CPAの相場を調べると、数千円から数万円まで、桁の違う数字が並びます。
どれが自社に当てはまるのか分からないまま、なんとなくの目標値を置いてしまうことがあります。
相場が広いのは、業界と媒体とCVの定義がそれぞれ違うからです。
同じ「CPA 1万円」でも、資料請求1件と受注1件では意味がまったく変わります。
この記事では、業界別・媒体別のCPA目安レンジを整理したうえで、自社の許容CPAを粗利から逆算する手順までをまとめます。
CPAの相場は、BtoCの低単価商材で3,000〜8,000円、BtoBのリード獲得で15,000〜50,000円が目安のレンジです。
ただし相場は「自社の数字がおかしくないか」を確かめる参照値であり、目標値そのものにはなりません。
- 相場の幅を決めているのは業界名ではなく、商材単価・検討期間・競合の入札密度の3つ
- 媒体によるCPAの差は2〜4倍程度。指名検索が最も低く、一般検索・SNS・動画の順に上がる
- 自社の基準は「顧客あたり粗利 × CVから受注までの歩留まり × (1−目標利益率)」で逆算する
- 相場より高くても、許容CPAの内側に収まっていれば止める必要はない
目次
- CPAの相場はいくらですか
- 相場の数字をそのまま目標CPAにしない
- 業界によってCPAはどれくらい違いますか
- 業界名ではなく、単価・検討期間・競合密度で見る
- 媒体によってCPAはどれくらい違いますか
- 指名検索のCPAを全体平均に混ぜない
- 自社が払えるCPAの上限はどう計算しますか
- 歩留まりが分からないときの暫定値の置き方
- LTVをどこまで粗利に含めるか
- 相場と自社の許容CPAが合わないときはどうしますか
- CPAが相場より高いときは何から直しますか
- CPCが高いのかCVRが低いのかを先に分ける
- CPAと一緒に見るべき指標は何ですか
- CPAが下がっているのに売上が増えないケース
- CPAの目標値は社内でどう決めればいいですか
- 目標CPAは四半期ごとに置き直す
- よくある質問
- まとめ
CPAの相場はいくらですか

CPAの相場は、BtoCの低単価商材で3,000〜8,000円、BtoBのリード獲得で15,000〜50,000円が目安のレンジです。
ただしこの幅は自社の数字を点検するための参照値であり、そのまま目標CPAに使う数字ではありません。
CPAはCost Per Acquisitionの略で、コンバージョン1件を獲得するのにかかった広告費です。
計算式は「広告費 ÷ コンバージョン数」で、ここに業界差はありません。
差が出るのは分母のコンバージョンが何を指しているかです。
ECの購入完了を1件と数えるのか、資料ダウンロードを1件と数えるのかで、同じ広告費でも件数は10倍以上変わります。
そのため「CPAの平均」という言い方は、CVの定義を揃えないかぎり比較になりません。
広告媒体の管理画面に出ている業種別の参考値も、各社が設定したCV地点をまとめた数字です。
資料請求とカート購入が同じ列に混ざっている前提で見る必要があります。
相場の数字をそのまま目標CPAにしない
相場を目標値にすると、2種類の失敗が起きます。
1つは、相場より高いという理由だけで、利益が出ている配信を止めてしまうケースです。
受注単価が高い商材では、CPA 8万円でも十分に合うことがあります。
もう1つは、相場より安いという理由で、赤字の配信を放置してしまうケースです。
CPA 3,000円でも、CVから受注につながる比率が1%なら、受注1件に30万円かかっている計算になります。
相場は「桁が合っているか」を確かめるための道具で、合否を決める線ではありません。
合否の線は、この記事の4章で出す許容CPAのほうです。
もう1つ注意したいのが、CPAに何を含めて計算しているかです。
媒体費だけで割ったCPAと、代理店手数料や制作費を含めたCPAでは、2割前後の差が出ます。
社内で数字を共有するときは、どちらの定義で出しているかを明記してください。
比較の相手が代理店のレポートであれば、たいていは媒体費のみのCPAです。
経営側が見たいのは手数料込みの実質CPAであることが多く、ここで会話がすれ違います。
CPAの相場を見るときは、3点をセットで確認してください。CVの定義、商材の単価帯、そして測定期間です。この3つが揃っていない数字同士は、比較しても意味を持ちません。
業界によってCPAはどれくらい違いますか

業界によるCPAの差は10倍以上に開きます。
差を生んでいるのは業界名そのものではなく、商材単価・検討期間・競合の入札密度の3つです。単価が高く検討が長い業界ほど、CPAは上がります。
下の表は、業界・商材タイプごとのCPA目安レンジです。
実務で参照値として使われる幅を一般化したもので、出典のある業界平均ではありません。
| 業界・商材タイプ | 主なCV地点 | CPA目安レンジ | 幅が出る理由 |
|---|---|---|---|
| EC(低単価・日用品) | 購入完了 | 2,000〜6,000円 | 単価が低く、払える上限自体が低い |
| EC(高単価・耐久財) | 購入完了 | 8,000〜25,000円 | 比較期間が長く、CV前の接触回数が多い |
| 美容・クリニック | 来院予約 | 5,000〜20,000円 | 商圏の狭さと競合密度で大きく動く |
| 人材・求人 | 応募完了 | 5,000〜15,000円 | 職種と季節で応募率が変わる |
| リフォーム・不動産 | 問い合わせ・資料請求 | 15,000〜60,000円 | 受注単価が高く、許容CPAも高い |
| BtoB(資料請求・ホワイトペーパー) | 資料ダウンロード | 5,000〜15,000円 | CVが軽く件数は出るが、商談化率が低い |
| BtoB(問い合わせ・デモ申込) | 問い合わせ | 20,000〜80,000円 | 母数が小さく、1件あたりの価値が高い |
| 士業・専門サービス | 相談申込 | 15,000〜50,000円 | 指名検索と一般検索で差が大きい |
※【目安レンジ】実務で参照値として扱われる幅を一般化したものです。特定の調査に基づく平均値ではありません。自社の許容CPAは、4章の逆算で別途算出してください。
業界名ではなく、単価・検討期間・競合密度で見る
自社の業界がこの表に無い場合も、3つの要素に当てはめれば位置は推定できます。
商材単価が10万円を超えるなら、EC低単価の行ではなくリフォーム・不動産の行に近づきます。
検討期間が3か月を超えるなら、BtoBの問い合わせの行に近い動き方をします。
競合密度は、実際に自社のキーワードで検索して広告枠の数を数えるのが早い確認方法です。
広告枠が4つ埋まっている語と、1つしか出ない語では、同じ業界でもCPCが2倍以上変わります。
この差はそのままCPAに乗ります。
もう1つ、業界差として見落とされやすいのが季節変動です。
人材は年度替わりの前後、リフォームは繁忙期、ECは商戦期にCPAが動きます。
同じアカウントでも、月によって1.5倍前後の差が出ることがあります。
そのため、相場と比べるときは単月ではなく直近3か月の平均で見てください。
単月で判断すると、季節要因を施策の失敗と取り違えます。
同業他社から聞いたCPAをそのまま目標に据えるのは避けてください。CVの定義、商圏、指名検索の比率が揃っていることはほとんどありません。参考にするなら、数字ではなく「どこをCVにしているか」を聞くほうが役に立ちます。
媒体によってCPAはどれくらい違いますか

媒体によるCPAの差は、同じ商材であれば2〜4倍程度に収まります。
指名検索が最も低く、一般検索、SNSのリード獲得、動画・ディスプレイの順に上がります。ただし媒体ごとにCVの質が違うため、CPAの低さだけで優劣は決まりません。
次の表は、媒体別のCPA目安レンジです。
BtoBのリード獲得(資料請求・問い合わせ)を想定した幅で、BtoCのECではこれより低い側に寄ります。
| 媒体・配信面 | CPA目安レンジ | 届く相手 | CPAが動く主な要因 |
|---|---|---|---|
| 検索広告(指名キーワード) | 1,000〜5,000円 | すでに自社を知っている層 | 在庫が小さく、件数は伸ばせない |
| 検索広告(一般・顕在キーワード) | 15,000〜60,000円 | 課題が明確な層 | 競合の入札でCPCが上下する |
| リマーケティング | 5,000〜20,000円 | 一度訪問した層 | 元の流入量に件数が縛られる |
| Meta広告(Facebook・Instagram) | 8,000〜40,000円 | 潜在層〜準顕在層 | クリエイティブの差が最も大きい |
| LINE広告 | 8,000〜35,000円 | 幅広い年齢層 | 友だち追加か問い合わせかで桁が変わる |
| TikTok広告 | 6,000〜35,000円 | 認知前の層 | CV後の質にばらつきが出やすい |
| YouTube広告 | 15,000〜60,000円 | 認知前の層 | 直接CVよりも間接効果に寄る |
| ディスプレイ(純広・アドネットワーク) | 20,000〜80,000円 | 不特定多数 | 面の選定でCVRが大きく変わる |
※【目安レンジ】BtoBのリード獲得を想定した一般化した幅です。同じ媒体でも、業界・商圏・クリエイティブによってこの範囲を外れます。媒体の選定はCPAの低さではなく、必要な件数を確保できるかで判断してください。
指名検索のCPAを全体平均に混ぜない
アカウント全体のCPAを見るとき、指名キャンペーンを含めたまま平均すると数字が実態よりよく見えます。
指名検索は、すでに自社を知っている人が検索している枠です。
広告を止めても自然検索で一定数が流入するため、純粋な獲得コストとは性質が違います。
目標CPAを設計するときは、指名を別セグメントに分けて、新規獲得だけのCPAを出してください。
この分離をしていないアカウントでは、新規獲得の実態が2倍近く悪いことがあります。
媒体の選び方も、CPAの低い順に並べて上から使う、という考え方にはなりません。
指名検索は最もCPAが低い一方で、検索されている回数以上には件数が伸びません。
必要な件数を確保するには、CPAの高い面も許容CPAの内側で使う必要があります。
実務では、指名検索で取り切ったうえで、不足分を一般検索とSNSで埋める組み立てが基本になります。
このとき、媒体ごとに別々の上限CPAを置いてください。
媒体ごとの費用構造や手数料の扱いは、広告運用代行の費用相場の記事で整理しています。手数料を含めた実質CPAで見る場合は、そちらも合わせて確認してください。
自社が払えるCPAの上限はどう計算しますか

許容CPAは、顧客1件あたりの粗利に、CVから受注までの歩留まりと、残したい利益の割合を掛けて出します。
式は「許容CPA = 顧客あたり粗利 × CV→受注率 × (1−目標利益率)」です。
この式を使うために必要な数字は3つだけです。
1つ目は、顧客1件から得られる粗利です。
売上ではなく粗利で置くこと、そして1回きりの取引か継続かを決めておくことが前提になります。
2つ目は、CVから受注に至る比率です。
CV数と受注数の実績があれば割り算で出せます。
3つ目は、広告費を差し引いたあとに残したい利益の割合です。
ここを60%に置けば、粗利の40%までを広告費に使ってよいという意味になります。
下の表は、この式に3パターンの前提を入れた計算例です。
| 前提 | 顧客あたり粗利 | CV→受注率 | 目標利益率 | 許容CPA |
|---|---|---|---|---|
| EC・低単価(CV=購入) | 8,000円 | 100% | 50% | 4,000円 |
| BtoC・高単価(CV=問い合わせ) | 300,000円 | 12% | 60% | 14,400円 |
| BtoB・サービス(CV=問い合わせ) | 600,000円 | 7.5% | 60% | 18,000円 |
※【モデル試算】計算式は「顧客あたり粗利 × CV→受注率 × (1−目標利益率)」です。BtoBの行は、CV→商談30%、商談→受注25%を掛けてCV→受注率7.5%としています。数値は前提を示すための例であり、特定企業の実績ではありません。
表のEC・低単価の行を例に、計算の手順を追います。
顧客1件あたりの粗利が8,000円で、CV地点が購入完了なのでCV→受注率は100%です。
広告費を引いたあとに粗利の50%を残したいので、(1−50%)を掛けて、8,000円 × 100% × 50% = 4,000円になります。
BtoBの行では、CVから商談への移行が30%、商談から受注が25%です。
この2つを掛けてCV→受注率が7.5%となり、600,000円 × 7.5% × (1−60%) = 18,000円になります。
歩留まりが分からないときの暫定値の置き方
CVから受注までの実績が取れていない場合でも、計算をあきらめる必要はありません。
直近12か月の受注件数と、同じ期間の広告経由CV件数を割るだけで暫定値は出せます。
件数が少なくて割り切れないときは、四半期ではなく年単位でまとめてください。
それも難しい場合は、CV→受注率を5%と置いて計算し、3か月後に実績で置き直す進め方が現実的です。
重要なのは、精度の高い数字を最初に置くことではありません。
広告費の判断を「相場」ではなく「自社の粗利」に紐づけた状態にすることです。
LTVをどこまで粗利に含めるか
継続利用のある商材では、初回取引の粗利だけで計算すると許容CPAが小さく出すぎます。
目安として、解約率から平均継続期間を出し、その期間の粗利合計を使います。
月次の解約率が5%なら、平均継続はおよそ20か月です。
ただし、回収期間を無視して長期LTVを積むと資金繰りが先に詰まります。
広告費の回収を12か月以内に収めたいなら、LTVも12か月分で切って計算してください。
許容CPAを出す前に揃える数字
- 顧客1件あたりの粗利(売上ではなく粗利)
- 粗利を何か月分まで含めるかの回収期間
- 広告経由のCV件数(指名を除いた新規分)
- 同じ期間の受注件数
- 広告費を除いて残したい利益の割合
- CV地点の定義(購入・問い合わせ・資料請求のどれか)
自社の許容CPAを、その場で一緒に算出します
TimeValue株式会社では、無料マーケティング診断を毎月10社限定で実施しています。
受注単価・粗利率・CVから受注までの歩留まりをお聞きして、CV1件に払える上限をその場で計算します。
- 自社の粗利から逆算した許容CPAと、現状のCPAとの差
- 指名を除いた新規獲得CPAの出し方
- 媒体ごとに、どこまで許容できるかの配分
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相場と自社の許容CPAが合わないときはどうしますか

相場と許容CPAがずれたときは、許容CPAのほうを基準にします。
相場は他社の平均であり、自社の粗利構造を反映していないためです。ただし、ずれの方向によって次の打ち手は変わります。
下の表は、4つの組み合わせごとの判断です。
| 状態 | 起きていること | 最初にやること | やらないほうがよいこと |
|---|---|---|---|
| 実CPAが許容CPAより低い | まだ投資余地が残っている | 予算を段階的に増やし、CPAの上がり方を見る | 一気に倍増させる |
| 実CPAが許容CPAとほぼ同じ | 損益分岐の近くで回っている | CVRと商談化率の改善で余白をつくる | 入札を上げて件数を取りに行く |
| 実CPAが許容CPAより高い(差が2割以内) | 調整で戻せる範囲 | 成果の悪いキーワード・配信面を止める | アカウント全体を作り直す |
| 実CPAが許容CPAより大きく高い(2倍以上) | 単価か歩留まりに構造的な問題がある | 配信を絞り、CV定義と計測を点検する | クリエイティブだけを差し替え続ける |
※判断の基準は相場ではなく、4章で算出した自社の許容CPAです。許容CPAを出していない状態では、この表のどの行に該当するかを決められません。
投資余地が残っている場合の増やし方には、注意点があります。
月予算を一度に倍にすると、機械学習が再調整に入り、一時的にCPAが跳ねます。
2週間ごとに20〜30%ずつ引き上げ、そのたびにCPAの変化を見るほうが安定します。
引き上げの途中でCPAが許容値に届いたら、そこが現時点の上限です。
それ以上の件数が必要なら、入札ではなくCVRか受注単価のほうを動かします。
予算を増やしたときにCPAがどこまで上がるかは、あらかじめ想定しておく必要があります。
この挙動については広告費を増やすとCPAが悪化する理由の記事で、止めどきの決め方まで整理しています。
CPAが相場より高いときは何から直しますか

CPAが高いときは、CPC(クリック単価)が高いのか、CVR(コンバージョン率)が低いのかを先に分けます。
CPAは「CPC ÷ CVR」に分解できるため、どちらが原因かで打ち手がまったく変わるためです。
まずCPCとCVRの直近3か月の推移を並べてください。
CPCが上がっているなら、競合の入札か、配信対象の広がりが原因です。
自動入札の目標値を上げたタイミングと一致していないかを先に確認します。
CVRが下がっているなら、着地ページかCV地点の変更が原因であることが多くなります。
フォームの項目を増やした、LPを差し替えた、計測タグを入れ替えたといった変更履歴を突き合わせます。
数字を見る前に、計測そのものを点検する工程も入れてください。
タグの二重計測が起きていると、CV数が実態より多く出てCPAが低く見えます。
逆に、サンクスページの変更でタグが外れていれば、CVが計上されずCPAが跳ね上がります。
広告管理画面のCV数と、フォームの受信件数を直近1か月で突き合わせてください。
ここが1割以上ずれているなら、改善の議論より先に計測を直します。
CPCが高いのかCVRが低いのかを先に分ける
両方が同時に悪化しているときは、外部要因ではなく設定変更を疑ってください。
典型的なのは、配信対象を広げる設定を有効にしたケースです。
関連性の低い検索語やプレースメントに配信が流れ、CPCとCVRの両方が崩れます。
この場合は、まず配信を元の範囲に戻してから数字を見ます。
クリエイティブの差し替えは、土台を戻したあとの工程です。
切り分けの手順そのものは、CPA以外の指標が落ちたときも共通です。
原因の特定から順に進める流れはWeb広告の成果が落ちたときの改善手順にまとめています。
CPAが高いという理由だけで予算を削ると、件数が減って学習が止まり、CPAがさらに上がることがあります。削るのは予算ではなく、成果の出ていない配信先です。どこが悪いか分からない段階で全体の予算を下げるのは避けてください。
CPAと一緒に見るべき指標は何ですか

CPAと一緒に見る指標は、CVR・CPC・商談化率・受注単価の4つです。
CPAは結果の数字であり、単体では原因も収益性も分かりません。特にBtoBでは、CPAより商談化率のほうが損益を左右します。
CPAだけを追うと、数字は改善しているのに売上が伸びない状態が起きます。
資料ダウンロードをCVに設定すると、CPAは大きく下がります。
しかし、そこから商談に進む比率が低ければ、受注1件あたりのコストは変わりません。
そのため、CV地点を変更したときは、CPAの数字を前後で比較しないでください。
比較するなら、受注1件あたりのコストで揃えます。
見る頻度も指標ごとに分けてください。
CPCとCVRは週次で見ますが、CPAを週次で判断すると件数が少なすぎてぶれます。
CV件数が週20件を下回るアカウントでは、CPAは月次で見るほうが判断を誤りません。
商談化率と受注単価は、営業側の数字が確定してから出るため、月次か四半期での確認になります。
この時間差を前提に、会議ごとに見る指標を決めておきます。
CPAが下がっているのに売上が増えないケース
このとき見る数字は、CV種別ごとの商談化率です。
資料請求と問い合わせを分けて集計し、それぞれの受注までの歩留まりを出します。
件数が増えているのが軽いCVだけなら、CPAの改善は見かけ上のものです。
指標の定義そのものを整理したい場合は、CPA・CPL・ROAS・CACの違いを確認してください。どの指標をどの会議で使うかまで含めて整理しています。
CPAは「1件あたりいくらか」しか示しません。収益性を判断するには、CV後の歩留まりと受注単価を同じ表に並べる必要があります。月次レポートにこの2列が無い場合は、追加を依頼してください。
CPAの目標値は社内でどう決めればいいですか

目標CPAは、許容CPAから一定の余裕を引いた値に置きます。
許容CPAの80%前後を目標に据えるのが実務的です。許容CPAをそのまま目標にすると、少しの悪化で即赤字になるためです。
目標CPAを決めるときに社内で合意しておく項目は3つあります。
1つ目は、CV地点の定義です。
どの行動を1件と数えるかを、広告担当と営業で同じ言葉にします。
2つ目は、指名検索を目標の対象に含めるかどうかです。
含めると目標は達成しやすくなりますが、新規獲得の実態は見えなくなります。
3つ目は、見直しの頻度です。
粗利率や受注率は年間で変動するため、四半期ごとに置き直す前提にします。
代理店に運用を委託している場合は、目標CPAの根拠も共有してください。
根拠を伝えずに数値だけを渡すと、達成しやすいCV地点に寄せる提案が出やすくなります。
粗利と歩留まりから出した式を見せておけば、CV地点を変える提案には前提の見直しがセットで付きます。
あわせて、指名検索を目標の対象に含めるかどうかも、委託前に決めておく項目です。
ここが曖昧なまま始まると、レポートの良し悪しを判断できなくなります。
目標CPAは四半期ごとに置き直す
一度決めた目標CPAを1年間そのまま使うと、実態と合わなくなります。
値上げをすれば粗利が増え、許容CPAの上限も上がります。
逆に、営業体制が変わって商談化率が落ちれば、許容CPAは下がります。
置き直すときに更新するのは、粗利・CV→受注率・目標利益率の3つだけです。
計算式は変わらないため、同じ表を上書きするだけで済みます。
この更新を続けると、広告費の議論が「相場と比べてどうか」から「自社の粗利に対してどうか」に変わります。
社内で予算の増減を判断するときの基準も、そこで初めて揃います。
よくある質問
CPAの平均はいくらですか
単一の平均値はありません。CV地点が購入か問い合わせか資料請求かで、同じ広告費でも件数が10倍以上変わるためです。目安を知りたい場合は、BtoCの低単価商材で3,000〜8,000円、BtoBのリード獲得で15,000〜50,000円のレンジを参照値として使ってください。判断に使うのは平均ではなく、自社の粗利から逆算した許容CPAです。
許容CPAはどう計算しますか
「顧客あたり粗利 × CVから受注までの比率 × (1−目標利益率)」で計算します。例えば粗利60万円、CV→受注率7.5%、目標利益率60%なら、許容CPAは18,000円です。必要な数字は粗利・歩留まり・残したい利益率の3つだけで、売上ではなく粗利で置くことが前提になります。歩留まりの実績が無ければ、5%と仮置きして3か月後に更新してください。
CPAが相場より高いのですが、広告を止めるべきですか
許容CPAの内側に収まっているなら、止める必要はありません。相場は他社の平均であり、自社の粗利構造を反映していないためです。判断の順序は、まず許容CPAを算出し、実CPAと比較することです。許容CPAを超えている場合も、いきなり止めるのではなく、成果の出ていないキーワードや配信面を先に除外してください。
業界別のCPA目安はどこまで信用できますか
桁の確認には使えますが、目標設定には使えません。公開されている業種別の数字は、各社が任意に設定したCV地点をまとめたもので、定義が揃っていないためです。自社の業界が一覧に無い場合は、商材単価・検討期間・競合の入札密度の3つで近い行を探してください。そのうえで、最終的な基準は自社の許容CPAで置き直します。
媒体別のCPAが違いすぎるのですが、低い媒体だけに寄せるべきですか
寄せないでください。CPAが最も低いのは指名検索ですが、在庫が小さく件数を伸ばせないためです。媒体は、必要な件数を許容CPAの内側で確保できるかという基準で組み合わせます。指名を除いた新規獲得のCPAを媒体ごとに出し、許容CPAを超えない範囲で配分するのが実務的な進め方です。
まとめ
- CPAの相場は、BtoCの低単価商材で3,000〜8,000円、BtoBのリード獲得で15,000〜50,000円が目安のレンジ
- 相場の幅を決めているのは業界名ではなく、商材単価・検討期間・競合の入札密度の3つ
- 公開されている業種別の数字はCV定義が揃っていない。桁の確認に使い、目標設定には使わない
- 媒体間の差は2〜4倍程度。指名検索が最も低いが、在庫が小さく件数は伸ばせない
- アカウント全体のCPAから指名を分離し、新規獲得だけのCPAを出す
- 許容CPA = 顧客あたり粗利 × CV→受注率 × (1−目標利益率) で自社の基準を出す
- 歩留まりの実績が無ければCV→受注率を5%で仮置きし、3か月後に実績で更新する
- 目標CPAは許容CPAの80%前後に置き、四半期ごとに粗利と歩留まりで置き直す
- CPAが高いときは、CPCが高いのかCVRが低いのかを先に分けてから手を入れる
- CPAと一緒に見るのは、CVR・CPC・商談化率・受注単価の4つ
相場を調べる目的は、目標値を借りてくることではありません。
自社の粗利から出した許容CPAが、大きく外れていないかを確かめるためのものです。
相場ではなく、自社の粗利を基準にした広告運用へ
KAIZENは、広告運用とサイト改善を分けずに一括で見る支援です。許容CPAの算出から、媒体ごとの上限配分、CV後の歩留まり計測までを同じ数字の上で扱います。
目標CPAの根拠を社内で説明できる状態にしたうえで、予算の増減を判断できるように設計します。
- 粗利と歩留まりから逆算した許容CPAを、計算式ごと1枚に残す
- 指名と新規を分離し、媒体別の上限CPAを配分する
- CV種別ごとの商談化率を計測し、月次レポートに組み込む