人材派遣のインハウス化の判断|内製と外注の分け方

どの拠点のどの職種に案件があるかは、社内にしかない情報です。
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目次
目次
- 派遣でインハウス化の話が出るのは、案件の状況が外に渡らないから
- 外に渡せない情報がある
- 自社で持つ範囲を、二つの軸で切り分ける
- 四つの区分に分かれる
- つまずくのは採用ではなく、育つまでの時間
- 障壁の内訳
- 社内へ移す順番を、どう組むか
- 移す順序
- 内製にしても総額が下がるとは限らない
- 比べるべき費用の全体
- 拠点の数が、内製化の判断を左右する
- 規模ごとの向き不向き
- 社内に移した一年後に崩れる原因
- 拠点の要望に追われる
- 派遣の内製と外注の分け方を、どう決めるか
- 成果の落ち込みを先に合意する
- よくある質問
- まとめ
どの拠点のどの職種に案件があるかは、社内にしかない情報です。
この情報を渡せないまま運用を預けると、無駄な配信が続きます。
派遣でインハウス化の話が出るのは、案件の状況が外に渡らないから
どの拠点のどの職種に案件があるかは、社内にしかない情報です。
この情報を渡せないまま運用を預けると、無駄な配信が続きます。
広告の運用そのものは、外部の専門性で十分に回ります。
問題になるのは、いまどこに人が必要かという判断です。
これは案件の状況を見ていないと決められません。
外に渡せない情報がある
どの拠点のどの職種で案件が充足しているか。
どの地域まで通勤の範囲として扱うか。
どの職種の登録者が不足しているか。
これらは日々変わり、渡す仕組みを作らなければ伝わりません。
派遣の集客で必要な情報と、その所在
| 情報 | 社内にあるか | 外部に求められるか |
|---|---|---|
| 案件の充足状況 | 社内にしかない | 求められない |
| 通勤の範囲の判断 | 社内にしかない | 求められない |
| 拠点ごとの事情 | 社内にしかない | 求められない |
| 媒体ごとの配信の特性 | 外部が詳しい | 求められる |
| 表現の作り方 | 双方にある | 求められる |
内製化の動機は、二つに分かれる
社内に知見を残したいという動機と、費用を下げたいという動機があります。
Testifyが二〇二六年五月に実施した調査では、動機はノウハウの蓄積が五六・七%、コスト削減が四六・七%でした。
どちらが主かで、進め方が変わります。
全面委託からの移行を検討する企業は多い
同じ調査では、全面委託をしている企業の八割超が一年以内のインハウス化を計画または検討していました。決定と予定が五二・九%、積極検討が三二・八%です。検討すること自体は一般的な動きになっています。
自社で持つ範囲を、二つの軸で切り分ける
拠点と案件の理解が要るかどうかと、専門性が社外にあるかどうか。
この二軸で分けると、線引きは自然に決まります。
何を内製するかを機能の名前で議論すると、結論が出ません。
二つの軸で分類すると、判断が機械的になります。
四つの区分に分かれる
拠点の理解が要り、専門性も社内にある仕事は内製します。
理解が要らず、専門性が社外にある仕事は外注します。
残る二つが、判断の分かれる領域です。
派遣の集客機能を二軸で分けた置き場所
| 機能 | 拠点の理解 | 専門性の所在 | 置き場所 |
|---|---|---|---|
| 拠点別の需給の可視化 | 必要 | 社内 | 内製 |
| 配信する地域の範囲の設定 | 必要 | 社内 | 内製 |
| 拠点と職種への配分 | 必要 | 社内 | 内製 |
| 案件充足時の停止の判断 | 必要 | 社内 | 内製 |
| 広告の配信の運用 | 中くらい | 社外 | 外注か併用 |
| クリエイティブの制作 | 不要 | 社外 | 外注 |
判断の分かれる領域は、規模で決める
広告の運用は、扱う金額と拠点の数で判断します。
拠点が多いほど管理の単位が増え、外注の価値が上がります。
一方で、案件の状況を反映する速さは内製のほうが有利です。
線引きは年に一度見直す
拠点の数が増えれば、必要な体制も変わります。媒体の仕組みが変われば、外注すべき範囲も変わります。固定すると、二年で実態と合わなくなります。
つまずくのは採用ではなく、育つまでの時間
人を採っても、拠点の事情と運用の技能の両方が身につくまでに時間がかかります。
その期間の成果の落ち込みを、誰が引き受けるかを決めておきます。
内製化の計画は、採用ができれば動くものとして組まれがちです。
実際には、採用の後の期間が問題になります。
障壁の内訳
Testifyの調査では、内製化の障壁として教育の時間と知見の不足が四四・八%、媒体のアップデートへの追随が困難が四〇・三%、人材の採用が三六・七%でした。
採用よりも、採った後の課題のほうが大きく挙がっています。
派遣で内製化を進めるときの障壁と、事前に打てる手
| 障壁 | 内容 | 事前に打てる手 |
|---|---|---|
| 教育の時間と知見 | 立ち上がりに時間がかかる | 併用期間を設けて伴走を受ける |
| 媒体の変化への追随 | 仕組みが頻繁に変わる | 情報収集の担当を決める |
| 拠点との調整 | 数が多く要望が分散する | 窓口の制度を先に作る |
| 立ち上がり期の成果低下 | 一時的に効率が落ちる | 期間と許容幅を先に合意する |
| 属人化 | 担当が抜けると回らない | 二名体制と記録の習慣 |
拠点の業務経験者を入れる意味
登録の対応や案件の調整を経験している人は、どの条件が合わないかを実感で知っています。
運用の技能は研修と実務で補えます。
外から運用者を採るより、立ち上がりが速いことがあります。
自社が派遣を扱っていても、運用者の採用は別の市場
自社が人材の供給を事業としていても、広告運用の人材を採れるとは限りません。扱う職種が違えば、登録者の層も別です。自社の強みがそのまま活きると考えないほうが安全です。
社内へ移す順番を、どう組むか
判断を先に取り戻し、運用は後から移します。
順序を逆にすると、動かせるが方向が決まらない状態になります。
全部を一度に移すと、立ち上がり期の落ち込みが大きくなります。
段階を分けて、効く順に移します。
移す順序
最初に移すのは、配信する地域の範囲と配分の判断です。
次に、案件の状況を反映する運用。
最後に、配信の設定と入札の調整です。
派遣で内製化を段階的に進める順序
| 段階 | 移す機能 | 期間の目安 | この段階で得られること |
|---|---|---|---|
| 1 | 拠点別の需給の可視化 | 一か月 | 配分の根拠ができる |
| 2 | 配信する地域の範囲の設定 | 二か月 | 無駄な配信が減る |
| 3 | 案件充足時の停止の運用 | 三か月 | 費用の無駄が減る |
| 4 | 一部の拠点の配信の運用 | 六か月 | 運用の感覚が身につく |
| 5 | 主要な媒体の運用 | 一年以上 | 全体の内製が完成する |
一部の拠点から試す
いきなり全拠点を移すと、比較の対象がなくなります。
一部の拠点を内製にして、外注と並行して動かします。
差が見えてから、範囲を広げます。
戻せる状態を保つ
内製に移した後で、うまくいかないことがあります。外注先との関係を完全に切らず、戻せる余地を残します。契約を解除する前に、縮小して継続する形を検討します。
内製にしても総額が下がるとは限らない
手数料は減りますが、人件費と学習の費用が増えます。
拠点の数が多いほど、内製の人件費も増えます。
コスト削減を動機にした内製化は、計算を誤ることがあります。
比べるべきは手数料と人件費だけではありません。
比べるべき費用の全体
派遣の集客における内製と外注の費用の比べ方を、項目ごとに見ていきます。
運用の手数料については、外注の場合は発生する、内製の場合は発生しない。
人件費については、外注の場合は発生しない、内製の場合は発生する。
採用と教育の費用については、外注の場合は発生しない、内製の場合は発生する。
ツールの費用については、外注の場合は代理店が負担することがある、内製の場合は自社で負担する。
立ち上がり期の成果の落ち込みについては、外注の場合は発生しない、内製の場合は発生する。
知見の蓄積については、外注の場合は残りにくい、内製の場合は残る。
拠点が多いほど、内製の負担が増える
管理する単位が多ければ、必要な人数も増えます。
拠点が数十ある会社で全部を内製にすると、相応の体制が要ります。
規模の条件を先に確認します。
知見の蓄積を、費用に換算しない
知見が残ることの価値は、金額にしにくいものです。無理に換算すると、根拠の弱い数字になります。費用の比較とは別に、戦略上の判断として扱います。
拠点の数が、内製化の判断を左右する
拠点が少なければ内製しやすく、多ければ外注の価値が上がります。
ただし、案件の状況を反映する速さは内製のほうが有利です。
派遣の内製化は、拠点の数によって判断が変わります。
管理の単位の数が、そのまま負担になるからです。
規模ごとの向き不向き
拠点の数と、内製化の向き不向きを、項目ごとに見ていきます。
数拠点については、内製の負担は軽い、外注の価値は小さい、現実的な形は内製が成立する。
十拠点前後については、内製の負担は中くらい、外注の価値は中くらい、現実的な形は判断と一部の運用を内製。
数十拠点については、内製の負担は重い、外注の価値は大きい、現実的な形は判断を内製し運用を外注。
全国規模については、内製の負担は非常に重い、外注の価値は大きい、現実的な形は判断を内製し運用を分割して外注。
判断だけを内製にする形が、多くの場合に合う
配信する地域の範囲、拠点と職種への配分、案件充足時の停止の判断。
この三つを社内に置き、運用は外に出す。
この形なら、拠点の数が多くても回ります。
停止の判断だけは、速さが要る
案件が充足してから配信を止めるまでに時間がかかると、その分が無駄になります。週次での運用が限界なら、その前提で設計します。日次での対応が必要なら、内製の検討対象になります。
社内に移した一年後に崩れる原因
担当が一人に集中し、その人が抜けると回らなくなります。
拠点からの要望に追われて、全体の判断ができなくなることもあります。
内製化は、移した時点では成功しているように見えます。
問題が出るのは、一年から二年たってからです。
拠点の要望に追われる
拠点が多いほど、個別の要望が届きます。
すべてに対応していると、全体の配分を考える時間がなくなります。
要望を受ける窓口と、優先順位の基準を先に決めます。
派遣で内製化の後に起きやすい問題と、その予防を、項目ごとに見ていきます。
属人化については、現れる時期は一年後、予防の方法は二名体制と記録の習慣。
拠点の要望に追われるについては、現れる時期は半年後、予防の方法は窓口と優先順位の基準。
媒体の変化への遅れについては、現れる時期は一年後、予防の方法は情報収集の担当と時間の確保。
視野が狭くなるについては、現れる時期は二年後、予防の方法は外部との定期的な接点を持つ。
新しい手法を試さないについては、現れる時期は二年後、予防の方法は試す枠を固定で確保する。
媒体の変化に追随する時間を確保する
仕組みの変更は頻繁に起きます。
追随するには、情報を集めて試す時間が要ります。
日々の運用と拠点対応で手一杯だと、この時間が取れません。
外部との接点を残す
完全に内製にすると、他社がどうしているかが見えなくなります。部分的な外注や、定期的な助言を受ける形で接点を残します。
派遣の内製と外注の分け方を、どう決めるか
いま外に預けている作業を書き出すところから始めます。
何を預けているかが曖昧なまま、内製の議論はできません。
内製化の議論は、目的から始めると抽象的になります。
現状の作業の棚卸しから始めます。
派遣の内製と外注の線引きを決める進め方を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは外に預けている作業を書き出す、期間の目安は一週間。
2については、やることは拠点の理解と専門性の二軸で分類する、期間の目安は一週間。
3については、やることは判断の機能を先に社内へ移す、期間の目安は二か月。
4については、やることは立ち上がり期の成果の落ち込みを合意する、期間の目安は一週間。
5については、やることは一部の拠点で運用を内製して差を見る、期間の目安は三か月。
6については、やることは範囲を広げるか戻すかを判断する、期間の目安は一か月。
成果の落ち込みを先に合意する
移行の期間は、成果が下がることがあります。
どの程度まで、どの期間まで許容するかを先に決めます。
決めていないと、三か月目に元に戻す判断が出ます。
派遣の内製化の進み方を点検する項目を、項目ごとに見ていきます。
内製した拠点の稼働単価については、確認の頻度は毎月、判断の内容は外注時と比べて悪化していないか。
担当者の稼働の状況については、確認の頻度は毎月、判断の内容は拠点対応に追われていないか。
媒体の変化への対応については、確認の頻度は四半期、判断の内容は遅れが出ていないか。
記録が残っているかについては、確認の頻度は四半期、判断の内容は属人化していないか。
線引きの妥当性については、確認の頻度は年次、判断の内容は範囲を見直すか。
目的を文書にしておく
知見の蓄積が目的なのか、費用の削減が目的なのか。
これが曖昧だと、評価の基準も曖昧になります。
一行でよいので、文書に残します。
全部を内製にする必要はない
判断を社内に取り戻すことと、運用を内製することは別の話です。
判断だけを戻して、運用を預けたままにする形でも、多くの問題は解決します。
内製と外注をどこで分けるべきか判断が固まらない場合は、無料相談で現在の預け方を見てもらうところから始められます。体制の設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
人材派遣で内製化すべき機能はどれですか
拠点別の需給の可視化、配信する地域の範囲の設定、拠点と職種への配分、案件が充足したときの停止の判断です。これらは案件の状況を見ていないと決められません。
内製化の最大の障壁は何ですか
調査では教育の時間と知見の不足が四四・八%、媒体のアップデートへの追随が困難が四〇・三%で、人材の採用の三六・七%を上回っていました。採用の後の期間に課題が集中します。
拠点が多いと内製化は難しいですか
管理する単位が拠点の数と職種の数の掛け算になるため、負担が増えます。判断の三つだけを社内に置き、運用は外に出す形なら、拠点の数が多くても回ります。
内製化すると費用は下がりますか
手数料は減りますが、人件費、採用と教育の費用、ツールの費用、立ち上がり期の成果の落ち込みが増えます。拠点が多いほど内製の人件費も増えます。
内製化した後に起きやすい問題は何ですか
担当への属人化と、拠点の個別の要望に追われて全体の配分を考える時間がなくなることです。要望を受ける窓口と優先順位の基準を先に決めてください。
まとめ
- どの拠点のどの職種に案件があるかは、社内にしかない情報です。この情報を渡せないまま運用を預けると、無駄な配信が続きます
- 拠点と案件の理解が要るかどうかと、専門性が社外にあるかどうか。この二軸で分けると、線引きは自然に決まります
- 人を採っても、拠点の事情と運用の技能の両方が身につくまでに時間がかかります。その期間の成果の落ち込みを、誰が引き受けるかを決めておきます
- 判断を先に取り戻し、運用は後から移します。順序を逆にすると、動かせるが方向が決まらない状態になります
- 手数料は減りますが、人件費と学習の費用が増えます。拠点の数が多いほど、内製の人件費も増えます
- 拠点が少なければ内製しやすく、多ければ外注の価値が上がります。ただし、案件の状況を反映する速さは内製のほうが有利です
- 担当が一人に集中し、その人が抜けると回らなくなります。拠点からの要望に追われて、全体の判断ができなくなることもあります
- いま外に預けている作業を書き出すところから始めます。何を預けているかが曖昧なまま、内製の議論はできません