
契約の月に総額が確定し、入金は数年に分かれます。
月次で追うべきなのは入金額ではなく、その月に確定した総額のほうです。
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目次
目次
- 契約した月に数年分の売上が決まる事業で、月次の指標が意味を持つか
- 入金額を追うと、広告の評価ができない
- 通院中の患者が枠を占め続けることを、指標にどう組み込むか
- 通院中の患者の数を主要な指標にする
- 契約の金額と、その月に入る金額のどちらを追うか
- 総額で契約する場合
- 新規の目標値は、何から逆算されるか
- 枠から積み上げる
- 表現に制約がある領域で、指標の言葉をどう扱うか
- 評価を含む言葉を指標の名前に使わない
- 相談件数を達成しても、翌年の売上が伸びない場合
- 三つの段階を分けて見る
- 途中でやめた患者を、どの数字に反映させるか
- 遡って書き換えない
- 指標を組み直す最初の三か月で何をするか
- 見る数字を決める
- よくある質問
- まとめ
契約の月に総額が確定し、入金は数年に分かれます。
月次で追うべきなのは入金額ではなく、その月に確定した総額のほうです。
契約した月に数年分の売上が決まる事業で、月次の指標が意味を持つか
契約の月に総額が確定し、入金は数年に分かれます。
月次で追うべきなのは入金額ではなく、その月に確定した総額のほうです。
歯並びを動かす治療は、数か月では終わりません。
装置を付けてから外すまでに年単位の時間がかかり、外した後も後戻りを防ぐ期間が続きます。
その間、患者は定期的に通い続けます。
契約の時点で、治療の総額が決まる形が広く行われています。
一方、支払いは分割になることが多く、実際の入金は数年に分かれます。
この二つがずれているため、どちらを月次の指標にするかで見え方が変わります。
入金額を追うと、広告の評価ができない
ある月の入金額は、その月に契約した人だけでなく、過去数年に契約した人の支払いが混ざっています。
広告の成果を測る数字としては使えません。
経営が見る数字としては必要ですが、別の集計として持ちます。
契約の月で見る集計と、入金の月で見る集計
| 観点 | 契約の月で見る | 入金の月で見る |
|---|---|---|
| 主に答える問い | 今月どれだけ受注したか | 今月いくら入ったか |
| 広告の評価 | 使える | 使えない |
| 経営への報告 | 受注の実績として使う | 資金の実績として使う |
| 確定する時期 | 契約したその月 | 数年にわたる |
| 過去の契約の影響 | 含まない | 大きく含む |
契約の総額を月次の指標に置く
その月に契約した人の総額を合計します。
これが、その月の広告と現場の成果です。
入金の予定は、経理の側の管理として別に持ちます。
途中でやめた人の扱いを決める
契約したが途中でやめた人がいると、確定したはずの総額が減ります。この分をいつ、どの数字に反映するかを先に決めておきます。決めていないと、過去の月の数字を後から書き換えることになります。
通院中の患者が枠を占め続けることを、指標にどう組み込むか
一人の患者が数年にわたって通院の枠を使い続けます。
新規を増やすほど、将来の枠が埋まっていくという構造を指標に入れます。
この事業の特徴は、患者が積み上がることです。
契約した患者は、数年間にわたって月に一度程度通い続けます。
その間、その枠は他の人には使えません。
新規を毎月同じ数だけ取り続けると、通院中の患者は増え続けます。
やがて、調整のための枠が足りなくなります。
この構造を指標に入れていないと、ある時期から急に予約が取れなくなります。
通院中の患者の数を主要な指標にする
今何人が治療中かを、月ごとに追います。
この数字が上限に近づいたら、新規の受け入れを調整する判断が要ります。
積み上がりを見るための数字
| 数字 | 求め方 | 使い道 |
|---|---|---|
| 通院中の患者の数 | 治療中の人数の合計 | 枠の上限に対する位置 |
| 月の新規の契約件数 | その月に契約した人数 | 増加の速度 |
| 月の治療完了の件数 | 装置を外した人数 | 減少の速度 |
| 純増の数 | 新規から完了を引いた数 | 積み上がりの速さ |
| 一か月の調整の枠の数 | 提供できる枠の合計 | 上限の把握 |
| 枠の使用状況 | 使った枠を提供した枠で割る | 受け入れの余地 |
純増の数で先を読む
新規から完了を引いた純増の数が、毎月続きます。
今の純増が続いたとき、何か月後に枠が埋まるかを計算できます。
この計算をしておくと、受け入れの調整が先回りでできます。
完了の件数も指標に置く
完了が進まないと、枠が空きません。
治療の期間が想定より延びていると、純増が想定より速くなります。
完了までの期間の中央値を、四半期ごとに見ます。
上限に達したときの選択肢
枠が埋まるなら、担当する人を増やすか、設備を増やすか、新規を絞るかです。どれを選ぶかは経営の判断であり、集客側は上限に達したことを数字で示すところまでです。
契約の金額と、その月に入る金額のどちらを追うか
広告の評価には契約の金額を、資金の管理には入金の金額を使います。
一つの数字で両方をまかなおうとすると、どちらの判断も鈍ります。
費用の受け取り方には、いくつかの形があります。
治療の全体を一つの金額として契約する形と、処置のたびに費用が発生する形です。
どちらを採っているかで、指標の置き方が変わります。
総額で契約する場合
契約の時点で金額が確定します。
その後の来院では、調整のための費用が別にかかる場合とかからない場合があります。
広告の成果としては、契約の総額を使います。
費用の受け取り方の違いと、指標への影響
| 受け取り方 | 金額が確定する時期 | 広告の評価に使う数字 |
|---|---|---|
| 総額で契約する | 契約の時点 | 契約の総額 |
| 処置のたびに発生する | 治療が進むにつれて | 契約時の見込み額 |
| 装置の費用と調整の費用を分ける | 装置は契約時、調整は都度 | 装置の費用と見込みの調整費 |
| 分割で支払う | 契約時に総額が決まる | 契約の総額 |
見込みで計上する場合の注意
処置のたびに費用が発生する形では、契約の時点で総額が確定しません。
見込みで計上すると、途中でやめた人の分が過大になります。
実績から出した完了率を掛けて計上する形にします。
分割の審査で契約が成立しない場合
分割の仕組みを使う場合、審査が通らないことがあります。
契約したつもりで計上した後に、成立しないことがあります。
どの時点をもって契約とするかを決めておきます。
経理と定義を合わせる
マーケティングの報告と決算の数字が食い違うと、報告のたびに説明が要ります。いつ何を計上するかを、経理と先に合わせておきます。
新規の目標値は、何から逆算されるか
枠の空きと、通える範囲の需要の小さいほうから決まります。
売上の目標から逆算した数字が、枠を超えることがあります。
目標値の決め方には、上から割り付ける方法と、受け入れられる量から積み上げる方法があります。
この事業では、後者の制約が強く効きます。
枠から積み上げる
一か月に提供できる調整の枠の数を出します。
そこから、通院中の患者が使う分を引きます。
残りが、新規を受け入れられる量です。
新規の目標を組み立てる順番
| 順番 | 決めること | 考え方 |
|---|---|---|
| 1 | 一か月の調整の枠の総数 | 担当する人の数と稼働の時間 |
| 2 | 通院中の患者が使う枠 | 治療中の人数に来院の頻度を掛ける |
| 3 | 新規に使える枠 | 総数から引いた残り |
| 4 | 完了の見込み件数 | 治療の期間から逆算する |
| 5 | 受け入れられる新規の数 | 空く枠と完了の件数から出す |
| 6 | そこから逆算した相談の件数 | 各段階の通過率で割り戻す |
需要が上限になっている場合
通える範囲で相談する人をすでに取り切っているなら、目標を上げても達成できません。
このときは、商圏を広げるか、医院を増やすかという事業側の判断になります。
前年比だけで置かない
前年比という置き方は、市場全体が動いている年には根拠になりません。
電通の発表では、2025年の日本の総広告費は8兆623億円で前年比105.1%、インターネット広告費は4兆459億円で前年比110.8%でした。
市場が伸びている局面と縮んでいる局面では、同じ伸び率の難しさが違います。
季節の波を月ごとに織り込む
需要には時期の偏りがあります。学校の長期の休みの前後、年度が変わる時期、進路や就職の節目。月ごとに同じ目標を置くと、動く時期に足りず、動かない時期に無理をします。
表現に制約がある領域で、指標の言葉をどう扱うか
社内で使う指標の名前が、外に出る文言に流れることがあります。
社内の呼び方と、外に出す言葉を分けて管理します。
医療の広告には、書ける内容の制約があります。
何が書けて何が書けないかは、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
ここで扱うのは、その制約が指標の設計にどう効くかという話です。
評価を含む言葉を指標の名前に使わない
社内資料の表現が、広告の文言や掲載のページに流れることがあります。
指標の名前に評価を含む言葉を入れると、この流出が起きやすくなります。
段階を指す事実の言葉だけにします。
社内の呼び方と、外に出す文言の分け方を、項目ごとに見ていきます。
社内の集計については、使う言葉の性質は段階の名前だけを使う、確認の担当は集客の側。
経営への報告については、使う言葉の性質は件数と金額で表す、確認の担当は集客の側と経理。
広告の文言については、使う言葉の性質は掲載できる範囲に限る、確認の担当は確認の工程を通す。
医院のページについては、使う言葉の性質は掲載できる範囲に限る、確認の担当は確認の工程を通す。
患者への説明の資料については、使う言葉の性質は医療の側が管理する、確認の担当は医療の側。
確認の工程を指標として持つ
確認にかかる日数と、確認待ちで止まっている件数を記録します。
この二つを見ていないと、施策の遅れの原因が特定できません。
治療の前後の記録や体験の扱い
治療の経過を示す記録や、通った人の記述を出せるかどうかは、この記事では判断しません。
掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
最終の判断者を決めておく
確認の工程で意見が割れたときに、誰が決めるかを先に決めます。決める人がいないと、出せるものまで止まります。
相談件数を達成しても、翌年の売上が伸びない場合
契約に至る割合が落ちているか、途中でやめる人が増えています。
相談の件数だけを見ていると、この二つに気づくのが一年遅れます。
相談の件数を達成しているのに、翌年の入金が伸びない。
この形は、量の指標だけで組んだときに起きます。
三つの段階を分けて見る
相談から精密な検査に進む割合。
検査から契約に進む割合。
契約した人が治療を完了する割合。
この三つを並べると、どこが落ちたかが見えます。
三つの割合の組み合わせから見えることを、項目ごとに見ていきます。
維持については、契約に進む割合は維持、完了する割合は維持、起きていることは想定どおり。
低下については、契約に進む割合は維持、完了する割合は維持、起きていることは相談する層が変わった。
維持については、契約に進む割合は低下、完了する割合は維持、起きていることは費用か期間の伝え方が合っていない。
維持については、契約に進む割合は維持、完了する割合は低下、起きていることは通い続けられない層が増えた。
低下については、契約に進む割合は低下、完了する割合は維持、起きていることは広く取りにいって層が変わった。
完了する割合の低下が最も遅れて出る
治療が数年かかるため、途中でやめる人の影響は数年後に出ます。
今年の契約の質が悪くても、その結果が分かるのは数年後です。
早い段階で読める指標として、装置を付けてから最初の半年の来院の継続を見ます。
相談の中身が変わっていないか
配信を広げて件数を取りにいったとき、相談する層が変わります。
この変化は、検査に進む割合に最初に出ます。
月ごとに追っておきます。
契約の金額が下がっていないか
件数も割合も維持しているのに総額が伸びないなら、扱う内容が変わっています。装置の種類や治療の範囲の内訳を、月ごとに並べます。
途中でやめた患者を、どの数字に反映させるか
契約の月に遡らず、やめた月の減少として記録します。
過去の月の数字を書き換えると、比較ができなくなります。
数年かかる治療では、途中でやめる人が一定数出ます。
転居、進学、就職、費用の事情、治療への納得の変化。
理由はさまざまです。
遡って書き換えない
契約の月の数字を後から減らすと、過去の報告と食い違います。
やめた月に、その分を減少として記録します。
契約の月の数字は、そのまま残します。
途中でやめた場合の数字の扱いを、項目ごとに見ていきます。
契約の月の総額については、扱い方は変更しない、理由は過去の報告との整合を保つ。
やめた月の記録については、扱い方は減少として記録する、理由はいつ何が起きたかが分かる。
やめた理由については、扱い方は分類して残す、理由は訴求と説明の見直しに使う。
返金が発生する場合については、扱い方はやめた月の費用として扱う、理由は資金の実績と合わせる。
完了率の計算については、扱い方は契約した年ごとに集計する、理由は年による違いが見える。
やめた理由を分類する
費用の事情、転居、治療への納得、通院の負担。
選択肢を六つ程度に固定して、担当した人が入力する形にします。
自由記述だけにすると、集計できません。
契約した年ごとに完了率を出す
全体の平均で見ると、年による違いが消えます。
契約した年ごとに、何割が完了したかを追います。
この数字が、その年の契約の質を表します。
転居による中断は質の問題ではない
転居で通えなくなる人は、獲得の仕方では防げません。分類を分けておかないと、防げるものと防げないものが混ざります。
指標を組み直す最初の三か月で何をするか
通院中の患者の数と、枠の提供量を出すところからです。
この二つが分からないと、新規の目標が置けません。
指標の設計は、現状を測る作業から始まります。
この事業では、積み上がった患者の数が最初の前提になります。
最初の三か月で揃える記録の順番を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは通院中の患者の数を出す、期間の目安は二週間。
2については、やることは一か月に提供できる調整の枠の数を出す、期間の目安は二週間。
3については、やることは通院中の患者が使っている枠の数を出す、期間の目安は二週間。
4については、やることは過去三年の相談と検査と契約の件数を揃える、期間の目安は三週間。
5については、やることは契約した年ごとの完了率を出す、期間の目安は三週間。
6については、やることはやめた理由の分類を決めて入力を始める、期間の目安は二週間。
7については、やることは目標に置く三つの数字を決めて合意する、期間の目安は二週間。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
たとえば通院中の患者が400人、月に一度来院するとして400枠を使うとします。
一か月に提供できる枠が500なら、新規と検査に使えるのは100枠です。
月に完了が10人、新規が15人なら純増は5人で、二十か月後に枠が埋まる計算になります。
月ごとと四半期ごとに見る数字を、項目ごとに見ていきます。
新規の契約件数については、見る頻度は毎月、見るときの観点は目標に対する進捗。
契約の総額については、見る頻度は毎月、見るときの観点は扱う内容が変わっていないか。
通院中の患者の数については、見る頻度は毎月、見るときの観点は上限に近づいていないか。
純増の数については、見る頻度は毎月、見るときの観点は何か月後に枠が埋まるか。
検査と契約への通過率については、見る頻度は毎月、見るときの観点は相談する層が変わっていないか。
契約した年ごとの完了率については、見る頻度は年に一度、見るときの観点はその年の契約の質。
週次では相談の件数だけを見る
通過率と金額の指標は、週単位では母数が足りず振れます。
週次で見るのは相談の件数と予約の入り方だけにします。
定義を文書にして残す
契約とはどの時点か、完了はどの状態か、通院中とは何か月以内の来院か。
文書にしておかないと、担当が変わったときに同じ名前の数字が別の意味になります。
定義を変えるときは、過去の数字も同じ定義で集計し直します。
指標の置き方が定まらない場合は、無料相談で現状の患者数と枠を一緒に整理するところから始められます。数字の取り方ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
月次の指標は入金額で見るべきですか
入金額には過去数年に契約した人の支払いが混ざるため、広告の評価には使えません。その月に契約した人の総額を広告の指標にし、入金の管理は経理の側の集計として別に持ってください。
新規を増やし続けると何が起きますか
患者が数年にわたって通院の枠を使い続けるため、通院中の人数が積み上がります。新規から完了を引いた純増の数を月ごとに追い、今の速度で何か月後に枠が埋まるかを計算しておいてください。
新規の目標はどう決めますか
一か月に提供できる調整の枠から、通院中の患者が使う分を引いた残りが上限です。売上の目標から逆算した数字が、この上限を超えることがあります。枠と需要の小さいほうで決めてください。
相談件数は達成しているのに売上が伸びません
検査に進む割合、契約に進む割合、完了する割合の三つを並べてください。検査に進む割合が落ちていれば相談する層が変わっており、完了する割合が落ちていれば通い続けられない層が増えています。
途中でやめた患者はどう記録しますか
契約の月の数字は変更せず、やめた月の減少として記録します。遡って書き換えると過去の報告と食い違います。やめた理由は六つ程度の選択肢に分類し、契約した年ごとの完了率も別に追ってください。
まとめ
- 契約の月に総額が確定し、入金は数年に分かれます。月次で追うべきなのは入金額ではなく、その月に確定した総額のほうです
- 一人の患者が数年にわたって通院の枠を使い続けます。新規を増やすほど、将来の枠が埋まっていくという構造を指標に入れます
- 広告の評価には契約の金額を、資金の管理には入金の金額を使います。一つの数字で両方をまかなおうとすると、どちらの判断も鈍ります
- 枠の空きと、通える範囲の需要の小さいほうから決まります。売上の目標から逆算した数字が、枠を超えることがあります
- 社内で使う指標の名前が、外に出る文言に流れることがあります。社内の呼び方と、外に出す言葉を分けて管理します
- 契約に至る割合が落ちているか、途中でやめる人が増えています。相談の件数だけを見ていると、この二つに気づくのが一年遅れます
- 契約の月に遡らず、やめた月の減少として記録します。過去の月の数字を書き換えると、比較ができなくなります
- 通院中の患者の数と、枠の提供量を出すところからです。この二つが分からないと、新規の目標が置けません