不動産投資のマーケティング組織の作り方

成果の判定が営業の手元にあり、マーケティング側に判断の材料が渡らないからです。
件数を供給する役割だけが残ると、部門としての意思決定が消えます。
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目次
目次
- 不動産投資のマーケティング部門が、下請けになってしまう理由
- 件数だけを求められる状態が続く
- どの役割を組織に置くのか
- 設計の役割を最初に置く
- 一次接触の部隊を、マーケティングと営業のどちらに置くか
- マーケティング側に置く場合
- 広告の表現を確認する役割を、誰が持つのか
- 確認の作業を工数として見込む
- 人をどの順番で採るのか
- 最初の1人に求めるもの
- 販売の経路が複数あるときに、組織をどう分けるか
- 種別で分ける場合
- 外部の力を、どこに使うのか
- 内に持つべきもの
- 不動産投資のマーケティング組織を立ち上げる手順
- 最初にやるのは採用ではない
- よくある質問
- まとめ
成果の判定が営業の手元にあり、マーケティング側に判断の材料が渡らないからです。
件数を供給する役割だけが残ると、部門としての意思決定が消えます。
不動産投資のマーケティング部門が、下請けになってしまう理由
成果の判定が営業の手元にあり、マーケティング側に判断の材料が渡らないからです。
件数を供給する役割だけが残ると、部門としての意思決定が消えます。
投資用不動産の販売会社では、売上を作っているのは営業だという認識が強く残ります。
マーケティングは、その営業に会う人を供給する係として位置づけられがちです。
件数だけを求められる状態が続く
来月の面談を何件用意できるか、という問いだけが降りてきます。
どの層を集めるべきか、いくらまで使ってよいかの議論には入れません。
結果として、取りやすい件数を取りにいく動きになります。
成果の情報が戻らないので学習しない
面談で何が起きたか、なぜ断られたかの情報が営業の手元で止まります。
広告の側は、どの訴求が契約につながったかを知らないまま配信を続けます。
数か月後に成果が落ちても、原因の特定ができません。
予算の根拠を自分で作れない
一件あたりの粗利も、許容できる比率も、経理と経営が持っています。
これらを取りに行かないと、予算は前年比の増減でしか決まりません。
部門として何をどこまでやるかの線が引けなくなります。
不動産投資でマーケティング部門が下請けになる兆候
| 状態 | 表れ方 | 起きていること |
|---|---|---|
| 件数だけを求められる | 来月何件という問いしか来ない | 層の設計が議論されない |
| 面談の結果が返らない | 断られた理由が集計できない | 訴求の改善が止まる |
| 予算が前年比で決まる | 上限の根拠がない | 使いすぎと使い足りないが同居する |
| 配信の判断が月次の契約数で決まる | 数字が振れるたびに方針が変わる | 検証が成立しない |
| 表現の確認の担当がいない | 入稿のたびに止まる | 制作の速度が落ちる |
どの役割を組織に置くのか
設計、獲得、一次接触、分析、表現の確認の5つです。
人数が少ない段階では兼任になりますが、役割としては分けて認識します。
人を採る前に、必要な役割を整理します。
役割を分けずに採用すると、来た人の得意分野に組織が引きずられます。
設計の役割を最初に置く
誰に何を届けるか、どの入口をいくつ持つかを決める役割です。
ここが空席だと、媒体ごとの担当者が個別に最適化を進め、全体の設計が誰の頭にもない状態になります。
一次接触を役割として認識する
獲得したリードに最初に連絡する作業は、広告でも営業でもない独立した役割です。
この役割を誰の仕事とも決めていない会社が多くあります。
結果として、夜間と休日に入ったリードが翌営業日まで放置されます。
分析の役割を兼任にしない
獲得した月ごとの束の進み方を追う作業には、まとまった時間が要ります。
運用の合間にやろうとすると、いつまでも着手されません。
週の一定の時間を確保する形で役割にします。
不動産投資のマーケティング組織に置く役割
| 役割 | 主な仕事 | 置かないと起きること |
|---|---|---|
| 設計 | 対象の層、入口の構成、予算の配分 | 媒体ごとの部分最適が進む |
| 獲得 | 広告の運用と制作の管理 | 外部任せで中身が分からなくなる |
| 一次接触 | 獲得したリードへの最初の連絡 | 夜間と休日の取りこぼしが続く |
| 分析 | 獲得した月ごとの進捗と率の把握 | 成果の原因が分からない |
| 表現の確認 | 広告の文面の点検と記録 | 入稿のたびに止まる |
一次接触の部隊を、マーケティングと営業のどちらに置くか
接触の速度を上げたいならマーケティング側、提案まで一気に進めたいなら営業側です。
どちらに置くかで、評価の対象と配布のルールが変わります。
不動産投資では、獲得したリードに電話で接触する作業が成果を大きく左右します。
この部隊をどこに置くかは、組織の設計の中心にある論点です。
マーケティング側に置く場合
面談を設定することが目的になるため、速度と件数を評価できます。
獲得の側の情報がすぐに戻るので、訴求の改善が速く回ります。
一方で、面談の中身までは踏み込めません。
営業側に置く場合
接触した担当がそのまま面談を行うため、引き継ぎのずれがありません。
ただし営業の稼働が接触に取られ、日中の接触しかできなくなりがちです。
成果に連動した報酬の比率が高い組織では、接触の作業が後回しになります。
どちらの場合も上限を決める
一人あたりが接触できる件数には上限があります。
上限を決めずに配ると、扱いやすい件だけが残ります。
一次接触の部隊をどこに置くかの比較
| 置く場所 | 接触の速度 | 面談への転換 | 広告への情報の戻り |
|---|---|---|---|
| マーケティング側 | 上げやすい | 引き継ぎのずれが出る | 速い |
| 営業側 | 日中に限られる | ずれがない | 遅い |
| 独立した部門 | 上げやすい | 基準をそろえれば安定する | 速い |
| 外部に委託 | 時間帯を広げやすい | 質のばらつきが出る | 様式しだい |
| 配分して両方に置く | 入口ごとに調整できる | 入口ごとに差が出る | 部分的 |
広告の表現を確認する役割を、誰が持つのか
制作の担当とは別の人が持ちます。
作った本人が確認する形にすると、確認そのものが形式的になります。
投資用不動産の広告では、将来の収益や利回りについての書き方に注意が要ります。
掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
確認の作業を工数として見込む
確認には時間がかかります。
入稿の直前に回すと、確認するか入稿を遅らせるかの二択になります。
制作の工程表に、確認の日数をあらかじめ入れます。
判断の記録を残す
同じ表現について、前回どう判断したかが残っていないと、毎回ゼロから議論します。
判断した内容と理由を記録し、次回以降の基準にします。
記録があると、確認にかかる時間が回を重ねるごとに短くなります。
判断に迷う表現の扱いを先に決める
社内で判断がつかない表現をどう扱うかを決めておきます。
使わないという判断を選びやすい形にしておかないと、期限に押されて通ってしまいます。
広告の表現を確認する体制の型
| 体制 | 速度 | 判断の一貫性 | 向く規模 |
|---|---|---|---|
| 制作の担当が自分で確認 | 速い | 低い | 立ち上げ期のみ |
| マーケ内に専任を置く | 中くらい | 高い | 出稿量が多い場合 |
| 法務や管理部門が確認 | 遅い | 高い | 表現の幅が広い場合 |
| 外部の専門家に定期で確認 | 遅い | 高い | 方針を作る段階 |
| 記録を基準にして自動で振り分け | 速い | 中くらい | 運用が安定してから |
人をどの順番で採るのか
設計ができる人を先に採ります。
運用の手を先に増やすと、方向を決める人がいないまま作業量だけが増えます。
採用の順番は、組織の立ち上がり方を決めます。
最初の1人で、その後数年の形が決まります。
最初の1人に求めるもの
媒体の運用の経験より、事業の数字から逆算できることを優先します。
一件あたりの粗利、検討の期間、審査の関門を理解して予算の設計ができる人です。
運用の実務は外部に出せますが、設計は出せません。
2人目以降の考え方
一次接触の体制が弱いなら、そこを先に厚くします。
分析の役割が空席のままだと、人を増やしても改善の材料が出ません。
広告の運用担当を増やすのは、たいてい最後です。
不動産投資のマーケティング人材を採る順番を、項目ごとに見ていきます。
1については、採る役割は設計ができる責任者、優先する理由は予算と層の設計は外部に出せない。
2については、採る役割は一次接触の担当、優先する理由は接触の速度が成果に直結する。
3については、採る役割は分析の担当、優先する理由は改善の材料を作れる人がいない。
4については、採る役割は制作と表現の確認、優先する理由は出稿量が増えると確認が詰まる。
5については、採る役割は媒体の運用担当、優先する理由は外部に出しても回る領域。
育成に時間がかかることを見込む
投資用不動産の商品の理解には時間がかかります。金融機関の審査や物件の種別の違いを理解していないと、訴求が作れません。採用してすぐに成果を求めると、既存の訴求をなぞるだけになります。
販売の経路が複数あるときに、組織をどう分けるか
種別ごとに分けるか、入口ごとに分けるかの二択になります。
両方で分けると、人数が足りずにどちらも中途半端になります。
区分と一棟を両方扱う、あるいは自社での販売と提携先経由の販売を持つ。
このような場合、組織の分け方が成果を左右します。
種別で分ける場合
区分と一棟では、一件あたりの粗利も検討の期間も対象の層も違います。
種別で分けると、それぞれの逆算と予算の設計が独立します。
共通の媒体の運用が二重になる分、費用は増えます。
入口で分ける場合
セミナー、資料請求、個別相談といった入口ごとに担当を置きます。
入口ごとの改善は進みますが、種別ごとの採算が見えにくくなります。
拠点が分かれている場合
対面の面談を行う拠点が複数あると、拠点ごとに接触の体制が分かれます。
広告の配信は本社で一元化し、接触と面談は拠点で持つ形が扱いやすくなります。
拠点ごとの面談の受け入れ余力を、配信の配分に反映します。
複数の販売の経路があるときの組織の分け方を、項目ごとに見ていきます。物件の種別で分けるについては、見えやすくなるものは種別ごとの採算、見えにくくなるものは媒体の重複と費用。入口で分けるについては、見えやすくなるものは入口ごとの転換、見えにくくなるものは種別ごとの粗利。拠点で分けるについては、見えやすくなるものは地域ごとの受け入れ余力、見えにくくなるものは全社の配分。機能で分けるについては、見えやすくなるものは各工程の品質、見えにくくなるものは経路ごとの責任。分けないについては、見えやすくなるものは全体の最適、見えにくくなるものはどこが効いているか。
外部の力を、どこに使うのか
設計と判断は内に持ち、制作と運用の実務は外に出せます。
逆の分け方にすると、外部が変わるたびに方針ごと入れ替わります。
すべてを内製する必要はありません。
どこを内に持つかだけを決めます。
内に持つべきもの
予算の上限の根拠、対象とする層の定義、有効リードの定義。
これらは事業の数字と結びついているため、外に出すと判断ができなくなります。
外に出しやすいもの
媒体の運用の実務、制作、計測の設定。
これらは仕様を渡せば成立します。
ただし、仕様を書けるだけの理解は内側に必要です。
不動産投資で外部に出す領域と内に持つ領域を、項目ごとに見ていきます。
予算の上限と配分の判断については、内外の別は内、理由は事業の数字と直結する。
対象とする層と訴求の方針については、内外の別は内、理由は商品と審査の理解が要る。
有効リードの定義については、内外の別は内、理由は営業との合意が必要。
媒体の運用の実務については、内外の別は外に出せる、理由は仕様を渡せば成立する。
制作と撮影については、内外の別は外に出せる、理由は量の変動に対応しやすい。
計測と基盤の構築については、内外の別は外に出せる、理由は専門性が高く一時的。
外部を使うときの情報の渡し方
面談の結果や断られた理由が外部に渡っていないと、運用は件数の最適化に留まります。守秘の扱いを決めたうえで、質の情報を渡します。
不動産投資のマーケティング組織を立ち上げる手順
役割の整理と、現状の欠落の確認から始めます。
採用や外部の選定は、そのあとです。
組織の設計は、人を採る前の作業が大半を占めます。
不動産投資のマーケティング組織を立ち上げる順番を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは5つの役割のうち空席になっている場所を特定する、期間の目安は2週間。
2については、やることは一件あたり粗利と許容比率を経理と経営から取りに行く、期間の目安は3週間。
3については、やることは有効リードの定義を営業と合意する、期間の目安は3週間。
4については、やることは一次接触の部隊をどこに置くか決める、期間の目安は2週間。
5については、やることは表現の確認の担当と記録の様式を決める、期間の目安は2週間。
6については、やることは採用と外部の分担を決めて動き出す、期間の目安は4週間。
最初にやるのは採用ではない
空席の特定と、判断の材料の確保が先です。
材料がないまま人を採ると、採った人も同じ状態に置かれます。
組織の状態を数字で見る
数字は説明のための仮の値です。
月に500件のリードに対して一次接触の担当が2名なら、一人あたり250件です。
一日あたりの接触の件数から逆算して処理できる量を超えていれば、人を増やすか獲得を抑えるかの判断になります。
不動産投資のマーケティング組織の状態を測る数字を、項目ごとに見ていきます。
一人あたりの接触の件数については、頻度は毎週、判断の目安は処理できる上限を超えていないか。
面談の記録が戻っている比率については、頻度は毎月、判断の目安は情報が組織に蓄積しているか。
表現の確認にかかった日数については、頻度は毎月、判断の目安は入稿の遅れの原因になっていないか。
内製と外注の費用の比率については、頻度は四半期、判断の目安は判断の部分が外に出ていないか。
空席の役割の数については、頻度は四半期、判断の目安はどこが構造的な弱点か。
人が変わっても残る形にする
定義や基準を個人の頭の中に置くと、退職と同時に失われます。
文書として残し、更新の担当を決めます。
マーケティング組織の形が定まらない場合は、無料相談で現状の体制を一緒に確認するところから始められます。役割の分担ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
不動産投資のマーケティング組織に最初に必要な人材は誰ですか
事業の数字から逆算して予算と層を設計できる責任者です。媒体の運用の実務は外部に出せますが、一件あたり粗利や審査の関門を踏まえた設計は外に出せません。
一次接触の部隊はマーケと営業のどちらに置くべきですか
接触の速度を優先するならマーケティング側、提案まで一気に進めたいなら営業側です。どちらに置く場合も、一人あたりが接触できる件数の上限を先に決めてください。
広告表現の確認は誰がやればいいですか
制作した本人とは別の担当が持ちます。判断した内容と理由を記録して次回の基準にすると、確認にかかる時間が回を重ねるごとに短くなります。掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
区分と一棟で組織を分けるべきですか
一件あたりの粗利も検討の期間も対象の層も違うため、逆算と予算の設計は分けます。ただし媒体の運用まで二重にすると費用が増えるため、運用は共通に持つ形が扱いやすくなります。
どこまで内製すべきですか
予算の上限の根拠、対象とする層の定義、有効リードの定義は内に持ちます。媒体の運用、制作、計測の設定は外に出せます。判断を外に出すと、外部が変わるたびに方針ごと入れ替わります。
まとめ
- 成果の判定が営業の手元にあり、マーケティング側に判断の材料が渡らないからです。件数を供給する役割だけが残ると、部門としての意思決定が消えます
- 設計、獲得、一次接触、分析、表現の確認の5つです。人数が少ない段階では兼任になりますが、役割としては分けて認識します
- 接触の速度を上げたいならマーケティング側、提案まで一気に進めたいなら営業側です。どちらに置くかで、評価の対象と配布のルールが変わります
- 制作の担当とは別の人が持ちます。作った本人が確認する形にすると、確認そのものが形式的になります
- 設計ができる人を先に採ります。運用の手を先に増やすと、方向を決める人がいないまま作業量だけが増えます
- 種別ごとに分けるか、入口ごとに分けるかの二択になります。両方で分けると、人数が足りずにどちらも中途半端になります
- 設計と判断は内に持ち、制作と運用の実務は外に出せます。逆の分け方にすると、外部が変わるたびに方針ごと入れ替わります
- 役割の整理と、現状の欠落の確認から始めます。採用や外部の選定は、そのあとです