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建設会社のLTVと解約の設計|獲得の上限を決める数字

リピート・顧客管理公開:2026年9月15日更新:2026年9月15日読了 約13分
建設会社のLTVと解約の設計|獲得の上限を決める数字

引き渡した建物には、その後も工事が発生します。
改修と修繕と増築を合算すると、最初の一件の価値は大きく変わります。

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引き渡した建物には、その後も工事が発生します。
改修と修繕と増築を合算すると、最初の一件の価値は大きく変わります。

建設会社の一件の受注を、一回きりの売上として見ない

引き渡した建物には、その後も工事が発生します。
改修と修繕と増築を合算すると、最初の一件の価値は大きく変わります。

建設会社の一件の受注を、一回きりの売上として見ない

建設会社の集客の議論は、一件の工事の受注で完結しがちです。
しかし発注者との関係は、引き渡しで終わりません。

建物には寿命の期間がある

竣工した建物は、数年ごとに手を入れる必要が出ます。
設備の更新、外装の修繕、用途の変更に伴う改修。
その工事を誰が受けるかは、最初に建てた会社が有利な立場にあります。

発注者は別の建物も持っている

事業をしている発注者は、複数の拠点を持っていることがあります。
一つの現場で信用を得れば、他の拠点の工事につながります。

反復の構造を数字にしていない会社が多い

過去の受注を発注者ごとに集計すると、実際には何度も取引している相手が見えます。
この集計をしていないと、獲得にいくらまで使えるかの判断が狂います。

建設会社で反復が生まれる経路

経路発生する時期金額の規模受けやすさ
定期の点検と保守竣工の翌年から小さい高い
設備の更新竣工の数年後中程度高い
外装と屋根の修繕竣工の十年前後中程度高い
用途の変更に伴う改修随時中程度から大きい中程度
同じ発注者の別の拠点随時大きい中程度
発注者からの紹介随時大きい中程度

一回性に見える工事ほど、反復の設計が要る

新築の受注は、次の新築まで年数が空きます。その間に接点がないと、改修のときに他社に相談されます。

建設会社の場合、継続する売上と、一回きりの売上を分ける

同じ発注者からの二件目以降を、別枠で集計します。
この比率が、獲得に使える金額の上限を決めます。

建設会社の場合、継続する売上と、一回きりの売上を分ける

反復の価値を数字にするには、まず分けて数えることからです。

発注者を単位に集計し直す

工事の単位ではなく、発注者の単位で過去の受注を並べます。
同じ発注者からの累計と、初回からの年数が出ます。

三つに分ける

初回の受注。
同じ建物への二件目以降。
同じ発注者の別の建物。

この三つで、反復の構造が見えます。

発注者単位で過去の受注を分ける

区分数える単位見る数字判断に使う場面
初回の受注件数と金額獲得の経路集客の評価
同じ建物への追加工事件数と金額初回からの年数保守の設計
同じ発注者の別の建物件数と金額初回からの年数関係の深さ
紹介による受注件数と金額紹介元紹介の仕組み
途絶えた発注者件数と最終の年途絶えた理由接点の設計

数字は説明のための仮の値です。

累計の粗利で見る

売上ではなく粗利で集計します。
改修と修繕は、新築より粗利率が高いことがあります。
売上だけで見ると、反復の価値を過小に評価します。

年数で区切って比較する

過去十年分をまとめて見ると、初期の案件ほど累計が大きくなります。初回から五年、十年といった区切りで比較すると、経路ごとの差が見えます。

建設会社の場合、獲得にいくらまでかけられるかを、どう決めるか

初回の粗利ではなく、想定される累計の粗利から出します。
ただし、まだ起きていない反復を織り込みすぎると上限が膨らみます。

建設会社の場合、獲得にいくらまでかけられるかを、どう決めるか

獲得の上限を決めるとき、初回の粗利だけを使うと保守的になりすぎます。
一方で累計をそのまま使うと、根拠のない額になります。

実績のある反復だけを織り込む

過去の実績から、初回の受注のうち何割が五年以内に次の工事につながったかを出します。
その比率を掛けた額を上限の根拠にします。

工事の区分で反復の起きやすさが違う

工事の区分と、反復の起きやすさ

初回の工事次につながる時期次の工事の内容反復の起きやすさ
新築の建物数年後保守と設備の更新高い
大規模な改修十年前後次の改修中程度
小規模な修繕一年から数年別の箇所の修繕高い
用途の変更工事随時運用に伴う追加中程度
入札で受けた工事不定関係が続きにくい低い

上限を二段で持つ

初回の粗利だけで採算が合う上限を第一段に置きます。
反復を織り込んだ上限を第二段に置きます。

新しい経路を試すときは第二段で判断し、日常の運用は第一段で判断します。
この二段の持ち方にすると、無理のない範囲で投資ができます。

反復が起きない相手を見分ける

入札で受けた工事や、価格だけで選ばれた案件は、次につながりにくくなります。獲得の上限を全案件に一律で適用すると、実態と合いません。

取引が途絶えていく過程を、どう捉えるか

解約という形はなく、次の相談が来ないという形で途絶えます。
気づいたときには他社が入っています。

取引が途絶えていく過程を、どう捉えるか

建設会社には、契約の解約という概念がありません。
そのぶん、失われたことに気づきにくい構造があります。

途絶えたことが分からない

継続の契約がないため、相談が来なくなっても異常として検知されません。
三年経ってから、他社が改修を受けていたと知ることがあります。

途絶える原因

担当者の異動。
引き渡し後の対応の遅れ。
価格の折り合いがつかなかった一件。

このうち最も多いのが、担当者が変わったことによる関係の断絶です。

取引が途絶える原因と、気づくための手がかり

原因気づける手がかり対処の時期
発注者の担当者が異動した定期の連絡が返らない異動の直後
自社の担当営業が辞めた引き継ぎの記録がない退職時
引き渡し後の不具合対応が遅れた苦情の記録発生時
価格で他社に負けた一件があった失注の記録失注の直後
建物の保守を他社が受けた点検の記録がない点検の時期

最終の接触からの年数で管理する

発注者ごとに、最後に接触した年月を記録します。
一定の年数を超えた相手を、定期的に洗い出します。

自社の担当が辞めたときの引き継ぎ

営業が辞めると、その人が持っていた関係が消えます。
担当が変わるときに、発注者への挨拶を必ず行う運用にします。

途絶えた相手を、新規と同じ扱いにしない

一度取引のある相手は、まったくの新規より戻しやすい相手です。過去の実績と、そのときの担当者の記録があれば、接触の入口になります。

引き渡した後の接点を、誰が担うか

営業に任せると、新規の追いかけに時間を取られて止まります。
定期の接点は、仕組みで持ちます。

引き渡した後の接点を、誰が担うか

引き渡し後の関係の維持は、誰の仕事かが決まっていないことが多い領域です。

営業任せにすると続かない

営業は目の前の案件を追っています。
過去の発注者への定期の連絡は、優先順位が下がります。

点検を口実にする

竣工から一定の期間ごとに、点検の案内を出す仕組みを作ります。
点検そのものが売上にならなくても、接点として機能します。

引き渡し後の接点の設計を、項目ごとに見ていきます。
竣工後の定期点検の案内については、担う部署は工務、頻度は年に一度、きっかけは竣工からの経過年数。
施工の実績や技術の情報の送付については、担う部署は本社の集客、頻度は四半期、きっかけは定期。
担当者の変更時の挨拶については、担う部署は営業、頻度は随時、きっかけは人事異動。
建物の年数に応じた提案については、担う部署は営業と工務、頻度は数年ごと、きっかけは経過年数。
発注者の拠点の増減の把握については、担う部署は営業、頻度は年に一度、きっかけは定期の訪問。

本社が送る情報と、営業が行く場面を分ける

定期の情報の送付は本社が担い、動きが出たときだけ営業が訪問します。
すべてを営業に任せると、件数をこなせません。

点検の記録を、社内で共有する

工務が点検に行った記録が営業に届いていないことがあります。
点検時に聞いた話の中に、次の工事の兆しが含まれています。

発注者の側の担当者を複数押さえる

一人だけと関係を作っていると、その人が異動した時点で切れます。担当部署の複数の相手と面識を持つ形にします。

紹介を、仕組みとして生み出せるか

偶然に頼らない形にはできます。
ただし、頼む相手と時期を間違えると関係を損ないます。

紹介を、仕組みとして生み出せるか

建設会社にとって、紹介は最も確度の高い経路の一つです。

紹介が起きる場面

竣工の直後、満足度が高い時期。
同業の集まりや地域の会合。
設計事務所や不動産の関係者からの推薦。

このうち、仕組みにしやすいのは三つ目です。

発注者に直接紹介を頼むときの注意

引き渡しの直後は、まだ建物の評価が定まっていません。
使い始めて一定の期間が経ってから聞くほうが、実のある紹介になります。

紹介が生まれる経路と、働きかけの仕方を、項目ごとに見ていきます。
過去の発注者については、働きかけの内容は使用感の聞き取りの中で、時期は竣工から半年以降、注意することは直後に頼まない。
設計事務所については、働きかけの内容は実績と対応範囲の情報提供、時期は定期、注意することは仕事の取り合いにしない。
不動産と管理の会社については、働きかけの内容は対応できる工種の共有、時期は定期、注意することは条件を先に揃える。
同業と協力会社については、働きかけの内容は受けられない案件の融通、時期は随時、注意することは返礼の関係を作る。
金融機関と業界の団体については、働きかけの内容は会社の情報の提供、時期は定期、注意することは過度な期待をしない。

紹介の実績を記録する

誰からの紹介で何件受注したか。
これを記録していないと、どの経路を厚くすべきか判断できません。

紹介してもらった側の返礼

自社で受けられない案件を、紹介元に回す。
この往復があると、関係が続きます。
一方的に受け取るだけの関係は、数年で細ります。

紹介に依存しすぎない

紹介の比率が高いこと自体は良いことです。ただし、紹介元の会社の業績が落ちると自社の引合も落ちます。比率の推移を見ておきます。

生涯の価値を使うときに、間違えやすいこと

まだ起きていない反復を織り込んで上限を膨らませるのが、最も多い失敗です。
実績の比率を掛けてから使います。

生涯の価値を使うときに、間違えやすいこと

累計の価値という考え方は、使い方を誤ると危険な数字になります。

起きていない反復を前提にする

将来の改修や別拠点の工事を全額織り込むと、獲得の上限が大きくなります。
その額で獲得を進めて、反復が起きなければ回収できません。

全案件に同じ上限を適用する

入札で受けた案件と、指名で受けた案件では反復の起きやすさが違います。
一律の上限は実態と合いません。

累計の価値を使うときの誤りと、代わりにやることを、項目ごとに見ていきます。
将来の工事を全額織り込むについては、起きることは上限が膨らみ回収できない、代わりにやることは過去の実績の比率を掛ける。
全案件に同じ上限を使うについては、起きることは反復しない案件で赤字になる、代わりにやることは工事の区分ごとに分ける。
売上で累計を計算するについては、起きることは粗利の薄い工事を過大評価する、代わりにやることは粗利で計算する。
紹介の価値を入れないについては、起きることは経路の評価が過小になる、代わりにやることは紹介の実績を記録して入れる。
一度計算して固定するについては、起きることは実態と離れていく、代わりにやることは年に一度計算し直す。

資金の回収の時期を見る

反復は数年後に起きます。
その間、獲得に使った費用は回収されていません。
上限を厚くするときは、資金の余裕があるかを経営と確認します。

年に一度、計算し直す

反復の比率は、事業の状況で変わります。一度出した数字を固定すると、実態と離れます。

建設会社が引き渡し後の設計を組み立てる進め方

過去の受注を発注者の単位で並べ直すところからです。
反復の実績が分からないと、上限も接点の設計も決まりません。

建設会社が引き渡し後の設計を組み立てる進め方

すでにある取引の履歴から始めます。

引き渡し後の設計に着手する順番を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは過去十年の受注を発注者単位で集計する、関わる部署は経理と営業、期間の目安は一か月。
2については、やることは初回から五年以内の再受注の比率を出す、関わる部署は経理、期間の目安は二週間。
3については、やることは工事の区分ごとに反復の起きやすさを分ける、関わる部署は営業と工務、期間の目安は二週間。
4については、やることは獲得の上限を二段で設定する、関わる部署は経営、期間の目安は二週間。
5については、やることは竣工からの経過年数で発注者を並べる、関わる部署は工務、期間の目安は二週間。
6については、やることは定期の接点を誰が担うか決める、関わる部署は経営、期間の目安は二週間。
7については、やることは紹介の実績を記録する形を作る、関わる部署は営業、期間の目安は一か月。

最初の集計が最も重い

十年分の受注を発注者単位で名寄せする作業には時間がかかります。
社名の表記の揺れ、合併、担当部署の違い。
ここを飛ばすと、その後の数字がすべて曖昧になります。

反復の状態を確認する数字を、項目ごとに見ていきます。
発注者単位の累計粗利については、見る頻度は年に一度、分けて見る軸は初回の工事区分別、判断に使う場面は獲得の上限。
五年以内の再受注の比率については、見る頻度は年に一度、分けて見る軸は獲得の経路別、判断に使う場面は経路の評価。
最終接触からの年数については、見る頻度は四半期、分けて見る軸は発注者別、判断に使う場面は接点の対象。
点検の実施率については、見る頻度は四半期、分けて見る軸は竣工年別、判断に使う場面は保守の設計。
紹介による受注の件数と金額については、見る頻度は四半期、分けて見る軸は紹介元別、判断に使う場面は紹介の経路の厚み。
途絶えた発注者の数については、見る頻度は年に一度、分けて見る軸は途絶えた理由別、判断に使う場面は関係の維持の課題。

接点の設計は、小さく始める

すべての過去の発注者に同時に接触しようとすると、人手が足りません。
累計の粗利が大きい相手から順に、年に何件と決めて進めます。

記録を残す場所を一本化する

点検の記録は工務、営業の訪問記録は営業、紹介の記録は個人。
別々に置かれていると、次の判断に使えません。

経営が年に一度、構造を確認する

初回の受注と反復の比率がどう動いているか。
これは経営の判断に直結する数字です。
年に一度、経営の場で確認する形にします。

引き渡した後の関係の作り方で判断に迷う場合は、無料相談で現状の取引の履歴を一緒に整理するところから始められます。接点の設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。

よくある質問

建設会社で一件の受注の価値はどう計算しますか

初回の粗利だけでなく、同じ発注者からの追加工事と別拠点の工事を累計した粗利で見ます。ただし過去の実績から出した再受注の比率を掛けてから使ってください。

獲得にかけてよい金額の上限はどう決めますか

初回の粗利だけで採算が合う額と、反復を織り込んだ額の二段で持ってください。日常の運用は前者で判断し、新しい経路を試すときだけ後者を使います。

取引が途絶えたことにどう気づけばいいですか

建設会社には解約という形がないため、発注者ごとに最終の接触年月を記録してください。一定の年数を超えた相手を定期的に洗い出す形にすると、他社が入る前に動けます。

引き渡し後の接点は誰が担うべきですか

定期の情報の送付は本社が担い、動きが出たときだけ営業が訪問する形にしてください。すべてを営業に任せると、新規の追いかけに時間を取られて止まります。

紹介は仕組みにできますか

設計事務所や不動産の関係者との定期的な情報の共有は仕組みにできます。過去の発注者に頼む場合は、引き渡しの直後ではなく使い始めて半年以降にしてください。自社で受けられない案件を回す往復の関係も必要です。

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まとめ

  • 引き渡した建物には、その後も工事が発生します。改修と修繕と増築を合算すると、最初の一件の価値は大きく変わります
  • 同じ発注者からの二件目以降を、別枠で集計します。この比率が、獲得に使える金額の上限を決めます
  • 初回の粗利ではなく、想定される累計の粗利から出します。ただし、まだ起きていない反復を織り込みすぎると上限が膨らみます
  • 解約という形はなく、次の相談が来ないという形で途絶えます。気づいたときには他社が入っています
  • 営業に任せると、新規の追いかけに時間を取られて止まります。定期の接点は、仕組みで持ちます
  • 偶然に頼らない形にはできます。ただし、頼む相手と時期を間違えると関係を損ないます
  • まだ起きていない反復を織り込んで上限を膨らませるのが、最も多い失敗です。実績の比率を掛けてから使います
  • 過去の受注を発注者の単位で並べ直すところからです。反復の実績が分からないと、上限も接点の設計も決まりません