
台数目標とのつながりを説明できる材料が、社内に残っていないからです。
根拠が前年実績しかない予算は、増やす議論も減らす議論も進みません。
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目次
目次
- 新車販売の広告予算は、なぜ前年並みで落ち着いてしまうのか
- 前年並みの予算が、どこで効かなくなるのか
- メーカーから来る販促費と、自社で出す広告費をどう分けるのか
- 裁量のない費用も、効果は測っておく
- 予算の総額は、台数目標から逆算できるのか
- 逆算した金額が、現状と大きく違うとき
- 店舗ごとの配分は、何を基準に決めるのか
- 新しく出した店舗の扱い
- 決算期に需要が寄る事業で、予算は月割りでよいのか
- 閑散期に予算を絞るかどうか
- 車検と保険の収益を、予算の根拠にどう組み込むのか
- 資金繰りと回収期間の関係
- 予算を増やす稟議で、経営から必ず聞かれることは何か
- 外部の平均値を根拠にしない
- 新車販売の広告予算は、何から組み立てればいいのか
- 稟議に間に合わせるための時期
- よくある質問
- まとめ
台数目標とのつながりを説明できる材料が、社内に残っていないからです。
根拠が前年実績しかない予算は、増やす議論も減らす議論も進みません。
新車販売の広告予算は、なぜ前年並みで落ち着いてしまうのか
台数目標とのつながりを説明できる材料が、社内に残っていないからです。
根拠が前年実績しかない予算は、増やす議論も減らす議論も進みません。
販売会社の広告予算は、期初の会議で前年の実績を起点に置かれます。
台数目標が上がっていれば数パーセント増やす、という決め方が続きます。
この決め方が続く理由は、担当者の怠慢ではありません。
広告費と台数の関係を示す材料が、社内のどこにも残っていないからです。
新車販売では、来店の理由が複数に分かれます。
全国施策、新型車の発表、整備からの入庫、店頭の条件、そして自社の広告です。
このうち広告の寄与だけを取り出す仕組みがないと、予算の説明は前年比に戻ります。
もう1つの理由は、費用の出どころが一本化されていないことです。
メーカー側から来る販促費と、自社で出す広告費が別の帳簿で動いています。
合計いくら使っているのかが1枚で見えないと、増減の議論そのものが成立しません。
前年並みの予算が、どこで効かなくなるのか
前年並みで置いた予算は、市場が横ばいの間は問題になりません。
需要の構成が変わった期に、初めて足りないことが分かります。
電通の発表では、2025年のインターネット広告費は4兆459億円で前年比110.8パーセントでした。
出稿する側が増えれば、同じ露出を取る費用は上がる方向に動きます。
前年と同じ金額で前年と同じ件数が取れる前提は、毎年小さくなっています。
前年並みの予算は、広告の寄与を切り出す材料がないことの結果です。金額を議論する前に、寄与を測る仕組みを決めてください。
メーカーから来る販促費と、自社で出す広告費をどう分けるのか
使途ではなく、誰が配分を決められるかで分けます。
自社の判断で動かせる金額だけが、予算の議論の対象になります。
販売会社が使う販促の費用には、複数の出どころがあります。
全国施策に連動して配分されるもの、車種ごとに紐づくもの、自社の営業利益から出すものが混在します。
これを使途で分類すると、テレビ、チラシ、Web広告といった並びになります。
この並びでは、どこを削れてどこを削れないかが分かりません。
分け方の基準は、配分の裁量が自社にあるかどうかです。
裁量のない費用は、額が大きくても予算の議論には乗りません。
使い道が決まっているため、増やすことも他に回すこともできないからです。
裁量のある費用だけを取り出すと、金額は想像より小さくなります。
小さくなった金額が、実際に判断できる範囲です。
この切り分けを1枚の表にしておくと、経営との会話が変わります。
販促費用を、裁量の有無で分けて並べる
| 費用の種類 | 配分を決める主体 | 予算の議論に乗るか | 見直しの周期 |
|---|---|---|---|
| 全国施策に連動する販促費 | メーカー | 乗らない | 施策ごと |
| 車種ごとに紐づく販促費 | メーカーと販売会社 | 一部乗る | 車種の切り替え時 |
| 共同で出す地域の販促費 | 販売会社とメーカー | 条件付きで乗る | 半期 |
| 自社の営業利益から出す広告費 | 販売会社 | 全額乗る | 四半期 |
| 店舗が独自に出す販促費 | 店舗 | 店舗の裁量 | 月次 |
裁量のない費用も、効果は測っておく
裁量がないからといって、効果を測らなくてよいわけではありません。
全国施策の期間に来店がどれだけ増えたかを記録しておくと、自社広告の評価が正確になります。
記録がないと、施策の月の伸びまで自社の成果に足してしまいます。
測り方は難しくありません。
施策の期間とその前後で、車種別の来店件数を並べるだけで傾向は見えます。
費用は使途ではなく裁量で分けてください。自社で配分を決められる金額だけが、増減を議論できる予算です。
予算の総額は、台数目標から逆算できるのか
逆算できます。
台数を試乗予約の件数に割り戻し、1件あたりの上限費用を掛ければ総額が出ます。
予算の総額を先に決めてから配分を考えると、根拠が前年比に戻ります。
順序を入れ替えて、必要な件数から総額を出してください。
出発点は、広告で取りにいく台数です。
全社の台数目標から、指名と整備からの入庫で積む分を引いた残りになります。
この残りが、広告に割り当てる台数です。
次に、試乗予約から成約までの率で割り戻します。
必要な試乗予約の件数が出たところで、1件あたりの上限費用を掛けます。
数字は説明のための仮の値です。
広告で取る台数が年360台、試乗からの成約率が30パーセントなら、必要な試乗予約は1200件になります。
1件あたりの上限が1万5千円なら、年間の広告予算は1800万円という計算です。
逆算した金額が、現状と大きく違うとき
逆算の結果が現在の予算の倍になることもあります。
そのときは、目標が過大か、途中の率を上げる必要があるかのどちらかです。
期初にこの差が見えること自体が、逆算の効用になります。
率を上げる余地があるなら、予算を増やす前に引き渡しの設計を直してください。
同じ件数で台数が増えれば、必要な予算はその分だけ下がります。
総額は台数目標から逆算します。広告で取る台数を切り出し、試乗予約に割り戻して上限費用を掛けてください。
店舗ごとの配分は、何を基準に決めるのか
商圏の規模と、1台あたりの粗利の2つで決めます。
台数の実績で配ると、条件を緩めて台数を積んだ店舗に予算が寄ります。
複数店舗を持つ販売会社では、総額よりも配分でもめます。
配分の基準が明文化されていないと、声の大きい店舗に寄るためです。
よく使われるのが、前期の台数実績による按分です。
この基準は分かりやすい一方で、条件を緩めて台数を積んだ店舗を優遇します。
配分の基準に置くべきなのは、需要の大きさと1台あたりの利益です。
商圏の規模は、人口と世帯あたりの保有台数で近似できます。
1台あたりの粗利は、車種構成と納車後の入庫率で店舗ごとに変わります。
この2つを掛けると、その店舗に投じた広告費が生む利益の見込みが出ます。
見込みの大きい順に配分すれば、全社の利益は最大になります。
店舗への配分基準と、それぞれの副作用
| 配分の基準 | 分かりやすさ | 起きやすい副作用 | 使いどころ |
|---|---|---|---|
| 前期の台数実績 | 高い | 条件を緩めた店舗が優遇される | 過渡期の暫定 |
| 商圏の人口規模 | 中 | 入庫率の低い店舗に過剰配分 | 基準の土台 |
| 1台あたりの粗利 | 低い | 算出の手間がかかる | 規模の補正 |
| 試乗予約の単価実績 | 中 | 立ち上げ期の店舗が不利 | 既存店の配分 |
| 新規出店の初年度枠 | 別枠 | 既存店から不満が出る | 出店計画と連動 |
新しく出した店舗の扱い
出店直後の店舗は、実績がないため配分の計算に乗りません。
既存店と同じ基準で配ると、立ち上がりが遅れます。
新規出店は別枠にして、出店計画の投資として扱ってください。
別枠の期間は、初回車検の入庫が始まるまでが目安になります。
入庫が始まれば、既存店と同じ基準で評価できるようになります。
配分は台数実績ではなく、商圏の規模と1台あたりの粗利で決めます。新規出店は別枠にして投資として扱ってください。
決算期に需要が寄る事業で、予算は月割りでよいのか
月割りにしないでください。
検討が始まる時期に厚く置き、需要の山の期間は獲得より取りこぼし防止に配分します。
年間の予算を12で割って各月に置く方法は、管理は楽になります。
一方で、需要の動きとは合いません。
新車販売では、期末に向けて登録が寄る動きがあります。
その時期に広告を増やすと、単価の上がった局面で買うことになります。
検討が始まるのは、登録の山よりも前です。
初回の接触から成約までの平均日数が分かっていれば、逆算で厚く置く月が決まります。
平均日数が45日なら、山の1か月半前から配分を上げる形になります。
山の期間中は、広告よりも受け入れ側の制約が効きます。
試乗車の台数、担当者の商談枠、登録の事務が上限になるためです。
閑散期の扱いも先に決めてください。
閑散期に予算を絞るかどうか
閑散期は単価が下がるため、同じ金額でより多くの接触が取れます。
ここを絞ると、次の山に向けた検討層の積み上げが止まります。
閑散期は獲得の効率ではなく、検討層の母数で評価してください。
評価の指標を変えずに閑散期を運用すると、単価の悪化だけが目につきます。
その結果、最も安く接触できる時期に配信を止める判断になります。
予算は月割りにせず、検討が始まる時期に厚く置いてください。山の期間は広告より受け入れ枠の確保に効きます。
車検と保険の収益を、予算の根拠にどう組み込むのか
納車後の粗利に入庫率を掛けて、1台あたりの上限費用に足します。
この分を入れないと、上限が小さく出て取れる需要を逃します。
広告予算の妥当性は、1台あたりにいくらまで使えるかで決まります。
この上限を車両の粗利だけで置くと、実態より小さくなります。
新車販売では、納車のあとに点検、車検、保険、部品の売上が続きます。
この継続分を含めて初めて、1人の顧客から得られる利益が出ます。
ただし、継続分をそのまま全額足すのは危険です。
入庫が続く保証はなく、他店や専業の工場に流れる分があります。
実績の入庫率を掛けたうえで足すのが、現実的な置き方になります。
回収の期間も同時に決めてください。
3年で回収する前提なら、単月の収支ではなく年単位で判断することになります。
この前提は、経営の稟議でも必ず論点になります。
資金繰りと回収期間の関係
回収期間を長く取るほど、1台あたりの上限は大きくなります。
上限が大きくなれば、獲得できる台数も増えます。
一方で、広告費の支払いは先に発生します。
回収を5年に置くと、手元の資金が先に細ります。
自社の資金繰りが許す範囲で期間を決め、その期間を超える粗利は上限に入れないでください。
上限費用には納車後の粗利を入庫率で割り引いて足します。回収期間は資金繰りが許す範囲で決め、それを超える分は算入しないでください。
予算を増やす稟議で、経営から必ず聞かれることは何か
増やした分が何台になるのか、そして止めたら何台減るのかの2つです。
どちらも、広告の寄与を切り出していないと答えられません。
広告予算の増額を求める場面で、経営が知りたいのは効果の因果です。
増やせば増えるのか、止めれば減るのかが分かれば判断できます。
この2つに答えるには、広告経由の来店を他の経路と分けて記録している必要があります。
記録がない状態で増額を求めると、説明が期待値だけになります。
答えられる状態を作るには、期の途中で止める期間を設けるのが早い方法です。
一部の店舗や一部の媒体で配信を止め、来店の減り方を見ます。
減らなければ、その配信は指名や別経路の需要を拾っていただけです。
止める判断そのものが、稟議の材料になります。
減った分が明確であれば、増やした場合の見込みも同じ根拠で説明できます。
説明の形も先に決めておいてください。
増額の稟議で用意しておく材料
| 聞かれること | 用意する材料 | 出し方 |
|---|---|---|
| 増やすと何台増えるのか | 試乗予約の単価と成約率 | 直近12か月の実績で示す |
| 止めると何台減るのか | 配信を止めた期間の来店差 | 店舗または媒体を限定して検証 |
| いつ回収できるのか | 1台あたりの粗利と回収期間 | 納車後の入庫率を明示する |
| 他社はいくら使っているのか | 自社の上限費用の算出根拠 | 外部の平均値には寄せない |
| 削るならどこからか | 媒体別の上限超過の一覧 | 止める順番を先に決めておく |
外部の平均値を根拠にしない
他社がいくら使っているかは、稟議の場で必ず話題になります。
一方で、他社の金額は自社の粗利構造を反映していません。
同じ金額でも、入庫率が違えば妥当な水準は変わります。
外部の数字は、桁が合っているかを確かめる参照値として扱ってください。
可否を決める線は、自社の粗利から出した上限のほうです。
稟議で問われるのは増やした場合と止めた場合の台数です。一部を止めて差を測っておくと、両方に同じ根拠で答えられます。
新車販売の広告予算は、何から組み立てればいいのか
裁量のある費用と、ない費用を1枚に並べるところからです。
自社で決められる金額が分からないまま総額を議論しても、結論が出ません。
予算を組む作業は、金額を決めることから始まりません。
今いくら使っていて、そのうちいくらが自社の判断で動くのかを確定させるのが先です。
出どころの違う費用が別々の帳簿にあると、この確定に時間がかかります。
経理と販促の担当を同じ場に呼んで、1枚にまとめてください。
次に、広告で取りにいく台数を切り出します。
全社の台数目標から、指名と入庫で積む分を引いた残りが対象です。
この切り出しには、来店経路の記録が要ります。
記録がない場合は、受付で経路を聞く運用を先に始めてください。
3か月分たまれば、おおよその構成比は出ます。
新車販売の広告予算を組む順番
| 順番 | やること | 関わる人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 出どころ別の販促費を1枚に並べる | 経理と販促 | 2週間 |
| 2 | 裁量のある金額を確定する | 経営と本部 | 1週間 |
| 3 | 来店経路の記録を始める | 店長と本部 | 即日から3か月 |
| 4 | 広告で取る台数を切り出す | 本部 | 1週間 |
| 5 | 1台あたりの上限費用を確定する | 経営と本部 | 2週間 |
| 6 | 店舗への配分基準を文書にする | 本部と店長 | 2週間 |
稟議に間に合わせるための時期
この6工程は、着手から稟議までで10週間前後が目安になります。
来店経路の記録に3か月かかるため、最も早く始めるべきなのはそこです。
記録がたまる前でも、丸い数字で仮置きして計算は進められます。
仮置きの値は、文書に仮であると明記してください。
明記していない仮置き値は、半年後には確定値として扱われます。
着手点は金額の議論ではなく、裁量のある費用の確定と来店経路の記録です。この2つが揃えば、総額と配分は数週間で決まります。
新車販売の広告予算の立て方で判断に迷う場合は、無料相談で現状の費用構成を見てもらうところから始められます。
販促費の配分ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
広告予算は前年比で決めてはいけませんか
前年比だけを根拠にすると、増やす議論も減らす議論も進みません。広告で取りにいく台数を切り出し、試乗予約の件数に割り戻して1件あたりの上限費用を掛ける形で総額を出してください。逆算の結果と現状の差が、判断の材料になります。
メーカーから配分される販促費も予算に含めますか
総額としては把握しておき、議論の対象からは分けてください。配分の裁量が自社にない費用は、増やすことも他に回すこともできません。裁量のある金額だけを取り出すと想像より小さくなりますが、それが実際に判断できる範囲です。
店舗への配分は台数の実績で按分してよいですか
台数実績での按分は、条件を緩めて台数を積んだ店舗を優遇します。商圏の規模と1台あたりの粗利を掛けた見込み利益で配分してください。出店直後の店舗は実績がないため、別枠の投資として扱うほうが立ち上がりが早くなります。
需要の山の時期に広告費を集中させるべきですか
山の直前ではなく、検討が始まる時期に厚く置いてください。初回接触から成約までの平均日数を山から引くと、配分を上げる月が決まります。山の期間中は試乗車や商談枠が上限になるため、広告費より受け入れ側の確保が効きます。
増額の稟議で他社の広告費を根拠にしてよいですか
参照値としては使えますが、可否を決める線にはなりません。同じ金額でも納車後の入庫率が違えば妥当な水準は変わります。自社の粗利から出した1台あたりの上限と、配信を止めた期間の来店差を用意するほうが説明になります。
まとめ
- 台数目標とのつながりを説明できる材料が、社内に残っていないからです。根拠が前年実績しかない予算は、増やす議論も減らす議論も進みません
- 使途ではなく、誰が配分を決められるかで分けます。自社の判断で動かせる金額だけが、予算の議論の対象になります
- 逆算できます。台数を試乗予約の件数に割り戻し、1件あたりの上限費用を掛ければ総額が出ます
- 商圏の規模と、1台あたりの粗利の2つで決めます。台数の実績で配ると、条件を緩めて台数を積んだ店舗に予算が寄ります
- 月割りにしないでください。検討が始まる時期に厚く置き、需要の山の期間は獲得より取りこぼし防止に配分します
- 納車後の粗利に入庫率を掛けて、1台あたりの上限費用に足します。この分を入れないと、上限が小さく出て取れる需要を逃します
- 増やした分が何台になるのか、そして止めたら何台減るのかの2つです。どちらも、広告の寄与を切り出していないと答えられません
- 裁量のある費用と、ない費用を1枚に並べるところからです。自社で決められる金額が分からないまま総額を議論しても、結論が出ません