ECサイトの広告代理店との付き合い方|月200万以上を預ける前に

在庫と粗利の情報が外部に届かないことです。
この2つがないと、外部は獲得単価の良い商品に配分を寄せるしかありません。
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目次
目次
- ECサイトの広告運用を外部に預けるとき、何が難しくなるのか
- 不満がどこに出るか
- 外部に渡すべき情報は、何か
- 情報を渡す経路を1本にする
- 成果の評価は、どの数字で行うのか
- 条件が実行不能なときの扱い
- 報告に何を求めるべきか
- 報告の場をどう使うか
- 委託の範囲は、どこで線を引くのか
- 複数の委託先を使う場合
- 委託先を選ぶとき、何を確認するのか
- 契約で決めておくこと
- 委託を続けるか、内製に移すかの判断はどうするのか
- 部分的に移す選択
- ECの代理店との付き合い方は、何から見直せばいいのか
- 見直し後に確認すること
- よくある質問
- まとめ
在庫と粗利の情報が外部に届かないことです。
この2つがないと、外部は獲得単価の良い商品に配分を寄せるしかありません。
ECサイトの広告運用を外部に預けるとき、何が難しくなるのか
在庫と粗利の情報が外部に届かないことです。
この2つがないと、外部は獲得単価の良い商品に配分を寄せるしかありません。
広告運用の委託は、多くの企業で行われています。
Testifyが2026年5月14日から18日に実施した調査では、回答者の9割超が代理店を活用しており、全面委託が37.2%、社内運用との併用が54.4%でした。
ECで委託が難しくなるのは、判断に必要な情報が社内にあるからです。
商品ごとの粗利率と、在庫の状況がそれにあたります。
この2つがないと、外部が見られるのは管理画面の数字だけになります。
管理画面で最も良く見えるのは、単価が低く売れやすい商品です。
単価が低い商品は、粗利も薄いことが多くあります。
配分が寄るほど、売上は伸びて利益は伸びない状態になります。
在庫の情報がないと、欠品した商品に投下が続きます。
投下は無駄になり、獲得単価の悪化として記録されます。
この状態が続くと、双方の認識がずれます。
外部は指標を達成し、発注側は利益が出ていないという報告になります。
不満がどこに出るか
同じ調査では、満足度が82.6%だった一方で約2割が不満を持っていました。
経営層の不満で最も多いのは「費用が成果に見合わない」で56.3%です。
マーケティング責任者では「成果不振の説明不足」が53.1%でした。
運用担当では「レスポンスが遅い」が50.8%となっています。
このうち上2つは、渡している情報の範囲と関係します。
粗利と在庫を渡していなければ、費用と成果の関係は説明できません。
ECの委託で難しいのは、粗利と在庫の情報が社内にあることです。渡さなければ、外部は管理画面の数字で判断します。
外部に渡すべき情報は、何か
商品群ごとの許容獲得単価と、投下の可否です。
粗利率そのものを出さなくても、この2つで判断の基準は揃います。
渡す情報の設計は、何を出せないかから決めると進みます。
粗利率と原価は、社外に出しにくい情報です。
出せない場合でも、計算済みの許容獲得単価なら渡せます。
商品群ごとの上限という形にすれば、内訳は出ません。
もう1つが、投下の可否です。
在庫の数量ではなく、その商品群に投下してよいかどうかを渡します。
可否の更新は週次にします。
月次だと、欠品への対応が最大で4週間遅れます。
この2つに加えて、目的別の枠の額を渡します。
新規獲得、再購入、滞留処理のどれに使う予算かを明示する形です。
枠を分けずに総額だけ渡すと、効率の良い再購入側に寄ります。
寄った結果、新規が細ります。
外部に渡す情報と、渡さない情報
| 渡す | 形式 | 更新の頻度 | 渡さない |
|---|---|---|---|
| 商品群ごとの許容獲得単価 | 金額の上限 | 四半期 | 粗利率と原価 |
| 投下の可否 | 群ごとの可否 | 週次 | 在庫の数量 |
| 目的別の枠の額 | 金額 | 月次 | 全社の損益 |
| 入口カテゴリの構成比の条件 | 割合 | 四半期 | 顧客ごとの購買履歴 |
| 回収月数の上限 | 月数 | 四半期 | LTVの内訳 |
情報を渡す経路を1本にする
情報の受け渡しは、窓口を1か所に決めてください。
商品部が直接渡すと、マーケティング側に記録が残りません。
記録が残らないと、なぜその月にその判断をしたかが後から分かりません。
翌期の計画を立てるときに、根拠を再現できなくなります。
渡す形式も固定します。
形式が毎回変わると、外部側の運用にも負担がかかります。
渡すのは許容獲得単価と投下の可否と枠の額です。窓口を1か所に決め、形式を固定してください。
成果の評価は、どの数字で行うのか
獲得単価ではなく、枠ごとに達成した件数と条件の遵守で評価します。
獲得単価を評価にすると、確実に取れる商品に寄ります。
外部の評価を獲得単価で行うと、行動は単価を下げる方向に固定されます。
単価が下がるのは、指名検索と再購入と低単価の商品です。
どれも新しい需要を作る配信ではありません。
評価の設計が、投下の内容を決めてしまいます。
評価に使うのは、枠ごとに確保した件数です。
許容獲得単価の内側で、目標の件数を取れたかどうかを見ます。
あわせて、条件の遵守を確認します。
入口カテゴリの構成比や、値引き対象商品からの獲得比率の上限です。
この2つで評価すれば、単価だけを下げる動きは成果になりません。
条件の内側で件数を取ることが、共通の目標になります。
評価の期間は四半期にします。
月次で評価すると、立ち上がりに時間のかかる配信を試せません。
条件が実行不能なときの扱い
置いた条件で件数が取れない場合があります。
このとき外部が黙って条件を超えると、採算が崩れます。
超える前に返す運用を、契約の時点で決めてください。
返された発注側は、単価を上げるか件数を下げるかを判断します。
判断の期限も決めておきます。
返してから判断までが長いと、その間の投下が止まります。
評価は枠ごとの件数と条件の遵守で行います。条件が実行不能なときに返す運用を、契約時に決めてください。
報告に何を求めるべきか
配信の実績ではなく、判断の材料を求めます。
何をやったかではなく、次に何を変えるべきかが分かる形にします。
外部からの報告は、配信の実績の一覧になりがちです。
媒体ごとの費用と件数と単価が並ぶ形です。
この形式では、次の判断ができません。
数字は分かっても、何を変えるべきかが書かれていないからです。
求めるべきは、判断の材料です。
どの商品群で条件の内側に収まらなかったか、その原因は何かという情報です。
原因の候補は、競合の入札、素材の劣化、在庫起因の停止に分かれます。
このうち在庫起因は、発注側の課題になります。
分類されていれば、打ち手の担当も決まります。
分類されていない報告は、共有で終わります。
報告の頻度は月次で足ります。
週次の報告を求めると、作成の作業が増えるだけで判断は増えません。
外部の報告に含めるべき項目
| 項目 | 内容 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 枠ごとの件数と単価 | 目標に対する達成 | 評価 |
| 条件の遵守状況 | 構成比と値引き比率 | 評価 |
| 条件を外れた群と原因 | 競合か素材か在庫か | 打ち手の決定 |
| 翌月に変える内容 | 具体的な変更点 | 実行の確認 |
| 発注側への依頼 | 必要な情報や判断 | 社内の対応 |
報告の場をどう使うか
報告の場を実績の読み上げに使うと、時間が足りなくなります。
実績は事前に共有し、場では判断だけを行ってください。
場で決めるのは、条件の変更と枠の移動です。
どちらも発注側の判断が必要な項目です。
決まらなかった項目は、担当と期限を付けて持ち帰ります。
持ち越すだけだと、同じ議論を毎月繰り返します。
報告には判断の材料を求めます。実績は事前に共有し、報告の場では条件の変更と枠の移動だけを決めてください。
委託の範囲は、どこで線を引くのか
社内の情報がないと判断できない業務を、社内に残します。
配分の決定と入口商品の選定が、その代表です。
委託の範囲を決める基準は、社内の情報の要否です。
情報がなくても実行できる業務は、外に出せます。
媒体ごとの配信設計や入札の運用は、外部でも実行できます。
素材の制作も、商品情報があれば外部で進められます。
一方で、商品群への配分の決定には粗利と在庫が要ります。
入口商品の選定には、2回目購入率のデータが必要です。
この2つは社内に残すのが基本です。
残すには、社内でその判断ができる体制が要ります。
体制がない場合、一時的に外部と一緒に判断する形もあります。
その場合も、判断の記録は社内に残してください。
記録が社内にないと、委託先を変えるときに引き継げません。
引き継げない状態が、委託先を変えられない理由になります。
複数の委託先を使う場合
商品群や媒体ごとに委託先を分ける場合があります。
分けると比較ができる一方、全体の配分が誰にも見えなくなります。
分ける場合は、全体を見る役割を社内に置いてください。
置かないと、委託先どうしが同じ枠に入札する状態になります。
比較の基準も揃える必要があります。
同じ許容獲得単価と条件で評価しないと、比較になりません。
配分の決定と入口商品の選定は社内に残します。複数の委託先を使う場合は、全体を見る役割を社内に置いてください。
委託先を選ぶとき、何を確認するのか
ECの在庫と物流の制約を理解しているかを確認します。
運用の実績よりも、制約への対応の経験のほうが重要になります。
委託先の選定では、運用の実績が説明されることが多くあります。
ただし実績の多くは、業種も商材も異なる事例です。
確認すべきは、在庫と物流の制約にどう対応するかです。
欠品したときの対応、滞留在庫の処理、商戦期の投下の設計が具体的に語れるかを見ます。
もう1つが、粗利の情報がない状態でどう判断するかです。
渡さない前提でも、許容獲得単価があれば運用できると説明できる相手が適しています。
3つ目が、報告の形式です。
提案の段階で報告の見本を出してもらい、判断の材料になっているかを確認します。
4つ目が、体制です。
担当者が何人で、どの業務を誰が行うかを確認します。
同じ調査では、運用担当の不満として「レスポンスが遅い」が50.8%でした。
体制の確認は、この点に直結します。
委託先を選ぶときの確認項目
| 項目 | 確認の方法 | 見るところ |
|---|---|---|
| 在庫への対応 | 欠品時の運用を説明させる | 具体的な手順があるか |
| 滞留在庫の処理 | 別枠での扱いを説明させる | 通常枠と分けているか |
| 粗利の扱い | 渡さない前提での運用方針 | 許容単価で運用できるか |
| 報告の形式 | 見本を提出させる | 判断の材料があるか |
| 体制 | 担当者数と役割 | 窓口と実務が分かれているか |
契約で決めておくこと
契約時に決めるのは、渡す情報の範囲と更新の頻度です。
この範囲が、外部に求められる説明の範囲を決めます。
あわせて、評価の指標と期間を明記します。
獲得単価ではなく、枠ごとの件数と条件の遵守であることを書きます。
データの所在も決めておきます。
運用の履歴や素材が誰のものかを、後から確認できない状態にしないでください。
選定では在庫と物流の制約への対応を確認します。契約では渡す情報の範囲と、評価の指標と期間を明記してください。
委託を続けるか、内製に移すかの判断はどうするのか
判断の速度と、社内に残る記録の量で判断します。
費用の比較だけでは、移行後の負担が見えません。
委託か内製かの議論は、費用の比較から始まることが多くあります。
ただし費用だけでは判断できません。
見るべきは、判断にかかる時間です。
欠品時の停止や配分の変更が、何日で反映されているかを測ります。
反映が遅い場合、原因は委託そのものではなく情報の経路にあります。
経路を直せば、委託のままでも改善します。
もう1つが、社内に残る記録です。
判断の根拠や運用の履歴が社内にない場合、移行の難易度が上がります。
同じ調査では、全面委託している企業の8割超が1年以内のインハウス化を計画または検討していました。
決定・予定が52.9%、積極検討が32.8%です。
一方で障壁は、教育時間と知見不足が44.8%、媒体アップデートへの追随困難が40.3%、人材採用が36.7%でした。
移行を検討するなら、この3つへの手当てが前提になります。
部分的に移す選択
すべてを内製に移す必要はありません。
配分の決定と入口商品の選定だけを社内に持つ形も選択肢です。
この形なら、媒体の仕様変更への追随は外部に任せられます。
障壁として挙げられた項目の多くが、実務の部分に関わるからです。
移す範囲を決めるときは、社内で維持できるかを基準にします。
担当者が1人しかいない業務は、その人の異動で止まります。
判断の速度と社内に残る記録で判断してください。配分の決定だけを社内に持つ部分的な移行も選択肢になります。
ECの代理店との付き合い方は、何から見直せばいいのか
いま渡している情報の一覧を作るところからです。
渡していない情報が、成果の説明が噛み合わない原因になっています。
最初にやるのは、現在渡している情報の棚卸しです。
何を、どの頻度で、誰が渡しているかを書き出します。
書き出すと、在庫と粗利に関する情報が抜けていることが多く見つかります。
抜けている項目が、そのまま改善の対象になります。
次に、渡せる形に加工する方法を決めます。
粗利率を出せないなら許容獲得単価、在庫数を出せないなら投下の可否です。
その後、評価の指標を獲得単価から枠ごとの件数と条件の遵守に変えます。
変更は契約の更新の時期に合わせます。
最後に、報告の形式を判断の材料が含まれる形に変えます。
見本を提示して、次回から適用してもらいます。
代理店との付き合い方を見直す順番
| 順番 | やること | 関わる人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 渡している情報を棚卸しする | マーケティング | 1週間 |
| 2 | 渡せる形への加工方法を決める | マーケと経理 | 2週間 |
| 3 | 窓口を1か所に決めて経路を整理する | マーケ責任者 | 1週間 |
| 4 | 評価の指標を件数と条件の遵守に変える | マーケ責任者と経営 | 2週間 |
| 5 | 報告の形式の見本を提示する | マーケティング | 1週間 |
| 6 | 四半期ごとに条件と上限を更新する | マーケティング | 継続 |
数字は説明のための仮の値です。
商品群Aの許容獲得単価が6,000円、群Bが2,400円である場合、全社平均の4,000円で運用していると群Bで赤字が出ます。
この状態は、平均を渡している限り解消されません。
群ごとの上限を渡すだけで、配分の向きが変わります。
着手から運用の変更までは、全体で8週間前後が目安です。
契約の更新時期が先の場合は、運用の変更だけを先に進めてください。
見直し後に確認すること
見直しから3か月後に確認するのは、条件を外れた群とその原因の分類です。
分類が報告に含まれていなければ、形式が定着していません。
あわせて、欠品時の停止が何日で反映されているかを測ります。
週次の可否の更新が機能していれば、7日以内に収まります。
この2つが改善していれば、見直しは効いています。
改善していない場合は、情報の経路に戻って確認してください。
着手点は渡している情報の棚卸しです。粗利率は許容獲得単価に、在庫数は投下の可否に加工して渡してください。
ECサイトで代理店に渡す情報の範囲に迷う場合は、無料相談で現状の進め方を見てもらうところから始められます。
評価の設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
代理店に粗利率を渡す必要がありますか
粗利率そのものを出せない場合は、計算済みの許容獲得単価を商品群ごとに渡してください。内訳を出さずに判断の基準は揃います。何も渡さないと、外部は管理画面で良く見える単価の低い商品に配分を寄せます。
在庫の情報はどう渡せばいいですか
数量ではなく、商品群ごとの投下の可否という形で渡してください。更新は週次にします。月次だと欠品への対応が最大で4週間遅れ、その間の投下が無駄になります。窓口はマーケティング部門の1か所に集めます。
代理店の評価は獲得単価で行ってよいですか
獲得単価を評価にすると、指名検索や再購入や低単価商品に寄ります。許容獲得単価の内側で枠ごとの目標件数を取れたかと、入口カテゴリの構成比などの条件を守れたかで評価してください。期間は四半期にします。
月次報告に何を求めればいいですか
配信の実績ではなく判断の材料です。条件の内側に収まらなかった商品群と、その原因が競合か素材か在庫かの分類を求めてください。実績は事前に共有し、報告の場では条件の変更と枠の移動だけを決めます。
委託を続けるか内製に移すかは、何で判断しますか
費用の比較ではなく、判断にかかる時間と社内に残る記録で判断してください。反映が遅い原因が情報の経路にある場合は、委託のままでも改善します。配分の決定と入口商品の選定だけを社内に持つ部分的な移行も選択肢です。
まとめ
- 在庫と粗利の情報が外部に届かないことです。この2つがないと、外部は獲得単価の良い商品に配分を寄せるしかありません
- 商品群ごとの許容獲得単価と、投下の可否です。粗利率そのものを出さなくても、この2つで判断の基準は揃います
- 獲得単価ではなく、枠ごとに達成した件数と条件の遵守で評価します。獲得単価を評価にすると、確実に取れる商品に寄ります
- 配信の実績ではなく、判断の材料を求めます。何をやったかではなく、次に何を変えるべきかが分かる形にします
- 社内の情報がないと判断できない業務を、社内に残します。配分の決定と入口商品の選定が、その代表です
- ECの在庫と物流の制約を理解しているかを確認します。運用の実績よりも、制約への対応の経験のほうが重要になります
- 判断の速度と、社内に残る記録の量で判断します。費用の比較だけでは、移行後の負担が見えません
- いま渡している情報の一覧を作るところからです。渡していない情報が、成果の説明が噛み合わない原因になっています