
課題が解決すれば、支援は不要になります。
他業種の解約とは性質が違うため、継続率をそのまま指標にすると判断を誤ります。
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目次
目次
- コンサルティングの契約は、終わることが前提になっている
- 良い終わり方と、悪い終わり方
- 1社あたりの価値を、どう計算するか
- 3つの要素
- 獲得にかけられる金額を、どう決めるか
- 原価の計算
- 契約の階段を、どう設計するか
- 段階の作り方
- 担当者の交代で、関係が切れることへの備え
- 交代で起きること
- 紹介が生まれる条件を、どう作るか
- 紹介が起きる3つの条件
- 継続と拡大の議論で、間違えやすいこと
- 不要な支援が続く
- 顧客の価値の設計に、どこから着手するか
- 過去5年を対象にする理由
- よくある質問
- まとめ
課題が解決すれば、支援は不要になります。
他業種の解約とは性質が違うため、継続率をそのまま指標にすると判断を誤ります。
コンサルティングの契約は、終わることが前提になっている
課題が解決すれば、支援は不要になります。
他業種の解約とは性質が違うため、継続率をそのまま指標にすると判断を誤ります。
継続課金の事業では、解約は失敗として扱われます。
コンサルティングでは、終了が成功の結果である場合があります。
良い終わり方と、悪い終わり方
課題が解決して支援が不要になった。
社内に能力が移り、自走できるようになった。
これらは良い終わり方です。
期待した成果が出なかった。
担当者との関係が悪化した。
費用の効果が説明できなかった。
これらは悪い終わり方です。
契約が終わる理由と、扱い方
| 終了の理由 | 良し悪し | 次につながるか | 記録すべきこと |
|---|---|---|---|
| 課題が解決した | 良い | つながる | 成果の内容 |
| 社内で自走できるようになった | 良い | つながる | 移管した内容 |
| 予算がなくなった | 中立 | 条件次第 | 再開の可能性 |
| 担当役員が交代した | 中立 | 関係次第 | 新しい担当者 |
| 成果が出なかった | 悪い | つながらない | 原因の分析 |
| 関係が悪化した | 悪い | つながらない | 何が起きたか |
継続率だけを見ない
継続率を上げることを目標にすると、不要な支援を続ける動きが出ます。
それは相手の信頼を失う方向です。
継続率と、終了の理由の内訳を並べて見ます。
終わった後の関係が、実質的なLTVを決める
終了しても、紹介が続けばその顧客の価値は続きます。数年後に再び依頼されることもあります。契約期間中の売上だけでは、価値を測れません。
1社あたりの価値を、どう計算するか
契約期間中の売上に、紹介から生まれた売上と再依頼を加えます。
この3つを合わせないと、獲得にかけられる金額を小さく見積もることになります。
顧客1社の価値を、最初の契約の金額だけで見ると過小評価になります。
3つの要素
最初の契約と、その延長や拡大。
契約終了後の再依頼。
その顧客からの紹介で生まれた案件。
顧客の価値を構成する要素
| 要素 | 測れるか | 記録に必要なもの |
|---|---|---|
| 最初の契約の金額 | 測れる | 契約の記録 |
| 契約の延長と拡大 | 測れる | 契約の記録 |
| 別の領域への展開 | 測れる | 案件の記録 |
| 終了後の再依頼 | 測れる | 顧客の識別 |
| 紹介から生まれた案件 | 記録すれば測れる | 紹介元の記録 |
| 紹介の連鎖 | 追跡が難しい | 紹介元の連鎖の記録 |
紹介元を記録する
新しい案件が紹介で来たとき、誰からの紹介かを記録します。
この記録がないと、紹介の価値が数字になりません。
数字は説明のための仮の値です。
ある顧客との契約が2年で2,400万円、終了後の再依頼が1回で800万円、その顧客からの紹介で2社が受注し合計3,000万円だとします。
合計で6,200万円になります。
最初の契約の2,400万円だけで獲得の上限を決めると、実際の4割以下で判断することになります。
紹介の連鎖をどこまで追うか
紹介先からさらに紹介が生まれることがあります。2段目まで記録する形が、実務的な範囲になります。それ以上は記録の負担が大きくなります。
獲得にかけられる金額を、どう決めるか
顧客の価値から、支援にかかる原価を引いて出します。
コンサルティングの原価は人件費なので、稼働の時間から計算できます。
獲得に投資できる金額の上限は、顧客の価値と原価の差から決まります。
原価の計算
契約期間中に、何人が何時間関わるか。
その時間に稼働単価を掛けたものが原価です。
管理の費用と、提案にかけた時間も含めます。
1社あたりの投資可能額を出す手順
| 順番 | 出す数字 | 計算の方法 |
|---|---|---|
| 1 | 顧客1社の平均的な価値 | 契約 + 再依頼 + 紹介からの売上 |
| 2 | 契約期間中の稼働の原価 | 人数 × 時間 × 稼働単価 |
| 3 | 提案と面談にかけた時間の原価 | 時間 × 稼働単価 |
| 4 | 管理と間接の費用 | 按分 |
| 5 | 正味の利益 | 価値 − 原価の合計 |
| 6 | 獲得の上限 | 正味の利益の一部を配分 |
提案にかけた時間を原価に入れる
受注しなかった提案にかけた時間も、原価です。
受注1件あたり何件の提案を出しているかで按分します。
この計算を入れないと、実際より利益が大きく見えます。
数字は説明のための仮の値です。
受注1件につき提案を3件出しているなら、提案3件分の時間が1件の受注の原価になります。
提案1件に20時間、稼働単価が時間あたり2万円なら、3件で120万円です。
顧客の区分で上限を変える
企業の規模や案件の型で、価値が大きく違います。
平均で上限を決めると、小さい案件では回収できません。
3区分程度に分けて、それぞれの上限を持ちます。
上限いっぱいまで使わない
計算した上限は、回収できる限界です。実際に使うのは、その半分程度にとどめる判断が多くなります。
契約の階段を、どう設計するか
最初から大きな契約を取ろうとすると、決まるまでに時間がかかります。
小さく始めて広げる形にすると、着手が早くなります。
コンサルティングの契約には、規模の段階があります。
段階の作り方
短期の診断から始めて、実行支援に進み、継続的な助言に移る。
この階段があると、相手の判断の負担が小さくなります。
契約の段階と、その役割
| 段階 | 期間 | 役割 | 次への移行率を見るか |
|---|---|---|---|
| 初回の診断 | 1か月から2か月 | 課題の整理と信頼の形成 | 見る |
| 実行支援 | 3か月から1年 | 成果を出す | 見る |
| 継続的な助言 | 年単位 | 関係の維持 | 見る |
| 別領域への展開 | 随時 | 範囲の拡大 | 見る |
| 研修や勉強会 | 単発 | 接点の維持 | 見る |
| 役員としての関与 | 年単位 | 深い関与 | 個別 |
移行率を測る
診断から実行支援に進んだ比率を測ります。
この比率が低ければ、診断の設計か、その後の提案に問題があります。
数字は説明のための仮の値です。
年間の診断が12件で、実行支援に進んだのが5件なら42%です。
この比率を半年ごとに見ます。
小さい契約で終わることへの対処
診断だけで終わる相手が多いと、稼働の効率が落ちます。
診断の段階で、その後の進め方まで示す形にします。
終わった時点で次が見えていれば、移行の判断がしやすくなります。
階段を作らない判断もある
最初から年単位の契約だけを扱う形もあります。稼働の効率は高くなりますが、決まるまでの期間が長くなります。どちらを取るかは、稼働の状況で決まります。
担当者の交代で、関係が切れることへの備え
支援先の担当役員が交代すると、契約が続かないことがあります。
関係を個人に依存させない形を、契約の期間中に作ります。
コンサルティングの関係は、特定の人とのつながりで成立していることがあります。
交代で起きること
依頼した役員が異動または退任すると、後任は自分で選んだ相手ではありません。
契約を見直す機会として扱われます。
実績があっても、続かないことがあります。
関係の依存を分散させる方法を、項目ごとに見ていきます。
複数の部門と接点を持つについては、効果は交代の影響が小さくなる、実行の難しさは相手の組織次第。
成果を文書で残すについては、効果は後任に伝わる、実行の難しさは通常業務の中で可能。
定期的な報告会を行うについては、効果は関係者が増える、実行の難しさは相手の時間が要る。
実務の担当者とも関係を作るについては、効果は継続の判断に影響、実行の難しさは自然に作れる。
経営会議で報告するについては、効果は会社としての位置づけ、実行の難しさは相手の判断。
自社側も複数人で関わるについては、効果はこちらの交代にも備える、実行の難しさは稼働が増える。
成果を文書で残す
何をして何が変わったかを、定期的に文書にします。
後任が読める形にしておくと、契約の見直しの場で材料になります。
口頭の報告だけでは、後任に伝わりません。
こちら側の担当者の交代にも備える
自社のコンサルタントが退職すると、その人に紐づいた関係が切れます。
複数人で関わる形にしておくと、影響が小さくなります。
稼働は増えますが、継続の観点では投資になります。
交代の情報を早く知る
支援先で人事の動きがあることを、早く知る関係が要ります。知っていれば、後任への説明の準備ができます。
紹介が生まれる条件を、どう作るか
成果が出ただけでは紹介は起きません。
紹介できる相手がいて、依頼のきっかけがあったときに起きます。
紹介は自然に起きるものとして扱われがちです。
条件を整えると、起きる頻度が変わります。
紹介が起きる3つの条件
成果に満足していること。
紹介できる相手がいること。
依頼のきっかけがあること。
3つ目が欠けていることが多くなります。
紹介を作る手順を、項目ごとに見ていきます。
成果が見えた時点で確認するについては、時期は支援の中盤、誰が行うかは担当コンサルタント。
紹介を依頼するについては、時期は成果が出た直後、誰が行うかは担当コンサルタント。
どういう相手が対象かを伝えるについては、時期は依頼時、誰が行うかは担当コンサルタント。
紹介しやすい材料を渡すについては、時期は依頼時、誰が行うかはマーケティング。
紹介後に結果を報告するについては、時期は紹介の後、誰が行うかは担当コンサルタント。
定期的に接点を持つについては、時期は継続的、誰が行うかはマーケティング。
どういう相手が対象かを伝える
紹介してくださいと言うだけでは、相手は誰を思い浮かべるか分かりません。
どういう規模の、どういう状況の会社が対象かを具体的に伝えます。
伝えると、該当する相手が思い浮かびます。
紹介しやすい材料を渡す
紹介する側は、自分の言葉で説明する必要があります。
その手間を減らす資料を渡します。
1枚で、何をする会社でどういう場面で役に立つかが分かるもの。
紹介の結果を報告する
紹介してもらった後、どうなったかを報告します。報告がないと、紹介した側は気にかかったままになります。報告する関係だと、次の紹介も出やすくなります。
継続と拡大の議論で、間違えやすいこと
継続率を上げることを目的にすると、成果の出ない支援が続きます。
終わるべきときに終わることが、次の紹介につながります。
契約の継続を目標に置くと、判断が歪みます。
不要な支援が続く
課題が解決しても、契約を続ける理由を探すようになります。
相手はその意図に気づきます。
関係が悪化して終わると、紹介は起きません。
継続の議論で起きる間違いを、項目ごとに見ていきます。
継続率を目標にするについては、起きることは不要な支援が続く、代わりの進め方は終了の理由の内訳を見る。
契約金額だけで顧客を評価するについては、起きることは紹介の価値が見えない、代わりの進め方は紹介元を記録する。
最初から大きな契約を狙うについては、起きることは決まるまでが長い、代わりの進め方は段階を作る。
担当者との関係で続けるについては、起きることは交代で切れる、代わりの進め方は複数の接点を作る。
紹介を待つについては、起きることは起きる頻度が低い、代わりの進め方は依頼の手順を作る。
終了後に連絡しないについては、起きることは関係が切れる、代わりの進め方は定期的な接点を持つ。
終了の理由の内訳を見る
継続率という1つの数字ではなく、終了の理由を分類して見ます。
良い終わり方が多ければ、問題はありません。
悪い終わり方が増えているなら、支援の質の問題です。
外部に相談するときの確認
顧客の価値の設計を外部に相談する場合、紹介が主要な経路である事業の前提を理解しているかを確認します。契約金額だけで顧客を評価する提案では、実態に合いません。
顧客の価値の設計に、どこから着手するか
過去の顧客が、その後どうなったかを1社ずつ追うことからです。
紹介と再依頼を記録していないと、価値が計算できません。
顧客数が多くないため、1社ずつの確認ができます。
顧客の価値の設計を進める並びを、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは過去5年の顧客を一覧にする、関わる人は管理部門、期間の目安は2週間。
2については、やることは各社の契約期間と金額を出す、関わる人は管理部門、期間の目安は2週間。
3については、やることは終了の理由を分類して記録する、関わる人はコンサルタント、期間の目安は3週間。
4については、やることは紹介元と紹介先の関係を記録する、関わる人は営業・コンサルタント、期間の目安は1か月。
5については、やることは1社あたりの価値と原価を計算する、関わる人は経営・管理部門、期間の目安は3週間。
6については、やることは獲得の上限を区分ごとに決める、関わる人は経営、期間の目安は3週間。
過去5年を対象にする理由
紹介と再依頼は、数年かけて起きます。
2年では、その効果が数字に出ません。
5年分あれば、紹介の連鎖まで見えます。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
過去5年の顧客が36社、平均の契約金額が1,800万円だとします。
うち再依頼があったのが9社で平均700万円、紹介が生まれたのが14社で1社あたり平均1.4件の受注につながったとします。
紹介から生まれた案件の平均が1,600万円なら、紹介による売上は14社 × 1.4件 × 1,600万円で約3億1,000万円です。
36社の契約金額の合計6億4,800万円に対して、無視できない規模になります。
顧客の価値に関して定点で見る数字を、項目ごとに見ていきます。
終了の理由の内訳については、見る頻度は半期、何が分かるかは良い終わり方の比率。
診断から実行支援への移行率については、見る頻度は四半期、何が分かるかは階段の機能。
再依頼の件数については、見る頻度は半期、何が分かるかは関係の継続。
紹介の依頼を行った件数については、見る頻度は四半期、何が分かるかは活動量。
紹介から生まれた案件数については、見る頻度は半期、何が分かるかは紹介の効果。
顧客1社あたりの累計の売上については、見る頻度は年次、何が分かるかは価値の実態。
記録の項目を最小にする
終了の理由、紹介元、再依頼の有無。
この3つを記録すれば、計算ができます。
項目を増やすと、記録されません。
年に1度、上限を計算し直す
単価も原価も変わります。
年に1度は計算をやり直します。
顧客の価値の見方で判断に迷う場合は、無料相談で過去の取引を一緒に整理するところから始められます。獲得と維持の配分ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
コンサルティングでLTVという考え方は使えますか
使えます。ただし契約期間中の売上だけでなく、終了後の再依頼と、その顧客からの紹介で生まれた案件を加えないと、実際より小さく見積もることになります。
契約が終わることは失敗ですか
課題が解決した、社内で自走できるようになったという終わり方は成功です。継続率だけを目標にすると、不要な支援を続ける動きが出て関係が悪化します。
獲得にかけられる金額はどう計算しますか
顧客の価値から、契約期間中の稼働の原価と、提案や面談にかけた時間の原価を引きます。受注しなかった提案にかけた時間も原価に含めてください。
紹介がなかなか生まれません
成果への満足だけでは起きません。成果が見えた時点で依頼し、どういう規模のどういう状況の会社が対象かを具体的に伝え、紹介しやすい1枚の資料を渡してください。
担当役員の交代で契約が切れます
支援の期間中に、複数の部門と接点を持ち、何をして何が変わったかを定期的に文書で残してください。口頭の報告だけでは後任に伝わりません。
まとめ
- 課題が解決すれば、支援は不要になります。他業種の解約とは性質が違うため、継続率をそのまま指標にすると判断を誤ります
- 契約期間中の売上に、紹介から生まれた売上と再依頼を加えます。この3つを合わせないと、獲得にかけられる金額を小さく見積もることになります
- 顧客の価値から、支援にかかる原価を引いて出します。コンサルティングの原価は人件費なので、稼働の時間から計算できます
- 最初から大きな契約を取ろうとすると、決まるまでに時間がかかります。小さく始めて広げる形にすると、着手が早くなります
- 支援先の担当役員が交代すると、契約が続かないことがあります。関係を個人に依存させない形を、契約の期間中に作ります
- 成果が出ただけでは紹介は起きません。紹介できる相手がいて、依頼のきっかけがあったときに起きます
- 継続率を上げることを目的にすると、成果の出ない支援が続きます。終わるべきときに終わることが、次の紹介につながります
- 過去の顧客が、その後どうなったかを1社ずつ追うことからです。紹介と再依頼を記録していないと、価値が計算できません