広告代理店のインハウス化の判断|内製と外注の分け方

預かる範囲が、運用の実行から設計と教育へ移ります。
実行だけを提供している場合、契約は続きにくくなります。
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目次
目次
- クライアントの内製化が進む中で、何が変わるのか
- 実行の価値が下がるわけではない
- 自社の業務のうち、内製に残すのはどこか
- 外に出す範囲が広すぎると起きること
- 内製の支援を、事業として引き受けるのか
- 移行が終わった後に残る役割
- 引き継ぎを前提にした契約は、どう設計するのか
- 引き継ぎの費用を別に置く
- 内製化した先と、どう関係を続けるのか
- 戻ってくる場合もある
- 社内の人員は、どの役割から置き直すのか
- 教える役割を育てる
- 内製の支援を始めた後に現れる副作用は何か
- 稼働の計画を期間で見る
- 内製と外注の線は、どう引き直すのか
- よくある質問
- まとめ
預かる範囲が、運用の実行から設計と教育へ移ります。
実行だけを提供している場合、契約は続きにくくなります。
クライアントの内製化が進む中で、何が変わるのか
預かる範囲が、運用の実行から設計と教育へ移ります。
実行だけを提供している場合、契約は続きにくくなります。
取引先が運用を社内に移す動きは、広く見られます。
Testifyが2026年5月14日から18日に実施した調査では、全面委託している企業の8割超が1年以内のインハウス化を計画または検討していました。
決定・予定が52.9%、積極検討が32.8%です。
この数字は、預かる範囲が変わることを示しています。
一方で、同じ調査では障壁も挙げられています。
教育時間・知見不足が44.8%、媒体アップデートへの追随困難が40.3%、人材採用が36.7%です。
障壁の中身は、設計と教育と情報の追随です。
この三つは、移した後も残る需要になります。
つまり、実行だけを提供している場合は契約が続きにくくなります。
設計と教育を提供できる形にしておく必要があります。
実行の価値が下がるわけではない
内製化が進んでも、実行の需要が消えるわけではありません。
移す判断をした企業のすべてが、実際に移せるわけではないためです。
同じ調査では、移行の動機はノウハウ蓄積が56.7%、コスト削減が46.7%でした。
コスト削減が動機の場合、移した後に人件費で見合わないことがあります。
そのため、実行の提供を止める必要はありません。
設計と教育を足す形で、範囲を広げてください。
内製化が進むと、預かる範囲が実行から設計と教育へ移ります。実行を止めるのではなく、設計と教育を足す形で広げてください。
自社の業務のうち、内製に残すのはどこか
判断の前提を作る作業を残します。
実行の作業は、外に出しても社内に材料が残りません。
自社の業務のうち、どこを内製に残すかの基準は費用ではありません。
社内に材料が残るかどうかです。
案件ごとの採算の計算は、社内に残る材料です。
この計算を外に出すと、判断の根拠が社外にできます。
提案の設計と、体制の組み方も社内に残します。
差を作る部分であり、外に出すと差がなくなります。
制作や、特定の媒体の実行の作業は外に出せます。
結果は数字として残るため、材料は失われません。
計測の設計は、境目にあります。
作業は外に出せますが、何を成果として数えるかの定義は社内が持ちます。
社内に残すかどうかの基準
| 作業 | 社内に置くと材料が増えるか | 置く先 | 判断の所在 |
|---|---|---|---|
| 案件ごとの採算の計算 | 増える | 社内 | 社内 |
| 提案の設計と体制の組み方 | 増える | 社内 | 社内 |
| 成果の定義 | 増える | 社内 | 社内 |
| 制作の作業 | 増えない | 外部 | 社内 |
| 特定の媒体の実行 | 増えない | 外部 | 社内 |
| 計測の設定の作業 | 増えない | 外部 | 社内 |
外に出す範囲が広すぎると起きること
外に出す範囲を広げるほど、固定の費用は下がります。
一方で、社内に残る経験も減ります。
経験が減ると、提案の場で示せる中身も薄くなります。
薄くなると、差が作れません。
範囲を決めるときは、費用だけでなく提案の場で示せる中身も見てください。
示せる中身が減る範囲は、出さない判断になります。
内製に残すのは、判断の前提を作る作業です。外に出す範囲を決めるときは、提案の場で示せる中身が減らないかも見てください。
内製の支援を、事業として引き受けるのか
引き受けられますが、収入の形が変わります。
月ごとの継続から、期間を区切った提供に寄ることを前提にしてください。
内製の支援は、需要のある領域です。
一方で、収入の形が運用の代行とは違います。
運用の代行は、続く限り毎月収入が入ります。
内製の支援は、移行が終われば役割が終わります。
つまり、期間を区切った提供に寄ります。
月ごとの継続を前提にした計画では、合いません。
この違いを前提にしないまま引き受けると、稼働の計画が崩れます。
終わる時期が読めるため、その先の稼働を埋める必要があります。
引き受ける場合は、終わった後の関係も同時に設計してください。
設計していないと、移行が終わった時点で関係も終わります。
移行が終わった後に残る役割
移行が終わった後にも、残る役割があります。
媒体の仕様の変化への追随と、設計の見直しです。
この二つは、社内の人員だけでは追いにくい領域です。
同じ調査でも、媒体アップデートへの追随困難が40.3%で挙げられています。
終わった後の形を、移行の段階で設計してください。
期間を区切った提供の後に、軽い形で続ける契約に移す設計です。
内製の支援は、期間を区切った提供に寄ります。終わった後に残る役割を、移行の段階で設計してください。
引き継ぎを前提にした契約は、どう設計するのか
引き継ぐ範囲と期間と、残す記録を先に決めます。
決めていないと、終わるときに交渉が発生します。
引き継ぎを前提にした契約では、終わり方を先に決めておきます。
決めていないと、終わるときに交渉が発生します。
決めるのは三つです。
引き継ぐ範囲、引き継ぎの期間、そして残す記録の形です。
引き継ぐ範囲は、設定と記録と手順に分けられます。
どこまでを渡すかで、期間も費用も変わります。
引き継ぎの期間は、作業の内容によります。
月ごとの運用であれば、一か月から二か月が目安になります。
残す記録の形は、相手の社内で使える形にします。
使えない形で渡しても、引き継ぎにはなりません。
引き継ぎを前提にした契約で決めること
| 決めること | 決める内容 | 決めないと起きること |
|---|---|---|
| 引き継ぐ範囲 | 設定、記録、手順のどこまでか | 終わるときに交渉が起きる |
| 引き継ぎの期間 | 何か月かけるか | 急な終了になる |
| 残す記録の形 | 相手が使える形か | 渡しても使われない |
| 教育の範囲 | 誰に何を教えるか | 移行が進まない |
| 終わった後の関係 | 軽い形で続けるか | 関係が完全に終わる |
引き継ぎの費用を別に置く
引き継ぎの作業には、工数がかかります。
この工数を、月ごとの費用に含めると採算が合いません。
引き継ぎの費用を、別に置いてください。
別に置くと、引き継ぎの作業も丁寧に行えます。
含めた形にすると、引き継ぎが簡素になります。
簡素な引き継ぎは、相手の側でも困ります。
引き継ぐ範囲と期間と、残す記録の形を先に決めてください。引き継ぎの費用は、月ごとの費用とは別に置きます。
内製化した先と、どう関係を続けるのか
仕様の変化への追随と、設計の見直しで続きます。
実行の代行に戻る形を前提にすると、関係は続きません。
内製化した先との関係は、実行の代行では続きません。
実行は、相手の社内で行うことになったためです。
続くのは、社内の人員だけでは追いにくい領域です。
媒体の仕様の変化への追随と、設計の見直しが当たります。
仕様の変化は、継続して起きます。
すべてを追うには、複数の事業者を見ている立場のほうが有利です。
設計の見直しも、外からの視点が要ります。
社内だけで見ていると、視野が自社の中に閉じます。
この二つを、軽い形の契約として設計してください。
月ごとの費用は小さくなりますが、稼働も小さく済みます。
内製化した先と続く関係の形
| 続く役割 | 提供の頻度 | 必要な稼働 | 契約の形 |
|---|---|---|---|
| 媒体の仕様の変化への追随 | 四半期ごと | 小さい | 軽い形の継続 |
| 設計の見直し | 半年ごと | 中程度 | 期間を区切る形 |
| 新しい領域の立ち上げ | 随時 | 中程度 | 期間を区切る形 |
| 人員が抜けたときの補完 | 随時 | 大きい | 都度の契約 |
| 外からの点検 | 年に一度 | 小さい | 軽い形の継続 |
戻ってくる場合もある
内製化した先が、数年後に外へ戻すことがあります。
人が辞めた場合や、想定より人件費がかかった場合です。
戻る可能性があるため、関係を切らないでください。
切っていると、戻る先の候補に入りません。
軽い形でも関係が続いていれば、最初に相談されます。
この差は、数年単位で見ると大きくなります。
内製化した先とは、仕様の変化への追随と設計の見直しで関係が続きます。戻る可能性があるため、関係を切らないでください。
社内の人員は、どの役割から置き直すのか
設計と教育ができる役割から置き直します。
実行だけができる体制では、預かる範囲の変化に合いません。
預かる範囲が実行から設計と教育へ移ると、必要な役割も変わります。
実行だけができる体制では、変化に合いません。
最初に置き直すのは、設計ができる役割です。
何をどういう順序で行うかを組み立てられる人です。
次が、教える役割です。
相手の社内の人員に、手順と判断の基準を渡せる人です。
教える役割は、実行ができる人がそのまま務められるとは限りません。
教えることは、実行とは別の技能です。
この二つを置いたうえで、実行の人員を配置します。
実行の人員だけを増やす形では、範囲の変化に対応できません。
教える役割を育てる
教える役割は、外から採るより社内で育てるほうが速い場合があります。
自社の進め方を知っている必要があるためです。
育てるには、教える機会を作ることです。
社内の新しい人への教育が、最初の機会になります。
機会を作らないまま外部への教育を始めると、質にばらつきが出ます。
ばらつきは、そのまま評判に出ます。
置き直すのは、設計ができる役割と教える役割の二つです。教える役割は、社内の教育の機会で育ててください。
内製の支援を始めた後に現れる副作用は何か
実行の受注が減り、稼働の計画が読みにくくなります。
期間を区切った提供が増えるため、先の稼働に空きが出やすくなります。
内製の支援を始めると、実行の受注が減ることがあります。
支援した先が、実行を社内で行うようになるためです。
減った分を、他の受注で埋める必要があります。
埋められないと、稼働に空きが出ます。
さらに、期間を区切った提供が増えると稼働の計画が読みにくくなります。
月ごとの継続と違い、終わる時期が決まっているためです。
この二つを前提に、稼働の計画を立ててください。
立てていないと、支援が終わった月に空きが出ます。
もう一つの副作用は、社内の人員の役割の変化です。
実行を担っていた人が、教える役割に移ることになります。
稼働の計画を期間で見る
期間を区切った提供が増えると、月ごとの稼働だけでは読めません。
案件ごとの終了の時期を並べて、先の稼働を見てください。
並べると、どの月に空きが出るかが分かります。
分かれば、その手前から集客を厚くできます。
この作業は、案件が増えるほど手間になります。
早いうちに、記録の形を決めておいてください。
内製の支援を始めると、実行の受注が減り稼働の計画が読みにくくなります。案件ごとの終了の時期を並べて、先の稼働を見てください。
内製と外注の線は、どう引き直すのか
提案の場で示せる中身が減らない範囲で引き直します。
費用だけで決めると、差を作る部分まで外に出ることになります。
線を引き直す作業は、費用の比較から始まりません。
提案の場で何を示しているかを、書き出すことから始まります。
書き出すと、差を作っている部分が見えます。
その部分は、外に出せません。
次に、いま外に出している作業を書き出します。
出している作業の中に、差を作る部分が含まれていないかを確かめます。
三つ目に、預かる範囲の変化に合わせて必要な役割を置き直します。
設計と教える役割の二つです。
四つ目が、引き継ぎを前提にした契約の設計です。
範囲、期間、残す記録の形を決めます。
最後に、案件ごとの終了の時期を並べる記録の形を作ります。
ここまでで、計画が立てられるようになります。
内製と外注の線を引き直す順番
| 順番 | やること | 関わる人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 提案の場で示している中身を書き出す | 営業と経営 | 二週間 |
| 2 | いま外に出している作業を書き出す | 運用の責任者 | 二週間 |
| 3 | 差を作る部分が外に出ていないか確かめる | 経営 | 一週間 |
| 4 | 設計と教える役割を置き直す | 経営 | 四週間 |
| 5 | 引き継ぎを前提にした契約を設計する | 経営 | 四週間 |
| 6 | 案件ごとの終了の時期を並べる形を作る | 運用の担当 | 三週間 |
置いた後に見るのは、月次では先の稼働の空きと期間を区切った案件の比率です。
四半期では、外に出している範囲の妥当性を見ます。
費用の総額だけで判断しないでください。
差を作る部分が外に出ていれば、費用が下がっても受注が減ります。
線は費用の比較からではなく、提案の場で示せる中身から引き直してください。差を作る部分は、外に出せません。
内製と外注の線の引き直しで判断に迷う場合は、無料相談で現状を見てもらうところから始められます。
預かる範囲ごと見直す段階ならWeb集客改善サービスもあります。
よくある質問
取引先の内製化が進むと何が変わりますか
預かる範囲が、運用の実行から設計と教育へ移ります。移行の障壁として教育時間や知見の不足、媒体の変化への追随が挙げられており、この三つは移した後も残る需要になります。
実行の提供は止めるべきですか
止める必要はありません。移す判断をした企業のすべてが実際に移せるわけではなく、コスト削減が動機の場合は人件費で見合わないこともあります。設計と教育を足す形で範囲を広げてください。
内製の支援は事業として成立しますか
成立しますが、収入の形が変わります。月ごとの継続ではなく、期間を区切った提供に寄ります。終わった後に残る役割を、移行の段階で設計しておいてください。
引き継ぎを前提にした契約はどう設計しますか
引き継ぐ範囲、引き継ぎの期間、残す記録の形の三つを先に決めます。引き継ぎの費用は月ごとの費用とは別に置いてください。含めると、引き継ぎが簡素になります。
自社の業務はどこまで外に出せますか
判断の前提を作る作業は社内に残してください。案件ごとの採算の計算、提案の設計と体制の組み方、成果の定義が当たります。費用だけで決めると、差を作る部分まで外に出ます。
まとめ
- 預かる範囲が、運用の実行から設計と教育へ移ります。実行だけを提供している場合、契約は続きにくくなります
- 判断の前提を作る作業を残します。実行の作業は、外に出しても社内に材料が残りません
- 引き受けられますが、収入の形が変わります。月ごとの継続から、期間を区切った提供に寄ることを前提にしてください
- 引き継ぐ範囲と期間と、残す記録を先に決めます。決めていないと、終わるときに交渉が発生します
- 仕様の変化への追随と、設計の見直しで続きます。実行の代行に戻る形を前提にすると、関係は続きません
- 設計と教育ができる役割から置き直します。実行だけができる体制では、預かる範囲の変化に合いません
- 実行の受注が減り、稼働の計画が読みにくくなります。期間を区切った提供が増えるため、先の稼働に空きが出やすくなります
- 提案の場で示せる中身が減らない範囲で引き直します。費用だけで決めると、差を作る部分まで外に出ることになります