経営コンサルのインハウス化の判断|内製と外注の分け方

稼働に充てれば売上になる時間を、社内の作業に使う判断になります。
内製と外注の線引きは、この時間の価値から考えます。
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目次
目次
- コンサルタントの時間を、発信に使ってよいか
- 時間が直接の原価になる
- なぜ社内に持ちたいのかを言葉にする
- 公表されている動機
- 社内に残す工程と、外に出す工程
- 3つの層に分ける
- 少人数の組織で、誰が担うか
- 専任を置く場合
- 媒体の変化を、社内で追えるか
- 公表されている障壁
- 守秘の制約が、外注に与える影響
- 外部に出せない情報
- 内製に切り替えた後に表面化すること
- 稼働の波の影響
- 内と外の分け直しを、どう進めるか
- 時間の記録の方法
- よくある質問
- まとめ
稼働に充てれば売上になる時間を、社内の作業に使う判断になります。
内製と外注の線引きは、この時間の価値から考えます。
コンサルタントの時間を、発信に使ってよいか
稼働に充てれば売上になる時間を、社内の作業に使う判断になります。
内製と外注の線引きは、この時間の価値から考えます。
内製化の議論は、外部への支払いを減らす話として始まります。
コンサルティング会社では、その前に確認することがあります。
時間が直接の原価になる
コンサルタントが1時間を社内の作業に使うと、その時間は稼働に使えません。
稼働単価が時間あたり2万円なら、1時間で2万円の機会費用です。
数字は説明のための仮の値です。
外注費と比べる
記事の執筆を外注すると、1本あたり数万円から十数万円かかります。
社内で書くと、コンサルタントが8時間使って16万円の機会費用です。
外注のほうが安いことがあります。
業務ごとの内製と外注の比較
| 業務 | 社内で行う場合の時間 | 外注できるか | 判断の材料 |
|---|---|---|---|
| 記事の執筆 | 1本あたり数時間から十数時間 | できる | 機会費用と外注費 |
| 記事の素材づくり | 1本あたり30分 | できない | 社内にしかない知見 |
| 広告の運用 | 月に十数時間 | できる | 専門性と時間 |
| サイトの制作 | 一時的に多い | できる | 専門性 |
| セミナーの運営 | 1回あたり数十時間 | 一部できる | 内容と運営を分ける |
| 相談への一次対応 | 日々発生 | 社内が望ましい | 会社の窓口 |
素材づくりと文章化を分ける
コンサルタントにしかできないのは、素材の提供です。文章にする作業は外注できます。この線引きが、内製と外注の判断の軸になります。
なぜ社内に持ちたいのかを言葉にする
費用の削減を動機にすると、機会費用を含めた計算で成立しないことがあります。
知見が社内に残ることを動機にするほうが、判断が安定します。
内製化を検討する理由は、いくつかに分かれます。
公表されている動機
Testifyが2026年5月に行った調査では、全面委託をしている企業の8割超が1年以内のインハウス化を計画または検討していました。
決定または予定が52.9%、積極検討が32.8%です。
動機はノウハウの蓄積が56.7%、コスト削減が46.7%でした。
費用の削減が動機の場合
外部への支払いがなくなる代わりに、社内の時間が使われます。
コンサルティング会社では、その時間が売上になる時間です。
この計算を入れると、削減にならないことがあります。
社内に持つ理由ごとの判断の物差し
| 動機 | 判断の基準 | 注意点 |
|---|---|---|
| 費用の削減 | 機会費用を含めた総額 | 稼働単価で換算する |
| 知見の蓄積 | 社内に残る判断の記録 | 時間がかかる |
| 判断の速さ | 決定から実行までの日数 | 運用の質とは別 |
| 商材理解の深さ | 訴求の的確さ | 素材を渡せば外部でも可能 |
| 守秘の保持 | 外部に出せない情報の量 | 契約で対応できる場合がある |
| 採用への波及 | 会社の発信力 | 別の目的として扱う |
知見の蓄積が動機の場合
内製化しなくても、知見を社内に残す方法はあります。
外部の運用の内容と、判断の理由を記録する形です。
内製化が唯一の手段ではありません。
動機を1つに決める
複数の動機を同時に満たそうとすると、判断の基準が定まりません。
社内に残す工程と、外に出す工程
何を発信するかの判断と、素材の提供を社内に持ちます。
文章化、制作、運用は外に出しても成立します。
全部を内製するか、全部を委託するかの二択にしないことが出発点になります。
3つの層に分ける
事業の判断の層。
素材の提供の層。
実行の層。
工程の層と、担い手の置き方
| 層 | 含まれる業務 | 担い手 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 事業の判断 | 対象、訴求、予算の決定 | 社内 | 事業の責任 |
| 素材の提供 | 知見の言語化、守秘の判断 | 社内 | 社内にしかない |
| 実行 | 執筆、制作、運用 | 外部でよい | 技術として調達できる |
| 相談への一次対応 | 返信と日程調整 | 社内 | 会社の窓口 |
| データの解釈 | 数字から次を決める | 社内 | 事業の文脈が必要 |
| 媒体の変化の追随 | 新機能の評価 | 外部でよい | 情報量が必要 |
素材の提供は外注できない
コンサルタントの頭の中にある知見は、外部には出せません。
聞き取りを外部に依頼する形はありますが、守秘の制約と、何が価値かの判断が残ります。
実行を外に出すときの条件
外に出しても、何をやっているかは社内で把握します。
記録を残す形を契約に入れます。
段階的に移す
いきなり全部を移すと、質が落ちます。1つの領域から始めて、やり方が固まってから広げます。
少人数の組織で、誰が担うか
マーケティングの専任を置ける規模かどうかで、選択肢が変わります。
専任が置けない場合は、業務委託との組み合わせが現実的になります。
コンサルティング会社は、人数が多くないことがあります。
専任を置く場合
1人を専任にすると、その人の人件費がかかります。
コンサルタントから出す場合、稼働の売上が減ります。
外部から採る場合、支援の中身の理解に時間がかかります。
体制の選択肢と、成立する条件
| 体制 | 成立する条件 | 注意点 |
|---|---|---|
| 専任を1人置く | 年間の投資が回収できる規模 | 人選が難しい |
| コンサルタントの兼務 | 稼働に余裕がある | 忙しい時期に止まる |
| 経営者が担う | 発信が経営者中心 | 時間の上限がある |
| 業務委託で補う | 定型の業務がある | 社内に判断する人が要る |
| 全部を外部に委託 | 素材を渡す人がいる | 窓口が必要 |
| 組み合わせ | 判断は社内、実行は外部 | 最も現実的 |
兼務で始める場合の条件
週のうち何時間をマーケティングに充てるかを決めます。
決めないと、稼働の業務で埋まります。
忙しい時期に止まることを、前提として共有します。
業務委託の使い方
文章化、編集、運用を業務委託で補う形があります。
聞き取りと判断は社内に残します。
守秘の取り決めを先に交わします。
窓口は社内に1人置く
すべてを外部に委託する場合でも、窓口は社内に1人置きます。窓口がないと、方針が定まりません。
媒体の変化を、社内で追えるか
2025年から2026年にかけて、仕様の変更が続いています。
少人数の組織で追い続けるのは難しく、外部に残す判断になりやすい領域です。
内製化の障壁として、媒体の変化への追随が挙げられます。
公表されている障壁
Testifyの調査では、内製化の障壁として教育の時間と知見の不足が44.8%、媒体のアップデートへの追随が困難が40.3%、人材の採用が36.7%でした。
実際に起きている変更
Googleは2025年5月6日にAI Max for Search campaignsを発表しました。
自動作成アセットとキャンペーンレベルの部分一致は2026年9月に自動アップグレードされます。
DSAは2027年2月に延期されましたが、2026年9月以降は新規のDSAキャンペーンが作成できません。
LINEヤフーは2025年9月25日に統合を発表し、2026年4月1日にリリースされました。
LINE広告のみを利用していた企業は、Yahoo!計測タグの新規設置が必要です。
GA4では、2026年6月15日より広告データの共有の可否が同意モードのad_storageのみで決まる形になっています。
変化の追随を外部に残す判断を、項目ごとに見ていきます。
媒体の仕様変更については、外部に残す理由は情報量と検証の速さ、社内で持つ場合の条件は複数人の体制がある。
計測の設定については、外部に残す理由は専門性が高い、社内で持つ場合の条件は専任の担当がいる。
新しい配信手法の検証については、外部に残す理由は失敗の許容と知見、社内で持つ場合の条件は試す予算の余力がある。
表現の制約への対応については、外部に残す理由は判断の蓄積、社内で持つ場合の条件は社内で基準を持っている。
制作の量産については、外部に残す理由は人手が要る、社内で持つ場合の条件は制作の人員がいる。
分析の仕組みの構築については、外部に残す理由は専門性が高い、社内で持つ場合の条件は専任の担当がいる。
相談先として外部を残す
実行を内製化しても、相談先として外部を残す形があります。
年に数回、運用を見てもらう契約にします。
費用の総額は下がらないことがある
実行を内製化しても、人件費と相談の費用で総額が同じになることがあります。それでも判断が速くなり知見が残るなら、目的は達成されています。
守秘の制約が、外注に与える影響
支援先の情報を扱う部分は、外部に出せません。
発信の素材づくりの工程で、この制約が効いてきます。
コンサルティングでは、守秘の制約が業務の設計に影響します。
外部に出せない情報
支援先の名前、内部の状況、経営の判断。
これらは外部の委託先に共有できません。
制約の下での素材づくり
複数の案件から共通して見えた傾向として抽象化すれば、個別性が消えます。
この抽象化の作業は、社内で行います。
抽象化した後の素材なら、外部に渡せます。
守秘の制約と、工程の設計を、項目ごとに見ていきます。
案件からの気づきの抽出については、社内か外部かは社内、理由は個別の情報を含む。
共通する傾向への抽象化については、社内か外部かは社内、理由は判断が必要。
記事の構成の作成については、社内か外部かはどちらでも、理由は抽象化後なら可能。
執筆については、社内か外部かは外部でよい、理由は抽象化後の素材を使う。
事実の確認については、社内か外部かは社内、理由は専門的な内容の確認。
公開前の確認については、社内か外部かは社内、理由は守秘の最終確認。
委託先との取り決め
外部に渡す情報の範囲を、契約で定めます。
秘密保持の取り決めを交わしたうえでも、渡す範囲は限定します。
掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
公開前の確認を社内で行う
外部が作成した内容に、意図せず特定につながる記述が入ることがあります。公開前に社内で確認する工程を必ず入れます。
内製に切り替えた後に表面化すること
忙しい時期に施策が止まることが、最も起きやすい問題です。
コンサルタントの兼務では、案件の立ち上がりの時期に発信が途切れます。
内製化した後に起きる問題には、事前に想定できるものがあります。
稼働の波の影響
案件の立ち上がりの時期は、最も忙しくなります。
その時期に、発信も運用も止まります。
数か月の空白ができます。
社内に移した後の詰まりと、その備えを、項目ごとに見ていきます。
忙しい時期に止まるについては、原因は稼働の波、備えは一部を外部に残す。
担当者の退職で知見が消えるについては、原因は1人体制、備えは判断の記録を残す。
媒体の変化に追随できないについては、原因は情報収集の時間がない、備えは相談先を持つ。
改善が止まるについては、原因は日々の業務で手一杯、備えは定期的な外部の点検。
発信の質が落ちるについては、原因は素材の提供が止まる、備えは聞き取りを予定に入れる。
費用が下がらないについては、原因は機会費用が見えていない、備えは時間を記録する。
外部の点検を年に数回入れる
内製化した後も、年に2回程度は外部に見てもらう形が取れます。
社内だけで続けると、気づかない偏りが生まれます。
外部に相談するときの確認
内製化の支援を提案する会社もあります。
支援の終わりをどこに置くかを確認します。
支援が終わらない設計の提案は、内製化になりません。
戻す判断も選択肢に残す
内製化してうまくいかない場合、外部に戻す判断も選択肢です。一度決めたら戻せないという前提にすると、問題が長引きます。
内と外の分け直しを、どう進めるか
コンサルタントが施策に使っている時間を記録することからです。
機会費用が見えないと、内製と外注の比較ができません。
内製化の議論は、方針から始めると根拠がありません。
時間の記録から始めます。
社内と外部の線を引き直す手順を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることはコンサルタントが施策に使った時間を記録する、関わる人は全員、期間の目安は1か月。
2については、やることは委託している業務と費用を項目ごとに書き出す、関わる人はマーケティング、期間の目安は2週間。
3については、やることは機会費用を稼働単価で換算する、関わる人は管理部門、期間の目安は1週間。
4については、やることは社内でしかできない工程を特定する、関わる人は経営、期間の目安は2週間。
5については、やることは内製化の動機を1つに決める、関わる人は経営、期間の目安は2週間。
6については、やることは移す業務を1つ選んで期間を決める、関わる人は経営、期間の目安は3週間。
時間の記録の方法
月次の工数の記録に、項目を1つ足す形で足ります。
新しい仕組みは要りません。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
月の委託費が60万円で、うち執筆が25万円、運用が20万円、制作が15万円だとします。
コンサルタントが施策に使った時間が月に18時間、稼働単価が時間あたり2万円なら36万円です。
合計で96万円が、マーケティングにかかっている費用です。
執筆を内製化すると委託費は25万円減りますが、社内の時間が月に40時間増えれば80万円の機会費用になります。
この計算を出すと、判断が変わることがあります。
内外の分担の状態を見る数字を、項目ごとに見ていきます。
委託費と機会費用の合計については、見る頻度は四半期、何が分かるかは総額の変化。
コンサルタントが施策に使った時間については、見る頻度は月次、何が分かるかは稼働への影響。
社内で判断した件数については、見る頻度は四半期、何が分かるかは判断の移行。
発信が止まった期間については、見る頻度は四半期、何が分かるかは稼働の波の影響。
媒体の変更への対応の遅れについては、見る頻度は四半期、何が分かるかは追随の状況。
記録として残した判断の件数については、見る頻度は四半期、何が分かるかは知見の蓄積。
判断の件数を数える
内製化の本質は、操作ではなく判断が社内に移ることです。
何件の判断を社内で行ったかを数えます。
1年ごとに見直す
稼働の状況も委託の内容も変わります。
年に1度、分担を見直す機会を予定に入れます。
内製と外注の分け方で判断に迷う場合は、無料相談で現状の時間と費用を見てもらうところから始められます。体制の組み方ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
コンサルティング会社は何を内製化すべきですか
何を発信するかの判断と、知見の言語化です。文章化、制作、運用は外に出せます。コンサルタントにしかできないのは素材の提供の部分だけです。
記事を社内で書くべきですか
コンサルタントが8時間使うと、稼働単価で換算して大きな機会費用になります。30分の聞き取りで素材を出し、文章化を外注するほうが総額では安くなることがあります。
内製化すると費用は下がりますか
コンサルタントの時間を稼働単価で換算して比較してください。外部への支払いが減っても、社内の機会費用が増えれば総額は下がりません。
守秘があるので外注できません
複数の案件から共通して見えた傾向として抽象化する工程を社内で行えば、その後の執筆は外注できます。公開前の確認は必ず社内で行ってください。
内製化した後に発信が止まります
案件の立ち上がりの時期に稼働が集中することが原因です。一部を外部に残し、聞き取りの予定を先に入れておくと、空白の期間が短くなります。
まとめ
- 稼働に充てれば売上になる時間を、社内の作業に使う判断になります。内製と外注の線引きは、この時間の価値から考えます
- 費用の削減を動機にすると、機会費用を含めた計算で成立しないことがあります。知見が社内に残ることを動機にするほうが、判断が安定します
- 何を発信するかの判断と、素材の提供を社内に持ちます。文章化、制作、運用は外に出しても成立します
- マーケティングの専任を置ける規模かどうかで、選択肢が変わります。専任が置けない場合は、業務委託との組み合わせが現実的になります
- 2025年から2026年にかけて、仕様の変更が続いています。少人数の組織で追い続けるのは難しく、外部に残す判断になりやすい領域です
- 支援先の情報を扱う部分は、外部に出せません。発信の素材づくりの工程で、この制約が効いてきます
- 忙しい時期に施策が止まることが、最も起きやすい問題です。コンサルタントの兼務では、案件の立ち上がりの時期に発信が途切れます
- コンサルタントが施策に使っている時間を記録することからです。機会費用が見えないと、内製と外注の比較ができません