
契約の総額から原価を引いた粗利が基準です。
ただし入金が数年に分かれるため、その年に使える現金の額が別の制約になります。
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目次
目次
- 入金が数年に分かれる事業で、広告費の上限はどこから出るか
- 二つの上限を並べて低いほうを取る
- 先に出ていく費用と、後から入る収入の差をどう埋めるか
- 新規が増えるほど差が広がる
- 装置と技工の原価が、契約の初期に集中することの影響
- やめた時点で損益が変わる
- 需要が動く時期に、予算をどう寄せるか
- 時期が動く理由
- 検証に回す枠を、長い治療の事業でどう置くか
- 何を見て判断するかで期間が変わる
- 稟議で、数年後の収入をどこまで根拠にしてよいか
- 完了率を掛けて示す
- 予算を増やしても契約が増えないときの読み方
- まず相談の件数が増えたかを見る
- 来期の予算を組む作業の並べ方
- 見る数字を決める
- よくある質問
- まとめ
契約の総額から原価を引いた粗利が基準です。
ただし入金が数年に分かれるため、その年に使える現金の額が別の制約になります。
入金が数年に分かれる事業で、広告費の上限はどこから出るか
契約の総額から原価を引いた粗利が基準です。
ただし入金が数年に分かれるため、その年に使える現金の額が別の制約になります。
広告費の上限を決めるとき、一件の粗利から逆算するのが基本です。
歯並びを動かす治療では、この計算に時間の要素が入ります。
契約の総額は決まっても、手元に入るのは数年に分かれるからです。
二つの上限を並べて低いほうを取る
一つは、粗利から計算した上限です。
もう一つは、その年に使える現金から計算した上限です。
後者を無視すると、契約は増えているのに資金が回らなくなります。
契約の総額から広告費の上限を導く道筋
| 順番 | 出す数字 | 考え方 |
|---|---|---|
| 1 | 一人あたりの契約の総額 | 期間の契約総額を契約人数で割る |
| 2 | 装置と外部への委託の費用 | 契約の初期に集中して発生する |
| 3 | 治療の期間にかかる人の時間の費用 | 通院の回数に一回あたりの時間の費用を掛ける |
| 4 | 一件の粗利 | 総額から上の二つを引く |
| 5 | 広告に配分する割合 | 固定費と目標利益を残した残り |
| 6 | 一件あたりの上限 | 粗利に配分の割合を掛ける |
治療の期間が長いほど原価が積み上がる
治療の期間が延びると、通院の回数が増えます。
総額が決まっている形では、延びた分だけ粗利が減ります。
一件の粗利を計算するとき、想定の期間ではなく実績の期間を使います。
仮の数字で置くときの注意
数字は説明のための仮の値です。
たとえば一人あたりの契約の総額が80万円、装置と外部への委託が20万円、通院にかかる時間の費用が20万円なら、一件の粗利は40万円です。
このうち三分の一を広告に配分すると、一件あたりの上限は約13万円という並びになります。
上限は年に一度引き直す
装置の仕入れ値、外部への委託費、人件費は動きます。治療の期間の実績も変わります。期初に必ず取り直します。
先に出ていく費用と、後から入る収入の差をどう埋めるか
広告費と装置の費用が先に出て、入金は数年に分かれます。
新規を増やすほど、その年の資金の不足が大きくなる構造です。
この事業には、成長するほど資金が苦しくなる局面があります。
契約が増えると、装置の費用と広告費が先に出ます。
入金はその後、数年かけて入ります。
新規が増えるほど差が広がる
一件あたりで見ると、初期に出る費用が大きく、初期に入る金額は総額の一部です。
件数が増えれば、この差も件数分だけ広がります。
利益が出ているのに資金が足りない状態が起きます。
一件あたりの支出と入金の時期
| 時期 | 出ていく費用 | 入ってくる金額 |
|---|---|---|
| 契約の前 | 広告費 | なし |
| 契約の月 | 装置と外部への委託の費用 | 初回の支払い分 |
| 一年目 | 通院にかかる時間の費用 | 分割の支払い分 |
| 二年目以降 | 同上 | 分割の支払い分 |
| 装置を外した後 | 後戻りを防ぐ期間の費用 | 残りの支払い分 |
支払いの方法の選択肢が資金に効く
契約の時点でまとまった額が入る形と、分割で入る形では、資金の流れが大きく違います。
分割の割合が高いほど、新規を増やしたときの資金の不足が大きくなります。
支払いの方法の内訳を、月ごとに把握しておきます。
資金の制約が広告費の上限になる場合
粗利から計算した上限が月に13万円でも、その年に使える現金が足りなければ出せません。
このとき、上限は資金の側で決まります。
経理と一緒に、その年に広告に回せる現金の額を出します。
成長の速度を選ぶ判断になる
資金の制約は、成長の速度の制約です。どこまで速く増やすかは経営の判断であり、集客側は制約を数字で示すところまでです。
装置と技工の原価が、契約の初期に集中することの影響
契約した直後に費用が出て、回収は数年かかります。
途中でやめた患者が出ると、初期の費用だけが残ります。
装置や、外部に委託して作るものの費用は、治療の初期に集中します。
一方、入金は分割で数年に分かれます。
このずれが、途中でやめた場合に効きます。
やめた時点で損益が変わる
治療の初期にやめた場合、初期の費用は出た後です。
入金は数回分しか入っていません。
一件あたりで見ると、赤字になることがあります。
やめた時期による損益への影響
| やめた時期 | 出ている費用 | 入っている金額 | 差 |
|---|---|---|---|
| 装置を付ける前 | 広告費のみ | 初回分 | 返金の扱いによる |
| 装置を付けた直後 | 広告費と装置の費用 | 初回と数回分 | 大きく不足する |
| 治療の中盤 | 上に通院の費用が加わる | 半分程度 | やや不足する |
| 治療の終盤 | ほぼ全額 | 大部分 | ほぼ回収できている |
| 後戻りを防ぐ期間 | 全額 | 全額 | 回収済み |
契約した年ごとの完了率を原価の計算に入れる
一件の粗利を計算するとき、全員が完了する前提で計算すると実態より良く見えます。
契約した年ごとの完了率を実績から出して、その分を織り込みます。
返金の扱いを先に決めておく
途中でやめたときにいくら返すかは、契約の形で決まります。
この扱いが、損益に直接効きます。
決まっていないと、案件ごとに交渉になります。
装置の種類で原価が変わる
装置の種類によって、初期にかかる費用が大きく違います。種類ごとの粗利を分けて出さないと、どの種類を増やすべきかが分かりません。
需要が動く時期に、予算をどう寄せるか
学校の長い休みの前後と、年度が変わる時期に相談が集中します。
月ごとに同じ額を置くと、動く時期に届かず、動かない時期に無駄が出ます。
この治療の相談には、時期の偏りがあります。
生活の節目と結びついているためです。
時期が動く理由
治療を始めると、しばらく見た目や話し方に変化があります。
そのため、区切りのよい時期に始めたいと考える人がいます。
学校の長い休み、年度の変わり目、進路や就職の節目が該当します。
時期ごとの需要の動きと、予算の寄せ方
| 時期 | 相談の動き | 予算の置き方 |
|---|---|---|
| 学校の長い休みの前 | 増える | 厚く置く |
| 学校の長い休みの中 | 増える | 厚く置く |
| 年度が変わる前後 | 増える | 厚く置く |
| その他の時期 | 落ち着く | 基準の額にする |
| 年末の時期 | 落ちることが多い | 薄くする |
相談から装置を付けるまでの時間差を織り込む
相談してから装置を付けるまでに、検査と診断の期間が入ります。
休みに始めたい人は、その数か月前に相談します。
広告を出す時期は、始めたい時期よりさらに前になります。
大人と子どもで動く時期が違う
保護者が決める案件は、学校の予定に沿って動きます。
本人が決める案件は、就職や結婚といった個人の節目に沿って動きます。
どちらの層が多いかで、寄せる時期が変わります。
前年の月ごとの実績から作る
一般論ではなく、自院の過去の実績から時期を決めます。商圏の性質によって、動く時期は変わります。
検証に回す枠を、長い治療の事業でどう置くか
結果が出るまでの時間が長いため、判断の時期を先に決めて始めます。
契約までを見るのか、完了までを見るのかで、必要な期間が変わります。
新しい入口や訴求を試す枠は、予算に先に組み込みます。
残ったら試すという置き方では実行されません。
何を見て判断するかで期間が変わる
契約の件数までを見るなら、数か月で判断できます。
完了率まで見るなら、数年かかります。
最初に、どこまでを見て判断するかを決めます。
年間の予算を用途ごとに割り当てる比率を、項目ごとに見ていきます。
成果が読めている入口については、割合の目安は六割から七割、判断の基準は前年の実績から契約件数が読める。
伸ばす余地のある入口については、割合の目安は二割、判断の基準は量を増やしたときの単価の変化。
新しい試みについては、割合の目安は一割から二割、判断の基準は判断に必要な件数が集まるか。
予備については、割合の目安は数パーセント、判断の基準は急な変化への対応。
判断に必要な件数を先に計算する
月に三件しか契約が出ない入口を三か月試しても、九件では判断できません。
必要な件数に届かない予算しか出せないなら、その検証は行いません。
撤退の条件を予算と一緒に決める
いつまでに何が起きなければやめるかを、始める前に書いておきます。
書いていないと、途中でやめる判断が個人の感覚になります。
完了率までを見る検証は別枠にする
数年かかる検証は、通常の予算の枠では管理できません。記録を残して、数年後に振り返る形にします。記録の残し方を決めてから始めます。
稟議で、数年後の収入をどこまで根拠にしてよいか
契約の総額までは根拠にできます。
完了する前提で計算した収入は、実績の完了率を掛けてから示します。
広告の予算を通すとき、契約の総額を成果として示します。
ただし、その総額が全部入るとは限りません。
完了率を掛けて示す
契約した年ごとの完了率を実績から出します。
その割合を掛けた金額を、見込みの収入として示します。
掛けずに示すと、後から下方修正することになります。
稟議の場で問われることと、その答え方を、項目ごとに見ていきます。
いくら使うのかについては、用意する答えは月額と年額の両方、根拠にする数字は過去の実績からの積み上げ。
何件増えるのかについては、用意する答えは相談と契約の両方の件数、根拠にする数字は段階ごとの通過率。
契約の総額はいくらかについては、用意する答えは契約件数に一人あたりの総額、根拠にする数字は過去の契約の実績。
実際に入る金額はいくらかについては、用意する答えは総額に完了率を掛けた額、根拠にする数字は契約した年ごとの完了率。
いつ入るのかについては、用意する答えは数年に分かれる形で、根拠にする数字は支払いの方法の内訳。
枠は足りるのかについては、用意する答えは通院中の患者と枠の状況、根拠にする数字は枠の使用状況。
枠の制約も同時に示す
契約を増やす計画は、枠が足りる前提で成り立ちます。
枠が埋まる時期を計算して、一緒に示します。
示さないと、承認された後で受けられないことが分かります。
未達の可能性を先に出す
どの通過率がどこまで下がると未達になるかを書いておきます。
経営層が代理店への不満として挙げる項目では、費用が成果に見合わないという回答が多く、Testifyが2026年5月に実施した調査では56.3%でした。
費用と成果の関係を先に説明しておくと、後の議論が軽くなります。
資金の制約を併せて説明する
契約が増えると、その年の資金の不足が大きくなります。この構造を説明していないと、承認された後で資金の側から止められます。
予算を増やしても契約が増えないときの読み方
相談の段階で止まっているのか、検査や契約の段階で止まっているのかを分けます。
枠が足りずに予約が先になっていることもあります。
予算を増やしたのに契約が増えないという状態には、いくつかの原因があります。
順に切り分けます。
まず相談の件数が増えたかを見る
相談が増えていないなら、入口の問題です。
商圏の中で取り切っているか、獲得の単価が上がっています。
予算を増やしたのに契約が増えない場合の切り分けを、項目ごとに見ていきます。
増えていないについては、検査に進む割合は変わらず、契約に進む割合は変わらず、考えられることは商圏内で取り切ったか単価が上がった。
増えたについては、検査に進む割合は下がった、契約に進む割合は変わらず、考えられることは相談する層が変わった。
増えたについては、検査に進む割合は変わらず、契約に進む割合は下がった、考えられることは費用や期間の伝え方が合っていない。
増えたについては、検査に進む割合は変わらず、契約に進む割合は変わらず、考えられることは検査から契約までの時間差でまだ出ていない。
増えたについては、検査に進む割合は下がった、契約に進む割合は下がった、考えられることは広く取りにいって層が変わった。
予約の枠が足りていないか確認する
相談が増えても、相談の枠が二週間先まで埋まっていれば来院しません。
予算を増やす前に、受け入れられる枠があるかを確認します。
時間差でまだ出ていないだけの場合
相談から契約まで、検査と診断の期間が入ります。
この期間を知らずに二か月で判断すると、効いている施策を止めます。
判断の時期を、予算を決める段階で合意しておきます。
契約の総額が下がっていないか
件数が増えても総額が伸びないなら、扱う内容が変わっています。装置の種類や治療の範囲の内訳を月ごとに並べます。
来期の予算を組む作業の並べ方
原価と治療の期間の実績を取り直すところからです。
期間が延びていれば、一件の粗利が想定より小さくなっています。
予算を組む作業は、金額を決める作業ではありません。
何件受け入れられて、何件取れば成り立つかを出す作業です。
来期の予算づくりの手順と着手の時期を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは装置と外部への委託の費用を取り直す、着手する時期の目安は期末の四か月前。
2については、やることは治療の期間の実績と通院の回数を出す、着手する時期の目安は期末の四か月前。
3については、やることは一人あたりの契約の総額と粗利を出す、着手する時期の目安は期末の四か月前。
4については、やることは契約した年ごとの完了率を出す、着手する時期の目安は期末の三か月前。
5については、やることは通院中の患者と枠の状況から受け入れ量を出す、着手する時期の目安は期末の三か月前。
6については、やることはその年に広告に回せる現金の額を経理と出す、着手する時期の目安は期末の三か月前。
7については、やることは月ごとの配分に時期の偏りを織り込む、着手する時期の目安は期末の二か月前。
8については、やることは検証の枠と撤退の条件を決めて稟議に出す、着手する時期の目安は期末の一か月前。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
たとえば年間の契約件数の目標を180件、一件の粗利を40万円と置くと、粗利の合計は7,200万円になります。
このうち三分の一を広告に配分すると年間2,400万円ですが、その年に使える現金が1,800万円しかなければ、上限はそちらになります。
予算の消化と採算を点検する数字を、項目ごとに見ていきます。
月ごとの消化額については、見る頻度は毎月、見るときの観点は計画との差とその理由。
相談一件あたりの獲得費用については、見る頻度は毎月、見るときの観点は上限に対してどこにいるか。
契約一件あたりの費用については、見る頻度は四半期、見るときの観点は通過率を織り込んだ実質の費用。
粗利に対する広告費の割合については、見る頻度は四半期、見るときの観点は配分の割合から外れていないか。
その年の現金の残りについては、見る頻度は四半期、見るときの観点は資金の制約に近づいていないか。
枠の使用状況については、見る頻度は毎月、見るときの観点は受け入れの余地があるか。
期中に動かしてよい範囲を決めておく
総額を期の途中で動かすのは難しい判断です。
配分の組み替えは、決めた範囲の中で随時できるようにしておきます。
どこまでを現場の判断で動かしてよいかを、稟議の段階で書いておきます。
前年の前提を記録に残す
前年に何を前提にしたかが分からないと、比較ができません。
前提として置いた通過率や完了率と、実際の結果を並べた記録を残します。
この記録が、翌年の稟議で最も強い根拠になります。
予算の置き方に迷う場合は、無料相談で原価と受け入れ量を一緒に整理するところから始められます。資金と配分の考え方ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
広告費の上限はどう決めますか
契約の総額から装置と外部への委託の費用、通院にかかる時間の費用を引いた粗利が基準です。ただし入金が数年に分かれるため、その年に使える現金から計算した上限も出し、低いほうを取ってください。
契約が増えているのに資金が足りません
装置の費用と広告費が先に出て、入金は数年に分かれるためです。新規が増えるほど差が広がります。支払いの方法の内訳を月ごとに把握し、その年に広告に回せる現金の額を経理と一緒に出してください。
途中でやめた患者は採算にどう効きますか
治療の初期にやめると、装置の費用は出た後で入金は数回分しか入っていません。一件の粗利を計算するとき、契約した年ごとの完了率を実績から出して織り込んでください。
予算は月ごとに同額でいいですか
学校の長い休みの前後と年度が変わる時期に相談が集中します。装置を付けるまでに検査と診断の期間が入るため、広告を出す時期はさらに前になります。自院の過去の実績から時期を決めてください。
稟議で数年後の収入を根拠にできますか
契約の総額までは根拠にできます。実際に入る金額は、契約した年ごとの完了率を掛けてから示してください。加えて、契約を増やすと枠がいつ埋まるかも一緒に示します。
まとめ
- 契約の総額から原価を引いた粗利が基準です。ただし入金が数年に分かれるため、その年に使える現金の額が別の制約になります
- 広告費と装置の費用が先に出て、入金は数年に分かれます。新規を増やすほど、その年の資金の不足が大きくなる構造です
- 契約した直後に費用が出て、回収は数年かかります。途中でやめた患者が出ると、初期の費用だけが残ります
- 学校の長い休みの前後と、年度が変わる時期に相談が集中します。月ごとに同じ額を置くと、動く時期に届かず、動かない時期に無駄が出ます
- 結果が出るまでの時間が長いため、判断の時期を先に決めて始めます。契約までを見るのか、完了までを見るのかで、必要な期間が変わります
- 契約の総額までは根拠にできます。完了する前提で計算した収入は、実績の完了率を掛けてから示します
- 相談の段階で止まっているのか、検査や契約の段階で止まっているのかを分けます。枠が足りずに予約が先になっていることもあります
- 原価と治療の期間の実績を取り直すところからです。期間が延びていれば、一件の粗利が想定より小さくなっています