
契約した後です。
商談まで進み受注まで至った顧客が、数か月で解約する形で質の問題が表に出ます。
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目次
目次
- BtoB SaaSでリードの質が問題になるのは、どの時点か
- 質の判定が遅れる構造
- 件数の目標が引き起こす副作用は何か
- 件数を作りに行くときの典型的な動き
- 質を、どの段階の数字で定義するのか
- 第1段階は、営業が案件にできるか
- 獲得の入口ごとに、質はどれだけ違うのか
- 無料トライアルの扱い
- スコアリングは、どこまで作ると使えるのか
- 最初に置くべき条件
- 定義を営業と揃えるには、何を決めるのか
- 差し戻しの理由を集計できる形にする
- 質を上げると件数が減る局面を、どう扱うのか
- 移行期の指標の置き方
- 質の定義づくりは、どこから着手するのか
- 見る数字を決める
- よくある質問
- まとめ
契約した後です。
商談まで進み受注まで至った顧客が、数か月で解約する形で質の問題が表に出ます。
BtoB SaaSでリードの質が問題になるのは、どの時点か
契約した後です。
商談まで進み受注まで至った顧客が、数か月で解約する形で質の問題が表に出ます。
リードの質という言葉は、多くの場合、商談にならない問い合わせのことを指します。
BtoB SaaSでは、それより遅い時点で質の問題が現れます。
契約した顧客が、想定した使い方をせず、短い期間で解約します。
獲得の数字は達成され、収益は積み上がりません。
このとき、質の悪化は数か月前の施策に原因があります。
質の判定が遅れる構造
一回性の商材なら、受注した時点で質の良し悪しが確定します。
継続課金の事業では、受注は入口にすぎません。
定着して初めて、その獲得が正しかったと言えます。
質の悪さが表に出るまでの時間差
| 段階 | 何が起きるか | 施策からの時間差 |
|---|---|---|
| 問い合わせ | 件数は増える | 即時 |
| 商談化 | 営業が案件にできない | 数日から数週間 |
| 受注 | 契約は取れる | 1か月から数か月 |
| 利用開始 | 使われない機能ばかり試される | 契約から1か月 |
| 解約 | 短期で離脱する | 契約から3か月以降 |
早く気づける指標を置く
解約まで待つと、判断が半年遅れます。
契約後の初期の利用状況を、質の代理指標として見ます。
初期設定を終えたか、想定した機能を使い始めたか、複数の担当者が触っているか。
このあたりは契約から数週間で分かります。
質の議論を、感覚から数字に移す
営業側から質が悪いという声が上がったとき、多くの場合その根拠は個別の案件の印象です。どの入口から来た、どんな条件のリードが、どの段階で落ちているのか。これを数字で並べるところから始めます。
件数の目標が引き起こす副作用は何か
ハードルの低い獲得に寄ります。
件数は増えて単価も下がりますが、商談化率と定着率が同時に落ちます。
件数の目標は、達成の方法が分かりやすいという性質があります。
配信を広げるか、入力項目を減らすか、無料で配る資料を増やすか。
どれも件数には効きます。
件数を作りに行くときの典型的な動き
件数を作りにいく手段と、定着への跳ね返り
| 手段 | 件数への効果 | 質への影響 |
|---|---|---|
| 配信対象を広げる | 大きく増える | 対象外の企業が混ざる |
| 入力項目を減らす | 増える | 検討度の低い層が増える |
| 資料の本数を増やす | 増える | 情報収集だけの層が増える |
| 無料トライアルの条件を緩める | 増える | 試すだけで終わる層が増える |
| 値引きを前面に出す | 増える | 価格で選ぶ層が増え解約が早まる |
値引きで取った顧客の、後の動き
価格を理由に契約した顧客は、価格を理由に離れます。
契約時点では良い数字に見えるので、施策としては成功に見えます。
残存率を獲得月ごとに並べたときに、初めて差が出ます。
件数目標そのものは悪くない
件数が目標から外れると、今度は新しい層を試す動きが止まります。
確実に取れる層にしか出さなくなり、成長が鈍ります。
件数を残したまま、質の条件を同時に置くのが現実的な形です。
副作用を測る仕組みを先に作る
件数の目標を置くなら、質の悪化に気づく仕組みを同時に作ります。入口ごとの商談化率と、獲得月ごとの残存率。この2つを定例で並べる状態にしておきます。
質を、どの段階の数字で定義するのか
商談化と、契約後の定着の2段階で定義します。
商談化だけでは、短期で解約する顧客を良質と判定してしまいます。
リードの質を1つの数字で表そうとすると、必ずどちらかが抜けます。
2段階に分けて定義します。
第1段階は、営業が案件にできるか
営業が受け取って、案件として進められるかどうか。
ここが第1段階です。
判定は営業が行い、理由を記録します。
第2段階は、契約後に定着するか
契約から一定期間が経った時点で、使われているかどうか。
ここが第2段階です。
判定はプロダクトの利用データで行います。
質を測る2段階の指標
| 段階 | 指標 | 判定の主体 | 分かる時期 |
|---|---|---|---|
| 第1段階 | 商談化率 | 営業 | 数日から数週間 |
| 第1段階 | 商談の失注理由 | 営業 | 1か月以内 |
| 第2段階 | 初期設定の完了率 | 利用データ | 契約から数週間 |
| 第2段階 | 3か月後の継続率 | 利用データと契約 | 契約から3か月 |
| 第2段階 | 上位プランへの移行率 | 契約データ | 契約から半年 |
2段階の間にずれが出たとき
商談化率は高いのに定着率が低い入口があります。
営業が話を進めやすい相手と、プロダクトが合う相手が違っている状態です。
この場合、営業の提案の仕方か、訴求の内容に原因があります。
定義を数字にしないと運用できない
質が良いという言葉のままでは、施策の評価ができません。商談化率が何%以上、3か月後の継続率が何%以上、という形まで落とします。その基準は、現在の実績の中央値から始めて構いません。
獲得の入口ごとに、質はどれだけ違うのか
入口によって、検討の段階がまるで違います。
同じ問い合わせ1件として数えると、実態を見誤ります。
BtoB SaaSの獲得の入口は、検討の段階によって大きく分かれます。
入口の名前ではなく、その相手が何を知りたい状態にあるかで整理します。
入口ごとの検討段階と、扱い方
| 入口 | 相手の状態 | 質の傾向 | 扱い方 |
|---|---|---|---|
| サービス名での検索 | 導入を検討中 | 高い | 最優先で対応 |
| 料金や比較の検索 | 候補を絞っている | やや高い | 条件を先に提示 |
| 課題名での検索 | 解決策を探している | 中程度 | 情報提供から入る |
| 資料のダウンロード | 情報収集の段階 | 低い | 育成に回す |
| 展示会での名刺交換 | 状況がまちまち | 幅が大きい | その場で段階を確認 |
無料トライアルの扱い
無料トライアルからの申し込みは、件数としては多く出ます。
ただし、試すだけで終わる層と、本格的に検証する層が混ざります。
申し込み時点ではなく、トライアル中の利用の深さで分けます。
入口を統合して平均を出さない
全体の商談化率という1つの数字を追いかけると、入口の構成が変わっただけで数字が動きます。
施策の良し悪しと、構成比の変化が区別できません。
入口ごとに率を並べたうえで、全体を見ます。
質の低い入口を切り捨てない
資料のダウンロードは、その時点では検討が始まっていないだけです。半年後に検討に入ることがあります。切り捨てるのではなく、すぐ営業に渡す対象から外して、育成の対象にします。
スコアリングは、どこまで作ると使えるのか
条件を5つから7つに絞った単純な形までです。
細かく作り込むほど運用されなくなり、定義の更新も止まります。
リードのスコアリングは、仕組みとして作り込むほど使われなくなる傾向があります。
理由は、点数の根拠が説明できなくなるからです。
最初に置くべき条件
企業の属性と、検討の行動と、2つに分けて条件を置きます。
属性は、対象の規模や業種に合っているか。
行動は、価格のページを見たか、比較の資料を見たか、複数回訪れたか。
最初に置く条件の例を、項目ごとに見ていきます。
属性については、条件は従業員規模が対象に合う、判定に使うものは入力フォームか企業情報。
属性については、条件は業種が対象に合う、判定に使うものは入力フォームか企業情報。
属性については、条件は役職が決裁に近い、判定に使うものは入力フォーム。
行動については、条件は価格や導入の流れのページを見た、判定に使うものはサイトの行動データ。
行動については、条件は複数の担当者が同じ企業から訪問、判定に使うものは企業単位の行動データ。
行動については、条件はトライアルで初期設定まで進んだ、判定に使うものはプロダクトの利用データ。
点数より、渡す条件を決める
合計点で並べるより、どの条件が揃ったら営業に渡すかを決めるほうが運用できます。
属性の条件を満たし、かつ行動の条件を1つ以上満たす、といった形です。
理由が説明できるので、営業側も納得しやすくなります。
企業単位で見る
BtoB SaaSでは、同じ企業から複数の担当者が別々に問い合わせることがあります。
個人単位で数えると、1件の案件が複数のリードに分かれます。
企業単位でまとめてから判定します。
定義の見直し時期を決めておく
スコアの条件は、プロダクトの機能追加や価格改定で合わなくなります。半年に一度、条件ごとの商談化率を並べて見直す時期を決めておきます。
定義を営業と揃えるには、何を決めるのか
渡す条件と、受け取った後の対応の期限と、差し戻しの手順です。
この3つが決まっていないと、質の議論が押しつけ合いになります。
質の議論がこじれる原因の多くは、定義の不在です。
何を渡すかだけでなく、渡した後をどうするかまで決めます。
引き渡しで取り決める内容を、項目ごとに見ていきます。
渡す条件については、決めることはどの条件が揃ったら渡すか、決めないと起きることは渡す基準が人によって変わる。
対応の期限については、決めることは何時間以内に接触するか、決めないと起きることは放置され機会を失う。
差し戻しについては、決めることは条件に合わない場合の戻し方、決めないと起きることは質の悪いリードが埋もれる。
差し戻しの理由については、決めることは何を選択肢として置くか、決めないと起きることは理由が集計できない。
再送の条件については、決めることは育成後に再度渡す基準、決めないと起きることは同じリードが二重に扱われる。
差し戻しの理由を集計できる形にする
自由記述で理由を書かせると、集計ができません。
対象規模が合わない、時期が合わない、予算がない、競合で決まっている。
このような選択肢を用意して、必ず選ばせます。
差し戻しの数字を、施策の評価に戻す
差し戻しの理由別の件数を、入口ごとに並べます。
特定の入口から、対象規模が合わないという理由が集中していれば、配信の設定に原因があります。
合意の場を定例にする
定義は一度決めて終わりにはなりません。月に一度、差し戻しの理由と、商談化率と、定着率を並べて確認する場を作ります。この場があると、質の話が感覚の議論に戻りません。
質を上げると件数が減る局面を、どう扱うのか
一定期間は件数の目標を止めて、金額の指標に置き換えます。
件数と質を同時に追わせると、現場は件数を優先します。
質の条件を厳しくすると、有効リードの件数は必ず減ります。
このとき件数の目標をそのままにすると、定義だけが形骸化します。
移行期の指標の置き方
質の改善に取り組む期間の指標を、項目ごとに見ていきます。
最初の1か月については、主に見る指標は定義の運用ができているか、件数目標の扱いはいったん止める。
2か月目から3か月目については、主に見る指標は有効リードあたりの商談化率、件数目標の扱いは参考値にする。
4か月目以降については、主に見る指標は有効リードからの新規契約額、件数目標の扱いは金額の目標に戻す。
半年後については、主に見る指標は獲得月別の3か月継続率、件数目標の扱いは質の基準を見直す。
金額の指標に置き換える
有効リード1件が、平均でいくらの新規契約額につながっているか。
これを出しておくと、件数が減っても金額で評価できます。
数字は説明のための仮の値です。
有効リード200件から20件受注し、平均月額が15万円なら、1件あたりの期待額は月1万5千円です。
件数が減ったまま戻らない場合
質の条件を厳しくしても、金額が回復しないことがあります。このときは、対象としている市場そのものが狭い可能性があります。条件を戻すのではなく、対象を別のセグメントに広げる検討に移ります。
質の定義づくりは、どこから着手するのか
入口ごとの商談化率と、獲得月ごとの継続率を並べるところからです。
現状が見えていないと、どこに基準を置くかが決められません。
定義を先に決めてしまうと、現状から離れた基準になります。
まず並べて、その分布から基準を置きます。
定義づくりの進め方を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは過去12か月のリードを入口ごとに分類する、期間の目安は2週間。
2については、やることは入口ごとの商談化率と失注理由を集計する、期間の目安は2週間。
3については、やることは獲得月ごとの3か月継続率を並べる、期間の目安は1週間。
4については、やることは有効リードの条件を5から7個に絞って決める、期間の目安は2週間。
5については、やることは差し戻しの手順と理由の選択肢を決める、期間の目安は1週間。
6については、やることは月次で確認する場を設定する、期間の目安は1週間。
見る数字を決める
質の管理では、入口ごとに分けて見ることが前提になります。
全体の平均だけを追うと、構成比の変化と施策の効果が区別できません。
質の管理で追いかける数字を、項目ごとに見ていきます。
入口別の有効リード数については、見る頻度は毎週、何のために見るかは量の進捗。
入口別の商談化率については、見る頻度は毎月、何のために見るかは入口の質が落ちていないか。
差し戻し理由の内訳については、見る頻度は毎月、何のために見るかはどの条件で外れているか。
有効リードあたりの新規契約額については、見る頻度は毎月、何のために見るかは金額として成立しているか。
獲得月別の3か月継続率については、見る頻度は四半期、何のために見るかは定着しているか。
上位プランへの移行率については、見る頻度は四半期、何のために見るかは想定した層を取れているか。
定義の変更は、過去にも適用する
有効リードの定義を期の途中で変えると、前後の比較ができなくなります。
変えるなら、過去のデータも新しい定義で再集計します。
再集計の手間を考えると、定義の変更は期の区切りに合わせるのが現実的です。
最初から完璧な定義を目指さない
条件は、運用しながら合わなくなります。
半年ごとに見直す前提で、まず動かせる形にします。
リードの質の基準づくりで判断に迷う場合は、無料相談で現状の数字を一緒に整理するところから始められます。獲得の入口ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
リードの質が悪いと営業から言われます。何から確認すればいいですか
入口ごとの商談化率と、差し戻しの理由の内訳を集計してください。特定の入口に理由が集中していれば、配信の設定や訴求の内容に原因があります。感覚の議論のままでは打ち手が決まりません。
BtoB SaaSでは、受注すれば質は良かったと判断していいですか
継続課金の事業では受注は入口にすぎません。短期で解約する顧客を獲得していても、受注の数字だけは良く見えます。獲得月ごとの3か月継続率まで見て判定してください。
スコアリングはどこまで作り込むべきですか
条件を5つから7つに絞った単純な形までです。合計点で並べるより、どの条件が揃ったら営業に渡すかを決めるほうが運用されます。理由が説明できる形にしてください。
資料のダウンロードは質が低いので止めるべきですか
止める必要はありません。検討が始まっていないだけで、半年後に検討に入ることがあります。すぐ営業に渡す対象から外し、育成の対象として別に管理してください。
質を上げると件数が減ります。目標はどうすればいいですか
移行期は件数の目標をいったん止め、有効リードあたりの新規契約額という金額の指標に置き換えてください。件数と質を同時に追わせると、現場は件数を優先します。
まとめ
- 契約した後です。商談まで進み受注まで至った顧客が、数か月で解約する形で質の問題が表に出ます
- ハードルの低い獲得に寄ります。件数は増えて単価も下がりますが、商談化率と定着率が同時に落ちます
- 商談化と、契約後の定着の2段階で定義します。商談化だけでは、短期で解約する顧客を良質と判定してしまいます
- 入口によって、検討の段階がまるで違います。同じ問い合わせ1件として数えると、実態を見誤ります
- 条件を5つから7つに絞った単純な形までです。細かく作り込むほど運用されなくなり、定義の更新も止まります
- 渡す条件と、受け取った後の対応の期限と、差し戻しの手順です。この3つが決まっていないと、質の議論が押しつけ合いになります
- 一定期間は件数の目標を止めて、金額の指標に置き換えます。件数と質を同時に追わせると、現場は件数を優先します
- 入口ごとの商談化率と、獲得月ごとの継続率を並べるところからです。現状が見えていないと、どこに基準を置くかが決められません