BtoB SaaSの商談化率を上げる|引き渡しの設計を変える

リードの中身ではなく、引き渡しの工程で止まっていることが多くあります。
届いてから最初の接触までに何が起きているかを、先に見ます。
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目次
目次
- 商談化率が上がらないとき、どこで止まっているのか
- 工程ごとに分けて見る
- 引き渡しの速度は、どこまで効くのか
- 最初の接触が持つ意味
- インサイドセールスを挟むかどうかを、どう決めるのか
- 挟む価値が出る条件
- 無料トライアル経由のリードを、いつ人が引き取るのか
- 利用の深さで線を引く
- 営業に渡す情報を、どこまで揃えるのか
- 最初の接触で使う情報だけを前に出す
- 一度商談にならなかった相手を、どう戻すのか
- 理由ごとに扱いを分ける
- 商談化率を上げようとして、かえって下がる進め方
- 起きやすい3つの動き
- 引き渡しの設計は、どの順で直すのか
- 見る数字を決める
- よくある質問
- まとめ
リードの中身ではなく、引き渡しの工程で止まっていることが多くあります。
届いてから最初の接触までに何が起きているかを、先に見ます。
商談化率が上がらないとき、どこで止まっているのか
リードの中身ではなく、引き渡しの工程で止まっていることが多くあります。
届いてから最初の接触までに何が起きているかを、先に見ます。
商談化率が低いと分かったとき、多くの場合はリードの質の話になります。
ただし、質を変えなくても率が動く余地が工程の側に残っています。
問い合わせが届いてから、営業が電話をかけるまで。
この間に、通知、割り振り、確認、着手という複数の工程があります。
どれか1つが滞ると、率は下がります。
工程ごとに分けて見る
引き渡しの工程と、止まる原因
| 工程 | やること | 止まる原因 |
|---|---|---|
| 受信 | 問い合わせが記録される | フォームと管理の連携が切れている |
| 判定 | 渡すかどうかを決める | 条件が決まっておらず人が判断している |
| 割り振り | 担当を決める | 担当の決め方が属人的 |
| 通知 | 担当に知らせる | 通知先が個人のメールで埋もれる |
| 接触 | 電話やメールを送る | 他の業務が優先され後回しになる |
率を分母から見直す
商談化率の分母に、何を入れているかを確認します。
すべての問い合わせを分母に入れていると、採用の応募や営業の売り込みまで含まれます。
分母の定義が揺れていると、改善したかどうかも分かりません。
落ちている箇所は、記録を見れば特定できる
問い合わせの受信時刻と、最初の接触の記録時刻を並べます。この差の分布を出すと、どこで止まっているかが見えます。平均ではなく分布で見ます。平均が2時間でも、半数が10分で、残りが2日ということがあります。
引き渡しの速度は、どこまで効くのか
検討の初期ほど効きます。
情報収集の段階では複数社に同時に問い合わせているため、最初に接触した相手が基準になります。
BtoB SaaSの検討では、比較の対象として複数のサービスが並びます。
問い合わせも、同じ日に数社へまとめて送られることがあります。
最初の接触が持つ意味
最初に返答した相手の説明が、その後の比較の物差しになります。
後から接触した側は、先行した説明への反論から始めることになります。
同じ内容でも、伝わり方が変わります。
速度が効く入口と、効かない入口
入口ごとの、速度の効き方
| 入口 | 相手の状態 | 速度の効き方 |
|---|---|---|
| サービス名での検索から問い合わせ | 比較中 | 強く効く |
| 料金の問い合わせ | 候補を絞っている | 強く効く |
| 無料トライアルの申し込み | 自分で試している | 中程度 |
| 資料のダウンロード | 情報収集 | 弱い |
| 展示会での名刺交換 | 状況がまちまち | 当日中なら効く |
速度を上げる前に、判定を自動化する
速く接触するには、渡すかどうかの判定が自動で終わっている必要があります。
人が1件ずつ見て判断していると、判定の工程で必ず滞ります。
条件を決めて自動で振り分け、例外だけを人が見る形にします。
速度を上げても率が動かない場合
すでに数十分以内に接触できているなら、さらに速くしても効果は頭打ちです。その場合は、接触の速さではなく、最初の接触で何を伝えるかに原因があります。
インサイドセールスを挟むかどうかを、どう決めるのか
商談1件あたりの営業の工数と、リードの量で決まります。
訪問や提案の準備が重い商材ほど、挟む価値が出ます。
マーケティングから営業へ直接渡す形と、間に電話や面談で見極める役割を置く形があります。
どちらが良いかは、営業の1商談あたりの工数で変わります。
挟む価値が出る条件
商談1件の準備に時間がかかるほど、見極めの価値が上がります。
デモの準備や、業務に合わせた提案が必要な商材では特にそうです。
間に見極めの役割を置く判断
| 条件 | 直接渡す | 間に置く |
|---|---|---|
| 1商談あたりの営業工数 | 軽い | 重い |
| 月あたりのリード件数 | 少ない | 多い |
| リードの検討段階のばらつき | 小さい | 大きい |
| 対象の企業規模 | 単一 | 小規模から大企業まで混在 |
| 営業の人数 | 少数 | 一定規模 |
置いたときに起きる問題
見極めの役割を置くと、引き渡しの工程が1つ増えます。
工程が増えた分、滞る箇所も増えます。
どの条件で次に渡すかを、あらかじめ数字で決めておきます。
役割の評価指標を間違えない
架電件数や接触件数を目標にすると、質の低い商談を量産する動きが出ます。
引き渡した商談のうち、営業が案件として進めた比率を目標に置きます。
小さく始める方法
いきなり専任を置かず、一定の条件のリードだけを対象に、期間を区切って試す形があります。商談化率と、営業側の受け入れの手応えを見てから広げます。
無料トライアル経由のリードを、いつ人が引き取るのか
申し込み時点ではなく、利用の深さが一定に達した時点です。
申し込み直後に全件へ接触すると、工数の大半が試すだけの層に消えます。
自分で試してから決める流れと、営業の説明を受けて決める流れが、同じ事業のなかに並んでいます。
このとき難しいのは、どの時点で人が入るかの線引きです。
利用の深さで線を引く
初期設定を終えたか。
実際のデータを入れたか。
同じ企業から複数の担当者が使い始めたか。
このあたりが、検討が本格化した合図になります。
トライアル中の行動と、引き取りの判断
| 行動 | 示していること | 人が入るか |
|---|---|---|
| 登録しただけ | 関心の段階 | 入らない |
| 初期設定を完了 | 試す意思がある | 案内のみ |
| 自社のデータを投入 | 業務での検証を始めた | 入る |
| 複数の担当者が利用 | 社内で共有が始まった | 入る |
| 利用が止まって数日経過 | 検証が止まった | 理由の確認で入る |
早く入りすぎたときの損失
登録直後の全件に電話をかけると、その大半は検討に至りません。
工数を消費するだけでなく、相手にとっても早すぎる接触になります。
自分で試したい層にとっては、接触そのものが離脱の理由になります。
遅く入りすぎたときの損失
利用が止まってから連絡しても、すでに別の候補に移っていることがあります。
利用が止まった時点を検知して、その日のうちに理由を聞く形を作ります。
大企業向けは、線引きを別に置く
大企業では、現場の担当者が試していても、決裁は別の経路で進みます。利用の深さだけで判断すると、社内の検討が進んでいることに気づけません。企業の属性が対象に合う場合は、利用が浅くても早めに接触する例外を置きます。
営業に渡す情報を、どこまで揃えるのか
最初の一言が決まる程度までです。
情報を大量に渡しても読まれず、何を話すかが決まる形に整理されていることが効きます。
引き渡しの品質は、情報の量ではなく、使える形になっているかで決まります。
最初の接触で使う情報だけを前に出す
引き渡し時に揃える情報を、項目ごとに見ていきます。
きっかけについては、内容はどの入口から来たか、使われ方は話の切り出し方が決まる。
関心の対象については、内容は見たページや資料の主題、使われ方は何を説明するかが決まる。
企業の属性については、内容は規模と業種、使われ方は提案の型が決まる。
検討の段階については、内容は比較中か情報収集か、使われ方は急ぐかどうかが決まる。
過去の接点については、内容は以前の問い合わせや失注、使われ方は同じ説明の繰り返しを避ける。
利用データを渡す場合の粒度
トライアル経由のリードでは、プロダクトの利用状況が最も有力な情報です。
ただし、操作ログをそのまま渡しても使われません。
どこまで進んだか、どこで止まったか、という2点に要約します。
過去の接点を必ず付ける
同じ企業から半年前に問い合わせがあり、そのとき失注していることがあります。
この記録がないまま接触すると、同じ説明を繰り返すことになります。
企業単位で接点の履歴をまとめておきます。
揃えられない情報は無理に集めない
フォームの入力項目を増やすと、件数が落ちます。入力で取るのは判定に必要な最小限にして、残りは行動の記録と企業情報から補います。
一度商談にならなかった相手を、どう戻すのか
理由ごとに戻す時期を変えます。
時期が合わなかった相手と、対象が合わない相手では、扱いを分ける必要があります。
商談にならなかったリードは、そのまま放置されがちです。
BtoB SaaSでは、検討の再開が起きやすいという性質があります。
契約している別のサービスの更新時期や、組織の変更がきっかけになります。
理由ごとに扱いを分ける
商談にならなかった理由と、その後の扱いを、項目ごとに見ていきます。
今は時期ではないについては、再検討の可能性は高い、戻し方は時期を聞いて再接触の予定を置く。
予算が確保できないについては、再検討の可能性は中程度、戻し方は期の変わり目に再接触。
他社を利用中については、再検討の可能性は中程度、戻し方は更新時期に合わせて接触。
社内の合意が取れないについては、再検討の可能性は中程度、戻し方は判断材料になる情報を送る。
対象の規模や業種が合わないについては、再検討の可能性は低い、戻し方は配信の対象から外す。
育成を、送信の本数で測らない
メールを何通送ったかは、成果と関係がありません。
再度商談になった件数と、そこからの受注額で評価します。
対象外だった相手を、入口の設計に戻す
対象の規模や業種が合わないという理由が一定数を超えたら、育成ではなく配信の設定を見直します。
戻す努力をするより、入口で絞るほうが効率が良い領域です。
失注の記録を、営業に負担をかけずに取る
理由の記録が営業の手間になると、記録されなくなります。選択肢を5つ程度に絞り、選ぶだけで終わる形にします。
商談化率を上げようとして、かえって下がる進め方
分母を絞ることで数字だけを良くする動きです。
率は上がりますが、商談の絶対数が減り、受注も減ります。
商談化率は、率であるがゆえに操作しやすい指標です。
改善の方向を間違えると、事業の数字は悪化します。
起きやすい3つの動き
有効リードの条件を厳しくして、分母を減らす。
営業が確実に案件にできる相手だけを渡す。
商談の定義を緩めて、分子を増やす。
どれも率は上がります。
率だけが動いたときの見分け方を、項目ごとに見ていきます。
上昇については、商談数は横ばい、新規契約額は横ばい、起きていることは分母を絞っただけ。
上昇については、商談数は増加、新規契約額は増加、起きていることは引き渡しが改善している。
上昇については、商談数は減少、新規契約額は減少、起きていることは対象を絞りすぎている。
横ばいについては、商談数は増加、新規契約額は増加、起きていることは量が増えている。
上昇については、商談数は増加、新規契約額は横ばい、起きていることは商談の定義が緩んでいる。
率と一緒に絶対数を必ず置く
商談化率だけを目標にすると、分母を絞る動きが必ず出ます。
商談数と新規契約額を並べて置きます。
3つを同時に見て、初めて改善したかどうかが分かります。
商談の定義を固定する
何をもって商談とするかを、期の途中で変えないことです。定義が緩むと、率の改善が数字の上だけで起きます。
引き渡しの設計は、どの順で直すのか
受信から最初の接触までの時間を測るところからです。
測らずに施策を打つと、効いたかどうかが分かりません。
引き渡しの改善は、仕組みを作る前に現状を測る作業から始まります。
引き渡しを直す手順を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは受信から初回接触までの時間の分布を出す、期間の目安は1週間。
2については、やることは商談化率の分母と、商談の定義を確定する、期間の目安は1週間。
3については、やることは渡す条件を決めて判定を自動化する、期間の目安は3週間。
4については、やることは割り振りと通知の経路を一本化する、期間の目安は2週間。
5については、やることは引き渡し時に揃える情報の項目を決める、期間の目安は2週間。
6については、やることは失注理由の選択肢を決めて記録を義務化する、期間の目安は1週間。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
月300件の問い合わせのうち有効リードが120件、商談化が36件なら、商談化率は30%です。
初回接触までの時間を2日から1時間に短縮して商談化率が36%になれば、商談は7件増えます。
引き渡しの健全さを見る数字と頻度を、項目ごとに見ていきます。
初回接触までの時間の中央値については、見る頻度は毎週、何のために見るかは工程が滞っていないか。
24時間以内の接触率については、見る頻度は毎週、何のために見るかは例外がどれだけ出ているか。
入口別の商談化率については、見る頻度は毎月、何のために見るかはどの入口で落ちているか。
商談数と新規契約額については、見る頻度は毎月、何のために見るかは率だけが動いていないか。
失注理由の内訳については、見る頻度は毎月、何のために見るかは入口の設計に戻すべきか。
再接触からの商談数については、見る頻度は四半期、何のために見るかは育成が機能しているか。
工程を減らすことを優先する
新しい仕組みを足すより、工程を1つ減らすほうが速度に効きます。
判定、割り振り、通知のどれかを自動化できないかを先に検討します。
営業側の受け入れ体制も同時に直す
引き渡しを速くしても、営業側が受け取れる状態になっていなければ変わりません。
誰が何時間以内に対応するかを決めて、対応の記録を残す形にします。
引き渡しのどこで止まっているか分からない場合は、無料相談で現状の流れを見てもらうところから始められます。獲得から商談までの設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
商談化率を上げるには、まず何をすればいいですか
受信から初回接触までの時間の分布を出してください。平均ではなく分布で見ると、どこで滞っているかが分かります。質の改善より先に、工程の改善で動く余地が残っていることが多くあります。
インサイドセールスは置いたほうがいいですか
1商談あたりの営業工数が重く、リードの検討段階にばらつきがある場合に価値が出ます。工程が1つ増えるため、次に渡す条件を数字で決めてから置いてください。
無料トライアルの申し込み全件に営業が接触すべきですか
工数の大半が試すだけの層に消えます。初期設定の完了や自社データの投入といった利用の深さで線を引き、対象の規模が大きい企業だけ例外として早めに接触する形が現実的です。
商談にならなかったリードは捨てていいですか
理由によります。時期や予算が理由なら再検討の可能性が残ります。対象の規模や業種が合わない場合は育成ではなく、配信の対象から外すほうが効率的です。
商談化率が上がったのに受注が増えません
分母を絞ったか、商談の定義が緩んだ可能性があります。率と一緒に商談数と新規契約額を並べて見てください。3つを同時に見ないと、改善したかどうかは判定できません。
まとめ
- リードの中身ではなく、引き渡しの工程で止まっていることが多くあります。届いてから最初の接触までに何が起きているかを、先に見ます
- 検討の初期ほど効きます。情報収集の段階では複数社に同時に問い合わせているため、最初に接触した相手が基準になります
- 商談1件あたりの営業の工数と、リードの量で決まります。訪問や提案の準備が重い商材ほど、挟む価値が出ます
- 申し込み時点ではなく、利用の深さが一定に達した時点です。申し込み直後に全件へ接触すると、工数の大半が試すだけの層に消えます
- 最初の一言が決まる程度までです。情報を大量に渡しても読まれず、何を話すかが決まる形に整理されていることが効きます
- 理由ごとに戻す時期を変えます。時期が合わなかった相手と、対象が合わない相手では、扱いを分ける必要があります
- 分母を絞ることで数字だけを良くする動きです。率は上がりますが、商談の絶対数が減り、受注も減ります
- 受信から最初の接触までの時間を測るところからです。測らずに施策を打つと、効いたかどうかが分かりません