
生産の発注は半年以上前に、広告の配分は期初に決まるからです。
決まる時期が離れているため、同じ表に並ぶ機会がありません。
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目次
目次
- アパレルECの広告予算が、シーズンの計画と合わなくなるのはなぜか
- ずれが表面化する時期
- シーズンの広告予算は、どの単位で組み立てるのか
- 段階ごとに枠を固定する
- 生産計画と広告予算を、同じ表に載せるにはどうするのか
- 表が運用されない理由
- シーズン中の追加投下は、何を見て判断するのか
- 投下を止める判断の基準
- 在庫の処理にかかる費用は、どう予算に入れるのか
- 持ち越すか処理するかの判断
- 広告費を増やす稟議は、アパレルECではどう説明するのか
- 増額しない案も並べる
- 外部に予算の配分を任せるとき、アパレルECでは何を渡すのか
- 渡す頻度と窓口
- アパレルECの予算設計は、何から着手すればいいのか
- シーズン中の変更への備え
- よくある質問
- まとめ
生産の発注は半年以上前に、広告の配分は期初に決まるからです。
決まる時期が離れているため、同じ表に並ぶ機会がありません。
アパレルECの広告予算が、シーズンの計画と合わなくなるのはなぜか
生産の発注は半年以上前に、広告の配分は期初に決まるからです。
決まる時期が離れているため、同じ表に並ぶ機会がありません。
アパレルの生産の発注は、シーズンのかなり前に固まります。
素材の調達と縫製の期間があるためです。
広告予算は、期初の計画で年間の枠として配分されます。
月ごとの配分は、その後に決まります。
決まる時期が離れているため、投入する在庫の量と広告の投下が対応しません。
多く作った商品群に、広告が入っていないことが起きます。
逆に、少なく作った群に投下が集中することもあります。
すぐ欠品し、投下が無駄になります。
もう1つの理由が、稟議の単位の違いです。
生産は品番と数量で語られ、広告は媒体と金額で語られます。
単位が違うと、同じ会議に出しても比較になりません。
比較にならない資料は、別々に承認されていきます。
ずれが表面化する時期
ずれが最初に出るのは、シーズンの立ち上がりです。
投入した在庫と、確保している広告の枠が噛み合っていないことが判明します。
次に出るのが、シーズン後半の値引きです。
消化が遅れた在庫を処理する原資が、予算に入っていません。
三つ目が、翌シーズンの生産の判断です。
品番ごとの広告の投下が記録されていないと、売れたのか売ったのかを区別できません。
生産の発注と広告の配分は決まる時期が離れています。同じ表に並べる場を作らないと、投入と投下が対応しません。
シーズンの広告予算は、どの単位で組み立てるのか
媒体別ではなく、商品群とシーズンの段階で組み立てます。
立ち上げ、消化の推進、在庫の処理の3つが段階になります。
媒体別に予算を組むと、稟議の説明が媒体の都合になります。
なぜその媒体にその金額なのかを、事業の言葉で説明できません。
商品群とシーズンの段階で組むと、説明の順序が変わります。
どの群を、どの段階で、どれだけ動かしたいかという話から始められます。
段階は3つです。
立ち上げ、消化の推進、在庫の処理です。
立ち上げは、シーズンの初期に投入した商品を知らせる段階です。
この段階の投下が遅れると、シーズン全体の消化も遅れます。
消化の推進は、中盤に進み具合を見ながら配分する段階です。
遅れている群に寄せる判断を、週次で行います。
在庫の処理は、後半に残った在庫を現金に戻す段階です。
通常の獲得とは別の枠として持ちます。
アパレルECの広告予算を組み立てる段階
| 段階 | 時期 | 目的 | 評価の数字 |
|---|---|---|---|
| 立ち上げ | シーズンの初期 | 投入した商品を知らせる | 定価での初期消化 |
| 消化の推進 | シーズンの中盤 | 遅れた群を動かす | 群ごとの消化の進捗 |
| 在庫の処理 | シーズンの後半 | 残在庫を現金に戻す | 回収できた金額 |
| 通年の獲得 | 通年 | 新規顧客の獲得 | 返品後の粗利 |
| 認知 | 通年 | ブランドの想起 | 指名の検索数 |
段階ごとに枠を固定する
3つの段階を1つの枠で運用すると、後半に寄ります。
後半は値引きがあるため、効率が良く見えるからです。
立ち上げの枠は、金額で先に確保してください。
確保しないと、前年の実績に基づいて後半に配分されます。
在庫の処理の枠も、生産計画が固まった時点で見込み額を置きます。
実際に使わなければ返せばよく、置いていないと後半に原資がありません。
予算は商品群とシーズンの段階で組みます。立ち上げの枠は、金額で先に確保してください。
生産計画と広告予算を、同じ表に載せるにはどうするのか
商品群ごとに、投入の時期と数量と広告の投下額を週単位で並べます。
週単位にするのは、シーズン中の在庫の動きが速いためです。
同じ表に載せるために必要なのは、共通の行を決めることです。
商品群を行にすれば、生産側も広告側も同じ粒度で書けます。
列は週にします。
シーズン中の在庫の動きが速いため、月では粗すぎます。
この表を作る時期は、生産計画が固まった直後です。
広告予算の配分を決める前に作らないと、並べる意味がありません。
作った時点で、投入の週と広告の投下の週のずれが見えます。
ずれが大きい群は、投入を早めるか投下を後ろにずらすかの判断になります。
判断の主体は、商品部とマーケティングのどちらか一方ではありません。
この表を見る場を、シーズンの前に設けてください。
表を持つことのもう1つの効用は、シーズン後の説明です。
消化が遅れた群に広告が入っていたかが、記録として残ります。
生産計画と広告予算を並べる表の作り方
| 行と列 | 入れる内容 | 出どころ | 更新の頻度 |
|---|---|---|---|
| 行 | 商品群 | 生産の投入計画 | シーズンごと |
| 列 | 週 | シーズンの期間 | 固定 |
| 投入 | 週ごとの投入数量 | 発注済みの情報 | 週次 |
| 消化見込み | 週ごとの販売見込み | 過去のシーズンの実績 | 週次 |
| 広告投下 | 週ごとの投下予定額 | 広告予算の枠 | 週次 |
表が運用されない理由
多いのは、表の更新が誰の仕事か決まっていないケースです。
作成者を決めないと、シーズンの初回だけ作られて更新されません。
次に多いのが、数字の粒度が部門間で違うケースです。
生産が数量で、マーケティングが金額で書くと、同じ行に並びません。
粒度を揃えるには、消化見込みを金額でも書くと決めるだけで足ります。
数量と金額の両方を持てば、どちらの部門も自分の言葉で読めます。
商品群を行、週を列にした1枚を、シーズンの前に作ってください。作成者と更新頻度を決めないと、初回だけで止まります。
シーズン中の追加投下は、何を見て判断するのか
商品群ごとの消化の進捗と、サイズの残り方を見ます。
獲得単価の変化だけで判断すると、在庫都合の悪化を運用の失敗と取り違えます。
シーズン中の予算の調整は、週次で行います。
在庫の動きが速く、月次では対応が遅れるためです。
見るのは、商品群ごとの消化の進捗です。
計画より遅れている群があれば、そこに投下を寄せます。
同時に、サイズの残り方も見ます。
主要なサイズが欠けている群は、投下しても購入率が上がりません。
この2つを見たうえで、獲得単価の変化を解釈します。
順序を逆にすると、在庫の事情を運用の問題として処理してしまいます。
追加の投下先を決めたら、原資をどこから出すかも決めます。
別の群から移すか、処理の枠から前倒しで使うかです。
決めずに追加すると、シーズン全体の枠を超えます。
超えた分は、後半の処理の原資から削られます。
投下を止める判断の基準
投下を止める判断も、同じ週次で行います。
主要なサイズが欠けた時点が、基準になります。
基準を数字で決めておくと、都度の会議が不要になります。
主要サイズの在庫が一定を下回ったら止める、という形です。
止めた分の予算は、その週のうちに別の群へ移します。
翌週に繰り越すと、シーズンの投下計画から外れていきます。
追加投下は消化の進捗とサイズの残り方で判断します。獲得単価の変化は、その後に解釈する数字として扱ってください。
在庫の処理にかかる費用は、どう予算に入れるのか
別枠で確保し、回収できた金額で評価します。
通常の獲得枠から出すと、獲得の採算が見えなくなります。
シーズンの後半には、残った在庫の処理が必要になります。
処理には、値引きと広告の両方の費用がかかります。
この費用を通常の獲得枠から出すと、悪化した効率が獲得の評価に混ざります。
混ざると、獲得の実力が分からなくなります。
別枠にすると、処理の費用が単独で見えます。
いくらかけて、いくらの在庫を現金に戻したかという形で評価できます。
この評価軸は、獲得の評価軸とは別物です。
回収できた金額と、次シーズンに持ち越す場合の費用を比べる判断になります。
処理の意思決定は、商品部とマーケティングと経理の3者で行います。
値引き幅の決定に、原価と在庫の評価の情報が要るためです。
処理を始める時期の基準も、先に決めておきます。
シーズンの何週目から対象にするか、という線を置く形です。
在庫の処理を別枠で扱う形
| 項目 | 通常の獲得 | 在庫の処理 |
|---|---|---|
| 予算の出どころ | 獲得枠 | 処理枠 |
| 主に見る数字 | 返品後の粗利 | 回収できた金額 |
| 判断する人 | マーケ責任者 | 商品部とマーケと経理 |
| 値引きの扱い | 原則行わない | 処理の手段として使う |
| 期間 | シーズン全体 | 後半の対象期間 |
持ち越すか処理するかの判断
残った在庫を次のシーズンに持ち越す選択もあります。
定番に近い商品であれば、持ち越しが成立します。
判断の材料は、保管の費用と、翌シーズンに定価で売れる見込みです。
見込みが低ければ、処理するほうが回収額は大きくなります。
この判断を先送りすると、翌年も同じ在庫が残ります。
時期の基準を数字で置いて、自動的に議題に上がる形にしてください。
在庫の処理は別枠の予算で行い、回収できた金額で評価します。持ち越すかどうかの判断も、時期の基準で議題に上げてください。
広告費を増やす稟議は、アパレルECではどう説明するのか
売上の増分ではなく、定価消化の割合の改善で説明します。
消化が早まれば、後半の値引きが減り粗利が残ります。
稟議が止まる理由は、金額の大きさではありません。
増分の説明が売上で行われ、粗利の話になっていないことです。
アパレルでは、同じ売上でも定価で売れたかどうかで粗利が大きく違います。
広告の効用は、定価で売れる期間の消化を増やすことにあります。
説明の形は、3つの数字を並べることです。
追加で投じる金額、定価消化の割合の改善見込み、それによる粗利の増分です。
数字は説明のための仮の値です。
投入1万点で定価消化が60%のところを、追加300万円で65%に上げられるとします。
1点あたりの定価と値引き後の価格の差が3,000円であれば、500点分で150万円の粗利増です。
この場合、投じた額を下回るため成立しません。
この計算をすると、議論が具体的になります。
どれだけ改善すれば見合うかが、その場で分かります。
増額しない案も並べる
増額が通らない前提の案も、同じ資料に入れてください。
現状の予算のまま配分を変えた場合の見込みです。
配分変更の案では、削る枠を明示します。
削る枠を書かない案は、実行の段階で結局どこも削られません。
この案があると、稟議の場が二択になります。
増やすかどうかではなく、どちらの案を採るかという議論に変わります。
増額の説明は売上ではなく、定価消化の割合の改善と粗利の増分で行ってください。
外部に予算の配分を任せるとき、アパレルECでは何を渡すのか
商品群ごとの消化の進捗と、サイズの在庫の状態です。
渡さないと、獲得単価の良い商品に配分が寄ります。
広告予算の配分を代理店に任せる企業は多くあります。
Testifyが2026年5月14日から18日に実施した調査では、回答者の9割超が代理店を活用していました。
同じ調査では満足度が82.6%だった一方、約2割が不満を持っていました。
経営層の不満で最も多いのは「費用が成果に見合わない」で56.3%です。
アパレルECでこの不満が出るのは、消化の情報が渡っていないときです。
渡していなければ、外部は獲得単価の良い商品に寄せるしかありません。
獲得単価の良い商品は、多くの場合すでに売れている商品です。
投下しなくても消化が進む群に、費用を使うことになります。
渡すべき情報は3つです。
商品群ごとの消化の進捗、サイズの在庫の状態、段階ごとの枠の額です。
粗利率そのものを出せない場合は、商品群ごとの許容獲得単価だけを渡す方法もあります。
内訳を出さずに、判断の基準は揃います。
渡す頻度と窓口
消化の進捗とサイズの在庫は、週次で渡します。
月次だと、シーズン中の対応が間に合いません。
窓口は1か所に決めてください。
商品部が直接渡すと、マーケティング側に判断の記録が残りません。
渡す形式も固定します。
形式が毎回変わると、外部側の運用にも負担がかかります。
渡すのは消化の進捗とサイズの在庫と枠の額です。週次で、1か所の窓口から渡してください。
アパレルECの予算設計は、何から着手すればいいのか
生産計画の確定時期を確認するところからです。
その時期が分かれば、広告予算を並べる場をいつ作ればよいかが決まります。
予算設計で最初にやるのは、金額の議論ではありません。
生産計画がいつ固まるかを確認し、その直後に広告予算を組む段取りを作ることです。
段取りが決まれば、必要な資料も決まります。
商品群の定義、投入の計画、過去のシーズンの消化の実績の3つです。
商品群の定義は、投入の単位に揃えます。
揃っていないと、生産側と広告側で行が並びません。
過去のシーズンの消化の実績は、週ごとに出します。
週ごとの消化の形が、投下の時期を決める材料になります。
枠の配分は、立ち上げ、消化の推進、在庫の処理、通年の獲得、認知の順に埋めます。
残額で認知を置かず、固定額として先に確保してください。
アパレルECの予算設計に着手する順番
| 順番 | やること | 関わる部門 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 生産計画の確定時期を確認する | 商品部 | 1週間 |
| 2 | 商品群を投入の単位で定義する | 商品部とマーケ | 2週間 |
| 3 | 過去のシーズンの週ごとの消化を出す | マーケと商品部 | 2週間 |
| 4 | 投入計画と広告投下を1枚に並べる | 商品部とマーケ | 1週間 |
| 5 | 段階ごとの枠に金額を置く | マーケ責任者 | 1週間 |
| 6 | 定価消化の改善見込みを添えて稟議に出す | 経営 | 2週間 |
数字は説明のための仮の値です。
立ち上げの枠に1シーズン2,000万円を置き、想定の獲得単価が5,000円なら、4,000人の新規を見込む計算になります。
この4,000人が、定価での初期消化にどれだけ寄与するかを実績で確認します。
確認の結果が、翌シーズンの枠の根拠になります。
着手から稟議までは、全体で8週間前後が目安です。
生産計画の確定がシーズンの半年前なら、その前から準備を始めることになります。
シーズン中の変更への備え
生産計画はシーズン中にも変わります。
追加生産や、入荷の遅れが起きるためです。
変更に備えて、枠の1割程度を配分せずに残してください。
残していないと、変更のたびに既存の枠を削ることになります。
残した分の使い道は、シーズンの中盤で判断します。
使われなければ、その時点で処理の枠に回せばよい扱いです。
着手点は生産計画の確定時期の確認です。商品群を投入の単位で定義し、枠の1割は配分せずに残してください。
アパレルECの広告予算の決め方で判断に迷う場合は、無料相談で現状の配分を見てもらうところから始められます。
生産計画との接続ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
アパレルECの広告予算は、媒体別に組んではいけませんか
稟議の単位としては向きません。なぜその媒体にその金額なのかを事業の言葉で説明できないためです。商品群とシーズンの段階で枠を作り、媒体の内訳はその下の実行計画として運用側に残してください。
生産計画と広告予算は、いつ並べればいいですか
生産計画が固まった直後です。広告予算の配分を決める前に並べないと意味がありません。商品群を行、週を列にして、投入の数量と消化見込みと広告の投下額を1枚に書き出してください。
シーズン中の追加投下は、何を見て決めますか
商品群ごとの消化の進捗と、サイズの残り方です。主要なサイズが欠けている群は、投下しても購入率が上がりません。獲得単価の変化は、この2つを見た後に解釈する数字として扱ってください。
在庫の処理にかかる費用は、通常の予算から出してよいですか
別枠にしてください。処理は採算が通常の獲得より悪く、同じ枠に入れると獲得の実力が見えなくなります。別枠にすれば、いくらかけていくら現金に戻したかという形で単独に評価できます。
広告費の増額を稟議に通すには、何を示せばいいですか
売上の増分ではなく、定価消化の割合の改善と、それによる粗利の増分です。定価と値引き後の価格の差に、改善する点数を掛ければ増分が出ます。あわせて、増額しない場合の配分変更案も並べてください。
まとめ
- 生産の発注は半年以上前に、広告の配分は期初に決まるからです。決まる時期が離れているため、同じ表に並ぶ機会がありません
- 媒体別ではなく、商品群とシーズンの段階で組み立てます。立ち上げ、消化の推進、在庫の処理の3つが段階になります
- 商品群ごとに、投入の時期と数量と広告の投下額を週単位で並べます。週単位にするのは、シーズン中の在庫の動きが速いためです
- 商品群ごとの消化の進捗と、サイズの残り方を見ます。獲得単価の変化だけで判断すると、在庫都合の悪化を運用の失敗と取り違えます
- 別枠で確保し、回収できた金額で評価します。通常の獲得枠から出すと、獲得の採算が見えなくなります
- 売上の増分ではなく、定価消化の割合の改善で説明します。消化が早まれば、後半の値引きが減り粗利が残ります
- 商品群ごとの消化の進捗と、サイズの在庫の状態です。渡さないと、獲得単価の良い商品に配分が寄ります
- 生産計画の確定時期を確認するところからです。その時期が分かれば、広告予算を並べる場をいつ作ればよいかが決まります