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不動産会社のLTVと解約の設計|獲得の上限を決める数字

リピート・顧客管理公開:2026年9月15日更新:2026年9月15日読了 約12分
不動産会社のLTVと解約の設計|獲得の上限を決める数字

物件を所有するオーナーと、そこに住む入居者の両方が顧客です。
一件あたりの価値も接点の持ち方も違うため、同じ枠で生涯の価値を計算できません。

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物件を所有するオーナーと、そこに住む入居者の両方が顧客です。
一件あたりの価値も接点の持ち方も違うため、同じ枠で生涯の価値を計算できません。

不動産会社で、顧客が2種類あることの意味

物件を所有するオーナーと、そこに住む入居者の両方が顧客です。
一件あたりの価値も接点の持ち方も違うため、同じ枠で生涯の価値を計算できません。

不動産会社で、顧客が2種類あることの意味

不動産会社の顧客は、一種類ではありません。
物件を所有して管理を任せるオーナーと、その物件に住む入居者がいます。
売買の分野が加われば、売主と買主も顧客になります。

この違いは、生涯の価値の計算に直接効きます。
オーナーは管理の契約が続く限り毎月の収入を生みます。
入居者は入居のときに一度と、更新のときに定期的な収入を生みます。

顧客の種類ごとの性質

不動産会社が抱える2種類の顧客

顧客収入の入り方関係の長さ接点の持ちやすさ
物件を所有するオーナー管理料が毎月数年から数十年定期的な報告で持てる
そこに住む入居者入居時と更新時数年接点が薄くなりやすい
売買の売主成約時に一回取引で終わりやすい意識して残す必要がある
売買の買主成約時に一回地域に住み続ける残しやすい

一件の重みが、大きく違う

オーナー一件の価値は、管理する戸数と期間で決まります。
複数の物件を所有するオーナーの一件は、入居者の何十件分にもなります。
同じ反響として数えると、この差が消えます。

入居者がオーナーになることもある

長く住んだ入居者が、将来に物件を購入することがあります。購入した物件を貸し出すことになれば、管理の顧客にもなります。顧客の種類は固定ではなく、時間とともに変わります。

オーナー一件の生涯の価値を、どう数えるのか

管理料の月額に、実績から出した継続の期間をかけます。
そこに、入退去のたびに発生する収入と、工事の収入を加えます。

オーナー一件の生涯の価値を、どう数えるのか

オーナーから得られる収入は、管理料だけではありません。
入退去のたびに発生する収入、原状回復や改修の工事、更新に関わる業務。
これらを合わせたものが、一件から生まれる収入になります。

収入の種類

オーナー一件から生まれる収入の種類

収入発生の仕方大きさの目安
管理料契約が続く限り毎月戸数と料率による
入退去にともなう収入退去と入居のたび入れ替わりの頻度による
原状回復の工事退去のたび物件の状態による
改修や設備の更新不定期建物の年数による
所有物件の売買の相談将来関係の長さによる

入れ替わりの頻度が、収入を左右する

入居者の入れ替わりが多い物件ほど、入退去にともなう収入が発生します。
一方で、空室の期間が長ければオーナーの不満が大きくなります。
頻度を収入として見るだけでなく、満足度との兼ね合いで見ます。

継続の期間を、実績から出す

管理の契約がどれだけ続くかを、過去の実績から集計します。
この数字がないと、一件の価値が計算できません。
集計していない場合、まず記録を取ることから始めます。

数字は説明のための仮の値です。一戸あたり月4,000円の管理料で平均5年続くとすると、管理料だけで24万円です。入退去にともなう収入と工事の収入を加えると、これより大きくなります。

入居者一人の生涯の価値を、どう数えるのか

入居時の手数料に、更新の回数と次の住み替えの可能性を加えます。
一度の入居で終わると考えると、接点を維持する費用が正当化できません。

入居者一人の生涯の価値を、どう数えるのか

入居者からの収入は、契約のときに発生する手数料が中心です。
その後は、更新のたびに発生する収入があります。
そして、次の住み替えのときに再び自社を選ぶ可能性があります。

収入の種類

入居者一人から生まれる収入の種類

収入発生の仕方自社で動かせるか
入居時の手数料契約時に一回獲得の対象
更新にともなう収入更新のたび管理している物件の場合
住み替えのときの再利用数年後接点の維持で高まる
知人への紹介入居中から満足度で決まる
将来の購入の相談長期関係の維持で生まれる

住み替えの周期が、読める

賃貸では、住み替えの周期がある程度読めます。
契約の期間から、次に動く可能性の高い時期が分かります。
この読みやすさが、他の業種にはない強みになります。

自社が管理していない物件の入居者

他社が管理する物件を仲介した場合、入居後の接点がありません。この層との関係をどう維持するかを、別に設計する必要があります。接点がないまま数年経つと、次の住み替えでは他社に行きます。

管理の契約が切れるのは、どの場面か

空室が続いたとき、オーナーが代わったとき、物件が売却されたときです。
このうち空室は自社で動かせるため、解約の理由の集計が改善の起点になります。

管理の契約が切れるのは、どの場面か

管理の契約が切れると、その物件からの収入がすべて止まります。
新規の受託を増やしても、解約が同じだけ発生すれば純増はゼロです。
どの場面で切れているかを把握しないと、対策が打てません。

切れる場面

管理の契約が切れる場面

場面起きること自社で動かせるか
空室が埋まらないオーナーが他社に切り替える動かせる
報告や対応への不満信頼が失われる動かせる
所有者が代わる相続や売却で引き継がれない部分的に動かせる
物件が売却される管理そのものが終わる売却の相談を受けられれば残る
建物の建て替えや取り壊し物件が消える動かせない

空室の期間が、最も分かりやすい理由になる

オーナーが管理会社に期待する最大のことは、空室を埋めることです。
空室の期間が長引くと、他社への切り替えの検討が始まります。
物件ごとの空室の期間を記録し、長期化している物件を早く把握します。

売却の相談を受けられるかどうか

所有者が物件を手放す場合、その売買の相談を自社が受けられれば収入が続きます。管理の担当と売買の担当が分かれていると、この機会を逃します。管理の解約の連絡が来た時点で、売買につなぐ経路を持ちます。

継続する管理料を、獲得の上限にどう反映するか

オーナーは継続の期間を割り引いて反映し、入居者は更新までを反映します。
将来の収入をそのまま足すと、回収できない金額を上限に設定することになります。

継続する管理料を、獲得の上限にどう反映するか

生涯の価値を上限に反映するとき、どこまでを確定として扱うかが問題になります。
起きるかどうか分からないものを、そのまま足すことはできません。

反映の仕方

不動産会社で生涯の価値を上限に反映する計算を、項目ごとに見ていきます。
入居時の手数料については、扱い方はそのまま入れる、根拠は確定している。
管理料の初年度分については、扱い方はそのまま入れる、根拠は契約で決まる。
管理料の二年目以降については、扱い方は継続の割合で割り引く、根拠は実績から出せる。
入退去にともなう収入については、扱い方は実績の頻度で入れる、根拠は過去の集計から出せる。
将来の売買の相談については、扱い方は入れない、根拠は予測できない。

オーナーの獲得には、大きな上限を置ける

管理の受託は、継続する収入を生みます。
一件あたりの上限は、仲介の一件よりはるかに大きく置けます。
この計算をしていないと、受託の獲得に十分な費用をかけられません。

回収の期間を、経営と合意する

上限を上げると、その費用の回収には時間がかかります。管理の受託では、回収までに年単位かかることがあります。資金の余裕とあわせて、経営と合意します。

入居後と受託後の接点を、誰が持つのか

会社として持つ仕組みを置きます。
担当者に任せると、その人が変わった時点で関係が切れます。

入居後と受託後の接点を、誰が持つのか

契約が終わると、担当者は次の案件へ移ります。
その顧客との接点は、担当者の個人的な関係だけになります。
担当者が異動や退職をすると、関係が消えます。

接点の形

入居後と受託後の接点の持ち方を、項目ごとに見ていきます。
管理しているオーナーについては、接点の形は定期的な報告と提案、担い手は会社の仕組みと担当。
管理していない物件のオーナーについては、接点の形は市況と提案の情報、担い手は会社の仕組み。
管理物件の入居者については、接点の形は設備の対応と更新の連絡、担い手は会社の窓口。
仲介のみの入居者については、接点の形は住み替えの時期の連絡、担い手は会社の仕組み。
過去に取引した顧客については、接点の形は定期的な情報の送付、担い手は会社の仕組み。

オーナーへの報告が、最大の接点になる

管理の報告は、業務として必ず発生します。
この報告の内容と頻度が、そのまま関係の強さになります。
報告を単なる事務にせず、提案を含む接点として設計します。

接点の維持を、費用として計上する

接触には費用がかかります。この費用を当期の集客費として評価すると、効果が見えず削減の対象になります。別の枠に置き、解約率と再来の件数で評価します。

紹介と再来を、設計として作るには

生まれる場面を特定し、そこで依頼できる形を用意します。
満足していれば自然に紹介されるという前提では、件数は増えません。

紹介と再来を、設計として作るには

紹介は、満足した顧客が自発的に行うものと考えられがちです。
実際には、紹介できる状況と、依頼されたという事実の両方が必要です。
どちらかが欠けると、満足していても紹介は生まれません。

生まれる場面

不動産会社で紹介と再来が生まれる場面を、項目ごとに見ていきます。
契約の直後については、起きることは満足度が最も高い、用意しておくものは依頼の言葉と渡せる資料。
設備の不具合に対応した直後については、起きることは感謝が生まれる、用意しておくものは対応後の連絡。
更新の時期については、起きることは関係を確認する機会、用意しておくものは次の提案。
オーナーが別の物件を取得したときについては、起きることは管理の相談になる、用意しておくものは定期的な接触。
知人が住まいを探し始めたときについては、起きることは話題に上る、用意しておくものは思い出してもらう接点。

オーナーの紹介は、同業の所有者に届く

物件を所有する人は、同じように所有する人とのつながりを持つことがあります。
一件の紹介が、複数の物件の受託につながることがあります。
入居者の紹介より、一件の重みが大きくなります。

紹介の件数を、記録する

誰からの紹介で誰が来たかを記録します。記録がないと、紹介の実績が集計できず、割合も出せません。生涯の価値の計算に使う数字は、この記録から出てきます。

不動産会社の生涯価値を設計する進め方

管理の契約の継続の期間と、解約の理由を集計するところから始めます。
この2つがないと、オーナー一件の価値が計算できません。

不動産会社の生涯価値を設計する進め方

生涯の価値の設計は、計算式を作る作業ではなく、実績を集計する作業です。
記録が残っていない場合、そこから作ることになります。

不動産会社の生涯価値を設計する順番を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは管理の契約の継続の期間を実績から出す、期間の目安は4週間。
2については、やることは解約の理由を分類して集計する、期間の目安は3週間。
3については、やることは入退去にともなう収入を一件あたりで出す、期間の目安は3週間。
4については、やることは紹介と再来の記録を残す仕組みを作る、期間の目安は2週間。
5については、やることは接点の形と担い手を決める、期間の目安は3週間。
6については、やることは生涯の価値を獲得の上限に反映する、期間の目安は2週間。

記録が物件の単位になっている問題

多くの会社で、記録は物件の単位で残っています。
同じオーナーが複数の物件を持っていても、別の記録として扱われます。
人の単位に組み替えることが、価値を測る前提になります。

生涯の価値の状態を測る数字

数字は説明のための仮の値です。
管理の戸数が1,000戸で、年間の解約が80戸なら解約率は8%です。
新規の受託が100戸なら純増は20戸で、伸びは緩やかということになります。

不動産会社の生涯価値の状態を測る数字を、項目ごとに見ていきます。
管理の解約率と解約の理由については、見る頻度は四半期、判断の目安はどの場面で失っているか。
管理の純増戸数については、見る頻度は毎月、判断の目安は新規と解約を並べて見る。
物件ごとの空室の期間については、見る頻度は毎月、判断の目安は長期化している物件の把握。
紹介から生まれた相談の件数については、見る頻度は四半期、判断の目安は紹介の設計が機能しているか。
過去の入居者からの再来の件数については、見る頻度は四半期、判断の目安は接点が維持されているか。

解約率を、最初の目標にする

新規の受託を増やす取り組みより、解約を減らす取り組みのほうが早く効きます。
既に関係がある相手のため、費用も小さくなります。
解約率の改善を、最初の目標に置きます。

不動産会社の顧客の価値の見積もりで迷う場合は、無料相談で現状の記録を一緒に整理するところから始められます。獲得の上限ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。

よくある質問

オーナーと入居者を同じ枠で扱ってよいですか

収入の入り方も関係の長さも違うため、同じ枠では計算できません。複数の物件を所有するオーナー一件の価値は、入居者の何十件分にもなります。分けて数えてください。

オーナー一件の価値はどう計算しますか

管理料の月額に実績から出した継続の期間をかけ、入退去にともなう収入と工事の収入を加えます。継続の期間を集計していない場合、まず記録を取ることから始めてください。

管理の契約が切れる主な原因は何ですか

空室が埋まらないこと、報告や対応への不満、所有者の交代、物件の売却です。空室の期間は自社で動かせるため、物件ごとに記録して長期化しているものを早く把握してください。

管理の獲得にどれだけ費用をかけてよいですか

継続する収入を生むため、一件あたりの上限は仲介の一件よりはるかに大きく置けます。ただし回収までに年単位かかることがあるため、資金の余裕とあわせて経営と合意してください。

何から手を付けると効果が早いですか

解約を減らす取り組みです。新規の受託を増やすより、既に関係がある相手のため費用も小さく、早く効きます。解約率の改善を最初の目標に置いてください。

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まとめ

  • 物件を所有するオーナーと、そこに住む入居者の両方が顧客です。一件あたりの価値も接点の持ち方も違うため、同じ枠で生涯の価値を計算できません
  • 管理料の月額に、実績から出した継続の期間をかけます。そこに、入退去のたびに発生する収入と、工事の収入を加えます
  • 入居時の手数料に、更新の回数と次の住み替えの可能性を加えます。一度の入居で終わると考えると、接点を維持する費用が正当化できません
  • 空室が続いたとき、オーナーが代わったとき、物件が売却されたときです。このうち空室は自社で動かせるため、解約の理由の集計が改善の起点になります
  • オーナーは継続の期間を割り引いて反映し、入居者は更新までを反映します。将来の収入をそのまま足すと、回収できない金額を上限に設定することになります
  • 会社として持つ仕組みを置きます。担当者に任せると、その人が変わった時点で関係が切れます
  • 生まれる場面を特定し、そこで依頼できる形を用意します。満足していれば自然に紹介されるという前提では、件数は増えません
  • 管理の契約の継続の期間と、解約の理由を集計するところから始めます。この2つがないと、オーナー一件の価値が計算できません