BtoB SaaSのインハウス化の判断|内製と外注の分け方

目的を1つに絞るところからです。
費用の削減と知見の蓄積では、進め方も移す範囲も変わります。
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目次
目次
- インハウス化の判断は、何から始めるのか
- 目的によって移す範囲が変わる
- 内製と外注を分ける線は、どこに引くのか
- 社内に残す判断
- コストの比較を、どう組み立てるのか
- 比較に含める項目
- 必要な人材を、どう定義するのか
- 要件の置き方
- 移行の順序を、どう決めるのか
- 順序の基本形
- 移行の途中で起きる問題に、どう備えるのか
- 起きやすい問題
- 内製に移した後、動かなくなる状態をどう避けるのか
- 知見が個人に溜まる状態
- 移行の計画を、どう組み立てるのか
- 見る数字を決める
- よくある質問
- まとめ
目的を1つに絞るところからです。
費用の削減と知見の蓄積では、進め方も移す範囲も変わります。
インハウス化の判断は、何から始めるのか
目的を1つに絞るところからです。
費用の削減と知見の蓄積では、進め方も移す範囲も変わります。
内製に切り替える検討は、複数の動機が混ざった状態で始まることが多くあります。
費用を下げたい、社内に知見を残したい、判断を速くしたい。
どれも正当ですが、同時に追うと設計がぶれます。
Testifyが2026年5月に実施した調査では、全面委託している企業の8割超が1年以内のインハウス化を計画または検討していました。
決定または予定が52.9%、積極検討が32.8%です。
動機はノウハウの蓄積が56.7%、コスト削減が46.7%と報告されています。
目的によって移す範囲が変わる
費用の削減が目的なら、手数料の比率が高い領域から移します。
知見の蓄積が目的なら、判断に関わる領域から移します。
移す順番が逆になります。
目的ごとの、移す順番の違い
| 目的 | 先に移す領域 | 後に回す領域 |
|---|---|---|
| 費用の削減 | 運用の実務 | 分析と設計 |
| 知見の蓄積 | 分析と配分の判断 | 入稿と日々の調整 |
| 判断の速度 | 配分の変更と検証の設計 | 制作 |
| 体制の安定 | 数字の管理と計測 | 媒体ごとの運用 |
目的を1つに決めてから範囲を決める
3つとも達成しようとすると、全部を移すことになります。
全部を移すと、人が足りず品質が落ちます。
最初の1年で達成する目的を1つに決めます。
BtoB SaaSでの前提
契約までの期間が長く、成果の確認に時間がかかります。移行の直後は数字が悪化して見えることがあります。評価の期間を、契約までの期間より長く置いてから始めます。
内製と外注を分ける線は、どこに引くのか
判断と実装の境目です。
何にいくら使うかを社内で決め、決めたことを実行する部分を外に出す形が扱いやすい形です。
全部を内製にする必要はありません。
どこを社内に持つかを決める作業です。
社内に残す判断
内製に向く領域と、外注に向く領域
| 領域 | 内製に向くか | 理由 |
|---|---|---|
| 予算の配分の決定 | 向く | 事業の数字と接続が必要 |
| 対象とする顧客層の決定 | 向く | 顧客の実態を把握している |
| 有効リードの定義 | 向く | 営業との合意が必要 |
| 計測の設計 | 向く | 数字の意味を説明する必要がある |
| 媒体ごとの細かい設定 | どちらでもよい | 媒体の知識に依存する |
| 入稿と日々の調整 | 外注でよい | 作業の性質が強い |
| クリエイティブの制作 | 外注でよい | 制作の専門性が要る |
| 計測の実装 | 外注でよい | 技術の作業 |
判断を移すと、何が変わるか
配分の変更に、外部との調整が不要になります。
週単位で動かしていた配分を、日単位で動かせるようになります。
BtoB SaaSでは、季節性より施策の立ち上げの速度が効くため、この差が積み上がります。
実装まで移すときの条件
日々の運用を社内で持つには、担当の稼働が継続的に必要です。
担当が1人の場合、休みや退職で止まります。
最低でも2人が同じ領域を扱える状態にしてから移します。
媒体の変化への追随
媒体の仕様は継続的に変わります。Testifyの調査では、インハウス化の障壁として媒体アップデートへの追随の困難が40.3%挙がっています。この追随を誰がどう担うかを、移行の計画に含めます。
コストの比較を、どう組み立てるのか
手数料と人件費だけでは比較になりません。
採用と教育の費用、立ち上がるまでの期間の機会損失を含めて並べます。
内製のほうが安いという試算は、含めていない費用があることが多くあります。
比較に含める項目
内製と外注の費用の比較項目
| 項目 | 外注の場合 | 内製の場合 |
|---|---|---|
| 媒体費 | 同じ | 同じ |
| 手数料 | 発生する | 発生しない |
| 人件費 | 窓口の一部 | 担当の人件費 |
| 採用の費用 | 不要 | 発生する |
| 教育の期間の費用 | 不要 | 発生する |
| ツールの費用 | 代理店が保有 | 自社で契約 |
| 立ち上がりの期間の損失 | 小さい | 成果が下がる期間がある |
| 体制の維持 | 代理店が負う | 退職と休職の対応が要る |
立ち上がりの期間を見積もる
移行の直後は、過去の運用の意図が分からないまま引き継ぎます。
成果が元の水準に戻るまでに時間がかかります。
その期間の差額を、費用として計上します。
教育の時間を見込む
Testifyの調査では、インハウス化の障壁として教育の時間と知見の不足が44.8%、人材の採用が36.7%挙がっています。
費用の比較に、この2つの項目が入っていないことがよくあります。
損益分岐の時期を出す
内製の費用が外注の費用を下回るのは何か月目か。これを出しておくと、途中の数字が悪くても判断がぶれません。数字は説明のための仮の値です。手数料が月40万円、担当の人件費が月60万円なら、手数料だけでは逆転しません。配分の改善で成果が1割上がることを前提に置くなら、その前提を明記します。
必要な人材を、どう定義するのか
媒体の操作ができる人ではなく、数字を分解して説明できる人です。
操作は習得できますが、事業の数字と接続する力は短期では身につきません。
採用の要件を媒体の経験年数で書くと、判断ができる人が採れません。
要件の置き方
内製の担当に求める力
| 求める力 | 確認の仕方 | 習得までの期間 |
|---|---|---|
| 数字を分解して説明する | 過去の改善の説明を聞く | 長い |
| 他部門と定義を合意する | 営業との調整の経験を聞く | 長い |
| 媒体の設定と運用 | 実務の経験を聞く | 中程度 |
| 検証の設計 | 過去の検証の設計を聞く | 中程度 |
| 制作の指示 | 出した指示の内容を聞く | 中程度 |
1人目に何を任せるか
1人目には、数字の管理と配分の判断を任せます。
実務は外部に残したまま、判断だけを社内に移します。
この形なら、1人でも移行を始められます。
2人目以降の考え方
2人目で、実務の一部を社内に移します。
1人では止まるため、同じ領域を扱える体制にします。
育成で埋める場合
外部から採用せず、社内の異動で埋める形もあります。事業の理解がある人が媒体の知識を得るほうが、逆より速いことがあります。その場合、最初の半年は外部の伴走を残します。
移行の順序を、どう決めるのか
数字の管理から移します。
配分の判断も実務も、数字が社内で出せる状態が前提になります。
順序を誤ると、途中で止まります。
止まると、外部との関係も社内の信頼も損ないます。
順序の基本形
移行の段階と、移す内容を、項目ごとに見ていきます。
第1段階については、移す内容は数字の集計と報告、期間の目安は2か月、この段階で確認することは社内で数字を説明できるか。
第2段階については、移す内容は計測の設計と管理、期間の目安は2か月、この段階で確認することは定義が社内で維持できるか。
第3段階については、移す内容は予算の配分の判断、期間の目安は3か月、この段階で確認することは判断の速度が上がったか。
第4段階については、移す内容は媒体の運用の一部、期間の目安は3か月以上、この段階で確認することは品質が保てるか。
第5段階については、移す内容は制作の一部、期間の目安は以降、この段階で確認することは事業の理解が反映されるか。
第1段階で止める選択肢を持つ
数字の管理と配分の判断まで社内に移した時点で、目的が達成されることがあります。
知見の蓄積が目的なら、実務まで移す必要はありません。
この段階で止める判断を、選択肢として最初に置きます。
一度に移す範囲を広げない
複数の媒体を同時に移すと、どこで問題が起きたか分かりません。
1つの媒体から始めて、安定を確認してから次に進みます。
移行の期間は重複させる
外部との契約を切ってから社内で始めると、空白が生まれます。一定期間は両方が並行する形にして、費用の重複を計画に含めます。
移行の途中で起きる問題に、どう備えるのか
成果が一時的に下がることを、前提として関係者に共有します。
共有していないと、下がった時点で移行そのものが否定されます。
移行の途中には、必ず成果が下がる期間があります。
これを事故として扱うか、計画の一部として扱うかで、その後が変わります。
起きやすい問題
移行中に起きる問題と、備えを、項目ごとに見ていきます。
過去の設定の意図が分からないについては、起きる時期は引き継ぎ直後、備えは設定の意図を文書で引き継ぐ。
成果が一時的に下がるについては、起きる時期は移行から1から3か月、備えは期初に幅を共有しておく。
担当の稼働が足りないについては、起きる時期は実務を移した直後、備えは移す範囲を絞る。
媒体の仕様変更に気づかないについては、起きる時期は随時、備えは情報源と確認の頻度を決める。
判断が担当1人に集中するについては、起きる時期は数か月後、備えは決裁の範囲を決めておく。
引き継ぎで受け取るもの
設定の一覧だけでは足りません。
なぜその設定にしたか、何を試して何が効かなかったか。
この記録を引き継ぎの項目に含めます。
下がる幅を先に共有する
どの程度の悪化までを想定内とするか。
何か月で元の水準に戻す計画か。
この2つを、経営を含めて先に共有します。
戻せる状態を残す
移行が想定どおり進まない場合に、外部に戻す選択肢を残します。契約を完全に終了する前に、縮小した形で継続する期間を置く方法があります。
内製に移した後、動かなくなる状態をどう避けるのか
担当が1人に固定されることを避けます。
知見がその人に集まり、異動や退職で止まる構造になります。
内製化の目的の1つは、社内に知見を残すことです。
担当1人に集まると、外部に預けていたときと同じ構造になります。
知見が個人に溜まる状態
個人に集中したときの兆候と、対処を、項目ごとに見ていきます。
設定の意図を他の人が説明できないについては、起きていることは記録が残っていない、対処は変更の理由を記録する。
配分の根拠が共有されていないについては、起きていることは判断が口頭で行われている、対処は判断の基準を文書にする。
休暇中に配分が動かないについては、起きていることは代替の担当がいない、対処は2人が扱える体制にする。
外部への説明ができないについては、起きていることは数字の定義が担当だけのもの、対処は定義を共有の文書にする。
変更の記録を残す
何をいつ変えたか、なぜ変えたか、結果どうだったか。
この3点を、簡易な形で残します。
形式が重いと続かないため、数行で足ります。
外部の目を残す
完全に内製にすると、媒体の変化や他社の動向が入りにくくなります。
分析や検証の設計だけ外部に依頼する形を残す方法があります。
定期的に外部の見積もりを取る
内製の費用が妥当かを確認するため、定期的に外部の見積もりを取ります。戻す前提ではなく、水準を確認するために行います。
移行の計画を、どう組み立てるのか
目的を1つ決め、第1段階の範囲と期間を区切るところからです。
全体の計画を先に作ると、途中で止められなくなります。
移行は、一度に設計するのではなく、段階ごとに区切って進めます。
移行の計画を作る手順を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは目的を1つに決めて経営と合意する、期間の目安は2週間。
2については、やることは現在の委託の範囲と費用の内訳を整理する、期間の目安は2週間。
3については、やることは内製と外注の線を引いて第1段階の範囲を決める、期間の目安は2週間。
4については、やることは採用または異動の計画を立てる、期間の目安は1か月。
5については、やることはアカウントと計測の所有と権限を確認する、期間の目安は2週間。
6については、やることは引き継ぎの項目と期間を外部と合意する、期間の目安は1か月。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
月の広告費が200万円、手数料が20%で40万円とします。
担当1人の人件費が月60万円なら、手数料だけでは内製のほうが高くなります。
配分の判断が速くなることで成果が1割上がる前提を置くなら、その前提を明記して検証します。
移行中に確認する数字を、項目ごとに見ていきます。
有効リードの単価については、見る頻度は毎週、何を確かめるかは品質が保てているか。
有効リード件数については、見る頻度は毎週、何を確かめるかは量が落ちていないか。
配分の変更から反映までの日数については、見る頻度は毎月、何を確かめるかは判断が速くなったか。
手数料を含む総費用については、見る頻度は毎月、何を確かめるかは費用の比較の前提が保たれているか。
商談化率については、見る頻度は毎月、何を確かめるかは質が落ちていないか。
新規契約額については、見る頻度は四半期、何を確かめるかは事業の数字に効いているか。
第1段階の評価まで次を決めない
第1段階が終わってから、第2段階に進むかを判断します。
全段階の予定を先に固めると、途中の結果を反映できません。
外部との関係を一度に切らない
移行の期間は、両方が並行する形にします。
費用の重複を計画に含めておくと、途中で無理な打ち切りをせずに済みます。
内製と外注の線引きで判断に迷う場合は、無料相談で現状の体制を見てもらうところから始められます。運用の進め方ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
インハウス化は、何から検討すればいいですか
目的を1つに絞ってください。費用の削減なら運用の実務から、知見の蓄積なら分析と配分の判断から移します。目的によって移す順番が逆になるため、両方を同時に追うと設計がぶれます。
内製と外注は、どこで線を引けばいいですか
判断と実装の境目です。予算の配分、対象の顧客層、有効リードの定義、計測の設計は社内に残します。入稿と日々の調整、制作、計測の実装は外に出せます。
内製のほうが安くなりますか
手数料と人件費だけの比較では判断できません。採用と教育の費用、立ち上がりの期間に成果が下がる分も含めて並べてください。そのうえで損益分岐の時期を出すと、途中の数字で迷いません。
どんな人を採用すればいいですか
媒体の操作ができる人より、数字を分解して説明できる人です。操作は習得できますが、事業の数字と接続する力は短期では身につきません。社内の異動で埋めるほうが速いこともあります。
移行の途中で成果が下がったらどうすればいいですか
下がる期間があることを、期初に経営を含めて共有しておいてください。どの程度までを想定内とするか、何か月で戻す計画かを先に決めます。外部との契約は一度に切らず、並行する期間を置いてください。
まとめ
- 目的を1つに絞るところからです。費用の削減と知見の蓄積では、進め方も移す範囲も変わります
- 判断と実装の境目です。何にいくら使うかを社内で決め、決めたことを実行する部分を外に出す形が扱いやすい形です
- 手数料と人件費だけでは比較になりません。採用と教育の費用、立ち上がるまでの期間の機会損失を含めて並べます
- 媒体の操作ができる人ではなく、数字を分解して説明できる人です。操作は習得できますが、事業の数字と接続する力は短期では身につきません
- 数字の管理から移します。配分の判断も実務も、数字が社内で出せる状態が前提になります
- 成果が一時的に下がることを、前提として関係者に共有します。共有していないと、下がった時点で移行そのものが否定されます
- 担当が1人に固定されることを避けます。知見がその人に集まり、異動や退職で止まる構造になります
- 目的を1つ決め、第1段階の範囲と期間を区切るところからです。全体の計画を先に作ると、途中で止められなくなります