
収益が契約時点ではなく、翌月以降に分割して立つからです。
期内に何件取ったかという数字は、その期の売上とも、翌期の売上とも一致しません。
なお、TimeValue株式会社では、広告運用・クリエイティブ制作・LP改善・データ分析・AI導入までを一括で引き受けるWebマーケティング支援「KAIZEN」を提供しています。
現在、オンラインの無料マーケティング診断を毎月10社限定で実施中です。いまの数字を見ながら、どこから直すのが早いかを一緒に整理します。
今月の無料診断は残り4社です
広告からLPまで、まとめて見ます。オンラインで30分から対応しています。
目次
目次
- BtoB SaaSのKPIが、件数の目標だけでは足りないのはなぜか
- 件数目標が、事業の実態とずれる場面
- 収益の増減を、どの単位に分解するのか
- 月次の増減額に直す
- マーケティングが責任を負う範囲は、どこまでか
- 切り分けの基準
- 新規の獲得と既存の拡大で、目標を分けるべきか
- 2つの投資の性質の違い
- 商談期間が長い事業で、期内の評価をどう成立させるか
- 先行指標を3つ置く
- セグメントごとに目標を割ると、何が変わるのか
- 規模で分かれる理由
- KPIを達成しているのに収益が伸びない場合、何を見るのか
- 数字の組み合わせで原因を切り分ける
- KPIの置き直しを、どの順で進めるか
- 見る数字を決める
- よくある質問
- まとめ
収益が契約時点ではなく、翌月以降に分割して立つからです。
期内に何件取ったかという数字は、その期の売上とも、翌期の売上とも一致しません。
BtoB SaaSのKPIが、件数の目標だけでは足りないのはなぜか
収益が契約時点ではなく、翌月以降に分割して立つからです。
期内に何件取ったかという数字は、その期の売上とも、翌期の売上とも一致しません。
一般的な受注型の事業では、契約した金額がその期の売上になります。
だから件数と単価を追えば、売上の見通しが立ちます。
BtoB SaaSはここが違います。
年間契約であれ月額契約であれ、収益は利用期間に応じて立ちます。
期末に取った1件は、その期にはほとんど売上を作りません。
かわりに、翌期の売上をまるごと1年分作ります。
件数目標が、事業の実態とずれる場面
期の後半に獲得が集中した年と、前半に集中した年では、同じ件数でもその期の売上が違います。
件数だけを目標にすると、この差が見えません。
さらに、既存顧客の解約が同時に進んでいます。
新規で30件取っても、既存が30件相当分解約していれば、収益は増えていません。
件数の目標は達成され、事業は止まっています。
ストック型の事業で最初に見る数字
新規の獲得と、既存の維持と、既存の拡大。
この3つが合算されて、はじめて収益の増減になります。
KPIの設計は、この合算のどこにマーケティングが効いているかを決める作業から始まります。
収益を動かす4つの動きと、主に効く部門
| 動き | 収益への効き方 | 主に動かす部門 |
|---|---|---|
| 新規契約 | 翌月以降の収益を積み増す | マーケティングと営業 |
| 既存の解約 | 積み上がった収益を削る | カスタマーサクセスと開発 |
| 既存の増席や上位プラン移行 | 契約済みの顧客から追加の収益 | カスタマーサクセスと営業 |
| 値上げや条件改定 | 全顧客の単価を動かす | 経営と営業 |
件数を捨てるわけではない
件数を見なくていいという話ではありません。件数は、マーケティングが直接動かせる数少ない数字です。ただし件数だけを単独で置くと、事業の増減と切り離れます。件数に、単価と継続の条件を添えて置きます。
収益の増減を、どの単位に分解するのか
新規、解約、拡大の3つに分けて、それぞれを月次の増減額で見ます。
件数のままでは足し引きができないので、金額に直してから並べます。
KPIを設計する前に、事業の数字を分解しておきます。
この分解ができていないと、どの数字に目標を置くかが決められません。
月次の増減額に直す
契約の形が年払いでも月払いでも、月あたりの収益額に換算して並べます。
換算しておくと、新規で増えた額と解約で減った額を同じ物差しで比べられます。
月次の増減を分解する単位
| 単位 | 出し方 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 新規増加額 | 当月に契約開始した顧客の月額合計 | 獲得施策の評価 |
| 解約減少額 | 当月に契約終了した顧客の月額合計 | 維持施策の評価 |
| 拡大増加額 | 既存顧客の月額が増えた分の合計 | アップセルの評価 |
| 縮小減少額 | 既存顧客の月額が減った分の合計 | ダウングレードの把握 |
| 純増額 | 上の4つを足し引きした額 | 事業としての成長 |
純増額を先に見る理由
新規増加額だけを見ていると、解約が増えている局面で危機感が出ません。
純増額を並べて置くと、獲得を増やしても純増が伸びない月が見えます。
そこで初めて、投資先を獲得から維持に振り替える議論ができます。
セグメントを分けてから足す
同じ事業のなかで、少人数の企業向けと大企業向けが混在していることがあります。
この2つは単価も解約率も違います。
混ぜて平均を出すと、どちらの実態とも一致しない数字になります。
分解の最初の作業は、セグメントを分けることです。
分解の粒度を増やしすぎない
分け方を細かくすると、各セグメントの母数が小さくなります。月に数件しか動かない区分では、率が振れて判断に使えません。月に十数件以上の動きがある単位まで、と決めておきます。
マーケティングが責任を負う範囲は、どこまでか
商談の入口までです。
純増額は経営の指標であって、マーケティング単独では動かせません。
入口の量と質を、金額換算した目標に置き換えます。
責任範囲を広く取りすぎると、評価ができなくなります。
狭く取りすぎると、件数だけの部門になります。
切り分けの基準
その数字を、マーケティングの判断だけで動かせるかどうかで切ります。
配信先を変えれば動く数字は、マーケティングの範囲です。
営業の提案内容やプロダクトの使い勝手で動く数字は、範囲の外です。
数字ごとの責任の所在
| 数字 | 動かす主体 | マーケティングのKPIにするか |
|---|---|---|
| 純増額 | 全社 | しない |
| 新規増加額 | マーケティングと営業 | 共有指標にする |
| 受注件数 | 営業 | しない |
| 商談数 | マーケティングと営業 | 共有指標にする |
| 商談化した有効リード数 | マーケティング | する |
| リード全体の件数 | マーケティング | するが単独では置かない |
| 獲得単価 | マーケティング | する |
共有指標を1つは置く
商談数と新規増加額のどちらかを、マーケティングと営業の共通の目標にします。
どちらか一方の部門の指標にすると、未達のときに相手の責任にする動きが出ます。
共有にすると、リードの質の議論が具体的になります。
金額換算した目標を1つ持つ
有効リード数だけでは、営業や経営と会話が噛み合いません。有効リード1件が平均していくらの月額収益につながっているかを出して、金額に換算します。数字は説明のための仮の値です。有効リード100件から10件受注し、平均月額が15万円なら、有効リード1件あたりの期待収益は月1万5千円です。この換算があると、件数の目標が金額の議論に乗ります。
新規の獲得と既存の拡大で、目標を分けるべきか
分けます。
同じマーケティング組織が両方を担っていても、必要な施策も評価の時間軸も違うからです。
既存顧客からの収益拡大は、獲得より安く積み上がります。
それでも予算と人の大半が新規に向いている事業は多くあります。
理由は、目標が新規側にしか置かれていないからです。
2つの投資の性質の違い
新規は、認知のない相手に届けるところから始まります。
既存は、すでに接点があり、利用のデータも社内にあります。
同じ獲得でも、必要なチャネルも、成果が出るまでの期間も違います。
新規と既存で、見る数字が変わる
| 項目 | 新規獲得 | 既存の拡大 |
|---|---|---|
| 出発点 | 認知のない層 | 利用中の顧客 |
| 使うデータ | 外部の属性と行動 | 自社プロダクトの利用状況 |
| 主なチャネル | 広告と検索と紹介 | プロダクト内の案内とメールと担当者 |
| 成果が出るまで | 数か月 | 数週間から数か月 |
| 量の限界 | 市場の広さ | 既存顧客数 |
既存側に目標を置くときの注意
既存の拡大を目標にすると、使っていない顧客に案内を出しすぎる動きが起きます。
利用が定着していない顧客に上位プランを勧めると、解約が早まります。
拡大の目標には、利用の定着度合いを条件として添えます。
予算の配分を決める順番
まず既存からどれだけ拡大できるかを見積もります。そのうえで、目標との差を新規で埋めます。この順にすると、新規の目標が実態より膨らみません。
商談期間が長い事業で、期内の評価をどう成立させるか
成果が出る前の段階に、先行して見る数字を置きます。
期内に受注まで到達しない案件が常にあるので、受注だけを見ると評価が遅れます。
BtoB SaaSの導入判断には、現場の担当者、情報システム部門、決裁者が関わります。
関与者が増えるほど、初回接触から契約までの期間は延びます。
高単価帯ではこれが半年を超えることがあります。
先行指標を3つ置く
受注の前に、必ず通過する段階があります。
そこを数えておくと、受注が出る前に流れの良し悪しが分かります。
受注の前に数えておく段階を、項目ごとに見ていきます。
初回接触については、数える内容は問い合わせや資料請求の件数、遅れに気づける時期は当月。
商談化については、数える内容は営業が案件として受けた件数、遅れに気づける時期は当月から翌月。
評価の開始については、数える内容は検証環境の利用や稟議の着手、遅れに気づける時期は1から2か月後。
決裁者の関与については、数える内容は決裁者が同席した商談の件数、遅れに気づける時期は2から3か月後。
契約については、数える内容は受注件数と月額、遅れに気づける時期は3か月以降。
期をまたぐ案件を、別に数える
期末に残っている商談を、件数と見込み金額で別に集計します。
これを見ずに期の評価をすると、翌期に大きく貢献する仕込みが評価されません。
逆に、残っている商談の中身が薄い期も見えるようになります。
評価の会議を、受注の周期に合わせる
商談期間が平均4か月なら、月次の会議で受注の増減を議論しても原因は分かりません。月次では入口の量と質を見ます。四半期で、入口から受注までの各段階の率を並べます。
セグメントごとに目標を割ると、何が変わるのか
獲得の上限が見えるようになります。
単価の高い層は母数が少なく、件数の目標を置くと無理が出ます。
全社の目標を、チャネルごとに割る進め方があります。
BtoB SaaSでは、顧客の規模で割るほうが実態に合います。
規模で分かれる理由
少人数の企業向けと大企業向けでは、検討の進み方が違います。
前者は担当者が試して決めることがあります。
後者は情報システム部門の審査と、セキュリティの確認が入ります。
同じ広告を同じ文面で出しても、片方にしか効きません。
顧客規模で変わる前提を、項目ごとに見ていきます。
検討の関与者については、小規模の顧客は少ない、大企業の顧客は多い。
検討期間については、小規模の顧客は短い、大企業の顧客は長い。
1件の月額については、小規模の顧客は低い、大企業の顧客は高い。
解約の起きやすさについては、小規模の顧客は起きやすい、大企業の顧客は起きにくい。
獲得できる件数の上限については、小規模の顧客は市場が広く多い、大企業の顧客は対象企業数で頭打ち。
上限のある層に、件数目標を置かない
大企業向けは、そもそも国内の対象企業数が限られます。
件数の目標を伸ばし続けると、対象外の企業まで追う動きになります。
この層は、件数ではなく、対象企業のうち何社と接点を持てたかで見ます。
目標の割り方を毎期見直す
セグメントの構成比は、プロダクトの機能追加や価格改定で変わります。前期の構成比のまま目標を割ると、実態とずれます。期初に、各セグメントの純増額の実績を並べてから割ります。
KPIを達成しているのに収益が伸びない場合、何を見るのか
解約と、獲得した顧客の質を見ます。
入口の数字が目標どおりでも、入ってきた顧客が定着していなければ収益は積み上がりません。
この状態は、入口の数字だけでKPIを組んだときに必ず起きます。
BtoB SaaSでは、獲得の失敗が解約という形で数か月後に現れます。
数字の組み合わせで原因を切り分ける
入口と解約の動きから読み取れることを、項目ごとに見ていきます。
達成については、解約は横ばい、拡大は横ばい、起きていることは想定どおり積み上がっている。
達成については、解約は増加、拡大は横ばい、起きていることは定着しない顧客を獲得している。
達成については、解約は横ばい、拡大は減少、起きていることは利用が広がらず上位プランに進まない。
未達については、解約は減少、拡大は増加、起きていることは既存が固まり新規の入口が細っている。
達成については、解約は増加、拡大は減少、起きていることはプロダクトと顧客層が合っていない。
獲得した顧客の質を、後から測る
獲得した月ごとに顧客をまとめて、その後の残存率を並べます。
ある月から獲得した顧客の残存率が急に落ちていれば、その時期の施策に原因があります。
広告の配信先を広げた月や、値引きの施策を打った月と重なることがあります。
質の悪化を、入口の数字に持ち帰る
残存率の低い層に共通する条件を探します。
企業規模、流入したチャネル、申し込んだプラン、といった軸で見ます。
条件が特定できたら、その層を有効リードの定義から外すか、獲得単価の許容額を下げます。
見直しの周期を決めておく
獲得後の残存率は、数か月経たないと出ません。四半期に一度、直近の獲得分をまとめて点検する時期を決めておきます。
KPIの置き直しを、どの順で進めるか
月次の増減額を出すところからです。
純増額の分解ができていないと、どの数字に目標を置くかが決められません。
KPIの設計は、指標を選ぶ作業ではなく、現状を金額に直す作業から始まります。
置き直しの進め方と目安の期間を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは過去12か月の新規、解約、拡大を月額で出す、期間の目安は2週間。
2については、やることは顧客の規模でセグメントを分けて集計し直す、期間の目安は2週間。
3については、やることは有効リードの定義を営業と揃える、期間の目安は2週間。
4については、やることは有効リード1件あたりの期待収益を出す、期間の目安は1週間。
5については、やることはマーケティングのKPIを3つに絞る、期間の目安は2週間。
6については、やることは共有指標と、未達時の見直し方を合意する、期間の目安は1週間。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
純増額の目標が月400万円、既存の拡大で120万円、解約で80万円減るとすれば、新規で360万円分が必要になります。
平均月額15万円なら、新規24件です。
受注率10%なら有効リード240件という計算になります。
確認する数字と見る頻度を、項目ごとに見ていきます。
有効リード数については、見る頻度は毎週、何のために見るかは月次の進捗が足りているか。
商談化率については、見る頻度は毎月、何のために見るかは入口の質が落ちていないか。
新規増加額については、見る頻度は毎月、何のために見るかは金額として積み上がっているか。
解約減少額については、見る頻度は毎月、何のために見るかは積み上げた分が削られていないか。
獲得月別の残存率については、見る頻度は四半期、何のために見るかはその時期の獲得が定着したか。
セグメント別の純増額については、見る頻度は四半期、何のために見るかはどの層で伸びているか。
定義を文書にして残す
有効リードとは何か、解約をいつの時点で計上するか、拡大をどこから拡大と数えるか。
この定義が揃っていないと、部門ごとに違う数字が出ます。
担当者が変わったときに、過去との比較ができなくなります。
最初の期は、目標より定義を優先する
分解を始めた最初の期は、数字の精度が低いのが普通です。
そこで無理に目標値を置くより、定義を固めて記録を揃えるほうが後で効きます。
KPIの置き方が定まらない場合は、無料相談で現状の数字を一緒に整理するところから始められます。指標の設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
BtoB SaaSのKPIに、リード件数を置いてはいけませんか
置いて構いませんが、単独では置きません。件数だけを目標にすると、定着しない顧客の獲得が増えて解約が後から膨らみます。件数に、単価と質の条件を添えて置いてください。
純増額をマーケティングのKPIにしてもいいですか
解約と既存の拡大が含まれるため、マーケティング単独では動かせません。全社の指標として共有し、マーケティングは新規増加額と入口の質を担当する形が現実的です。
商談期間が長く、期内に成果が出ません
受注の前に必ず通過する段階を数えて、先行指標にしてください。評価の開始や決裁者の同席といった段階を月次で見れば、受注が出る前に流れの良し悪しが分かります。
セグメントはどこまで細かく分けるべきですか
月に十数件以上の動きがある単位までです。それより細かくすると母数が足りず、率が振れて判断に使えなくなります。まずは顧客の規模で2つか3つに分けてください。
獲得した顧客の質は、どう測ればいいですか
獲得した月ごとに顧客をまとめ、その後の残存率を並べます。特定の月だけ残存率が落ちていれば、その時期の施策に原因があります。四半期に一度、直近の獲得分を点検する形にしてください。
まとめ
- 収益が契約時点ではなく、翌月以降に分割して立つからです。期内に何件取ったかという数字は、その期の売上とも、翌期の売上とも一致しません
- 新規、解約、拡大の3つに分けて、それぞれを月次の増減額で見ます。件数のままでは足し引きができないので、金額に直してから並べます
- 商談の入口までです。純増額は経営の指標であって、マーケティング単独では動かせません。入口の量と質を、金額換算した目標に置き換えます
- 分けます。同じマーケティング組織が両方を担っていても、必要な施策も評価の時間軸も違うからです
- 成果が出る前の段階に、先行して見る数字を置きます。期内に受注まで到達しない案件が常にあるので、受注だけを見ると評価が遅れます
- 獲得の上限が見えるようになります。単価の高い層は母数が少なく、件数の目標を置くと無理が出ます
- 解約と、獲得した顧客の質を見ます。入口の数字が目標どおりでも、入ってきた顧客が定着していなければ収益は積み上がりません
- 月次の増減額を出すところからです。純増額の分解ができていないと、どの数字に目標を置くかが決められません