
初回の粗利ではなく、想定する来院回数の合計から決めます。
初回だけで採算を合わせようとすると、出せる金額が小さすぎて獲得が成立しません。
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目次
目次
- 一回の支払いが小さい事業で、広告費の上限をどう決めるか
- 回収までの回数から上限を組む
- 初回の価格を下げる判断は、予算のどこに影響するか
- 価格の引き下げを投資として計上する
- 月ごとの予算配分を、何に合わせるか
- 枠の見通しから配分を決める
- 経営会議で、この予算をどう説明するか
- 回収の構造を先に示す
- 既存の患者への投資を、予算にどう位置づけるか
- 別枠で確保する理由
- 予算を増やしたのに収益が伸びないときの見方
- 三つの原因を数字で分ける
- 外部に運用を預けるとき、予算のどこを手元に残すか
- 預けてよいものと握るもの
- 来期の予算組みを、いつ何から始めるか
- 追跡には十二か月分が要る
- よくある質問
- まとめ
初回の粗利ではなく、想定する来院回数の合計から決めます。
初回だけで採算を合わせようとすると、出せる金額が小さすぎて獲得が成立しません。
一回の支払いが小さい事業で、広告費の上限をどう決めるか
初回の粗利ではなく、想定する来院回数の合計から決めます。
初回だけで採算を合わせようとすると、出せる金額が小さすぎて獲得が成立しません。
広告費の上限は、一人の患者から得られる粗利から逆算します。
この粗利をどこまで含めるかで、上限が大きく変わります。
一回の支払いが小さい事業では、初回の来院だけでは獲得にかけた費用を回収できないことがあります。
二回目、三回目の来院まで含めて初めて採算が合います。
上限の計算に、この回数を織り込みます。
回収までの回数から上限を組む
許容できる獲得費用の計算
| 順番 | 出す数字 | 計算の考え方 |
|---|---|---|
| 1 | 一回の来院の平均売上 | 期間の売上 ÷ 延べ来院数 |
| 2 | 一回あたりの変動費 | 材料と人件費のうち変動する分 |
| 3 | 一回の粗利 | 1から2を引く |
| 4 | 想定する来院回数 | 過去の実績の平均 |
| 5 | 一人あたりの粗利の合計 | 3と4を掛ける |
| 6 | 許容できる獲得費用 | 5に充てる割合を掛ける |
回数の見積もりを保守的にする
過去の平均来院回数をそのまま使うと、上限が楽観的になります。
新規で獲得する層は、既存の患者より継続の割合が低いことがあります。
獲得した層だけを追いかけた実績を使うほうが、実態に近づきます。
回収の期間を同時に確認する
上限を上げると、回収までの期間が延びます。当月に出ていく費用と、数か月かけて入ってくる収益の差が、必要な運転資金になります。上限の計算と同時に、この資金の動きを確認します。
初回の価格を下げる判断は、予算のどこに影響するか
獲得費用が下がる代わりに、初回の粗利がなくなります。
実質的には、価格の引き下げ分が広告費と同じ性質の投資になります。
初回だけ低い価格を設定する形は、この事業で広く行われています。
この設定は、予算の議論では広告費と切り離して扱われがちです。
価格の引き下げを投資として計上する
通常の価格と初回の価格の差額は、その患者を獲得するために支出した金額と同じ性質を持ちます。
この差額を広告費に足した金額が、実際の一人あたりの獲得費用です。
この計算をしないと、獲得の採算を見誤ります。
獲得にかかる費用の内訳
| 費目 | 性質 | 計算に含めるか |
|---|---|---|
| 広告の出稿費用 | 直接の支出 | 含める |
| 外部への手数料 | 直接の支出 | 含める |
| 初回の価格の引き下げ分 | 逸失した粗利 | 含める |
| 初回の施術にかかる変動費 | 直接の支出 | 含める |
| 紹介に伴う費用 | 直接の支出 | 含める |
引き下げの幅を決める基準
引き下げの幅が大きいほど件数は増えますが、継続の割合は下がる傾向にあります。
幅ごとの継続率を過去の実績から出し、実質の獲得費用で比較します。
件数だけで判断すると、採算の合わない層を増やすことになります。
価格の表示に制約がある
価格の表示の方法には制約があります。何が書けるかは、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。表示の形を決める前に、医療機関側の責任者に確認します。
月ごとの予算配分を、何に合わせるか
新規に割ける枠の量に合わせます。
既存の来院で枠が埋まる時期に新規を増やすと、既存の予約が取れなくなります。
年間の予算を均等に配分する形は扱いやすい反面、枠の状況と合いません。
既存の来院が枠を占める割合は、月によって変動します。
枠の見通しから配分を決める
既存の患者の来院の間隔から、翌月に埋まる枠の量が予測できます。
提供できる枠からこの分を引いた量が、新規に割ける枠です。
この量に合わせて、広告費を配分します。
通院型の月別配分で並べる数字
| 並べるもの | 出し方 | 配分への使い方 |
|---|---|---|
| 提供できる枠の総数 | 人員と機器から算出 | 上限の把握 |
| 既存の来院で埋まる見込み | 来院の間隔から予測 | 既存分の見積もり |
| 新規に割ける枠 | 総数から既存分を引く | 獲得量の上限 |
| 季節による来院の変動 | 過去二年の月別実績 | 需要の山と谷 |
| 獲得費用の水準 | 月別の実績 | 競合が増える時期 |
季節の変動を織り込む
来院が集中する時期と、落ち着く時期があります。
集中する時期は既存の来院で枠が埋まるため、新規の獲得は絞ります。
落ち着く時期に新規を増やすと、枠の稼働を保てます。
落ち着く時期を継続の施策に回す
枠に余裕がある時期は、既存の患者の来院を促す施策に予算を回します。新規の獲得より費用がかからず、消化率の改善にもつながります。広告費を止めるのではなく、使い道を変えます。
経営会議で、この予算をどう説明するか
広告費の総額ではなく、回収までの期間と枠の稼働で説明します。
費用の増減の話にすると、削減の議論にしかなりません。
一回の支払いが小さい事業では、広告費に対する当月の売上の比率が悪く見えます。
この見え方のまま説明すると、予算が通りません。
回収の構造を先に示す
決裁の場に出す内容
| 項目 | 示す内容 |
|---|---|
| 一人あたりの獲得費用 | 価格の引き下げ分を含めた金額 |
| 一回の粗利 | 変動費を引いた後の金額 |
| 回収までの回数と期間 | 何回の来院で何か月かかるか |
| 現在の平均来院回数 | 回収に届いているかどうか |
| 枠の稼働の見通し | 新規に割ける枠の量 |
| 必要な運転資金 | 回収までの期間に必要な資金 |
当月の収支と累積の収支を分ける
当月だけを見ると、獲得を増やした月は赤字に見えます。
獲得した層が数か月後にどれだけの収益を生むかを、累積の形で示します。
この二つを並べないと、獲得の投資が止められます。
役職によって知りたいことが違う
Testifyが2026年5月に実施した調査では、外部への委託に対する不満の内容が役職で分かれていました。経営層は費用が成果に見合わないが56.3%、マーケティング責任者は成果不振の説明が不十分が53.1%です。経営層には回収の構造を、責任者には数字が動かなかったときの原因の説明を用意します。
既存の患者への投資を、予算にどう位置づけるか
新規の獲得とは別の枠として確保します。
同じ枠に入れると、短期の件数を追う判断で削られます。
既存の患者に来院を促す施策は、新規の獲得より費用対効果が高くなる傾向にあります。
それでも、予算の議論では優先順位が下がりがちです。
別枠で確保する理由
新規の獲得は、当月の件数として成果が見えます。
既存への施策は、数か月後の来院として現れます。
同じ枠で判断すると、見えやすい新規に寄ります。
予算の枠の分け方を、項目ごとに見ていきます。
新規の獲得については、使い道は広告と初回の価格の設定、評価の期間は毎月。
既存への案内については、使い道は来院を促す連絡と案内、評価の期間は四半期。
認知の投資については、使い道は院の名前を知ってもらう施策、評価の期間は半期。
検証の枠については、使い道は新しい面や新しい伝え方、評価の期間は半期。
確認の工程の予備については、使い道は掲載内容の作り直し、評価の期間は随時。
既存への施策の費用を把握する
連絡の仕組みの費用、案内の制作費、確認の工程にかかる時間。
これらを集計すると、既存への投資の規模が見えます。
費用が見えないと、効果の評価もできません。
削減の対象から外す合意を取る
期の途中で数字が苦しくなると、成果の見えにくい枠から削られます。Macbee Planetが2025年12月に行った調査では、削減の対象として消費者向け事業では継続的な顧客対応が40.7%と挙がっていました。期初の段階で、削減の対象から外すことを合意しておきます。
予算を増やしたのに収益が伸びないときの見方
枠が埋まっているのか、継続が落ちているのかを切り分けます。
どちらも広告の運用では直せません。
増額した分が成果に出ないときは、原因の切り分けを先にします。
広告の問題だと決めつけると、枠と継続の問題を見落とします。
三つの原因を数字で分ける
増額しても収益が動かないときの読み方を、項目ごとに見ていきます。
上昇については、初回からの契約率は維持、枠の稼働は余裕あり、考えられる原因は配信を広げすぎた。
維持については、初回からの契約率は低下、枠の稼働は余裕あり、考えられる原因は初回の価格で広く獲っている。
維持については、初回からの契約率は維持、枠の稼働は上限付近、考えられる原因は枠が足りていない。
維持については、初回からの契約率は維持、枠の稼働は余裕あり、考えられる原因は現場での説明が止まっている。
上昇については、初回からの契約率は低下、枠の稼働は上限付近、考えられる原因は複数の原因が重なっている。
枠が上限なら予算の話ではない
稼働が上限に近い状態で増額しても、予約が取りにくくなるだけです。
この状態で必要なのは、枠を増やす判断か、枠あたりの売上を上げる判断です。
どちらも広告の外にある議論になります。
増額は段階的に行う
一度に大きく増やすと、どの変化が何によるものか分かりません。二割から三割ずつ増やし、その都度、獲得費用と契約率の動きを見ます。効かなくなる点が見えたら、そこが現在の上限です。
外部に運用を預けるとき、予算のどこを手元に残すか
一人あたりの許容額と、新規と既存の枠の配分を自社に残します。
運用の細部を任せても、いくらまで出してよいかの判断は委ねません。
Testifyの2026年5月の調査では、全面委託と併用を合わせて九割を超える事業者が外部を活用していました。
委託する範囲の切り方で、予算の統制が変わります。
預けてよいものと握るもの
予算に関する判断の切り分けを、項目ごとに見ていきます。
一人あたりの許容額については、自社で握るは握る。
初回の価格の設定については、自社で握るは握る。
新規と既存の枠の配分については、自社で握るは握る。
配信先ごとの調整については、外部に任せるは任せる。
広告文と画像の作成については、外部に任せるは任せる。
表現の可否の最終判断については、自社で握るは握る。
許容額の根拠を共有する
許容額を伝えずに件数の目標だけを渡すと、継続しない層が増えます。
回収までの回数と、一人あたりの粗利の計算を同じ資料で共有します。
共有していれば、何を優先するかの判断が現場で揃います。
報告に継続の数字を含める
獲得費用と件数だけの報告では、継続の状況が分かりません。獲得した層の初回からの契約率と、数か月後の来院回数を報告に含めます。集計の手間がかかるため、契約の段階で取り決めます。
来期の予算組みを、いつ何から始めるか
期末の三か月前に、獲得した層の追跡の集計を始めます。
回収の実績が出ていないと、許容額の根拠が作れません。
予算組みで時間を取られるのは、金額を決める議論ではなく、材料を揃える作業です。
特に継続の実績の集計に時間がかかります。
来期の予算を組む工程を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは獲得した層の来院回数を追跡する、着手の時期は期末の三か月前。
2については、やることは価格の引き下げ分を含めた獲得費用を出す、着手の時期は期末の三か月前。
3については、やることは一人あたりの粗利の合計を算出する、着手の時期は期末の二か月半前。
4については、やることは枠の提供計画を現場と突き合わせる、着手の時期は期末の二か月半前。
5については、やることは月別の配分案と枠の分け方を決める、着手の時期は期末の二か月前。
6については、やることは決裁の資料に落として合意を取る、着手の時期は期末の一か月前。
追跡には十二か月分が要る
獲得した層が何回来院したかを見るには、獲得から十二か月の期間が必要です。
短い期間で見ると、回数が実際より少なく出ます。
最低でも一年前に獲得した層を追跡の対象にします。
毎月の点検に使う数字を決める
数字は説明のための仮の値です。
年間の広告予算を六千万円、一人あたりの許容額を二万円と置くと、想定する新規は三千人になります。
一回の粗利が八千円、平均来院回数が三回なら、一人あたりの粗利は二万四千円です。
予算の使い方を月ごとに点検する数字を、項目ごとに見ていきます。
一人あたりの獲得費用については、見る頻度は毎月、超えたときの対応は許容額と比べて配分を見直す。
初回からの契約率については、見る頻度は毎月、超えたときの対応は獲得の対象を見直す。
枠の稼働率については、見る頻度は毎月、超えたときの対応は新規の量を増やすか絞るか。
既存への施策の消化額については、見る頻度は四半期、超えたときの対応は使い切れていなければ計画を見直す。
消化率については、見る頻度は毎月、超えたときの対応は収益の実現の速度。
累積の回収額については、見る頻度は四半期、超えたときの対応は許容額の再設定に使う。
残額の使い方を先に決めておく
期末に予算が残ると、使い切るための出稿が始まります。
この出稿は成果が読めないまま行われることが多く、翌期の判断材料になりません。
残りそうだと分かった時点で、既存への施策に回す手順を決めておきます。
計算の前提を文書に残す
許容額をどう出したか、どの期間の実績を使ったか。
この前提が残っていないと、翌期に同じ議論を最初からやり直します。
予算の根拠が作れない場合は、無料相談で獲得した層の追跡から相談できます。回収の設計ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
広告費の上限はどう決めればいいですか
初回の粗利ではなく、想定する来院回数の合計から決めてください。一回の粗利に平均来院回数を掛けた金額が一人あたりの粗利です。初回だけで採算を合わせようとすると、出せる金額が小さすぎて獲得が成立しません。
初回の価格を下げる分は予算にどう扱いますか
通常の価格との差額は、その患者を獲得するために支出した金額と同じ性質を持ちます。広告費に足した金額が実際の獲得費用です。この計算をしないと採算を見誤ります。引き下げの幅ごとに継続率を出して比較してください。
月ごとの予算はどう配分しますか
新規に割ける枠の量に合わせてください。既存の患者の来院の間隔から翌月に埋まる枠を予測し、提供できる枠から引いた量が新規の上限です。来院が集中する時期は新規を絞り、落ち着く時期に増やす形になります。
経営会議でどう説明すれば通りますか
広告費の総額ではなく、回収までの回数と期間、枠の稼働の見通しで説明してください。当月の収支と、獲得した層の累積の収支を分けて示します。この二つを並べないと、獲得への投資が当月の赤字として止められます。
既存の患者への施策の予算はどう確保しますか
新規の獲得とは別の枠として確保し、期初の段階で削減の対象から外すことを合意してください。同じ枠に入れると、当月の件数として成果が見える新規に寄り、数か月後に現れる既存への投資が削られます。
まとめ
- 初回の粗利ではなく、想定する来院回数の合計から決めます。初回だけで採算を合わせようとすると、出せる金額が小さすぎて獲得が成立しません
- 獲得費用が下がる代わりに、初回の粗利がなくなります。実質的には、価格の引き下げ分が広告費と同じ性質の投資になります
- 新規に割ける枠の量に合わせます。既存の来院で枠が埋まる時期に新規を増やすと、既存の予約が取れなくなります
- 広告費の総額ではなく、回収までの期間と枠の稼働で説明します。費用の増減の話にすると、削減の議論にしかなりません
- 新規の獲得とは別の枠として確保します。同じ枠に入れると、短期の件数を追う判断で削られます
- 枠が埋まっているのか、継続が落ちているのかを切り分けます。どちらも広告の運用では直せません
- 一人あたりの許容額と、新規と既存の枠の配分を自社に残します。運用の細部を任せても、いくらまで出してよいかの判断は委ねません
- 期末の三か月前に、獲得した層の追跡の集計を始めます。回収の実績が出ていないと、許容額の根拠が作れません