CPAの目標値は広告媒体の平均値ではなく、1件の顧客獲得から得られる利益と許容できる販売コストから逆算して決めます。
売上だけでなく粗利、成約率、継続率まで含めて考えます。
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目次
CPAの目標値は何を基準に決めればよいですか
CPAの目標値は広告媒体の平均値ではなく、1件の顧客獲得から得られる利益と許容できる販売コストから逆算して決めます。
売上だけでなく粗利、成約率、継続率まで含めて考えます。
CPAは広告費をコンバージョン数で割った指標です。
広告費を100万円使って40件の問い合わせを獲得した場合、CPAは2万5,000円です。
ここで使っている数字は、考え方を説明するための仮の値です。
CPAの目標を決める際に最初に考えるべきなのは、競合他社がいくらで獲得しているかではありません。
自社が1件のコンバージョンに対して、いくらまで広告費を支払えるかです。
同じCPA3万円でも、1件の購入で10万円の粗利が残る商品と、1万円しか粗利が残らない商品では意味が異なります。
前者では十分に利益が残る可能性がありますが、後者では広告費だけで赤字になる可能性があります。
売上ではなく利益から逆算する
広告運用では、商品価格が10万円だからCPA3万円なら問題ないと判断してしまうことがあります。
しかし実際には、売上から原価、決済手数料、配送費、営業コストなどが差し引かれます。
CPAの上限を考える際には、売上ではなく粗利や限界利益を見る必要があります。
広告で顧客を増やしても、獲得するほど利益が減る構造では予算を拡大できません。
広告担当者だけでCPAを決めるのではなく、経営側が把握している原価や利益構造と接続して設計することが重要です。
CPA目標を決める際に確認する数字
| 項目 | 確認する内容 | CPAとの関係 |
|---|---|---|
| 販売価格 | 顧客1件あたりの売上 | 売上ベースの許容額を確認する |
| 原価 | 商品やサービス提供に必要な費用 | 広告に使える金額を圧縮する |
| 粗利 | 売上から原価を引いた利益 | CPA上限を考える基準になる |
| 成約率 | 問い合わせから契約に進む割合 | リードCPAの許容額を決める |
| 継続率 | 契約後に利用が続く割合 | 長期的な獲得価値に影響する |
| LTV | 顧客から得られる累計利益 | 初回獲得時のCPA許容額に影響する |
限界CPAはどのように計算しますか
限界CPAは、1件の顧客獲得によって得られる利益のうち、広告費として使用できる上限額から計算します。
限界CPAを超える状態が続くと利益を圧迫します。
限界CPAとは、事業として許容できるCPAの上限です。
この金額を超えて顧客を獲得すると、広告経由の販売から十分な利益が残らなくなります。
考え方としては、1件あたりの粗利から広告以外の必要コストと確保したい利益を差し引き、その残りを広告費に充てます。
説明のための仮の値として、1件あたりの売上が10万円、原価が4万円、広告以外の変動費が1万円だったとします。
この場合、広告費を考える前に残っている金額は5万円です。
ここから1件あたり2万円の利益を残したいのであれば、広告費として使える金額は3万円です。
このとき限界CPAは3万円と考えられます。
限界CPAと目標CPAは分けて考える
限界CPAが3万円だからといって、広告運用の目標CPAを3万円に設定する必要はありません。
限界CPAはこれ以上高くなると事業として厳しいという境界線です。
目標CPAは、通常運用で目指す水準です。
広告成果には日々の変動があります。
平均CPAが限界CPAと同じ水準の場合、少し成果が悪化しただけで利益がなくなります。
そのため、限界CPAより低い位置に目標CPAを置き、一定の余裕を持たせる設計が実務では扱いやすくなります。
限界CPAは広告を停止する基準としても利用できます。
短期的に限界CPAを超えるだけで即停止する必要はありませんが、一定期間の平均で限界CPAを超え続けている場合は、広告運用だけでなく商品価格や成約率を含めて見直す必要があります。
問い合わせ獲得型のCPA目標はどう決めますか
問い合わせ型では、受注1件あたりの許容獲得コストに問い合わせから受注までの成約率を掛け、問い合わせCPAの目標を逆算します。
営業成果まで含めて設計します。
BtoBサービス、住宅、不動産、人材、スクール、コンサルティングなどでは、広告のコンバージョンが売上ではなく問い合わせになるケースがあります。
この場合、問い合わせ1件のCPAだけを見ても採算性は判断できません。
問い合わせから商談、契約まで進んだ結果として、最終的にいくらで顧客を獲得できたかを見る必要があります。
説明のための仮の値として、顧客1社を獲得するために使える広告費が20万円だったとします。
問い合わせから受注までの成約率が10%であれば、受注1件を獲得するためには平均10件の問い合わせが必要です。
20万円を10件で割ると、問い合わせCPAの上限は2万円です。
ただし、ここで注意したいのは成約率を固定値として扱わないことです。
広告のターゲティングや訴求を変えると、問い合わせ数だけでなく問い合わせの質も変化します。
CPAが1万5,000円から1万円に下がっても、成約率が10%から4%に下がれば、最終的な顧客獲得コストは悪化します。
広告CPAと受注CPAをセットで確認する
リード獲得広告では、広告管理画面のCPAだけを追うと判断を誤ることがあります。
問い合わせCPAと受注CPAの違い
| ケース | 問い合わせCPA | 受注率 | 受注1件に必要な問い合わせ数 | 受注CPA |
|---|---|---|---|---|
| ケースA | 10,000円 | 5% | 20件 | 200,000円 |
| ケースB | 15,000円 | 15% | 約6.7件 | 約100,000円 |
| ケースC | 20,000円 | 20% | 5件 | 100,000円 |
数字はすべて説明のための仮の値です。
ケースAは問い合わせCPAだけを見ると最も優秀です。
しかし受注まで見ると、ケースBやケースCの方が効率的です。
広告運用担当者が見るべきなのは最安CPAではありません。
利益につながるコンバージョンを、許容コスト以内でどれだけ増やせるかです。
ECのCPA目標はどう設計すればよいですか
ECでは購入単価だけでなく粗利率、リピート率、返品率などを考慮してCPA目標を決めます。
初回購入だけで見るか継続購入まで含めるかで許容CPAは変わります。
ECでは広告から直接購入が発生するため、問い合わせ型よりCPAと売上の関係を把握しやすい傾向があります。
一方で、販売価格だけからCPAを決めると採算を見誤ることがあります。
商品価格が1万円でも、原価や配送費を差し引いた粗利が3,000円であれば、CPA5,000円で販売するほど赤字になります。
反対に、初回購入時点では赤字でも、その後の継続購入によって利益が生まれる商品もあります。
定期購入商品やリピート性の高い商品では、初回CPAだけでは判断できません。
初回利益とLTVを分けて管理する
ECではCPA目標を一つだけ設定するのではなく、初回購入ベースとLTVベースの両方を持つ方法があります。
説明のための仮の値として、商品価格が8,000円、1回の購入で残る粗利が4,000円だったとします。
初回購入だけで利益を出したい場合、CPAは4,000円未満に抑える必要があります。
一方、平均して3回購入され、累計粗利が1万2,000円になるのであれば、初回獲得時のCPAを4,000円以上に設定できる可能性があります。
ただし、将来得られるはずの売上を過度に期待してCPAを高く設定すると危険です。
継続率が下がった場合に広告投資を回収できなくなるためです。
また、商品ごとに粗利率が異なるECでは、サイト全体でCPAを一律に設定しない方がよいケースもあります。
高粗利商品と低粗利商品で同じCPAを目標にすると、低粗利商品の販売が増えた際に全体利益が悪化する可能性があります。
LTVを使ってCPA目標を決めてもよいですか
継続購入や継続契約がある事業ではLTVからCPAを逆算できます。
ただし将来売上をそのまま広告費に使うのではなく、粗利ベースのLTVと回収期間を確認します。
サブスクリプション、定期通販、SaaS、継続契約型サービスなどでは、顧客が初回契約後も売上を生み続けます。
このような事業では、初回購入時の利益だけでCPAを判断すると広告投資を必要以上に抑えてしまうことがあります。
説明のための仮の値として、月額3万円のサービスが平均10か月継続するとします。
単純な売上LTVは30万円です。
しかしCPAを30万円近くまで上げられるわけではありません。
提供原価、人件費、決済費用、サポートコストなどが必要だからです。
LTVをCPA設計に使う際には、売上LTVではなく利益ベースで考える必要があります。
回収期間もCPA設計に含める
長期的に利益が出るとしても、広告費を回収するまで2年かかる事業と3か月で回収できる事業では、同じCPAを設定できるとは限りません。
広告費は先に支払い、売上は後から発生します。
CPAを高く設定するほど、広告投資に必要な資金も増えます。
説明のための仮の値として、CPA10万円で毎月100件の顧客を獲得する場合、広告費は月1,000万円です。
利益回収まで1年かかるのであれば、事業側には相応の運転資金が必要です。
また、新しいサービスではLTVデータが十分に蓄積されていないことがあります。
その場合、短期間のデータから長期間のLTVを断定せず、保守的な数値でCPAを設定する方が安全です。
目標CPAは低く設定するほどよいですか
目標CPAを必要以上に低くすると広告配信量が減り、獲得件数や売上の成長を止める可能性があります。
利益を確保しながら獲得量を最大化できる水準を探します。
広告運用ではCPAが低いほど良いと考えられがちです。
しかし経営上の目的はCPAを最小化することではありません。
利益を確保しながら売上や顧客数を増やすことです。
説明のための仮の値として、CPA1万円で月50件獲得できる広告と、CPA1万5,000円で月200件獲得できる広告があるとします。
1件あたりの許容CPAが2万円であれば、後者の方が事業利益の総額を増やせる可能性があります。
CPAだけを見ると前者が優秀に見えますが、広告運用では獲得量とのバランスを見る必要があります。
CPAと件数にはトレードオフが起きる
広告予算を拡大すると、CPAが上昇することがあります。
最初は成約しやすいユーザーに広告が配信されますが、予算を拡大すると対象となるユーザー層が広がるためです。
そのため、CPA1万円を維持することだけを目標にすると、広告費を増やせず売上も増えない状態になることがあります。
経営側ではCPAをいくらまで許容できるかを決め、広告運用側ではその範囲内で最大のコンバージョン数を目指す形が合理的です。
CPAと獲得量を評価する考え方
| 状態 | CPA | 獲得件数 | 評価の考え方 |
|---|---|---|---|
| CPAが低く件数も多い | 低い | 多い | 予算拡大を検討しやすい |
| CPAが低く件数が少ない | 低い | 少ない | 配信量を増やせる余地を確認する |
| CPAが高く件数が多い | 高い | 多い | 許容CPA以内なら利益総額で判断する |
| CPAが高く件数も少ない | 高い | 少ない | 広告や商品設計の見直しが必要 |
CPAを下げること自体をKPIにすると、広告担当者が予算を絞るだけで目標を達成できてしまいます。
広告媒体ごとにCPA目標を変えるべきですか
媒体ごとにユーザーの検討段階や役割が異なるため、CPA目標を分けることはあります。
ただし媒体単体のCPAだけで評価せず、最終的な貢献まで確認します。
検索広告、SNS広告、動画広告などでは、広告に接触するユーザーの状態が異なります。
検索広告は自ら商品やサービスを探しているユーザーに接触しやすい一方、SNS広告ではまだ具体的な検索行動をしていないユーザーにも接触します。
そのため、すべての媒体で同じCPAを求めると、一部の媒体を過小評価する可能性があります。
特に認知から比較検討までの期間が長い商品では、最初にSNS広告や動画広告に接触し、その後に検索広告からコンバージョンするケースがあります。
媒体の役割を決めてからCPAを設定する
媒体ごとにCPA目標を決める際は、その媒体に何を期待しているのかを明確にします。
すぐに購入や問い合わせを獲得する媒体であれば、直接CPAを中心に評価できます。
一方、潜在層への接触を目的とした媒体では、直接CPAだけではなく、サイト訪問、指名検索、再訪問、アシストコンバージョンなども確認します。
ただし認知目的だからCPAを見なくてよいという意味ではありません。
最終的には広告費が売上や利益につながっているかを検証する必要があります。
説明のための仮の値として、全広告媒体を合計した顧客獲得CPAの上限が5万円だったとします。
検索広告が3万円、SNS広告が6万円だったとしても、SNS広告が検索広告の獲得増加に寄与しており、全体CPAが5万円以内なら継続する判断があります。
CPA目標はどのタイミングで見直せばよいですか
CPA目標は原価、単価、成約率、継続率、利益率などが変化したタイミングで見直します。
広告成果だけを理由に頻繁に変更しません。
CPA目標は一度設定して終わりではありません。
商品価格や原価、営業成約率、顧客継続率などが変われば、広告に使える金額も変化します。
たとえば営業組織を改善して問い合わせから受注までの成約率が上昇すれば、問い合わせ1件あたりの価値は高くなります。
その結果、広告で許容できるCPAも上げられる可能性があります。
反対に原価上昇によって粗利が減れば、以前と同じCPAでは利益が残らなくなる可能性があります。
広告CPAに合わせて目標を変更しない
実績CPAが高くなったから目標CPAも高くする、実績CPAが下がったから目標CPAも下げるという決め方は避けます。
目標CPAは広告結果から決めるのではなく、事業採算から決める数字だからです。
広告の実績CPAが目標を超えた場合は、まず原因を分析します。
クリック単価が上昇しているのか、クリック率が低下しているのか、ランディングページのコンバージョン率が低下しているのかを確認します。
そのうえで広告改善を行っても目標CPAを達成できない場合、目標自体が現実的なのかを確認します。
説明のための仮の値として、問い合わせCPAが2万円、問い合わせから受注率が10%なら広告経由の受注CPAは20万円です。
その後、営業改善によって受注率が20%になれば、問い合わせCPAが同じ2万円でも受注CPAは10万円になります。
広告管理画面では何も改善していませんが、事業全体では広告投資効率が大きく改善しています。
よくある質問
CPAの目標値に一般的な相場はありますか
業界平均だけで目標CPAを決めることはできません。同じ商品単価でも粗利率、成約率、継続率が違えば許容できるCPAは変わります。自社の利益構造から逆算して設定します。
CPA目標と限界CPAは同じですか
同じではありません。限界CPAは採算上許容できる上限で、目標CPAは通常運用で目指す水準です。成果の変動を考慮し、目標CPAは限界CPAより低く設定する考え方があります。
CPAが目標を超えたらすぐ広告を止めるべきですか
短期間のCPA超過だけで即停止する必要はありません。コンバージョン数が少ない期間は数件の増減でCPAが大きく変動するため、一定量のデータと利益への影響を確認して判断します。
新規事業で実績がない場合はCPA目標をどう決めますか
商品価格、粗利、想定成約率などから仮の許容CPAを設定し、実際の広告データや営業データが蓄積された段階で更新します。数字を固定せず、実績に合わせて精度を上げていきます。
CPAとROASはどちらを重視すべきですか
目的によって使い分けます。購入金額が大きく異なるECではROASが判断に役立ち、問い合わせなど金額が直接発生しないコンバージョンではCPAが扱いやすいです。最終的には粗利や顧客獲得コストまで確認します。