
広報と入試が別の予算を持ち、学部にも独自の予算があるからです。
合計がいくらで何に使われているかを、誰も把握していない状態が生まれます。
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目次
目次
- 大学の募集予算が、部署ごとに分かれたまま決まるのはなぜか
- 総額を一度出す意味
- 入学者1人に払える上限は、どう計算するのか
- 定員を超えられない制約
- 学部ごとの配分は、何を基準に決めるのか
- 学部との合意をどう取るか
- 年度の予算の編成に、募集の暦をどう合わせるのか
- 編成に逆算の結果を入れる
- 経営に学部別の予算を説明するとき、何を1枚に載せるのか
- 定員割れの損失を並べて示す
- 部署をまたぐ費用は、どう整理するのか
- 分類を毎年続ける
- 期中に費用を組み替える判断は、どう行うのか
- 組み替えの範囲を先に決裁に含める
- 大学の募集予算の設計は、どこから着手するのか
- よくある質問
- まとめ
広報と入試が別の予算を持ち、学部にも独自の予算があるからです。
合計がいくらで何に使われているかを、誰も把握していない状態が生まれます。
大学の募集予算が、部署ごとに分かれたまま決まるのはなぜか
広報と入試が別の予算を持ち、学部にも独自の予算があるからです。
合計がいくらで何に使われているかを、誰も把握していない状態が生まれます。
大学の募集にかかる費用は、複数の予算に分かれています。
広報の予算、入試の予算、そして学部ごとの予算です。
それぞれが年度の予算として編成され、別の稟議で決まります。
決まる時期も、決める人も違います。
この構造では、募集にかかる総額が見えません。
見えないため、1人の入学者を得るためにいくら使っているかも分かりません。
さらに、同じ目的の費用が別の予算から出ることがあります。
学部の案内の制作費が、広報と学部の両方から出ている場合です。
重複に気づかないまま、毎年同じ形で編成が続きます。
削減の要請が来たときも、どこを削るかの判断ができません。
もう1つの問題が、年度の会計と募集の周期のずれです。
接点から入学まで1年以上あるため、費用の年度と収入の年度が一致しません。
総額を一度出す意味
総額が分からない状態では、効率の議論ができません。
学部ごとの上限も、総額が分からなければ意味を持ちません。
そのため、まず全学の募集にかかる費用を1枚にまとめてください。
予算の帰属ではなく、目的で分類します。
分類の軸は、資料請求の獲得、参加の獲得、出願の促進、認知の4つです。
この分類で並べると、重複と抜けが見えます。
予算が部署と学部に分かれているため、募集の総額が見えません。予算の帰属ではなく目的で分類し、総額を一度出してください。
入学者1人に払える上限は、どう計算するのか
在籍年数ぶんの学費から、教育にかかる費用と退学の率を引いて出します。
学部ごとに学費と費用の構造が違うため、学部別に計算してください。
上限の計算に必要なのは3つです。
在籍期間を通じた収入、教育にかかる費用、そして退学の率です。
収入は、入学金と授業料に加えて、在籍中に発生する費用も含みます。
実験や実習にかかる費用が該当する学部もあります。
教育にかかる費用には、教員の人件費、施設の維持、設備が入ります。
学部によって、この構造が大きく変わります。
退学の率は、在籍期間の収入を直接減らします。
4年制で2年目に退学すると、収入は半分になります。
この3つから出した差額に、残したい割合を掛けます。
残りが、1人の入学者に払える上限です。
学部をまとめて平均で計算すると、実在しない数字が出ます。
学費と費用の差が大きい学部がある場合は、必ず分けてください。
大学で入学者1人あたりの上限を出す流れ
| 段階 | 入れる数字 | 注意する点 | 出てくるもの |
|---|---|---|---|
| 1 | 在籍年数ぶんの学費 | 在籍中の実験費なども含める | 名目の収入 |
| 2 | 教育にかかる費用 | 学部ごとに大きく変わる | 1人あたりの差額 |
| 3 | 退学の率 | 学年ごとに分けて出す | 実質の差額 |
| 4 | 方式別の手続率 | 合格から手続までの歩留まり | 合格1件の価値 |
| 5 | 残したい割合 | 大学の方針で置く | 入学1人に払える上限 |
数字は説明のための仮の値です。
4年制で学費の総額が480万円、教育にかかる費用が400万円なら差額は80万円です。
退学で1割落ちると実質72万円で、残したい割合を8割に置くと上限はおよそ14万4千円になります。
方式別の手続率が3割の方式では、合格1件に払える上限はおよそ4万3千円です。
定員を超えられない制約
大学には、入学定員の管理という制約があります。
定員を大きく超えて集めることはできません。
そのため、費用は定員に達するまでしか意味を持ちません。
定員に達している学部への出稿は、止める判断になります。
一方で、定員に届いていない学部では、空いた定員が繰り越せません。
上限を超えても集める判断があります。
上限は在籍年数ぶんの差額から、退学の率を引いて学部別に出します。定員の管理の制約があるため、超過の集客は意味を持ちません。
学部ごとの配分は、何を基準に決めるのか
定員の充足の見込みと、学部別の上限の2つで決めます。
すべての学部に同じ額を配ると、不足する学部の不足が広がります。
学部ごとの配分を均等にすると、志願者が集まりやすい学部がさらに集まります。
集まりにくい学部は、定員に届かないまま終わります。
配分の基準は2つです。
定員に対する現在の充足の見込みと、学部別に出した上限です。
充足の見込みは、前年の同じ時期の進捗と比べて出します。
遅れている学部に、費用を厚く置きます。
ただし、上限を超えてまで置くかは別の判断です。
学部別の上限を超える場合、その学部の採算が合いません。
判断の分かれ目は、定員に届かない場合の損失です。
定員に届かないと、教員と施設の費用が回収できません。
この損失が上限を超えた費用より大きければ、超えて集める判断になります。
その場合も、超過の額と期限を決めてください。
学部との合意をどう取るか
配分を変えると、費用が減る学部から反発が出ます。
数字の根拠を示さないと、毎年同じ議論を繰り返します。
示すのは、充足の見込みと学部別の上限の2つです。
この2つを並べると、配分の理由が説明できます。
合意の記録を残してください。
翌年度の配分の議論で、前年の根拠を参照できます。
配分は定員の充足の見込みと学部別の上限で決めます。超えて集める判断をする場合は、超過の額と期限を決めてください。
年度の予算の編成に、募集の暦をどう合わせるのか
編成の時期が募集の準備の時期より後になるため、前倒しの手当てが要ります。
編成を待って動くと、翌年度の春の接点に間に合いません。
大学の年度の予算は、前の年度のうちに編成されます。
決裁の経路も長く、確定までに時間がかかります。
一方で、募集の準備は年度が始まる前から必要です。
春のオープンキャンパスの設計と制作は、前の年度の冬から始まります。
編成の確定を待って動くと、この準備が間に合いません。
間に合わないと、春の接点が薄くなります。
そのため、前倒しで動ける仕組みを作ってください。
前年度の予算で準備の一部を進める形が実務的です。
もう1つの方法が、複数年の枠を設けることです。
認知の取り組みのように効果が年単位で出るものは、単年の編成に合いません。
いずれの方法も、経営と財務との合意が前提になります。
合意がないまま前倒しすると、執行の処理で止まります。
大学で年度の予算と募集の暦のずれ
| 時期 | 募集の活動 | 予算の状態 | とる手当て |
|---|---|---|---|
| 前年度の秋 | 翌年度の設計と逆算 | 編成の議論が始まる | 逆算の結果を編成に入れる |
| 前年度の冬 | 春の制作と日程の確定 | 編成の確定前 | 前年度の予算で一部を進める |
| 年度の初め | 春の接点の開始 | 執行の開始 | 確定を待たない準備 |
| 夏 | 参加の集中 | 執行の中盤 | 進捗に応じた組み替え |
| 秋から冬 | 出願と手続の促進 | 執行の終盤 | 翌年度の編成と並行 |
編成に逆算の結果を入れる
編成の議論に、逆算の結果を持ち込んでください。
学部ごとの必要な参加者数と、上限から出した金額です。
この2つがないと、編成は前年比の議論になります。
前年比の議論では、増額も減額も根拠が作れません。
逆算の結果を出すのは、編成の議論が始まる前です。
前年度の秋までに準備してください。
予算の編成は募集の準備より後になります。前年度の予算での前倒しか、複数年の枠を経営と合意しておいてください。
経営に学部別の予算を説明するとき、何を1枚に載せるのか
学部ごとの上限、必要な参加者数、総額の3つです。
加えて、定員に届かない場合の収入の減少を在籍年数ぶんで示してください。
予算が通らない理由の多くは、金額の大きさではありません。
その金額が何に基づいているかを、1枚で説明できていないことです。
載せるのは、学部ごとの上限、必要な参加者数、総額の3つです。
この3つが並ぶと、どこを動かせば総額が変わるかが分かります。
上限は、在籍年数ぶんの差額と退学の率から出した数字です。
前提として置いた率も添えてください。
必要な参加者数は、学部の定員から逆算した数字です。
定員を超える集客には意味がないため、上限として機能します。
総額は、この2つの掛け算に、認知の枠を足した形になります。
足した分は、目的が違うことを明記して別行にします。
この形にしておくと、減額を求められたときの会話が変わります。
総額を削るのではなく、どの学部のどの目的を削るかの議論になります。
定員割れの損失を並べて示す
募集の費用を削る判断は、定員割れの損失と比べて行われるべきです。
比べる材料がないと、費用だけが議論の対象になります。
定員に届かなかった場合の収入の減少を、学部ごとに出してください。
在籍年数ぶんで計算すると、単年の見かけより大きくなります。
この数字を並べると、募集の費用が投資として扱われます。
並べないと、削減の対象になります。
1枚に載せるのは学部ごとの上限、必要な参加者数、総額の3つです。定員割れの損失を在籍年数ぶんで示してください。
部署をまたぐ費用は、どう整理するのか
予算の帰属ではなく、目的で分類して1枚にまとめます。
帰属で管理している限り、重複も抜けも見つかりません。
募集の費用は、広報、入試、学部の3か所から出ています。
それぞれの予算書を並べても、全体は見えません。
そのため、目的で分類し直してください。
資料請求の獲得、参加の獲得、出願の促進、認知の4つが基本の分類です。
分類すると、同じ目的に複数の予算が使われている箇所が見えます。
学部の案内の制作費が重複している場合が典型です。
同時に、抜けている目的も見えます。
認知に予算がまったく配分されていない場合があります。
この整理は、予算の帰属を変えることを目的にしません。
帰属を変えるには、学内の合意に時間がかかります。
まず見える形にすることが目的です。
見えれば、翌年度の編成で調整できます。
大学で募集の費用を目的で分類する
| 目的 | 含まれる費用 | 出ている予算 | 重複しやすい箇所 |
|---|---|---|---|
| 資料請求の獲得 | 一覧の掲載と検索の広告 | 広報 | 学部の独自掲載 |
| 参加の獲得 | 開催の運営と告知 | 広報と学部 | 学部ごとの告知 |
| 出願の促進 | 方式の案内と連絡 | 入試 | 広報からの配信 |
| 認知 | 発信と地域の接点 | 広報 | 学部の広報活動 |
| 制作 | 資料とサイトと動画 | 広報と学部 | 学部の案内の制作 |
分類を毎年続ける
一度の分類で終わらせると、翌年度には元に戻ります。
毎年の編成の前に、同じ分類で並べてください。
分類の形式を固定すると、作業が短く済みます。
形式が毎年変わると、前年度との比較ができません。
この分類は、外部への委託の範囲を決めるときにも使えます。
目的ごとに、内製と外注の判断ができます。
費用は予算の帰属ではなく目的で分類してください。分類すると、重複と抜けが見え、翌年度の編成で調整できます。
期中に費用を組み替える判断は、どう行うのか
学部ごとの充足の進捗と、残っている入試の方式で判断します。
出願の受付が終わった方式に費用を足しても、入学にはつながりません。
期中の判断は、時期によって取れる打ち手が変わります。
年次の暦に縛られるため、時期を過ぎると回復できません。
夏の時点で参加者数が遅れている場合、まだ回復の余地があります。
追加の開催や、後半の日程への誘導が使えます。
秋の時点で出願が遅れている場合、残る方式を確認してください。
早い時期の方式が終わっていれば、打てる手が限られます。
年明け以降は、一般の方式と後期の方式が対象になります。
この時期の費用は、併願の層に向けた設計になります。
止める判断は、定員に達した学部から行います。
達した学部への出稿を続けても、収入になりません。
組み替えの決裁には時間がかかります。
あらかじめ組み替えの範囲を決裁に含めておいてください。
組み替えの範囲を先に決裁に含める
期中に予算を動かすには、決裁が必要になります。
その都度の決裁では、判断が間に合いません。
年度の編成の時点で、学部間の組み替えの範囲を含めてください。
一定の割合までは現場の判断で動かせる形にします。
範囲を決めておくと、募集の山の時期に対応できます。
決めていないと、判断の時期を過ぎてから決裁が下ります。
期中の判断は時期で取れる打ち手が変わります。組み替えの範囲を年度の編成の時点で決裁に含めてください。
大学の募集予算の設計は、どこから着手するのか
部署と学部に分かれた費用を、目的で分類して総額を出すところからです。
総額が分からないと、上限も効率も議論できません。
予算設計の作業の大半は、金額を決めることではありません。
分かれている費用を集めて、1枚にする作業です。
最初に集めるのは、広報、入試、学部の募集に関わる費用です。
目的で分類し、重複と抜けを確認します。
次に、学部別の学費と教育にかかる費用を出します。
上限の計算に必要になります。
大学の募集予算の設計の着手順
| 順番 | やること | 関わる人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 部署と学部の募集に関わる費用を集める | 広報と財務 | 1か月 |
| 2 | 目的で分類して総額と重複を出す | 広報 | 2週間 |
| 3 | 学部別の学費と教育にかかる費用を出す | 財務と学部 | 1か月 |
| 4 | 退学の率を学年ごとに出す | 学生支援と財務 | 2週間 |
| 5 | 入学1人と合格1件の上限を学部別に出す | 広報と経営 | 2週間 |
| 6 | 逆算の結果を年度の編成に入れる | 広報と経営と財務 | 1か月 |
この6工程は、着手から編成への反映までで4か月前後が目安になります。
翌年度の募集に間に合わせるには、前年度の夏までに1と2を終えてください。
作った配分は、募集の山の時期に充足と突き合わせます。
年度の初めに作った配分をそのまま使い続けると、学部ごとの差に追随できません。
数字は説明のための仮の値です。
入学1人の上限が14万4千円で定員300人の学部なら、その学部に置ける費用の総額はおよそ4,320万円です。
この金額を、参加の山の時期と出願の時期に配分します。
定員に達した時点で、その学部への出稿は止める判断になります。
見直しは年度ごとに行ってください。
退学の率と学費が動くと、上限が変わります。
着手点は金額ではなく、分かれている費用を目的で分類して総額を出すことです。総額と上限が揃えば、配分は編成に入れられます。
募集予算の決め方で判断に迷う場合は、無料相談で現状の数字を見てもらうところから始められます。
募集の設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
募集の予算の総額が分からない場合はどうしますか
広報、入試、学部の費用を集め、予算の帰属ではなく目的で分類してください。資料請求の獲得、参加の獲得、出願の促進、認知の4つで並べると、重複と抜けが見えます。帰属で管理している限り、総額も効率も議論できません。
入学者1人に払える上限はどう計算しますか
在籍年数ぶんの学費から教育にかかる費用を引き、退学の率を織り込み、方式別の手続率を掛けてから残したい割合を引きます。学部によって学費と費用の構造が大きく違うため、平均ではなく学部別に出してください。
予算の編成が募集の準備に間に合いません
前年度の予算で準備の一部を進めるか、複数年の枠を設ける方法があります。いずれも経営と財務との合意が前提です。編成の議論が始まる前年度の秋までに、逆算の結果を用意して議論に持ち込んでください。
学部ごとの配分はどう決めますか
定員に対する充足の見込みと、学部別に出した上限の2つで決めます。均等に配ると集まりやすい学部がさらに集まり、不足する学部の不足が広がります。上限を超えて集める場合は、超過の額と期限を決めてください。
期中に予算を組み替えられません
年度の編成の時点で、学部間の組み替えの範囲を決裁に含めてください。一定の割合までは現場の判断で動かせる形にしておくと、募集の山の時期に対応できます。都度の決裁では、判断の時期を過ぎてしまいます。
まとめ
- 広報と入試が別の予算を持ち、学部にも独自の予算があるからです。合計がいくらで何に使われているかを、誰も把握していない状態が生まれます
- 在籍年数ぶんの学費から、教育にかかる費用と退学の率を引いて出します。学部ごとに学費と費用の構造が違うため、学部別に計算してください
- 定員の充足の見込みと、学部別の上限の2つで決めます。すべての学部に同じ額を配ると、不足する学部の不足が広がります
- 編成の時期が募集の準備の時期より後になるため、前倒しの手当てが要ります。編成を待って動くと、翌年度の春の接点に間に合いません
- 学部ごとの上限、必要な参加者数、総額の3つです。加えて、定員に届かない場合の収入の減少を在籍年数ぶんで示してください
- 予算の帰属ではなく、目的で分類して1枚にまとめます。帰属で管理している限り、重複も抜けも見つかりません
- 学部ごとの充足の進捗と、残っている入試の方式で判断します。出願の受付が終わった方式に費用を足しても、入学にはつながりません
- 部署と学部に分かれた費用を、目的で分類して総額を出すところからです。総額が分からないと、上限も効率も議論できません