
登録数は当月のうちに測れる数少ない数字だからです。
入社が決まるのは数か月先なので、手前の数字で代用してしまいます。
結果として、売上と連動しない目標が残ります。
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目次
目次
- 人材紹介のKPIが登録数に寄ってしまう理由
- 当月に動く数字が登録数しかない
- 売上が立つのは入社の月であるという前提を置く
- 三つの月を分けて記録する
- 求職者側と企業側で、別々のKPIを持つ
- どちらが詰まっているかを先に判定する
- 決定数から遡って必要な登録数を出す
- 逆算の順序
- コンサルタントの稼働が上限になる場合のKPI
- 上限に達しているかの見分け方
- 返戻が起きたときに、KPIをどう扱うか
- 決定数ではなく、残った決定数で見る
- 季節変動をKPIの評価からどう切り離すか
- 前年同月と比べる
- 人材紹介のKPI設計を、どの順で整えるか
- 追う数字は三つに絞る
- よくある質問
- まとめ
登録数は当月のうちに測れる数少ない数字だからです。
入社が決まるのは数か月先なので、手前の数字で代用してしまいます。
結果として、売上と連動しない目標が残ります。
人材紹介のKPIが登録数に寄ってしまう理由
登録数は当月のうちに測れる数少ない数字だからです。
入社が決まるのは数か月先なので、手前の数字で代用してしまいます。
結果として、売上と連動しない目標が残ります。
人材紹介は、広告を出してから売上が立つまでの距離が長い事業です。
求職者が登録し、キャリア面談を受け、求人に応募し、選考が進み、内定が出て、入社日を迎えて初めて請求が立ちます。
この間に数か月かかります。
当月に動く数字が登録数しかない
月次の会議では、その月に動いた数字を報告することになります。
入社決定はまだ出ていないので、報告できるのは登録数と面談設定数です。
これを何回か繰り返すうちに、登録数が報告の中心になり、やがて目標そのものになります。
登録数を増やすと、決定率は下がる
配信を広げれば登録数は増えます。
ただし、転職の意思が固まっていない層や、自社で扱う求人と噛み合わない層も一緒に入ってきます。
登録は増え、決定は増えず、コンサルタントの面談枠だけが埋まります。
登録数を目標に置いたときに起きること
| 登録数 | 面談実施数 | 入社決定数 | 現場で起きていること |
|---|---|---|---|
| 増える | 増える | 増える | 想定どおりに広がっている |
| 増える | 増える | 変わらない | 扱う求人と噛み合わない層が増えている |
| 増える | 変わらない | 変わらない | 面談の枠が上限に達している |
| 変わらない | 増える | 増える | 既存の登録者を掘り起こせている |
| 減る | 変わらない | 増える | 絞り込みが効いている |
成功報酬という収益構造が、この歪みを大きくする
人材紹介の売上は、入社が成立して初めて立ちます。途中まで進んだ案件は、いくら手間がかかっていても売上になりません。だからこそ、途中の数字を目標に置くと、目標の達成と事業の成果がずれます。
売上が立つのは入社の月であるという前提を置く
広告費を使った月と、売上が立つ月は一致しません。
この前提を置かずにKPIを組むと、投資の判断が常に一期遅れます。
人材紹介のKPI設計で最初にそろえるのは、時間軸です。
登録が発生した月、決定が出た月、入社した月は、それぞれ違う月になります。
三つの月を分けて記録する
登録月で見ると集客の動きが分かります。
決定月で見ると営業活動の動きが分かります。
入社月で見ると売上の動きが分かります。
同じ案件が三つの月にまたがるので、どの月で数えているかを社内で統一しないと、議論が噛み合いません。
同じ案件が、どの月の数字になるか
| 数え方 | 何が分かるか | 遅れの大きさ | 主に使う場面 |
|---|---|---|---|
| 登録月ベース | 集客の増減 | なし | 週次の運用判断 |
| 面談月ベース | 面談枠の消化 | 小さい | 要員計画 |
| 決定月ベース | 選考の通過状況 | 中くらい | 四半期の見通し |
| 入社月ベース | 売上の着地 | 大きい | 予算と着地の報告 |
登録月コホートで見ると、広告の良し悪しが分かる
ある月に登録した人のうち、何人が面談に進み、何人が決定し、何人が入社したか。
この追い方をコホートと呼びます。
広告の出し方を変えた効果は、このコホートの決定率にしか現れません。
月次の決定数を見ていても、いつの登録が効いたのかは分かりません。
見通しは、選考段階の在庫で出す
入社月の売上見通しは、いま選考のどの段階に何件あるかで出します。書類選考中、一次面接中、最終面接中、内定承諾済み。段階ごとの通過率を掛け合わせると、翌月と翌々月の着地が見えます。
求職者側と企業側で、別々のKPIを持つ
人材紹介は求職者と求人企業の両方を集める事業です。
片側だけの数字をKPIにすると、もう片側が詰まって決定が止まります。
広告予算の議論は、たいてい求職者の集客に偏ります。
求職者登録は広告で増やしやすく、成果が数字に出やすいからです。
一方で、求人の側が足りなければ、登録が増えても紹介できません。
どちらが詰まっているかを先に判定する
登録者に対して紹介できる求人が足りないのか、求人に対して紹介できる人が足りないのか。
これは職種や年収帯ごとに違います。
全社の平均で見ると、両方とも足りているように見えてしまいます。
求職者側と企業側で追う数字の分担
| 側面 | 量の数字 | 質の数字 | 詰まったときの症状 |
|---|---|---|---|
| 求職者側 | 新規登録数 | 面談実施率と推薦到達率 | 求人はあるが推薦できない |
| 企業側 | 新規求人社数 | 求人あたりの推薦受入数 | 登録はあるが紹介先がない |
| 接点 | 推薦数 | 書類通過率 | 推薦しても選考に進まない |
| 結果 | 入社決定数 | 決定単価 | 件数は出るが売上が伸びない |
職種と年収帯で切って見る
同じ会社のなかでも、ある職種では求人が余り、別の職種では人が余ります。
広告予算はこの粒度で配分します。
全社の登録数を増やす指示を出すと、足りている側がさらに増えます。
企業側の獲得は、広告以外の手段が主になりやすい
求人企業の開拓は、既存取引先の深耕や紹介、展示会などが中心になることが多い領域です。それでも、企業側の問い合わせを広告で取る枠は確保します。求職者側だけに予算を寄せると、需給の偏りを自力で直せなくなります。
決定数から遡って必要な登録数を出す
売上目標を決定単価で割り、そこから推薦数、面談数、登録数の順に遡ります。
この計算を通すと、追うべき数字が三つに絞れます。
KPIの候補を先に並べると、事業とつながらない数字が残ります。
人材紹介では、入社決定数から遡るのが出発点です。
逆算の順序
決定数から登録数までの逆算の順序
| 順番 | 出す数字 | 計算の仕方 |
|---|---|---|
| 1 | 必要な入社決定数 | 売上目標 ÷ 一件あたりの平均決定単価 |
| 2 | 必要な内定数 | 決定数 ÷ 内定承諾率 |
| 3 | 必要な推薦数 | 内定数 ÷ 推薦から内定までの通過率 |
| 4 | 必要な面談実施数 | 推薦数 ÷ 面談から推薦に至る率 |
| 5 | 必要な新規登録数 | 面談実施数 ÷ 面談実施率 |
途中の率が分からないときは、測ることから始める
過去十二か月分の実績から各段階の率を出します。
記録が残っていなければ、仮の数字で計算してはいけません。
根拠のない目標が独り歩きします。
数字は説明のための仮の値です。
売上目標を六億円、平均決定単価を百五十万円と置くと、必要な決定数は四百件です。
内定承諾率が八割なら内定数は五百件、推薦から内定までの通過率が一割なら推薦数は五千件になります。
面談から推薦に至る率が五割なら面談実施数は一万件、面談実施率が四割なら新規登録数は二万五千件です。
逆算した数字が現実的かを確認する
計算の結果、必要な登録数が現状の何倍にもなることがあります。そのときは目標が過大か、途中の率を上げる必要があるかのどちらかです。ここで気づけるのが逆算の利点です。
コンサルタントの稼働が上限になる場合のKPI
面談できる件数には上限があります。
上限に達している状態で登録数を増やしても、決定は増えず単価だけが上がります。
人材紹介の供給側の制約は、在庫でも設備でもなく、キャリアアドバイザーの稼働時間です。
一人が月に実施できる面談数と、並行して担当できる求職者数には限りがあります。
上限に達しているかの見分け方
登録から初回面談までの日数が伸びていれば、上限が近いという合図です。
面談の実施率が下がっている場合も同じです。
このときに広告を増やすと、面談されないまま放置される登録者が積み上がります。
面談枠の状況と、打つべき手を、項目ごとに見ていきます。
短いについては、面談実施率は高い、決定数は増えている、打つべき手は広告を増やす。
伸びているについては、面談実施率は下がっている、決定数は横ばい、打つべき手は増員か、登録の絞り込み。
短いについては、面談実施率は高い、決定数は横ばい、打つべき手は求人側か推薦の精度を見る。
伸びているについては、面談実施率は高い、決定数は増えている、打つべき手は増員の検討を前倒しする。
上限があるときのKPIは、件数ではなく一人あたりの生産性
面談枠が埋まっているなら、追う数字は登録数ではありません。
コンサルタント一人あたりの決定数と、面談一件あたりの決定率です。
この二つが上がらない限り、広告費を増やしても売上は伸びません。
一人あたりの面談数が増えれば処理量が増えます。
面談あたりの決定率が上がれば、同じ工数で売上が増えます。
マーケティング側から効くのは後者で、面談予約の離脱を減らすことと、登録の前に条件を明示して噛み合わない層を減らすことがそこに当たります。
増員の判断も、マーケの数字が根拠になる
登録が積み上がって面談が追いつかない状態を数字で示せれば、増員の稟議が通りやすくなります。逆に、面談枠が余っているのに決定が出ていないなら、増員は解決になりません。
返戻が起きたときに、KPIをどう扱うか
早期離職による返金が発生すると、計上済みの売上が戻ります。
決定数だけをKPIにしていると、この戻りが数字に現れません。
人材紹介の契約には、入社後の一定期間内に退職した場合の取り扱いが定められているのが通例です。
この取り扱いの内容は契約ごとに異なります。
マーケティングのKPIを設計するときは、この戻りを織り込みます。
決定数ではなく、残った決定数で見る
入社決定数をそのまま成果として数えると、早期離職の多いチャネルが高く評価されます。
一定期間を経過した時点で残っている決定数を、別の数字として持ちます。
この数字がチャネル評価の基準になります。
返戻が出たときの数字の扱い方を、項目ごとに見ていきます。
入社決定数については、返戻の扱いはそのまま計上、使う場面は月次の進捗確認。
定着後決定数については、返戻の扱いは返戻分を差し引く、使う場面はチャネルごとの評価。
売上については、返戻の扱いは返金を反映、使う場面は経営への報告。
獲得単価については、返戻の扱いは定着後決定数で割り直す、使う場面は予算配分の判断。
チャネルごとに定着の傾向が違う
どの経路から来た求職者が定着しやすいかは、実績を取れば分かります。
獲得単価だけで比べると、定着しにくい経路が安く見えることがあります。
この差は、広告の配分を決めるときに効きます。
早期離職の原因を、集客側に戻す
条件の伝わり方が原因で早期離職が起きているなら、広告の表現や登録前の説明に手が入ります。配属や業務内容が原因なら、求人企業の側の話になります。どちらかを切り分けないまま広告を止めても、数字は変わりません。
季節変動をKPIの評価からどう切り離すか
人材紹介は時期によって登録の動きが大きく変わります。
前月比で評価すると、施策の良し悪しと季節の動きが混ざります。
転職の動きが活発になる時期と、静かになる時期があります。
年度の切り替わりや賞与の支給時期の前後で、登録の入り方が変わります。
この変動は自社の施策とは関係なく起きます。
前年同月と比べる
月次の評価は前月比ではなく前年同月比で行います。
そのうえで、市場全体の動きを併せて見ます。
自社だけが落ちているのか、時期的なものかを切り分けられます。
季節変動を評価から外す方法を、項目ごとに見ていきます。
前月比については、分かることは短期の変化、注意点は季節の動きと混ざる。
前年同月比については、分かることは自社の成長、注意点は前年に特殊要因があると歪む。
十二か月移動平均については、分かることは傾向の方向、注意点は直近の変化に鈍い。
四半期の累計については、分かることは期の着地、注意点は期内の偏りが見えない。
入社月のずれを織り込む
登録が増える時期と、入社が集中する時期はずれます。
年度の切り替わりに入社が寄るなら、その数か月前の登録が売上を作っています。
広告の投下時期は、入社月から逆算して決めます。
目標の月次配分を、均等割りにしない
年間目標を十二で割って月次目標にすると、閑散期は必ず未達になります。未達が続くと、現場は目標を見なくなります。過去の実績の季節性を反映した配分にします。
人材紹介のKPI設計を、どの順で整えるか
各段階の率を測るところから始めます。
率が分からないと逆算ができず、目標に根拠が置けません。
KPIを決める作業の大半は、現状を測る作業です。
測れていない段階が一つでもあると、逆算の途中で計算が止まります。
人材紹介のKPIを整える手順を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは過去十二か月の入社決定数と平均決定単価を出す、期間の目安は一週間。
2については、やることは推薦数と内定数から各段階の通過率を出す、期間の目安は二週間。
3については、やることは登録月コホートで面談実施率と決定率を出す、期間の目安は二週間。
4については、やることは職種と年収帯で求職者側と企業側の需給を並べる、期間の目安は二週間。
5については、やることは追う数字を量と質と効率で一つずつ選ぶ、期間の目安は二週間。
6については、やることは季節性を反映した月次配分を作る、期間の目安は一週間。
追う数字は三つに絞る
量の数字、質の数字、効率の数字を一つずつ置きます。
量だけを置くと決定率が落ち、効率だけを置くと新しい層を試さなくなります。
三つ以上を目標にすると、優先順位がつかなくなります。
人材紹介のKPIとして毎月確認する数字を、項目ごとに見ていきます。
新規登録数については、見る頻度は毎週、見るときの考え方は月次配分に対する進捗。
面談実施率については、見る頻度は毎週、見るときの考え方は面談枠が詰まっていないか。
推薦から内定までの通過率については、見る頻度は毎月、見るときの考え方は求人との噛み合い。
定着後決定数については、見る頻度は四半期、見るときの考え方はチャネルの評価をやり直す。
決定あたり獲得単価については、見る頻度は毎月、見るときの考え方は採算が合っているか。
定義を文書にして残す
登録とは何を指すのか、面談実施とはどこからか、推薦はいつ数えるのか。
この定義を残しておかないと、担当者が変わったときに数字の意味が変わります。
期中に定義を変えるなら、過去分も同じ定義で集計し直します。
未達のときに何を見直すかを、先に決めておく
目標を下げるのか、予算を増やすのか、通過率を上げる施策を打つのか。
これを期初に合意しておくと、期中の議論が短くなります。
人材紹介のKPIをどこに置くか判断が固まらない場合は、無料相談で現在の数字を一緒に整理するところから始められます。指標の設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
人材紹介のKPIを登録数にしてはいけませんか
登録数だけを目標にすると、扱う求人と噛み合わない層が増えて決定率が落ちます。量の指標として登録数を持つのは構いませんが、面談実施率や推薦から内定までの通過率といった質の指標を必ず並べて置いてください。
入社が決まるまで数か月かかるので、月次で何を報告すればいいですか
選考段階ごとの在庫件数を報告してください。書類選考中、一次面接中、最終面接中、内定承諾済みの件数に段階ごとの通過率を掛けると、翌月と翌々月の売上着地が見えます。
求職者の集客と求人企業の開拓、どちらに予算を寄せるべきですか
職種と年収帯ごとに、どちらが詰まっているかを見て決めます。全社平均で見ると両方足りているように見えるため、切って判断してください。
早期離職による返戻はKPIにどう反映しますか
入社決定数とは別に、一定期間を経過した時点で残っている決定数を持ちます。チャネルごとの評価と獲得単価の計算は、この数字で行ってください。
月次目標は年間目標を十二で割って決めていいですか
均等割りにすると閑散期は必ず未達になり、現場が目標を見なくなります。過去の実績から季節性を出して、月ごとの配分に反映させてください。
まとめ
- 登録数は当月のうちに測れる数少ない数字だからです。入社が決まるのは数か月先なので、手前の数字で代用してしまいます。結果として、売上と連動しない目標が残ります
- 広告費を使った月と、売上が立つ月は一致しません。この前提を置かずにKPIを組むと、投資の判断が常に一期遅れます
- 人材紹介は求職者と求人企業の両方を集める事業です。片側だけの数字をKPIにすると、もう片側が詰まって決定が止まります
- 売上目標を決定単価で割り、そこから推薦数、面談数、登録数の順に遡ります。この計算を通すと、追うべき数字が三つに絞れます
- 面談できる件数には上限があります。上限に達している状態で登録数を増やしても、決定は増えず単価だけが上がります
- 早期離職による返金が発生すると、計上済みの売上が戻ります。決定数だけをKPIにしていると、この戻りが数字に現れません
- 人材紹介は時期によって登録の動きが大きく変わります。前月比で評価すると、施策の良し悪しと季節の動きが混ざります
- 各段階の率を測るところから始めます。率が分からないと逆算ができず、目標に根拠が置けません