
粗利から逆算します。
1件あたりの粗利と、その顧客が何回買うかが分かれば、かけられる金額が決まります。
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目次
目次
- 広告費の上限は、どう決めればいいのか
- 逆算の順番
- CACとCPAは、何が違うのか
- 含まれる範囲が違う
- 獲得単価が上がり続ける構造を、どう受け止めるか
- 市場全体が伸びている
- LTVを伸ばすとは、具体的に何をすることか
- 計算で確認する
- 回収期間を、どう考えればいいのか
- 回収期間の計算
- どの数字から見直せばいいのか
- 見直す順番
- 代理店と、どの数字で話せばいいのか
- 共有すべき数字
- 何から手をつければいいのか
- 見る数字を決める
- よくある質問
- まとめ
粗利から逆算します。
1件あたりの粗利と、その顧客が何回買うかが分かれば、かけられる金額が決まります。
広告費の上限は、どう決めればいいのか
粗利から逆算します。
1件あたりの粗利と、その顧客が何回買うかが分かれば、かけられる金額が決まります。
広告費の上限を予算がこれだけあるからで決めている企業があります。
それだと、増やしていいのか減らすべきなのかが判断できません。
逆算の順番
まず1件あたりの粗利を出します。
次に、その顧客が生涯でいくら使うかを出します。
そこから、かけられる獲得単価が決まります。
逆算の手順
| 順番 | 計算すること | 例(仮の値) |
|---|---|---|
| 1 | 売上単価 | 100,000円 |
| 2 | 原価を引いた粗利 | 40,000円 |
| 3 | 平均購入回数 | 2.5回 |
| 4 | LTV(粗利ベース) | 100,000円 |
| 5 | 許容CAC | 33,000円(LTVの3分の1) |
数字は説明のための仮の値です。
初回の粗利だけで見ると、上限が低くなる
1回目の粗利だけで広告費の上限を決めると、実際より低い数字になります。
2回目以降も買う商材なら、その分まで含めて計算します。
LTVとCACの比率
LTVがCACの3倍というのが、よく使われる目安です。ただしこれは業種や資金繰りによって変わります。回収までの期間が長い商材では、より慎重な比率が必要になります。
CACとCPAは、何が違うのか
CPAは広告費だけで割った数字、CACは営業やツールの費用も含めた数字です。
広告費だけで見ていると、実際のコストを見誤ります。
この2つが混同されていることがあります。
含まれる範囲が違う
CPAとCACの違い
| 指標 | 含む費用 | 使う場面 |
|---|---|---|
| CPA | 広告費のみ | 媒体ごとの比較 |
| CAC | 広告費+人件費+ツール費など | 事業としての採算 |
BtoBでは差が大きくなる
リードを取ってから商談、提案、契約まで人が動きます。
この人件費を含めないと、実際の獲得コストが分かりません。
BtoBでのCAC計算の例(仮の値)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 広告費 | 2,000,000円 |
| インサイドセールスの人件費 | 800,000円 |
| フィールドセールスの人件費 | 1,200,000円 |
| ツール費 | 200,000円 |
| 合計 | 4,200,000円 |
| 獲得した契約数 | 14件 |
| CAC | 300,000円 |
数字は説明のための仮の値です。
CPAだけで媒体を止めると、判断を誤る
CPAが高くても、その媒体から来た商談の成約率が高ければ、CACは低くなります。
逆にCPAが安くても、成約しなければCACは跳ね上がります。
両方を見る
媒体の比較にはCPA、事業の採算にはCAC。用途が違うので、両方を持ちます。
獲得単価が上がり続ける構造を、どう受け止めるか
市場全体で広告費が増え続けているため、単価の上昇は構造的です。
自社だけの努力で止められるものではありません。
CPAが上がってきたという相談は増えています。
これは個別の運用の問題だけではありません。
市場全体が伸びている
電通が2026年3月5日に発表した2025年の日本の広告費では、インターネット広告費が4兆459億円で前年比110.8%でした。
総広告費に占める構成比は50.2%となり、初めて過半数を超えています。
2025年の広告費(電通発表)
| 項目 | 金額 | 前年比 |
|---|---|---|
| 総広告費 | 8兆623億円 | 105.1% |
| インターネット広告費 | 4兆459億円 | 110.8% |
| マスコミ四媒体 | 2兆2,980億円 | 98.4% |
出稿が増えれば、入札は上がる
同じ枠を取り合う企業が増えれば、単価は上がります。
これは運用の巧拙とは別の話です。
打てる手は3つ
単価の上昇そのものは止められません。
できるのは、許容できる上限を上げるか、転換率を上げるか、別の経路を作るかです。
単価上昇への対応を、項目ごとに見ていきます。許容上限を上げるについては、やることはLTVを伸ばす。2回目以降の購入を増やす。転換率を上げるについては、やることはLPと商談プロセスを改善する。別の経路を作るについては、やることは指名検索・紹介・オウンドメディア。
LTVを伸ばすとは、具体的に何をすることか
2回目以降の購入を増やすことです。
新規の獲得単価が上がるほど、既存からの売上の重みが増します。
広告費の上限を上げる最も確実な方法は、LTVを伸ばすことです。
計算で確認する
LTVが伸びたときの許容CACの変化(仮の値)を、項目ごとに見ていきます。
1.0回については、LTV(粗利)は40,000円、許容CAC(LTVの3分の1)は13,300円。
1.5回については、LTV(粗利)は60,000円、許容CAC(LTVの3分の1)は20,000円。
2.0回については、LTV(粗利)は80,000円、許容CAC(LTVの3分の1)は26,600円。
2.5回については、LTV(粗利)は100,000円、許容CAC(LTVの3分の1)は33,000円。
数字は説明のための仮の値です。
購入回数が0.5回増えるだけで、上限が変わる
1.5回から2.0回に増えれば、許容CACは20,000円から26,600円になります。
この差があれば、これまで入札で負けていた枠が取れます。
新規獲得より、既存の維持のほうが安い
すでに接点のある顧客に再購入してもらうコストは、新規獲得より低くなります。
広告費が上がっている局面では、ここの重みが増します。
削られやすい領域でもある
2026年の予算意向の調査では、BtoCで削減対象の上位にCRM・リテンションが40.7%で入っています。LTVを伸ばすべき局面で、その施策が削られている構図です。
回収期間を、どう考えればいいのか
何か月で広告費を回収できるかを見ます。
LTVが大きくても、回収に2年かかるなら資金繰りが持ちません。
LTVとCACの比率だけでは、判断が足りません。
回収期間の計算
回収期間の考え方(仮の値)を、項目ごとに見ていきます。
CACについては、数値は33,000円。
初回の粗利については、数値は40,000円。
回収期間については、数値は1回目で回収完了。
別のケース:CACについては、数値は33,000円。
別のケース:初回の粗利については、数値は12,000円。
別のケース:月次の粗利については、数値は4,000円。
別のケース:回収期間については、数値は約8か月。
数字は説明のための仮の値です。
サブスクリプションでは、回収期間が長くなる
月額課金の商材では、獲得したその月に回収できません。
だから広告費を増やすほど、先に資金が出ていきます。
資金繰りが制約になる
LTV基準では投資できるのに、手元資金が持たないという状態が起きます。
広告費を増やす判断には、回収期間の確認が必要です。
健康食品やサプリメントで起きやすい
定期購入の商材では、広告費を先に払って継続で回収します。継続率が想定より低いと、回収できないまま費用だけが積み上がります。
どの数字から見直せばいいのか
解約率と継続率です。
ここが動けば、LTVも許容CACも自動的に変わります。
CACを下げる努力より、LTVを上げるほうが効くことがあります。
見直す順番
見直しの優先順位を、項目ごとに見ていきます。
1については、見る数字は2回目の購入率・継続率、効き方はLTVに直結する。
2については、見る数字は解約率、効き方はLTVに直結する。
3については、見る数字はリードから商談への転換率、効き方はCACに直結する。
4については、見る数字は商談から成約への転換率、効き方はCACに直結する。
5については、見る数字はLPのCVR、効き方はCPAに直結する。
6については、見る数字は媒体別のCPA、効き方は配分に使う。
下流から見る
広告のCPAは、最も下流の数字です。
その上流にある転換率と継続率のほうが、事業への影響が大きくなります。
2回目の継続率が、定期購入では全部を決める
初回で獲得しても、2回目に残らなければ広告費を回収できません。
この数字を上げることが、最も確実な改善になります。
解約しにくくして数字を作らない
解約の導線を分かりにくくすれば、一時的に継続率は上がります。ただし悪い評判が広がり、新規の獲得費用が上がります。差し引きで損をします。
代理店と、どの数字で話せばいいのか
CPAだけで話すと、媒体の最適化だけの議論になります。
CACと回収期間を共有すると、提案の質が変わります。
多くの場合、代理店が見ているのはCPAまでです。
その先の数字は、企業側しか持っていません。
共有すべき数字
代理店と共有する数字を、項目ごとに見ていきます。
1件あたりの粗利については、共有する理由は許容CACの根拠になる。
リードから成約への転換率については、共有する理由は質の判断ができる。
継続率・解約率については、共有する理由はLTVの前提になる。
回収期間については、共有する理由はどこまで攻めていいかが決まる。
許容CACの上限については、共有する理由は入札の判断に使える。
共有しないと、CPAを下げる方向にしか進まない
粗利を知らなければ、代理店はCPAを下げる提案しかできません。
その結果、質の低いリードが増えることがあります。
質のフィードバックを返す
どのリードが成約したかを媒体側に返せば、自動入札の精度が上がります。
拡張コンバージョンやオフラインCVインポートが、その仕組みです。
経営層の不満は、ここで解消する
代理店への不満で、経営層の最多は費用が高く成果に見合わないで56.3%という調査があります。CPAではなくCACと回収期間で話せば、この議論ができます。
何から手をつければいいのか
1件あたりの粗利を出すことからです。
ここが分からないと、広告費が高いのか安いのかを判断できません。
計算は難しくありません。
必要な数字を集めるところが手間になります。
着手の順番を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは1件あたりの粗利を出す、期間の目安は1週間。
2については、やることは平均購入回数・継続率を出す、期間の目安は2週間。
3については、やることはLTVを計算する、期間の目安は1週間。
4については、やることは許容CACを決める、期間の目安は1週間。
5については、やることは回収期間を確認する、期間の目安は1週間。
6については、やることは代理店に許容CACを共有する、期間の目安は1日。
見る数字を決める
見る数字を、項目ごとに見ていきます。
CACについては、見る頻度は毎月、目安の考え方は広告費以外も含めて計算する。
LTVについては、見る頻度は四半期、目安の考え方は購入回数と継続率から算出。
LTV/CAC比については、見る頻度は四半期、目安の考え方は3倍が一つの目安。
回収期間については、見る頻度は四半期、目安の考え方は資金繰りの制約と照らす。
2回目の継続率については、見る頻度は毎月、目安の考え方はLTVを動かす最大の要因。
月次で見るもの、四半期で見るもの
CACは月次で動きます。
LTVは四半期でないと精度が出ません。
頻度を分けます。
比率の目安は、自社で決める
LTV/CACが3倍というのは、一般的に使われる目安です。
資金繰りや成長段階によって、適切な水準は変わります。
自社の数字から上限を出せない場合は、無料相談で一緒に逆算するところから始められます。配分ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
CPAとCACの違いは何ですか
CPAは広告費だけで割った数字、CACは営業の人件費やツール費も含めた数字です。媒体の比較にはCPA、事業の採算にはCACを使います。BtoBでは差が大きくなります。
LTVとCACの比率はどれくらいが適切ですか
3倍が一つの目安としてよく使われます。ただし業種、資金繰り、成長段階によって適切な水準は変わります。回収期間と合わせて判断してください。
獲得単価が上がり続けています
市場全体でインターネット広告費が前年比110.8%で伸びており、構造的な上昇です。打てる手は、LTVを伸ばして許容上限を上げるか、転換率を上げるか、指名検索など別の経路を作るかです。
代理店に粗利を教える必要がありますか
教えなければ、代理店はCPAを下げる提案しかできません。その結果、質の低いリードが増えることがあります。許容CACを共有すると、提案の質が変わります。
どの数字から改善すべきですか
2回目の購入率と継続率です。ここが動けばLTVが変わり、許容CACも自動的に上がります。広告のCPAは最も下流の数字です。
まとめ
- 粗利から逆算します。1件あたりの粗利と、その顧客が何回買うかが分かれば、かけられる金額が決まります
- CPAは広告費だけで割った数字、CACは営業やツールの費用も含めた数字です。広告費だけで見ていると、実際のコストを見誤ります
- 市場全体で広告費が増え続けているため、単価の上昇は構造的です。自社だけの努力で止められるものではありません
- 2回目以降の購入を増やすことです。新規の獲得単価が上がるほど、既存からの売上の重みが増します
- 何か月で広告費を回収できるかを見ます。LTVが大きくても、回収に2年かかるなら資金繰りが持ちません
- 解約率と継続率です。ここが動けば、LTVも許容CACも自動的に変わります
- CPAだけで話すと、媒体の最適化だけの議論になります。CACと回収期間を共有すると、提案の質が変わります
- 1件あたりの粗利を出すことからです。ここが分からないと、広告費が高いのか安いのかを判断できません