
働く人からは時給で、受け入れる企業からは請求単価で比べられます。
違いが伝わらなければ、残る判断材料はこの二つだけになります。
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目次
目次
- 人材派遣で価格競争が起きるのは、比べる材料が時給と単価しかないから
- 両側で、同時に価格の圧力がかかる
- どの軸で差をつけるかを、先に一つ選ぶ
- 職種を深くする
- 職種を絞る判断を、どう下すか
- 職種ごとの採算を並べる
- 就業までの速さを、どこで作るか
- 待ち時間を測る
- 就業後の定着で評価される状態を作る
- 就業中に何をするか
- 差別化を、働く人と企業の両方に伝える
- 働く人に伝わる形
- 差がついてきたかを、何の数字で確かめるか
- 効いているときに動く数字
- 派遣の差別化を、どこから設計するか
- 決めるのは経営の仕事
- よくある質問
- まとめ
働く人からは時給で、受け入れる企業からは請求単価で比べられます。
違いが伝わらなければ、残る判断材料はこの二つだけになります。
人材派遣で価格競争が起きるのは、比べる材料が時給と単価しかないから
働く人からは時給で、受け入れる企業からは請求単価で比べられます。
違いが伝わらなければ、残る判断材料はこの二つだけになります。
求人の掲載面には、複数の会社の案件が同じ形式で並びます。
働く人から見れば、時給と勤務地と勤務時間が判断の中心になります。
サービスの違いは、就業してみないと分かりません。
両側で、同時に価格の圧力がかかる
働く人には高い時給を提示したい。
企業には低い請求単価を提示したい。
この二つを同時に進めると、粗利が両側から削られます。
両側からの価格の圧力
| 圧力の向き | 求められること | 粗利への影響 |
|---|---|---|
| 働く人から | 時給を上げる | 支払う賃金が増える |
| 企業から | 請求単価を下げる | 受け取る額が減る |
| 同業との比較 | どちらも動かされる | 粗利が両側から削られる |
| 繁忙期 | 時給を上げて人を確保する | 一時的に粗利が薄くなる |
| 閑散期 | 単価を下げて案件を確保する | 同じく |
粗利率が薄いので、値引きの余地が小さい
請求単価から賃金と社会保険などの負担を引いた残りが粗利です。
この幅が限られているため、少しの値引きが大きく効きます。
値引きで件数を取り返すのは難しい構造です。
差別化を、価格以外の場所に置く
条件だけで比べられる場所から抜けることが、粗利を守る唯一の方法です。そのためには、何で選ばれるかを決める必要があります。
どの軸で差をつけるかを、先に一つ選ぶ
扱う職種の深さ、就業までの速さ、就業後の定着。
この三つのどれを軸にするかで、必要な投資も伝え方も変わります。
差別化の議論は、何を強みとするかを一つに決めないと進みません。
三つの軸があり、それぞれ性質が違います。
職種を深くする
特定の職種に絞り、その職種の登録者と案件を集めます。
条件の細部が分かるので、マッチングの精度が上がります。
絞るほど、その職種での指名が取りやすくなります。
就業までを速くする
登録から稼働の開始までの日数。
案件の依頼から充足までの日数。
急いでいる企業にとって、この速さは単価に匹敵する価値を持ちます。
就業後の定着で差をつける
早期の終了が少ないことは、企業にとって直接の価値です。
実績を示すには時間がかかりますが、一度作れば模倣されにくい強みになります。
派遣における三つの差別化の軸
| 軸 | 作るのにかかる時間 | 模倣のされにくさ | 必要な投資 |
|---|---|---|---|
| 職種を深くする | 中くらい | 中くらい | 登録者と案件の開拓 |
| 就業までを速くする | 短い | 低い | 体制と仕組み |
| 就業後の定着 | 長い | 高い | 就業中の関わり方 |
| 時給や単価で勝負する | すぐ | 低い | 粗利の減少 |
三つを同時に追わない
すべてを強みにしようとすると、どれも中途半端になります。一つを選び、他は平均的な水準を保ちます。選ばないことが、差別化の実体です。
職種を絞る判断を、どう下すか
撤退する職種を決める判断とセットになります。
絞ると決めた時点で、いまの稼働の一部を手放すことになります。
特化の話は、増やす話としては進みません。
何をやめるかを決めて初めて、資源が集まります。
職種ごとの採算を並べる
職種ごとに、稼働人数と一時間あたりの粗利と平均の継続月数を並べます。
一人あたりの生涯の粗利が低い職種が見えてきます。
この表がないまま特化を議論すると、印象で決まります。
職種ごとの採算を比べる観点
| 観点 | 見る数字 | 判断への使い方 |
|---|---|---|
| 稼働の規模 | 平均の稼働人数 | 規模があるか |
| 一時間あたりの粗利 | 請求単価と賃金の差 | 採算が合うか |
| 平均の継続月数 | 稼働の継続 | 回収できるか |
| 充足率 | 案件に人を出せているか | 供給の制約があるか |
| 獲得の効率 | 稼働一人あたりの実質単価 | 集客が成立するか |
捨てる職種の扱いを決める
すぐに停止すると、既存の取引先と稼働中の人に影響が出ます。
新規の受注を止めて、稼働中の契約は終了まで対応する形が現実的です。
この移行に一年程度を見込みます。
絞った後の集客は、対象がはっきりする
職種が絞られれば、広告の対象も検索の狙いも明確になります。結果として、集客の効率が上がることが多くなります。特化の効果は、事業側だけでなく集客側にも出ます。
就業までの速さを、どこで作るか
速さは気合いではなく、待ち時間の設計で決まります。
どこで何日止まっているかを測れば、短縮できる場所が分かります。
案件の依頼から充足までの日数が短いことは、急いでいる企業にとって明確な価値です。
この速さは、各工程の待ち時間を削ることで作られます。
待ち時間を測る
登録から初回の連絡まで、連絡から案件の提示まで、提示から顔合わせまで、顔合わせから稼働の開始まで。
それぞれの日数を分布で見ます。
平均だけを見ると、極端に遅い一部が隠れます。
派遣の工程ごとの待ち時間と、短縮の手段
| 工程 | 止まる理由 | 短縮の手段 |
|---|---|---|
| 登録から初回の連絡 | 人手と時間帯 | 対応の体制と優先順位 |
| 連絡から案件の提示 | 条件に合う案件を探す時間 | 案件の整理と検索の仕組み |
| 提示から顔合わせ | 企業側の日程 | 候補日の事前確保 |
| 顔合わせから稼働開始 | 手続きと準備 | 書類の電子化と事前準備 |
| 案件の依頼から充足 | 上記の合計 | 全工程の短縮 |
企業側の工程も、交渉の対象になる
顔合わせの日程が決まらない企業では、良い人が他社で決まります。
これは企業にとっても損失です。
候補日を事前に確保する運用を、取引の条件として合意する方法があります。
速さを外に伝える
速いことを実績として示せなければ、差別化になりません。自社の平均日数を把握して、提案の場で示せる状態にします。数字は自社の実績から出したものだけを使います。
就業後の定着で評価される状態を作る
早期の終了が少ないことは、企業にとって直接の価値です。
同時に、稼働の月数が伸びれば自社の粗利も増えます。
派遣では、定着が両者の利益になります。
企業は採用と引き継ぎの手間が減り、自社は稼働の月数が伸びます。
就業中に何をするか
定期的に本人と接点を持ち、職場での状況を把握します。
不一致が起きていれば早く分かります。
企業側にも定期的に状況を確認します。
就業中の接点がもたらすものを、項目ごとに見ていきます。
稼働している本人については、得られるものは職場での状況と不満、事業への効き方は早期終了の防止。
受け入れている企業については、得られるものは満足度と次の案件の計画、事業への効き方は継続取引と追加の案件。
本人の周囲については、得られるものは知人の紹介の可能性、事業への効き方は獲得費用のかからない登録。
コーディネーターについては、得られるものはマッチングの振り返り、事業への効き方は次の提案の質が上がる。
費用がかかることを前提に設計する
就業中の接点は、直接の売上にはならない工数です。
どの規模の案件に対して行うかを決めておかないと、際限なく広がります。
継続月数が長い職種から始めるのが現実的です。
成果を示すときの表現に注意する
定着率や満足度を広告で示す場合、根拠の示し方に決まりがあります。内容は変わることがあるため、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。自社の実績以外の数字を使わないことは、最低限の前提です。
差別化を、働く人と企業の両方に伝える
片側にだけ伝えても、需給の片方しか動きません。
伝え方は両側で変える必要があります。
差別化の内容は同じでも、働く人に伝わる言い方と企業に伝わる言い方は違います。
同じ資料を両側に使うと、どちらにも刺さりません。
働く人に伝わる形
その職種の案件がどれだけあるか。
就業までにどれだけ時間がかかるか。
就業中に誰に何を相談できるか。
抽象的な表現より、何が得られるかを具体的に書きます。
企業に伝わる形
その職種の登録者の層と、充足までの日数と、定着の状況。
採用の計画に対して何が解決するかを書きます。
派遣の強みを、働く人と企業に言い換えるを、項目ごとに見ていきます。
職種の深さについては、働く人への伝え方はその職種の仕事が集まっている、企業への伝え方はその職種の人が集まっている。
就業までの速さについては、働く人への伝え方は早く働き始められる、企業への伝え方は欠員を早く埋められる。
就業中の支援については、働く人への伝え方は困ったときに相談できる、企業への伝え方は定着まで見てもらえる。
拠点があることについては、働く人への伝え方は近くで相談できる、企業への伝え方は地域の事情に詳しい。
伝える場所を分ける
働く人向けの情報と企業向けの情報を、同じページに混ぜないほうが伝わります。検索で来る意図も違います。サイトの構造の段階で分けます。
差がついてきたかを、何の数字で確かめるか
指名での登録の割合と、単価の交渉の頻度で分かります。
差別化が効いていれば、条件の交渉が減ります。
差別化の効果は、稼働人数の増減だけでは判断できません。
市場の動きと混ざるからです。
効いているときに動く数字
派遣で差別化の効果が現れる数字を、項目ごとに見ていきます。
指名での登録の割合については、効いているときの動きは増える、見る頻度は四半期。
請求単価の交渉の頻度については、効いているときの動きは減る、見る頻度は半期。
特定職種での稼働の構成比については、効いているときの動きは上がる、見る頻度は四半期。
既存取引先からの再依頼については、効いているときの動きは増える、見る頻度は半期。
紹介経由の登録数については、効いているときの動きは増える、見る頻度は半期。
稼働人数より先に、これらの数字が動く
差別化の投資は、稼働人数に出るまでに時間がかかります。
先に動く数字を見ておかないと、途中で投資が止まります。
何を見るかを、始める前に決めておきます。
動かないときは、伝わっていない可能性を先に疑う
中身は作れているのに、伝え方が届いていないことがあります。中身を変える前に、伝え方を確認します。順序を逆にすると、作ったものを壊すことになります。
派遣の差別化を、どこから設計するか
職種ごとの採算を並べるところからです。
どこで勝てているかが分からないまま、軸は選べません。
差別化の議論を会議で始めると、理想の話になります。
実績の数字から始めると、選択肢が絞られます。
派遣の差別化を設計する進め方を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは職種ごとに稼働人数と粗利と継続月数を並べる、期間の目安は三週間。
2については、やることは工程ごとの待ち日数を分布で出す、期間の目安は二週間。
3については、やることは三つの軸のどれで勝負するかを決める、期間の目安は二週間。
4については、やることは捨てる職種と移行の期間を決める、期間の目安は三週間。
5については、やることは働く人向けと企業向けの伝え方を分ける、期間の目安は三週間。
6については、やることは効果を測る数字を決めて起点を記録する、期間の目安は一週間。
決めるのは経営の仕事
差別化の軸を選ぶことは、事業の方向を決めることです。
集客の部門が単独で決められる範囲を超えます。
材料を作って、決定の場に持ち込みます。
派遣の差別化の取り組みで定期的に見る項目を、項目ごとに見ていきます。
職種別の一人あたり生涯粗利については、見る頻度は四半期、判断の内容は特化の方向が合っているか。
案件の依頼から充足までの日数については、見る頻度は毎月、判断の内容は速さが保たれているか。
指名での登録の割合については、見る頻度は四半期、判断の内容は認知が変わっているか。
三か月の継続率については、見る頻度は四半期、判断の内容は就業中の支援が効いているか。
請求単価の水準については、見る頻度は半期、判断の内容は価格競争から抜けられているか。
一年は続ける
差別化の投資は、半年では結果が出ません。
途中でやめると、投資の分だけ損が残ります。
続ける期間と、やめる条件を先に決めておきます。
記録を残す
なぜその軸を選んだのか、何を捨てたのか。
記録がないと、担当が変わるたびに方向が揺れます。
どこで差を作るべきか判断が固まらない場合は、無料相談で職種ごとの数字を整理するところから始められます。打ち出し方ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
人材派遣で価格競争が起きるのはなぜですか
働く人からは時給で、受け入れる企業からは請求単価で比べられ、両側から同時に粗利が削られるからです。粗利率が薄いため、少しの値引きが大きく効きます。
差別化の軸は何がありますか
扱う職種を深くすること、就業までを速くすること、就業後の定着で評価されることの三つです。三つを同時に追うとどれも中途半端になるため、一つを選んでください。
職種を絞ると稼働が落ちませんか
一時的には落ちます。新規の受注を止めて稼働中の契約は終了まで対応する形で、一年程度かけて移行してください。絞ると広告と検索の対象が明確になり、集客の効率は上がります。
就業中の接点は費用に見合いますか
早期終了の防止、継続取引、紹介の起点を兼ねます。直接の売上にならない工数なので、継続月数が長い職種から始めて対象の範囲を決めてください。
差別化が効いているかはどう確認しますか
指名での登録の割合、請求単価の交渉の頻度、既存取引先からの再依頼の三つが先に動きます。稼働人数に出るまでには時間がかかるため、始める前に記録しておいてください。
まとめ
- 働く人からは時給で、受け入れる企業からは請求単価で比べられます。違いが伝わらなければ、残る判断材料はこの二つだけになります
- 扱う職種の深さ、就業までの速さ、就業後の定着。この三つのどれを軸にするかで、必要な投資も伝え方も変わります
- 撤退する職種を決める判断とセットになります。絞ると決めた時点で、いまの稼働の一部を手放すことになります
- 速さは気合いではなく、待ち時間の設計で決まります。どこで何日止まっているかを測れば、短縮できる場所が分かります
- 早期の終了が少ないことは、企業にとって直接の価値です。同時に、稼働の月数が伸びれば自社の粗利も増えます
- 片側にだけ伝えても、需給の片方しか動きません。伝え方は両側で変える必要があります
- 指名での登録の割合と、単価の交渉の頻度で分かります。差別化が効いていれば、条件の交渉が減ります
- 職種ごとの採算を並べるところからです。どこで勝てているかが分からないまま、軸は選べません