終わりません。
年間の売上が大きい相手から順に、上位のものだけを整理します。
今後の登録の形を先に決める
過去の整理より、これから登録するものの形を揃えるほうが先です。
表記の規則を一枚にして、入力する人に配ります。
完全な名寄せを目指さない
集計の傾向が分かればよい、という水準で止めます。
契約の情報を、どこまで持つか
更新の時期と条件と単価の履歴があれば、営業の判断には足ります。
運用の細かい条件まで持とうとすると、管理の負担が跳ね上がります。
物流会社にとって、契約は関係が続く単位です。
営業の判断に必要な最低限
契約の開始日と期間、更新の時期、月額と単価、案件の種類、対応する拠点。
この五つがあれば、いつ何をすべきかの判断ができます。
運用の条件は基幹の仕組みに残す
荷姿の詳細、納品先の一覧、作業の手順。
これは運用に必要な情報で、営業の判断には使いません。
物流会社の契約の情報として持つものと、持たないもの
| 情報 | 持つか | 置く場所 | 使う場面 |
|---|---|---|---|
| 契約の開始日と期間 | 持つ | 荷主の情報と同じ | 継続の年数 |
| 更新の時期 | 持つ | 荷主の情報と同じ | 接触の計画 |
| 月額と単価の履歴 | 持つ | 荷主の情報と同じ | 改定の交渉 |
| 案件の種類 | 持つ | 荷主の情報と同じ | 集計の軸 |
| 対応する拠点 | 持つ | 荷主の情報と同じ | 稼働の把握 |
| 荷姿と納品先の詳細 | 持たない | 基幹の仕組み | 運用に使う |
| 作業の手順 | 持たない | 現場の手順書 | 運用に使う |
| 原価の内訳 | 持たない | 経理の管理 | 営業では使わない |
単価の履歴が改定の材料になる
いつ、いくらから、いくらに変えたか。
この履歴がないと、改定の交渉の材料が作れません。
物量の推移を月次で紐づける
基幹の仕組みにある出荷の実績から、荷主ごとの月次の物量を取り出します。
これが解約の前触れを見る材料になります。
苦情の記録を営業と共有する
現場で受けた苦情が、営業に届いていないことがあります。
荷主の情報に紐づけると、解約の前に手が打てます。
個人の情報を含む記録の扱いは、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
引合の段階の情報を、どう残すか
契約した案件だけでなく、契約しなかった引合を残します。
特に契約の更新の時期は、翌年以降の接触の計画になります。
基幹の仕組みには契約した案件しか載りません。
集客の判断に必要なのは、契約しなかったもののほうです。
残すべき六つ
どの入口から来たか。
荷物の種類と物量の規模。
条件の確認に進んだか。
試算を出したか。
どうなったか。
現在の委託先の契約の更新の時期。
物流会社の引合の記録として残す項目を、項目ごとに見ていきます。
問い合わせの入口については、誰が入力するかは自動で記録、入力の時期は受信時、使う場面は入口の評価。
荷物の種類と物量の規模については、誰が入力するかは営業、入力の時期は一次対応後、使う場面は案件の分類。
条件の確認の実施については、誰が入力するかは営業、入力の時期は実施後、使う場面は引き渡しの評価。
試算の提示については、誰が入力するかは営業、入力の時期は提示後、使う場面は現場の負荷の把握。
結果と理由については、誰が入力するかは営業、入力の時期は結果が出た時点、使う場面は負けた要因の分析。
現在の委託先の更新時期については、誰が入力するかは営業、入力の時期は聞けた時点、使う場面は再接触の計画。
更新の時期の記録が最も効く
物流の契約には更新の周期があります。
今回は決まらなくても、その時期に再度接触できれば機会があります。
この情報が蓄積されていくと、翌年以降の営業の計画が立ちます。
入力の項目を増やさない
項目が十を超えると、入力されなくなります。
六つ以内に収めます。
失注の理由を選択式にする
価格、対応の範囲、実績、対応の速さ、既存の関係、その他。六つ程度の選択肢にすると、記録が残ります。
仕組みを導入する前に、確認すること
入力する人が誰で、その人に何が返るか。
この二つが決まっていないと、どの仕組みを入れても同じ結果になります。
案件の管理の仕組みを導入して、使われないまま終わる例が多くあります。
入力する人にとっての利益
営業が入力した情報が、営業に返ってこないと入力は止まります。
今月接触すべき荷主の一覧、拠点別の比較、負けた理由の内訳。
基幹の仕組みとの関係
物流会社には既に基幹の仕組みがあります。
新しいものを入れるなら、どちらを正とするかを先に決めます。
物流会社が仕組みを導入する前の確認事項を、項目ごとに見ていきます。
入力する人については、決めておく内容は役割と人数、決まっていない場合に起きることは誰も入力しない。
入力の時期については、決めておく内容はどの段階で入れるか、決まっていない場合に起きることは後回しになる。
返すものについては、決めておく内容は接触すべき荷主の一覧、決まっていない場合に起きることは入力が数か月で止まる。
基幹の仕組みとの関係については、決めておく内容はどちらを正とするか、決まっていない場合に起きることは二重入力で片方が止まる。
物量の実績の取り込みについては、決めておく内容は自動で入るか、決まっていない場合に起きることは手入力になり続かない。
現場からの接続については、決めておく内容は移動中に入力できるか、決まっていない場合に起きることは事務所に戻るまで入らない。
評価との接続については、決めておく内容は入力率を見るかどうか、決まっていない場合に起きることは優先順位が上がらない。
物量の実績は自動で取り込む
荷主ごとの月次の物量は、基幹の仕組みから取り出せます。
手入力にすると続きません。
表計算から始める選択
いきなり仕組みを買わず、契約の更新の時期の一覧を表計算で三か月運用する方法があります。
入力が続くかどうかを確かめてから、仕組みに移します。
拠点が複数あるときの統一
拠点ごとに違う形で記録していると、集計できません。形式を統一するところから始めます。
データの整備で、行き詰まりやすいところ
基幹の仕組みと統合しようとすることと、目的を決めずに集めることの二つで止まります。
使う場面から逆算します。
情報の整備の取り組みが途中で止まる原因を整理します。
基幹の仕組みとの完全な統合を目指す
運用の記録と営業の記録を一つにしようとすると、費用も期間も跳ね上がります。
必要なのは、物量の実績を月次で取り出せることだけです。
使う場面を決めずに集める
とりあえず集めておこうという進め方では、項目が増え続けます。
四半期ごとにどの数字を見るかを先に決めて、そのために必要な項目だけを集めます。
物流会社の整備でよくある行き詰まりと、代わりにやることを、項目ごとに見ていきます。
基幹の仕組みと完全に統合するについては、起きることは費用と期間が跳ね上がる、代わりにやることは物量の実績だけ月次で取り出す。
過去をすべて整理してから始めるについては、起きることは一年かかり誰も使わない、代わりにやることは直近三年と上位の荷主に絞る。
項目を増やして集めるについては、起きることは入力されなくなる、代わりにやることは六項目以内に収める。
仕組みを先に買うについては、起きることは入力されず形骸化する、代わりにやることは表計算で三か月試す。
本社だけで作るについては、起きることは拠点で使われない、代わりにやることは拠点の担当を巻き込む。
担当者が異動すると止まる
情報の整備は、担当者一人の熱意で進むことがあります。
業務の手順の中に組み込んで、人に依存しない形にします。
経営が使わないと、現場も使わない
経営の会議で使われない数字は、現場でも重視されません。
四半期の経営の場で、その数字を見る形にします。
現場の負担を増やさない
現場は日々の運行と作業で手一杯です。入力を現場に求めると、必ず止まります。基幹の仕組みから自動で取れるものは、自動にします。
物流会社が荷主の情報を整える進め方
契約の更新の時期の一覧を作るところからです。
案件の管理の仕組みは、その後で構いません。
軽いところから順に積み上げます。
物流会社が荷主の情報の整備に着手する順番を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは現在の契約の更新の時期を一覧にする、関わる部署は営業と管理、期間の目安は三週間。
2については、やることは社名の表記の規則を決めて配る、関わる部署は本社、期間の目安は二週間。
3については、やることは荷主ごとの月次の物量を取り出す形を作る、関わる部署は管理、期間の目安は一か月。
4については、やることは引合の記録の六項目を決める、関わる部署は営業とマーケティング、期間の目安は二週間。
5については、やることは表計算で三か月運用して入力を確かめる、関わる部署は営業、期間の目安は三か月。
6については、やることは入力した情報を月次で本人に返す、関わる部署は本社、期間の目安は継続。
7については、やることは続いていれば仕組みへの移行を検討する、関わる部署は経営、期間の目安は三か月後。
三か月の試行で判断する
表計算での運用が三か月続かなければ、仕組みを入れても続きません。
入力が止まる理由を先に解消します。
物流会社が整備した情報から確認する数字を、項目ごとに見ていきます。
契約の更新の時期の分布については、見る頻度は四半期、分けて見る軸は月別、判断に使う場面は接触の計画。
荷主ごとの月次の物量の推移については、見る頻度は月次、分けて見る軸は荷主別、判断に使う場面は解約の前触れ。
引合の入口別の件数と年間換算額については、見る頻度は月次、分けて見る軸は入口別、判断に使う場面は集客の判断。
条件の確認に進んだ比率については、見る頻度は月次、分けて見る軸は入口別、判断に使う場面は引き渡しの評価。
失注の理由の内訳については、見る頻度は四半期、分けて見る軸は理由別、判断に使う場面は提案の改善。
荷主の業種の構成については、見る頻度は四半期、分けて見る軸は業種別、判断に使う場面は業績の振れやすさ。
使う数字を六つに絞る
見る数字を増やすと、集める項目が増えます。
四半期に見る数字を六つに決めて、そこから逆算します。
拠点が複数あるときは、本社が形式を決める
拠点ごとに違う形式で記録されると、集計ができません。
形式は本社が決め、入力は営業が行う分担にします。
年に一度、項目を見直す
使われていない項目は削ります。
増やすだけにすると、入力の負担が積み上がります。
経営が四半期ごとに使う
更新の時期の分布と荷主の業種の構成は、経営の判断に直結します。
経営の場で使われる数字にしておくと、記録が続きます。
荷主の情報の整理で判断に迷う場合は、無料相談で現状の記録の置かれ方を一緒に整理するところから始められます。記録の仕組みごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
物流会社の顧客データは何から統合すべきですか
現在の契約の更新の時期を一覧にすることです。物流の契約には更新の周期があり、その時期が分かっていれば接触の計画が立てられます。まず表計算で作ってください。
基幹の仕組みと統合すべきですか
完全な統合を目指すと費用と期間が跳ね上がります。必要なのは荷主ごとの月次の物量を取り出せることだけです。手入力にすると続かないため、自動で取れる形にしてください。
引合の記録として何を残せばいいですか
入口、荷物の種類と物量の規模、条件の確認の実施、試算の提示、結果と理由、現在の委託先の契約の更新の時期の六つです。特に更新の時期は翌年以降の接触の計画になります。
現場に入力してもらうべきですか
現場は日々の運行と作業で手一杯なので、求めると必ず止まります。基幹の仕組みから自動で取れるものは自動にして、人が入れるのは人しか知らない情報だけにしてください。
案件管理の仕組みを導入すれば解決しますか
入力する人が誰で、その人に何が返るかが決まっていなければ数か月で止まります。今月接触すべき荷主の一覧のような、本人が使えるものを返す形にしてから導入してください。
まとめ
- 出荷と在庫と請求の記録は揃っています。一方で、契約に至る前の引合と、荷主の担当者の情報はどこにも残っていません
- 目的によって、集める情報も統合の範囲も変わります。複数の目的を同時に置くと、どれにも足りない仕組みになります
- 社名の表記の揺れと、拠点や事業部の違いを整理します。完全を目指さず、金額の大きい相手から順に手をつけます
- 更新の時期と条件と単価の履歴があれば、営業の判断には足ります。運用の細かい条件まで持とうとすると、管理の負担が跳ね上がります
- 契約した案件だけでなく、契約しなかった引合を残します。特に契約の更新の時期は、翌年以降の接触の計画になります
- 入力する人が誰で、その人に何が返るか。この二つが決まっていないと、どの仕組みを入れても同じ結果になります
- 基幹の仕組みと統合しようとすることと、目的を決めずに集めることの二つで止まります。使う場面から逆算します
- 契約の更新の時期の一覧を作るところからです。案件の管理の仕組みは、その後で構いません