不動産会社のマーケと営業の連携|対立が起きる理由と解き方

本部は全社の数字を見て、店舗は自分の商圏の実感で判断しているからです。
商圏ごとに条件が違うため、全社の平均で語られる施策が現場では的外れに感じられます。
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目次
目次
- 不動産会社で、本部と店舗の対立が生まれる構造
- 押し付け合いが、構造として起きる
- 本部と店舗で、対立の中身をどう切り分けるか
- 3つに分ける
- 繁忙期と閑散期で、対立の中身が変わる
- 時期ごとの議論の中身
- 本部と店舗が、共有する指標をどこに置くか
- 共有指標の置き方
- 反響の割り当てと所有を、どう決めるか
- 割り当てと所有の設計
- 店舗からの情報が戻らない問題を、どう解くか
- 入力されない理由は、時期と負担
- 店舗の評価の設計が、連携の成否を決める
- 評価に何を入れるか
- 不動産会社の本部と店舗の連携を立て直す進め方
- 着手の時期を、閑散期に置く
- よくある質問
- まとめ
本部は全社の数字を見て、店舗は自分の商圏の実感で判断しているからです。
商圏ごとに条件が違うため、全社の平均で語られる施策が現場では的外れに感じられます。
不動産会社で、本部と店舗の対立が生まれる構造
本部は全社の数字を見て、店舗は自分の商圏の実感で判断しているからです。
商圏ごとに条件が違うため、全社の平均で語られる施策が現場では的外れに感じられます。
不動産会社では、集客の機能が本部に置かれ、対応が店舗で行われます。
本部は全社の反響件数と費用を見ています。
店舗は自分の商圏で起きていることを見ています。
この2つは、しばしば食い違います。
全社では反響が増えていても、ある店舗では減っていることがあります。
全社の平均で施策を語ると、その店舗にとっては現実と違う話になります。
押し付け合いが、構造として起きる
成約が足りないとき、本部は反響を出したと言い、店舗は質が悪いと言います。
どちらも自分の数字では正しいため、決着がつきません。
これは人の問題ではなく、見ている単位の違いです。
不動産会社で本部と店舗の対立が起きる構造
| 本部が見るもの | 店舗が見るもの | ずれの原因 |
|---|---|---|
| 全社の反響件数 | 自店舗の反響と来店 | 商圏による差 |
| 全社の平均の獲得単価 | 自店舗の手応え | 物件の量と競合の差 |
| 月ごとの推移 | 日ごとの動き | 繁忙期の時間感覚 |
| 施策の全社への展開 | 自店舗での実行の負担 | 人員と枠の制約 |
| 事業ごとの目標 | 目の前の成約 | 時間の視野の違い |
物件の量が、両者の間に挟まっている
扱える物件の量と内容は、店舗の商圏で決まります。良い物件があれば集客の努力と無関係に反響が増えます。この要因を切り分けないと、どちらの働きも正しく評価できません。
本部と店舗で、対立の中身をどう切り分けるか
定義の問題、単位の問題、時期の問題の3つに分けます。
1つの議題として扱うと解けませんが、分けるとそれぞれに打ち手があります。
連携がうまくいかないという相談は、実際には複数の問題が束になっています。
まず束をほどきます。
3つに分ける
定義の問題は、有効な反響とは何かが合意されていないことです。
単位の問題は、全社と店舗のどちらで見るかが揃っていないことです。
時期の問題は、繁忙期と閑散期で議論の内容が変わることです。
不動産会社での対立の中身の切り分け方
| 問題 | 現れ方 | 打ち手の方向 |
|---|---|---|
| 定義の不一致 | 反響の質をめぐる言い争い | 判定の主体と基準を決める |
| 見る単位の違い | 全社の数字と実感が合わない | 店舗単位の数字を基準にする |
| 時期の違い | 繁忙期に議論が成立しない | 時期ごとに議題を分ける |
| 情報の非対称 | 店舗の事情が本部に伝わらない | 会議に固定の枠を作る |
| 評価の不整合 | それぞれが自分の数字を追う | 共有の指標を評価に入れる |
店舗単位の数字を、基準にする
全社の平均は、どの店舗の実感とも一致しません。
店舗ごとの数字を基準にし、全社は合計として扱います。
この変更だけで、議論が具体的になります。
分けた順に、別々の場で扱う
3つを同じ会議で扱うと、議論が往復します。定義の合意は別の場で時間をかけ、月次では単位と時期の前提だけを確認します。議題を分けることが、最初の打ち手になります。
繁忙期と閑散期で、対立の中身が変わる
繁忙期は枠の不足をめぐる議論に、閑散期は反響の不足をめぐる議論になります。
同じ形の会議を通年で続けると、どちらの時期にも噛み合いません。
賃貸の分野では、時期によって現場の状況が大きく変わります。
繁忙期には反響が余り、対応する枠が足りません。
閑散期には枠が余り、反響が足りません。
この2つの状態では、本部に求められることが正反対になります。
時期ごとの議論の中身
時期によって変わる対立の中身
| 時期 | 現場の状態 | 本部への要求 | 議論すべきこと |
|---|---|---|---|
| 繁忙期 | 枠が足りない | 質の高い反響だけ欲しい | 絞る基準と割り当て |
| 繁忙期の直前 | 準備が間に合わない | 早く情報が欲しい | 前倒しの準備 |
| 閑散期 | 反響が足りない | 量が欲しい | 入口の拡大と別事業 |
| 閑散期 | 時間に余裕がある | 次への準備をしたい | 仕組みの整備 |
| 繁忙期の直後 | 疲弊している | 振り返りをしたい | 記録の確認 |
繁忙期に、新しい施策を始めない
繁忙期に新しい取り組みを始めると、現場に実行の余力がありません。
実行されないまま終わり、本部への不信が残ります。
新しいことは、閑散期に始めて繁忙期までに定着させます。
振り返りを、繁忙期の直後に行う
繁忙期の記憶があるうちに、何が起きたかを記録します。時間が経つと、印象だけが残って事実が失われます。この振り返りが、翌年の準備の材料になります。
本部と店舗が、共有する指標をどこに置くか
来店の件数と、案内の枠の充足率です。
どちらも本部の集客と店舗の対応の両方が必要で、一方だけでは動きません。
共有の指標は、両者が動かないと変わらない場所に置きます。
反響件数は本部の施策で動き、成約は店舗の比重が大きくなります。
その中間に置くのが、来店と案内です。
共有指標の置き方
本部と店舗が共有する指標
| 指標 | 本部側の貢献 | 店舗側の貢献 |
|---|---|---|
| 来店の件数 | 反響の獲得と入口の設計 | 連絡と予約の取得 |
| 案内の枠の充足率 | 反響の量の調整 | 枠の確保と運用 |
| 有効と判定された割合 | 訴求と入口の選び方 | 判定と理由の記録 |
| 管理の受託の面談件数 | オーナー向けの経路の設計 | 訪問と提案 |
| 決まらなかった人からの再成約 | 接点の維持の仕組み | 戻す合図の実行 |
成約を共有指標にしない
成約は、扱える物件の量と市場の状況に強く左右されます。
本部が動かせない要因の比重が大きいため、共有の指標には向きません。
最終の成果として全社で追い、共有は来店と案内の段階に置きます。
同じ数字を見ている状態を作る
同じ名前の指標でも、店舗ごとに集計の元が違えば数字がずれます。どの記録から集計するかを一つに決め、双方が同じ画面を見ている状態にします。数字の突き合わせに時間を使う会議は、そこから先に進みません。
反響の割り当てと所有を、どう決めるか
商圏で割り当て、一定の期間で連絡がつかなければ他店舗に回します。
期限のない所有は、繁忙期に対応されないまま抱え込まれる原因になります。
反響は、問い合わせのあった物件の所在で店舗に割り当てられます。
しかし、その店舗が繁忙で対応できないことがあります。
所有が固定されていると、対応されないまま古くなります。
割り当てと所有の設計
不動産会社での反響の割り当てと所有を、項目ごとに見ていきます。
割り当て直後については、所有する店舗は物件の所在の店舗、期限は数時間。
連絡がついたについては、所有する店舗は対応した店舗、期限は来店の日程が決まるまで。
連絡がつかないについては、所有する店舗は一定時間後に他店舗へ回す、期限は時間を決めて運用する。
来店の日程が合わないについては、所有する店舗は近隣の店舗で対応する、期限は条件を決める。
有効でないと判定については、所有する店舗は本部で接点を維持、期限は理由の記録を条件にする。
店舗をまたぐ対応の条件を、決めておく
近隣の店舗で対応できる場合、どちらの成果にするかで揉めます。
成果の配分の条件を先に決めておくと、対応が速くなります。
決めていないと、店舗が抱え込みます。
抱え込みを、記録で可視化する
誰が何件抱えているかを一覧で見られる状態にします。公開されていない状態では、抱え込みは発覚しません。この可視化だけで、対応漏れが大きく減ることがあります。
店舗からの情報が戻らない問題を、どう解くか
記録の項目を絞り、繁忙期でも数十秒で終わる形にします。
店舗が入力しないのは意識の問題ではなく、忙しい時期に手が回らないことが原因です。
集客の改善には、店舗が持っている情報が要ります。
どの入口の反響がどう転んだか、決まらなかった理由は何か。
しかしこの情報は、繁忙期にはほぼ戻ってきません。
入力されない理由は、時期と負担
繁忙期には、記録より目の前の対応が優先されます。
最も情報が集まるはずの時期に、最も記録が薄くなります。
繁忙期を前提に、項目を絞ります。
店舗から戻すべき情報を、項目ごとに見ていきます。
有効でないと判定した理由については、使いみちは訴求と入口の見直し、入力の形は選択式にする。
来店に至らなかった理由については、使いみちは返信の型の改善、入力の形は選択式にする。
決まらなかった理由については、使いみちは物件と条件の判断、入力の形は選択式にする。
成約に至った経緯については、使いみちは勝ちパターンの共有、入力の形は閑散期に聞き取る。
オーナーの相談の状況については、使いみちは受託の見込みの把握、入力の形は簡易な進捗の区分。
選択式にすることの効果
自由記述を求めると、入力の負担が上がり集計もできません。
想定される理由を選択肢にしておくと、入力は数秒で済みます。
選択肢にない理由が続けて出たら、そこで選択肢を追加します。
戻ってきた情報を、必ず返す
入力した情報が何に使われたかが見えないと、入力は続きません。閑散期の会議で、記録から分かったことを店舗に返します。返す場を作ることが、記録が続く最大の条件になります。
店舗の評価の設計が、連携の成否を決める
成約の件数だけで店舗を評価すると、来店の記録も管理の受託も評価されません。
連携に必要な行動が評価に入っていなければ、仕組みを作っても動きません。
連携の議論は、最後に評価の設計に行き着きます。
評価されない行動は、どれだけ会議で合意しても現場で実行されません。
評価に何を入れるか
不動産会社で評価の設計が連携に与える影響を、項目ごとに見ていきます。
仲介の成約件数のみについては、現場が取る行動は取りやすい相談に集中する、連携への影響は反響の抱え込みが起きる。
来店の件数を加えるについては、現場が取る行動は連絡と予約に力が入る、連携への影響は共有指標が動く。
記録の入力率を加えるについては、現場が取る行動は記録が埋まる、連携への影響は集客の改善が進む。
管理の受託を加えるについては、現場が取る行動はオーナーへの提案が動く、連携への影響は継続の収入が伸びる。
戻した相談からの成約を加えるについては、現場が取る行動は過去の相談が使われる、連携への影響は獲得の費用が回収される。
管理の受託を、店舗の評価に入れる
管理の受託は、件数が少なく成果が見えにくい活動です。
仲介の成約だけで評価すると、店舗は受託に時間を使いません。
継続の収入を伸ばすなら、評価に入れる必要があります。
本部の評価にも、成約を入れる
本部を反響件数だけで評価すると、質を落としてでも件数を取りに行きます。獲得した反響がその後どうなったかを、本部の評価にも入れます。双方の評価に相手側の数字が入ることで、議論の姿勢が変わります。
不動産会社の本部と店舗の連携を立て直す進め方
数字を見る単位を店舗に変えるところから始めます。
全社の平均で議論している限り、どの改善も現場の実感と合いません。
連携の立て直しは、会議の運営を変えるより先に、数字の見方を変えます。
前提が揃わないまま話し合いを増やしても、同じ議論が繰り返されます。
不動産会社の本部と店舗の連携を立て直す順番を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは数字を店舗単位で出せる形に変える、期間の目安は3週間。
2については、やることは有効の定義と判定の主体を合意する、期間の目安は3週間。
3については、やることは共有する指標を来店と枠の充足率に置く、期間の目安は1週間。
4については、やることは反響の所有の期限と店舗間の条件を決める、期間の目安は2週間。
5については、やることは記録の項目を絞り、選択式に変える、期間の目安は3週間。
6については、やることは評価に連携の行動を加える、期間の目安は次の期から。
着手の時期を、閑散期に置く
繁忙期に新しい運用を始めると、実行されずに終わります。
閑散期に始め、繁忙期までに定着させます。
この時期の選択が、定着するかどうかを分けます。
連携の状態を測る数字
数字は説明のための仮の値です。
反響が月に600件、有効と判定されたのが240件、うち来店が180件だとします。
判定の理由が記録されているのが120件なら、記録の入力率は50%です。
不動産会社の連携の状態を測る数字を、項目ごとに見ていきます。
店舗ごとの来店の件数については、見る頻度は毎週、判断の目安は共有指標として両者で追う。
有効でないと判定した理由の記録率については、見る頻度は毎月、判断の目安は記録が回っているか。
割り当てから最初の接触までの時間については、見る頻度は毎週、判断の目安は抱え込みが起きていないか。
店舗をまたいで対応した件数については、見る頻度は毎月、判断の目安は連携が機能しているか。
管理の受託の面談件数については、見る頻度は毎月、判断の目安は評価に入れた効果。
一年は、同じ形で続ける
集計や定義を頻繁に変えると、比較ができなくなります。
繁忙期を一度通してから見直します。
連携の改善は、短期の数字では判断できません。
不動産会社の本部と店舗のかみ合わせで迷う場合は、無料相談で現状の流れを一緒に整理するところから始められます。体制ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
全社では反響が増えているのに店舗から不満が出ます
商圏ごとに条件が違うため、全社の平均はどの店舗の実感とも一致しません。数字を店舗単位で出せる形に変え、全社は合計として扱ってください。これだけで議論が具体的になります。
本部と店舗で共有すべき指標は何ですか
来店の件数と案内の枠の充足率です。本部の集客と店舗の対応の両方が必要で、一方だけでは動きません。成約は物件の量と市場の影響が大きく共有には向きません。
繁忙期に会議が噛み合いません
繁忙期は枠の不足、閑散期は反響の不足をめぐる議論になり、求められることが正反対です。時期ごとに議題を分け、新しい施策は閑散期に始めて繁忙期までに定着させてください。
店舗が記録を入力してくれません
繁忙期には記録より目の前の対応が優先されます。項目を最小限に絞って選択式にし、数十秒で終わる形にしてください。閑散期の会議で、記録から分かったことを店舗に返します。
管理の受託が店舗で進みません
仲介の成約だけで評価していると、件数が少なく成果が見えにくい受託には時間を使いません。継続の収入を伸ばすなら、受託の活動を評価に入れる必要があります。
まとめ
- 本部は全社の数字を見て、店舗は自分の商圏の実感で判断しているからです。商圏ごとに条件が違うため、全社の平均で語られる施策が現場では的外れに感じられます
- 定義の問題、単位の問題、時期の問題の3つに分けます。1つの議題として扱うと解けませんが、分けるとそれぞれに打ち手があります
- 繁忙期は枠の不足をめぐる議論に、閑散期は反響の不足をめぐる議論になります。同じ形の会議を通年で続けると、どちらの時期にも噛み合いません
- 来店の件数と、案内の枠の充足率です。どちらも本部の集客と店舗の対応の両方が必要で、一方だけでは動きません
- 商圏で割り当て、一定の期間で連絡がつかなければ他店舗に回します。期限のない所有は、繁忙期に対応されないまま抱え込まれる原因になります
- 記録の項目を絞り、繁忙期でも数十秒で終わる形にします。店舗が入力しないのは意識の問題ではなく、忙しい時期に手が回らないことが原因です
- 成約の件数だけで店舗を評価すると、来店の記録も管理の受託も評価されません。連携に必要な行動が評価に入っていなければ、仕組みを作っても動きません
- 数字を見る単位を店舗に変えるところから始めます。全社の平均で議論している限り、どの改善も現場の実感と合いません