
支出の時期と回収の時期が、期をまたいでずれているからです。
今期の広告費が今期の売上を作っていないので、費用対効果の説明が成立しません。
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目次
目次
- 不動産投資の広告予算が、毎期の稟議でもめる理由
- 単月で黒字に見えない期間が必ずある
- 広告費の上限は、どの数字から出すのか
- 一件あたり粗利を種別ごとに出す
- 物件の仕入れ計画と、広告費をどうそろえるか
- 在庫が薄い時期に広告費を増やさない
- 金利や融資の姿勢が動いたときに、予算をどう組み替えるか
- 需要側と審査側のどちらが動いたかを分ける
- 年間の予算を、期中のどこで見直すのか
- 四半期ごとに何を見るか
- 経営に予算を通すときに、1枚で何を示すか
- 時間差を図ではなく表で示す
- 予算を削られたときに、どこから削るのか
- 回収までの時間で並べる
- 不動産投資の予算編成を組み立てる手順
- 経理と営業を最初に巻き込む
- よくある質問
- まとめ
支出の時期と回収の時期が、期をまたいでずれているからです。
今期の広告費が今期の売上を作っていないので、費用対効果の説明が成立しません。
不動産投資の広告予算が、毎期の稟議でもめる理由
支出の時期と回収の時期が、期をまたいでずれているからです。
今期の広告費が今期の売上を作っていないので、費用対効果の説明が成立しません。
投資用不動産の販売では、広告費を使ってから契約に至るまでに数か月かかります。
期の後半に使った広告費は、翌期の売上を作ります。
この構造を説明しないまま年間予算を出すと、経営からは効率の悪い支出に見えます。
単月で黒字に見えない期間が必ずある
新しい施策を始めた月から数か月は、広告費だけが出ていきます。
契約が立ち上がるのはそのあとです。
この期間を先に共有しておかないと、立ち上がる直前で止められます。
止めた場合、それまでに投じた広告費は回収されません。
途中で止めるほうが損になる構造を、数字で示しておく必要があります。
一件の粗利が大きいことが、上限の議論を難しくする
一件あたりの粗利が大きい事業では、広告費をかけても採算が合う余地が広く残ります。
どこまで使ってよいのかの上限が、直感では決まりません。
その結果、前年実績に何割か足すだけの決め方になりがちです。
契約件数が少ないので、実績の平均が安定しない
月に数件から十数件という母数では、平均の獲得単価が大きく振れます。
振れた数字を根拠に翌期の予算を組むと、根拠のない増減を繰り返します。
少なくとも12か月分をまとめて平均を出します。
不動産投資の広告費と粗利が同じ期に並ばない理由
| 要素 | 発生する時期 | 同じ期に対応するか |
|---|---|---|
| 広告費 | 支出した月 | しない |
| 資料請求と面談 | 支出の直後から数週間 | 一部する |
| 申込と審査 | 数週間から数か月後 | しないことが多い |
| 契約と決済 | 半年前後先 | ほぼしない |
| 管理受託などの継続収入 | 引き渡し後 | しない |
広告費の上限は、どの数字から出すのか
契約一件あたりの粗利に、許容できる比率をかけて出します。
比率は経営が決める数字であり、マーケティングが決める数字ではありません。
上限の出し方そのものは単純です。
難しいのは、比率を誰がどう決めるかです。
一件あたり粗利を種別ごとに出す
区分マンションと一棟では、一件あたりの粗利が大きく違います。
平均で一本化すると、粗利の小さい種別で使いすぎ、大きい種別で使い足りない状態になります。
種別ごとに上限を持ちます。
許容比率を決めるのは経営
粗利の何割までを獲得に使ってよいかは、会社の方針です。
成長を優先する期と、利益を確保する期では違う数字になります。
マーケティング側が勝手に決めると、期末に否定されます。
期初にこの比率を合意しておくと、期中の予算の増減の議論が短くなります。
上限まで余裕があるなら増やす、超えているなら絞るという判断が自動で決まるからです。
不動産投資で広告費の上限を出す計算
| 項目 | 出し方 | 決めるのは誰か |
|---|---|---|
| 種別ごとの一件あたり粗利 | 過去12か月の実績 | 経理と営業 |
| 許容できる比率 | 粗利に対する獲得費の上限割合 | 経営 |
| 契約一件あたりの上限額 | 粗利に比率をかける | 自動的に決まる |
| 必要な契約件数 | 粗利目標を一件あたり粗利で割る | 経営とマーケ |
| 年間の広告費の上限 | 上限額に契約件数をかける | 自動的に決まる |
継続収入がある場合は分けて扱う
引き渡し後の管理受託のように、あとから積み上がる収入があります。これを一件あたり粗利に最初から含めると、上限が実態より高く出ます。販売時点で確定する粗利と、あとから積み上がる分を分けて計算し、後者は別枠の投資として扱います。
物件の仕入れ計画と、広告費をどうそろえるか
提案できる物件の数が、契約件数の上限になります。
仕入れの見込みを超える広告費は、面談を増やすだけで契約を増やしません。
広告で集められる件数と、提案できる物件の数は別の話です。
後者が少なければ、前者をいくら増やしても契約は伸びません。
在庫が薄い時期に広告費を増やさない
仕入れが遅れている時期に予算を消化しにいくと、面談はできるが提案できる物件がない状態になります。
顧客の期待だけが上がり、他社に流れます。
広告費の月次配分は、仕入れの見込みと同じ会議で決めます。
種別ごとに供給の制約が違う
区分は比較的そろえやすく、一棟は数が限られます。
一棟の広告費を増やしても、提案できる棟数が増えなければ意味がありません。
供給の制約が厳しい種別ほど、広告費の上限は低く置きます。
逆に在庫が厚い時期は前倒しする
決算期や仕入れが進んだ時期には、提案できる物件が増えます。
検討期間が数か月ある以上、在庫が厚くなってから広告を打つのでは遅れます。
仕入れの見込みが立った時点で、数か月先を狙って広告費を前倒しします。
物件の仕入れ計画と広告費の合わせ方
| 仕入れの状況 | 広告費の扱い | 狙う時間差 |
|---|---|---|
| 見込みが立っている | 数か月先を狙って前倒しする | 面談から契約までの期間分 |
| 平常 | 逆算した計画どおりに使う | なし |
| 遅れている | 面談の件数目標を下げる | 再開の見込みに合わせる |
| 特定の種別だけ薄い | その種別の配信を絞る | 回復まで |
| 想定より厚い | 追加の予算枠から上積みする | 即時から数か月 |
金利や融資の姿勢が動いたときに、予算をどう組み替えるか
需要と審査の通りやすさが同時に動くため、件数の目標から先に直します。
予算だけを据え置くと、獲得単価が悪化した状態で消化することになります。
不動産投資の需要は、資金を借りられるかどうかに強く影響されます。
融資の条件が変われば、同じ広告を出していても契約率が変わります。
需要側と審査側のどちらが動いたかを分ける
問い合わせの件数が落ちたなら、需要側が動いています。
問い合わせは変わらないのに審査で落ちる件数が増えたなら、審査側です。
この2つは、予算の直し方が逆になります。
需要側が落ちているときに予算を増やすと、単価だけが上がります。
審査側が厳しくなっているときは、対象とする顧客層を変えることが先で、予算の増減はそのあとです。
年間予算の一部を動かせる枠として残す
年度の初めに全額を配分しきると、環境が変わったときに動かせません。
一定の割合を、四半期ごとに配分を決める枠として残します。
数字は説明のための仮の値です。
年間予算の15%を可変の枠として残し、四半期ごとに配分する形にすると、期中の組み替えが稟議なしで回せます。
融資の環境が動いたときの予算の組み替え
| 変化の内容 | 先に直すもの | 予算の扱い |
|---|---|---|
| 問い合わせが減った | 件数の目標 | 据え置いて単価を監視する |
| 審査で落ちる件数が増えた | 対象とする顧客層 | 訴求の作り直しが終わるまで抑える |
| 提携先が増えた | 対象とする顧客層 | 増やす |
| 金利が上がった | 訴求の内容 | 需要の戻りを見てから判断する |
| 競合の出稿が増えた | 配信する面と時間帯 | 可変の枠から上積みする |
年間の予算を、期中のどこで見直すのか
四半期ごとに、決めた基準で見直します。
見直す時期と基準を先に決めておかないと、成績の悪い月ごとに議論が起きます。
検討期間が数か月ある事業では、月次で予算を動かしても効果の判定ができません。
判定に足る時間をとって見直します。
四半期ごとに何を見るか
その四半期に獲得したリードが、まだ契約に至っていないのは正常です。
見るのは、2つ前の四半期に獲得した束の進み方です。
古い束と比べて進み方が遅ければ、質が落ちています。
増やす基準と減らす基準を別々に決める
増やす基準は、上限まで余裕があり、かつ在庫が確保できていることです。
減らす基準は、獲得単価が上限を超えたことではなく、超えた状態が2四半期続いたことです。
1四半期の悪化で減らすと、季節や母数の振れに反応してしまいます。
四半期ごとに不動産投資の予算を見直す判断を、項目ごとに見ていきます。
契約一件あたりの獲得費については、増やす条件は上限に対して余裕がある、減らす条件は上限超えが2四半期続いた。
提案できる物件の在庫については、増やす条件は確保の見込みがある、減らす条件は不足している。
古い束と比べた進み方については、増やす条件は同等以上、減らす条件は明確に遅れている。
審査の承認率については、増やす条件は安定している、減らす条件は継続して低下している。
営業の面談の受け入れ余力については、増やす条件は余っている、減らす条件は積み残しが出ている。
見直した記録を残す
いつ、どの基準で、いくら動かしたか。これを残しておくと、翌期の予算を作るときの材料になります。記録がないと、毎期ゼロから議論することになります。
経営に予算を通すときに、1枚で何を示すか
支出と回収の時間差、上限の根拠、未達のときの打ち手の3つです。
この3つがそろっていない資料は、金額の妥当性を議論できません。
予算の資料で最も説明が足りないのは、時間差です。
ここを示さないまま金額だけを出すと、単年度の費用対効果で評価されます。
時間差を図ではなく表で示す
いつ支出し、いつ契約になり、いつ売上に計上されるか。
これを四半期の単位で並べます。
期の後半の支出が翌期の売上を作ることが、表を見れば分かる形にします。
上限の根拠を数式として示す
一件あたり粗利と許容比率から上限を出した過程を、そのまま載せます。
経営が動かせるのは許容比率だけである、という構造が伝わります。
比率を下げれば予算も下がるという関係が見えると、議論が金額から方針に移ります。
未達のときに何が起きるかを先に出す
達成できる前提だけを並べると、外れたときに説明がつきません。
どの率が想定を下回ると未達になるかを示します。
審査の承認率のように自社で動かせない数字は、前提条件として別に分けておきます。
不動産投資の予算を経営に示す1枚の中身を、項目ごとに見ていきます。事業の目標については、載せる内容は粗利と、種別ごとの必要な契約件数。時間差については、載せる内容は支出と契約と売上計上の四半期ごとの並び。上限の根拠については、載せる内容は一件あたり粗利と許容比率からの計算。必要な予算については、載せる内容は上限の範囲で、月次に配分した金額。可変の枠については、載せる内容は期中に配分を決める割合とその判断基準。未達のリスクについては、載せる内容はどの率が下振れすると届かなくなるか。
予算を削られたときに、どこから削るのか
削る順番を先に決めておきます。
一律で何割かを削ると、立ち上がりかけている施策から先に消えます。
予算の削減が急に決まることがあります。
そのときに一律で減らすと、成果が出るまでに時間がかかる施策ほど打撃を受けます。
回収までの時間で並べる
すでに面談が進んでいる層への再接触は、最も早く契約になります。
新規の認知を広げる施策は、最も遅く効きます。
削る順番は、この逆から決めます。
削ってはいけないもの
過去に獲得したリードの管理と再接触は、追加の獲得費がほとんどかかりません。
ここを止めると、数か月後に面談の件数が落ちます。
削減の対象から外しておきます。
不動産投資の広告費を削る順番を、項目ごとに見ていきます。
1については、対象は新しい媒体の試験的な出稿、止めたときに効いてくる時期はすぐには影響しない。
2については、対象は認知を広げる動画や記事の配信、止めたときに効いてくる時期は半年以上先。
3については、対象は一般的な検索語への出稿、止めたときに効いてくる時期は3か月前後。
4については、対象は比較や検討段階の語への出稿、止めたときに効いてくる時期は1か月から3か月。
5については、対象は社名や商品名での検索への出稿、止めたときに効いてくる時期はすぐ。
削らないについては、対象は過去リードへの再接触、止めたときに効いてくる時期は数か月後に大きく効く。
削減が続く場合は目標も直す
予算を削ったまま件数の目標を据え置くと、単価の安い層に寄ります。質が落ちて、面談はできるが申込に進まない状態になります。予算を削るなら、件数の目標も同時に下げます。
不動産投資の予算編成を組み立てる手順
一件あたり粗利の確定から始めます。
ここが曖昧なまま上限を決めると、あとの計算がすべて崩れます。
予算編成の作業の中心は、金額を決めることではありません。
上限の根拠を作ることです。
不動産投資の予算編成を進める順番を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは種別ごとの一件あたり粗利を経理と確定する、期間の目安は2週間。
2については、やることは許容できる比率を経営と合意する、期間の目安は2週間。
3については、やることは上限額と年間の広告費の枠を計算する、期間の目安は1週間。
4については、やることは仕入れの見込みと月次の配分をそろえる、期間の目安は2週間。
5については、やることは可変の枠の割合と、配分の判断基準を決める、期間の目安は1週間。
6については、やることは削減が入ったときの順番を先に決めておく、期間の目安は1週間。
経理と営業を最初に巻き込む
一件あたり粗利は、マーケティング部門だけでは確定できません。
仲介手数料、販売管理費、物件ごとの原価の扱いで数字が変わります。
ここを経理と合意しないまま進めると、期末に前提が覆ります。
毎月見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
区分の一件あたり粗利が200万円、許容比率が30%なら、契約一件あたりの上限は60万円です。
年間200件なら、年間の広告費の枠は1億2,000万円になります。
不動産投資の予算運用で毎月見る数字を、項目ごとに見ていきます。
月次の広告費の消化については、頻度は毎月、判断の目安は年間の枠に対する進み方。
面談一件あたりの獲得費については、頻度は毎月、判断の目安は前年同月との比較。
提案できる物件の在庫については、頻度は毎月、判断の目安は翌月以降の面談の受け皿があるか。
契約一件あたりの獲得費については、頻度は四半期、判断の目安は上限に対する比率。
可変の枠の残額については、頻度は四半期、判断の目安は期末までに使い切れるか。
期末の駆け込み消化を避ける
年間の枠を使い切るために期末に出稿を増やすと、その分の契約は翌期に立ちます。
費用だけが今期に残ります。
可変の枠は、期の終わりの数か月を残して配分を終えます。
予算の上限の出し方が定まらない場合は、無料相談で現状の数字を一緒に整理するところから始められます。広告費の配分ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
不動産投資の広告予算は、売上の何パーセントで決めるべきですか
売上比率では決められません。一件あたりの粗利に、経営が決めた許容比率をかけて契約一件あたりの上限を出し、必要な契約件数をかけて年間の枠を出します。売上比率は結果として出てくる数字です。
広告費を使っているのに今期の売上が増えません
検討期間の分だけ回収が遅れているのが正常です。期の後半に使った広告費は翌期の売上を作ります。獲得した月ごとの束で進捗を追い、遅れているのか正常な時間差なのかを分けてください。
在庫が少ない時期も予算どおり使うべきですか
提案できる物件がなければ、面談を増やしても契約になりません。仕入れの見込みが薄い時期は件数の目標を下げ、その分を仕入れが戻る時期に寄せます。
金利が上がったら予算を減らすべきですか
すぐに減らす必要はありません。問い合わせの件数が落ちているのか、審査で落ちる件数が増えているのかを先に分けます。前者なら件数の目標を、後者なら対象とする顧客層を直すのが先です。
予算を削られたときに何から削ればいいですか
回収までの時間が長いものから削ります。新しい媒体の試験、認知を広げる配信、一般的な検索語の順です。過去に獲得したリードへの再接触は、追加費用が小さく数か月後に効くため、削減の対象から外します。
まとめ
- 支出の時期と回収の時期が、期をまたいでずれているからです。今期の広告費が今期の売上を作っていないので、費用対効果の説明が成立しません
- 契約一件あたりの粗利に、許容できる比率をかけて出します。比率は経営が決める数字であり、マーケティングが決める数字ではありません
- 提案できる物件の数が、契約件数の上限になります。仕入れの見込みを超える広告費は、面談を増やすだけで契約を増やしません
- 需要と審査の通りやすさが同時に動くため、件数の目標から先に直します。予算だけを据え置くと、獲得単価が悪化した状態で消化することになります
- 四半期ごとに、決めた基準で見直します。見直す時期と基準を先に決めておかないと、成績の悪い月ごとに議論が起きます
- 支出と回収の時間差、上限の根拠、未達のときの打ち手の3つです。この3つがそろっていない資料は、金額の妥当性を議論できません
- 削る順番を先に決めておきます。一律で何割かを削ると、立ち上がりかけている施策から先に消えます
- 一件あたり粗利の確定から始めます。ここが曖昧なまま上限を決めると、あとの計算がすべて崩れます