
引き渡しのあとに、点検、修繕、増改築、そして紹介という収入の経路が続きます。
建てた時点の粗利だけで獲得の上限を決めると、その分だけ低く見積もることになります。
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目次
目次
- 注文住宅で、建築の粗利だけを一組の価値としてはいけない理由
- 建物は引き渡しのあとも手が入る
- 引き渡しのあとに生まれる収入を、どう数えるか
- 点検と保守は引き渡し直後に決まる
- 紹介が、注文住宅で最も強い経路になる理由
- 同じ生活圏で情報が回る
- 注文住宅で、契約が流れるのはどの場面か
- 契約から着工までの間の解約
- 引き渡し後の収入を、獲得の上限にどう反映するか
- 基本の上限は建築の粗利で決める
- 住み始めたあとの接点を、誰が担うのか
- 定期の点検を接点として使う
- 紹介を、仕組みとして生み出すには
- 依頼する時期を決める
- 注文住宅の生涯価値を設計する手順
- 記録が分断されていることが最大の障害
- よくある質問
- まとめ
引き渡しのあとに、点検、修繕、増改築、そして紹介という収入の経路が続きます。
建てた時点の粗利だけで獲得の上限を決めると、その分だけ低く見積もることになります。
注文住宅で、建築の粗利だけを一組の価値としてはいけない理由
引き渡しのあとに、点検、修繕、増改築、そして紹介という収入の経路が続きます。
建てた時点の粗利だけで獲得の上限を決めると、その分だけ低く見積もることになります。
注文住宅は、一度建てたら終わりの取引に見えます。
実際には、引き渡しのあとが最も長い期間になります。
建物は引き渡しのあとも手が入る
定期の点検、設備の交換、外まわりの手入れ。
住み続ける限り、何らかの相談が発生します。
この相談を自社が受けるかどうかで、一組の価値が変わります。
数年後に増改築の相談が来る
家族の構成が変わると、間取りや設備の変更が必要になります。
建てた会社に相談が来るかどうかは、引き渡し後の関係で決まります。
紹介が最も大きい経路になりうる
住み心地に満足した家族は、周囲に話します。
地域が限られる事業では、この口伝の影響が大きくなります。
獲得の費用がかからない経路として、最も効率が高くなります。
注文住宅で一組の顧客から生まれる収入の種類
| 収入の種類 | 発生する時期 | 獲得費の追加 |
|---|---|---|
| 建築の粗利 | 契約から引き渡しまで | かかる |
| 定期の点検と保守 | 引き渡し後に継続 | かからない |
| 設備の交換と修繕 | 数年から十数年後 | かからない |
| 増改築と改修 | 十年前後から | かからない |
| 紹介による新規の家族 | 引き渡しの前後から | かからない |
引き渡しのあとに生まれる収入を、どう数えるか
経路ごとに、確定するまでの時間が違います。
一本の平均に集約すると、どの経路を強化すべきかが分からなくなります。
一組あたりの生涯の価値を1つの数字にしたくなります。
実務では、経路ごとに分けたほうが使えます。
点検と保守は引き渡し直後に決まる
保守の契約を結ぶかどうかは、引き渡しの時点でほぼ決まります。
確定度が高いので、見込みとして扱いやすい収入です。
修繕と増改築は年数で見る
引き渡しから何年後に、どういう相談が発生したか。
この分布を出すと、どの時期に接点を持つべきかが決まります。
接点がない期間が長いと、別の会社に相談されます。
紹介は発生源をたどる
紹介で入ってきた家族が、誰からの紹介かを記録します。
記録していないと、紹介が生まれやすい層の特徴が分かりません。
引き渡し後の収入の数え方
| 経路 | 出す数字 | 確定までの時間 |
|---|---|---|
| 定期の点検と保守 | 引き渡しに対する契約の率 | 引き渡し直後 |
| 設備の交換と修繕 | 引き渡しからの年数ごとの発生率 | 数年後から |
| 増改築と改修 | 引き渡しからの年数ごとの相談の率 | 十年前後から |
| 紹介 | 一組から生まれた紹介の件数 | 引き渡しの前後から |
| 保留から戻った家族 | 保留の層からの契約率 | 半年から数年 |
紹介が、注文住宅で最も強い経路になる理由
地域が限られるため、同じ生活圏の中で情報が回るからです。
一組の満足が、複数の新しい接点を生むことがあります。
商圏が限られる事業では、口伝の影響が相対的に大きくなります。
広告で届く範囲と、人のつながりで届く範囲が重なります。
同じ生活圏で情報が回る
子どもの学校、職場、近隣の関係。
同じ時期に家を検討している人が、身近にいます。
実際に建てた家を見せられることが、広告にはない材料になります。
見学会と紹介はつながっている
建てた家族の協力を得て見学会を行うと、その家族の知人が来ることがあります。
見学会は集客の手段であると同時に、紹介を生む場でもあります。
不満は同じ速さで広がる
満足が広がるのと同じ経路で、不満も広がります。
引き渡し後の対応が遅れると、紹介が止まるだけでなく、地域での評判が下がります。
注文住宅で紹介が生まれる関係
| 関係 | 紹介が生まれやすいか | 接点の作り方 |
|---|---|---|
| 近隣と地域のつながり | 生まれやすい | 見学会への招待 |
| 職場の同僚 | 生まれやすい | 建築中の様子の共有 |
| 子どもを通じた関係 | 生まれやすい | 引き渡し後の交流の場 |
| 親族 | 生まれやすい | 資金の相談の段階で接点がある |
| 以前に建てた家族の知人 | 中くらい | 数年後の点検の機会 |
注文住宅で、契約が流れるのはどの場面か
契約から着工までの間と、土地が決まらない期間の2つが中心です。
どちらも、進み方が止まっている期間に別の選択肢が入ります。
解約という言葉は、複数の異なる出来事を指しています。
それぞれ起きる時期も原因も違います。
契約から着工までの間の解約
打合せが長引き、想定した総額を超えたときに起きます。
資金の計画が固まらないまま契約に進んだ場合も同様です。
契約の前に、総額の幅と変動する要素を共有しておく必要があります。
土地が決まらないまま時間が過ぎる
建物の契約に進めないまま、土地を探す期間が延びます。
その間に、土地と建物を同時に扱う会社で決まることがあります。
引き渡し後の関係が切れる
点検の連絡が来ない、相談しても対応が遅い。
この状態が続くと、修繕も増改築も別の会社に行きます。
紹介も生まれなくなります。
注文住宅で契約が流れる場面
| 場面 | 主な原因 | 手前で打てる手 |
|---|---|---|
| 契約から着工までの解約 | 総額が想定を超えた | 契約前に総額の幅を共有する |
| 契約から着工までの解約 | 資金の計画が固まっていない | 事前の確認を早い段階で行う |
| 土地が決まらず流れる | 探す期間が長引いた | 接点を切らさない設計を持つ |
| 引き渡し後の関係が切れる | 点検と連絡の設計がない | 訪問の時期を決めて記録する |
| 紹介が生まれない | 満足の状態を把握していない | 引き渡し後に状況を確認する |
引き渡し後の収入を、獲得の上限にどう反映するか
建築の粗利で決める上限と、引き渡し後の収入を含めた上限を分けて持ちます。
最初から合算すると、資金繰りが合わなくなります。
引き渡し後の収入を含めれば、獲得に使ってよい金額は増えます。
ただしその収入は、まだ手元にありません。
基本の上限は建築の粗利で決める
日常の運用で使う上限は、建築部分の粗利から出します。
ここを超えて使い続けると、後の収入が予定どおりに入らなかったときに立て直せません。
引き渡し後の収入は別枠として扱う
保守の契約や増改築の見込みを織り込んだ上限は、別の枠として持ちます。
紹介が生まれやすい層を取りにいくときに使います。
紹介の価値を層ごとに見る
紹介が多く生まれる層と、生まれにくい層があります。
同じ獲得費でも、前者を取りにいく価値は高くなります。
建築の粗利と引き渡し後の収入で上限を分けるを、項目ごとに見ていきます。通常の枠については、上限の根拠は建築部分の粗利、使う場面は日常の獲得。拡張の枠については、上限の根拠は保守と増改築の見込み、使う場面は紹介が生まれやすい層を取る。試験の枠については、上限の根拠は年間予算のうち一定の割合、使う場面は新しい媒体や訴求の検証。紹介の枠については、上限の根拠は紹介から生まれた契約の粗利、使う場面は既存の家族への施策。回収の枠については、上限の根拠は保留の層からの復活の見込み、使う場面は再接触の仕組みの構築。
住み始めたあとの接点を、誰が担うのか
営業の担当のままにすると、新しい契約に時間を取られて接点が消えます。
点検やアフターの部門と、集客の部門で分担を決めます。
建てたときの担当が、引き渡し後も関係を保つ形が一般的です。
営業の評価が契約の棟数であれば、この形は続きません。
定期の点検を接点として使う
点検の訪問は、状況を確認する自然な機会になります。
このときに、困っていることや将来の予定を聞きます。
聞いた内容を集客の側に戻す経路を作ります。
相談の窓口を明示する
誰にどう連絡すればよいかが分からないと、相談そのものが起きません。
引き渡しのときに窓口を伝え、変わったときには知らせます。
記録を担当者個人に持たせない
点検の履歴や相談の内容が担当者の手元にあると、異動や退職で失われます。
部門で管理する形にします。
注文住宅で引き渡し後の接点を持つ担当の分担を、項目ごとに見ていきます。定期の点検の訪問については、持つ担当は点検やアフターの部門、頻度は決めた時期ごと。設備や住まいの情報提供については、持つ担当はマーケティング、頻度は季節ごと。修繕と交換の相談については、持つ担当は点検やアフターの部門、頻度は相談があったとき。増改築の相談については、持つ担当は営業または改修の部門、頻度は相談があったとき。紹介の依頼については、持つ担当は営業、頻度は満足が確認できた時期。
紹介を、仕組みとして生み出すには
依頼する時期と相手を決めることから始めます。
全員に一律で依頼すると、不満を持つ家族にも届いて逆効果になります。
紹介は、獲得費のかからない最も効率のよい経路です。
その割に、設計されていないことが多くあります。
依頼する時期を決める
引き渡しの直後は、暮らしがまだ始まっていません。
住み始めて季節が一巡し、不具合の有無が分かった時期が適しています。
点検の訪問の際に、状況とあわせて確認します。
満足の状態を確認してから依頼する
不満を持つ家族に紹介を依頼すると、関係が悪化します。
点検の記録があれば、依頼してよい相手が判別できます。
依頼の仕方と扱いを社内で統一する
紹介に対する謝礼の扱いは、表現や運用に注意が要る領域です。
社内の基準を決め、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
注文住宅で紹介を依頼する時期を、項目ごとに見ていきます。建築中については、紹介が生まれやすいかは生まれやすい、やることは現場の見学への招待を提案する。引き渡しの直後については、紹介が生まれやすいかは中くらい、やることは暮らしの立ち上げを支援する。住み始めて1年前後については、紹介が生まれやすいかは生まれやすい、やることは点検の訪問とあわせて確認する。数年後の点検の機会については、紹介が生まれやすいかは中くらい、やることは住み心地を聞いて依頼する。不具合の対応が続いている時期については、紹介が生まれやすいかは生まれない、やることは依頼しない。
注文住宅の生涯価値を設計する手順
引き渡し後の接点と収入を、経路ごとに数えられる状態にすることからです。
数えられないものは、獲得の上限にも反映できません。
生涯価値の設計は、計算の前に記録の整備から始まります。
注文住宅の生涯価値を設計する順番を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは一組の家族に紐づく取引を全部つなげる、期間の目安は4週間。
2については、やることは保守の契約率と修繕の発生率を実績から出す、期間の目安は3週間。
3については、やることは紹介の発生源を記録する形に変える、期間の目安は2週間。
4については、やることは確定度に応じた織り込みの比率を決める、期間の目安は2週間。
5については、やることは通常の枠と拡張の枠に分けて上限を設定する、期間の目安は2週間。
6については、やることは引き渡し後の接点の担当と頻度を決める、期間の目安は3週間。
記録が分断されていることが最大の障害
建築、点検、改修で別の仕組みを使っていると、一組の履歴がつながりません。
つながっていない状態では、修繕の発生率すら出せません。
統合する範囲は、顧客の識別ができる最小限で構いません。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
年間40棟のうち保守の契約が30件、5年後の継続が25件という構成なら、継続の収入は見込みやすい部類に入ります。
一方で紹介から生まれた契約が年に2棟なら、この経路を伸ばす余地が大きく残っています。
注文住宅の生涯価値と解約で見る数字を、項目ごとに見ていきます。
契約から着工までの解約の率については、頻度は毎月、判断の目安は事前の確認が効いているか。
保守の契約の率については、頻度は毎月、判断の目安は引き渡しに対する割合。
点検の訪問の実施率については、頻度は四半期、判断の目安は接点が維持されているか。
紹介から生まれた契約の棟数については、頻度は四半期、判断の目安は依頼の設計が効いているか。
修繕と増改築の相談の件数については、頻度は四半期、判断の目安は関係が続いているか。
将来の価値を理由に上限を上げすぎない
生涯価値を根拠に獲得費を上げると、短期の資金繰りが苦しくなります。
拡張の枠として分けて管理し、通常の上限は建築の粗利から動かしません。
一組あたりの価値の出し方が定まらない場合は、無料相談で現状の数字を一緒に整理するところから始められます。引き渡し後の接点ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
注文住宅は一度建てたら終わりなのに生涯価値を考える意味がありますか
定期の点検と保守、設備の交換と修繕、増改築、紹介という4つの経路で引き渡し後にも収入が生まれます。建築の粗利だけで上限を決めると、その分だけ低く見積もることになります。
紹介はなぜ注文住宅で効きやすいのですか
商圏が限られるため、同じ生活圏の中で情報が回ります。実際に建てた家を見せられることが広告にはない材料になります。ただし不満も同じ速さで広がります。
契約が流れるのはどの場面が多いですか
契約から着工までの間と、土地が決まらない期間です。前者は総額が想定を超えたときに起き、後者は探す期間が延びる間に他社で決まります。どちらも手前で打てる手があります。
引き渡しのあとの接点は誰が持つべきですか
営業の担当のままにすると新しい契約が優先され、接点が途切れます。定期の点検の訪問を接点として使い、点検の部門とマーケティングで分担してください。記録は部門で管理します。
紹介はいつ依頼すればいいですか
住み始めて季節が一巡し、不具合の有無が分かった時期が適しています。点検の記録があれば依頼してよい相手が判別できます。全員に一律で依頼すると不満を持つ家族にも届きます。
まとめ
- 引き渡しのあとに、点検、修繕、増改築、そして紹介という収入の経路が続きます。建てた時点の粗利だけで獲得の上限を決めると、その分だけ低く見積もることになります
- 経路ごとに、確定するまでの時間が違います。一本の平均に集約すると、どの経路を強化すべきかが分からなくなります
- 地域が限られるため、同じ生活圏の中で情報が回るからです。一組の満足が、複数の新しい接点を生むことがあります
- 契約から着工までの間と、土地が決まらない期間の2つが中心です。どちらも、進み方が止まっている期間に別の選択肢が入ります
- 建築の粗利で決める上限と、引き渡し後の収入を含めた上限を分けて持ちます。最初から合算すると、資金繰りが合わなくなります
- 営業の担当のままにすると、新しい契約に時間を取られて接点が消えます。点検やアフターの部門と、集客の部門で分担を決めます
- 依頼する時期と相手を決めることから始めます。全員に一律で依頼すると、不満を持つ家族にも届いて逆効果になります
- 引き渡し後の接点と収入を、経路ごとに数えられる状態にすることからです。数えられないものは、獲得の上限にも反映できません