
月次で件数が読めるからです。
収益が月次で積み上がる事業では、月次で件数が読めるチャネルに予算が寄ります。
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目次
目次
- 広告への依存が、BtoB SaaSで固定化しやすいのはなぜか
- 依存が進むときの流れ
- チャネルを、どういう軸で分けるのか
- 止めたときに残るかどうか
- 配分を決める単位は、予算なのか獲得件数なのか
- 予算比率で決められない理由
- 積み上がるチャネルは、いつから効き始めるのか
- 段階ごとに見る数字を変える
- パートナー経由の獲得は、どこまで設計できるのか
- 設計できる部分と、できない部分
- チャネルごとの評価を、どの期間で見るのか
- 期間の分け方
- 分散させたのに、獲得が増えない場合は何が起きているのか
- 起きている3つのこと
- 配分の組み替えは、どこから着手するのか
- 見る数字を決める
- よくある質問
- まとめ
月次で件数が読めるからです。
収益が月次で積み上がる事業では、月次で件数が読めるチャネルに予算が寄ります。
広告への依存が、BtoB SaaSで固定化しやすいのはなぜか
月次で件数が読めるからです。
収益が月次で積み上がる事業では、月次で件数が読めるチャネルに予算が寄ります。
広告は、出せば件数が出ます。
止めれば止まります。
この分かりやすさが、配分を固定させます。
継続課金の事業では、毎月一定の新規が必要になります。
解約で減る分を埋め続けなければならないからです。
だから、月次で読める手段が選ばれます。
依存が進むときの流れ
件数が足りない月に、広告の予算を足します。
件数は戻ります。
翌月も同じことが起きます。
この繰り返しで、広告の比率が上がっていきます。
広告比率が上がる過程で起きること
| 段階 | 起きること | 気づきにくい理由 |
|---|---|---|
| 初期 | 広告で件数が安定する | 効率が良く見える |
| 中期 | 獲得単価が徐々に上がる | 件数は達成できている |
| 後期 | 上限を超えても止められない | 止めると件数が落ちる |
| 固定化 | 他のチャネルを育てる余力がない | 短期の数字に追われる |
市場の側でも広告の比率は上がっている
電通の2025年 日本の広告費では、インターネット広告費が4兆459億円で前年比110.8%、構成比50.2%となり初めて過半数を超えました。
電通デジタルの詳細分析では、インターネット広告媒体費のうち運用型が2兆9,352億円で構成比88.7%です。
市場全体が運用型に寄っています。
同じ枠を多くの企業が取り合う構造になり、単価は上がりやすくなります。
依存から抜けるとは、広告を減らすことではない
広告をやめる話ではありません。広告を止めても新規が一定量入る状態を作る、という話です。広告の予算はそのままで、比率が下がる形が現実的です。
チャネルを、どういう軸で分けるのか
積み上がるものと、その月で消えるものに分けます。
費用の大小ではなく、止めたときに何が残るかで分類します。
チャネルを媒体名で並べると、配分の議論が細かくなりすぎます。
性質で分けてから配分を決めます。
止めたときに残るかどうか
チャネルの性質による分類
| 分類 | チャネルの例 | 止めたときに残るもの | 立ち上がりの速さ |
|---|---|---|---|
| その月で消える | 運用型広告 | 残らない | 速い |
| 蓄積する | 検索からの自然流入 | しばらく残る | 遅い |
| 蓄積する | 指名検索 | 残る | とても遅い |
| 関係が残る | 紹介とパートナー経由 | 関係が続く限り残る | 遅い |
| 蓄積する | 既存顧客のリスト | 残る | 中程度 |
| その月で消える | 展示会とイベント | 名刺は残る | 中程度 |
蓄積するチャネルの特徴
立ち上がりに時間がかかります。
効果が出るまでの期間が長いため、短期の評価では判断できません。
一方で、一度積み上がると獲得単価が下がり続けます。
分類したうえで、比率の目標を置く
現在の新規契約額のうち、それぞれの分類が何%かを出します。
その比率を何年でどう変えるかを、期初に置きます。
比率の目標がないと、毎月の判断で広告に寄り続けます。
既存顧客のリストをチャネルとして数える
既存顧客への案内は、獲得のチャネルとして認識されにくい領域です。拡大による収益の増加は、新規の獲得と同じく収益を増やします。配分の議論に含めます。
配分を決める単位は、予算なのか獲得件数なのか
新規契約額で決めます。
予算の比率で決めると蓄積するチャネルが過小評価され、件数で決めると単価の低い層に寄ります。
配分の議論は、予算の金額をどう割るかで始まることが多くあります。
その割り方では、性質の違うチャネルを比較できません。
予算比率で決められない理由
蓄積するチャネルは、費用の大半が人件費と制作費です。
広告のように金額と件数が連動しません。
予算の比率だけで見ると、費用が小さいので軽く扱われます。
配分の基準と、その弱点
| 基準 | 決め方 | 弱点 |
|---|---|---|
| 予算の比率 | 金額を割る | 費用構造の違う施策を比較できない |
| 獲得件数 | 件数の目標を割る | 単価の低い層に寄る |
| 獲得単価 | 単価の低い順に配分 | 新しい層を試さなくなる |
| 新規契約額 | 金額の目標を割る | 蓄積するチャネルの評価に時間差が出る |
| 純増額への寄与 | 拡大と解約も含めて割る | 集計の手間が大きい |
新規契約額で割ったうえで、時間差を織り込む
蓄積するチャネルは、その月の新規契約額には表れにくい性質があります。
今期の投資が翌期以降に効くことを、配分の前提として明記します。
明記しないと、毎期の評価で削られます。
試行の枠を別に確保する
新しいチャネルは、最初は必ず効率が悪く出ます。評価の対象から外した枠を、全体の一定割合で確保します。この枠は、獲得単価ではなく接点が作れたかで見ます。
積み上がるチャネルは、いつから効き始めるのか
半年から1年かかります。
その間は流入も獲得も動かないため、途中で評価すると止める判断になります。
検索からの自然流入や、指名検索を増やす取り組みは、立ち上がりが遅い領域です。
どれくらい遅いかを先に共有しておかないと、途中で止まります。
段階ごとに見る数字を変える
蓄積するチャネルの段階と、見る数字
| 期間 | 起きていること | 見る数字 |
|---|---|---|
| 最初の3か月 | 制作と公開が進む | 公開した本数と対象の網羅率 |
| 3か月から6か月 | 流入が出始める | 対象の検索での表示と流入 |
| 6か月から12か月 | 問い合わせが出始める | チャネル別のリード件数 |
| 12か月以降 | 獲得単価が下がる | チャネル別の獲得単価 |
| 継続 | 指名での流入が増える | 指名検索からの件数 |
最初の期間に獲得件数で評価しない
公開から3か月の時点で問い合わせ件数を見ると、ほぼゼロです。
この時点で評価すると、必ず止める判断になります。
最初の期間は、作った量と対象の網羅で見ます。
生成AIの普及で、前提が変わっている部分
Ahrefsが2026年7月16日に公表した調査では、AI Overviewsが表示される検索での1位のCTR下落率が、日本で2025年12月の38.0%から2026年6月の62.7%に拡大していました。
情報を探す検索で、記事を読まれる比率は下がっています。
流入の数だけを目標にすると、内容が良くても未達になります。
問い合わせにつながる検索と、情報収集の検索を分けて評価します。
蓄積するチャネルの投資を、単年度で判断しない
期をまたいで効く投資であることを、期初の合意に含めます。これがないと、期末の予算の調整で最初に削られます。
パートナー経由の獲得は、どこまで設計できるのか
紹介の発生を待つ形から、条件を決めて仕組みにする形に変えられます。
ただし立ち上がりは遅く、広告の代わりにはなりません。
BtoB SaaSでは、業務の周辺にあるサービスや、導入を支援する事業者が接点を持っています。
この経路からの獲得は、質が高く定着も良い傾向があります。
設計できる部分と、できない部分
パートナー経由の獲得で決められることを、項目ごとに見ていきます。
対象については、決められることはどういう事業者と組むか、決められないことは相手が動くかどうか。
条件については、決められることは紹介の対価と範囲、決められないことは紹介の件数。
材料については、決められることは説明の資料と想定問答、決められないことは説明の質。
経路については、決められることは問い合わせの受け方と記録、決められないことは時期。
評価については、決められることは経由した件数と契約額、決められないことは発生の予測。
件数が読めないことを前提に置く
パートナー経由は、月ごとの件数が安定しません。
これを月次の目標に組み込むと、未達が続きます。
四半期または半期の単位で見ます。
相手にとっての利点を先に決める
紹介の対価だけを設計しても、動きません。
相手の顧客にとって価値があるか、相手の提案の幅が広がるか。
ここが成立していないと、条件を厚くしても件数は出ません。
経由の記録を必ず残す
紹介の経路が記録されていないと、どのパートナーが効いているか分かりません。問い合わせの時点で経路を記録する形を作ります。
チャネルごとの評価を、どの期間で見るのか
チャネルの性質に合わせて期間を変えます。
すべてを月次で評価すると、蓄積するチャネルが必ず低く出ます。
評価の期間を揃えることは、公平に見えて実際には偏りを生みます。
期間の分け方
チャネル別の評価の期間を、項目ごとに見ていきます。
運用型広告については、評価の期間は毎週から毎月、見る数字は獲得単価と件数。
検索からの自然流入については、評価の期間は四半期、見る数字は流入とリード件数。
指名検索については、評価の期間は半期、見る数字は指名での流入と件数。
パートナー経由については、評価の期間は四半期から半期、見る数字は経由の契約額。
展示会とイベントについては、評価の期間は開催から3か月後、見る数字はそこからの商談と契約。
既存顧客への案内については、評価の期間は毎月、見る数字は拡大による収益の増加。
最終接点だけで評価しない
検討期間の長い事業では、契約の直前の接点が広告になりやすい性質があります。
その前に記事を読み、比較をし、資料を見ています。
最終接点だけで評価すると、前段のチャネルが常にゼロになります。
経路の記録を複数残す
最初の接点と、その後の接点と、契約の直前の接点。
この3つを記録しておくと、前段の貢献が見えます。
すべてを完璧に追う必要はなく、主要な入口だけで足ります。
評価の結果を、配分にどう戻すか
評価の期間が違うチャネルを、同じ会議で比較しないことです。月次の会議では広告の配分を、四半期の会議で全体の比率を扱います。
分散させたのに、獲得が増えない場合は何が起きているのか
どのチャネルも立ち上がりきらない規模で分散しています。
数を増やすことと、依存から抜けることは別です。
チャネルを増やしたのに、獲得が増えない状態があります。
広告の比率も下がらず、手間だけが増えます。
起きている3つのこと
分散がうまくいかないときの状態を、項目ごとに見ていきます。
規模が足りないについては、見分け方はどのチャネルも件数が一桁、対処は数を絞って集中する。
同じ層に出しているについては、見分け方は重複する接触が多い、対処はチャネルごとの対象を分ける。
運用の手が足りないについては、見分け方は更新が止まっている、対処は1つ減らして体制を戻す。
評価の期間が短いについては、見分け方は立ち上がる前に止めている、対処は期間を分けて評価する。
立ち上げの順序が悪いについては、見分け方は遅いものを同時に複数始めた、対処は1つずつ順に始める。
数を絞る判断
チャネルを3つ以上同時に立ち上げると、どれも中途半端になります。
1つを立ち上げきってから次に進む形のほうが、結果として速くなります。
同じ層に重複して出していないか
チャネルを増やしても、届いている相手が同じなら新規は増えません。
チャネルごとに、どの層に届けるかを分けて設計します。
依存からの脱却を、比率で測る
チャネルの数ではなく、新規契約額に占める広告の比率で見ます。数が増えても比率が変わっていないなら、分散できていません。
配分の組み替えは、どこから着手するのか
新規契約額をチャネル別に出すところからです。
件数ではなく金額で見ないと、単価の違うチャネルを比較できません。
配分の作業は、予算を割る前に、現在の構成を金額で把握することから始まります。
チャネル比率を動かす手順を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは過去12か月の新規契約額をチャネル別に出す、期間の目安は2週間。
2については、やることはチャネルを蓄積型と消費型に分類する、期間の目安は1週間。
3については、やることは比率の目標を期間を区切って置く、期間の目安は2週間。
4については、やることは蓄積型を1つ選んで立ち上げる、期間の目安は3か月以上。
5については、やることはチャネル別に評価の期間を決める、期間の目安は1週間。
6については、やることは試行の枠を全体の割合で確保する、期間の目安は1週間。
見る数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
新規契約額が月200万円で、そのうち広告経由が160万円なら、広告比率は80%です。
2年で60%にするなら、蓄積型と関係型で年に20万円ずつ増やす計算になります。
この形にすると、何をどれだけ積むかが具体的になります。
配分の状態を見る数字を、項目ごとに見ていきます。
チャネル別の新規契約額については、見る頻度は毎月、何のために見るかは構成がどう動いているか。
広告経由の比率については、見る頻度は四半期、何のために見るかは依存から抜けているか。
蓄積型チャネルの流入については、見る頻度は四半期、何のために見るかは立ち上がりが進んでいるか。
指名検索からの件数については、見る頻度は半期、何のために見るかは認知が積み上がっているか。
パートナー経由の契約額については、見る頻度は四半期、何のために見るかは関係が機能しているか。
チャネル別の獲得単価については、見る頻度は毎月、何のために見るかは効率が悪化していないか。
広告を減らす順序を間違えない
蓄積型が立ち上がる前に広告を減らすと、件数が落ちます。
立ち上がりを確認してから、広告の予算を維持したまま比率を下げる形にします。
期初の合意に、時間差を書き込む
蓄積型の投資が今期の数字に出ないことを、期初に文書で合意します。
これがないと、期中の見直しで削られます。
チャネルの組み立てで判断に迷う場合は、無料相談で現状の構成を見てもらうところから始められます。獲得の経路ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
広告に依存している状態から、どう抜ければいいですか
広告を減らすのではなく、広告を止めても一定量の新規が入る状態を作る形です。まず新規契約額をチャネル別に出し、蓄積するチャネルの比率を期間を区切って上げてください。
チャネルの配分は予算の比率で決めていいですか
蓄積するチャネルは費用の大半が人件費と制作費で、金額と件数が連動しません。予算比率で見ると軽く扱われます。新規契約額の構成で割ってください。
検索からの自然流入は、どれくらいで効果が出ますか
一般に半年から1年かかります。最初の3か月は公開した量と対象の網羅率で見て、獲得件数では評価しないでください。この期間の評価基準を先に合意しておくことが必要です。
パートナー経由の獲得は月次の目標に入れてもいいですか
月ごとの件数が安定しないため、月次の目標には向きません。四半期または半期で見てください。あわせて、問い合わせの時点で経路を記録する形を作っておく必要があります。
チャネルを増やしたのに獲得が増えません
どれも立ち上がりきらない規模で分散している可能性があります。チャネルの数ではなく、新規契約額に占める広告の比率で測ってください。数を絞って1つずつ立ち上げるほうが結果として速くなります。
まとめ
- 月次で件数が読めるからです。収益が月次で積み上がる事業では、月次で件数が読めるチャネルに予算が寄ります
- 積み上がるものと、その月で消えるものに分けます。費用の大小ではなく、止めたときに何が残るかで分類します
- 新規契約額で決めます。予算の比率で決めると蓄積するチャネルが過小評価され、件数で決めると単価の低い層に寄ります
- 半年から1年かかります。その間は流入も獲得も動かないため、途中で評価すると止める判断になります
- 紹介の発生を待つ形から、条件を決めて仕組みにする形に変えられます。ただし立ち上がりは遅く、広告の代わりにはなりません
- チャネルの性質に合わせて期間を変えます。すべてを月次で評価すると、蓄積するチャネルが必ず低く出ます
- どのチャネルも立ち上がりきらない規模で分散しています。数を増やすことと、依存から抜けることは別です
- 新規契約額をチャネル別に出すところからです。件数ではなく金額で見ないと、単価の違うチャネルを比較できません