アパレルECのマーケと営業の連携|対立が起きる理由と解き方

売れなかった責任が、商品の企画にも集客にも置けるからです。
品番ごとの広告の投下が記録されていないと、切り分ける材料がありません。
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目次
目次
- アパレルECで、マーケティングとMDの対立はどこから始まるのか
- 対立が最も強く出る時期
- MDとマーケティングは、どの数字を共有するのか
- 数字を共有しても揃わないとき
- 生産の数量は、広告の計画とどう合わせるのか
- サイズ別の配分に渡す情報
- シーズン中の在庫の動きに、どう対応するのか
- 追加生産の判断を早める
- 残った在庫の処理は、どちらの責任で行うのか
- 処理の判断を先送りしない仕組み
- MDとマーケが同じ場で判断するには、どんな会議を持つのか
- 決まらない議題の扱い
- 外部の運用会社が入ると、MDとの連携はどう変わるのか
- 外部に成果を求める範囲
- MDと物流との連携は、何から作ればいいのか
- 運用が定着しないときの見直し
- よくある質問
- まとめ
売れなかった責任が、商品の企画にも集客にも置けるからです。
品番ごとの広告の投下が記録されていないと、切り分ける材料がありません。
アパレルECで、マーケティングとMDの対立はどこから始まるのか
売れなかった責任が、商品の企画にも集客にも置けるからです。
品番ごとの広告の投下が記録されていないと、切り分ける材料がありません。
アパレルの売上は、商品の企画と生産と集客のどれが欠けても立ちません。
そのため、消化が遅れたときに原因を一方に帰属させられません。
MDから見ると、広告の投下が足りなかったように見えます。
マーケティングから見ると、売れる商品が用意されなかったように見えます。
どちらの見方にも根拠があり、決着しません。
決着しないまま次のシーズンの企画と予算が決まっていきます。
対立が長引く原因は、感情ではなく記録の不足です。
品番ごとに、どれだけの広告費が入ったかが残っていない会社が多くあります。
記録がないと、売れたのか売ったのかを区別できません。
広告を当てずに売れた品番と、広告で押し込んだ品番が同じ実績として並びます。
同じ実績として並ぶと、次のシーズンの企画が歪みます。
広告を止めた瞬間に動かなくなる品番を、売れ筋として継続することになります。
対立が最も強く出る時期
対立が表面化するのは、シーズンの終盤です。
在庫の残りが確定し、数字の説明が必要になる時期だからです。
この時期に議論を始めると、過去の記録の不足がそのまま争点になります。
記録は遡って作れないため、議論は水掛け論になります。
対策は時期を前に倒すことです。
シーズンの前に、品番ごとの投下計画を合意しておく形になります。
対立の原因は記録の不足です。品番ごとの広告の投下を残さないと、売れたのか売ったのかを区別できません。
MDとマーケティングは、どの数字を共有するのか
品番ごとの広告の投下額と、広告を除いた消化の推定です。
この2つがあれば、広告の寄与を切り分けて話せます。
共有すべき数字の条件は、両部門の判断に直接使えることです。
全体の売上や獲得単価は、どちらの判断にも使えません。
1つ目が、品番ごとの広告の投下額です。
次のシーズンの企画の材料として、消化の実績と並べて渡します。
2つ目が、広告を除いた消化の推定です。
指名検索と直接流入と既存顧客からの購入を、広告経由と分けて出します。
完全な推定は難しくても、経路で分けるだけで判断は変わります。
広告経由が消化の大半を占める品番は、投下を止めたときの落ち方が大きくなります。
この2つを品番ごとに並べた表を、週次で両部門が見ます。
シーズン中は在庫の動きが速いため、月次では遅れます。
数字を渡す方向は、一方通行にしないでください。
MDからは投入の計画とサイズ別の在庫を、同じ表に返してもらいます。
MDとマーケティングが共有する数字
| 数字 | 出す部門 | 使う部門 | 頻度 |
|---|---|---|---|
| 品番ごとの広告の投下額 | マーケティング | MD | 週次 |
| 経路別の消化の構成 | マーケティング | MD | 週次 |
| 投入の計画と入荷の遅れ | MD | マーケティング | 週次 |
| サイズ別の在庫の状態 | 物流 | 両部門 | 週次 |
| 欠品後の需要の推定 | マーケティング | MD | シーズンごと |
数字を共有しても揃わないとき
数字を出しても議論が揃わない場合、原因は単位にあります。
品番の括り方が、企画側と広告側で違うことが多くあります。
企画は品番や型で括り、広告は訴求で括ります。
同じ表に並べるには、どちらかに寄せる必要があります。
寄せ先は企画側にしてください。
生産の単位と揃っていないと、次のシーズンの判断には使えません。
共有するのは品番ごとの広告の投下額と、経路別の消化の構成です。品番の括り方は企画側に揃えてください。
生産の数量は、広告の計画とどう合わせるのか
広告の投下計画を、生産の発注の判断に先に渡します。
発注が終わった後に投下を決めると、投入と投下が永久にずれます。
広告で需要を作れば、その分の在庫が必要になります。
ただし生産のリードタイムは、広告の計画より長いのが通常です。
この順序のずれが、欠品と残在庫の両方を生みます。
広告を当てた品番が早く欠け、当てなかった品番が残ります。
解き方は、広告の投下計画を発注の判断材料に入れることです。
発注の前に、どの品番群にいくら投下するかの見込みを渡します。
見込みの精度は高くなくて構いません。
投下する群としない群が分かるだけで、発注の判断は変わります。
渡す時期は、発注の意思決定の前です。
シーズンの半年以上前になるため、早い段階での概算になります。
渡した見込みと実際の投下がずれた場合は、次回に理由を添えて共有します。
ずれの理由が蓄積すれば、見込みの精度も上がります。
サイズ別の配分に渡す情報
生産の数量だけでなく、サイズ別の配分も判断が必要です。
配分の材料は、過去のシーズンのサイズ別の消化です。
これに加えて、欠品後の需要の推定を渡せます。
欠品したサイズを選ぼうとした人数が、実際の需要の手がかりになります。
販売の実績だけでは、欠品後の需要は見えません。
記録していなければ、渡すものがありません。
広告の投下見込みを、生産の発注の前に渡してください。欠品後の需要の推定も、サイズ別の配分に渡します。
シーズン中の在庫の動きに、どう対応するのか
週次で消化とサイズの状態を共有し、投下の可否をその週に決めます。
月次では、シーズン中の在庫の動きに追いつきません。
シーズン中は、在庫の状態が週単位で変わります。
売れ筋の品番は、数週間で主要なサイズが欠けます。
この速度に対して、月次の共有では対応が遅れます。
遅れた期間の投下は、購入に結びつきません。
そのため、共有は週次にします。
品番ごとの消化と、サイズ別の在庫の状態を渡す形です。
渡された側は、その週のうちに投下の可否を決めます。
判断の基準を先に数字で決めておくと、都度の会議が不要になります。
基準は、主要なサイズの在庫が一定を下回ったら止める形です。
止めた分の予算は、その週のうちに別の群へ移します。
補充ができる品番では、追加生産の判断も週次で行います。
リードタイムを超えると間に合わないため、早い判断が要ります。
シーズン中に週次で共有する項目
| 項目 | 出す部門 | 使う判断 | 基準 |
|---|---|---|---|
| 品番ごとの消化率 | MD | 投下を寄せる先 | 計画との差 |
| サイズ別の在庫 | 物流 | 投下の可否 | 主要サイズの残数 |
| 追加生産の可否 | MD | 投下の継続 | リードタイム |
| 値引きの開始予定 | MD | 枠の切り替え | 消化の遅れ |
| 広告の投下額 | マーケティング | 次週の配分 | 枠の残り |
追加生産の判断を早める
想定以上に売れた品番は、追加生産が間に合わないことがあります。
判断が遅れるのは、売れ行きの情報が月次でしか届かないからです。
週次で消化を共有すれば、判断は早まります。
残りの週数と現在の消化から、シーズン末の残りが推定できます。
推定がリードタイムの範囲に収まるなら、追加の判断ができます。
判断の基準を先に決めておくと、都度の会議が不要になります。
シーズン中の共有は週次にします。投下の可否と追加生産の判断の基準を、先に数字で決めてください。
残った在庫の処理は、どちらの責任で行うのか
処理そのものは共同で行い、費用は別枠で持ちます。
通常の獲得予算から出すと、獲得の採算が見えなくなります。
シーズンの終盤に残った在庫は、広告を当てないと動きません。
ただし採算は通常の獲得より悪く、指標を悪化させます。
通常の予算枠から出すと、悪化した分が獲得の評価に混ざります。
混ざると、獲得の実力が分からなくなります。
別枠にすると、処理の費用が単独で見えます。
いくらかけて、いくらの在庫を現金に戻したかという形で評価できます。
この評価軸は、獲得の評価軸とは別物です。
回収できた金額と、次シーズンに持ち越す場合の費用を比べる判断になります。
処理の意思決定は、MDとマーケティングと経理の3者で行います。
値引き幅の決定に、原価と在庫の評価の情報が要るためです。
処理を始める時期の基準も、先に決めておきます。
シーズンの何週目から対象にするか、という線を置く形です。
処理の判断を先送りしない仕組み
在庫の処理は、先送りされやすい判断です。
値引きは粗利を削るため、決める人が決めたがらないからです。
先送りを防ぐには、時期の基準を数字で置くしかありません。
シーズンの一定の週を超えた在庫は、自動的に処理の議題に上がる形にします。
議題に上がった時点で、処理するか持ち越すかを決めます。
持ち越す場合も、理由を記録に残してください。
在庫の処理は別枠の予算で行い、回収できた金額で評価します。対象になる時期を、数字の基準で先に置いてください。
MDとマーケが同じ場で判断するには、どんな会議を持つのか
週次の実績会議と、シーズンごとの計画会議の2つで足ります。
それぞれ決める内容を分けておくことが条件です。
会議を増やしても、決まることは増えません。
決める内容が定義されていない会議が増えるだけです。
必要なのは2つです。
週次で在庫と投下を調整する場と、シーズンごとに計画を合意する場です。
週次で決めるのは、投下の可否と追加生産と処理の開始です。
どれも在庫の状態から判断する項目です。
シーズンごとに決めるのは、品番群ごとの投下計画と生産の前提です。
ここで合意した内容が、次のシーズンの判断基準になります。
参加するのは、MDとマーケティングと物流の責任者です。
決裁が必要な議題があるときは、経営も同席します。
会議の資料は、共有している表をそのまま使います。
会議のために別の資料を作ると、数字が二重管理になります。
アパレルECで2つの会議が決めること
| 会議 | 頻度 | 決めること | 参加者 |
|---|---|---|---|
| 実績会議 | 週次 | 投下の可否と追加生産と処理の開始 | MDとマーケと物流 |
| 計画会議 | シーズンごと | 品番群ごとの投下計画と生産の前提 | 3部門の責任者と経営 |
| 臨時 | 随時 | 欠品時の代替商品の提示 | マーケとMD |
| シーズン後の振り返り | シーズンごと | 消化と投下の対応の検証 | 3部門 |
決まらない議題の扱い
会議で決まらない議題は、決める人が同席していないことが原因です。
値引き幅や追加生産は、経理や経営の判断が要ります。
決まらなかった議題は、次回に持ち越さず担当と期限を付けます。
持ち越すと、同じ議論を毎週繰り返すことになります。
議事の記録は、決まったことと決まらなかったことを分けて残します。
分けていない記録は、次のシーズンの前提として使えません。
会議は週次の実績とシーズンごとの計画の2つで足ります。決まらなかった議題には担当と期限を付けてください。
外部の運用会社が入ると、MDとの連携はどう変わるのか
MDと外部の間にマーケティング部門が立つ形を崩さないことです。
外部がMDと直接やり取りを始めると、判断の記録が残らなくなります。
広告運用を外部に任せている企業は多くあります。
Testifyが2026年5月14日から18日に実施した調査では、回答者の9割超が代理店を活用しており、全面委託が37.2%、社内運用との併用が54.4%でした。
外部が入ると、在庫や投入の情報をどう渡すかが論点になります。
渡さなければ欠品した品番に投下が続き、渡せば情報の管理が必要になります。
現実的なのは、マーケティング部門が中継する形です。
サイズ別の在庫を加工して、投下の可否という形で外部に渡します。
加工の手間を惜しんで直接接続すると、判断の記録が残りません。
なぜその週にその品番を止めたのかが、後から説明できなくなります。
中継するときの形式は、品番群ごとの投下可否と上限額です。
生のサイズ別の在庫数を渡す必要はありません。
更新の頻度は週次にします。
月次だと、欠品への対応が最大で4週間遅れます。
外部に成果を求める範囲
在庫の情報を渡していない場合、欠品起因の成果悪化は外部の責任ではありません。
この切り分けを契約時に決めておいてください。
決めていないと、成果不振の説明が噛み合わなくなります。
同じ調査では、マーケティング責任者の53.1%が代理店への不満として「成果不振の説明不足」を挙げていました。
説明の範囲は、渡した情報の範囲で決まります。
渡す情報を増やすか、求める説明を狭めるかのどちらかです。
在庫情報はマーケティング部門が中継し、投下可否の形で週次に渡します。渡していない情報に起因する成果は求めないでください。
MDと物流との連携は、何から作ればいいのか
品番ごとの広告の投下額を記録するところからです。
記録がないと、売れたのか売ったのかを区別できません。
最初に必要なのは、品番の括り方を企画側に揃えることです。
揃っていないと、以降の記録がすべて突き合わせできません。
次に、品番群ごとの広告の投下額を週次で記録します。
広告の管理画面の構造を、品番群と対応させる必要があります。
対応させる作業は一度で済みますが、数週間かかります。
新しい品番が増えるたびに割り当てる運用も、同時に決めてください。
記録が始まったら、経路別の消化の構成を並べます。
広告経由と、指名と直接流入と既存顧客からの購入を分けるだけで足ります。
最後に、週次でサイズ別の在庫を共有する運用を作ります。
投下を止める判断の基準も、同じ時期に決めます。
MDと物流との連携に着手する順番
| 順番 | やること | 関わる部門 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 品番の括り方を企画側に揃える | MDとマーケ | 2週間 |
| 2 | 広告の管理構造を品番群に対応させる | マーケティング | 3週間 |
| 3 | 品番群ごとの投下額を週次で記録する | マーケティング | 継続 |
| 4 | 経路別の消化の構成を並べる | マーケとシステム | 2週間 |
| 5 | 週次でサイズ別の在庫を共有する | 物流 | 2週間 |
| 6 | 週次とシーズンごとの会議で決める内容を定義する | 3部門 | 1週間 |
数字は説明のための仮の値です。
ある品番群の消化が3,000点で、広告経由が2,200点を占めている場合、投下を止めたときの落ち方は大きくなります。
別の品番群で広告経由が400点なら、投下の優先度は下がります。
この判断は、経路別の消化の構成がなければできません。
着手から運用の開始までは、全体で8週間前後が目安です。
品番の括り方が揃うまでが、最も時間のかかる工程になります。
運用が定着しないときの見直し
記録の運用が止まるのは、作業が特定の担当者に寄っているときです。
週次の記録に半日以上かかる形になっていないかを確認してください。
かかる場合は、記録の粒度を粗くします。
品番単位ではなく品番群単位にするだけで、作業量は大きく減ります。
粗くしても、次のシーズンの判断には十分使えます。
精度を上げるのは、運用が定着してからで構いません。
着手点は品番の括り方を企画側に揃えることです。記録の粒度は粗くてよく、続くことを優先してください。
アパレルECでMDと広告の連携に迷う場合は、無料相談で現状の進め方を見てもらうところから始められます。
在庫と広告の接続ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
消化が遅れた原因が広告か商品かで揉めるとき、どうすればいいですか
品番ごとの広告の投下額を記録してください。記録がないと、広告を当てずに売れた品番と広告で押し込んだ品番が同じ実績として並びます。あわせて経路別の消化の構成を出すと、広告の寄与を切り分けて話せます。
広告の投下計画は、生産の発注前に渡すべきですか
渡してください。発注が終わった後に投下を決めると、投入と投下のずれが毎シーズン繰り返されます。渡す時期は発注の意思決定の前で、投下する品番群としない群が分かる程度の精度で足ります。
シーズン中の共有は、月次では足りませんか
足りません。売れ筋の品番は数週間で主要なサイズが欠けます。週次で品番ごとの消化とサイズ別の在庫を共有し、投下の可否をその週に決めてください。判断の基準は先に数字で決めておきます。
残った在庫の処理にかかる費用は、通常の予算から出してよいですか
別枠にしてください。処理は採算が通常の獲得より悪く、同じ枠に入れると獲得の実力が見えなくなります。処理の対象になる時期も、シーズンの何週目からという基準で先に置いてください。
代理店に在庫情報を直接渡してもよいですか
マーケティング部門が中継する形にしてください。直接接続すると、なぜその週にその品番を止めたのかという判断の記録が残りません。渡す形式は品番群ごとの投下可否と上限額で、更新は週次にします。
まとめ
- 売れなかった責任が、商品の企画にも集客にも置けるからです。品番ごとの広告の投下が記録されていないと、切り分ける材料がありません
- 品番ごとの広告の投下額と、広告を除いた消化の推定です。この2つがあれば、広告の寄与を切り分けて話せます
- 広告の投下計画を、生産の発注の判断に先に渡します。発注が終わった後に投下を決めると、投入と投下が永久にずれます
- 週次で消化とサイズの状態を共有し、投下の可否をその週に決めます。月次では、シーズン中の在庫の動きに追いつきません
- 処理そのものは共同で行い、費用は別枠で持ちます。通常の獲得予算から出すと、獲得の採算が見えなくなります
- 週次の実績会議と、シーズンごとの計画会議の2つで足ります。それぞれ決める内容を分けておくことが条件です
- MDと外部の間にマーケティング部門が立つ形を崩さないことです。外部がMDと直接やり取りを始めると、判断の記録が残らなくなります
- 品番ごとの広告の投下額を記録するところからです。記録がないと、売れたのか売ったのかを区別できません