自動車販売のマーケと営業の連携|対立が起きる理由と解き方

見ている単位が違うからです。
本部は全社の件数、店舗は今月の台数と自分の在庫を見ています。
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目次
目次
- 本部のマーケと店舗の営業は、なぜ話が噛み合わないのか
- 対立の構造を、人の問題にしない
- 店舗から見て、本部の送客はどう見えているのか
- 送客の中身を、店舗に見える形にする
- 在庫と納期の差が、連携にどう効くのか
- 情報の更新を止めない仕組み
- 値引きの裁量を、どこまで本部が知っているべきか
- 記録を評価に使わないと約束する
- 共通の指標を1つ置くなら、何にするのか
- 共通指標を置いた後の会議の形
- 会議の場は、どの単位で持つのか
- 全店の会議を、なくす必要はない
- 店長の評価に、集客の指標を入れるべきか
- 記録の充足を評価に入れる理由
- 本部と店舗の連携は、何から手をつければいいのか
- 効果が出るまでの期間の見通し
- よくある質問
- まとめ
見ている単位が違うからです。
本部は全社の件数、店舗は今月の台数と自分の在庫を見ています。
本部のマーケと店舗の営業は、なぜ話が噛み合わないのか
見ている単位が違うからです。
本部は全社の件数、店舗は今月の台数と自分の在庫を見ています。
販売会社で連携がうまくいかないとき、原因は人柄ではありません。
評価されている単位が違うことから起きます。
本部のマーケティングは、全社の申し込み件数と単価で評価されます。
店舗の営業は、今月の台数と粗利で評価されます。
この2つは、同じ月に同じ方向を向くとはかぎりません。
件数が増えても、自分の担当できる車種と在庫に合わなければ、店舗にとっては負担です。
負担が続くと、本部の送客そのものが軽く扱われます。
逆に店舗が条件を緩めて台数を積むと、本部の単価の評価は良く見えます。
良く見えた結果として、翌期の予算の前提が高く置かれます。
どちらも自分の評価軸に沿って動いているだけです。
対立の構造を、人の問題にしない
連携の問題が起きると、担当者同士の相性の話に流れがちです。
担当が代わっても同じことが起きるなら、それは構造の問題です。
構造を変える手は、評価の単位を1つ重ねることです。
両者が同時に負う指標を1つ置くと、会話の前提が変わります。
どちらも未達になるため、中身を一緒に見る動機が生まれます。
噛み合わないのは、評価されている単位が違うからです。人の問題として扱うかぎり、担当が代わっても同じことが起きます。
店舗から見て、本部の送客はどう見えているのか
量は増えたが中身が分からない、という見え方をしています。
情報の足りない案件は、確実な商談の後に回されます。
本部が件数を増やすほど、店舗の見え方は悪くなることがあります。
届く件数が増えても、1件ごとの中身が分からないためです。
氏名と電話番号だけの案件は、連絡してみるまで内容が読めません。
読めない仕事は、確実に売上になる商談の後に回されます。
この後回しが、初動の遅れとして数字に出ます。
店舗の側から見ると、成果にならない作業が増えている状態です。
本部の側から見ると、件数を増やしたのに成約が伸びない状態です。
同じ現象を、両者が別の言葉で説明しています。
言葉が違うまま会議を重ねても、打ち手は出てきません。
送客の中身を、店舗に見える形にする
改善の起点は、渡す情報を増やすことです。
検討中の車種と購入の時期が分かるだけで、店舗の初動は変わります。
準備してから連絡できる案件は、後回しにされません。
情報を増やすと申し込みの件数は落ちます。
落ちた分を補って余りあるかどうかは、試乗に進んだ比率で判断してください。
店舗が見ているのは件数ではなく、1件あたりの読みやすさです。車種と時期を渡すだけで、後回しは減ります。
在庫と納期の差が、連携にどう効くのか
納期の長い車種に送客が寄ると、商談が成立しても他店に流れます。
在庫と納期の情報が本部に届いていないと、この配分は直せません。
新車販売では、車種によって納期が大きく変わります。
人気車種は長く、在庫車は短くなります。
広告の配分がこの差を無視していると、成約しにくい送客が増えます。
店舗から見れば、最初から決まらない案件が届いている状態です。
この不満は、本部が在庫と納期を把握していないことから生まれます。
在庫の情報は販売の管理側にあり、広告の配分は本部が決めています。
両者の間に定期的な更新の経路がないと、配分は古い前提のまま続きます。
更新は週次で足ります。
車種ごとに、納期が短いか長いかの2段階で構いません。
粗い分類にしておかないと、更新が続きません。
在庫と納期の状況が、送客の扱いを変える
| 車種の状況 | 送客の扱い | 店舗側の初動 | 本部の配分 |
|---|---|---|---|
| 在庫があり即納可能 | 最優先で送る | 即日連絡と日程調整 | 厚くする |
| 在庫はないが納期が短い | 通常どおり送る | 納期を明示して提案 | 維持する |
| 納期が半年を超える | 条件を伝えて送る | 先に納期を説明する | 抑える |
| 発表直後で配備前 | 先行の案内に限定 | 案内と連絡先の確保 | 抑える |
| 生産終了が近い | 後継に誘導 | 代替案を用意する | 止める |
情報の更新を止めない仕組み
週次の更新は、担当者の善意に頼ると止まります。
定例の会議の議題に組み込んでください。
議題になっていれば、担当が代わっても引き継がれます。
更新の形式も先に決めておいてください。
形式が決まっていないと、毎回の作成に時間がかかり、やがて省かれます。
在庫と納期を週次で本部に渡してください。粗い2段階の分類で足り、細かくすると更新そのものが止まります。
値引きの裁量を、どこまで本部が知っているべきか
金額そのものではなく、使われた幅の分布を知っておけば足ります。
分布が分かれば、台数のうちどれだけが条件で積まれたかを説明できます。
値引きの裁量は、店舗や担当者に委ねられている部分があります。
本部が個別の金額まで管理しようとすると、現場の裁量が失われます。
一方で、まったく見えていないと広告の評価ができません。
台数が伸びた月に、広告が効いたのか条件が緩んだのかを分けられないためです。
必要なのは個別の金額ではなく、幅の分布です。
成約1件ごとに、条件の幅をいくつかの区分で記録してもらいます。
区分は3段階か4段階で足ります。
分布が月ごとに動けば、その月の台数の中身が説明できます。
説明できれば、広告の評価も正確になります。
記録の負担は、選択式にすれば小さく収まります。
記録を評価に使わないと約束する
条件の幅を記録すると、店舗は評価に使われることを警戒します。
警戒されると、記録の精度が落ちます。
用途を先に限定して、文書で共有してください。
用途は広告の寄与の切り分けに限る、と明示します。
担当者個人の評価には使わないことを明記すれば、記録は続きます。
本部が持つべきなのは個別の金額ではなく、条件の幅の分布です。用途を切り分けに限定すると明示しないと、記録の精度が落ちます。
共通の指標を1つ置くなら、何にするのか
試乗の実施件数です。
本部の送客と店舗の初動の両方が効くため、どちらか一方では動きません。
連携を変えるには、両者が同時に負う指標を1つ置くのが早い方法です。
指標を増やすのではなく、既存の指標の上に1つ重ねます。
新車販売で適しているのは、試乗の実施件数です。
予約の件数ではなく、実際に試乗が行われた件数を数えます。
この数字は、本部だけでも店舗だけでも動きません。
送客が足りなければ予約が入らず、初動が遅ければ来店しません。
試乗車が確保できなければ、予約があっても実施されません。
3つの要素が揃って初めて動くため、責任の押しつけ合いが起きにくくなります。
未達のときに、どこが詰まったかも分解できます。
試乗の実施件数が動かないときの分解
| 詰まっている場所 | 見る数字 | 主に動かす部門 | 最初の打ち手 |
|---|---|---|---|
| 申し込みが足りない | 申し込み件数 | 本部 | 配分と訴求の見直し |
| 申し込みの質が低い | 車種と時期の記入率 | 本部 | 入口の設計を分ける |
| 初動が遅い | 到着から発信までの時間 | 店舗 | 一次対応の専任を置く |
| 日程が押さえられない | 試乗枠の空き | 店舗と本部 | 枠の拡大か配分の抑制 |
| 予約後に来店しない | 予約から実施の比率 | 店舗 | 前日の確認の運用 |
共通指標を置いた後の会議の形
共通の指標を置くと、会議の議題が変わります。
これまでの件数と台数の報告から、詰まりの場所の特定に移ります。
会議の出席者も変わります。
本部の担当者と店長だけでなく、一次対応をしている人を入れてください。
実際に案件を受けている人がいないと、詰まりの原因が推測で終わります。
共通指標は試乗の実施件数にしてください。3つの要素が揃わないと動かないため、押しつけ合いが起きにくくなります。
会議の場は、どの単位で持つのか
全店を集めた会議ではなく、商圏の近い数店舗の単位で持ちます。
全店の会議は報告の場になり、詰まりの解消には使えません。
連携の会議を全店で開くと、時間の大半が報告に使われます。
店舗ごとの状況が違うため、個別の詰まりに踏み込めません。
踏み込むには、単位を小さくする必要があります。
商圏の性質が近い数店舗をまとめた単位が、実務では扱いやすくなります。
同じ単位の中なら、数字の比較にも意味が出ます。
会議の頻度は、月次では遅すぎます。
初動の遅れは週単位で悪化するため、隔週が目安になります。
議題は、前回からの試乗実施件数と詰まりの場所に限定してください。
議題を絞らないと、条件や在庫の相談に流れます。
流れた会議は、翌月には開かれなくなります。
全店の会議を、なくす必要はない
全店の会議は、方針と事例の共有には向いています。
詰まりの解消は、小さい単位に移してください。
役割を分けておけば、どちらの会議も短くなります。
全店の会議では、上位の店舗の手順を共有してください。
手順が文書になっていれば、その場で他店に移せます。
詰まりの解消は商圏の近い数店舗の単位で、隔週で行ってください。全店の会議は方針と手順の共有に役割を限定します。
店長の評価に、集客の指標を入れるべきか
入れてください。
ただし件数ではなく、初動の時間と試乗の実施率という店舗が動かせる数字にします。
店長の評価が台数と粗利だけで構成されていると、集客の指標は他人事になります。
他人事の指標は、繁忙期に真っ先に後回しにされます。
一方で、申し込みの件数を店長の評価に入れるのは適切ではありません。
件数は本部の配分で決まり、店舗の判断では動かないためです。
入れるべきなのは、店舗の判断で動く数字です。
具体的には、予約の到着から初動までの時間と、予約から試乗が実施された比率です。
どちらも店舗の運用で改善できます。
この2つを評価に入れると、一次対応の専任を置く判断が現場から出ます。
本部が指示しなくても、運用が変わります。
比重は大きくする必要はありません。
店長の評価に入れる集客の指標
| 指標 | 店舗が動かせるか | 評価に入れる | 入れない場合に起きること |
|---|---|---|---|
| 申し込み件数 | 動かせない | 入れない | 本部への不満だけが残る |
| 到着から初動までの時間 | 動かせる | 入れる | 繁忙期に後回しになる |
| 予約から試乗の実施率 | 動かせる | 入れる | 予約の取りこぼしが放置される |
| 試乗から成約の率 | 一部動かせる | 参考にとどめる | 条件を緩める動機になる |
| 来店経路の記録の充足 | 動かせる | 入れる | 集計そのものができなくなる |
記録の充足を評価に入れる理由
来店経路の記録は、店舗にとって直接の利益がありません。
利益がない作業は、忙しい時期に省かれます。
省かれると、本部の分析が成立しなくなります。
記録の充足率を評価の一部に入れておくと、この省略が止まります。
比重は小さくても、入っていること自体が効きます。
店長の評価には、初動の時間と試乗の実施率を入れてください。申し込みの件数は店舗が動かせないため、評価には向きません。
本部と店舗の連携は、何から手をつければいいのか
試乗の実施件数を共通の指標に置き、詰まりの分解表を作るところからです。
指標が1つ重なるだけで、会議の議題が報告から特定に変わります。
連携の改善は、制度の設計から始めると時間がかかります。
先に共通の指標を1つ置いてください。
試乗の実施件数を両者の指標に加え、未達のときの分解の表を用意します。
表があれば、会議の最初の5分で詰まりの場所が決まります。
次に、渡す情報を増やします。
申し込みのフォームに車種と時期の選択を足すだけで、店舗の初動は変わります。
在庫と納期の週次の更新も、同じ時期に始めてください。
会議の単位を商圏ごとに分けるのは、その後で構いません。
本部と店舗の連携を立て直す順番
| 順番 | やること | 関わる人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 試乗の実施件数を共通の指標に加える | 本部と店長 | 1週間 |
| 2 | 未達時の分解の表を作って合意する | 本部と店長 | 1週間 |
| 3 | 申し込みに車種と時期の項目を足す | 本部と制作 | 2週間 |
| 4 | 在庫と納期の週次更新を定例に組み込む | 販売管理と本部 | 2週間 |
| 5 | 商圏単位の隔週会議に切り替える | 本部と店長 | 1か月後 |
| 6 | 店長の評価に初動と実施率を入れる | 経営と本部 | 次の評価期から |
効果が出るまでの期間の見通し
初動の時間は、一次対応の担当を決めた翌週から変わります。
試乗の実施件数は、1か月程度で動きが見えます。
成約への効果は、商談の期間の分だけ遅れて出ます。
この時差を先に共有しておいてください。
共有していないと、1か月目の数字で施策の是非が判断されます。
着手点は制度の設計ではなく、共通指標と分解の表です。1つの指標が重なるだけで、会議は報告から特定に変わります。
本部と店舗の連携で判断に迷う場合は、無料相談で現状の送客と初動を見てもらうところから始められます。
会議の設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
本部のマーケと店舗の営業が対立するのはなぜですか
評価されている単位が違うためです。本部は全社の件数と単価、店舗は今月の台数と粗利で評価されます。同じ月に同じ方向を向くとはかぎらず、担当者が代わっても同じことが起きます。両者が同時に負う指標を1つ重ねると、会話の前提が変わります。
共通の指標には何を置くのがよいですか
試乗の実施件数です。送客が足りなければ予約が入らず、初動が遅ければ来店せず、試乗車が確保できなければ実施されません。3つの要素が揃って初めて動くため、責任の押しつけ合いが起きにくく、未達のときの分解もできます。
値引きの金額まで本部が把握すべきですか
個別の金額は不要です。成約ごとに条件の幅を3段階か4段階で記録してもらえば足ります。分布が分かれば、台数のうちどれだけが条件で積まれたかを説明できます。用途を広告の寄与の切り分けに限ると文書で明示しないと、記録の精度が落ちます。
連携の会議は全店で行うべきですか
全店の会議は報告の場になりやすく、個別の詰まりには踏み込めません。商圏の性質が近い数店舗の単位で、隔週で行ってください。議題は試乗の実施件数と詰まりの場所に限定し、方針や手順の共有は全店の会議に残します。
店長の評価に集客の指標を入れてよいですか
店舗が動かせる数字に限って入れてください。申し込みの件数は本部の配分で決まるため向きません。予約の到着から初動までの時間、予約から試乗が実施された比率、来店経路の記録の充足率が適しています。比重は小さくても、入っていること自体が効きます。
まとめ
- 見ている単位が違うからです。本部は全社の件数、店舗は今月の台数と自分の在庫を見ています
- 量は増えたが中身が分からない、という見え方をしています。情報の足りない案件は、確実な商談の後に回されます
- 納期の長い車種に送客が寄ると、商談が成立しても他店に流れます。在庫と納期の情報が本部に届いていないと、この配分は直せません
- 金額そのものではなく、使われた幅の分布を知っておけば足ります。分布が分かれば、台数のうちどれだけが条件で積まれたかを説明できます
- 試乗の実施件数です。本部の送客と店舗の初動の両方が効くため、どちらか一方では動きません
- 全店を集めた会議ではなく、商圏の近い数店舗の単位で持ちます。全店の会議は報告の場になり、詰まりの解消には使えません
- 入れてください。ただし件数ではなく、初動の時間と試乗の実施率という店舗が動かせる数字にします
- 試乗の実施件数を共通の指標に置き、詰まりの分解表を作るところからです。指標が1つ重なるだけで、会議の議題が報告から特定に変わります