化粧品ブランドのマーケティング組織の作り方

ブランドごとに独立した機能を持たせると、同じ作業が数だけ増えます。
分けるべき機能と共通化できる機能を、期初に線引きしていないことが原因です。
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目次
目次
- 化粧品ブランドのマーケティング組織は、なぜブランドごとに分かれたまま重くなるのか
- 共通化の基準は判断の量で決める
- どの機能をブランドに残し、どれを共通に置くのか
- 共通に置いたときに起きる詰まり
- ブランド間で予算を配分するとき、何を基準にするのか
- 新しいブランドの扱い
- 売り場を持つ組織で、店舗側の人員をどう位置づけるのか
- 店舗の人員計画と季節
- 表現の確認を担う人は、どこに置くのが機能するのか
- 判断の記録を残す
- 外部に任せる部分と、社内に置く部分はどう分けるのか
- 渡す基準を文書にする
- 組織を変えたあと、何を見て機能しているかを判断するのか
- 詰まりの場所を特定する
- 化粧品ブランドの組織設計は、何から手をつけるのか
- 変更したあとに戻さないために
- よくある質問
- まとめ
ブランドごとに独立した機能を持たせると、同じ作業が数だけ増えます。
分けるべき機能と共通化できる機能を、期初に線引きしていないことが原因です。
化粧品ブランドのマーケティング組織は、なぜブランドごとに分かれたまま重くなるのか
ブランドごとに独立した機能を持たせると、同じ作業が数だけ増えます。
分けるべき機能と共通化できる機能を、期初に線引きしていないことが原因です。
複数のブランドを持つ会社では、ブランドごとに担当を置く形が自然に選ばれます。
世界観も顧客層も違うため、分けたほうが速く動けるという判断です。
この形は、ブランドが二つか三つのうちは機能します。
数が増えると、同じ作業が人数分だけ重複します。
重複しやすいのは、媒体の運用、素材の制作、表現の確認、データの集計です。
どれもブランド固有の判断が少ない領域です。
一方で、訴求の言葉と商品の選び方は共通化できません。
ブランドの世界観そのものが、そこに現れるためです。
線引きをしないまま人を増やすと、全体の費用だけが増えます。
どのブランドも、自分のところに人が足りないと主張する状態になります。
共通化の基準は判断の量で決める
共通化できるかどうかは、作業量ではなく判断の量で決まります。
ブランド固有の判断が多い作業は、共通にすると質が落ちます。
判断が少なく手順が決まっている作業は、共通にすると速くなります。
媒体の入稿や、集計の作成がここに入ります。
線引きは、作業の名前ではなく中身で決めます。
同じ制作でも、企画の部分は分け、書き出しの部分は共通にできます。
組織の線引きは、作業量ではなく判断の量で決めます。ブランド固有の判断が多い部分だけを分けてください。
どの機能をブランドに残し、どれを共通に置くのか
訴求の決定と商品の企画はブランドに残します。
媒体の運用、表現の確認、集計、素材の書き出しは共通に置くほうが速くなります。
ブランドに残すのは、その世界観の判断が必要な部分です。
誰に向けて、何を言うかを決める作業がここに入ります。
共通に置くのは、判断の基準が会社として一つでよい部分です。
表現の確認は、その代表になります。
表現の確認をブランドごとに置くと、判断がばらつきます。
同じ成分の説明が、ブランドによって通ったり止まったりする状態になります。
媒体の運用も共通のほうが有利です。
ブランドをまたいで配信の実績が溜まるため、判断の材料が増えます。
集計も共通にします。
ブランドごとに集計の定義が違うと、会社全体の数字が作れません。
ブランドに残す機能と共通に置く機能
| 機能 | 置く場所 | 理由 | 共通にしたときの注意 |
|---|---|---|---|
| 訴求の決定 | ブランド | 世界観の判断が要る | 共通にすると似てくる |
| 商品の企画 | ブランド | 顧客層の判断が要る | 共通にすると差がなくなる |
| 素材の企画 | ブランド | 訴求と不可分 | 共通にすると訴求がぶれる |
| 素材の書き出し | 共通 | 手順が決まっている | 納期の優先順位が必要 |
| 媒体の運用 | 共通 | 実績が溜まるほど有利 | ブランド間の配分の基準が要る |
| 表現の確認 | 共通 | 判断を一つに揃える | 確認の待ち時間が集中する |
| 集計と報告 | 共通 | 定義を揃える必要がある | ブランド固有の指標が落ちる |
共通に置いたときに起きる詰まり
共通に置くと、依頼が一か所に集中します。
特に表現の確認は、季節の立ち上げ時期に集中します。
詰まりを防ぐには、依頼の受付の順番を決めます。
先着ではなく、発売日の近い順にする形が実務的です。
順番を決めていないと、声の大きいブランドから処理されます。
その結果、共通化したのに待ち時間が増えたという評価になります。
訴求と商品の企画はブランドに残し、運用と確認と集計は共通に置きます。共通側では依頼の受付順を先に決めてください。
ブランド間で予算を配分するとき、何を基準にするのか
売上の大きさではなく、追加投下したときに増える粗利で比べます。
売上で配ると、成熟したブランドに寄り続けて新しいブランドが育ちません。
ブランド間の配分を売上の比率で決めると、配分は毎年ほとんど変わりません。
大きいブランドに多く配られ、その結果また大きくなります。
この形が問題になるのは、成熟したブランドほど追加投下の効きが鈍いためです。
すでに需要を取り切っている状態では、費用を増やしても件数が比例しません。
比べるべきは、追加で投下したときに増える粗利です。
同じ金額を足したとき、どちらのブランドで粗利が多く増えるかを見ます。
この数字は、段階的に増やした実績からしか出ません。
そのため、期中に小さく試す枠を各ブランドに持たせます。
試した結果を並べると、翌期の配分の根拠になります。
根拠がないと、配分の議論は声の大きさで決まります。
ブランド間の配分を決めるときに並べる数字
| 並べる数字 | 何が分かるか | 注意するところ |
|---|---|---|
| 売上の比率 | いまの規模 | 配分が固定される |
| 粗利の比率 | 会社への寄与 | 原価率の差が出る |
| 追加投下で増える粗利 | 伸びしろ | 段階的な実績が要る |
| 初回から二回目への転換率 | 獲得の質 | 系列で周期が違う |
| 立ち上げからの経過月数 | 評価の物差しの選択 | 別枠にする期間の判断 |
新しいブランドの扱い
立ち上げたばかりのブランドは、追加投下の効きも出ていません。
実績のない段階で他と同じ基準に入れると、必ず配分が最小になります。
そのため、立ち上げ期のブランドは別枠にします。
採算ではなく、どこまで届いたかと二回目がどれだけ出たかで評価します。
別枠から通常の枠に移す時期も、期初に決めておきます。
決めていないと、いつまでも別扱いのまま費用が積み上がります。
ブランド間の配分は売上比率ではなく、追加投下で増える粗利で比べます。立ち上げ期のブランドは別枠にしてください。
売り場を持つ組織で、店舗側の人員をどう位置づけるのか
販売の担当としてだけでなく、顧客の声を集める役割として位置づけます。
役割を決めていないと、集める作業が追加の負担としてだけ受け取られます。
売り場の販売員は、顧客と直接やり取りする唯一の接点です。
そこで得られる情報は、広告の訴求を決める材料になります。
しかし、販売の目標だけを持たせると、情報を集める作業は負担になります。
自分の評価につながらない作業は、続きません。
そのため、役割として明示します。
販売の数字と別に、集めた質問や反応を評価の対象に含める形です。
評価に入れるときは、量ではなく提出したかどうかで見ます。
量で評価すると、中身の薄い報告が増えます。
集めた情報を使った結果も、売り場に返します。
返すものがないと、役割として定着しません。
店舗の人員計画と季節
化粧品の売り場は、季節と催事で必要な人数が変わります。
通年で同じ人数を置くと、繁忙期に足りず閑散期に余ります。
そのため、通年の人員と繁忙期の応援を分けて計画します。
応援の要否は、過去の月別の来店数から決めます。
応援の人員には、接客の範囲を絞って渡します。
商品の説明の範囲を絞ることで、表現の確認が及ぶ範囲を保てます。
売り場の人員は、販売と情報収集の二つの役割で位置づけます。繁忙期の応援は、接客の範囲を絞って渡してください。
表現の確認を担う人は、どこに置くのが機能するのか
ブランドの外に置き、制作の前段で関わる形にします。
できあがってから確認する位置に置くと、差し戻しの量が増えます。
表現の確認をブランドの中に置くと、判断が制作の都合に寄ります。
発売日が迫った素材を止める判断は、同じ組織の中では出しにくくなります。
外に置くと判断は揃いますが、関わる時期が遅れがちです。
できあがった素材を見て止める形になると、作り直しの量が増えます。
機能するのは、外に置いたうえで制作の前段から関わる形です。
訴求の言葉を決める段階で見ておけば、後の差し戻しが減ります。
前段で関わるには、確認する側の人数が要ります。
人数が足りない場合は、よく使う訴求の型を先に整理して共有する形で代替します。
何がどこまで言えるかは、商品の区分と媒体で変わります。
掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
表現の確認を入れる時期と効果
| 入れる時期 | 止められるもの | 作り直しの量 | 必要な人数 |
|---|---|---|---|
| 訴求を決める段階 | 方向そのもの | 小さい | 少なくて済む |
| 構成を決める段階 | 見せ方と言い回し | 中程度 | 中程度 |
| 素材が完成した段階 | 表現の細部 | 大きい | 多く要る |
| 入稿の直前 | 明らかな逸脱のみ | 非常に大きい | 多く要る |
| 掲載の開始後 | 取り下げのみ | 全部 | 対応が集中する |
判断の記録を残す
確認の判断は、そのつど個別に行われます。
記録がないと、同じ論点が何度も持ち込まれます。
記録するのは、結論だけでなく判断の理由です。
理由が残っていれば、似た訴求の判断を自分で行えます。
記録は共通の場所に置き、ブランドをまたいで参照できるようにします。
ブランドごとに分けると、同じ検討を繰り返します。
表現の確認はブランドの外に置き、訴求を決める段階から関わらせます。判断の理由まで記録し、ブランドをまたいで参照できるようにしてください。
外部に任せる部分と、社内に置く部分はどう分けるのか
量が読める作業は外に出し、判断が要る部分は社内に残します。
化粧品では、訴求の決定と表現の確認を外に出すと後戻りが大きくなります。
外部に任せる判断は、作業の難易度ではなく量の読みやすさで決まります。
量が読める作業は、外に出したほうが費用も納期も安定します。
素材の書き出しや、媒体の入稿がここに入ります。
手順が決まっているため、品質のばらつきも小さくなります。
一方で、訴求の決定を外に出すと、ブランドの世界観が外部の解釈に依存します。
解釈が合っているかどうかを確認する作業が、結局社内に戻ります。
表現の確認も同じです。
外部の判断で止まらなかった表現が、後から社内で問題になると取り下げになります。
そのため、この二つは社内に残します。
残したうえで、外部には判断の基準を文書で渡します。
渡す基準を文書にする
基準を口頭で伝えると、担当者が替わった時点で失われます。
文書にしておけば、外部の体制が変わっても基準は残ります。
文書には、使ってよい言い回しと、確認が必要な領域を分けて書きます。
禁止の一覧だけでは、判断に迷う場面をすべて拾えません。
文書は定期的に見直します。
判断の基準は時期とともに変わるため、古い文書は誤った安心を与えます。
外に出すのは量が読める作業です。訴求の決定と表現の確認は社内に残し、外部には判断の基準を文書で渡してください。
組織を変えたあと、何を見て機能しているかを判断するのか
費用の総額ではなく、素材が掲載されるまでの日数を見ます。
共通化の効果は、まず速さに現れ、費用には遅れて現れます。
組織を変えた直後に費用の総額を見ても、効果は出ていません。
人の配置が変わっただけでは、費用は動かないためです。
先に動くのは、速さです。
訴求を決めてから素材が掲載されるまでの日数が、共通化の効果を最も早く表します。
この日数が縮んでいれば、詰まりが解消しています。
伸びていれば、共通に置いた機能で待ちが発生しています。
次に見るのが、差し戻しの回数です。
確認の関わる時期を前に動かした効果は、ここに現れます。
費用の変化は、これらが安定してから見ます。
先に費用だけを見ると、まだ効果が出ていない段階で組織を戻す判断になります。
詰まりの場所を特定する
日数が伸びている場合、どの工程で待っているかを分けて見ます。
訴求の決定、素材の制作、表現の確認、入稿の四つに分けます。
分けて見ると、待ちが一か所に集中していることが多くなります。
その一か所だけに人を足せば、全体の日数が縮みます。
全工程に均等に人を足すと、費用だけが増えます。
どこが詰まっているかを見ずに人を増やすと、この結果になります。
組織変更の効果は、費用ではなく掲載までの日数で判断します。日数が伸びている場合は、工程ごとに分けて詰まりの場所を特定してください。
化粧品ブランドの組織設計は、何から手をつけるのか
いま誰が何に時間を使っているかを、作業の単位で出すところからです。
重複が見えて初めて、共通化する範囲が決まります。
組織の議論は、体制図から始めがちです。
しかし図を先に書くと、いまの重複が見えないまま形だけが変わります。
最初にやるのは、作業の単位での時間の把握です。
ブランドごとに、誰がどの作業にどれだけ時間を使っているかを出します。
出してみると、同じ作業が複数のブランドで行われていることが分かります。
その中から、判断の量が少ないものを共通化の候補にします。
次に、共通に置いたときの依頼の受付順を決めます。
この順番を決めないと、共通化しても待ち時間が増えます。
そのあとで、ブランド間の配分の基準を決めます。
売上の比率ではなく、追加投下で増える粗利を基準にします。
化粧品ブランドの組織設計に着手する順番
| 順番 | やること | 関わる部署 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | ブランドごとに作業単位の時間を出す | 各ブランドのマーケ | 三週間 |
| 2 | 判断の量が少ない作業を共通化の候補にする | マーケの責任者 | 一週間 |
| 3 | 共通側の依頼の受付順を決める | 責任者三者 | 一週間 |
| 4 | 表現の確認が関わる時期を前に動かす | 確認の担当・制作 | 二週間 |
| 5 | ブランド間の配分の基準を決める | 経営・マーケ | 二週間 |
| 6 | 掲載までの日数を測る形を作る | マーケティング | 一週間 |
数字は説明のための仮の値です。
訴求を決めてから掲載まで三十日かかっていて、そのうち表現の確認に十二日使っているとします。
確認を前段に移して差し戻しが半分になれば、全体は二十四日前後に縮みます。
どの工程に何日かかっているかを出さないと、この判断はできません。
変更したあとに戻さないために
組織の変更は、三か月ほどは数字が悪化します。
新しい手順に慣れるまでの時間が必要なためです。
この期間に費用だけを見ると、戻す判断が出ます。
そのため、何をいつ見るかを変更の前に決めておきます。
見る順番は、掲載までの日数、差し戻しの回数、費用の総額です。
この順番と時期を先に合意しておけば、途中で戻す議論にはなりません。
着手点は体制図ではなく、作業の単位での時間の把握です。重複が見えてから、判断の量が少ない作業を共通化してください。
化粧品ブランドの組織の組み方で判断に迷う場合は、無料相談で現状を見てもらうところから始められます。
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よくある質問
ブランドごとに担当を分けるべきですか
分ける基準は作業量ではなく判断の量です。訴求の決定と商品の企画はブランド固有の判断が多いので分けます。媒体の運用、素材の書き出し、表現の確認、集計は判断の基準が会社で一つでよいため、共通に置くほうが速くなります。
共通化すると待ち時間が増えませんか
依頼の受付順を決めていないと増えます。先着ではなく発売日の近い順にする形が実務的です。順番を決めないと声の大きいブランドから処理され、共通化したのに遅くなったという評価になります。
ブランド間の予算はどう配分しますか
売上の比率で配ると、成熟したブランドに寄り続けます。同じ金額を追加したときに増える粗利で比べてください。この数字は段階的に増やした実績からしか出ないので、各ブランドに小さく試す枠を持たせる必要があります。
表現の確認はどこに置くのがよいですか
ブランドの外に置いたうえで、訴求を決める段階から関わらせてください。素材が完成してから確認すると作り直しの量が増えます。判断の理由まで記録し、ブランドをまたいで参照できる場所に置くと、同じ検討の繰り返しが減ります。
組織を変えた効果はいつ分かりますか
費用ではなく、訴求を決めてから掲載までの日数に先に現れます。次に差し戻しの回数、最後に費用の順です。変更の直後は手順に慣れるまで数字が悪化するので、何をいつ見るかを変更の前に合意しておいてください。
まとめ
- ブランドごとに独立した機能を持たせると、同じ作業が数だけ増えます。分けるべき機能と共通化できる機能を、期初に線引きしていないことが原因です
- 訴求の決定と商品の企画はブランドに残します。媒体の運用、表現の確認、集計、素材の書き出しは共通に置くほうが速くなります
- 売上の大きさではなく、追加投下したときに増える粗利で比べます。売上で配ると、成熟したブランドに寄り続けて新しいブランドが育ちません
- 販売の担当としてだけでなく、顧客の声を集める役割として位置づけます。役割を決めていないと、集める作業が追加の負担としてだけ受け取られます
- ブランドの外に置き、制作の前段で関わる形にします。できあがってから確認する位置に置くと、差し戻しの量が増えます
- 量が読める作業は外に出し、判断が要る部分は社内に残します。化粧品では、訴求の決定と表現の確認を外に出すと後戻りが大きくなります
- 費用の総額ではなく、素材が掲載されるまでの日数を見ます。共通化の効果は、まず速さに現れ、費用には遅れて現れます
- いま誰が何に時間を使っているかを、作業の単位で出すところからです。重複が見えて初めて、共通化する範囲が決まります