人材紹介のマーケティング組織の作り方

求職者の集客だけを担うのか、求人企業の獲得も担うのかで、必要な人員が変わります。
ここを決めないまま採用を始めると、片側に偏った組織になります。
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目次
目次
- 人材紹介のマーケ組織は、両側を持つかどうかで形が決まる
- 求職者側は広告で伸びやすく、企業側は伸びにくい
- 最初の一人に何を担わせるか
- 最初の一人が持つべき仕事
- 職種別の事業部と、集客部門の関係
- 三つの置き方がある
- 面談を担う部門との距離をどう取るか
- 距離の取り方の目安
- 内製する機能と、外に出す機能の線引き
- 線引きの基準は二つ
- 人材紹介の現場経験者を、マーケに入れる意味
- 経験者が持ち込むもの
- 組織が育つまでの期間と、その間の評価
- 立ち上げ期の評価は、成果ではなく整備で行う
- 組織の設計を、どの順で進めるか
- 役割の文書は、一枚に収める
- よくある質問
- まとめ
求職者の集客だけを担うのか、求人企業の獲得も担うのかで、必要な人員が変わります。
ここを決めないまま採用を始めると、片側に偏った組織になります。
人材紹介のマーケ組織は、両側を持つかどうかで形が決まる
求職者の集客だけを担うのか、求人企業の獲得も担うのかで、必要な人員が変わります。
ここを決めないまま採用を始めると、片側に偏った組織になります。
人材紹介は、求職者と求人企業の両方を集めて成立する事業です。
マーケティング部門がどちらを担当するかは、会社によって違います。
決めていない会社では、求職者側だけが自然に集まります。
求職者側は広告で伸びやすく、企業側は伸びにくい
求職者の登録は、広告の投下で件数が動きます。
求人企業の獲得は、既存取引の深耕や紹介が中心で、広告からの件数は多くありません。
成果の出やすさが違うので、放っておくと人も予算も求職者側に寄ります。
両側それぞれで必要になる機能
| 担当する側 | 主な手段 | 必要な役割 | 成果が出るまで |
|---|---|---|---|
| 求職者側 | 運用型広告と検索と自社メディア | 広告運用、コンテンツ、計測 | 数か月 |
| 企業側 | 指名検索、資料、展示会、営業支援 | コンテンツ、営業資料、リスト整備 | 一年以上 |
| 両側共通 | ブランドと採用広報 | 広報、デザイン | 一年以上 |
| 両側の需給整理 | データの集計と可視化 | 分析、計測 | 数か月 |
企業側を担当しないなら、その旨を明記する
担当外であることを決めておかないと、求人が足りないときに責任の所在が曖昧になります。
担当しない代わりに、需給の可視化は引き受ける。
この線引きを文書にしておきます。
最初から両側を持つ必要はない
規模によっては、求職者側だけで手一杯になります。企業側は営業部門に残したまま、需給のデータだけを共有する形から始められます。
最初の一人に何を担わせるか
広告の運用者ではなく、数字を全段階でつなげる人を置きます。
登録から入社までの歩留まりを一人で説明できる状態が先です。
マーケティング部門を立ち上げるとき、最初に採るのは広告運用者になりがちです。
運用は外に出せますが、事業の数字を社内でつなぐ仕事は外に出せません。
最初の一人が持つべき仕事
登録から入社までの各段階の数字を集めて、どこが落ちているかを説明する。
面談を担当する部門と定義をそろえる。
予算の根拠を作って経営に説明する。
この三つが最初の仕事です。
立ち上げ期の役割の優先順位
| 順位 | 役割 | 外に出せるか | 理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | 数字の設計と説明 | 出せない | 社内の定義合わせが必要 |
| 2 | 集客対象の設計 | 出しにくい | 扱う求人の理解が要る |
| 3 | 広告の運用 | 出せる | 専門性が外にある |
| 4 | コンテンツの制作 | 出せる | 体制を作れば回る |
| 5 | 計測の実装 | 出せる | 一度作れば安定する |
運用の経験だけで採ると、事業の議論ができない
広告の運用に詳しい人を採っても、面談の実施率や推薦到達率の議論はできません。
人材紹介の業務の流れを理解している人か、それを学ぶ意思のある人が要ります。
求める要件に、このことを書いておきます。
二人目で役割を分ける
一人目が数字と設計を持ち、二人目が実行を持つ形が作りやすい順序です。逆にすると、実行はできるが方向が決まらない状態になります。
職種別の事業部と、集客部門の関係
事業部ごとに扱う職種が違えば、集客の対象も評価も変わります。
全社で一本化するか、事業部に張り付けるかを決めます。
一定の規模を超えると、職種や業界ごとに事業部が分かれます。
このとき、マーケティング部門をどこに置くかで動き方が変わります。
三つの置き方がある
全社で一つの部門にまとめる形。
事業部ごとに担当を置く形。
全社の部門を置きつつ、事業部に担当を張り付ける形。
マーケ部門の置き方と、それぞれの向き不向き
| 置き方 | 強み | 弱み | 向いている規模 |
|---|---|---|---|
| 全社に一つ | 知見が集まる、重複投資が減る | 事業部の事情に鈍くなる | 事業部が少ない |
| 事業部ごと | 職種の理解が深い | 重複投資と人材の偏りが出る | 事業部の規模が大きい |
| 併用 | 専門性と全社最適を両立 | 調整の手間がかかる | 事業部が三つ以上 |
| 外部に委託 | 立ち上げが速い | 社内に知見が残らない | 立ち上げ期のみ |
予算の持ち方を先に決める
事業部が予算を持つのか、全社が持って配分するのか。
これが決まらないと、需給の偏りを直す配分の変更ができません。
配分の裁量を全社側に少しでも残しておくと、四半期ごとの調整が可能になります。
共通の基盤は全社で持つ
計測の仕組み、データの定義、サイトの構造。これを事業部ごとに作ると、後で統合できません。専門性は事業部に、基盤は全社に置きます。
面談を担う部門との距離をどう取るか
同じ数字を見る場を持ちつつ、指揮系統は分けます。
近すぎると集客が面談の都合に従属し、遠すぎると情報が戻りません。
集客部門が面談部門の下に置かれると、短期の面談枠を埋める作業が優先されます。
独立させすぎると、面談で分かったことが戻ってきません。
距離の取り方の目安
指揮系統は分ける。
数字を見る場は共有する。
面談記録の一部項目は集客側が設計する。
この三つが成り立っていれば、距離としては適切です。
集客部門と面談部門の関係の作り方
| 要素 | 望ましい状態 | 崩れたときに起きること |
|---|---|---|
| 指揮系統 | 分かれている | 短期の枠埋めに従属する |
| 評価指標 | 一部を共有 | 接点の問題が放置される |
| 会議 | 月次で同席 | 同じ数字を別々に解釈する |
| 面談記録 | 集客側が項目を設計 | 集客に戻る情報がなくなる |
| 定義 | 共通の文書がある | 数字の意味がずれる |
共有する指標を一つだけ持つ
推薦数のように、両方の関与がないと出ない数字を一つ置きます。
すべてを共有すると、どちらも当事者意識を持ちません。
一つに絞ります。
面談担当の経験を、集客側に引き入れる
面談を担当していた人がマーケティング側に移ると、対象設計の精度が上がります。どの登録が噛み合わないかを、実感として知っているからです。異動の道筋を作っておきます。
内製する機能と、外に出す機能の線引き
事業の理解が要る仕事は内に置き、専門性が外にある仕事は外に出します。
この線引きを固定せず、年に一度見直します。
全部を内製しようとすると、採用が追いつきません。
全部を外に出すと、社内に判断できる人がいなくなります。
線引きの基準は二つ
その仕事に自社の事業の理解が要るかどうか。
その仕事の専門性が社外にあるかどうか。
この二軸で分けます。
機能ごとの内製と外注の判断を、項目ごとに見ていきます。
集客対象の設計については、事業理解の必要度は高い、専門性の所在は社内、置き場所は内製。
数字の設計と報告については、事業理解の必要度は高い、専門性の所在は社内、置き場所は内製。
広告の運用については、事業理解の必要度は中くらい、専門性の所在は社外、置き場所は外注か併用。
クリエイティブ制作については、事業理解の必要度は中くらい、専門性の所在は社外、置き場所は外注。
コンテンツの企画については、事業理解の必要度は高い、専門性の所在は社内、置き場所は内製。
記事の執筆については、事業理解の必要度は中くらい、専門性の所在は社外、置き場所は外注。
外に出すときも、判断の材料は内に持つ
運用を外に出しても、何を見て良し悪しを判断するかは社内で決めます。
判断の基準まで外に預けると、説明できない状態になります。
Testifyが二〇二六年五月に実施した調査では、代理店を利用する企業の約二割が不満を持ち、マーケティング責任者では成果不振の説明が不十分という回答が五三・一%でした。
年に一度、線引きを引き直す
組織が育てば内製できる範囲が広がります。外注の内容も変わります。固定すると、実態と合わなくなります。
人材紹介の現場経験者を、マーケに入れる意味
扱う求人と求職者の噛み合いは、現場の経験がないと判断できません。
広告の知識より、この判断のほうが成果に効きます。
広告の設定はある程度まで外部の専門性で補えます。
補えないのは、どの求職者が自社の求人と噛み合うかの判断です。
経験者が持ち込むもの
面談で何を聞いているか。
どういう条件だと推薦が通らないか。
どの職種で求人が不足しているか。
これらは資料では伝わりません。
現場経験者が集客側で担える仕事を、項目ごとに見ていきます。
集客対象の定義については、効き方は噛み合わない登録を減らす、習得に要する広告知識は少ない。
訴求の検証については、効き方は面談での反応と突き合わせる、習得に要する広告知識は少ない。
求人との需給の整理については、効き方は配分の根拠を作る、習得に要する広告知識はほとんど不要。
面談記録の項目設計については、効き方は戻る情報の精度が上がる、習得に要する広告知識は不要。
広告の運用については、効き方は外注と併用で担える、習得に要する広告知識は多い。
広告の知識は後から補える
運用の知識は研修と実務で身につきます。
現場の判断は、外から採っても短期では身につきません。
採用の順序としては、現場経験者を先に入れるほうが早く立ち上がります。
異動で入る人に、数字の言語を渡す
現場から移った人は、数字の設計に慣れていないことがあります。段階ごとの率の見方と、率と件数の関係を先に共有します。ここを飛ばすと、感覚での議論に戻ります。
組織が育つまでの期間と、その間の評価
立ち上げから成果が数字に出るまでに、半年から一年かかります。
その間を何で評価するかを先に決めておきます。
人材紹介では、登録から入社まで数か月かかります。
マーケティング部門を立ち上げても、売上への寄与が見えるのはさらに先です。
立ち上げ期の評価は、成果ではなく整備で行う
数字が取れる状態になったか。
定義が文書になったか。
需給の偏りが可視化されたか。
最初の半年はこれで評価します。
立ち上げからの期間と、見る内容を、項目ごとに見ていきます。
最初の三か月については、見る内容は計測と定義の整備、見ない内容は決定数への寄与。
四か月から六か月については、見る内容は登録の質と面談実施率、見ない内容は売上の増減。
七か月から十二か月については、見る内容は推薦到達率と決定数、見ない内容は前年比の大幅な成長。
一年以降については、見る内容は決定あたり単価と粗利、見ない内容は整備の進捗。
成果の説明を、先に用意しておく
半年後に何を報告するかを、立ち上げの時点で決めます。
決めておかないと、三か月目に決定数を聞かれて答えられません。
期待値の調整は、最初の一か月の仕事です。
採用は段階的に行う
最初から五人を採ると、仕事の分け方が決まる前に人が余ります。一人が担える範囲を確認しながら増やします。人材紹介の会社は採用に慣れているので、この点は進めやすい面があります。
組織の設計を、どの順で進めるか
担当する範囲を決めるところから始めます。
範囲が決まらないと、必要な人数も役割も決まりません。
組織の議論は、人数から始めると決まりません。
何を担うかを先に決めます。
マーケ組織を立ち上げる進め方を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは求職者側と企業側のどちらを担うか決める、期間の目安は二週間。
2については、やることは事業部との関係と予算の持ち方を決める、期間の目安は二週間。
3については、やることは最初の一人の役割を文書にする、期間の目安は一週間。
4については、やることは内製と外注の線引きを決める、期間の目安は二週間。
5については、やることは面談部門との会議と共有指標を決める、期間の目安は二週間。
6については、やることは半年後の評価項目を合意する、期間の目安は一週間。
役割の文書は、一枚に収める
何を決める権限があり、何を報告し、何で評価されるか。
これが一枚にまとまっていれば、採用も評価も進みます。
長い職務記述書は読まれません。
組織の状態を確認する項目を、項目ごとに見ていきます。
段階別の数字が揃っているかについては、確認の頻度は毎月、判断の内容は整備が進んでいるか。
定義の文書が最新かについては、確認の頻度は四半期、判断の内容は運用と合っているか。
外注の範囲が実態と合っているかについては、確認の頻度は半期、判断の内容は線引きを引き直すか。
面談部門との会議が機能しているかについては、確認の頻度は四半期、判断の内容は議題が決まっているか。
一人あたりの担当範囲については、確認の頻度は半期、判断の内容は増員の必要があるか。
組織を作る目的を、集客の効率に限定しない
集客の効率だけを目的にすると、広告の運用部隊になります。
需給の可視化と、事業判断の材料を作ることまでを目的に含めます。
この差が、二年後の位置づけを変えます。
引き継ぎを前提に作る
担当が変われば数字の意味が変わる状態は、組織とは呼べません。
定義、経路、判断の根拠を残す習慣を最初から作ります。
マーケティング組織をどう置くか判断が固まらない場合は、無料相談で現在の体制を見てもらうところから始められます。役割の分担ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
人材紹介のマーケ部門は求人企業の獲得も担うべきですか
担うかどうかを先に決めてください。求職者側は広告で件数が動き、企業側は成果が出るまで一年以上かかるため、決めないと自然に求職者側へ人と予算が偏ります。
最初に採用すべきはどんな人ですか
広告の運用者ではなく、登録から入社までの数字を全段階でつなげて説明できる人です。運用は外に出せますが、社内の定義合わせと予算の説明は外に出せません。
事業部ごとにマーケ担当を置くべきですか
事業部が三つ以上あるなら、全社の部門を置きつつ事業部に担当を張り付ける形が扱いやすくなります。計測とデータの定義は全社で持ち、職種の専門性を事業部に置いてください。
面談部門の下にマーケ部門を置いてよいですか
指揮系統を同じにすると、短期の面談枠を埋める作業が優先されます。指揮系統は分け、数字を見る場と共有指標だけを持つ形が適しています。
立ち上げから成果が出るまでどのくらいかかりますか
登録から入社まで数か月かかるため、売上への寄与が見えるのは半年から一年後です。最初の半年は計測と定義の整備で評価する取り決めを、立ち上げ時に合意しておいてください。
まとめ
- 求職者の集客だけを担うのか、求人企業の獲得も担うのかで、必要な人員が変わります。ここを決めないまま採用を始めると、片側に偏った組織になります
- 広告の運用者ではなく、数字を全段階でつなげる人を置きます。登録から入社までの歩留まりを一人で説明できる状態が先です
- 事業部ごとに扱う職種が違えば、集客の対象も評価も変わります。全社で一本化するか、事業部に張り付けるかを決めます
- 同じ数字を見る場を持ちつつ、指揮系統は分けます。近すぎると集客が面談の都合に従属し、遠すぎると情報が戻りません
- 事業の理解が要る仕事は内に置き、専門性が外にある仕事は外に出します。この線引きを固定せず、年に一度見直します
- 扱う求人と求職者の噛み合いは、現場の経験がないと判断できません。広告の知識より、この判断のほうが成果に効きます
- 立ち上げから成果が数字に出るまでに、半年から一年かかります。その間を何で評価するかを先に決めておきます
- 担当する範囲を決めるところから始めます。範囲が決まらないと、必要な人数も役割も決まりません