
需要の山が年ごとに前後するのに、予算を月割りで固定しているからです。
山が来た月に動かせる枠がないと、取れたはずの需要をそのまま逃します。
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目次
目次
- 化粧品ブランドの広告予算は、なぜ年度の途中で足りなくなるのか
- 固定する枠と、動かす枠を分ける
- 年間の予算を、どの粒度まで分けて経営に出すのか
- 期中に動かすときの手続き
- 広告費の上限は、どの数字から逆算するのか
- 系列ごとに上限を分ける
- 需要が読めない時期の投下を、どう稟議に載せるのか
- 条件を書くときに使う数字
- 制作の費用は、広告費と分けて考えるべきか
- 確認にかかる時間を費用として見る
- 売り場の販促と広告の予算は、どちらが先に決まるのか
- 販促と広告で同じ言葉を使う
- 予算を増やすとき、どこまで増やせるかをどう見極めるのか
- 増やす判断を誰がするか
- 化粧品ブランドの予算設計は、何から手をつけるのか
- 経営に出す資料の形
- よくある質問
- まとめ
需要の山が年ごとに前後するのに、予算を月割りで固定しているからです。
山が来た月に動かせる枠がないと、取れたはずの需要をそのまま逃します。
化粧品ブランドの広告予算は、なぜ年度の途中で足りなくなるのか
需要の山が年ごとに前後するのに、予算を月割りで固定しているからです。
山が来た月に動かせる枠がないと、取れたはずの需要をそのまま逃します。
化粧品の需要は、季節の移り変わりと話題の発生で動きます。
同じ品目でも、話題になる時期が前の年と一か月ずれることがあります。
予算を月割りで固定すると、このずれを吸収できません。
需要が前倒しで来た年は、山の月に使える枠が残っていないという状態になります。
逆に、山が来なかった月の枠は余ります。
余った枠は、使い切るためだけの投下に回りがちです。
もう一つの原因は、稟議の単位が広告費だけになっていることです。
制作物と売り場の販促と広告を別々に申請すると、需要が動いたときに三つを同時に動かせません。
予算の議論で先に決めるべきは、総額ではなく可動域です。
どこまでを期初に固定し、どこからを期中に動かせる形にするかを決めます。
固定する枠と、動かす枠を分ける
固定するのは、通年で止められない部分です。
指名の受け皿になる配信と、既存顧客への接触がここに入ります。
動かす枠は、需要の山に合わせて寄せる部分です。
新しい品目の立ち上げと、季節の主力品目への投下がここに入ります。
比率は事業によりますが、動かす枠がまったくない設計は機能しません。
機会が出た月に判断できないためです。
予算の議論は総額ではなく可動域から始めます。通年で止めない枠と、期中に寄せられる枠を分けて申請してください。
年間の予算を、どの粒度まで分けて経営に出すのか
月別ではなく、四半期と品目の系列で分けて出します。
月別まで固めた計画は、需要が一か月ずれた時点で説明のやり直しになります。
予算の資料を月別で作ると、精度が高く見えます。
しかし月別の数字は、需要のずれに耐えません。
四半期で括ると、月の前後は四半期の中で吸収できます。
経営に説明する単位としても、四半期のほうが事業計画と合います。
もう一つの分け方が、品目の系列です。
系列ごとに粗利も使い切りの周期も違うため、同じ費用でも戻ってくる金額が違います。
系列ごとに分けると、どこに寄せるかの議論が具体的になります。
総額だけの議論では、増やすか減らすかしか決められません。
系列を分けた結果、投下の優先順位が期初に決まります。
需要が動いたときも、優先順位に沿って枠を移すだけで済みます。
化粧品ブランドの広告予算を分ける単位
| 分け方 | 経営に説明しやすいか | 需要のずれに耐えるか | 判断に使えるか |
|---|---|---|---|
| 月別の総額 | 見た目は細かい | 耐えない | 使えない |
| 四半期の総額 | 事業計画と合う | 耐える | 総額の増減だけ |
| 四半期かける品目の系列 | 系列の狙いが伝わる | 耐える | 寄せ先を決められる |
| チャネル別 | 売り場との調整に使える | 部分的に耐える | 重複が混ざる |
| 新規と既存の別 | 回収の速さが伝わる | 耐える | 回収期間の議論に使える |
期中に動かすときの手続き
枠を移すときの判断者と、移せる上限を期初に決めます。
決めていないと、移動のたびに稟議が必要になり、需要の山に間に合いません。
上限は、四半期の動かす枠の何割までという形で置きます。
上限を超える移動だけ、通常の稟議に戻します。
移した記録は、四半期ごとに残します。
移動が毎回同じ方向に起きている場合は、次の期の配分そのものを直す材料になります。
予算は四半期と品目の系列で分けて出します。期中に移せる上限と判断者を先に決めてください。
広告費の上限は、どの数字から逆算するのか
売上ではなく、顧客一人から回収できる粗利の合計から逆算します。
回収する期間を何か月に切るかを先に決めないと、上限は出ません。
広告費の上限は、一人の顧客から得られる粗利に、そのうち広告に回してよい割合を掛けて出します。
必要な数字は、粗利と回収期間と残したい利益の三つです。
売上ではなく粗利を使う理由は、化粧品の原価率が品目でかなり違うためです。
同じ売上でも、残る金額が倍以上違うことがあります。
回収期間は、資金の都合で決まります。
十二か月で回収したい会社と、二十四か月まで許容できる会社では、出せる上限が変わります。
長い期間で計算するほど上限は上がりますが、その分だけ資金が先に出ます。
上限の計算より先に、経理と回収期間を合意しておく必要があります。
数字は説明のための仮の値です。
顧客一人あたりの粗利が十二か月で八千円、そのうち五割を広告に使ってよいなら、上限は四千円になります。
系列ごとに上限を分ける
上限を全社で一つだけ持つと、粗利の薄い系列で赤字が出ます。
系列ごとに粗利が違う以上、上限も系列ごとに分かれます。
分けた上限は、媒体ごとの目標にそのまま使いません。
媒体によって取れる件数の上限が違うため、全部を同じ線で評価すると件数が足りなくなります。
実務では、系列ごとの上限を全体の枠として持ち、媒体ごとには別の線を置きます。
合計が系列の上限に収まっていればよい、という見方です。
上限は粗利と回収期間から出します。全社で一つの上限を持たず、品目の系列ごとに分けてください。
需要が読めない時期の投下を、どう稟議に載せるのか
成果の見込みではなく、止める条件を書いて申請します。
どこまで悪ければ止めるかが書いてあれば、見込みが外れても損失は限定されます。
新しい品目や、まだ実績のない季節の投下では、成果の見込みを精度よく出せません。
見込みを無理に書くと、外れたときに次の申請が通りにくくなります。
代わりに書くのは、止める条件です。
何週間で、どの数字がどの水準を下回ったら止めるかを先に書きます。
止める条件があると、決裁する側の判断が変わります。
上振れの期待ではなく、下振れの上限で判断できるためです。
条件には、止めたあとに何を残すかも書きます。
制作した素材と、得られた反応の記録は、次の投下で使えます。
この形にすると、失敗した投下の扱いが変わります。
成果が出なかったこと自体ではなく、条件どおりに止めたかどうかで評価されます。
実績のない投下を申請するときに書く項目
| 項目 | 書く内容 | 書かないとどうなるか |
|---|---|---|
| 投下の期間 | 何週間で判断するか | 止めどきが決まらない |
| 止める水準 | どの数字がどこを下回ったら止めるか | 下振れが青天井になる |
| 止めたあとに残すもの | 素材と反応の記録 | 次の投下で作り直しになる |
| 判断する人 | 止める判断を誰がするか | 止める提案が出てこない |
| 検証の時期 | 売り場の数字と突き合わせる時期 | 効果の有無が不明のまま残る |
条件を書くときに使う数字
使うのは、その時点で確実に測れる数字だけです。
測れない数字を条件に書くと、止める判断そのものができません。
化粧品の場合、売り場での動きは広告の記録に出てきません。
そのため、条件に使うのはオンラインで完結する数字に限ります。
売り場の影響を見たい場合は、条件ではなく事後の検証に回します。
条件と検証を分けておくと、止める判断が遅れません。
実績のない投下は、見込みではなく止める条件を書いて申請します。条件に使う数字は、その時点で測れるものだけにしてください。
制作の費用は、広告費と分けて考えるべきか
分けずに、同じ枠の中で配分します。
化粧品は素材の消耗が早く、制作を別枠にすると配信だけが延命されます。
化粧品の広告は、同じ素材を長く使えません。
季節の訴求も、話題の品目も、時期が過ぎると反応が落ちます。
制作費を別の枠にすると、素材が古くなっても差し替えが進みません。
配信の枠は残っているのに、当てる素材がないという状態になります。
同じ枠で扱うと、素材の更新と配信の量を同時に判断できます。
反応が落ちてきたときに、配信を減らして制作に回す選択ができます。
配分の目安は、事業の段階で変わります。
立ち上げ期は制作に寄せ、安定期は配信に寄せる形が一般的です。
期初には比率を固定せず、四半期ごとに見直す前提で置きます。
固定すると、素材が足りない時期にも制作を増やせません。
制作と配信の配分を見直す合図
| 見る数字 | 落ちてきたときの意味 | 先に動かすもの | 見直す間隔 |
|---|---|---|---|
| 同じ素材の反応の推移 | 素材が消耗している | 制作 | 四半期 |
| 新しい素材の初速 | 訴求そのものが合っていない | 訴求の設計 | 四半期 |
| 配信量あたりの件数 | 配信面が飽和している | 配信先 | 月次 |
| 系列ごとの初回件数 | 需要の時期がずれている | 投下の時期 | 月次 |
| 確認で止まった素材の数 | 制作の前段が弱い | 確認の手順 | 四半期 |
確認にかかる時間を費用として見る
化粧品の素材は、出す前に表現の確認が入ります。
この時間を計画に入れていないと、季節の山に素材が間に合いません。
確認にかかる日数は、制作の工程に組み込んで見積もります。
言える範囲は商品の区分と媒体で変わるため、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
差し戻しが多い場合は、制作の前段に原因があります。
作ってから直すより、訴求を決める段階で確認するほうが早く進みます。
制作費は広告費と同じ枠で配分します。表現の確認にかかる日数も、制作の工程として見積もってください。
売り場の販促と広告の予算は、どちらが先に決まるのか
売り場の販促が先に決まり、広告はそれに合わせて動くのが実態です。
この順番を前提にしたうえで、広告側から時期の前倒しを働きかける形になります。
取引先の売り場を持つブランドでは、販促の計画が早い時期に固まります。
売り場の枠取りと、店頭に置く販促物の製造に時間がかかるためです。
広告の計画がそれより後に決まると、広告は販促の後追いになります。
後追いになると、認知が広がる前に売り場の山が終わります。
この順番を変えるのは簡単ではありません。
現実的なのは、広告側が販促の計画に早い段階で参加することです。
参加の目的は、投下の開始時期を前倒しすることです。
売り場の山より数週間早く接触を始めれば、店頭に来る人数が変わります。
前倒しの分だけ、広告の成果はオンラインの記録に出ません。
そのため、前倒しの効果は売り場の数字と合わせて事後に検証します。
販促と広告で同じ言葉を使う
売り場の販促と広告で訴求がずれると、どちらの効果も薄まります。
同じ品目を、別の言葉で説明している状態になるためです。
訴求を揃えるには、販促の計画が固まる前の段階で言葉を決めます。
固まってから合わせにいくと、広告側が譲るだけになります。
揃えた言葉は、表現の確認も一度で済みます。
売り場と広告で別々に確認すると、確認の回数が倍になります。
販促の計画に早い段階で参加し、広告の開始時期を前倒しします。訴求の言葉は、計画が固まる前に揃えてください。
予算を増やすとき、どこまで増やせるかをどう見極めるのか
一度に増やさず、段階的に上げて一人あたりの費用の変化を見ます。
上限の内側にあるうちは増やせますが、超えた時点がその時期の限界です。
予算を一度に倍にすると、配信の最適化が組み直しに入ります。
その間は一人あたりの費用が跳ね、増やした判断が間違っていたように見えます。
段階的に上げると、どこで費用が上がり始めるかが見えます。
上がり始めた地点が、その時期に取れる需要の上限です。
上限に届いたあとに件数を増やすには、別の手が必要になります。
配信を広げるのではなく、受け皿の転換率か、顧客一人あたりの粗利を動かします。
化粧品では、季節によって上限そのものが動きます。
同じ費用でも、需要の大きい時期のほうが多く取れます。
そのため、上限の確認は時期ごとにやり直します。
閑散期に出した上限を、繁忙期にそのまま使うと投下が足りません。
増やす判断を誰がするか
段階的に上げる運用では、判断の回数が増えます。
毎回稟議に戻していると、判断が需要に追いつきません。
そのため、期初に決めた可動域の中では現場で判断できる形にします。
可動域を超える増額だけ、通常の稟議に戻します。
判断の記録は、四半期ごとにまとめて報告します。
毎回の報告にすると、記録の作成そのものが負担になります。
予算は段階的に上げ、一人あたりの費用が上がり始めた地点を上限とします。上限は時期ごとに確認し直してください。
化粧品ブランドの予算設計は、何から手をつけるのか
過去三年の月別の売上と広告費を並べるところからです。
需要の山がどれだけ前後しているかが分かると、固定する枠と動かす枠の比率が決まります。
予算の設計で最初にやるのは、総額を決めることではありません。
過去に需要の山がいつ来て、そのとき広告費がいくら出ていたかを並べる作業です。
三年分を並べると、山の位置がどれだけ動くかが見えます。
動きが大きい事業ほど、期中に動かせる枠を厚くする必要があります。
次に、品目の系列ごとの粗利を出します。
粗利が分かると、系列ごとの上限が計算できます。
そのあとで、回収期間を経理と合意します。
ここが決まらないと、上限の計算が途中で止まります。
最後に、固定する枠と動かす枠の比率と、移動の判断者を決めます。
この二つが決まれば、期中の運用は稟議を挟まずに回ります。
化粧品ブランドの予算設計に着手する順番
| 順番 | やること | 関わる部署 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 過去三年の月別売上と広告費を並べる | マーケ・経営企画 | 一週間 |
| 2 | 品目の系列ごとの粗利を出す | 経理・商品開発 | 二週間 |
| 3 | 回収期間を決める | 経理・経営 | 一週間 |
| 4 | 系列ごとの広告費の上限を計算する | マーケティング | 一週間 |
| 5 | 固定する枠と動かす枠の比率を決める | 責任者三者 | 二週間 |
| 6 | 移動の判断者と上限を記録に残す | 責任者三者 | 一週間 |
数字は説明のための仮の値です。
四半期の広告費が三千万円で、動かす枠を三割にすると九百万円が期中に移せる範囲になります。
この九百万円を、どの系列に寄せるかだけを期中に判断する形になります。
判断の範囲が限定されているため、決裁の負担も小さくなります。
経営に出す資料の形
経営に出すのは、月別の細かい表ではありません。
四半期ごとの総額と、系列ごとの上限と、動かす枠の比率の三つです。
この三つがあれば、増額の判断も減額の判断もできます。
月別の内訳は、必要になった時点で出す形で足ります。
資料に載せる数字の定義は、毎期同じにします。
定義が変わると、前期との比較ができなくなります。
着手点は総額の決定ではなく、過去三年の需要の山の確認です。山の動きが分かれば、動かす枠の比率が決まります。
化粧品ブランドの予算の組み方で判断に迷う場合は、無料相談で現状を見てもらうところから始められます。
投下の計画ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
広告予算は月別に配分すべきですか
月別まで固めると、需要の山が一か月ずれた時点で計画の説明をやり直すことになります。四半期と品目の系列で分け、四半期の中で月の前後を吸収する形のほうが実態に合います。経営に出す資料も、四半期単位のほうが事業計画と揃います。
広告費の上限はどう計算しますか
顧客一人あたりの粗利に、広告へ回してよい割合を掛けて出します。売上ではなく粗利を使い、何か月分の粗利まで含めるかを経理と先に合意してください。原価率が品目で違うため、上限は全社で一つではなく品目の系列ごとに分けます。
実績のない新しい投下はどう稟議に載せますか
成果の見込みではなく、止める条件を書いて申請してください。何週間で、どの数字がどこを下回ったら止めるかを先に決めておくと、見込みが外れても損失が限定されます。条件に使う数字は、その時点で確実に測れるものだけにします。
制作費は広告費と分けて管理すべきですか
同じ枠で配分してください。化粧品は素材の消耗が早く、制作を別枠にすると素材が古いまま配信だけが続きます。同じ枠にしておくと、反応が落ちたときに配信を減らして制作へ回す判断ができます。
予算を増やすときはどれくらいずつ上げますか
一度に倍にすると配信の最適化が組み直しに入り、一人あたりの費用が一時的に跳ねます。段階的に上げて費用の変化を見て、上がり始めた地点をその時期の上限としてください。化粧品は季節で上限が動くため、時期ごとに確認し直す必要があります。
まとめ
- 需要の山が年ごとに前後するのに、予算を月割りで固定しているからです。山が来た月に動かせる枠がないと、取れたはずの需要をそのまま逃します
- 月別ではなく、四半期と品目の系列で分けて出します。月別まで固めた計画は、需要が一か月ずれた時点で説明のやり直しになります
- 売上ではなく、顧客一人から回収できる粗利の合計から逆算します。回収する期間を何か月に切るかを先に決めないと、上限は出ません
- 成果の見込みではなく、止める条件を書いて申請します。どこまで悪ければ止めるかが書いてあれば、見込みが外れても損失は限定されます
- 分けずに、同じ枠の中で配分します。化粧品は素材の消耗が早く、制作を別枠にすると配信だけが延命されます
- 売り場の販促が先に決まり、広告はそれに合わせて動くのが実態です。この順番を前提にしたうえで、広告側から時期の前倒しを働きかける形になります
- 一度に増やさず、段階的に上げて一人あたりの費用の変化を見ます。上限の内側にあるうちは増やせますが、超えた時点がその時期の限界です
- 過去三年の月別の売上と広告費を並べるところからです。需要の山がどれだけ前後しているかが分かると、固定する枠と動かす枠の比率が決まります