不動産売買のマーケティング組織の作り方

物件の情報を外部の媒体へ載せる作業が、毎日大量に発生するからです。
この作業が部門の時間の大半を占めると、集客の設計を考える人がいなくなります。
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目次
目次
- 不動産売買のマーケティング部門が、物件の掲載係になってしまう理由
- 作業が集まる構造を、先に認識する
- 掲載の運用と、集客の設計を分ける
- 2つの仕事の性質の違い
- 仲介の集客に、どの役割を置くのか
- 役割の一覧
- 本部と店舗の分担を、どう決めるか
- 分担の基準
- 広告の表示を確認する役割を、誰が持つのか
- 確認の体制の型
- 売買の集客で、人をどの順番で採るのか
- 採用の順番
- 売買の集客で、外部の力をどこに使うのか
- 外に出す領域と、残す領域
- 不動産売買のマーケティング組織を立ち上げる手順
- 最初の成果を、測ることに置く
- よくある質問
- まとめ
物件の情報を外部の媒体へ載せる作業が、毎日大量に発生するからです。
この作業が部門の時間の大半を占めると、集客の設計を考える人がいなくなります。
不動産売買のマーケティング部門が、物件の掲載係になってしまう理由
物件の情報を外部の媒体へ載せる作業が、毎日大量に発生するからです。
この作業が部門の時間の大半を占めると、集客の設計を考える人がいなくなります。
売買仲介の会社では、預かった物件の情報を外部の媒体へ掲載する作業が日常的に発生します。
写真の撮影と加工、間取りの作成、文章の作成、価格の更新、成約済みの物件の取り下げ。
この作業は止められないうえに、件数に比例して増えます。
マーケティングの担当者が置かれると、まずこの作業が集まってきます。
作業が埋まると、どの入口から何件取るかという設計に手が回りません。
結果として、部門の役割が掲載の運用に固定されます。
作業が集まる構造を、先に認識する
掲載の作業は緊急性が高く、締切があります。
設計の仕事は緊急ではないため、後回しになります。
放っておくと必ず作業に寄るという前提で、組織を設計します。
不動産売買でマーケティング部門が掲載係になる兆候
| 兆候 | そこで起きていること |
|---|---|
| 会議の議題が掲載の進捗だけになる | 設計の議論の場がない |
| 入口ごとの歩留まりを誰も出していない | 分析の担当がいない |
| 広告の配分が前年のまま動いていない | 判断する人がいない |
| 新しい入口の検討が数年止まっている | 検討の時間が確保できていない |
| 店舗からの依頼が直接担当者に入る | 優先順位を決める仕組みがない |
掲載の運用を軽視しない
掲載の質は、反響の件数に直接効きます。写真の枚数、文章の具体性、更新の速さ。この作業は成果に直結しますが、設計と同じ人が兼ねると設計が消えます。
掲載の運用と、集客の設計を分ける
求められる技能も、成果が出るまでの時間も違います。
同じ担当が兼ねると、締切のある運用が常に優先され、設計は永久に始まりません。
掲載の運用は、正確さと速さが求められる仕事です。
集客の設計は、数字を読んで判断する仕事です。
必要な技能が違うため、採用の基準も評価の仕方も別になります。
2つの仕事の性質の違い
掲載の運用と集客の設計の違い
| 項目 | 掲載の運用 | 集客の設計 |
|---|---|---|
| 求められること | 正確さと速さ | 数字を読む力と判断 |
| 成果が出るまで | 当日から翌日 | 数か月 |
| 評価の仕方 | 処理の量と誤りの少なさ | 歩留まりと採算の改善 |
| 緊急性 | 高い | 低い |
| 外部に任せやすさ | 任せやすい | 任せにくい |
分けるときの最初の一歩
人を増やせない場合でも、時間の枠を分けることはできます。
週のうち一定の時間を設計に充て、その時間は運用の依頼を受けないと決めます。
枠を守れる仕組みがないと、この分離は成立しません。
運用を外に出す判断
掲載の作業は手順が明確で、外部に任せやすい領域です。一方で、物件の情報は正確さが求められ、誤りが問題になります。手順書と確認の体制を整えてから外に出します。
仲介の集客に、どの役割を置くのか
設計、掲載の運用、広告の運用、制作、分析の5つに分かれます。
最初から全部を置く必要はありませんが、誰の仕事でもない領域を作らないことが要点です。
役割を並べると、いま誰が何をやっているかが見えます。
空欄になっている役割が、放置されている領域です。
役割の一覧
不動産売買のマーケティング組織に置く役割
| 役割 | 担うこと | 最初に置くかどうか |
|---|---|---|
| 集客の設計 | 入口の配分と目標の設定 | 最初に置く |
| 掲載の運用 | 物件情報の作成と更新 | 既にある場合が多い |
| 広告の運用 | 運用型の広告の設計と調整 | 外部に任せることが多い |
| 制作 | 写真と文章と資料の作成 | 一部を外に出せる |
| 分析 | 歩留まりと採算の集計 | 最初に置く |
分析の役割を、最初に置く
歩留まりを出す人がいないと、どの判断も勘になります。
専任でなくても、集計の責任を持つ人を決めます。
この役割が空欄のまま組織を大きくすると、あとから直すのに時間がかかります。
誰の仕事でもない領域を探す
反響の対応漏れの管理、過去の相談への再接触、社名での検索への対応。こうした領域は、集客と営業の境界に落ちて誰も見ていないことがあります。役割の一覧を作る目的は、この空欄を見つけることです。
本部と店舗の分担を、どう決めるか
商圏の情報は店舗が持ち、仕組みと予算は本部が持ちます。
本部が細かい表現まで決めると現場の実情に合わず、店舗に全部任せると品質が揃いません。
複数の店舗を持つ会社では、本部と店舗の分担が組織設計の中心になります。
店舗ごとに商圏が違い、扱う価格帯も競合も違います。
一律の施策が合わないことが多い一方で、完全に分けると管理ができません。
分担の基準
本部と店舗の分担の決め方
| 領域 | 本部 | 店舗 |
|---|---|---|
| 予算の配分 | 全体の枠を決める | 枠内での重点を提案する |
| 入口の選定 | 全社で使う媒体を決める | 地域特有の接点を持つ |
| 表現の型 | 型と確認の基準を作る | 地域に合わせて具体を埋める |
| 物件の掲載 | 手順と品質の基準を作る | 情報の提供と確認 |
| 数字の集計 | 全社の集計の形を決める | 自店舗の数字を見る |
店舗ごとの差を、数字で把握する
同じ施策でも、店舗によって結果が大きく違います。
その差が商圏の違いによるものか、運用の差によるものかを切り分けます。
切り分けができていないと、全店舗への横展開が失敗します。
店舗からの依頼を、直接受けない
個別の店舗から担当者へ直接依頼が入ると、優先順位がつきません。依頼の窓口を一本化し、月次で優先順位を決める形にします。この整理だけで、設計に使える時間が生まれます。
広告の表示を確認する役割を、誰が持つのか
制作と別の人が持ちます。
自分が作ったものを自分で確認する形にすると、確認が形式的になります。
不動産の広告では、表示の内容に注意が必要な領域があります。
取り扱っていない物件の掲載、成約済みの情報の放置、将来の価格に関する断定的な表現。
掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
この確認を誰が行うかを決めていない会社が少なくありません。
決まっていないと、問題が起きたときに責任の所在も分かりません。
確認の体制の型
表示の確認を担う体制の型を、項目ごとに見ていきます。
制作者が自分で確認するについては、利点は早い、弱点は見落としが起きやすい。
部門内に確認の担当を置くについては、利点は内容を理解している、弱点は独立性が弱い。
本部に確認の機能を置くについては、利点は基準が揃う、弱点は時間がかかる。
外部の専門家に定期的に見てもらうについては、利点は判断の精度が高い、弱点は日常の確認には使えない。
確認の基準を文書にして全員で共有するについては、利点は全体の水準が上がる、弱点は更新の手間がかかる。
確認を、工程として組み込む
出稿の直前に確認すると、差し戻しで日程が崩れます。
制作の途中に確認の工程を入れると、修正の量が減ります。
急いで出す案件ほど、この工程が飛ばされるため、例外を作らない運用にします。
判断できない事例を、蓄積する
判断に迷った事例と、そのときの判断を記録します。記録がないと、同じ判断を毎回ゼロから行うことになります。この蓄積が、確認にかかる時間を減らします。
売買の集客で、人をどの順番で採るのか
数字を集計して判断できる人を最初に置きます。
広告の運用や制作は外部に任せられますが、判断は外に出せません。
採用の順番を誤ると、外に出せる仕事を社内に抱え、出せない仕事が空欄のままになります。
外に出しにくい仕事から埋めます。
採用の順番
不動産売買で人を採る順番を、項目ごとに見ていきます。
1については、役割は集客の設計と分析、外部に任せられるかは任せにくい。
2については、役割は掲載の運用の管理、外部に任せられるかは管理は社内、作業は外に出せる。
3については、役割は制作の企画、外部に任せられるかは企画は社内、制作は外に出せる。
4については、役割は広告の運用、外部に任せられるかは外に任せられる。
5については、役割はデータの整備、外部に任せられるかは部分的に任せられる。
業界の経験と、集客の経験のどちらを採るか
不動産の実務を知っている人は、現場の話が通じます。
集客の経験がある人は、数字の設計ができます。
どちらも満たす人は少ないため、先に集客の経験を採り、業界の知識は社内で補うほうが早いことが多くなります。
育成にかかる時間を見積もる
採用した人が独力で判断できるまでには、時間がかかります。その間の成果を期待しすぎると、早期に辞めます。最初の数か月は、現状を測ることを成果として置きます。
売買の集客で、外部の力をどこに使うのか
手順が決まっている作業と、専門の技能が要る領域に使います。
判断と、顧客の情報の扱いは社内に残します。
外部に出す判断は、費用の比較だけでは決まりません。
社内に残すべきものを先に決め、残りを検討の対象にします。
外に出す領域と、残す領域
不動産売買で外部に出す領域と社内に残す領域を、項目ごとに見ていきます。
集客の配分と目標の決定については、外に出すかは残す、理由は事業の判断そのもの。
歩留まりの集計と解釈については、外に出すかは残す、理由は判断の材料になる。
顧客の情報の管理については、外に出すかは残す、理由は扱いに配慮が要る。
物件の写真と間取りの制作については、外に出すかは出せる、理由は手順が明確。
運用型の広告の設計と調整については、外に出すかは出せる、理由は専門の技能が要る。
掲載の入力作業については、外に出すかは出せる、理由は量が読める。
出す場合も、社内に理解できる人を置く
外に出した領域について、社内に誰も分かる人がいない状態は避けます。
提案の良し悪しを判断できなくなり、報告を受け取るだけになります。
理解できる人を一人置くことが、外部を使う条件になります。
契約の前に、引き継ぎの条件を決める
外部との関係が終わるときに、何が手元に残るかを先に決めます。制作した素材、広告の設定、蓄積した記録。決めずに始めると、切り替えのときに一から作り直すことになります。
不動産売買のマーケティング組織を立ち上げる手順
いま誰が何をやっているかを書き出すところから始めます。
役割の一覧に対して空欄を見つけると、最初に置くべき人が決まります。
組織の設計は、理想の形を描くことから始めると動きません。
現状の棚卸しから入ります。
不動産売買のマーケティング組織を立ち上げる順番を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは現在の作業を洗い出し、誰がやっているかを書く、期間の目安は2週間。
2については、やることは役割の一覧に当てはめ、空欄を特定する、期間の目安は1週間。
3については、やることは掲載の運用と集客の設計を分ける、期間の目安は3週間。
4については、やることは表示の確認の担当と基準を決める、期間の目安は3週間。
5については、やることは本部と店舗の分担を文書にする、期間の目安は3週間。
6については、やることは採用と外部への委託の計画を作る、期間の目安は4週間。
最初の成果を、測ることに置く
立ち上げの直後から件数の改善を求めると、無理が出ます。
最初の数か月は、段階ごとの歩留まりを出せる状態を作ることを成果にします。
測れる状態になって初めて、改善の議論ができます。
組織の状態を測る数字
数字は説明のための仮の値です。
担当者の時間のうち、掲載の運用が8割、設計が2割という状態から始めたとします。
この比率を記録し、四半期ごとに動かしていくことが組織の成果になります。
不動産売買のマーケティング組織の状態を測る数字を、項目ごとに見ていきます。
設計に使えた時間の割合については、見る頻度は毎月、判断の目安は運用に飲まれていないか。
歩留まりを出せている段階の数については、見る頻度は四半期、判断の目安は測れる範囲が広がっているか。
店舗からの依頼の処理にかかる日数については、見る頻度は毎月、判断の目安は窓口の一本化が機能しているか。
表示の確認で差し戻しになった件数については、見る頻度は毎月、判断の目安は工程が機能しているか。
外部に出している領域の費用と成果については、見る頻度は四半期、判断の目安は委託の範囲が適切か。
一年は、同じ体制で見る
組織の効果は、数か月では出ません。
体制を頻繁に変えると、何が効いたか分からなくなります。
決めた形を一年は維持し、そのうえで見直します。
不動産売買の集客の体制づくりで迷う場合は、無料相談で現状の役割分担を一緒に整理するところから始められます。外部への委託の範囲ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
マーケティング担当が物件の掲載作業だけで終わってしまいます
掲載の作業は締切があって緊急性が高く、設計の仕事は緊急でないため必ず後回しになります。人を増やせない場合でも、週のうち一定の時間を設計に充て、その時間は運用の依頼を受けないと決めてください。
最初に置くべき役割はどれですか
集客の設計と分析です。歩留まりを出す人がいないと、どの判断も勘になります。広告の運用や制作は外部に任せられますが、判断は外に出せません。
本部と店舗の分担はどう決めますか
商圏の情報は店舗が持ち、仕組みと予算は本部が持ちます。本部が細かい表現まで決めると現場の実情に合わず、店舗に全部任せると品質が揃いません。
広告の表示の確認は誰が行うべきですか
制作した人とは別の人が行います。自分が作ったものを自分で確認すると形式的になります。判断に迷った事例とその判断を記録して蓄積すると、確認にかかる時間が減ります。
業界経験者と集客の経験者、どちらを採るべきですか
両方を満たす人は少ないため、先に集客の経験がある人を採り、不動産の知識は社内で補うほうが早いことが多くなります。最初の数か月は現状を測ることを成果に置いてください。
まとめ
- 物件の情報を外部の媒体へ載せる作業が、毎日大量に発生するからです。この作業が部門の時間の大半を占めると、集客の設計を考える人がいなくなります
- 求められる技能も、成果が出るまでの時間も違います。同じ担当が兼ねると、締切のある運用が常に優先され、設計は永久に始まりません
- 設計、掲載の運用、広告の運用、制作、分析の5つに分かれます。最初から全部を置く必要はありませんが、誰の仕事でもない領域を作らないことが要点です
- 商圏の情報は店舗が持ち、仕組みと予算は本部が持ちます。本部が細かい表現まで決めると現場の実情に合わず、店舗に全部任せると品質が揃いません
- 制作と別の人が持ちます。自分が作ったものを自分で確認する形にすると、確認が形式的になります
- 数字を集計して判断できる人を最初に置きます。広告の運用や制作は外部に任せられますが、判断は外に出せません
- 手順が決まっている作業と、専門の技能が要る領域に使います。判断と、顧客の情報の扱いは社内に残します
- いま誰が何をやっているかを書き出すところから始めます。役割の一覧に対して空欄を見つけると、最初に置くべき人が決まります