
どの相談を主軸にするかを先に決めてください。
特許と商標では、相談してくる相手も、単価も、依頼の頻度もまったく違います。
両方を同じ見せ方で扱うと、どちらの相手にも届きません。
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目次
目次
- 弁理士事務所が最初に決めるべきことは何か
- 軸を決めないと、どちらにも見えなくなる
- どこから相談が来ているのかをどう把握するのか
- 記録するのは四つだけでいい
- 中小企業に知財の必要性をどう伝えるのか
- 制度ではなく、場面から書く
- オンライン出願サービスと比べられたときにどう答えるのか
- 違いは調べることと判断することにある
- 既存の顧問先との関係をどう保つのか
- 担当者ではなく、組織に知られる
- 商標の相談をどう受け止めるのか
- 相談の前に何がわかるかを書いておく
- 弁理士1人あたりの案件数に上限があるなかで、どう考えるのか
- 上限を数えてから、集める量を決める
- 何から手をつければいいのか
- 最初の一つは今日から始められる
- よくある質問
- まとめ
どの相談を主軸にするかを先に決めてください。
特許と商標では、相談してくる相手も、単価も、依頼の頻度もまったく違います。
両方を同じ見せ方で扱うと、どちらの相手にも届きません。
弁理士事務所が最初に決めるべきことは何か
どの相談を主軸にするかを先に決めてください。
特許と商標では、相談してくる相手も、単価も、依頼の頻度もまったく違います。
両方を同じ見せ方で扱うと、どちらの相手にも届きません。
弁理士事務所の仕事は、外から見ると知的財産の手続きをする人でひとくくりにされます。
しかし実際には、企業の知財部と長く付き合う特許の仕事と、個人や小規模事業者から単発で来る商標の仕事とでは、まるで別の商売です。
特許は1件あたりの出願費用が大きく、登録後の年金管理が継続収益になります。
一方で企業の知財予算は縮小傾向にあり、出願件数そのものが減っています。
既存の顧問先との関係を守ることが、そのまま売上の土台になります。
商標は単価こそ小さいものの、個人や小規模事業者からの直接相談が増えています。
商標登録 費用といった検索から、面識のない相手が問い合わせてくる入口があります。
軸を決めないと、どちらにも見えなくなる
特許の顧問先に向けた見せ方は、技術分野の深さと、権利化までの体制を語るものになります。
商標の初めての相談者に向けた見せ方は、費用がいくらで、どれくらいの期間がかかるかを、専門用語なしで説明するものになります。
この二つを一枚のページに混ぜると、企業の知財担当者には小口をやっている事務所に見え、初めての相談者には自分には縁がなさそうに見えます。
どちらを主軸にするかを決めて、もう一方は別の入口として分けてください。
立ち位置を決める三つの軸
| 軸 | 選択肢 | その選択で変わること |
|---|---|---|
| 主軸の業務 | 特許中心/商標中心/両輪 | 見せる実績と、書く言葉の難易度 |
| 相手の規模 | 企業の知財部/中小企業/個人・小規模事業者 | 費用の書き方と、問い合わせの導線 |
| 技術分野 | 特定分野に絞る/分野を問わない | 指名で選ばれるか、価格で比べられるか |
絞ることを怖がらなくていい
技術分野を絞ると仕事が減ると感じるかもしれません。実際には逆で、分野を絞った事務所のほうが、その分野の企業から指名で相談が来ます。分野を問わないと書くことは、選ぶ側にとっては何の情報にもなりません。
どこから相談が来ているのかをどう把握するのか
問い合わせを受けたときに、何を見て連絡してきたかを必ず聞いて記録してください。
紹介なのか、検索なのか、過去の顧問先からの再依頼なのかで、次に手をつけるべき場所が変わります。
弁理士事務所の相談の入口は、大きく分けて三つです。
既存顧問先からの継続依頼、他士業や取引先からの紹介、そして検索からの直接の問い合わせです。
この三つの比率を把握していない事務所は少なくありません。
紹介が多い気がするという感覚と、実際の数字がずれていることはよくあります。
記録するのは四つだけでいい
複雑な仕組みは必要ありません。
問い合わせがあったときに、次の四つを書き留めるだけで十分です。
問い合わせのときに記録する項目
| 項目 | 聞き方の例 | 後で使えること |
|---|---|---|
| きっかけ | 何をご覧になってご連絡いただきましたか | どの入口が効いているか |
| 相談の中身 | 特許か商標か、出願前か係争中か | どの業務の需要があるか |
| 相手の立場 | 企業の知財担当か、経営者本人か | 言葉の難易度の調整 |
| 受任に至ったか | 見積り後に契約したか | 入口ごとの成約率 |
数字は自社で確かめる
ここで大事なのは、他所の平均値を持ち込まないことです。
検索からの問い合わせは成約率が低いといった一般論は、あなたの事務所には当てはまらないかもしれません。
三か月も記録を続ければ、自分の事務所の傾向が見えてきます。
半年分たまると、紹介が減っているのか、検索が伸びているのかがわかります。その時点で初めて、どこに手を入れるかを判断できます。
中小企業に知財の必要性をどう伝えるのか
権利の話から入らず、その企業が実際に困る場面から書いてください。
中小企業の多くは知財を必要だと思っていないので、制度の説明では動きません。
中小企業の経営者に特許を取りましょうと言っても、多くの場合は響きません。
出願にかかる費用と、それで何が守られるのかが結びついていないからです。
一方で、次のような場面に直面したときには、突然切実になります。
自社の商品名を他社に先に登録されていた。
取引先から特許の有無を聞かれた。
展示会に出す前に模倣が心配になった。
制度ではなく、場面から書く
事務所が発信する内容を、制度の解説から場面の解説に切り替えてください。
商標権とはという見出しよりも、自社の商品名を他社に取られたらどうなるかのほうが、読み手の手が止まります。
伝え方を変える例
| よくある書き方 | 場面から書いた場合 |
|---|---|
| 商標登録の手続きの流れ | 自社の名前が使えなくなるのはどういうときか |
| 特許制度の概要 | 取引先から特許を聞かれたときに何を答えるか |
| 先行技術調査の重要性 | 展示会に出す前に何を確認しておくか |
費用を先に書く
中小企業が問い合わせをためらう最大の理由は、いくらかかるかわからないことです。おおよその費用の幅を先に示してください。正確な金額は案件によりますが、幅すら書いていないページは、電話をかける気を削ぎます。
オンライン出願サービスと比べられたときにどう答えるのか
価格だけで戦わず、何が含まれていないかを具体的に示してください。
安いサービスと同じ土俵で値段を下げると、事務所の仕事が成り立たなくなります。
商標の分野では、低価格のオンライン出願サービスとの比較が避けられません。
これより高いのはなぜですかと聞かれることも増えています。
ここで値引きに応じるのは得策ではありません。
価格で選ぶ相手は、次も価格で離れていきます。
違いは調べることと判断することにある
出願書類を作って提出するだけなら、価格の差は説明しにくいものです。
差が出るのは、出願前に何を調べ、何を判断するかの部分です。
先行して似た登録がないかを調べること。
区分の選び方によって、後で守れる範囲が変わること。
拒絶理由が来たときに、どう反論するか。
こうした部分は、書類を作る作業ではなく、判断する仕事です。
この違いを、専門用語を使わずに書いてください。
説明の仕方の例
| 相手の疑問 | 答え方の方向 |
|---|---|
| なぜ価格が違うのか | 出願の前に何を調べるかが違うこととして説明する |
| 自分でもできるのではないか | できる場合とできない場合を正直に分けて示す |
| 通らなかったらどうなるのか | 拒絶理由が来たときの対応まで含まれることを示す |
自分でやったほうがいい場合も正直に言う
すべての案件を受任しようとすると、説明が不誠実になります。単純な案件であれば自分で出願できることを認めたうえで、判断が要る場面を示したほうが、結果として信頼されます。
既存の顧問先との関係をどう保つのか
出願が終わった後も、定期的に接点を持ってください。
企業の知財担当者は異動があるため、担当が変わると関係が切れることがあります。
特許の仕事は、いったん顧問先になると長く続きます。
出願から権利化まで数年、その後の年金管理を含めれば、十年以上の付き合いになることもあります。
しかしこの関係は、思ったほど安定していません。
企業の知財担当者が異動すると、新しい担当者は前任者の選んだ事務所を引き継ぐとは限らないからです。
担当者ではなく、組織に知られる
窓口の担当者ひとりとだけやり取りしていると、その人がいなくなった時点で関係が薄くなります。
年に一度でも、経営層や別の部署に届く形で情報を出しておくと、担当が変わっても事務所の名前が残ります。
具体的には、次のような接点が考えられます。
年に一度の出願状況の報告書。
その企業の技術分野に関わる制度変更の案内。
社内向けの勉強会の申し出。
制度の話は最新の情報で確認する
知的財産の制度は改正があります。
案内を出すときには、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
古い内容のまま出すと、かえって信頼を損ないます。
出願後の接点の例を、項目ごとに見ていきます。出願直後については、内容は進行状況の共有、狙いはやり取りを続ける。年に一度については、内容は保有権利の一覧と、更新時期の案内、狙いは忘れられないようにする。制度の変更時については、内容はその企業に関係する部分だけを抜き出して案内、狙いは必要とされていることを示す。
商標の相談をどう受け止めるのか
問い合わせの入口を、電話だけにしないでください。
個人や小規模事業者は、電話で専門家に話すことに抵抗を感じます。
商標の相談は、個人や小規模事業者から直接来ることが増えています。
店の名前、商品の名前、サービスの名前を守りたいという、はっきりした目的を持った相談です。
この層は、士業の事務所に電話をかけることに心理的なハードルを感じます。
何を聞かれるかわからない。
話し方がわからない。
断りにくくなるのではないか。
相談の前に何がわかるかを書いておく
問い合わせフォームに加えて、相談の前に自分で確認できる情報を置いてください。
似た名前が既に登録されていないかの調べ方。
費用のおおよその幅。
登録までにかかる期間の目安。
ここまで自分で調べられると、問い合わせてくる相手の質が変わります。
基本的な説明に時間を使わずに済み、本題から話せます。
商標の相談の入口を整えるを、項目ごとに見ていきます。
費用の目安の表については、それによって減ることは見積りだけの問い合わせ。
手続きの流れの説明については、それによって減ることは制度の基本的な質問。
相談前に準備してほしいものの一覧については、それによって減ることはやり取りの往復。
即答できない質問への備え
この名前は登録できますかという質問には、その場で答えられないことがほとんどです。答えられない理由と、調べればいつ答えられるかを先に書いておくと、やり取りが滞りません。
弁理士1人あたりの案件数に上限があるなかで、どう考えるのか
受けられる件数には限りがあるので、単価と件数のどちらを取るかを決めてください。
すべての相談を受けようとすると、期限の管理が危うくなります。
弁理士事務所の仕事は、期限に縛られています。
出願の期限、応答の期限、更新の期限。
どれも遅れが許されません。
だからこそ、案件数には現実的な上限があります。
その上限を超えて受けると、品質ではなく期限の管理のほうが先に壊れます。
上限を数えてから、集める量を決める
いま何件を抱えているか。
弁理士1人あたり、無理なく回せる件数は何件か。
ここを数えないまま集客だけを増やすと、受けきれない問い合わせが増えて、断る手間が増えるだけになります。
ここに挙げる考え方の数字は、説明のための仮の値です。
たとえば月に新規で受けられるのが5件だとして、いま問い合わせが月8件あるなら、集客を増やす前に単価を上げるか、断り方を整えるほうが先です。
上限を超えたときの選択肢を、項目ごとに見ていきます。
単価を上げるについては、向いている状況は断る案件が増えている、注意点は既存顧問先への説明が必要。
業務を絞るについては、向いている状況は特定分野の相談が多い、注意点はそれ以外の入口を閉じることになる。
体制を増やすについては、向いている状況は継続的に案件が余っている、注意点は採用と教育に時間がかかる。
断ることも仕事のうち
受けられない案件を無理に受けるより、他の事務所を紹介するほうが、長い目で見て評判につながります。分野が違う、期限が迫りすぎている、そうした理由は正直に伝えてかまいません。
何から手をつければいいのか
まず問い合わせの記録を始めて、次に費用の目安を出してください。
順番を守れば、少ない手間で見える変化が出ます。
ここまでの内容を、着手できる順番に並べます。
全部を同時に始める必要はありません。
着手の順番を、項目ごとに見ていきます。
1については、やることは問い合わせのきっかけを記録する仕組みを作る、かかる時間の目安は半日。
2については、やることは商標と特許で入口のページを分ける、かかる時間の目安は2週間。
3については、やることは費用の目安を数字の幅で出す、かかる時間の目安は1週間。
4については、やることは中小企業向けに、場面から書いた記事を用意する、かかる時間の目安は1か月。
5については、やることは既存顧問先に年一回の報告を出す形を作る、かかる時間の目安は1か月。
ここに挙げた時間の目安は、説明のための仮の値です。
事務所の体制によって前後します。
最初の一つは今日から始められる
問い合わせの記録は、紙でもかまいません。
電話を受けたときに何をご覧になってご連絡いただきましたかと一言聞くだけです。
この一言を三か月続けると、どこに手を入れるべきかが自分で判断できるようになります。
自分の事務所に合うかを確かめたいとき
ここに書いたことは一般的な考え方であって、事務所の規模や扱う分野によって優先順位は変わります。どこから手をつけるべきか判断がつかない場合は、<a href="https://time-value.jp/contact/">無料診断</a>で現状を整理するところから始めてください。既に集客の取り組みを進めていて、成果が伸び悩んでいる場合は<a href="https://time-value.jp/services/kaizen/">Web集客改善サービス</a>もあります。
よくある質問
特許と商標のどちらを主軸にすべきですか
いま売上の大きい方ではなく、これから増やしたい方を主軸にしてください。特許は既存顧問先との関係が土台になり、商標は新規の問い合わせが入口になります。どちらを伸ばしたいかで、見せ方が変わります。
技術分野を絞ると仕事が減りませんか
絞った分野の企業から指名で相談が来るようになるため、総量としては減らないことが多いです。分野を問わないという書き方は、選ぶ側にとって判断材料になりません。
低価格のオンラインサービスにどう対抗すればいいですか
価格を下げるのではなく、出願の前に何を調べ、何を判断するかの違いを示してください。専門用語を使わずに、含まれているものと含まれていないものを並べるとわかりやすくなります。
中小企業向けの発信は何を書けばいいですか
制度の解説ではなく、困る場面から書いてください。自社の名前を他社に登録されたらどうなるか、取引先から特許を聞かれたら何を答えるか、といった書き方です。
既存の顧問先との関係を保つには何をすればいいですか
窓口の担当者ひとりだけでなく、組織に届く形で年に一度は接点を持ってください。担当者が異動しても事務所の名前が残ります。制度の案内を出すときは、掲載時点の最新の公式ガイドラインで確認してください。
まとめ
- どの相談を主軸にするかを先に決めてください。特許と商標では、相談してくる相手も、単価も、依頼の頻度もまったく違います。両方を同じ見せ方で扱うと、どちらの相手にも届きません
- 問い合わせを受けたときに、何を見て連絡してきたかを必ず聞いて記録してください。紹介なのか、検索なのか、過去の顧問先からの再依頼なのかで、次に手をつけるべき場所が変わります
- 権利の話から入らず、その企業が実際に困る場面から書いてください。中小企業の多くは知財を必要だと思っていないので、制度の説明では動きません
- 価格だけで戦わず、何が含まれていないかを具体的に示してください。安いサービスと同じ土俵で値段を下げると、事務所の仕事が成り立たなくなります
- 出願が終わった後も、定期的に接点を持ってください。企業の知財担当者は異動があるため、担当が変わると関係が切れることがあります
- 問い合わせの入口を、電話だけにしないでください。個人や小規模事業者は、電話で専門家に話すことに抵抗を感じます
- 受けられる件数には限りがあるので、単価と件数のどちらを取るかを決めてください。すべての相談を受けようとすると、期限の管理が危うくなります
- まず問い合わせの記録を始めて、次に費用の目安を出してください。順番を守れば、少ない手間で見える変化が出ます