
求人企業から見ると、どの紹介会社も同じ工程で同じ形のサービスを提供しているように見えます。
違いが伝わらなければ、残る判断材料は手数料の率になります。
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目次
目次
- 人材紹介で価格競争が起きるのは、比べる材料が手数料しかないから
- 比べられているのは、率だけではない
- 差別化を、何の軸で作るかを決める
- 領域を狭くする
- 領域を狭くする判断を、どう下すか
- 領域ごとの採算を並べる
- 工程の速さを、どこで作るか
- 待ち時間を測る
- 入社後の成果で評価される状態を作る
- 入社後に何をするか
- 差別化を、求職者側と企業側の両方に伝える
- 求職者に伝わる形
- 差別化が定着しているかを、どう確認するか
- 効いているときに動く数字
- 差別化の設計を、どこから始めるか
- 決めるのは経営の仕事
- よくある質問
- まとめ
求人企業から見ると、どの紹介会社も同じ工程で同じ形のサービスを提供しているように見えます。
違いが伝わらなければ、残る判断材料は手数料の率になります。
人材紹介で価格競争が起きるのは、比べる材料が手数料しかないから
求人企業から見ると、どの紹介会社も同じ工程で同じ形のサービスを提供しているように見えます。
違いが伝わらなければ、残る判断材料は手数料の率になります。
求人企業が複数の紹介会社と取引することは珍しくありません。
同じ求人を複数社に出し、来た候補者を比べます。
このとき、サービスの違いが伝わっていなければ、条件の話に落ちます。
比べられているのは、率だけではない
実際には、推薦の精度や対応の速さも比べられています。
ただし、これらは取引を始めてみないと分かりません。
取引前の段階では、目に見える条件が判断の中心になります。
求人企業が紹介会社を選ぶときに見ているもの
| 判断の材料 | 取引前に分かるか | 差がつきやすいか |
|---|---|---|
| 手数料の率 | 分かる | つきにくい |
| 返戻の条件 | 分かる | つきにくい |
| 扱っている職種の深さ | 部分的に分かる | つきやすい |
| 推薦の精度 | 取引後に分かる | つきやすい |
| 対応の速さ | 取引後に分かる | つきやすい |
| 入社後の定着支援 | 部分的に分かる | つきやすい |
求職者側でも同じことが起きる
求職者から見ても、複数のサービスの違いは分かりにくいものです。
扱う求人の数を競えば大手が有利になります。
違いを作る場所を、求人数以外に置く必要があります。
率を下げる判断は、粗利を直接削る
手数料の率を下げると、一件あたりの粗利がそのまま減ります。成功報酬の事業では、この減少を件数で取り返すのが難しい構造です。面談の枠に上限があるからです。
差別化を、何の軸で作るかを決める
扱う領域の狭さ、工程の速さ、入社後の成果。
この三つのどれを軸にするかで、必要な投資も伝え方も変わります。
差別化の議論は、何を強みとするかを一つに決めないと進みません。
三つの軸があり、それぞれ性質が違います。
領域を狭くする
特定の職種、特定の業界、特定の年収帯に絞ります。
その領域での求人の数と、業界の理解で優位を作ります。
狭くするほど、その領域での指名が取りやすくなります。
工程を速くする
推薦までの日数、書類回答までの日数、内定までの日数。
採用を急いでいる企業にとって、この速さは条件に匹敵する価値を持ちます。
速さは体制の設計で作れます。
入社後の成果で差をつける
定着率や、入社後の活躍の度合いで評価される状態を作ります。
実績を示すには時間がかかりますが、一度作れば模倣されにくい強みになります。
三つの差別化の軸と、その性質
| 軸 | 作るのにかかる時間 | 模倣のされにくさ | 必要な投資 |
|---|---|---|---|
| 領域を狭くする | 中くらい | 中くらい | 人材と求人の開拓 |
| 工程を速くする | 短い | 低い | 体制と仕組み |
| 入社後の成果 | 長い | 高い | 定着支援の設計 |
| 価格を下げる | すぐ | 低い | 粗利の減少 |
三つを同時に追わない
すべてを強みにしようとすると、どれも中途半端になります。一つを選び、他は平均的な水準を保ちます。選ばないことが、差別化の実体です。
領域を狭くする判断を、どう下すか
撤退する領域を決める判断とセットになります。
狭くすると決めた時点で、いまの売上の一部を捨てることになります。
特化の話は、増やす話としては進みません。
何をやめるかを決めて初めて、資源が集まります。
領域ごとの採算を並べる
職種や業界ごとに、決定数と決定単価と面談の工数を並べます。
工数あたりの粗利が低い領域が見えてきます。
この表がないまま特化を議論すると、印象で決まります。
領域ごとの採算を比べる観点
| 観点 | 見る数字 | 判断への使い方 |
|---|---|---|
| 決定の件数 | 年間の決定数 | 規模があるか |
| 一件あたりの粗利 | 手数料から原価を引いた額 | 採算が合うか |
| 面談から決定までの工数 | 一件あたりの時間 | 効率が良いか |
| 求人の充足度 | 推薦できる求人の数 | 供給の制約があるか |
| 競合の強さ | 指名検索の状況 | 勝てる見込みがあるか |
捨てる領域の扱いを決める
すぐに停止すると、既存の取引先に迷惑がかかります。
新規の獲得を止めて、既存の案件は対応を続ける形が現実的です。
この移行に一年程度を見込みます。
狭くした後の集客は、対象がはっきりする
領域が狭ければ、広告の対象も検索の狙いも明確になります。結果として、集客の効率が上がることが多くなります。特化の効果は、事業側だけでなく集客側にも出ます。
工程の速さを、どこで作るか
速さは気合いではなく、待ち時間の設計で決まります。
どこで何日止まっているかを測れば、短縮できる場所が分かります。
推薦までの日数が短いことは、採用を急ぐ企業にとって明確な価値です。
この速さは、各工程の待ち時間を削ることで作られます。
待ち時間を測る
登録から面談まで、面談から推薦まで、推薦から書類回答まで。
それぞれの日数を分布で見ます。
平均だけを見ると、極端に遅い一部が隠れます。
工程ごとの待ち時間と、短縮の手段
| 工程 | 止まる理由 | 短縮の手段 |
|---|---|---|
| 登録から面談 | 連絡がつかない、枠がない | 接触の速さと枠の確保 |
| 面談から推薦 | 求人を探す時間 | 職種別の求人の整理 |
| 推薦から書類回答 | 企業側の都合 | 回答期限の事前合意 |
| 書類通過から面接 | 日程調整 | 候補日の事前確保 |
| 内定から承諾 | 本人の検討 | 意思の確認の設計 |
企業側の工程も、交渉の対象になる
書類の回答が遅い企業では、良い候補者が他社に決まります。
これは企業にとっても損失です。
回答の期限を取引の条件として事前に合意する方法があります。
速さを外に伝える
速いことを実績として示せなければ、差別化になりません。自社の平均日数を把握して、提案の場で示せる状態にします。数字は自社の実績から出したものだけを使います。
入社後の成果で評価される状態を作る
定着と活躍は、取引の継続に直結します。
返戻を減らすだけでなく、次の依頼が来る理由になります。
入社して終わりの関係だと、毎回ゼロから競合と比べられます。
入社後の成果まで見ている会社は、次の依頼で指名されます。
入社後に何をするか
入社後の一定期間、本人と企業の双方に定期的な接点を持ちます。
不一致が起きていれば早く把握できます。
この運用は、返戻の防止と再利用の起点を兼ねます。
入社後の接点がもたらすものを、項目ごとに見ていきます。
入社した本人については、得られるものは定着の状況、不一致の兆候、事業への効き方は返戻の防止と再利用。
受け入れた企業については、得られるものは満足度、次の採用計画、事業への効き方は継続取引と追加の依頼。
本人の周囲については、得られるものは知人への紹介の可能性、事業への効き方は獲得費用のかからない登録。
社内の面談担当については、得られるものは推薦の精度の振り返り、事業への効き方は次の推薦の質が上がる。
費用がかかることを前提に設計する
入社後の接点は、売上にならない工数です。
どの規模の案件に対して行うかを決めておかないと、際限なく広がります。
一件あたりの粗利が大きい領域から始めるのが現実的です。
成果を示すときの表現に注意する
定着率や活躍の度合いを広告で示す場合、根拠の示し方に決まりがあります。内容は変わることがあるため、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。自社の実績以外の数字を使わないことは、最低限の前提です。
差別化を、求職者側と企業側の両方に伝える
片側にだけ伝えても、需給の片方しか動きません。
伝え方は両側で変える必要があります。
差別化の内容は同じでも、求職者に伝わる言い方と企業に伝わる言い方は違います。
同じ資料を両側に使うと、どちらにも刺さりません。
求職者に伝わる形
その領域での求人の質と、相談で得られる情報の深さ。
選考の通過につながる支援の具体性。
抽象的な表現より、何が得られるかを具体的に書きます。
企業に伝わる形
その領域の候補者の母集団と、推薦の精度と、工程の速さ。
採用の計画に対して何が解決するかを書きます。
同じ強みを、両側でどう言い換えるかを、項目ごとに見ていきます。
領域の狭さについては、求職者への伝え方はその分野の求人が集まっている、企業への伝え方はその分野の候補者に届く。
工程の速さについては、求職者への伝え方は選考が早く進む、企業への伝え方は採用の期間が短くなる。
入社後の支援については、求職者への伝え方は入社後も相談できる、企業への伝え方は定着まで見てもらえる。
業界の理解については、求職者への伝え方は話が通じる、企業への伝え方は要件のすり合わせが速い。
伝える場所を分ける
求職者向けの情報と企業向けの情報を、同じページに混ぜないほうが伝わります。検索で来る意図も違います。サイトの構造の段階で分けます。
差別化が定着しているかを、どう確認するか
指名での問い合わせの割合と、手数料の水準で分かります。
差別化が効いていれば、率の交渉が減ります。
差別化の効果は、売上の増減だけでは判断できません。
市場の動きと混ざるからです。
効いているかどうかは、別の数字に現れます。
効いているときに動く数字
差別化の効果が現れる数字を、項目ごとに見ていきます。
指名での問い合わせの割合については、効いているときの動きは増える、見る頻度は四半期。
手数料の率の交渉頻度については、効いているときの動きは減る、見る頻度は半期。
特定領域での決定の構成比については、効いているときの動きは上がる、見る頻度は四半期。
既存取引先からの再依頼については、効いているときの動きは増える、見る頻度は半期。
紹介経由の登録数については、効いているときの動きは増える、見る頻度は半期。
売上より先に、これらの数字が動く
差別化の投資は、売上に出るまでに時間がかかります。
先に動く数字を見ておかないと、途中で投資が止まります。
何を見るかを、始める前に決めておきます。
動かないときは、伝わっていない可能性を先に疑う
中身は作れているのに、伝え方が届いていないことがあります。中身を変える前に、伝え方を確認します。順序を逆にすると、作ったものを壊すことになります。
差別化の設計を、どこから始めるか
領域ごとの採算を並べるところからです。
どこで勝てているかが分からないまま、軸は選べません。
差別化の議論を会議で始めると、理想の話になります。
実績の数字から始めると、選択肢が絞られます。
差別化を設計する進め方を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは職種と業界ごとに決定数と粗利と工数を並べる、期間の目安は三週間。
2については、やることは工程ごとの待ち日数を分布で出す、期間の目安は二週間。
3については、やることは三つの軸のどれで勝負するかを決める、期間の目安は二週間。
4については、やることは捨てる領域と移行の期間を決める、期間の目安は三週間。
5については、やることは求職者向けと企業向けの伝え方を分ける、期間の目安は三週間。
6については、やることは効果を測る数字を決めて起点を記録する、期間の目安は一週間。
決めるのは経営の仕事
差別化の軸を選ぶことは、事業の方向を決めることです。
マーケティング部門が単独で決められる範囲を超えます。
材料を作って、決定の場に持ち込みます。
差別化の取り組みで定期的に見る項目を、項目ごとに見ていきます。
領域別の工数あたり粗利については、見る頻度は四半期、判断の内容は特化の方向が合っているか。
工程ごとの待ち日数については、見る頻度は毎月、判断の内容は速さが保たれているか。
指名での問い合わせ割合については、見る頻度は四半期、判断の内容は認知が変わっているか。
返戻率については、見る頻度は四半期、判断の内容は入社後の支援が効いているか。
手数料の水準については、見る頻度は半期、判断の内容は価格競争から抜けられているか。
一年は続ける
差別化の投資は、半年では結果が出ません。
途中でやめると、投資の分だけ損が残ります。
続ける期間と、やめる条件を先に決めておきます。
記録を残す
なぜその軸を選んだのか、何を捨てたのか。
記録がないと、担当が変わるたびに方向が揺れます。
どこで差を作るべきか判断が固まらない場合は、無料相談で領域ごとの数字を整理するところから始められます。打ち出し方ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
人材紹介で価格競争が起きるのはなぜですか
求人企業から見ると各社のサービスが同じ形に見えるため、取引前に比べられる材料が手数料の率と返戻の条件に限られるからです。推薦の精度や対応の速さは取引後にしか分かりません。
差別化の軸は何がありますか
扱う領域を狭くすること、工程を速くすること、入社後の成果で評価されることの三つです。三つを同時に追うとどれも中途半端になるため、一つを選んで他は平均的な水準を保ちます。
領域を絞ると売上が落ちませんか
一時的には落ちます。新規の獲得を止めて既存の案件は対応を続ける形で、一年程度かけて移行してください。狭くすると広告と検索の対象が明確になり、集客の効率は上がります。
入社後の支援は費用に見合いますか
返戻の防止、継続取引、再利用と紹介の起点を兼ねます。売上にならない工数なので、一件あたりの粗利が大きい領域から始めて対象の範囲を決めてください。
差別化が効いているかはどう確認しますか
指名での問い合わせの割合、手数料の率の交渉頻度、既存取引先からの再依頼の三つが先に動きます。売上に出るまでには時間がかかるため、これらを始める前に記録しておいてください。
まとめ
- 求人企業から見ると、どの紹介会社も同じ工程で同じ形のサービスを提供しているように見えます。違いが伝わらなければ、残る判断材料は手数料の率になります
- 扱う領域の狭さ、工程の速さ、入社後の成果。この三つのどれを軸にするかで、必要な投資も伝え方も変わります
- 撤退する領域を決める判断とセットになります。狭くすると決めた時点で、いまの売上の一部を捨てることになります
- 速さは気合いではなく、待ち時間の設計で決まります。どこで何日止まっているかを測れば、短縮できる場所が分かります
- 定着と活躍は、取引の継続に直結します。返戻を減らすだけでなく、次の依頼が来る理由になります
- 片側にだけ伝えても、需給の片方しか動きません。伝え方は両側で変える必要があります
- 指名での問い合わせの割合と、手数料の水準で分かります。差別化が効いていれば、率の交渉が減ります
- 領域ごとの採算を並べるところからです。どこで勝てているかが分からないまま、軸は選べません