
資金と人の両方が、既存の仲介の業務に張り付いていることです。
仲介は在庫を持たない事業のため、在庫を持つ事業に広げると資金の性質が変わります。
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目次
目次
- 不動産売買の会社が新しい事業を始めるときの、最初の制約
- 制約の種類
- 既存の顧客と相談を、どこまで使えるか
- 使える範囲と、使えない範囲
- 仲介会社が最初に検証すべきは、需要か供給か
- 供給から確かめる理由
- 仲介会社の新事業の立ち上げ期に、どの数字で判断するか
- 立ち上げ期に見る数字
- 仲介の予算の枠から、新事業をどう切り離すか
- 枠の切り離し方
- 営業と組織を、どこまで分けるか
- 分け方の選択肢
- 仲介会社が、やめる条件を着手の前に決める
- 条件の決め方
- 不動産売買の会社が新しい事業を立ち上げる手順
- 既存の事業への影響を、監視する
- よくある質問
- まとめ
資金と人の両方が、既存の仲介の業務に張り付いていることです。
仲介は在庫を持たない事業のため、在庫を持つ事業に広げると資金の性質が変わります。
不動産売買の会社が新しい事業を始めるときの、最初の制約
資金と人の両方が、既存の仲介の業務に張り付いていることです。
仲介は在庫を持たない事業のため、在庫を持つ事業に広げると資金の性質が変わります。
売買仲介の会社が事業を広げるとき、選択肢はいくつかあります。
物件を自社で買い取って売る形、賃貸の管理を始める形、改修を手がける形。
どれも既存の顧客と接点を活かせるように見えます。
しかし、仲介と他の事業では資金の使い方が根本的に違います。
仲介は物件を保有しないため、大きな資金が寝ません。
買取を始めると、売れるまで資金が固定されます。
制約の種類
新しい事業を始めるときの制約
| 制約 | 内容 | 影響 |
|---|---|---|
| 資金の性質 | 在庫を持つと資金が固定される | 資金繰りの設計が変わる |
| 人の配置 | 既存の営業が手を割けない | 専任を置けるかが問われる |
| 必要な技能 | 仲介と別の知識が要る | 採用か外部との連携が必要 |
| 評価の期間 | 立ち上げに時間がかかる | 既存と同じ基準で測れない |
| 表現の扱い | 事業ごとに注意点が違う | 確認の基準を作り直す |
既存の営業に兼務させると、進まない
新しい事業を既存の営業に兼務させる形が多く取られます。
しかし、既存の仲介は目の前の成果が見えるため、そちらが優先されます。
兼務では、新しい事業に時間が割かれません。
何のために広げるのかを、先に決める
収益の源を増やすためなのか、既存の顧客を失わないためなのか。目的によって、評価の仕方も投資の規模も変わります。ここが曖昧なまま始めると、判断の基準が作れません。
既存の顧客と相談を、どこまで使えるか
関心が重なる範囲でしか使えません。
売買の相談で接触した層が、そのまま別の事業の顧客になるとは限りません。
新しい事業を始めるとき、既存の顧客に案内すれば早く立ち上がると考えます。
実際には、関心の重なりがある範囲でしか反応がありません。
重なりを見誤ると、既存の顧客との関係を損ないます。
使える範囲と、使えない範囲
既存の顧客と相談の使い方
| 対象 | 重なりの度合い | 使い方 |
|---|---|---|
| 売却を検討して見送った層 | 買取の案内に重なる | 条件を絞って案内する |
| 購入した顧客 | 改修や管理の案内に重なる | 時期を見て案内する |
| 条件が合わなかった購入希望者 | 別の物件の種類に重なる | 条件の幅を広げて案内 |
| 過去に成約した顧客 | 再取引と紹介に重なる | 関係の維持が前提 |
| 関心の分野が違う層 | 重ならない | 案内しない |
無差別な案内が、関係を壊す
既存の顧客全員に案内を送ると、関心のない人にも届きます。
不動産の相談は個人の事情に関わるため、無関係な案内は不快感を生みます。
対象を絞る手間を惜しまないことが、既存の関係を守ります。
既存の顧客だけでは、検証にならない
既存の顧客からの反応は、会社への信頼を含んだ数字です。新規の顧客に対して成立するかは、別に確かめる必要があります。既存の顧客での成功を、市場の需要と読み違えないようにします。
仲介会社が最初に検証すべきは、需要か供給か
供給の側です。
買取も管理も改修も、対応できる体制がなければ需要があっても受けられません。
新しい事業の検証というと、需要があるかを確かめる話になりがちです。
しかし不動産では、供給の側に制約があることが多くなります。
需要を集めてから体制を作ろうとすると、集めた相談を失います。
供給から確かめる理由
需要と供給のどちらを先に確かめるか
| 事業 | 供給側の制約 | 先に確かめること |
|---|---|---|
| 買取 | 資金と再販の見通し | 何件まで同時に抱えられるか |
| 賃貸の管理 | 管理の人手と仕組み | 何戸まで対応できるか |
| 改修 | 施工の体制と職人の確保 | 月に何件まで施工できるか |
| 新しい地域への進出 | その地域での物件の確保 | 扱える物件があるか |
| 新しい価格帯 | その層への対応の経験 | 対応できる人がいるか |
小さく始めて、上限を確かめる
いきなり集客を始めず、少数の案件で回してみます。
その過程で、どこが詰まるかが分かります。
上限が見えてから、その範囲で集客を設計します。
受けられない相談を、どう扱うか
体制を超える相談が来た場合の扱いを決めておきます。断るのか、待ってもらうのか、他社に紹介するのか。決めていないと、対応の質が落ちて評判に影響します。
仲介会社の新事業の立ち上げ期に、どの数字で判断するか
収益ではなく、供給の上限に対する充足率と、一件あたりの工数で見ます。
立ち上げ期に収益で判断すると、必ず撤退という判断になります。
新しい事業は、立ち上げの期間に収益が出ません。
既存の仲介と同じ基準で評価すると、数か月で止めることになります。
別の基準を用意します。
立ち上げ期に見る数字
不動産売買の新しい事業の立ち上げ期に見る数字
| 数字 | 見る意味 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 供給の上限に対する充足率 | 体制が埋まっているか | 需要の有無が分かる |
| 一件あたりにかかった工数 | 想定と合っているか | 採算の見通しが立つ |
| 想定と違った点の件数 | 前提の精度 | 学習が進んでいるか |
| 既存の事業への影響 | 人と時間が奪われていないか | 兼務の弊害の確認 |
| 問い合わせの内容の傾向 | 需要の性質 | 対象の絞り込みの材料 |
収益は、期間を区切って評価する
収益での評価は、あらかじめ決めた期間が来てから行います。
その期間の途中では、収益を議題にしません。
議題にすると、毎月の会議が撤退の議論になります。
想定と違った点を、記録する
立ち上げ期の最大の成果は、前提がどれだけ正しかったかを知ることです。想定と違った点を記録すると、次の判断の材料になります。うまくいかなかった場合でも、この記録が残ります。
仲介の予算の枠から、新事業をどう切り離すか
別の枠として確保し、既存の成果と比較しない形にします。
同じ枠に入れると、効率の悪い新規の事業から費用が削られます。
新しい事業の集客を、既存の予算の中で行うと必ず削られます。
既存の仲介は獲得の効率が読めており、新規は読めません。
数字で比べれば、新規が負けます。
枠の切り離し方
予算の枠の切り離し方を、項目ごとに見ていきます。
別の枠として確保するについては、内容は年間の金額を先に決める、注意点は期中に動かさない。
評価の期間を分けるについては、内容は年次で評価する、注意点は月次では議題にしない。
成果の指標を分けるについては、内容は充足率と工数で見る、注意点は獲得単価で比べない。
決裁の経路を分けるについては、内容は経営が直接見る、注意点は既存の部門の判断から外す。
撤退の判断を独立させるについては、内容は条件を先に決める、注意点は感情的な判断を避ける。
金額を、先に決め切る
新しい事業に使う総額を、着手の前に決めます。
足りなくなるたびに追加する形にすると、判断の基準が曖昧になります。
決めた金額を使い切った時点で、継続するかを判断します。
既存の事業の人件費を、算入する
既存の営業が兼務している場合、その時間も費用です。算入しないと、実際より安く見えます。兼務の時間を記録し、費用として計上します。
営業と組織を、どこまで分けるか
専任を最低一人置きます。
全員が兼務の状態では、目の前の仲介の成果が優先され、新しい事業に時間が回りません。
新しい事業に専任を置くかどうかは、立ち上がるかどうかを決めます。
兼務だけで立ち上がった例は多くありません。
分け方の選択肢
営業と組織の分け方を、項目ごとに見ていきます。
全員が兼務については、利点は人を増やさずに始められる、弱点は時間が回らず進まない。
専任を一人置くについては、利点は最低限の推進力が生まれる、弱点はその人に依存する。
小さな専任の組織を作るについては、利点は自律的に動く、弱点は固定費が増える。
既存の店舗の一部で試すについては、利点は現場の情報が活きる、弱点はその店舗の負担が増える。
外部と組んで始めるについては、利点は体制を早く作れる、弱点は知見が社内に残りにくい。
専任の評価を、既存と分ける
専任に置いた人を、既存の仲介の成果で評価すると新しい事業に集中できません。
立ち上げ期の指標で評価します。
評価の基準を先に決めないと、その人が不利になります。
既存の営業との関係を、設計する
新しい事業と既存の仲介で、同じ顧客に接触することがあります。どちらが窓口になるかを決めておかないと、社内で取り合いが起きます。顧客から見て一つの会社として動く形を作ります。
仲介会社が、やめる条件を着手の前に決める
使い切る金額と、その時点で満たすべき状態を決めます。
始めたあとに条件を決めようとすると、投じた費用が判断を歪めます。
新しい事業は、続けるほど判断が難しくなります。
既に投じた費用が惜しくなり、あと少しという議論が繰り返されます。
着手の前に条件を決めておくことでしか、この状態は避けられません。
条件の決め方
不動産売買の新しい事業でやめる条件の決め方を、項目ごとに見ていきます。
使う金額の上限については、決めておく内容は総額と期間、注意点は追加は原則認めない。
判断の時点については、決めておく内容はいつ評価するか、注意点は途中では議題にしない。
満たすべき状態については、決めておく内容はその時点で何ができているか、注意点は収益だけにしない。
判断する人については、決めておく内容は誰が決めるか、注意点は担当者に決めさせない。
続ける場合の条件については、決めておく内容は次の期間と金額、注意点は同じ形で決め直す。
満たすべき状態を、収益以外で決める
立ち上げ期の判断を収益だけで行うと、ほぼ必ず撤退になります。
供給の体制ができているか、需要の存在が確認できたか。
この2つを含めた条件にします。
やめる判断を、失敗として扱わない
条件に従って止めることは、計画どおりの動きです。失敗として扱うと、次に新しい試みが出てきません。何が分かったかを記録し、次の判断に使います。
不動産売買の会社が新しい事業を立ち上げる手順
供給の体制を少数の案件で確かめるところから始めます。
集客を先に始めると、受けられない相談を集めて評判を落とします。
立ち上げの作業は、集客から始めません。
体制の確認から入ります。
不動産売買の会社が新しい事業を立ち上げる順番を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは何のために広げるのかを決める、期間の目安は2週間。
2については、やることは供給の体制の上限を少数の案件で確かめる、期間の目安は8週間。
3については、やることは既存の顧客のうち重なる層を絞る、期間の目安は3週間。
4については、やることは専任を置き、評価の基準を決める、期間の目安は3週間。
5については、やることは予算の枠とやめる条件を決める、期間の目安は2週間。
6については、やることは絞った対象に向けて集客を始める、期間の目安は以降。
既存の事業への影響を、監視する
新しい事業に人と時間が取られると、既存の仲介の成果が落ちます。
立ち上げ期は、既存の数字も並べて見ます。
既存が落ちている場合、投入の量を調整します。
進み具合を測る数字
数字は説明のための仮の値です。
月に5件まで対応できる体制に対して、実際の受注が2件なら充足率は4割です。
この充足率が上がらない場合、需要か訴求のどちらかに問題があります。
立ち上げの進み具合を測る数字を、項目ごとに見ていきます。
供給の上限に対する充足率については、見る頻度は毎月、判断の目安は需要が存在するか。
一件あたりの工数については、見る頻度は毎月、判断の目安は採算の見通し。
既存の事業の成果の変化については、見る頻度は毎月、判断の目安は悪影響が出ていないか。
使った金額の累計については、見る頻度は毎月、判断の目安は上限に対する残り。
想定と違った点の記録については、見る頻度は毎月、判断の目安は学習が進んでいるか。
一年は、同じ形で続ける
新しい事業は、数か月では判断できません。
決めた期間と金額の範囲で続け、その時点で判断します。
期間の途中で方針を変えると、何が効いたか分からなくなります。
不動産売買の会社が事業を広げる判断で迷う場合は、無料相談で現状の体制を一緒に整理するところから始められます。新しい事業の集客ごと設計する段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
仲介の会社が事業を広げるときの最初の制約は何ですか
資金の性質が変わることです。仲介は物件を保有しないため大きな資金が寝ませんが、買取を始めると売れるまで資金が固定されます。人の配置も既存の業務に張り付いています。
既存の顧客に案内すれば早く立ち上がりますか
関心が重なる範囲でしか反応しません。無差別に案内すると、不動産の相談は個人の事情に関わるため不快感を生みます。既存の顧客での成功を市場の需要と読み違えないでください。
需要と供給のどちらを先に確かめますか
供給です。買取も管理も改修も、対応できる体制がなければ需要があっても受けられません。少数の案件で回して上限を確かめてから、その範囲で集客を設計してください。
立ち上げ期は何で判断しますか
供給の上限に対する充足率と、一件あたりの工数です。収益で判断すると必ず撤退という判断になります。収益での評価は、あらかじめ決めた期間が来てから行ってください。
やめる条件はいつ決めますか
着手の前です。始めたあとに決めようとすると、既に投じた費用が判断を歪めます。使う金額の上限、判断の時点、その時点で満たすべき状態を先に決めておいてください。
まとめ
- 資金と人の両方が、既存の仲介の業務に張り付いていることです。仲介は在庫を持たない事業のため、在庫を持つ事業に広げると資金の性質が変わります
- 関心が重なる範囲でしか使えません。売買の相談で接触した層が、そのまま別の事業の顧客になるとは限りません
- 供給の側です。買取も管理も改修も、対応できる体制がなければ需要があっても受けられません
- 収益ではなく、供給の上限に対する充足率と、一件あたりの工数で見ます。立ち上げ期に収益で判断すると、必ず撤退という判断になります
- 別の枠として確保し、既存の成果と比較しない形にします。同じ枠に入れると、効率の悪い新規の事業から費用が削られます
- 専任を最低一人置きます。全員が兼務の状態では、目の前の仲介の成果が優先され、新しい事業に時間が回りません
- 使い切る金額と、その時点で満たすべき状態を決めます。始めたあとに条件を決めようとすると、投じた費用が判断を歪めます
- 供給の体制を少数の案件で確かめるところから始めます。集客を先に始めると、受けられない相談を集めて評判を落とします