学習塾のマーケと営業の連携|対立が起きる理由と解き方

売る主体が校舎にあり、集める主体が本部にあるからです。
成果の責任は校舎が負うのに、手段の多くを本部が握っています。
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目次
目次
- 学習塾で、本部と校舎の対立が起きる構造
- 在籍数の責任は校舎にある
- 同じ数字を見ているのに、解釈が割れる
- 問い合わせを1件と数える地点が違う
- 校舎が本部のリードを信用しなくなる過程
- 最初は文句を言う段階
- 共通の言葉を作る
- 体験を共有指標にする
- 会議の設計を変える
- 持ち寄るものを先に決める
- 引き渡しの責任が移る地点を決める
- 日程の確定を境にする
- 指標を人事評価に結びつけるときの注意
- 体験の実施数を評価にすると何が起きるか
- 本部と校舎の連携は、どこから手をつけるか
- 連携の状態を数字で見る
- よくある質問
- まとめ
売る主体が校舎にあり、集める主体が本部にあるからです。
成果の責任は校舎が負うのに、手段の多くを本部が握っています。
学習塾で、本部と校舎の対立が起きる構造
売る主体が校舎にあり、集める主体が本部にあるからです。
成果の責任は校舎が負うのに、手段の多くを本部が握っています。
学習塾のマーケティングは、本部が広告を出し、校舎が入塾を決めるという分業になっています。
この分業は効率的ですが、責任の持ち方に歪みが残ります。
在籍数の責任は校舎にある
校舎の業績は在籍数で評価されます。
教室長は在籍数に対して責任を負っています。
ところが、問い合わせをいくつ作るかは本部が決めます。
本部は結果を見られない
本部が見えるのは、問い合わせの件数と費用です。
体験の場で何が起きたか、面談で何を話したかは見えません。
見えない部分の説明を求めると、校舎には管理されていると受け取られます。
学習塾で本部と校舎が見ているものの違い
| 見ているもの | 本部 | 校舎 |
|---|---|---|
| 時間の単位 | 月次と募集期 | 今日と今週 |
| 成果の定義 | 問い合わせと獲得単価 | 在籍数と継続 |
| 評価される対象 | 全社の効率 | 自分の校舎の数字 |
| 動かせる手段 | 媒体と予算と原稿 | 接客と時間割と講師 |
| 困っていること | 校舎ごとの率の差 | 対応の時間が足りない |
| 相手に求めること | 数字の入力と説明 | 質の高い問い合わせ |
対立は担当者の問題ではない
教室長が非協力的だから連携できない、という説明は原因を見誤っています。評価される数字が違い、見えている範囲が違う二者が、同じ目標に向かう仕組みがないだけです。
同じ数字を見ているのに、解釈が割れる
数字の定義が揃っていないからです。
本部の有効リードと、校舎が有効だと感じる連絡は、たいてい別のものを指しています。
会議で数字を並べても議論が進まないとき、多くの場合は定義がずれています。
数字そのものではなく、その数字が何を数えているかで揉めます。
問い合わせを1件と数える地点が違う
本部はフォームの送信を1件と数えます。
校舎は連絡が取れた家庭を1件と感じます。
連絡がつかない件が多いと、この二つの数字が大きく離れます。
学習塾で同じ数字の解釈が割れる場面
| 数字 | 本部の理解 | 校舎の理解 | 揃え方 |
|---|---|---|---|
| 問い合わせ数 | フォーム送信と架電の合計 | 連絡が取れた件数 | 到達したかどうかで分ける |
| 有効リード | 商圏と学年が合う件 | 入塾の見込みがある件 | 判定の条件を文書にする |
| 体験申込 | 申込フォームの完了 | 日程が確定した件 | 申込と確定を分けて数える |
| 入塾 | 契約の成立 | 通い始めた時点 | 契約日で統一する |
| 獲得単価 | 広告費を入塾数で割る | 自分の校舎の費用が不明 | 校舎別に開示する |
| 退塾 | 手続きの完了 | 通わなくなった時点 | 手続き日で統一する |
単価が校舎に開示されていない
本部が校舎別の獲得単価を持っていても、校舎に伝えていないことがあります。
教室長は、自分の校舎にいくら使われているかを知らないまま、在籍数の責任を負っています。
この状態では、費用対効果の会話が成立しません。
揃えるのは定義であって意見ではない
どちらの見方が正しいかを決める必要はありません。どちらの数字も取れるようにして、会話のときにどちらを指しているかを明示します。
校舎が本部のリードを信用しなくなる過程
使えない連絡が続くと、対応の優先度が下がります。
一度下がると、有効なリードも同じ扱いになり、元に戻りません。
本部から送られる問い合わせの質が落ちたとき、校舎の反応は段階的に変わります。
この変化は数字には現れず、気づいたときには手遅れになっています。
最初は文句を言う段階
商圏外や学年外の連絡が増えると、教室長は本部に伝えます。
ここで改善されれば、関係は保たれます。
次に、選別を始める段階
伝えても変わらないと、校舎は自分で選別を始めます。
見込みがありそうな連絡だけに時間を使い、残りは後回しにします。
このとき、判断の基準は教室長の経験になります。
学習塾で校舎が本部のリードを信用しなくなる段階
| 段階 | 校舎の行動 | 数字に出る変化 |
|---|---|---|
| 指摘する | 本部に質の低下を伝える | 変化なし |
| 選別する | 見込みの薄い件を後回しにする | 体験までの日数が延びる |
| 諦める | 新規の対応より在籍者の対応を優先 | 体験の実施率が下がる |
| 独自に動く | 校舎で独自に集客を始める | 本部の費用対効果が悪化 |
| 報告が形式化する | 入力が後追いになる | 数字の精度が落ちる |
| 本部を通さなくなる | 相談も要望も来なくなる | 問題が見えなくなる |
報告が形だけになると、判断ができなくなる
校舎が本部を信用しなくなると、入力は義務としてこなす作業になります。
後からまとめて埋めた数字は、実態とずれます。
本部はその数字で予算配分を決めるので、配分そのものが狂います。
戻すには、先に本部が動く
信用が落ちた状態で校舎に協力を求めても進みません。本部が質の条件を先に変えて、変わったことを数字で示します。
共通の言葉を作る
定義と、両者が同時に見る数字を一つ決めます。
別々の数字を持ったまま会議をしても、責任の押しつけ合いになります。
連携を作る作業の中心は、共通の言葉を用意することです。
学習塾の場合、その言葉は体験の数字になります。
体験を共有指標にする
体験の申込は本部が作り、実施は校舎が行います。
この二つをまたぐ数字だけが、両者の行動を同時に映します。
本部だけの数字でも、校舎だけの数字でもありません。
学習塾で本部と校舎が揃えるべき定義
| 用語 | 揃える内容 | 決める人 |
|---|---|---|
| 問い合わせ | どの行動を1件とするか | 本部と校舎の合意 |
| 有効リード | 商圏と学年と時期の条件 | 本部が案を出し校舎が確認 |
| 体験申込 | 申込と日程確定のどちらか | 本部と校舎の合意 |
| 体験実施 | 実際に授業を受けた時点 | 校舎 |
| 面談 | どの会話を面談とするか | 校舎 |
| 入塾 | 契約日か通塾開始日か | 本部 |
目標を分けて、指標を一つ共有する
本部は有効リードの比率と獲得単価、校舎は入塾決定率と継続率。
この上で、体験の実施数を両者の共通目標にします。
共通目標が一つあると、どちらかが落ちたときに互いに補う動きが出ます。
定義を変えるときは両者で決める
期中に定義を変えると、前後の比較ができません。変えるなら、過去の数字も新しい定義で数え直し、両者で確認します。
会議の設計を変える
報告の場ではなく、次に何をするかを決める場にします。
数字を読み上げるだけの会議は、対立を温存します。
本部と校舎の定例会議は、多くの場合、本部が数字を出して校舎が説明する形になっています。
この形だと、校舎は説明の準備に時間を使い、本部は納得するかどうかを判断する立場になります。
持ち寄るものを先に決める
会議の前に、両者が何を持ってくるかを決めておきます。
本部は配信の状況と費用、校舎は現場で起きていることです。
どちらも、その場で作れないものにします。
学習塾の本部と校舎の定例で持ち寄るものを、項目ごとに見ていきます。
本部については、内容は校舎別の有効リード比率と獲得単価、使い方は配分の見直し。
本部については、内容は媒体ごとの反応と原稿の変更点、使い方は現場の実感と突き合わせる。
校舎については、内容は体験までの日数と実施率、使い方は対応の負荷を測る。
校舎については、内容は面談で止まった理由の内訳、使い方は手前の資料を直す。
校舎については、内容は体験の受け入れ可能数の見込み、使い方は出稿量の上限を決める。
両者については、内容は前回決めたことの進捗、使い方は次の判断。
決めることを1回につき二つに絞る
議題が多いと、どれも決まらずに持ち帰りになります。
配分をどう変えるか、どの資料を作るか、といった二つに絞ります。
校舎を横に並べて比べない
会議で校舎別の率を並べると、下位の校舎が言い訳を準備するようになります。比較は同じ商圏環境の校舎どうしで行い、公開の場では全体の傾向だけを扱います。
引き渡しの責任が移る地点を決める
体験の日程が確定した時点で、責任は校舎に移ります。
この地点を決めておかないと、落ちたときに双方が相手を指します。
どこまでが本部の責任で、どこからが校舎の責任かを、段階ごとに明示します。
曖昧なまま運用すると、落ちた件が誰の担当かで揉めます。
日程の確定を境にする
問い合わせから日程が決まるまでは、本部が仕組みで支える領域です。
受付時間外の一次対応、候補日の提示、リマインドは仕組みで作れます。
日程が決まったあとは、校舎の接客の領域です。
学習塾のリードの引き渡しで責任が移る地点を、項目ごとに見ていきます。
広告から問い合わせまでについては、責任を持つ側は本部、落ちたときに見直すものは配信と原稿と受け皿。
問い合わせから初回連絡までについては、責任を持つ側は本部の仕組み、落ちたときに見直すものは受付体制と自動応答。
初回連絡から日程確定までについては、責任を持つ側は本部と校舎の共同、落ちたときに見直すものは候補日の出し方と連絡手段。
日程確定から体験実施までについては、責任を持つ側は校舎、落ちたときに見直すものはリマインドと直前の調整。
体験から面談までについては、責任を持つ側は校舎、落ちたときに見直すものは当日の案内の仕方。
面談から入塾までについては、責任を持つ側は校舎、落ちたときに見直すものは説明の内容と資料。
仕組みで支えられる部分を本部が持つ
初回連絡の速さは、教室長の努力ではなく仕組みの問題です。
受付時間外の一次対応と、候補日を自動で提示する仕掛けは本部が用意します。
ここを校舎の努力に任せると、忙しい校舎ほど落ちます。
落ちた件の振り返りを個人に向けない
誰が対応したかではなく、どの段階で落ちたかを見ます。個人に向けると、記録が正確でなくなります。
指標を人事評価に結びつけるときの注意
評価に直結させると、数字を作るための行動が出ます。
最初は会議の共通言語として使い、歪みが出ない形を確かめてから広げます。
連携の指標を評価に組み込むかどうかは、慎重に決めます。
学習塾では、評価に結びつけたときの歪み方がはっきりしています。
体験の実施数を評価にすると何が起きるか
見込みの薄い家庭でも体験に通すようになります。
実施数は増えますが、入塾決定率が下がります。
講師の時間も消費されます。
学習塾で指標を評価に結びつけたときの歪みを、項目ごとに見ていきます。
体験の実施数については、出やすい行動は見込みの薄い件も通す、受ける影響は入塾決定率が下がる。
入塾決定率については、出やすい行動は見込みの薄い件を面談に通さない、受ける影響は機会を逃す。
入塾数については、出やすい行動は短期の講習申込を優先、受ける影響は通年の在籍が伸びない。
在籍数については、出やすい行動は退塾の手続きを遅らせる、受ける影響は数字が実態とずれる。
獲得単価については、出やすい行動は安く取れる校舎だけに寄せる、受ける影響は空席の多い校舎が埋まらない。
継続率については、出やすい行動は退塾の兆候を報告しない、受ける影響は対応が遅れる。
対になる指標を並べる
一つの指標だけを評価にすると、必ず歪みます。
体験の実施数と入塾決定率、入塾数と継続率のように、対で見ます。
最初の半年は評価に使わない
定義を揃えた直後の数字は、記録の精度がまだ安定していません。半年ほど運用して、数字が実態と合っていることを確かめてから評価の議論に入ります。
本部と校舎の連携は、どこから手をつけるか
定義を揃えて文書にすることからです。
言葉が揃っていない状態で会議の形だけ変えても、議論は噛み合いません。
連携の改善は、仕組みの導入ではなく、言葉の統一から始まります。
学習塾で本部と校舎の連携を作る順番を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは問い合わせから入塾までの用語の定義を両者で決める、期間の目安は3週間。
2については、やることは校舎別の獲得単価を校舎に開示する、期間の目安は1週間。
3については、やることは体験の実施数を共通の目標として設定する、期間の目安は2週間。
4については、やることは責任が移る地点を段階ごとに明示する、期間の目安は2週間。
5については、やることは定例で持ち寄るものを決めて運用を始める、期間の目安は4週間。
6については、やることは記録の精度を確かめてから評価の扱いを議論する、期間の目安は6か月。
連携の状態を数字で見る
連携がうまくいっているかどうかは、感覚では分かりません。
校舎の行動に現れる数字を見ます。
学習塾で連携の状態を測る数字を、項目ごとに見ていきます。
初回連絡までの時間については、見る頻度は毎週、読み取ることは本部の仕組みが機能しているか。
体験までの日数については、見る頻度は毎週、読み取ることは校舎の対応の余力。
体験の実施率については、見る頻度は毎週、読み取ることは選別が始まっていないか。
記録の入力完了率については、見る頻度は毎週、読み取ることは報告が形式化していないか。
校舎からの要望の件数については、見る頻度は毎月、読み取ることは関係が開いているか。
校舎別の率のばらつきについては、見る頻度は四半期、読み取ることは配分か現場かの切り分け。
校舎からの要望が止まったら危険な兆候
要望も苦情も来なくなった校舎は、本部に期待していない可能性があります。
数字が悪くない場合でも、このときは個別に話を聞きます。
表現に関する判断は本部が引き取る
合格実績や成果に関する表現は、校舎が個別に判断すると、校舎ごとにばらつきます。
本部が基準を作り、校舎の掲示や配布物にも同じ基準を適用します。
何が言えて何が言えないかは、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
学習塾の本部と校舎の噛み合わなさが解けない場合は、無料相談で現状の数字の持ち方を見てもらうところから始められます。連携の仕組みごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
本部と校舎の対立はなぜ起きますか
在籍数の責任は校舎が負うのに、問い合わせを作る手段は本部が握っているためです。評価される数字と見えている範囲が違う二者を、同じ目標に向かわせる仕組みがないことが原因です。
校舎が本部からのリードに対応してくれません
使えない連絡が続いた結果、対応の優先度が下がっています。本部が有効の条件を先に変えて、変わったことを数字で示さないと元に戻りません。
本部と校舎の共通目標には何を置けばよいですか
体験の実施数です。申込は本部が作り、実施は校舎が行うため、両者の行動が同時に映ります。それぞれの固有の目標は別に持たせてください。
校舎別の獲得単価は校舎に開示すべきですか
開示してください。自分の校舎にいくら使われているかを知らないまま在籍数の責任を負っている状態では、費用対効果の会話が成立しません。
連携の指標を人事評価に入れてよいですか
定義を揃えた直後は記録の精度が安定していないため、半年ほどは会議の共通言語として使ってください。評価にするときは、体験の実施数と入塾決定率のように対になる指標を並べます。
まとめ
- 売る主体が校舎にあり、集める主体が本部にあるからです。成果の責任は校舎が負うのに、手段の多くを本部が握っています
- 数字の定義が揃っていないからです。本部の有効リードと、校舎が有効だと感じる連絡は、たいてい別のものを指しています
- 使えない連絡が続くと、対応の優先度が下がります。一度下がると、有効なリードも同じ扱いになり、元に戻りません
- 定義と、両者が同時に見る数字を一つ決めます。別々の数字を持ったまま会議をしても、責任の押しつけ合いになります
- 報告の場ではなく、次に何をするかを決める場にします。数字を読み上げるだけの会議は、対立を温存します
- 体験の日程が確定した時点で、責任は校舎に移ります。この地点を決めておかないと、落ちたときに双方が相手を指します
- 評価に直結させると、数字を作るための行動が出ます。最初は会議の共通言語として使い、歪みが出ない形を確かめてから広げます
- 定義を揃えて文書にすることからです。言葉が揃っていない状態で会議の形だけ変えても、議論は噛み合いません