
物件を所有するオーナーと、そこに住む入居者の両方が顧客です。
一件あたりの価値も接点の持ち方も違うため、同じ枠で生涯の価値を計算できません。
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目次
目次
- 不動産会社で、顧客が2種類あることの意味
- 顧客の種類ごとの性質
- オーナー一件の生涯の価値を、どう数えるのか
- 収入の種類
- 入居者一人の生涯の価値を、どう数えるのか
- 収入の種類
- 管理の契約が切れるのは、どの場面か
- 切れる場面
- 継続する管理料を、獲得の上限にどう反映するか
- 反映の仕方
- 入居後と受託後の接点を、誰が持つのか
- 接点の形
- 紹介と再来を、設計として作るには
- 生まれる場面
- 不動産会社の生涯価値を設計する進め方
- 記録が物件の単位になっている問題
- よくある質問
- まとめ
物件を所有するオーナーと、そこに住む入居者の両方が顧客です。
一件あたりの価値も接点の持ち方も違うため、同じ枠で生涯の価値を計算できません。
不動産会社で、顧客が2種類あることの意味
物件を所有するオーナーと、そこに住む入居者の両方が顧客です。
一件あたりの価値も接点の持ち方も違うため、同じ枠で生涯の価値を計算できません。
不動産会社の顧客は、一種類ではありません。
物件を所有して管理を任せるオーナーと、その物件に住む入居者がいます。
売買の分野が加われば、売主と買主も顧客になります。
この違いは、生涯の価値の計算に直接効きます。
オーナーは管理の契約が続く限り毎月の収入を生みます。
入居者は入居のときに一度と、更新のときに定期的な収入を生みます。
顧客の種類ごとの性質
不動産会社が抱える2種類の顧客
| 顧客 | 収入の入り方 | 関係の長さ | 接点の持ちやすさ |
|---|---|---|---|
| 物件を所有するオーナー | 管理料が毎月 | 数年から数十年 | 定期的な報告で持てる |
| そこに住む入居者 | 入居時と更新時 | 数年 | 接点が薄くなりやすい |
| 売買の売主 | 成約時に一回 | 取引で終わりやすい | 意識して残す必要がある |
| 売買の買主 | 成約時に一回 | 地域に住み続ける | 残しやすい |
一件の重みが、大きく違う
オーナー一件の価値は、管理する戸数と期間で決まります。
複数の物件を所有するオーナーの一件は、入居者の何十件分にもなります。
同じ反響として数えると、この差が消えます。
入居者がオーナーになることもある
長く住んだ入居者が、将来に物件を購入することがあります。購入した物件を貸し出すことになれば、管理の顧客にもなります。顧客の種類は固定ではなく、時間とともに変わります。
オーナー一件の生涯の価値を、どう数えるのか
管理料の月額に、実績から出した継続の期間をかけます。
そこに、入退去のたびに発生する収入と、工事の収入を加えます。
オーナーから得られる収入は、管理料だけではありません。
入退去のたびに発生する収入、原状回復や改修の工事、更新に関わる業務。
これらを合わせたものが、一件から生まれる収入になります。
収入の種類
オーナー一件から生まれる収入の種類
| 収入 | 発生の仕方 | 大きさの目安 |
|---|---|---|
| 管理料 | 契約が続く限り毎月 | 戸数と料率による |
| 入退去にともなう収入 | 退去と入居のたび | 入れ替わりの頻度による |
| 原状回復の工事 | 退去のたび | 物件の状態による |
| 改修や設備の更新 | 不定期 | 建物の年数による |
| 所有物件の売買の相談 | 将来 | 関係の長さによる |
入れ替わりの頻度が、収入を左右する
入居者の入れ替わりが多い物件ほど、入退去にともなう収入が発生します。
一方で、空室の期間が長ければオーナーの不満が大きくなります。
頻度を収入として見るだけでなく、満足度との兼ね合いで見ます。
継続の期間を、実績から出す
管理の契約がどれだけ続くかを、過去の実績から集計します。
この数字がないと、一件の価値が計算できません。
集計していない場合、まず記録を取ることから始めます。
数字は説明のための仮の値です。一戸あたり月4,000円の管理料で平均5年続くとすると、管理料だけで24万円です。入退去にともなう収入と工事の収入を加えると、これより大きくなります。
入居者一人の生涯の価値を、どう数えるのか
入居時の手数料に、更新の回数と次の住み替えの可能性を加えます。
一度の入居で終わると考えると、接点を維持する費用が正当化できません。
入居者からの収入は、契約のときに発生する手数料が中心です。
その後は、更新のたびに発生する収入があります。
そして、次の住み替えのときに再び自社を選ぶ可能性があります。
収入の種類
入居者一人から生まれる収入の種類
| 収入 | 発生の仕方 | 自社で動かせるか |
|---|---|---|
| 入居時の手数料 | 契約時に一回 | 獲得の対象 |
| 更新にともなう収入 | 更新のたび | 管理している物件の場合 |
| 住み替えのときの再利用 | 数年後 | 接点の維持で高まる |
| 知人への紹介 | 入居中から | 満足度で決まる |
| 将来の購入の相談 | 長期 | 関係の維持で生まれる |
住み替えの周期が、読める
賃貸では、住み替えの周期がある程度読めます。
契約の期間から、次に動く可能性の高い時期が分かります。
この読みやすさが、他の業種にはない強みになります。
自社が管理していない物件の入居者
他社が管理する物件を仲介した場合、入居後の接点がありません。この層との関係をどう維持するかを、別に設計する必要があります。接点がないまま数年経つと、次の住み替えでは他社に行きます。
管理の契約が切れるのは、どの場面か
空室が続いたとき、オーナーが代わったとき、物件が売却されたときです。
このうち空室は自社で動かせるため、解約の理由の集計が改善の起点になります。
管理の契約が切れると、その物件からの収入がすべて止まります。
新規の受託を増やしても、解約が同じだけ発生すれば純増はゼロです。
どの場面で切れているかを把握しないと、対策が打てません。
切れる場面
管理の契約が切れる場面
| 場面 | 起きること | 自社で動かせるか |
|---|---|---|
| 空室が埋まらない | オーナーが他社に切り替える | 動かせる |
| 報告や対応への不満 | 信頼が失われる | 動かせる |
| 所有者が代わる | 相続や売却で引き継がれない | 部分的に動かせる |
| 物件が売却される | 管理そのものが終わる | 売却の相談を受けられれば残る |
| 建物の建て替えや取り壊し | 物件が消える | 動かせない |
空室の期間が、最も分かりやすい理由になる
オーナーが管理会社に期待する最大のことは、空室を埋めることです。
空室の期間が長引くと、他社への切り替えの検討が始まります。
物件ごとの空室の期間を記録し、長期化している物件を早く把握します。
売却の相談を受けられるかどうか
所有者が物件を手放す場合、その売買の相談を自社が受けられれば収入が続きます。管理の担当と売買の担当が分かれていると、この機会を逃します。管理の解約の連絡が来た時点で、売買につなぐ経路を持ちます。
継続する管理料を、獲得の上限にどう反映するか
オーナーは継続の期間を割り引いて反映し、入居者は更新までを反映します。
将来の収入をそのまま足すと、回収できない金額を上限に設定することになります。
生涯の価値を上限に反映するとき、どこまでを確定として扱うかが問題になります。
起きるかどうか分からないものを、そのまま足すことはできません。
反映の仕方
不動産会社で生涯の価値を上限に反映する計算を、項目ごとに見ていきます。
入居時の手数料については、扱い方はそのまま入れる、根拠は確定している。
管理料の初年度分については、扱い方はそのまま入れる、根拠は契約で決まる。
管理料の二年目以降については、扱い方は継続の割合で割り引く、根拠は実績から出せる。
入退去にともなう収入については、扱い方は実績の頻度で入れる、根拠は過去の集計から出せる。
将来の売買の相談については、扱い方は入れない、根拠は予測できない。
オーナーの獲得には、大きな上限を置ける
管理の受託は、継続する収入を生みます。
一件あたりの上限は、仲介の一件よりはるかに大きく置けます。
この計算をしていないと、受託の獲得に十分な費用をかけられません。
回収の期間を、経営と合意する
上限を上げると、その費用の回収には時間がかかります。管理の受託では、回収までに年単位かかることがあります。資金の余裕とあわせて、経営と合意します。
入居後と受託後の接点を、誰が持つのか
会社として持つ仕組みを置きます。
担当者に任せると、その人が変わった時点で関係が切れます。
契約が終わると、担当者は次の案件へ移ります。
その顧客との接点は、担当者の個人的な関係だけになります。
担当者が異動や退職をすると、関係が消えます。
接点の形
入居後と受託後の接点の持ち方を、項目ごとに見ていきます。
管理しているオーナーについては、接点の形は定期的な報告と提案、担い手は会社の仕組みと担当。
管理していない物件のオーナーについては、接点の形は市況と提案の情報、担い手は会社の仕組み。
管理物件の入居者については、接点の形は設備の対応と更新の連絡、担い手は会社の窓口。
仲介のみの入居者については、接点の形は住み替えの時期の連絡、担い手は会社の仕組み。
過去に取引した顧客については、接点の形は定期的な情報の送付、担い手は会社の仕組み。
オーナーへの報告が、最大の接点になる
管理の報告は、業務として必ず発生します。
この報告の内容と頻度が、そのまま関係の強さになります。
報告を単なる事務にせず、提案を含む接点として設計します。
接点の維持を、費用として計上する
接触には費用がかかります。この費用を当期の集客費として評価すると、効果が見えず削減の対象になります。別の枠に置き、解約率と再来の件数で評価します。
紹介と再来を、設計として作るには
生まれる場面を特定し、そこで依頼できる形を用意します。
満足していれば自然に紹介されるという前提では、件数は増えません。
紹介は、満足した顧客が自発的に行うものと考えられがちです。
実際には、紹介できる状況と、依頼されたという事実の両方が必要です。
どちらかが欠けると、満足していても紹介は生まれません。
生まれる場面
不動産会社で紹介と再来が生まれる場面を、項目ごとに見ていきます。
契約の直後については、起きることは満足度が最も高い、用意しておくものは依頼の言葉と渡せる資料。
設備の不具合に対応した直後については、起きることは感謝が生まれる、用意しておくものは対応後の連絡。
更新の時期については、起きることは関係を確認する機会、用意しておくものは次の提案。
オーナーが別の物件を取得したときについては、起きることは管理の相談になる、用意しておくものは定期的な接触。
知人が住まいを探し始めたときについては、起きることは話題に上る、用意しておくものは思い出してもらう接点。
オーナーの紹介は、同業の所有者に届く
物件を所有する人は、同じように所有する人とのつながりを持つことがあります。
一件の紹介が、複数の物件の受託につながることがあります。
入居者の紹介より、一件の重みが大きくなります。
紹介の件数を、記録する
誰からの紹介で誰が来たかを記録します。記録がないと、紹介の実績が集計できず、割合も出せません。生涯の価値の計算に使う数字は、この記録から出てきます。
不動産会社の生涯価値を設計する進め方
管理の契約の継続の期間と、解約の理由を集計するところから始めます。
この2つがないと、オーナー一件の価値が計算できません。
生涯の価値の設計は、計算式を作る作業ではなく、実績を集計する作業です。
記録が残っていない場合、そこから作ることになります。
不動産会社の生涯価値を設計する順番を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは管理の契約の継続の期間を実績から出す、期間の目安は4週間。
2については、やることは解約の理由を分類して集計する、期間の目安は3週間。
3については、やることは入退去にともなう収入を一件あたりで出す、期間の目安は3週間。
4については、やることは紹介と再来の記録を残す仕組みを作る、期間の目安は2週間。
5については、やることは接点の形と担い手を決める、期間の目安は3週間。
6については、やることは生涯の価値を獲得の上限に反映する、期間の目安は2週間。
記録が物件の単位になっている問題
多くの会社で、記録は物件の単位で残っています。
同じオーナーが複数の物件を持っていても、別の記録として扱われます。
人の単位に組み替えることが、価値を測る前提になります。
生涯の価値の状態を測る数字
数字は説明のための仮の値です。
管理の戸数が1,000戸で、年間の解約が80戸なら解約率は8%です。
新規の受託が100戸なら純増は20戸で、伸びは緩やかということになります。
不動産会社の生涯価値の状態を測る数字を、項目ごとに見ていきます。
管理の解約率と解約の理由については、見る頻度は四半期、判断の目安はどの場面で失っているか。
管理の純増戸数については、見る頻度は毎月、判断の目安は新規と解約を並べて見る。
物件ごとの空室の期間については、見る頻度は毎月、判断の目安は長期化している物件の把握。
紹介から生まれた相談の件数については、見る頻度は四半期、判断の目安は紹介の設計が機能しているか。
過去の入居者からの再来の件数については、見る頻度は四半期、判断の目安は接点が維持されているか。
解約率を、最初の目標にする
新規の受託を増やす取り組みより、解約を減らす取り組みのほうが早く効きます。
既に関係がある相手のため、費用も小さくなります。
解約率の改善を、最初の目標に置きます。
不動産会社の顧客の価値の見積もりで迷う場合は、無料相談で現状の記録を一緒に整理するところから始められます。獲得の上限ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
オーナーと入居者を同じ枠で扱ってよいですか
収入の入り方も関係の長さも違うため、同じ枠では計算できません。複数の物件を所有するオーナー一件の価値は、入居者の何十件分にもなります。分けて数えてください。
オーナー一件の価値はどう計算しますか
管理料の月額に実績から出した継続の期間をかけ、入退去にともなう収入と工事の収入を加えます。継続の期間を集計していない場合、まず記録を取ることから始めてください。
管理の契約が切れる主な原因は何ですか
空室が埋まらないこと、報告や対応への不満、所有者の交代、物件の売却です。空室の期間は自社で動かせるため、物件ごとに記録して長期化しているものを早く把握してください。
管理の獲得にどれだけ費用をかけてよいですか
継続する収入を生むため、一件あたりの上限は仲介の一件よりはるかに大きく置けます。ただし回収までに年単位かかることがあるため、資金の余裕とあわせて経営と合意してください。
何から手を付けると効果が早いですか
解約を減らす取り組みです。新規の受託を増やすより、既に関係がある相手のため費用も小さく、早く効きます。解約率の改善を最初の目標に置いてください。
まとめ
- 物件を所有するオーナーと、そこに住む入居者の両方が顧客です。一件あたりの価値も接点の持ち方も違うため、同じ枠で生涯の価値を計算できません
- 管理料の月額に、実績から出した継続の期間をかけます。そこに、入退去のたびに発生する収入と、工事の収入を加えます
- 入居時の手数料に、更新の回数と次の住み替えの可能性を加えます。一度の入居で終わると考えると、接点を維持する費用が正当化できません
- 空室が続いたとき、オーナーが代わったとき、物件が売却されたときです。このうち空室は自社で動かせるため、解約の理由の集計が改善の起点になります
- オーナーは継続の期間を割り引いて反映し、入居者は更新までを反映します。将来の収入をそのまま足すと、回収できない金額を上限に設定することになります
- 会社として持つ仕組みを置きます。担当者に任せると、その人が変わった時点で関係が切れます
- 生まれる場面を特定し、そこで依頼できる形を用意します。満足していれば自然に紹介されるという前提では、件数は増えません
- 管理の契約の継続の期間と、解約の理由を集計するところから始めます。この2つがないと、オーナー一件の価値が計算できません